JP3025553B2 - シンジオタクチックプロピレン共重合体、その製造方法およびその用途 - Google Patents

シンジオタクチックプロピレン共重合体、その製造方法およびその用途

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JP3025553B2
JP3025553B2 JP3139481A JP13948191A JP3025553B2 JP 3025553 B2 JP3025553 B2 JP 3025553B2 JP 3139481 A JP3139481 A JP 3139481A JP 13948191 A JP13948191 A JP 13948191A JP 3025553 B2 JP3025553 B2 JP 3025553B2
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propylene
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は実質的にシンジオタクチ
ック構造を有するポリプロピレン共重合体、その製造方
法およびその用途に関する。詳しくは、比較的タクティ
シティーの高いシンジオタクチックプロピレン単独重合
体もしくはプロピレンと少量の他のオレフンとの共重合
体に、ラジカル重合性の不飽和化合物をグラフト重合し
てなるプロピレン共重合体、その製造方法およびその用
途に関する。
【0002】
【従来の技術】アイソタクチックポリプロピレンは安価
でしかも物性のバランスが比較的良好であり種々の用途
に使用されている。一方、シンジオタクチックポリプロ
ピレンについては、古くからその存在は知られていた。
しかしながら、従来のバナジウム化合物、エーテルおよ
び有機アルミニウムからなる触媒で低温重合する方法は
シンジオタクティシティーが悪く、エラストマー的な特
性を有すると言われており、それが本来的にシンジオタ
クチックなポリプロピレンの特徴を表わしているとは言
い難かった。
【0003】これに対して、J.A.Ewenらにより非対称な
配位子を有する遷移金属化合物とアルミノキサンからな
る触媒によってシンジオタクチックペンタッド分率が
0.7を越えるようなタクティシティーの良好なポリプ
ロピレンを得ることが初めて発見された(J.Am.Chem.So
c.,vol.110, 6255-6256(1988)参照)。
【0004】上記方法で得られたシンジオタクチックポ
リプロピレンまたは実質的にシンジオタクチック構造を
有するプロピレンと他のオレフィンとの共重合体は比較
的物性に優れるが、アイソタクチックポリプロピレンと
同様に他の極性基を含有するポリマーとか金属に対して
馴染みが悪く、接着性が悪いという問題がある。
【0005】一方、アイソタクチックポリプロピレンに
無水マレイン酸などのカルボキシル基を含有するモノマ
ーをグラフトしたものは、他のポリオレフィンなどとの
接着性とか塗装性を改良する目的で利用されているが、
製造に際してベースポリマーであるポリプロピレンがラ
ジカル分解を同時に起こして得られる共重合体の分子量
が大きく低下するとか、液相で製造したとき共重合体の
分離が困難であるなどの問題があった。これに対してシ
ンジオタクチックポリプロピレンをベースにしたものが
製造できると従来にない物性が期待できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、実質
的にシンジオタクチック構造を有する新規なプロピレン
共重合体およびその製造方法を提供することにある。
【0007】本発明のいま一つの目的は、このプロピレ
ン共重合体を含有する接着用樹脂組成物を提供すること
にある。
【0008】また、本発明の目的は、実質的にシンジオ
タクチック構造の新規な水架橋性のプロピレン共重合体
を含有する水架橋性樹脂組成物を提供することにある。
【0009】さらに、本発明の目的は、実質的にシンジ
オタクチック構造のポリプロピレンと加水分解性不飽和
シランとから架橋ポリプロピレンの製造方法を提供する
ことにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の実質的にシンジ
オタクチック構造を有するプロピレン共重合体は、実質
