JP3017741U - 雨水浄化タンク - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 雨水を清浄でしかも水質的にも安全な水に浄
化できる経済性に優れる簡便な雨水浄化タンクを提供す
ること。 【構成】 集水した雨水中の汚濁物を沈降させるための
沈降槽１と、多孔状無機質ろ過材層８および木炭層９を
配設してなるろ過槽２と、金属多孔質プレート10および
滅菌プレート11を配設してなる水質改良槽３とで構成し
た雨水浄化タンクであって、雨水集水用の雨樋４は、ゴ
ミ取り用スクリーン５を通して前記沈降槽１に接続さ
れ、この沈降槽１は、槽上部に設けたオーバーフロー口
を通して前記ろ過槽２に接続され、このろ過槽２は、槽
下部に設けた流出口を通して前記水質改良槽３に接続さ
れ、この水質改良槽３は、浄化した雨水を槽下部に設け
た流出口を通して給水ポイントに供給するための配水装
置12を接続したことを特徴とする雨水浄化タンクであ
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、雨水を浄化し、風呂やトイレなどに使われる生活用水として有効 に利用するために用いられる雨水浄化タンクの改良である。

【０００２】

【従来の技術】

従来、雨水の大半は、何ら利用される機会を経ずに、通常の生活用水と同様に 側溝を通して下水に放流されるか、地中にそのまま浸透させていた。しかも、飲 料以外の用途に対する生活用水については、上水道を使用するのが一般的であっ た。そのことは、生活用水全体についての経済性を考えた場合、非常に無駄が多 いと言える。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

これに対し近年、水質が比較的に良好な雨水に着目し、それを集水してタンク に貯留し、トイレの洗浄水等の生活用水として有効に利用する技術が考案されて いる。 しかしながら、屋根等に降って雨樋等に流入した雨水は、屋根の塵や埃のよう な汚濁物を洗い出してくるために、そのまま生活用水として利用するには問題が ある。 また、雨水は、農薬等の有害物質や雑菌等を含む場合があり、例えば風呂や洗 濯などの生活用水としてそのまま利用するには問題がある。 さらに、雨水は、強い酸性を示す場合もあり、このような酸性雨をそのまま生 活用水として用いると、例えば、生活部材の腐食を招いたり、人体に悪影響をも たらすという問題がある。 そのため、雨水を清浄でしかも水質的にも安全な水に浄化できる雨水の浄化処 理装置の開発が求められている。

【０００４】 そこでこの考案の目的は、雨水を生活用水として利用するときに起こる上述し た問題を解消することにあり、特に、雨水を清浄でしかも水質的にも安全な水に 浄化できる経済性に優れる簡便な雨水浄化タンクを提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

考案者らは、上記目的実現に向け鋭意検討した結果、下記内容を要旨構成とす る雨水浄化タンクを完成するに至った。 すなわち、上記の課題を解決するために、この考案の雨水浄化タンクは、集水 した雨水中の汚濁物を沈降させるための沈降槽と、多孔状無機質ろ過材層および 木炭層を配設してなるろ過槽と、金属多孔質プレートおよび滅菌プレートを配設 してなる水質改良槽とで構成した雨水浄化タンクであって、雨水集水用の雨樋は 、ゴミ取り用スクリーンを通して前記沈降槽に接続され、この沈降槽は、槽上部 に設けたオーバーフロー口を通して前記ろ過槽に接続され、このろ過槽は、槽下 部に設けた流出口を通して前記水質改良槽に接続され、この水質改良槽は、浄化 した雨水を槽下部に設けた流出口を通して給水ポイントに供給するための配水装 置を接続した構成とした。 そして、上記雨水浄化タンクにおいて、上記多孔状無機質ろ過材はガラスを主 成分とするハニカム構造の焼結体からなり、上記木炭は活性炭からなり、上記金 属多孔質プレートは多孔質アルミニウム焼結体からなり、上記滅菌プレートは超 微粒子状Agを含浸させた多孔質アルミニウム焼結体からなることが望ましい構成 である。 また、上記雨水浄化タンクにおいて、上記水質改良槽には、前記ろ過槽から流 入した水が上・下方向の移動を繰り返しながら流出口に達するように、一定間隔 を隔てて位置する１枚以上の金属多孔質プレートからなる水質改善部と一定間隔 を隔てて位置する１枚以上の滅菌プレートからなる殺菌部を設けた構成とするこ とが望ましい。 さらに、水質改良槽の流出口近傍にはｐＨ検知器を設置することが望ましい。

