JP3031283B2 - 対称積層型圧電セラミックトランス - Google Patents

対称積層型圧電セラミックトランス

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JP3031283B2
JP3031283B2 JP9099151A JP9915197A JP3031283B2 JP 3031283 B2 JP3031283 B2 JP 3031283B2 JP 9099151 A JP9099151 A JP 9099151A JP 9915197 A JP9915197 A JP 9915197A JP 3031283 B2 JP3031283 B2 JP 3031283B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ノート型パーソナ
ルコンピュータや情報携帯端末あるいは車載用モニター
などに用いられる液晶表示パネルの冷陰極管バックライ
ト用のインバータ回路、民生製品一般に用いられるアダ
プタ電源回路、その他、電子複写機用の高圧発生回路等
に用いられる圧電セラミックトランスに関し、特に、大
きな変圧比が得られる積層構造の圧電セラミックトラン
スに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ノート型パーソナルコンピュータ
や情報情報携帯端末等の液晶パネル用バックライトイン
バータなど、入力に対して高電圧の出力を必要とする電
源回路の変圧素子として、また電子装置のスイッチング
電源など小型化を実現するために高周波で駆動を必要と
する電源回路の変圧素子として、圧電効果を応用した圧
電セラミックトランスの開発が行われている。この圧電
セラミックトランスは、変圧素子として従来多用されて
きた電磁トランスに比して、高効率でかつ小型・薄型化
が容易であること、材料がセラミックであるので不燃性
であること、機械振動を変換エネルギーとするので漏れ
磁束がなく低電磁ノイズであることなどの特長を備えて
いる。
【0003】ここで、圧電セラミックトランスは、素子
の外表面のみに電極が形成される単板型と、素子の内層
にも電極(内部電極)を形成した積層型とに分けられ
る。特に、積層型圧電セラミックトランスは、内部電極
を外表面に関りなく形成できるので、入力もしくは出力
のインピーダンスが素子の外形、寸法に制約されず、単
板型と比較して自由度のある設計ができる。このことか
ら、駆動部(入力側)に対する発電部(出力側)の電圧
比(昇圧比)をより大きくできるという長所がある。入
・出力のインピーダンスを逆にすれば、電圧比をより小
さくできる(降圧比を大きくできる)。
【0004】このような特長を持つ積層型圧電セラミッ
クトランスの一例(従来例1)が、特開平5−2354
32号公報(以後、第1の公報という)に開示されてい
る。図7は、上記第1の公報による積層型圧電セラミッ
クトランスの構成を示す図である。図7を参照して、圧
電セラミックトランス70は、内部電極層と圧電セラミ
ック層とが交互に積み重ねられた積層構造をなしてお
り、積層方向の上下に一つずつ計二つの低インピーダン
ス部71U,71Bを備えている。それら二つの低イン
ピーダンス部に挟まれた中間部分は、一つの高インピー
ダンス部72となっている。低インピーダンス部71
U,71Bでは、内部電極層73と圧電セラミック層7
8,76とが、内部電極層73を圧電セラミック層7
8,76で挟むようにして、交互に積層されている。高
インピーダンス部72では、上下二つの内部電極層74
の間に、圧電セラミック層77が挟まれている。そし
て、低インピーダンス部71U,71Bそれぞれと高イ
ンピーダンス部72との間には、絶縁板75,75が設
けられている。又、積層方向の最上層と最下層に、周波
数調整層としての圧電セラミック層79,79が設けら
れている。
【0005】図8に、上記従来例1の積層型圧電セラミ
ックトランスの、入・出力の結線状態と各圧電セラミッ
ク層の分極方向(図8(a))、振幅分布(図8
(b))及び応力分布(図8(c))を示す。図8を参
照すると、この圧電トランスでは、低インピーダンス部
71U,71B内の、内部電極層73に挟まれる各圧電
セラミック層76,78が、図中に矢印で示すように、
厚み方向(積層の方向)で互いに逆向きに分極されてい
る。一方、高インピーダンス部72においては、上下二
