JP3025883B2 - 眼鏡フレームの丁番装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、カム機構によりテ
ンプルの開閉に係る丁番運動を与えるようにした眼鏡フ
レームの丁番装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、眼鏡フレームは、レンズを取り巻
くフロント（前枠）と、該フロントに開閉可能な機構
（後述の丁番）を介して接続するテンプル（つる）から
構成される。智は、テンプル基端部が接続される部分で
あって、リムやブリッジ（鼻）とともにフロントの構成
に含まれ、フロントの両側先端に設けられる。テンプル
は、耳に掛かるフロント支持部材であって、前記智との
間に丁番を介して接続される。したがって、智とテンプ
ルの接続には、眼鏡フレームの構成要素としての丁番
（装置）が重要な役割を果たしている。

【０００３】これまでに、丁番装置に関する提案には種
々のものがある。例えば、特開平９−２４３９７０号
「眼鏡用ヒンジ装置」では、カム要素を用いて、ヒンジ
の円滑な動作の確保と、小型化を図ろうとしている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例は部品点数〔図３；公開公報からの転載は省略〕が
多く、補修の際の簡便さに欠けるきらいがある。また、
眼鏡の掛け外し（テンプルの開閉）に係る操作性（本発
明において後述する片手操作による開閉容易性等。）に
ついては格別な作用効果はみられない。

【０００５】本発明はこのような事情に鑑みなされたも
のであって、改善されたカム機構によりテンプルの開閉
に係る丁番運動を与えるよう構成することにより、部品
点数を減じて耐久性及び補修時の簡便性を向上し、しか
も眼鏡の掛け外し（テンプルの開閉）に係る操作性を革
新した眼鏡フレームの丁番装置を提供するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】課題を解決するために本
発明は、カム機構によりテンプルの開閉に係る丁番運動
を与えるようにした眼鏡フレームの丁番装置であって、
丁番摺動部を構成する前枠智側のコマとテンプル基端部
のコマをそれぞれカム要素からなるものとして組み合わ
せるとともに、ばね要素による押圧下で結合を維持しな
がらそれぞれのコマを協働させ、周期的かつ間歇的な丁
番運動を与えて、テンプルの開閉に係る回動位置を保持
するようにしたカム機構を有することを特徴とするもの
である。

【０００７】ここで、前記カム要素は、それぞれのコマ
の対向面に周期関数的な波形の輪郭からなる摺動面（以
下、カム面。）を形成し、丁番軸を共有して歯合又は重
合可能に対向配置するとともに、いずれか一方のコマを
丁番軸に対して回動不自由に軸装し、他方のコマを回動
可能で挿抜不自由に軸装した構成とされる。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態は、前枠智側
のコマをばね要素により付勢して丁番軸に対して回動不
自由に軸装し、テンプル基端部のコマを前記丁番軸とと
もに回動可能で挿抜不自由に軸装して周期関数的な波形
の輪郭からなるカム面を形成するとともに、前枠智側の
コマの片面にもテンプル基端部のコマと同一形状のカム
面を形成して歯合又は重合可能に結合している。ここ
で、周期関数的な波形は、４倍振動の正弦波形とされる
のが好ましい。

【０００９】

【実施例】本発明の一実施例を添付図面を参照しなが
ら、以下説明する。

【００１０】（実施例１）図１は眼鏡フレームの各部名
称及び本発明装置の使用箇所を示す外観図であり、Ａが
前枠の智、Ｂがテンプル、Ｃがブリッジ、及びＸ（又は
後述のＹないしはＺ）が丁番装置（以下、それぞれに実
施例装置という。）である。

【００１１】図２は本実施例装置の組立構成図であり、
図３は同じく断面視説明図である。

【００１２】図示するように、前枠の智（Ａ）にカムケ
ース（１）を形設して智側のコマ（２）を収容する。智
側のコマ（２）は、ここでは上下動のみが許されるフロ
ートカム〔又は固定カム〕（21）であって、丁番軸
（５）に対して回動不自由に軸装され、上面をダイヤフ
ラムスプリング（31）〔ばね要素３〕により押圧・付勢
されている。

【００１３】丁番軸（５）は、ここでは雌ねじを切った
戴頭軸部材（51）であり、後述の締めつけねじ（６）と
の間に各部材（カムケース１、ダイヤフラムスプリング
31、フロートカム21、及び後述のフェースカム41）を拘
束し、回動軸として機能する。すなわち、テンプル
（Ｂ）の開閉に係る回動軸と一致する。図４に装置断面
図を示す。