【０００６】

【作用】

上記構成にあるこの考案の雨水浄化タンクでは、降雨に伴い雨樋に流れ込んだ 雨水は、ゴミ取り用スクリーンに流入し、ここで大きなゴミ等が除去されたのち 沈降槽に流入し、ここで小さなゴミや土砂などの汚濁物が沈降作用によって除去 されて一次浄化されたのち、槽上部に設けたオーバーフロー口を通してろ過槽に 流入する。 次いで、ろ過槽に流入した雨水は、上層に位置する多孔状無機質ろ過材層およ び下層に位置する木炭層を順次に通過して二次浄化されたのち、槽下部に設けた 流出口を経て次の水質改良槽に流入する。 そして、水質改良槽に流入した雨水は、ここで金属多孔質プレートおよび滅菌 プレートに接触または浸透通過して三次浄化され、このようにして得られた清浄 でしかも水質的にも安全な浄化水は、ポンプ等を利用して必要とする給水ポイン トに適時供給することになる。 これにより、従来、利用されることなくそのほとんどが放水されていた雨水を 、主として飲料以外の用途に対する生活用水として、安全にかつ有効に利用する ことができるようになる。 もちろん、この浄化雨水を飲料とすることも、場合によっては可能である。

【０００７】

【実施例】

（実施例１） 以下、本考案の実施例を図面を用いて説明する。 図１は、本考案にかかる雨水浄化タンクの実施例を示す構成図である。 この図に示す本考案の雨水浄化タンクは、ステンレス製のタンク内を、沈降槽 １と、ろ過槽２と、水質改良槽３とに区画し、雨樋４から集水した雨水が前記各 槽内を移動するように構成されており、雨水を浄化して風呂やトイレ，洗車など に使われる生活用水として供給するものである。

【０００８】 ここで、沈降槽１は、雨樋４から集水した雨水を貯水して沈降作用によって小 さなゴミや土砂などの汚濁物を除去するための槽で、この槽に設置したゴミ取り 用スクリーン５を介して雨樋４に接続されている。このような沈降槽１は、槽上 部にオーバーフロー口７を設け、オーバーフローにより上澄み液がろ過槽２に流 れ込むような構成にある。なお、この槽の底部には、沈殿した汚濁物（汚泥）を 取り除くためのドレン口６が設けられている。

【０００９】 ろ過槽２は、沈降槽１からオーバーフローにより流入した雨水を浄化するため の槽で、上層に位置する多孔状無機質ろ過材層８と下層に位置する木炭層９を順 次に通過してろ過された雨水が、槽下部に設けた流出口を通して水質改良槽３に 流出するような構成にある。特に、上記多孔状無機質ろ過材はガラスを主成分と するハニカム構造の焼結体からなり、上記木炭は活性炭からなることが望ましい 構成である。その理由は、前記ろ過材と活性炭を組み合わせることにより、有機 物やアンモニア等を効果的にろ過できるからである。

【００１０】 水質改良槽３は、ろ過槽２から流入した雨水のろ過水を、金属多孔質プレート 10で水質改善し、さらに滅菌プレート11で殺菌するための槽で、槽下部に設けた 流出口を通して配水装置12に接続され、浄化した雨水を必要とする給水ポイント に供給するような構成にある。望ましくは、ろ過槽２から流入した水が上・下方 向の移動を繰り返しながら流出口に達するように、一定間隔を隔てて位置する１ 枚以上の金属多孔質プレート10からなる水質改善部と一定間隔を隔てて位置する １枚以上の滅菌プレート11からなる滅菌部を設けた構成にある。特に、上記金属 多孔質プレート10は多孔質アルミニウム焼結体からなり、上記滅菌プレート11は 超微粒子状Agを含浸させた多孔質アルミニウム焼結体からなることが望ましい。 その理由は、多孔質アルミニウム焼結体は脱塩素等の水の改質に有効であり、そ れに超微粒子状Agを含浸させた素材は抗菌性に優れるからである。 なお、このような水質改良槽３には、流出口近傍にｐＨ検知器13を設置するこ とが望ましい。その理由は、雨水が強い酸性を示す場合に、それを上水の補給に よって希釈し、より安全な浄化水とする必要があるからである。 また、槽上部に取り付けたフロートにより水位不足が検知されると、上水の補 充ができるようになっている。その状態は、水位表示管によって観察される。