つの内部電極層74に挟まれる圧電セラミック層77
は、図中に矢印で示すように、厚み方向に分極されてい
る。
【0006】このように構成した圧電セラミックトラン
ス70は、高インピーダンス部72の一方の内部電極層
74に接続された電気端子82と他方の内部電極層74
に接続された電気端子83との間に、素子の厚み縦振動
の共振周波数に等しい周波数の交流電圧を印加すると、
逆圧電効果により高インピーダンス部72の分極方向に
機械的歪みが発生し、素子全体に共振による振動が生じ
る。その共振時の振幅分布を図8(b)に、又、応力分
布を図8(c)に示す。低インピーダンス部71U,7
1Bにおいては、上記素子全体の共振に応じて分極方向
に発生した機械的歪みに基づき、圧電効果により、隣り
合う内部電極層73,73間に電位差が生じるので、そ
の電位差を、電気端子80,81間から取り出すことが
できる。尚、上述の例では、入力側と出力側のインピー
ダンスの違いにより、出力電圧は入力電圧より低い電圧
に変換されるが、入力を低インピーダンス部、出力を高
インピーダンス部というふうに、これまで述べたとは反
対の関係で駆動すれば、逆に、低入力電圧を高出力電圧
に変換できる。
【0007】従来の積層型圧電セラミックトランスの他
の例(従来例2)が、特開平5−235434号公報
(以下、第2の公報という)に開示されている。図9
は、上記第2の公報による積層型の圧電セラミックトラ
ンスの構成を示す図である。図9を参照すると、従来例
2の圧電セラミックトランスは、複数の内部電極層と圧
電セラミック層とを交互に積層した、積層構造のもので
ある。積層体は、下から順に、高インピーダンス部92
と、それに続く二つの低インピーダンス部91M,91
Uからなる。高インピーダンス部92は、上下二つの内
部電極層94,94とそれら二つの電極層に挟まれた圧
電セラミック層97とからなる。低インピーダンス部9
1M,91Uでは、内部電極層93と圧電セラミック層
96,98とが、内部電極層93を圧電セラミック層9
6,98で挟むようにして、交互に積層されている。そ
して、高インピーダンス部92と積層体の中央部に位置
する低インピーダンス部91Mとの間および低インピー
ダンス91M,91Uどうしの間に、絶縁板95が介挿
されている。又、積層体の最上層と最下層に、周波数調
整層としての圧電セラミック層99,99が設けられて
いる。
【0008】このように構成した圧電セラミックトラン
スは、先に述べた従来例1におけると同様に、高インピ
ーダンス部92を入力側、低インピーダンス部91U,
91Mを出力側にすると、入力側と出力側とのインピー
ダンスの違いにより、入力電圧をより低い出力電圧に変
換する。逆に、低インピーダンス部91U,91Mを入
力側、高インピーダンス部92を出力側として駆動すれ
ば、低い入力電圧を高い出力電圧に変換できる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の技術による積層構造の圧電セラミックトランス
には、いくつかの問題点がある。第1の問題は、高イン
ピーダンス部から高電圧の出力電圧を取り出し又はこれ
に高い電圧を入力したりするのに、限界があることであ
る。これは、低インピーダンス部の内部電極層と高イン
ピーダンス部の内部電極層とが近接しており、両内部電
極層間に加わる高電圧に対して充分な絶縁距離を確保で
きないからである。逆に、絶縁距離を確保するために素
子の(積層方向の)厚みに対して絶縁板の厚さを厚くす
ると、圧電体として不活性な領域が増えるため、圧電セ
ラミックトランスの変換効率が低下してしまう。
【0010】第2の問題は、駆動時に素子の振動状態を
阻害することのないような素子の保持(実装)ができ
ず、変換効率が低下してしまうことである。一般に、素
子の保持は、振動のノードを含む領域で行うのが最適と
されている。しかし、上に述べた従来の圧電セラミック
トランスはいずれも、厚み方向の縦振動モードで動作す
ることから、そのノード領域は素子の厚み方向に存在し
ている。ところが、従来の圧電セラミックトランスは非
常に薄いので、ノード領域のみでの実装は困難であり、
どうしても実装構造が素子の振動を阻害し、トランスと
しての変換効率が低下してしまうのである。その上、高
インピーダンス部では内部電極層が素子の振動のノード
に位置しないので、内部電極層と外部の電気端子との接
続構造も素子の振動を阻害してしまう。
