JP3028231U - 木造建築物における耐震補強金具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 木造建築物において、地震や台風等により横
揺れや縦揺れ、或は横風を受けたとき、この木造建築物
の骨組みを構成する木材が交差する接合部分のホゾがホ
ゾ穴から抜けて骨組み全体が倒壊することを防止するた
めに用いる耐震補強金具を提供する。 【構成】 ボルト５で固定するＬ字形金具１を木造建築
物の骨組みを構成する木材２が交差する部分に当接させ
る。そしてＬ字形金具１の角部１ｃと両先端１ａ・１ｂ
を除く両直線部分を前記木材２に接触しないように浮き
上がらせて折り曲げ部１ｆ・１ｇを形成する。また前記
角部１ｃの内側面に補強用弾性体３を設ける。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、地震や台風等に襲われたとき、建築物、特に木造建築物の骨組みを 構成する基礎木材が崩れて家が倒壊しないように柱や梁、桁、土台等の相互の接 合部に取り付けて補強する耐震補強金具に関する。

【０００２】

【従来の技術】

近年、特に大都市では住宅用建築物として高層マンションが見られるようにな っており、この高層マンションでは単に鉄筋コンクリ−トを用いるだけではなく 種々の耐震構造を用いた建築物が増えている。このためこれらの建築物では大規 模地震や直下型地震等の被害があってもある程度耐えられるようになっている。 しかしながらわが国の建築物、特に住居用の建築物においては今でも上記高層マ ンションより木造建築物が主流である。

【０００３】 この木造建築物では、その骨組みを構成する木材、特に柱や梁、桁、土台等を 組み立てる場合、主としてホゾによる組み立てが広く採用されている。この組み 立ては比較的容易で安価にできる利点がある一方、引っ張り力に弱く、その接合 部に大きな力が加わるとその接合部がはずれて建築物全体が崩れてしまう欠点が ある。

【０００４】 特に昨年、阪神淡路大震災を契機に地震に対する備えを見直しており、木造家 屋が密集した都市部への直下型地震があったときにできるだけ被害を小さくする ための努力が求められている。 そこで、従来木造建築物の骨組みを構成する木材同士を接合したホゾとホゾ穴 との接合部に栓をしたり、杭を打ち込んだりしてその抜け止めを図るもの、ホゾ とホゾ穴に差し込んだ接合部にＬ字形の金属製連結具を取付け、強度を補強する もの等が知られている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしホゾとホゾ穴との接合部に栓をしたり、杭を打ち込んだりしたものはホ ゾがホゾ穴から抜け落ちるのをある程度は防止できるが、直下型地震や大地震等 のように建築物に極めて大きな力が短時間にかかる場合、ホゾ止めの効果も薄く 、特に木造家屋はその構造上、屋根等上方からの荷重を受ける柱が基本となる構 造であるから、上方からの荷重には極めて強いが、反面下方からの突き上げるよ うな力に対してはほとんど対処工法をしていないので、上下動を与える縦揺れに は弱く、このため直下型の地震等ではホゾとホゾ穴がはずれる等被害が大きくな る原因となっていた。

【０００６】 また接合部にＬ字形の金属製連結具を取付けた場合、その部分を完全に固定し てしまうため、小さな揺れ等には有効であるが、巨大地震や直下型地震において 極めて大きな力が一瞬にかかり、しかも力の方向が一定でなく上下左右、或は前 後に変化してかかって金属の強度以上に力がかかったとき、単なるＬ字形の金属 製連結具では弾性がなく、変形を戻す力がないので、耐えられず折れ曲がったり 、捩じれ曲がったりする欠点があった。

【０００７】 そこで本考案は上記に鑑み、大地震や直下型地震があって木造建築物の骨組み を構成する木材同士を接合したホゾとホゾ穴との接合部に大きな力が加わっても はずれることなく補強でき、また万一巨大な力が加わってもその弾性でもとに戻 るようにした木造建築物における耐震補強金具を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記目的を達成するために、木造建築物の骨組みを構成する木材が交 差する部分に当接させボルトで固定するＬ字形金具であって、その角部と両先端 を除く両直線部分を前記木材に接触しないように浮き上がらせて折り曲げ部を形 成すると共に、前記角部内側面に補強用弾性体を設けたものである。 補強用弾性体は、Ｌ字形金具を構成する両辺に別々の異なる方向の力が加わっ たとき、その弾性力によって元に復元するよう働く構造とし、例えば管体や両辺 をつなぐ補強弾性体とする。 また前記木材と当接するＬ字形金具の角部と両先端の裏面に耐緩衝材を取り付 けるとよい。 更にＬ字形金具のボルト取付け穴をボルトの径より数倍大きくすることが望ま しい。

【０００９】

【考案の実施の形態】

以下、図面を参照して本考案の実施例を説明する。 図１は本考案に係る木造建築物における耐震補強金具の斜視図である。 この図において符号１は木造建築物の骨組みを構成する木材２が縦横交差する 部分の双方に当接させるＬ字形の耐震補強金具である。この耐震補強金具１はＬ 字形を構成する縦横２辺１ａ・１ｂの角部１ｃと両端１ｄ・１ｅを除く直線部分 を木材２に接触しないように浮き上がらせて折り曲げ部１ｆ・１ｇが設けられて いる。

【００１０】 この折り曲げ部１ｆ・１ｇは前記木材２に接触せずに浮き上がった状態に保持 されているから、接合部に外部から大きな力が加わった場合、木材２の揺動と共 に折り曲げ部が完全には共振して揺動せず、木材の揺動する力を吸収するように 作用するという効果がある。

