JP3026858U - 遠赤外線フィルムを用いた温熱衣料品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 フィルム状に加工された遠赤外線セラミック
スからの遠赤外線による効果を最大に得ることができ、
特にその温熱効果の向上が図れ、衣料品としての構成を
簡単にすることができ、ファッション性に富んだ遠赤外
線フィルムを用いた温熱衣料品を提供する。 【解決手段】 遠赤外線フィルムを用いた温熱衣料品と
しての理美容キャップ１は、袋状に形成された表面素材
２と、裏地として用いられ同じく袋状に形成された遠赤
外線セラミックスでなるフィルム３とからなり、人体に
より近接した位置にて遠赤外線が放射されるので、遠赤
外線による効果を一層優れたものとでき、温熱効果は従
来に比べて顕著となる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、衣料品の裏地として、遠赤外線を放射するフィルムを用いた衣料品 に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、遠赤外線を放射するセラミックス（以下、遠赤外線セラミックスという 。）は、そのいわゆる遠赤外線の効果を得ることを目的として様々な形状に加工 して各種日用品の素材として用いられている。衣料品においても、遠赤外線セラ ミックスは、例えば、繊維に練り込まれて、布にコーティングされて、シート又 はフィルム状にされて、などの加工が施されて多種多様に使用されている。例え ば、上記遠赤外線セラミックスがシート又はフィルム状に加工されたものが用い られたものとしては、該遠赤外線セラミックスのシート又はフィルムが衣料品の 内部に挿入された理美容キャップ、サウナスーツなどがある。

【０００３】 これらの理美容キャップやサウナスーツは、ここでは詳細を省略するが遠赤外 線セラミックスの遠赤外線の効果の一つである温熱効果を利用して、すなわち理 美容キャップやサウナスーツを人体に着用することによって、体温の上昇を促し て発汗させる、新陳代謝の促進を図る、理美容キャップにおいては薬液の髪への 浸透効率の促進を図る、などの作用を奏することができる。これらの理美容キャ ップやサウナスーツの概略構成は、その表面素材の裏面側にシート又はフィルム 状に加工された遠赤外線セラミックスを縫合し、さらにシート又はフィルム状の 遠赤外線セラミックスの表面に裏地となる素材を縫合した３層（綿などを挿入し ているものは４層）構造としたものが多い。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記に示したものは、遠赤外線セラミックスのシート又はフィ ルムが表面素材と裏地との間に用いられているために、裏地によってその効果が 阻害されることがあるといった問題がある。つまり、上記のような効果を得る目 的で遠赤外線セラミックスのシート又はフィルムを用いているので、その遠赤外 線の効果が最大となることが好ましいのであるが、裏地が存在することによって 、遠赤外線セラミックスのシート又はフィルムから放射される遠赤外線のいくら かが削減されてしまい、効果が低くなってしまうのである。

【０００５】 本考案は、上記の問題を解決するためのものであり、フィルム状に加工された 遠赤外線セラミックスから放射される遠赤外線による効果を最大に得ることがで き、特にその温熱効果の向上が図れ、衣料品としての構成を簡単にすることがで き、ファッション性に富んだ遠赤外線フィルムを用いた温熱衣料品を提供するこ とを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するために、本考案の請求項１に係る遠赤外線フィルムを用 いた温熱衣料品は、衣料品の裏地として、遠赤外線を放射するフィルムを用い、 このフィルムからの遠赤外線の放射による温熱効果が向上するようにしたもので ある。

【０００７】 また、請求項２に係る遠赤外線フィルムを用いた温熱衣料品は、請求項１に記 載の衣料品において、遠赤外線を放射するフィルムと衣料品の表面素材との間に 、同じく遠赤外線を放射する繊維でなる綿を挿入したものである。

【０００８】

【考案の実施の形態】

請求項１の遠赤外線フィルムを用いた温熱衣料品は、フィルム状に加工した遠 赤外線セラミックスを裏地といて用い、その衣料品を着ることによって、フィル ムからの遠赤外線が人体に近接した位置にて放射される。これにより、遠赤外線 の温熱効果がもたらす、体温の上昇、発汗の促進、新陳代謝の促進、血行の促進 、など遠赤外線の優れた効果が顕著に現れる。

【０００９】 また、請求項２の遠赤外線フィルムを用いた温熱衣料品は、請求項１に記載の 遠赤外線を放射するフィルムと衣料品の表面素材との間に、同じく遠赤外線を放 射する繊維でなる綿を挿入したことにより、上記請求項１の温熱効果に加え、保 温性を向上させることができる。