【0011】このように、従来の圧電セラミックトラン
スには、高電圧の取り扱いを保証するための絶縁距離の
確保が困難で、変換素子として必要な充分な変圧比を得
ることができない、実装構造に起因する効率低下が避け
られず延いては接続の信頼性が十分でないなどの問題が
ある。
【0012】本発明は、上記従来の技術による圧電セラ
ミックトランスの問題点に鑑みてなされたものであっ
て、高電圧を発生させ又は入力するために、高インピー
ダンス部の内部電極層と低インピーダンス部の内部電極
層との間に充分な絶縁距離を確保すること及び、変換素
子としての充分な変圧比が得られる状態での駆動を可能
にすると共に接続の信頼性を高めるために、素子の振動
を阻害することのない接続構造を実現することにより、
高効率で、高電圧を取り扱うことが可能であり、しかも
接続の信頼性に優れた積層型の圧電セラミックトランス
とを提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の対称積層型圧電
セラミックトランスは、形状が直方体で、その直方体が
長辺方向に沿って、両端に位置する二つの低インピーダ
ンス部と、前記二つの低インピーダンス部に挟まれた一
つの高インピーダンス部とに区分され、各各の前記低イ
ンピーダンス部は、薄板状の内部電極層と薄板状の圧電
セラミック層とが前記直方体の長辺方向に交互に積層さ
れた構造であり、前記高インピーダンス部は、一つの薄
板状の内部電極層とこれを挟んで対置する二つの板状の
圧電セラッミク層とからなる、前記直方体の長辺方向に
積層された構造であるとともに、前記低インピーダンス
部内の前記高インピーダンス部に最近の内部電極層と前
記高インピーダンス部内の内部電極層との間の距離が、
前記低インピーダンス部内の互いに隣り合う各各の内部
電極層間の距離よりも大なることを特徴とする。
【0014】又、本発明の対称積層型圧電セラミックト
ランスは、上記の圧電セラミックトランスにおいて、前
記高インピーダンス部内の内部電極層が、前記直方体の
長辺の中央に位置することを特徴とする。
【0015】本発明の対称積層型圧電セラミックトラン
スは、複数の内部電極層と圧電セラミック層とが交互に
積層された積層構造である。従って、圧電セラミック層
の分極方向は全て積層方向でしかも素子のバルク中にお
いても分極が均一であり、圧電トランスとして動作させ
るときの振動阻害がなく、高効率な動作ができる。各圧
電セラミック層の分極方向と圧電セラミックトランスと
して動作させるときの長さ方向の縦振動のモードとが一
致しているので、圧電セラミックトランスに与える(入
力する)電気的なエネルギー対して機械的に変換される
エネルギーを大きくすることができ、大きな変圧比を得
ることができる。
【0016】本発明の対称積層型圧電セラミックトラン
スにおいては、高インーピダンス部の内部電極層が、積
層体の長辺(積層方向)に対して高インピーダンス部の
中央に位置している。その高インピーダンス部中央の内
部電極層から高圧の出力電圧を取り出し又はその内部電
極層に高電圧を入力できるので、高電圧の入・出力に対
する絶縁距離を従来に比べて十分大きくできる。
【0017】そして、素子の振動モードが積層体の長辺
方向となるので、素子の振動ノードで素子を保持する領
域を容易に確保できる。その結果、素子に生じる振動を
阻害しない、つまり効率低下を伴わない実装ができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
いて、三つの実施例を用い、図面を参照して説明する。
【0019】(実施例1)図1〜図3は、本発明の第1
の実施例(実施例1)による対称積層型圧電セラミック
トランスを示す模式図である。図1(a)は、本実施例
の模式的斜視図を示し、図1(b)は、図1(a)中の
A1−A2切断線に沿った模式的断面図を示す。図1
(a)を参照して、圧電セラミックトランス10は平板
状の直方体であって、直方体の長辺に沿って、両端側に
位置する二つの低インピーダンス部11L,11Rと、
それら二つの低インピーダンス部に挟まれた一つの高イ
ンピーダンス部12とが、等間隔で並んでいる。
【0020】低インピーダンス部11L,11Rにおい
ては、内部電極層13A,13Bと圧電セラミック層1
4とが、交互に、長辺方向に一定の間隔で積層されてい
る。一方、高インピーダンス層12には、直方体の長辺