【００１４】一方、テンプル基端部のコマ（４）を前記
丁番軸（５）とともに回動可能で挿抜不自由に軸装す
る。テンプル基端部のコマ（４）は、ここではフェース
カム〔又は回動カム〕（41）であって、周期関数的な波
形の輪郭からなるカム面（42）を形成している。

【００１５】そして、フロートカム（21）の片面にも同
一形状のカム面（22）を形成して、それぞれを歯合又は
重合可能に結合する。結合に係る弾性エネルギーの蓄積
は、雌ねじを切った戴頭軸部材（51）と締めつけねじ
（６）による締結（拘束）である。図５は、カム要素
〔フロートカム21及びフェースカム41〕間の噛み合い状
態を示す説明図である。

【００１６】したがって、カム機構は、ばね要素〔ダイ
ヤフラムスプリング31〕（３）による押圧下で結合を維
持しながらそれぞれのコマ（２，４）〔フロートカム21
及びフェースカム41〕を協働させ、周期的かつ間歇的な
丁番運動を与えて、テンプル（Ｂ）の開閉に係る回動位
置を保持するものである。

【００１７】なお、フロートカム（21）及びダイヤフラ
ムスプリング（31）の固定は、図６に水平断面視説明図
を示すように、カムケース（１）内面に嵌着溝（11）を
設けて、フロートカム（21）及びダイヤフラムスプリン
グ（31）の周縁に張り出して形成したフランジ（23，3
2）をそれぞれ嵌着し、上下動のみを許し回動不自由に
拘束するものである。

【００１８】また、カムケース（１）の縁部にはストッ
パー（12）を形設し、回動カム（41）〔テンプルの開
閉〕に対する可動限としている。〔図２〕当然のことな
がら、テンプル（Ｂ）は左右一対で構成されているの
で、ストッパー（12）は左右勝手違いに形設されること
になる。

【００１９】（実施例２）次に、本発明の他の実施例に
ついて以下説明する。

【００２０】図７に本実施例装置（Ｙ）の構成概要図を
示すように、上述の実施例１におけるカムケース（１）
に代えて、上板（101)と下板（102)とで断面コ字状に形
成したカムハウジング（10）を設け、これら両板（101,
102)の一方には丁番軸（５）となるロックピン（50）の
先端が圧入される角穴（111)を設け、他方にはロックピ
ン（50）の他端が圧入される丸穴（112)を設けている。
この場合、丁番軸（５）は回動軸と一致するがそれ自体
は回動しない。すなわち、カム機構は実施例１と同様で
あるが、フェースカム（41）〔図示ではテンプル基端部
のコマ４〕だけが回動する。

【００２１】なお、上記いずれの実施例においても、智
側とテンプル側のコマ（２，４）のカム要素〔フロート
カム21とフェースカム41〕を逆にして丁番を構成しても
かまわない。〔図示省略〕なぜならば、智側とテンプル
側のコマの丁番運動は相対的なものだからである。

【００２２】（実施例３）さらに、本発明の他の実施例
について以下説明する。

【００２３】図８に本実施例装置（Ｚ）構成概要図を示
すように、智側の一枚コマ（20）と、テンプル基端部の
二枚コマ（40）によりとも丁番装置（Ｚ）を構成し、そ
れぞれのコマ（20，40）の対向面にカム面（201,401)を
形成して結合する。この場合、智側の一枚コマ（20）
は、両面にカム面（201)を形成した固定カムとされ、テ
ンプル基端部の二枚コマ（40）は、前記一枚コマ〔固定
カム〕（20）に対向する片面にそれぞれカム面（401,40
1)を形成した回動カムとされ、この一枚コマ〔固定カ
ム〕（20）を弾性的に挟持する。

【００２４】したがって、カム機構は、ばね要素（３）
でもある二枚コマ〔回動カム〕（40）の挟持による押圧
下で結合を維持しながらそれぞれのコマ（固定カム20及
び回動カム40）を協働させ、周期的かつ間歇的な丁番運
動を与えて、テンプル（Ｂ）の開閉に係る回動位置を保
持するものである。ここで、二枚コマ〔回動カム〕（4
0）が回動かつ上下動するという点が実施例１及び２と
は相違する。

【００２５】また、この実施例装置においても上記同様
の理由で逆構成、すなわち智側を二枚コマ〔回動カム〕
とし、テンプル基端部を一枚コマ〔固定カム〕とすると
も丁番を構成してもかまわない。〔図示省略〕

【００２６】さらに、カム機構に関し本発明の保護範囲
を逸脱しないかぎり、上記各実施例におけるフロートカ
ム又は固定カムのカム面（の輪郭）は改変したものであ
ってもかまわない。