【００１１】 しかして降雨に伴い雨樋４に流れ込んだ雨水は、ゴミ取り用スクリーン５を通 して大きなゴミ等が除去されたのち沈降槽１に溜められ、ここで小さなゴミや土 砂などの汚濁物が沈降作用によって除去されて一次浄化されたのち、槽上部から オーバーフローによりろ過槽２に流入する。 次いで、このろ過槽２において、一次浄化雨水は、多孔状無機質ろ過材層８お よび木炭層９を順次に通過して二次浄化されたのち、流出口を通じて水質改良槽 ３に流入する。 そして、この水質改良槽３において、二次浄化雨水は、金属多孔質プレート10 からなる水質改善部と滅菌プレート11からなる殺菌部とを経て三次浄化され、こ のようにして生活用水として浄化された雨水は、流出口を通して配水装置12によ り所定の給水ポイントに供給される。

【００１２】

【考案の効果】

以上説明したようにこの考案によれば、雨水を、飲料以外の用途に対する生活 用水として有効に利用することができると共に、飲料としても利用できるほどに 浄化された水として、供給するのに好都合な雨水浄化タンクの安価な構造を提供 することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案実施例の雨水浄化タンクを示す全体断面
図である。

【符号の説明】

１ 沈降槽 ２ ろ過槽 ３ 水質改良槽 ４ 雨樋 ５ ゴミ取り用スクリーン ６ ドレン口 ７ オーバーフロー口 ８ 多孔状無機質ろ過材層 ９ 木炭層 10 金属多孔質プレート 11 滅菌プレート 12 配水装置 13 ｐＨ検知器

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｂ０１Ｄ 39/00 Ｄ Ｃ０２Ｆ 1/50 ５１０ Ａ ５２０ Ｂ ５３１ Ｅ ５４０ Ｆ ５５０ Ｂ ５６０ Ｂ Ｚ Ｅ０３Ｂ 3/03 Ｂ

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 集水した雨水中の汚濁物を沈降させるた
   めの沈降槽と、多孔状無機質ろ過材層および木炭層を配
   設してなるろ過槽と、金属多孔質プレートおよび滅菌プ
   レートを配設してなる水質改良槽とで構成した雨水浄化
   タンクであって、 雨水集水用の雨樋は、ゴミ取り用スクリーンを通して前
   記沈降槽に接続され、 この沈降槽は、槽上部に設けたオーバーフロー口を通し
   て前記ろ過槽に接続され、 このろ過槽は、槽下部に設けた流出口を通して前記水質
   改良槽に接続され、 この水質改良槽は、浄化した雨水を槽下部に設けた流出
   口を通して給水ポイントに供給するための配水装置を接
   続したことを特徴とする雨水浄化タンク。
2. 【請求項２】 上記多孔状無機質ろ過材はガラスを主成
   分とするハニカム構造の焼結体からなり、上記木炭は活
   性炭からなり、上記金属多孔質プレートは多孔質アルミ
   ニウム焼結体からなり、上記滅菌プレートは超微粒子状
   Agを含浸させた多孔質アルミニウム焼結体からなること
   を特徴とする請求項１に記載の雨水浄化タンク。
3. 【請求項３】 上記水質改良槽には、前記ろ過槽から流
   入した水が上・下方向の移動を繰り返しながら流出口に
   達するように、一定間隔を隔てて位置する１枚以上の金
   属多孔質プレートからなる水質改善部と一定間隔を隔て
   て位置する１枚以上の滅菌プレートからなる殺菌部を設
   けたことを特徴とする請求項１または２に記載の雨水浄
   化タンク。
4. 【請求項４】 上記水質改良槽には、流出口近傍にｐＨ
   検知器を設置したことを特徴とする請求項１〜３のいず
   れかに記載の雨水浄化タンク。