の中央に当たる位置に、内部電極層15が配設されてい
る。そして、その内部電極層15を挟んで、低インピー
ダンス11L側と低インピーダンス11R側に各一つず
つ配置された二つの圧電セラミック層14,14が対置
している。各内部電極層13A,13B,15は、図1
(b)に示すように、圧電セラミックトランス10の長
辺に沿う軸を法線とする平面状に形成されている。尚、
各低インピーダンス部11L,11Rの圧電セラミック
層の積層数は、変換素子として必要とされる変圧比によ
って決まるので、適宜、調整する。
【0021】ここで、各圧電セラミック層の分極方向つ
いて説明する。図2(a)は、本実施例における圧電セ
ラミック層の分極方向を示す平面図である。図2(b)
は、図2(a)中のA1−A2切断線での断面図であ
る。図2(a)を参照して、本実施例による圧電セラミ
ックトランスの低インピーダンス部には、内部電極層1
3Aをグランド電位とし内部電極層13Bを高電位にす
ることで、図示するような、長辺方向で互いに逆向きの
分極21A,21Bが、交互に得られる。一方、高イン
ピーダンス部12には、内部電極層13Aをグランド電
位とし、中央の内部電極層15を高電位にすることによ
り、図示するような、長辺方向で違いに逆向きの分極2
2A,22Bが得られる。尚、上述の分極方向は一例で
あって、それぞれの内部電極層に対して、図示した向き
とは全く逆向きになるように分極しても、何ら問題な
い。圧電セラミックトランス内部の分極状態は、図2
(a),(b)に図示するように、セラミック層14の
各層が、それぞれ、長辺方向に沿って面内均一に分極さ
れた状態にある。そして、トランス全体として見たとき
の分極は、高インピーダンス部12中央の内部電極層1
5に関して対称となっている。
【0022】次に、図3に、本実施例における電気的結
線状態を、模式的に示す。電気的結線をこの図に示すよ
うにすると、例えば、駆動側(入力側)電圧として、素
子の長辺に対して縦振動3/2波長モードの共振を生じ
させるような周波数の交流電圧を、低インピーダンス部
11L,11Rの引出し線30,31間に加えると、逆
圧電効果により、低インピーダンス部11L,11Rの
分極方向に機械的歪みが発生する。その結果、素子全体
に共振による振動が生じる。高インピーダンス部12に
は、上記素子全体の振動により分極方向に発生した機械
的歪みにより、圧電効果で、中央の内部電極層15とこ
れに最近の内部電極層13A,13Aとの間に電位差が
生じる。その電位差を引出し線30,32の間から、出
力電圧として取り出すことができる。上述の例では、入
力側と出力側のインピーダンスの違いにより、入力電圧
をそれより高い出力電圧に変換(昇圧)する。その際、
高電圧が発生する内部電極層線15は、高インピーダン
ス部12の中央に位置するので、グランド電位側の内部
電極層13Aとの間に充分な絶縁耐圧距離を確保でき
る。尚、高インピーダンス部12を駆動(入力側)と
し、低インピーダンス部11L,11Rを発電(出力
側)とすれば、上述したとは逆に、高い入力電圧をそれ
より低い出力電圧に変換(降圧)できる。
【0023】以下に、本実施例による対称積層型圧電セ
ラミックトランスの具体的な構造および製造方法につい
て、説明する。本実施例では、圧電セラミックシートに
内部電極層をスクリーン印刷し、その内部電極層印刷済
みの各圧電セラミックシートを重ね合わせて積層体を形
成し、一体焼結(焼成)するという、いわゆるグリーン
シート積層法により圧電セラミックトランスを製造し
た。圧電セラミック材料には、PZT(PbZrO3
PbTiO3 )系の材料(商品名:ネペック8、(株)
トーキン製)を用いた。内部電極層の材料には、Ag・
Pd合金もしくはPt系の導電性ペースト材を用いた。
焼結後の素子のサイズは、長さ42mm、幅5.5m
m、厚さ1.4mmとした。また、低インピーダンス部
11L,11Rの積層構造は、圧電セラミック層の各層
の積層方向(素子の長辺方向)の厚みが約250μm、
内部電極層の各層の厚みが約5μmになるように調整し
た。一方、高インピーダンス層12の積層構造は、圧電
セラミック層の各層の積層方向の厚みが約7mm、内部
電極層の各層の厚みが約5μmになるように調整した。
高インピーダンス部12の圧電セラミック層の厚みが低
インピーダンス部のそれと比較して非常に大きい(約2
8倍)が、このような厚い圧電セラミック層は、内部電
