JP7125207B2 - 結合vベルト - Google Patents
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Description
ベルト幅方向に並設された、複数のVベルトと、
前記複数のVベルトの背面側に配置され、前記複数のVベルトを前記ベルト幅方向に結合するタイバンド層と、を備え、
前記タイバンド層の背面側に、対向する少なくとも一対の突起部が配置されていることを特徴とする、結合Vベルトである。
しかしながら、2系統の駆動機構を使用すると、搬送速度に差異が生じた場合、搬送物がローリングし、搬送物損傷の原因になる。また、機構面からは、2系統の駆動機構の搭載により部品点数が多くなり、機構が複雑となるためメンテナンスの必要回数も多くなる。
上記結合Vベルトを搬送機構に使用すれば、結合Vベルトに搬送物を乗せた場合、タイバンド層で搬送物の下部を支持し、タイバンド層の背面側に配置した対向する一対の突起部によって、搬送物の側面を挟持することができる。このように、上記結合Vベルトを使用すれば、搬送物の下部の支持と搬送物の側面の挟持とを、1系統の駆動機構により実現できる。
これにより、2系統の駆動機構を使用した場合に生じる搬送速度の差異が生じないことから、搬送物のローリング等による搬送物の損傷が発生しないようにすることができる。また、従来に比べて、部品点数が少ないシンプルな搬送装置にすることができ、不具合の発生率や、メンテナンス頻度を低くすることができる。
また、一対の突起部を対向させていることから、突起部の形状、寸法に変化を持たせることにより、搬送物の大きさに対応させて挟持することができる。
前記アラミドシートの場合は、目付量が90~870g/m2、引張強度が2060N/mm2以上、厚みが0.03~0.24mmの条件を満たし、
前記カーボンシートの場合は、目付量が200~300g/m2、引張強度が2900N/mm2以上、厚みが0.05~0.09mmの条件を満たすことを特徴としている。
以下、図面を参照しつつ、本願発明に係る結合Vベルト1及びこの結合Vベルト1を使用した搬送装置100について説明する。
図1に示すように、本実施形態の搬送装置100では、結合Vベルト1が、複数のV形状の溝が外周に設けられた駆動プーリ2と従動プーリ3との間に巻き掛けられた状態で配置されている。そして、駆動プーリ2が回転駆動されることにより、結合Vベルト1の背面に載置されたキャベツ(搬送物)が、搬送方向に搬送される。この搬送装置100は、既存のキャベツ収穫機や作物収穫機に搭載され、畑から引き抜かれたキャベツ(野菜等)を搬送する工程で使用される。
結合Vベルト1は、図2に示すように、ベルト幅方向の両端部にそれぞれ並列された2列のVベルト11(Vベルト11A・11BとVベルト11C・11Dの合計4つ)と、各Vベルト11A~11Dの背面側に配置され、4つのVベルト11A~11Dをベルト幅方向に結合するタイバンド層12と、タイバンド層12の背面側に配置された、対向する2列の突起部13・突起部14とを備えた構成をしている。
Vベルト11(Vベルト11A~11D)は、図3に示すように、背面側から内周面側に向けて順番に、ゴム組成物で形成された伸張ゴム層111と、心線113が埋設された芯体層112と、ゴム組成物で形成された圧縮ゴム層114とを備えた構成をしている。Vベルト11としては、ラップドVベルトやローエッジVベルトなどを採用することができる。
伸張ゴム層111を形成するゴム組成物のゴム成分としては、加硫又は架橋可能なゴム、例えば、ジエン系ゴム(天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(ニトリルゴム)、水素化ニトリルゴムなど)、エチレン-α-オレフィンエラストマー、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリル系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴムなどが例示できる。これらのゴム成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
芯体層112は、心線113が、ゴム組成物に(伸張ゴム層111を形成するゴム組成物と同じ)、ベルト周長方向に沿ってスパイラル状に巻き付けられて埋設されている。即ち、図3に示すように、ベルト幅方向の断面視では、心線113が一列に配列された状態である。
圧縮ゴム層114を形成するゴム組成物のゴム成分は、伸張ゴム層111と同じである。
タイバンド層12は、図2に示すように、補強布121と、補強布121と突起部13・突起部14との接着力を向上させるために設けられる接着層122とを有する。
補強布121には、二方向の繊維束が交差するように配列された、二方向繊維シートが1枚又は複数枚積層されている。具体的には、補強布121に積層される二方向繊維シートは、アラミドシート又はカーボンシートである。なお、二方向繊維シートは、Vベルト11A~11Dとの接着性を高めるための処理(公知のRFL液、ゴム糊、含浸樹脂などでの接着処理)を施しても良い。