的にシンジオタクチック構造であるプロピレンの単独重
合体もしくはプロピレンと他のα−オレフィンとの共重
合体とラジカル重合性の不飽和化合物とをラジカル開始
剤の存在下にラジカル開始剤の分解温度以上に加熱して
得られ、グラフトした不飽和化合物単位の含量がプロピ
レン単独重合体もしくは共重合体の0.1〜50重量%
であるグラフト共重合体である。
【0011】上記のプロピレン共重合体の製造方法は、
実質的にシンジオタクチック構造であるプロピレンの単
独重合体もしくはプロピレンと他のα−オレフィンとの
共重合体とラジカル重合性の不飽和化合物とをラジカル
開始剤の存在下にラジカル開始剤の分解温度以上に加熱
することを特徴とするものである。
【0012】本発明の接着用樹脂組成物は上記のプロピ
レングラフト共重合体を含有するものである。
【0013】本発明の水架橋性ポリプロピレン樹脂組成
物は、実質的にシンジオタクチック構造であるプロピレ
ンの単独重合体もしくはプロピレンと他のα−オレフィ
ンとの共重合体と加水分解性の不飽和シランとをラジカ
ル開始剤の存在下にラジカル開始剤の分解温度以上に加
熱して得られ、グラフトした不飽和シラン単位の含量が
プロピレン単独重合体もしくは共重合体の0.1〜50
重量%である実質的にシンジオタクチック構造のグラフ
ト共重合体、フェノール系酸化防止剤、サルファイド系
のヒドロパーオキシド分解剤および多価アミンからなる
ものである。
【0014】さらに、本発明の架橋プロピレン単独重合
体もしくは共重合体の製造方法は、実質的にシンジオタ
クチック構造であるプロピレンの単独重合体もしくはプ
ロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体と加水分解
性の不飽和シランとをラジカル開始剤の存在下にラジカ
ル開始剤の分解温度以上に加熱して得られるグラフト共
重合体を水の存在下に加熱することを特徴とするもので
ある。
【0015】本発明において、ラジカル重合性の不飽和
化合物がグラフトされる実質的にシンジオタクチック構
造を有するプロピレン単独重合体もしくはプロピレンと
少量のその他のα−オレフィンとの共重合体は、135
℃のテトラリン溶液で測定した極限粘度が0.01〜5
であるものが好ましく用いられる。
【0016】上記のプロピレン単独重合体としては、13
C−NMRにより1,2,4−トリクロロベンゼン中で
135℃で測定したスペクトルにおいて、テトラメチル
シランを基準として、約20.2ppm にあらわれるシン
ジオタクチックペンタッド構造に帰属されるメチル基の
ピーク強度がプロピレンの全メチル基のピーク強度の総
和に対し0.5以上、より好ましくは0.7以上である
ような高度なシンジオタクチック構造を有するものであ
って室温のトルエンに可溶な部分が10重量%以下であ
るような結晶性のポリプロピレンが好ましく用いられ
る。
【0017】また、上記のプロピレンとその他のα−オ
レフィンとのシンジオタクチック構造を有する共重合体
において、α−オレフィンの量は好ましくは0.1〜2
0重量%、より好ましくは0.1〜10重量%である。
α−オレフィンの量が20重量%を越えると得られた共
重合体の成形体の剛性が低下する。α−オレフィンとし
ては、エチレンおよび炭素数4〜20の分枝することも
あるα−オレフィンが例示され、具体的にはブテン−
1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オク
テン−1、ノネン−1、デセン−1、ウンデセン−1、
ドデセン−1、トリデセン−1、ペンタデセン−1、ヘ
キサデセン−1、ヘプタデセン−1、オクタデセン−1
などの直鎖オレフィンの他に3−メチルブテン−1,4
−メチルペンテン−1、4,4−ジメチルペンテン−1
等の分岐オレフィンである。
【0018】この共重合体はプロピレン単独重合体にお
けると同様にして測定した13C−NMRスペクトルにお
いて、約20.2ppm にあらわれるシンジオタクチック
構造に帰属されるピークの強度がプロピレンの全メチル
基に帰属されるピーク強度の0.3以上、より好ましく
は0.5以上であるような高度なシンジオタクチック構
造を有するものが好ましい。
【0019】上記のプロピレン単独重合体および共重合
体は、触媒の存在下にプロピレン単独またはプロピレン
とその他のα−オレフィンの少量とを(共)重合させる
