JP3026875U

JP3026875U - 雨水浄化・非常用水タンク

Info

Publication number: JP3026875U
Application number: JP1996000078U
Authority: JP
Inventors: 道夫西澤; 喜久雄湯本
Original assignee: ソーラーシステム株式会社
Priority date: 1996-01-17
Filing date: 1996-01-17
Publication date: 1996-07-23
Anticipated expiration: 2002-01-17

Abstract

(57)【要約】【課題】雨水を清浄でしかも水質的にも安全な水に浄
化できる経済性に優れる簡便な雨水浄化・非常用水タン
クを提供すること。【解決手段】タンク集水側に位置する，導水部６、沈
降部５およびろ過部７からなる沈殿ろ過槽１と、タンク
給水側に位置する，貯水部13と水質改良部15からなる水
質改良貯水槽２と、で構成された雨水浄化・非常用水タ
ンクであって、前記沈殿ろ過槽１を、下部の沈降部５に
おいて連結する導水部６とろ過部７とに画成し、前記導
水部６には、集水用樋３または生活用水排水管４を接続
すると共にゴミ取り用スクリーン８を内装せしめ、前記
ろ過部７には、開放下部から上方のオーバーフロー口９
に向けて、木炭層７と天然石ろ過材層８を順次に設けて
なり、そして、水質改良貯水槽２の外設した配水装置17
に臨んで設けられた水質改良部15には、着脱可能な１枚
以上の抗菌金属含浸多孔質板14を設けたことを特徴とす
る雨水浄化・非常用水タンクである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

この考案は、雨水などを浄化し、風呂やトイレなどに使われる生活用水として有効に利用したり、非常用水として貯水するために用いられる雨水浄化・非常用水タンクについての提案である。

【０００２】

【従来の技術】

従来、雨水の大半は、何ら利用される機会を経ずに、通常の生活用水と同様に側溝を通して下水に放流されるか、地中にそのまま浸透させていた。しかも、飲料以外の用途に対する生活用水については、上水道を使用するのが一般的であった。そのことは、生活用水全体についての経済性を考えた場合、非常に無駄が多いと言える。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

これに対し近年、水質が比較的に良好な雨水に着目し、それを集水してタンクに貯留し、トイレの洗浄水等の生活用水として有効に利用する技術が考案されている。しかしながら、屋根等に降って雨樋等に流入した雨水は、屋根の塵や埃のような汚濁物を洗い出してくるために、そのまま生活用水として利用するには問題がある。また、雨水は、農薬等の有害物質や雑菌等を含む場合があり、例えば風呂や洗濯などの生活用水としてそのまま利用するには問題がある。さらに、雨水は、強い酸性を示す場合もあり、このような酸性雨をそのまま生活用水として用いると、例えば、生活部材の腐食を招いたり、人体に悪影響をもたらすという問題がある。そのため、雨水を清浄でしかも水質的にも安全な水に浄化できる雨水の浄化処理装置の開発が求められている。

【０００４】そこでこの考案の目的は、雨水を生活用水として利用するときに起こる上述した各種問題を解消することにあり、特に、雨水または風呂水などに使用した生活用水を清浄でしかも水質的にも安全な水に浄化できる経済性に優れる簡便な雨水浄化・非常用水タンクを提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

考案者らは、上記目的実現に向け鋭意検討した結果、下記内容を要旨構成とする雨水浄化・非常用水タンクを完成するに至った。すなわち、上記の課題を解決するために、この考案の雨水浄化・非常用水タンクは、タンク集水側に位置する，導水部、沈降部およびろ過部からなる沈殿ろ過槽と、タンク給水側に位置する，貯水部と水質改良部からなる水質改良貯水槽と、で構成された雨水浄化・非常用水タンクであって、前記沈殿ろ過槽を、下部の沈降部において連結する導水部とろ過部とに画成し、前記導水部には、集水用樋または生活用水排水管を接続すると共にゴミ取り用スクリーンを内装せしめ、前記ろ過部には、開放下部から上方のオーバーフロー口に向けて、木炭層と天然石ろ過材層を順次に設けてなり、そして、水質改良貯水槽の外設した配水装置に臨んで設けられた水質改良部には、着脱可能な１枚以上の抗菌金属含浸多孔質板を設けた構成とした。

