JP3034561U - 農作物収穫機に用いる搬送用ベルト - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ベルト本体とゴム帯との接着力を向上しつ
つ、人参、大根等の根菜の挟持搬送時に傷付けずにゴム
帯の耐引裂性を向上し、寿命を高めた農作物収穫機に用
いる搬送用ベルトを提供することを目的とする。 【解決手段】 心線４または心体を埋設したベルト本体
３にゴム帯５を貼着した構造を有する一組のベルト２
を、各ゴム帯５を密着させた状態で使用する農作物収穫
機に用いる搬送用ベルト２であり、高分子中空体１３が
上記ゴム帯５のゴム中に分散している。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は人参、大根等の根菜、ほうれん草等の草菜の野菜収穫機に使用される 搬送用ベルトに係り、詳しくは収穫する農作物をベルト背面に波形表面を有する ゴム帯を貼着したもので、一組のベルトを各ゴム帯が密着する状態でプーリに巻 付け配置し、この間に人参等の農作物からなる搬送体を損傷させないように挟持 して移動させる農作物収穫機に用いる搬送用に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来の農作物の葉を挟持して移動させる搬送用ベルトは、心線を埋設したベル ト本体に波形表面を有するクッション体を貼着した構造ものであった。この一組 のベルトが各クッション体が対向する状態で巻付け配置され刈取収穫機等に装着 されている。人参等の農作物の葉は、対向する各クッション体の間に挟持され、 土の中から抜き取られた後、搬送される。ここでは、搬送中の農作物が傷つくこ とを避けるため、柔らかいスポンジの弾性体が使用されていた。

【０００３】 例えば、特公昭５９−２１２９９号公報には、長時間の使用で繰り返し湾曲作 用を受けても接着連結部での剥離を防止するために、スポンジ帯状体を直線に沿 う姿勢にしたとき、連結箇所の外周面近くにベルト周方向での圧縮内部応力が作 用するようにスポンジ帯状体を連結したベルトが開示されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、従来のベルトでは、スポンジ帯状体が使用されていたため、例えば人 参の葉を対向する各クッション体の間に挟持して搬送した場合、搬送物の挟持力 が不足し、搬送物が落下することがあった。また、搬送物が濡れている場合には 、更に挟持力が低下していた。

【０００５】 また、大きな問題としては、スポンジ帯状体の表面が早期に摩耗し、局部的に 激しく摩耗して破壊した箇所から水分が浸入し、スポンジ帯状体が膨張してこれ とベルト本体との界面で早期に剥離する問題が発生した。 更には、人参、大根等の根菜の挟持搬送時に、石、泥の噛み込みによるスポン ジ欠けが発生することがあった。

【０００６】 本考案は、このような問題点を改善するものであり、ベルト本体とゴム帯との 接着力を向上しつつ、人参、大根等の根菜の挟持搬送時に傷付けずにゴム帯の耐 引裂性を向上し、寿命を高めた農作物収穫機に用いる搬送用ベルトを提供するこ とを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

即ち、本願の請求項１の考案は、心線または心体を埋設したベルト本体にゴム 帯を貼着した構造を有する一組のベルトを、各ゴム帯を密着させた状態で使用す る農作物収穫機に用いる搬送用ベルトにおいて、高分子中空体が上記ゴム帯のゴ ム中に分散しているように、高分子中空体がスポンジ状でなくソリッドなゴム中 に分散しているため、ベルト本体とゴム帯との接着力が向上し、耐引裂き性や耐 摩耗性が向上する。また、高分子中空体は、水分を吸収しないため、ベルト本体 とゴム帯との界面接着力を長期に維持する。

【０００８】 本願の請求項２の考案は、高分子中空体が体積分率１０〜８０％で分散してい るため、ゴム帯を軽量化することができ、ベルト本体とゴム帯との界面接着力を 長期に維持する。

【０００９】

【実施例】

以下、添付図面を参照し、本考案の実施例を説明する。 図１は農作物収穫機に用いる搬送用ベルトの駆動装置の平面図、図２は図１の Ａ−Ａ断面図であって搬送用ベルトが収穫物を搬送している状態を示す図、図３ は本考案に係る他の農作物収穫機に用いる搬送用ベルトの断面図、図４は更に他 の農作物収穫機に用いる搬送用ベルトの断面図である。 図において、農作物収穫機に用いる搬送用ベルトの駆動装置１では、心線４を 埋設したベルト本体３に波形表面を有するゴム帯５を貼着した構造を有する一組 のベルト２、２を、各ゴム帯５、５を密着させた状態で駆動プーリ６、従動プー リ７、そして中間プーリ８に巻付け配置した状態になっている。人参等の農作物 からなる搬送体１１は葉１２が各ゴム帯５、５に挟持されると、土の中から抜き 取られて搬送される。