【００１０】 なお、本考案の遠赤外線フィルムを用いた温熱衣料品は、衣料品の裏地として 遠赤外線を放射するフィルムを用いているので、肌に近接して遠赤外線を放射す るフィルムが配されることとなる。この場合の肌（皮膚）への影響、例えば、肌 あれなどの影響について、本出願人は、財団法人日本食品分析センター大阪支所 （以下、食品センターと記す）に依頼して「皮膚一次刺激性試験」を依頼した。 食品センターは、平成２年７月３日〜平成２年７月３０に亘って試験を実施した 。以下にその詳細を記す。

【００１１】 「皮膚一次刺激性試験」 （１）試験目的−供試品について、OECD化学物質毒性試験指針（1981）に準 拠し、皮膚一次刺激性試験を行う。 （２）供試品−セラミック入フィルム（遠赤外線を放射するフィルム） （３）試験動物−人体の皮膚状態に最も近い、日本白色種雄ウサギ（有限会 社市川屋生産）を用いた。 試験動物は、試験前に１週間以上の予備飼育を行い、健康な体重3.38〜3.47kg のウサギを３匹使用した。 試験動物は、室温２２±２℃で、照明時間１２時間／日に設定した飼育室に収 容し、個別に飼育した。 飼料は、ウサギ用の固型飼料（CR-3：日本クレア株式会社製）を給与し、飲料 水は、水道水を自由摂取させた。

【００１２】 （４）試験方法−各々の試験動物の体幹背部被毛を試験の約２４時間前に剪 毛し、試験動物１匹につき、約６cm² の面積で２か所を設定した。このうち１か 所の部位には真皮までは達しないように井の字状に角化層に擦り傷をつけ（有傷 皮膚）、他の部位を無処置（無傷皮膚）とした。有傷皮膚部位及び無傷皮膚部位 に２cm〜３cmに切断した供試品をそれぞれ２４時間貼付し、０．５mlの蒸留水で 湿潤し、貼付期間終了後に供試品を除去し、供試品の曝露面を蒸留水で清拭した 。そして、適用後の、１，２４，４８及び７２時間に観察を行い、下記の表１、 表２の評価ポイントに従って刺激反応の採点を併せて行った。なお、表３は、表 １、表２の評価ポイントに基づいた皮膚反応の評価結果を示したものである。

【００１３】

【表１】 〔評価ポイント〕 紅斑及び痂皮の形成 紅斑なし ──────────────────０ 非常に軽度な紅斑（かろうじて識別できる）───１ はっきりした紅斑───────────────２ 中等度ないし高度紅斑─────────────３ 高度紅斑からわずかな痂皮の形成（深部損傷）──４ 〔最高点：４〕

【００１４】

【表２】 〔評価ポイント〕 浮腫の形成 浮腫なし─────────────────────────０ 非常に軽度な浮腫（かろうじて識別できる）─────────１ 軽度浮腫（はっきりした膨隆による明確な縁が識別できる）──２ 中等度浮腫（約１mmの膨隆）────────────────３ 高度浮腫（１mm以上の膨隆と暴露範囲を越えた広がり）────４ 〔最高点：４〕

【００１５】

【表３】 〔皮膚反応の評価結果〕 皮膚反応 観察時間 試験動物１ 試験動物２ 試験動物３ ───────────────────────────────── １ ０ ０ ０ 紅斑・痂皮 ２４ ０ ０ ０ ４８ ０ ０ ０ ７２ ０ ０ ０ ───────────────────────────────── １ ０ ０ ０ 浮 腫 ２４ ０ ０ ０ ４８ ０ ０ ０ ７２ ０ ０ ０ ───────────────────────────────── 試験動物１の体重：3.45kg 試験動物２の体重：3.47kg 試験動物３の体重：3.38kg

【００１６】 （５）試験結果−以上のように、適用後７２時間の観察を行った結果、試験 動物１，２，３のそれぞれのいずれの部位においても皮膚刺激反応は何ら観察さ れなかった。この試験結果から、衣料品の裏地として遠赤外線を放射するフィル ムを用いた場合、該フィルムが人体の皮膚に近接した場合においても、肌あれな ど皮膚への悪影響はほとんどなく、安心して繰り返し何度でも使用することがで きることが判明した

【００１７】 また、その効果において、本出願人は、大阪府立産業技術総合研究所に依頼し て、温熱効果の試験を行っている。この試験は、室温約１８．６〜約１８．７℃ において、静止した状態の人体の顔面表面に直接、遠赤外線を放射するフィルム を約１２分間貼付し、貼付前の顔面表温度と、貼付後の顔面表温度とを比較する ものである。この結果、貼付前の顔面表温度が平均約３１．５℃（参考として参 考図（ａ）を添付）に対し、貼付後の顔面表温度は平均約３３．５℃であった（ 参考として参考図（ｂ）を添付）。また、温度の上昇が認められると共に発汗が 観察された。