【０００６】なお、上記雨水浄化・非常用水タンクにおいて、上記天然石ろ過材層はゼオライトからなり、上記木炭層は活性炭からなり、上記抗菌金属含浸多孔質板は超微粒子状Agを含浸させた多孔質アルミニウム焼結体からなることが望ましい。また、上記雨水浄化・非常用水タンクにおいて、上記沈殿ろ過槽は、導水部上部にオーバーフロー口を設けること、集水側下部にドレン口を設け、該ドレン口に向けて槽の底面が下方傾斜してなる構造とすることが望ましく、上記ろ過部の開放下部には、パンチング金属板が設けられていることが望ましい。さらに、上記水質改良貯水槽は、給水側上部に水道水導入口を設けること、給水側上部にオーバーフロー口を設けること、水位を少なくとも上記水質改良部の上面に維持するためのフロートを設けること、給水口下方にドレン口を設け、該ドレン口に向けて槽の底面が下方傾斜してなる構造とすること、給水側にｐＨ検知器を設けることが望ましい。そしてさらに、タンク本体はステンレス鋼板からなり、タンク蓋はアルマイト処理した耐食アルミニウム板からなることが望ましい。

【０００７】

【考案の実施の形態】

上記構成にあるこの考案の雨水浄化・非常用水タンクでは、降雨に伴い集水用樋に流れ込んだ雨水、または生活用水排水管に流れ込んだ風呂水などに使用した生活用水は、沈殿ろ過槽において、まず、導水部に内装したゴミ取り用スクリーンを通過し、ここで大きなゴミ等が除去されたのち沈降部に流入し、ここで小さなゴミや土砂などの汚濁物が沈降作用によって除去されて一次浄化されたのち、この槽の上部給水側に設けたろ過部に流入する。次いで、ろ過部に流入した雨水等は、下層に位置する木炭層および上層に位置する天然石ろ過材層を順次に通過して二次浄化されたのち、ろ過部上方のオーバーフロー口を経て次の水質改良貯水槽に流入する。そして、水質改良貯水槽に流入した浄化水は、この槽の貯水部に貯水され、給水される際には、水質改良部の抗菌金属含浸多孔質板を浸透通過して三次浄化される。このようにして３段階の浄化を経て得られた清浄でしかも水質的にも安全な浄化水は、外設したポンプ等の配水装置を利用して、給水口から必要とする給水ポイントに適時供給することになる。

【０００８】これにより、従来、利用されることなくそのほとんどが放水されていた雨水または風呂水などの使用済生活用水を、主として飲料以外の用途に対する生活用水として、安全にかつ有効に利用することができるようになる。もちろん、この浄化水を煮沸消毒のうえ飲料とすることも、場合によっては可能である。

【０００９】

【実施例】以下、本考案の実施例を図面を用いて説明する。図１は、本考案にかかる雨水浄化・非常用水タンクの一実施例を示す正面略線図であり、図２は、その雨水浄化・非常用水タンクの平面略線図であり、図３は、その雨水浄化・非常用水タンクの側面略線図である。この図に示す本考案の雨水浄化・非常用水タンクは、ステンレス鋼板製のタンク本体内を、沈殿ろ過槽１と水質改良貯水槽２とに区画し、集水用樋３または生活用水排水管４から集水した雨水または使用済生活排水が前記各槽内を移動するように構成されている。そして、このような雨水浄化・非常用水タンクは、雨水等を浄化して風呂やトイレ、散水（洗車など）などの生活用水として供給したり、非常用水として貯水するものである。寒冷地および積雪地においては、ヒーター使用により融雪水の浄化貯水も可能である。なお、タンク本体は、耐久性、耐候性およびアオコ対策のために、光を透過しないステンレス鋼板（SUS304等）を用い、タンク蓋は、軽量化のために耐食アルミニウム材（アルマイト表面処理材）を用いることが望ましい。