【００１０】 上記本発明の搬送用ベルト２は、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミ ド繊維からなる心線４を天然ゴム、ＳＢＲ、ＮＢＲ、ＣＲ、水素化ニトリルゴム （ＨＢＲ）、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム（ＣＳＭ）、ＡＣＳＭなどの ゴム中に埋設したベルト本体３に、ゴム帯５を貼着した構造からなっている。ゴ ム帯５の表面、即ち葉１２を挟持する面は、正弦波あるいは余弦波状のカーブを 有する波形形状を有している。 尚、ベルト本体３のゴム中には、ナイロン、ポリエステル、アラミド、綿等の 短繊維を入れてもよい。

【００１１】 上記ゴム帯５は、天然ゴム、ＳＢＲ、ＮＢＲ、ＣＲ、水素化ニトリルゴム（Ｈ ＢＲ）、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム（ＣＳＭ）、ＡＣＳＭなどのゴム に高分子中空体１３を分散させている。この高分子中空体１３としては、ポリア クリロニトリル、塩化ビニリデン、これらの共重合体などを素材とした中空体で あり、具体的にはこれらの素材を隔壁として低沸点炭化水素を内包する中空体、 あるいは作業性を向上させるために中空体表面に炭酸カルシウム、タルク等のゴ ム用充填剤を付着させたものでもよい。

【００１１】 上記高分子中空体１３の粒径は２ｍｍ以下、好ましくは０．５ｍｍ以下である 。粒径が２ｍｍを超えると、高分子中空体１３が均一に分散しにくくなり、また 混練中に中空体１３が破損する。また、高分子中空体１３の添加量の体積分率は １０〜８０％であり、もし体積分率が１０％未満になると、十分な軽量化が期待 できず、ベルトの帆走中にベルト本体とゴム帯との界面接着力が低下しやすくな り、また一方８０％を超えると、均一分散が不可能になる。

【００１２】 図３に示す搬送用ベルト２のベルト本体３が帆布からなる心体１６を埋設し、 プーリ溝と嵌合する断面台形状の突起をもつ駆動部１７を形成し、ゴム帯５には カーブを有する波形形状を有する高分子中空体１３を分散させたゴム層からなっ ている。

【００１３】 更に、図４に示す搬送用ベルト２では、葉１２を挟持する面が平坦な表面を有 する高分子中空体１３を分散させたゴム層をベルト本体３に貼着した構成で、ベ ルト本体３は図３に示すものと同じである。

【００１４】

【考案の効果】

以上のように本願では、心線または心体を埋設したベルト本体にゴム帯を貼着 した構造を有する一組のベルトを、各ゴム帯を密着させた状態で使用する農作物 収穫機に用いる搬送用ベルトにおいて、高分子中空体が上記ゴム帯のゴム中に分 散しているように、高分子中空体がスポンジ状でなくソリッドなゴム中に分散し ているため、ベルト本体とゴム帯との接着力が向上し、耐引裂き性や耐摩耗性が 向上する。また、高分子中空体は、水分を吸収しないため、ベルト本体とゴム帯 との界面接着力を長期に維持する。

【００１５】 また、高分子中空体が体積分率１０〜８０％で分散しているため、ゴム帯を軽 量化することができ、ベルト本体とゴム帯との界面接着力を長期に維持する効果 がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】る農作物収穫機に用いる搬送用ベルトの駆動装
置の平面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ断面図であって搬送用ベルトが収
穫物を搬送している状態を示す図である。

【図３】本考案に係る他の農作物収穫機に用いる搬送用
ベルトの断面図である。

【図４】本考案に係る更に他の農作物収穫機に用いる搬
送用ベルトの断面図である。

【符号の説明】

２ ベルト ３ ベルト本体 ４ 心線 ５ ゴム帯 １３ 高分子中空体

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 心線または心体を埋設したベルト本体に
   ゴム帯を貼着した構造を有する一組のベルトを、各ゴム
   帯を密着させた状態で使用する農作物収穫機に用いる搬
   送用ベルトにおいて、高分子中空体が上記ゴム帯のゴム
   中に分散していることを特徴とする農作物収穫機に用い
   る搬送用ベルト。
2. 【請求項２】 高分子中空体が体積分率１０〜８０％で
   分散している請求項１記載の農作物収穫機に用いる搬送
   用ベルト。