極層を印刷しない圧電セラミックシートを積層すること
で製造した。
【0024】このようにして完成させた対称積層型圧電
セラミックトランスは、実際に駆動させるために、内部
電極層どうしを図3に示す状態に接続しまた外部と電気
的に接続させるのための電極(外部電極)が必要とな
る。図4(a)は、その外部電極の様子を示す斜視図で
ある。又、図4(b)は、図4(a)中のA1−A2切
断線に沿った断面図および、駆動時における素子の長辺
方向の縦振動の振幅を示す図である。図4(c)は、図
4(a)中のB1−B2切断線に沿った断面図である。
図4(a)を参照して、圧電セラミックトランス10に
は、その上面に、内部電極層どうしを接続すると共に外
部との電気接続を行うための外部電極40U,41Uが
形成されている。二つの低インピーダンス部11L,1
1Rの外部電極40U,40Uはそれぞれ、素子の幅方
向の中心線(図中のA1−A2線)の位置で、各内部電
極層13Aと接続している。又、素子の下面にあって上
面の外部電極40Uに対向する位置には、隠れて見えな
いが、内部電極層13Bに接続する外部電極が形成され
ている。一方、高インピーダンス部12にあっては、上
面の外部電極41Uが、素子中央の内部電極層15と、
素子の幅方向の中心線(図中のA1−A2線)の位置で
接続している。又、素子下面にあって上面の外部電極4
1Uに対向する位置には、隠れて見えないが、内部電極
層15に接続する外部電極が形成されている。上述した
各外部電極40U,41Uは、圧電セラミックシートの
積層体を一体焼結した後、スクリーン印刷でパターン印
刷し、再度焼成して形成している。各外部電極は、材料
にAg・Pd合金の導電性ペーストを用い、厚みは10
μmである。低インピーダンス部の外部電極40Uは、
パターン幅が約1mmの帯状であり、高インピーダンス
部の外部電極41Uは、1mm□である。
【0025】図4(b),(c)に示すように、低イン
ピーダンス部の内部電極層13A,13Bは、内部の電
極層が互いに電気的に分離するように、素子の上面また
は下面には露出しない構造となっている。ここで、本実
施例の圧電セラミックトランスを、図3に示した結線状
態で、長さ方向の3/2波長の縦振動モードで駆動させ
た場合、振動の振幅がゼロとなるノード42は、図4
(b)に示すように、素子の上面および下面に各3個所
ずつ存在する。そしてそれらのノードの位置は、低イン
ピーダンス部の外部電極40U及び、高インピーダンス
部の外部電極41Uの位置に一致している(但し、低イ
ンピーダンス部11L,11Rにおいては、各部の長辺
方向の中央の位置)。従って、素子の保持および外部と
の電気的接続構造を上記のノード42の位置に設けれ
ば、従来と比較して、素子の振動阻害による発熱や効率
低下のない信頼性の高い実装ができる。また、高電圧に
対する絶縁距離についてみれば、本実施例では高インピ
ーダンス部12の中央部の外部電極41U,41Bに高
電圧が生じるのであるが、隣接する外部電極40U及び
内部電極層13Aとは少なくとも6mm以上の距離があ
るので、数KVの高電圧を発生させても全く問題はな
い。
【0026】本実施例の対称積層型圧電セラミックトラ
ンスは、図3に示した結線状態で、低インピーダンス部
11L,11Rを駆動部(入力側)とし高インピーダン
ス部12を発電部(出力側)とし、又、出力負荷を10
0kΩの純抵抗負荷として、素子の長さ方向の縦振動3
/2波長の共振モードで駆動させた場合、入力電圧に対
する出力電圧の昇圧比は60以上、そのときの入力電力
に対する出力電力の変換効率は90%以上となり、高昇
圧比で高効率な動作を行うことが確認された。このとき
の入力側での電力は、3Wであった。
【0027】尚、本実施例に示した圧電セラミックトラ
ンスの昇圧比は、高インピーダンス部および低インピー
ダンス部の各電極間の静電容量に依存するので、圧電セ
ラミック層の厚みを変更することで任意に制御できる。
【0028】(実施例2)次に、本発明の第2の実施例
(実施例2)について説明する。図5(a)は、実施例
2の外観を模式的に示す斜視図である。図5(b)は、
図5(a)中のA1−A2切断線に沿った断面図および
駆動時における素子の長辺方向の縦振動の振幅を示す図
である。図5(c)は、図5(a)中のB1−B2切断
線に沿った断面図である。図5(d)は、図5(a)中
のC1−C2切断線に沿った断面図である。