【００１０】ここで、沈殿ろ過槽１は、下部の沈降部５において連結する導水部６とろ過部７とに画成され、前記導水部６には、集水用樋３または生活用水排水管４を接続すると共にゴミ取り用スクリーン８を内装せしめ、前記ろ過部７には、開放下部から上方のオーバーフロー口９に向けて、木炭層10と天然石ろ過材層11を順次に設けてなる。特に、前記木炭層10は活性炭からなり、前記天然石ろ過材層11はゼオライトからなることが望ましい。その理由は、活性炭とゼオライトを組み合わせることにより、有機物やアンモニア等を効果的にろ過できるからである。前記ろ過材は、パッケージ式になっており、その取換えは容易である。

【００１１】なお、この沈殿ろ過槽１の集水側下部には、沈降部５で沈殿した汚濁物（汚泥）を取り除くためのドレン口12を設け、この槽の底部が、前記ドレン口12に向けて下方傾斜した構造にすることが望ましい。また、この沈殿ろ過槽１の導水部上部にオーバーフロー口９を設けて、過剰の雨水等を排水するようにすることが望ましい。

【００１２】水質改良貯水槽２は、沈殿ろ過槽１のろ過部７上方のオーバーフロー口９を経て流入した浄化水を貯水したり、さらに水質改良するための槽であり、貯水部13 と、外設した配水装置17に臨んで槽下部給水側に設けられた水質改良部15とで構成され、前記水質改良部15には、着脱可能な１枚以上の抗菌金属含浸多孔質板14 が設けられている。特に、上記抗菌金属含浸多孔質板14は超微粒子状Agを含浸させた多孔質アルミニウム焼結体からなることが望ましい。その理由は、多孔質アルミニウム焼結体は脱塩素等の水の改質に有効であり、それに超微粒子状Agを含浸させた素材は抗菌性に優れるからである。

【００１３】なお、このような水質改良貯水槽２には、給水口近傍にｐＨ検知器16を設置することが望ましい。その理由は、雨水が強い酸性を示す場合に、それを上水の補給によって希釈し、より安全な浄化水とする必要があるからである。また、槽に取り付けたフロートにより水位不足が検知されると（雨水不足のときには）、非常用水確保のため、給水側上部に設けた水道水導入口から上水道の補充ができるようにすることが望ましい。その状態は、水位表示管等によって観察される。一方、水位が所定の位置より高くなると、給水側上部に設けたオーバーフロー口９を通して排水されるようにすることが望ましい。さらに、上記水質改良貯水槽２の水質改良部15の給水口下方には、沈殿物を取り除くためのドレン口12を設け、この槽の底部が、前記ドレン口12に向けて下方傾斜した構造にすることが望ましい。

【００１４】しかして集水用樋３または生活用水排水管４から沈殿ろ過槽１に流れ込んだ雨水等は、まず、ゴミ取り用スクリーン10を通して大きなゴミ等が除去されたのち沈降部６に流れ込み、ここで小さなゴミや土砂などの汚濁物が沈降作用によって除去されて一次浄化される。次いで、一次浄化された雨水等は、沈殿の上澄み液としてろ過部９に流れ込み、ここで二次浄化される。その後、二次浄化された雨水等は、ろ過部９上方のオーバーフロー口12を経て、ろ過液として次の水質改良貯水槽２の貯水部13に流入し貯水される。そしてさらに、水質改良貯水槽２の貯水部13に貯水された浄化水は、給水される際に、水質改良部15の抗菌金属製多孔質板14を浸透通過して三次浄化（水質改善と滅菌）される。このようにして生活用水として浄化された雨水等は、外設したポンプ等の配水装置17を利用して、給水口から所定の給水ポイントに供給される。