補強布121に積層される二方向繊維シートがアラミドシートの場合、破断強力・柔軟性が高く、アラミド繊維が折れにくいなどの特長をもつことから、強度(破断強力、引張強さ)をより高くした結合Vベルト1にすることができる。
補強布121に積層される二方向繊維シートがカーボンシートの場合、破断強力が高く、カーボン繊維が折れにくいなどの特長をもつことから、強度(破断強力、引張強さ)をより高くした結合Vベルト1にすることができる。
突起部13・突起部14は、図1及び図2に示すように、タイバンド層12の背面(接着層122側)において、ベルト幅方向に所定の間隔を空けて、ベルト周方向に対して平行に対向するように配列されている。突起部13と突起部14との間の間隔は、搬送物の大きさに対応して設定されるもので特に限定されない。
上記結合Vベルト1を備えた搬送装置100は、キャベツ収穫機に搭載され、キャベツを畑から引き抜く工程、引き抜いたキャベツの根茎部を切断する工程を経たキャベツ(野菜等)を、結合Vベルト1の突起部13と突起部14との間に挟持して、キャベツ収穫機の後方に設けたコンテナに向けて搬送する。このとき、キャベツが垂直面131と垂直面141との間に納まる大きさであれば、キャベツの両側面を垂直面131と垂直面141との間にしっかりホールドして搬送することができる。また、仮に、キャベツが垂直面131と垂直面141との間の距離よりも大きければ、傾斜面132と傾斜面142との間でキャベツの斜め下側(結球部、根茎部あたり)を支えて搬送することができる。
結合Vベルト1の製造方法について簡単に説明する。
まず、複数のV溝を有する金型に、Vベルト11A~11Dの原型となる4つの未加硫ベルトをベルト幅方向に並列した状態で各V溝に嵌め込む。そして、補強布121を用意し、アラミドシート又はカーボンシートで構成された二方向繊維シートを1枚又は複数枚積層する。そして、二方向繊維シートが積層された補強布121によって、金型のV溝に嵌め込んだ4つの未加硫ベルトの背面を覆う。なお、加硫される4つの未加硫ベルトと補強布121との接着性を高めるための処理(公知のRFL液、ゴム糊、含浸樹脂などでの接着処理)を施してもよい。
上記結合Vベルト1を搬送装置100に使用すれば、結合Vベルト1にキャベツ(搬送物)を乗せた場合、タイバンド層12でキャベツの下部を支持し、タイバンド層12の背面側に配置した対向する突起部13・突起部14によって、キャベツの側面を挟持することができる。このように、結合Vベルト1を使用すれば、キャベツの下部の支持とキャベツの側面の挟持とを、1系統の駆動機構により実現できる。
これにより、2系統の駆動機構を使用した場合に生じる搬送速度の差異が生じないことから、キャベツのローリング等によるキャベツの損傷が発生しないようにすることができる。また、従来に比べて、部品点数が少ないシンプルな搬送装置100にすることができ、不具合の発生率や、メンテナンス頻度を低くすることができる。
また、一対の突起部13・突起部14を対向させていることから、突起部13・突起部14の形状、寸法に変化を持たせることにより、キャベツの大きさに対応させて挟持することができる。
上記実施形態では、キャベツ等の結球野菜を搬送する搬送装置100に、本発明に係る結合Vベルト1を使用した形態について説明したが、本発明に係る結合Vベルト1は、長さがあるネギや、茎葉を含むダイコンやニンジン等を搬送する搬送装置200に使用してもよい(図9、図10参照)。
上記実施形態では、突起部13の底部の幅Wと、Vベルト11Aの上幅UW及びVベルト11Bの上幅UWの合計幅TWとがおよそ同じ幅(長さ)になるようにしている。これは、突起部13の底部の幅Wが、結合Vベルト1の一方の端部側に並列された複数のVベルト11の上幅UWの合計幅TW以下であればよいとする趣旨である(突起部14も同様)。従って、図8(A)に示すように、結合Vベルト1の一方の端部側に、3つのVベルト11A・Vベルト11B・Vベルト11Eを並列させ、突起部13の底部の幅Wが、3つのVベルト11A・Vベルト11B・Vベルト11Eの上幅UWの合計幅TWよりも小さくなるように構成してもよい(なお、結合Vベルト1の他方の端部側には、3つのVベルト11F・Vベルト11C・Vベルト11Dを並列させている)。図8(A)に示す構成によれば、結合Vベルト1のより安定した走行が可能になる。
1)2本の結合Vベルトに速度差(スリップの差異)が生じないかを評価するために、ネギの搬送中に、速度差(スリップの差異)が発生した場合「あり」と判断し、速度差が発生しなかった場合「なし」と判断した。
2)上下の突起部13・突起部14と突起部13´・突起部14´とでネギ(搬送物)を挟持できているかを評価するために、100個のネギを搬送した結果、挟持できなかったネギの個数をカウントした。
3)ネギの肩揃え(ネギの挟持位置が揃う)が出来ているかを評価するために、100個のネギを搬送した結果、ネギの肩揃えが出来ていなかったネギの個数をカウントした。