【0029】図5(a)〜図5(d)に示すように、本
実施例では、低インピーダンス部の内部電極層13A
が、素子の上面で、一つの外部電極40Uに接続してい
る。そして、対向面側(素子の下面側)には内部電極層
13Bに接続する外部電極40Bが設けられているの
で、内部電極層13Aは、その下面側の外部電極40B
を逃げるようなパターンにされている。内部電極層13
Bも、同様に、素子上面側の外部電極40Uとの接触を
避けるようなパターンにされている。
【0030】本実施例のように構成すると、実施例1に
比較して低インピーダンス部の内部電極層13A,13
B間の分極ロスが少なくなるので、トランスとしての特
性を向上させることができる。実際に、内部電極層と外
部電極との逃げ量を0.3mm(素子の幅方向の量)と
して実施例1と同様の条件で評価したところ、入力電圧
に対する出力電圧の昇圧比は65以上、入力電力に対す
る出力電力の変換効率は92%以上となり、より高昇圧
比で高効率な動作をすることが確認できた。
【0031】(実施例3)次に、本発明の第3の実施例
(実施例3)について説明する。図6(a)は、実施例
3の外観を模式的に示す斜視図である。図6(b)は、
図6(a)中のA1−A2切断線に沿った断面図および
駆動時における素子の長辺方向の縦振動の振幅を示す図
である。図6(c)は、図6(a)中のB1−B2切断
線に沿った断面図である。図6(d)は、図6(a)中
のC1−C2切断線に沿った断面図である。
【0032】図6(a)〜図6(d)に示すように、本
実施例においては、低インピーダンス部の内部電極層1
3A,13Bを接続する外部電極40U,40Bの配線
幅をより狭くし、且つ素子の稜に寄せて設けている。
又、素子の保持と外部との接続のために、外部電極40
U,40Bとは別に、電極パッド50U,50Bを設け
ている。これにより、実施例2に比較して低インピーダ
ンス部の分極13A,13B間の分極ロスをさらに少な
くすることができ、トランスの特性を向上させることが
できる。実際に、外部電極40U,40Bの線幅を0.
2mm、内部電極層と外部電極との逃げ量を0.3mm
(素子の幅方向の量)として、実施例1と同様の条件で
評価したところ、入力電圧に対する出力電圧の昇圧比は
67以上、入力電力に対する出力電力の変換効率は9
2.5%以上となり、さらに高昇圧比で高効率な動作を
することが確認できた。
【0033】尚、内部電極層を接続するために素子の表
面に形成する外部電極は、高変圧比かつ高効率な動作を
実現するために、低インピーダンス部の内部電極層の有
効面積を大きくとれるパターンであれば、上述したこと
とは異なって、素子の上下面ではなく、左右の側面に設
けてもよい。又、それぞれの内部電極層を一つおきに接
続する二種類の外部電極は、素子の同じ一つの面上に設
けてもよい。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の対称積層
型圧電セラミックトランスは従来のものと比較して、以
下に列挙する作用効果を奏する。 (1)高インピーダンス部の内部電極層が直方体の素子
の長辺の中央の位置に形成されており、その高インピー
ダンス部中央の内部電極層を高電圧の入力または出力に
用いることができるので、高電圧の出力または入力に関
わる内部電極層に十分な絶縁距離を確保できる。 (2)又、絶縁距離確保のために従来高インピーダンス
部と低インピーダンス部との間などに配置されていた不
活性な絶縁板が不要になり、その絶縁板によって生じて
いた圧電セラミックトランスの振動阻害がなくなるの
で、電力変換効率を高め得るのみならず、高変圧比を得
ることができる。 (3)素子の振動モードが長さ方向であるので、素子を
その振動ノードで保持することが容易で、素子の振動の
阻害による発熱や効率低下のない、従って信頼性の高い
素子の実装が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による対称積層型圧電セラミックトラン
スの外観を模式的に示す斜視図及び、A1−A2切断線
に沿った断面図である。
【図2】本発明による対称積層型圧電セラミックトラン
スにおける各セラミック層の分極方向を示す平面図及
び、A1−A2切断面における分極方向を示す図であ
る。
【図3】本発明による対称積層型圧電セラミックトラン
スにおける内部電極の結線状態を示す平面図である。