【００１５】

【考案の効果】

以上説明したようにこの考案によれば、雨水等を、飲料以外の用途に対する生活用水として有効に利用することができると共に、飲料としても利用できるほどに浄化された水として、供給するのに好都合な雨水浄化・非常用水タンクの安価な構造を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案実施例の雨水浄化・非常用水タンクを示
す正面略線図である。

【図２】図１に示す雨水浄化・非常用水タンクの平面略
線図である。

【図３】図１に示す雨水浄化・非常用水タンクの側面略
線図である。

【符号の説明】

１沈殿ろ過槽２水質改良貯水槽３集水用樋４生活用水排水管５沈降部６導水部７ろ過部８ゴミ取り用スクリーン９オーバーフロー口 10 木炭層 11 天然石ろ過材層 12 ドレン口 13 貯水部 14 抗菌金属含浸多孔質板 15 水質改良部 16 ｐＨ検知器 17 配水装置

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】タンク集水側に位置する，導水部、沈降
部およびろ過部からなる沈殿ろ過槽と、タンク給水側に
位置する，貯水部と水質改良部からなる水質改良貯水槽
と、で構成された雨水浄化・非常用水タンクであって、前記沈殿ろ過槽を、下部の沈降部において連結する導水
部とろ過部とに画成し、前記導水部には、集水用樋また
は生活用水排水管を接続すると共にゴミ取り用スクリー
ンを内装せしめ、前記ろ過部には、開放下部から上方の
オーバーフロー口に向けて、木炭層と天然石ろ過材層を
順次に設けてなり、そして、水質改良貯水槽の外設した配水装置に臨んで設
けられた水質改良部には、着脱可能な１枚以上の抗菌金
属含浸多孔質板を設けたことを特徴とする雨水浄化・非
常用水タンク。
【請求項２】上記天然石ろ過材層はゼオライトからな
り、上記木炭層は活性炭からなり、上記抗菌金属含浸多
孔質板は超微粒子状Agを含浸させた多孔質アルミニウム
焼結体からなることを特徴とする請求項１に記載の雨水
浄化・非常用水タンク。
【請求項３】上記沈殿ろ過槽の導水部上部には、オー
バーフロー口が設けられている請求項１に記載の雨水浄
化・非常用水タンク。
【請求項４】上記沈殿ろ過槽の集水側下部にはドレン
口が設けられ、このドレン口に向けて槽の底面が下方傾
斜している請求項１に記載の雨水浄化・非常用水タン
ク。
【請求項５】上記ろ過部の開放下部には、パンチング
金属板が設けられている請求項１に記載の雨水浄化・非
常用水タンク。
【請求項６】上記水質改良貯水槽の給水側上部には、
水道水導入口が設けられている請求項１に記載の雨水浄
化・非常用水タンク。
【請求項７】上記水質改良貯水槽の給水側上部には、
オーバーフロー口が設けられている請求項１に記載の雨
水浄化・非常用水タンク。
【請求項８】上記水質改良貯水槽には、水位を少なく
とも上記水質改良部の上面に維持するためのフロートが
設けられている請求項１に記載の雨水浄化・非常用水タ
ンク。
【請求項９】上記水質改良貯水槽の給水口下方にはド
レン口が設けられ、このドレン口に向けて槽の底面が下
方傾斜している請求項１に記載の雨水浄化・非常用水タ
ンク。
【請求項10】上記水質改良貯水槽の給水側には、ｐＨ
検知器が設けられている請求項１に記載の雨水浄化・非
常用水タンク。
【請求項11】タンク本体はステンレス鋼板からなり、
タンク蓋はアルマイト処理した耐食アルミニウム板から
なる請求項１に記載の雨水浄化・非常用水タンク。