【００２７】例えば、図９に改変された固定カム（210)
の外観図を示すように、フェースカム又は回動カム（テ
ンプル基端部のコマ）のカム面に倣って摺動可能な球面
(211）を部分形成し、歯合又は重合可能に結合してもよ
い。

【００２８】

【発明の効果】本発明は以上の構成よりなるものであ
り、これによれば以下に示す有益な効果を奏する。

【００２９】（１）使用する際に片手で前枠のブリッジ
を持ち、軽く振り回すようにすると、左右のテンプルを
同時的に開き、又は閉じることが容易にできる。このテ
ンプルの開閉操作は、円滑で確実な丁番運動（回動）に
より保証されており、しかも回動位置を保持するので開
閉状態の維持も安定している。

【００３０】参考までに、テンプルの開閉操作に係る説
明図を図10に示す。ここで、（ａ）開操作１は、テンプ
ルを開くために、テンプルの閉じたフレームのブリッジ
をつまんでぶら下げるように持つ操作を示している。
（ｂ）開操作２は、開操作１に続いて、そのまま前方へ
振り上げ、左右のテンプルを同時に開く操作を示してい
る。（ｃ）閉操作１は、テンプルを閉じるために、ブリ
ッジを持って手首を曲げ、フレームを右に振って左テン
プルを閉じる操作を示している。（ｄ）閉操作２は、閉
操作１に続いて、手首を左に振り、右テンプルを閉じる
操作を示している。

【００３１】（２）丁番構造が比較的簡素であり、耐久
性及び補修時の簡便性を向上することができる。しか
も、眼鏡の掛け外し（テンプルの開閉）に係る操作性を
革新した眼鏡フレームを提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】眼鏡フレームの各部名称及び本発明装置の使用
箇所を示す外観図である。

【図２】本発明の一実施例である丁番装置（Ｘ）の組立
構成図である。

【図３】同じく断面視説明図である。

【図４】同じく装置断面図である。

【図５】同じくカム要素の噛み合い状態を示す説明図で
ある。

【図６】同じく水平断面視説明図である。

【図７】本発明の他の実施例である丁番装置（Ｙ）の構
成概要図である。

【図８】本発明のさらに他の実施例である丁番装置
（Ｚ）の構成概要図である。

【図９】改変された固定カムの外観図である。

【図10】テンプルの開閉操作を示す説明図である。

【符号の説明】

１ カムケース（智側） 11 嵌着溝 12 ストッパー ２ 智側のコマ 21 フロートカム〔固定カム〕 22 フランジ 23 カム面 ３ ばね要素 31 ダイヤフラムスプリング 32 フランジ ４ テンプル基端部のコマ 41 フェースカム〔回動カム〕 42 カム面 ５ 丁番軸 51 戴頭軸部材 ６ 締めつけねじ 10 カムハウジング 101 上板 102 下板 111 角穴 112 丸穴 50 ロックピン 20 一枚コマ〔固定カム〕 201 カム面 40 二枚コマ〔回動カム〕 401 カム面 210 改変された固定カム 211 球面（カム面） Ａ 前枠の智 Ｂ テンプル Ｃ ブリッジ Ｘ 丁番装置 Ｙ 丁番装置 Ｚ 丁番装置

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 齋藤 治 広島県広島市西区高須一丁目３番18号 浜崎アパート204号 (56)参考文献 特開 昭57−97514（ＪＰ，Ａ) 実開 平１−100116（ＪＰ，Ｕ) 登録実用新案3008176（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) G02C 5/22 E05D 7/00 - 7/086

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 眼鏡フレームの丁番装置において、 カム機構によりテンプルの開閉に係る丁番運動を与える
   ようにした眼鏡フレームの丁番装置であって、 丁番軸とともに回動可能で挿抜不自由に軸装され周期関
   数的な波形の輪郭を有する摺動面を形成したテンプル基
   端部のコマと、 ばね要素により付勢して丁番軸に対して回動不自由に軸
   装され片面に前記テンプル基端部のコマと同一形状の摺
   動面を形成した前枠智側のコマを具備し、 それそれのコマの摺動面を対向させて歯合又は重合可能
   に結合してなり、 前記ばね要素による押圧下で結合を維持しながらそれぞ
   れのコマを協働させ、周期的かつ間歇的な丁番運動を与
   えて、テンプルの開閉に係る回動位置を保持するように
   したカム機構を有することを特徴とする眼鏡フレームの
   丁番装置。