【００１８】 上記の試験結果から、遠赤外線フィルムを人体の皮膚に直接に貼付することで 、皮膚の表面温度が上昇し、つまり温熱効果が得られ、さらに、皮膚の表面温度 の上昇に伴って発汗作用が促され、この発汗により新陳代謝が促進し、皮膚の老 廃物が排出されるといった美容効果があることが判明した。

【００１９】

【実施例】

以下に、本考案の実施例について図面を参照して説明する。 まず、請求項１に対応する第１実施例を図１乃至図３を参照して説明する。第 １実施例においては、遠赤外線フィルムを用いた温熱衣料品として理美容キャッ プを示す。なお、図１は理美容キャップの概略構成を示す図、図２は理美容キャ ップの断面図、図３は理美容キャップを使用した状態を示す図である。これらの 図において、理美容キャップ１は、平面の表面素材２と、裏地として用いられ同 じく平面のフィルム状に形成された遠赤外線セラミックスでなるフィルム３（以 下、単にフィルム３と記す）とを重ね合わせ、袋状に形成してなる。さらに、理 美容キャップ１は、これらの表面素材２とフィルム３とを重ね合わせて縫合し、 その袋状の開口部にゴム紐入りの伸縮ギャザー４を形成して、密閉性を高めてい る。なお、Ａ間における断面は図２に示すようになっている。

【００２０】 上記のように構成された理美容キャップ１は、図３に示すように、例えば、入 浴時において、髪の手入れを行うためにトリートメントなどをした際、頭部に被 る。この場合は、トリートメントなどの薬液を髪の内部へ速やかに浸透させるこ とができるという効果がある。この原理は、簡単に説明すると、遠赤外線の効果 の一つである温熱効果により、遠赤外線放射物質から放射された遠赤外線による 波長の強弱、つまり振動により熱が伝播し、対象物体に吸収されて対象物体の内 部で自己発熱を引き起こすといった作用による。そして、理美容キャップ１にお いては、頭部に被ることにより髪は内部から温められ、塗布されたトリートメン トなどの薬液も温められて髪への浸透が速やかに行われ、トリートメントを効率 よく行うことができ、フィルム３が理美容キャップ１の裏地として用いられてい るので、フィルム３からの遠赤外線が直接に髪及び頭部（人体）に放射され、そ の効果は最大に発揮され、従来に比べて遠赤外線による効果が顕著となる。

【００２１】 次に、請求項２に対応する第２実施例を図４及び図５を参照して説明する。第 ２実施例においては、遠赤外線フィルムを用いた温熱衣料品としてサウナスーツ を示す。なお、図４はサウナスーツの概略構成を示す図、図５はサウナスーツの 断面図である。これらの図において、サウナスーツ５は、上衣と下衣とが一体と されたつなぎ服であり、その前面中央部にはファスナー６が設けられ、このファ スナー６の開閉により着脱衣できるようになっている。さらに、サウナスーツ５ は、表面素材７と、裏地として使用される遠赤外線セラミックスでなるフィルム ８（以下、単にフィルム８と記す）とからなり、これらの表面素材７とフィルム ８との間には、遠赤外線セラミックスを練込んだ繊維でなる遠赤外線綿９が挿入 されている。また、サウナスーツ５は、襟口５ａ、袖口５ｂ、裾口５ｃに絞り加 工が施され、内部の気密性を保つように構成されている。なお、Ｂ間における断 面は図５に示すようになっている。

【００２２】 一般にサウナスーツは、使用者が着用することで、サウナ室に入ったように、 発汗による新陳代謝を促すものであるので、内部（体温による）の温度を速やか に上昇させることが必要となるが、この点において、上記構成によるサウナスー ツ５は、裏地となるフィルム７により上記第１実施例と同等の温熱効果を得るこ とができ、さらに、遠赤外線綿９を用いているので、裏地のフィルム７の温熱効 果に加えて遠赤外線綿９の温熱効果が加えられると共に、綿の保温機能との相乗 効果を得ることができる。従って、サウナスーツ５は、従来のものと比べ、その 内部での温度を短時間のうちに上昇させることができ、速やかに発汗させること ができ、新陳代謝の促進が行え、遠赤外線の温熱効果を最大に得ることができ、 サウナスーツ５をダイエットなどに用いた際にはより一層の効果を得ることがで きる。なお、この例では、上衣と下衣が一体となったものを示したが、それ以外 に、例えば、上衣と下衣とが分割されたもの、長い吊りズボンのものなど、その 形状は限定されず、種々の形状の衣料品に用いて好適であり、そのデザインの自 由度が高いので、ファッション性に富んだものとすることができる。