【図4】本発明の実施例1の外観を模式的に示す斜視
図、A1−A2切断線に沿った断面図と駆動時における
素子の長辺方向の縦振動の振幅を示す図及びB1−B2
切断線に沿った断面図である。
【図5】本発明の実施例2の外観を模式的に示す斜視
図、A1−A2切断線に沿った断面図と駆動時における
素子の長辺方向の縦振動の振幅を示す図、B1−B2切
断線に沿った断面図及びC1−C2線に沿った断面図で
ある。
【図6】本発明の実施例3の外観を模式的に示す斜視
図、A1−A2切断線に沿った断面図と駆動時における
素子の長辺方向の縦振動の振幅を示す図、B1−B2切
断線に沿った断面図及びC1−C2線に沿った断面図で
ある。
【図7】従来例1の積層型圧電セラミックトランスの構
成を示す斜視図である。
【図8】従来例1の積層型圧電セラミックトランスの入
・出力の結線状態と各圧電セラミック層の分極方向を示
す平面図、動作状態での振動分布を示す図及び動作状態
での応力分布を示す図である。
【図9】従来例2の積層型圧電セラミックトランスの構
成を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 圧電セラミックトランス 11L,11R 低インピーダンス部 12 高インピーダンス部 13A,13B,15 内部電極層 14 圧電セラミック層 21A,21B,22A,22B 分極 30,31,32 引出し線 40U,40B,41U,41B 外部電極 42 ノード 50U,50B 電極パッド 70 圧電セラミックトランス 71U,71B,91M,91U 低インピーダンス
部 72,92 高インピーダンス部 73,74,93,94 内部電極層 75,95 絶縁板 76,77,78,79,96,97,98,99
圧電セラミック層 80,81,82,83 電気端子

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 形状が直方体で、その直方体が長辺方向
    に沿って、両端に位置する二つの低インピーダンス部
    と、前記二つの低インピーダンス部に挟まれた一つの高
    インピーダンス部とに区分され、各各の前記低インピー
    ダンス部は、薄板状の内部電極層と薄板状の圧電セラミ
    ック層とが前記直方体の長辺方向に交互に積層された構
    造であり、前記高インピーダンス部は、一つの薄板状の
    内部電極層とこれを挟んで対置する二つの板状の圧電セ
    ラッミク層とからなる、前記直方体の長辺方向に積層さ
    れた構造であるとともに、前記低インピーダンス部内の
    前記高インピーダンス部に最近の内部電極層と前記高イ
    ンピーダンス部内の内部電極層との間の距離が、前記低
    インピーダンス部内の互いに隣り合う各各の内部電極層
    間の距離よりも大なることを特徴とする対称積層型圧電
    セラミックトランス。
  2. 【請求項2】 前記高インピーダンス部内の内部電極層
    が、前記直方体の長辺の中央に位置することを特徴とす
    る、請求項1記載の対称積層型圧電セラミックトラン
    ス。
  3. 【請求項3】 前記低インピーダンス部を構成する各各
    の圧電セラミック層及び前記高インピーダンス部を構成
    する各各の圧電セラミック層は前記直方体の長辺方向に
    分極され、各各の低インピーダンス部及び高インピーダ
    ンス部では、各各の内部電極層を挟んで隣接する圧電セ
    ラミック層の分極の向きが互いに逆向きであること特徴
    とする、請求項記載の対称積層型圧電セラミックトラ
    ンス。
  4. 【請求項4】 前記低インピーダンス部の、前記直方体
    の長辺に平行な少なくとも一つの側面に、低インピーダ
    ンス部を構成する各各の内部電極層を互いに接続する電
    極を設けたことを特徴とする、請求項記載の対称積層
    型圧電セラミックトランス。
  5. 【請求項5】 前記低インピーダンス部及び前記高イン
    ピーダンス部の、前記直方体の長辺に平行な一側面およ
    びこれに対向する他の側面に存在する振動のノードを含
    む領域に、外部との接続のための電極を設けたことを特
    徴とする、請求項又は請求項記載の対称積層型圧電
    セラミックトランス。
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