【００１１】 また耐震補強金具１のＬ字形を構成する縦横２辺１ａ・１ｂは等しい長さにし ても良いが、横辺１ｂを縦辺１ａに比べて長くすると（例えば横辺１ｂを約３８ cm、縦辺１ａを約３０cmとする等）、安定する利点がある。 また角部１ｃは略直角とし、この角部１ｃと縦横２辺１ａ・１ｂの両端１ｄ・ １ｅを除く折り曲げ部１ｆ・１ｇは前記木材２に接触しないように浮き上がらせ るが、その形状は図のように約１cmくらい持ち上げて台形状にして折り曲げ部１ ｆ・１ｇが元の縦横２辺１ａ・１ｂと略平行とするだけではなく、湾曲させたり 、弧状にすることも可能である。但し強度上図のような台形の形状が望ましい。

【００１２】 ３は耐震補強金具１の角部１ｃの内側面に設けた補強用弾性体で、地震等によ って木造家屋の木材接合や耐震補強金具１に大きな力が加わってもこの補強用弾 性体がその力を吸収すると共に、耐震補強金具１の縦横２辺１ａ・１ｂが左右前 後等別々の方向に瞬時に力が加わったとき、その形状を元に戻すための復元力と して役立つもので、図のような弾性管体や、或は図２のように三角弾性体３’を 接着させたもの等、力を吸収し、復元力に役立てばその形状は問わない。

【００１３】 ４は前記木材と当接するＬ字形金具の角部と両先端の裏面に取り付けた耐緩衝 材で、天然ゴム或は合成ゴムまたは合成樹脂等によって接着、または熱融着させ たもので、木材へ密接させて取付け固定するものである。 また耐震補強金具１には、縦横２辺１ａ・１ｂの適当な箇所に必要な個数のボ ルト穴１ｈを穿設し、ボルト５で前記木材２に固定するものである。

【００１４】 図３は木造家屋の骨組み段階を表す図で、この骨組みを構成する木材２が交差 する夫々の部分に本考案の耐震補強金具１の縦横各２辺１ａ・１ｂが当接するよ う取り付けたもので、木材２が交差するすべての部分に本案耐震補強金具１を用 いても良いが、図のように適当箇所に設置するだけで充分効果が得られるもので ある。

【００１５】 図４は図３に示した要部の拡大図、図５はその分解斜視図で、木材２のホゾ２ ａをホゾ穴２ｂに嵌合させて組み立て、本案耐震補強金具１の縦横２辺１ａ・１ ｂを夫々木材に当接させて、ボルト５で取り付け固定することを示している。 このように本考案の耐震補強金具１を取り付けておけば、 尚図１、図２に示すボルト穴１ｈは、ボルト５の直径と略同等としているが、 ボルト５の直径より２〜３倍位大きくしても良い。この場合、地震等によって木 材２が揺動し、それに固定されている耐震補強金具１が前後左右に動いてもボル ト穴１ｈが大きくて遊びがあるとその範囲内でボルト５に力が加わらず、ボルト が破損したり飛んだりして脱落するおそれがない利点がある。

【００１６】

【考案の効果】

本考案のＬ字形金具を木造建築物の骨組みを構成する木材が交差する接合部分 に取り付けたので、地震等があったとき、従来のようにホゾがホゾ穴から抜けて 崩れ、家屋の倒壊や屋根或は二階部分が崩落する等の危険を防止できる利点があ る。特に大規模地震や直下型地震では、揺れる方向が一定ではなく、左右前後に 大きく揺れるため種々の方向のホゾが抜けて崩れ大きな被害をもたらしていた。 ところが本考案の耐震補強金具を骨組みを構成する木材の接合部分に取り付けて おけば、骨組みが壊れないので従来のように家そのものが倒壊してその下敷きと なって災害に遭う等の被害を防止できる。 また本考案の耐震補強金具は、単に木材が交差する接合部分を固定して補強す るのではなく、その角部と両先端を除く両直線部分を木材に接触しないように折 り曲げ部を形成すると共に、前記角部内側面に補強用弾性体を設けたから、木材 に接合に大きな力が加わってもその力を吸収し、その弾性力で元に復元させる働 きがある等効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本考案に係る耐震補強金具の一実施例を
示す斜視図である。

【図２】図２は耐震補強金具の他の実施例を示す斜視図
である。

【図３】図３は木造家屋の骨組み段階を表す斜視図で、
この骨組みを構成する木材の交差する部分に本考案の耐
震補強金具を取り付けた例である。

【図４】図４は図３の要部の拡大斜視図である。

【図５】図５は図４の分解斜視図である。

【符号の説明】

１ 耐震補強金具 １ａ・１ｂ 縦辺 横辺 １ｃ 角部 １ｄ・１ｅ 先端 １ｆ・１ｇ 折り曲げ部 ２ 木材 ３ 補強用弾性体 ４ 耐緩衝材 ５ ボルト

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】木造建築物の骨組みを構成する木材が交差
   する部分に当接させボルトで固定するＬ字形金具であっ
   て、その角部と両先端を除く両直線部分を前記木材に接
   触しないように浮き上がらせて折り曲げ部を形成すると
   共に、前記角部内側面に補強用弾性体を設けたことを特
   徴とする木造建築物における耐震補強金具。
2. 【請求項２】前記木材と当接するＬ字形金具の角部と両
   先端の裏面に耐緩衝材を取り付けたことを特徴とする請
   求項１記載の木造建築物における耐震補強金具。
3. 【請求項３】Ｌ字形金具のボルト取付け穴をボルトの径
   より２〜３倍大きくしたことを特徴とする請求項１記載
   の木造建築物における耐震補強金具。