【００２３】 次に、本考案の遠赤外線フィルムを用いた温熱衣料品の他の実施例を図６を参 照して説明する。他の実施例では、遠赤外線フィルムを用いた温熱衣料品として 例えば、靴下カバーを示す。なお、図６は靴下カバーの概略構成を示す図である 。この図において、靴下カバー１０は、外表面を覆う表面素材１１とその裏面側 に裏地として縫合された遠赤外線セラミックスでなるフィルム１２（以下、単に フィルム１２と記す）とからなる。このような構成においては、請求項１に対応 する構成と同等である。なお、これら表面素材１１とフィルム１２との間に上述 のような遠赤外線綿９を挿入すれば、請求項２に対応する構成と同等となる。

【００２４】 上記構成の靴下カバー１０は、防寒用に靴下の上に履くことで上記第１実施例 に示したような効果が得られ、さらに、素足に履けば裏地のフィルム１２から放 射された遠赤外線が直接に人体に放射されて、踵のひび割れや皮膚の荒れなどが 治ってしまうという遠赤外線の温熱効果以外の他の効果が得られ、特に女性には 好都合である。

【００２５】 また、本考案の遠赤外線フィルムを用いた温熱衣料品は、衣料品であれば上記 第１、第２、他の実施例に限定されず、種々多様の変形が可能であり、例えば、 手袋、ジャンパー、ズボン、靴下、チョッキ、脚絆、膝当て、などの衣料品に使 用しても上記と同等の作用効果を得ることができる。また、本考案の遠赤外線フ ィルムを用いた温熱衣料品は、遠赤外線セラミックスがフィルム状に加工された もの、また、繊維に加工されて綿とされたものを使用しているので、衣料品を非 常に加工し易く、ミシン掛や裁縫などを行うのに何の支障もなく、また、フィル ム３，８，１２により丈夫な衣料品とすることができ、様々な形状にすることが できる。フィルム３，８，１２に合わせる素材は、用途に応じてネットやナイロ ンなどあらゆる素材とすることができ、非常に自由度が高いので、ファッション 性に富んだものとすることができる。

【００２６】

【考案の効果】

以上のように、本考案の請求項１に係る遠赤外線フィルムを用いた温熱衣料品 は、衣料品の裏地として、フィルム状に加工した遠赤外線セラミックスを用いて いるので、フィルムからの遠赤外線が他の布地により遮られてしまうといったこ とがなく、従って、人体に近接した位置にて遠赤外線を放射させることができ、 遠赤外線の温熱効果がもたらす、体温の上昇による発汗の促進、新陳代謝の促進 、血行の促進、などの優れた効果が顕著に現れる。さらに、裏地がフィルム状と されているので、ミシン掛や、裁縫といった加工も容易であり、衣料品に用いら れる素材をフィルムと縫合することで強度が増し、丈夫なものとすることができ 、また、用途に応じてフィルムに縫合する素材を様々に変形させることができる ので、ファッション性に富んだものとすることができる。

【００２７】 また、請求項２に係る遠赤外線フィルムを用いた温熱衣料品は、請求項１に記 載の遠赤外線を放射するフィルムと衣料品の表面素材との間に、同じく遠赤外線 を放射する繊維でなる綿を挿入したので、上記請求項１の作用効果に加え、保温 性を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の請求項１に対応する第１実施例による
理美容キャップの概略構成を示す図である。

【図２】本考案の請求項１に対応する第１実施例による
理美容キャップの図１のＡ間の部分における断面図であ
る。

【図３】本考案の請求項１に対応する第１実施例による
理美容キャップを使用した状態を示す図である。

【図４】本考案の請求項２に対応する第２実施例による
サウナスーツの概略構成を示す図である。

【図５】本考案の請求項２に対応する第２実施例による
サウナスーツの図４のＢ間の部分における断面図であ
る。

【図６】本考案の他の実施例による靴下カバーの概略構
成を示す図である。

【符号の説明】

１ 理美容キャップ ２ 表面素材 ３ （遠赤外線セラミックスでなる）フィルム ５ サウナスーツ ７ 表面素材 ８ （遠赤外線セラミックスでなる）フィルム ９ （遠赤外線セラミックスが練込まれた繊維でな
る）遠赤外線綿 １０ 靴下カバー １１ 表面素材 １２ （遠赤外線セラミックスでなる）フィルム

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 衣料品の裏地として、遠赤外線を放射す
   るフィルムを用い、該フィルムからの遠赤外線の放射に
   よる温熱効果が向上するようにしたことを特徴とする遠
   赤外線フィルムを用いた温熱衣料品。
2. 【請求項２】 前記遠赤外線を放射するフィルムと衣料
   品の表面素材との間に、同じく遠赤外線を放射する繊維
   でなる綿を挿入したことを特徴とする請求項１に記載の
   遠赤外線フィルムを用いた温熱衣料品。