JP3035929U - すきや袋 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】従来から茶席等で広く使用されている袱紗類
は、絹糸の平織布を素材とする関係上、只でさえ腰が弱
く、皺や折り癖が生じ易いところ、それが従来の一室構
成のすきや袋内で他の小物類と混在する場合、携行中の
振動その他により、袱紗が移動したり、他の小物に干渉
されて皺や余分の折り癖が生じ、いざ取り出して使用す
る際に、無体裁なものとなるという課題が見受けられて
いた。 【解決手段】本考案は、通常の手法で縫製されたすきや
袋の内部に、一面を平滑面とし、他面に茶席などに必要
な小物類の収容に適した１又は複数個のポケットを備え
てなる中仕切りを装脱自在に設けたすきや袋である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】 この考案は、茶会等に携行されるすきや（数寄屋）袋の改良に関し、更に詳し くは、袋主体内に収納される袱紗類に余分の折り癖や皺が生じないようにしたも のである。

【考案の属する技術分野】

【０００２】 一般にすきや袋と呼ばれ、茶会の席において必須の小道具とされる袱紗や扇子 等の他、懐紙とか爪楊枝その他の小物類を収納する布製袋は、昔から広く知られ ていた。即ち従来のすきや袋は、横巾が２４ｃｍ、縦が１８ｃｍ前後で偏平な特 殊の製袋構造を持ち、袋自体は柔軟で自在に変形するものであるが、その内部は 皮革その他、比較的硬質の素材からなる手提げカバンやハンドバッグなどとは異 なり、古来慣習的に一室構成とされていたから、これに収納される上記袱紗を含 めて小物類が雑然と袋内で混在することに差したる抵抗を感じていなかったので ある。

【０００３】 而して、上記従来のすきや袋に袱紗類を収納するに当たっては、古袱紗と呼ば れる小型のもの（約１８ｃｍ×１０ｃｍ）は折り畳むことなく、そのまま収納で きるが、それ以外の多くの袱紗類（約２９ｃｍ×２７ｃｍ）は、それを二又は四 つ折りにした上で、すきや袋に納めるのが通例とされていた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、上記いづれの袱紗にしても、塩瀬織等、絹糸の平織布を素材とする関 係上、只でさえ腰が弱く、皺や折り癖などが生じ易いところ、それが一室構成の 袋主体内で他の小物類と混在する場合、携行中の振動その他により、袱紗が移動 したり、他の小物に干渉されて皺や余分の折り癖が生じ、いざ取り出して使用す る際に、無体裁なものとなるという共通的な課題が見受けられていたのである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】 この考案は上述した実情に鑑み、それらの課題を克服することを目的としたも のであって、通常の手法で縫製されたすきや袋の内部に、ボール紙などを芯板と し、その全面を布などで被包した上、一面（「表面」とする）に扇子や爪楊枝等 の小物類の収容に適した１又は複数個のポケットを形成し、その裏面を平滑面と してなる中仕切りを装脱可能に設けるという手段を講じたものである。

【０００６】

【考案の実施の形態】

以下、本案すきや袋の構成を図面に示す実施の形態に基づいて更に詳述する。 図１〜２において、符号１は表布１ａ、裏布１ｂによって構成された横巾２４ｃ ｍ、縦１８ｃｍのすきや袋の主体であって、従来から公知の手法に従って縫製し たものであり、２は上記袋主体１の内部に装脱可能に設けられる中仕切りで、横 巾２０. ５ｃｍ、縦１５．５ｃｍのボール紙等からなる芯板２ａの表裏面を、望 ましくは袋主体１の裏布１ｂと同系、同色の布地２ｂで被包し、その表面に茶会 等で必要な扇子等の収容ポケット３の他、適宜な小物類が収容可能な整理ポケッ ト３’を形成させる一方、裏面を平坦面としたもので、これを袋主体１の開口部 から内部に挿入することにより、該袋主体の略全域を前後二室に分画可能にした ものである。尚、図１の１ｃは袋主体１を閉止するホックを示す。

【０００７】 また、図３において、符号４は出袱紗（だしぶくさ）と呼ばれ、通常塩瀬織の 絹地で縫製される袱紗の一種を示し、その縦横の寸法は大凡２７ｃｍ×２９ｃｍ とされており、これを四つ折りにして上記すきや袋に納めるのであるが、その場 合、中仕切り２裏面の平坦面側を袋主体１の奥面１ｄとの間に、上記四つ折りに した出袱紗４を収納することによって中仕切り２が柔軟な袋主体の保形性を高め ると同時に、その平坦面が該袱紗の台紙の役割を果たし、袋主体１内部の背面１ ｄとの間で出袱紗４を挟定することになるから、携行中に発生する袱紗の無用な 皺や余分の折り癖が確実に防止できるのである。

【０００８】 この他、古袱紗のように小型で折り畳む必要のない袱紗類の収納についても、 上記出袱紗４の場合と全く同様の作用効果が得られるのである。更に、上記中仕 切り２の表面の各ポケット３・３’には、中仕切り２を袋主体１内に装入する以 前に、予め所定の小道具や必要な小物類を収容しておいた方が、上記袱紗の挟定 操作が一層確実・容易に行える。

【０００９】

【考案の効果】

以上詳述したように、本考案に係るすきや袋は、通常のすきや袋の内部に装脱 可能とした中仕切りを装入することによって、袋主体内部の前後側を略全域に亘 って区画するものであるから、該中仕切り裏面の平坦面と袋主体の奥面間に袱紗 類を確実に挟持して永年の課題とされていたすきや袋に収容される袱紗類に対し て余分の折り癖や皺等の発生を確実に防止するという格別に顕著な効果が得られ るものである。

【００１０】 更に上記本案の中仕切りは、その構造が極めて簡単であり、これを袋主体内に 装入するだけのものであるから、かかる中仕切りを別途に用意すれば、既製のす きや袋にも直ちに適用できるのである。これを言い換えると、本案すきや袋から 上記の中仕切りを取り除くことで、場合によっては昔から使い慣らされてきた一 室構成のすきや袋の機能を、そのまま再現させることも亦可能であり、その用法 乃至は用途は頗る広範である。

【００１１】 この他、本案すきや袋における中仕切りによれば、その表面の各ポケットに、 扇子や爪楊枝の他、茶券その他の小物類を随時分納しておくことにより、収納物 の整理が簡単で、しかもそれらの取り出しが無理なく迅速に行えるなど、従来の この種すきや袋には期待できなかった多くの利益をもたらす有用な考案である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本案すきや袋を開口した状態で示す正面図。

【図２】中仕切りの一部を切欠して示す正面図。

【図３】本案すきや袋の携行時における袋主体の中心部
縦断面図。

【符号の説明】 １ 袋主体 １ａ 表布 １ｂ 裏布 １ｃ ホック １ｄ 内部奥面 ２ 中仕切り ２ａ 芯板 ２ｂ 布地 ３ 扇子等の収納ポケット ３’ 整理ポケット ４ 袱紗類

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】通常の手法で縫製されたすきや袋の内部
   に、その一面を平滑面とし、他面に茶席などに必要な小
   物類の収容に適した１又は複数個のポケットを備えてな
   る中仕切りを装脱自在に設けたことを特徴とするすきや
   袋。