4)ネギを搬送途中で位置ズレを起すことなく搬送できたかを評価するために、100個のネギを搬送した結果、位置ズレを起したネギの個数をカウントした。
5)ネギを搬送途中で落とすことなく最終位置まで搬送できたかを評価するために、100個のネギを搬送した結果、搬送途中で落としたネギの個数をカウントした。
6)ネギを挟持することで破損(押し潰す)することはないかを評価するために、100個のネギを搬送した結果、破損したネギの個数をカウントした。
7)ネギが突起部13・突起部14及び突起部13´・突起部14´によって汚れることはないかを評価するために、100個のネギを搬送した結果、汚れたネギの個数をカウントした。
8)ネギの太さ(径)の差異で前後のネギが落下しないかを評価するために、100個のネギを搬送した結果、落下したネギの個数をカウントした。
上記1)の評価項目で「なし」と判断され、2)~8)の評価項目全てで、カウントされた個数が3個未満(3%未満)の場合、「◎」と判定した。また、上記1)の評価項目で「なし」と判断され、2)~8)の評価項目で、カウントされた個数が3個~6個未満(3%以上、6%未満)となる評価項目があった場合、「〇」と判定した。また、上記1)の評価項目で「あり」と判断されるか、又は、2)~8)の評価項目で、カウントされた個数が6個以上(6%以上)となる評価項目があった場合、「×」と判定した。そして、判定結果を表6にまとめた。
[原材料]
クロロプレンゴム:電気化学工業 (株)製「PM-40」
酸化マグネシウム:協和化学工業(株)製「キョーワマグ30」
ステアリン酸:日油(株)製「ステアリン酸つばき」
老化防止剤:精工化学(株)製「ノンフレックスOD-3」
カーボンブラック:東海カーボン(株)製「シースト3」
可塑剤:ADEKA(株)製「RS-700」
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製「ノクセラーTT」
酸化亜鉛:正同化学工業(株)製「酸化亜鉛3種」
一方、比較例1のように、目付量が90~870g/m2、厚みが0.03~0.24mmの条件を満たしていなければ、上記評価結果の8個の評価項目を満足できない(判定が「×」)ことがわかった。
一方、比較例2のように、目付量が200~300g/m2、厚みが0.05~0.09mmの条件を満たしていなければ、上記評価結果の8個の評価項目を満足できない(判定が「×」)ことがわかった。
2 駆動プーリ
3 従動プーリ
11 Vベルト
12 タイバンド層
121 補強布
122 接着層
13・14 突起部
131・141 垂直面
132・142 傾斜面
100 搬送装置
Claims (8)
- ベルト幅方向に並設された、複数のVベルトと、
前記複数のVベルトの背面側に配置され、前記複数のVベルトを前記ベルト幅方向に結合するタイバンド層と、を備え、
前記タイバンド層の背面側に、対向する少なくとも一対の突起部が配置されており、
前記対向する少なくとも一対の突起部は、互いに対向する側に、前記タイバンド層に対して傾斜した傾斜面を有しており、
前記突起部は、前記タイバンド層を介して、前記並設された複数のVベルトに対向する位置に配置され、前記突起部の底部の幅は、前記並設された複数のVベルトの上幅の合計幅以下であることを特徴とする、結合Vベルト。 - 前記対向する一対の突起部は、互いに対向する側に、前記タイバンド層に対して垂直な垂直面を有していることを特徴とする、請求項1に記載の結合Vベルト。
- 前記突起部は、ゴム成分を含み、硬度がA35~A65の範囲内にあることを特徴とする、請求項1又は2に記載の結合Vベルト。
- 前記突起部の表面には、凹凸形状の模様が形成されていることを特徴とする、請求項1~3の何れかに記載の結合Vベルト。
- 前記タイバンド層は、二方向の繊維束が交差するように配列された、二方向繊維シートを有することを特徴とする、請求項1~4の何れかに記載の結合Vベルト。
- 前記二方向繊維シートにおいて、一方の前記繊維束は、前記ベルト幅方向に配列されており、他方の前記繊維束は、ベルト周方向に配列されていることを特徴とする、請求項5に記載の結合Vベルト。
- 前記二方向繊維シートにおいて、前記二方向の繊維束がともに、ベルト周方向に対して傾斜角度を有するように配列されていることを特徴とする、請求項5に記載の結合Vベルト。
- 前記二方向繊維シートは、アラミドシート又はカーボンシートであり、
前記アラミドシートの場合は、目付量が90~870g/m2、引張強度が2060N/mm2以上、厚みが0.03~0.24mmの条件を満たし、
前記カーボンシートの場合は、目付量が200~300g/m2、引張強度が2900N/mm2以上、厚みが0.05~0.09mmの条件を満たすことを特徴とする、請求項5~7の何れかに記載の結合Vベルト。
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