ことにより得られる。用いられる触媒は、プロピレン単
独で重合した場合、シンジオタクチックペンタッド分率
0.7以上のポリプロピレンを生成し得るものが用いら
れる。次式
【0020】
【化1】 (式中、AおよびBは互いに異なる環状不飽和炭化水素
残基、RはAおよびBを連結する炭素数1〜20の炭化
水素残基または珪素もしくはゲルマニウムを含む基、X
はハロゲン原子もしくは炭素数1〜20の炭化水素残基
であり、Mはチタン、ジルコニウムもしくはハフニウム
から選ばれる金属原子である。)で表される遷移金属化
合物と助触媒との組合せが好ましく用いられる。
【0021】上記の遷移金属化合物の具体例としては、
前記J.A.Ewenらの文献記載のイソプロピリデン(シクロ
ペンタジエニルフルオレニル)ジルコニウムジクロリ
ド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニルフルオレ
ニル)ハフニウムジクロリド、EP387690および
EP387691記載のメチルフェニルメチレン(シク
ロペンタジエニルフルオレニル)ジルコニウムジクロリ
ド、メチルフェニルメチレン(シクロペンタジエニルフ
ルオレニル)ハフニウムジクロリド、ジフェニルメチレ
ン(シクロペンタジエニルフルオレニル)ジルコニウム
ジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニ
ルフルオレニル)ハフニウムジクロリドなどを挙げるこ
とができる。
【0022】助触媒として、アルミノキサン類が特に好
ましく使用されるが、EP277003およびEP27
7004に記載されているようなイオン性化合物を使用
してもよい。
【0023】アルミノキサン類としては、式
【0024】
【化2】 または式
【0025】
【化3】 (これらの式中、R1 は炭素数1〜3の炭素水素残基、
mは1〜50の整数である)で示されるものが好まし
く、特に上記式中、R1 がメチル基、mが5以上の整数
であるものが好ましい。
【0026】上記の遷移金属化合物に対する助触媒の使
用割合は、例えばアルミノキサン類を助触媒として使用
した場合、10〜100000モル倍、通常50〜10
000モル倍、イオン性化合物を助触媒として使用した
場合、0.1〜100000モル倍、通常0.5〜50
00モル倍である。
【0027】重合方法および重合条件については特に制
限はなく、α−オレフィンの重合で行われる公知の方法
が用いられ、不活性炭化水素媒体を用いる溶媒重合法、
または実質的に不活性炭化水素媒体の存在しない塊状重
合法、気相重合法も利用できる。重合温度は−100℃
〜200℃、重合圧力としては常圧〜100kg/cm2
行うのが一般的である。より好ましくは−50℃〜10
0℃、常圧〜50kg/cm2 である。
【0028】重合に際し使用される炭化水素媒体として
例えばブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタ
ン、ノナン、デカン、シクロペンタン、シクロヘキサン
などの飽和炭化水素の他に、ベンゼン、トルエン、キシ
レンなどの芳香族炭化水素も使用することができる。
【0029】上記の共重合方法により得られる共重合体
のシンジオタクシティをさらに高めるためには、高純度
(90%以上)に精製された遷移金属化合物を含有する
触媒を用い、100℃以下の低温度で重合を行うことが
有効であり、また共重合体を炭化水素溶剤で洗浄するこ
とも有効である。
【0030】炭化水素溶剤としては炭素数が3〜20の
もの、例えばプロピレンまたはプロパン、ブタン、ペン
タン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンなどの飽
和炭化水素化合物の他に、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素化合物あるい
はそれらの水素の一部または全部が弗素、塩素、臭素、
沃素で置換したものも利用できる。その他の溶剤として
は炭素数1〜20のアルコール類、炭素数2〜20のエ
ーテル、エステル類など低分子量のアタクチック成分を
溶解又は分散させ得るものが使用可能である。洗浄方法
には特に制限はなく、通常0°−100℃の温度で行わ
れる。
【0031】本発明において、グラフト共重合に用いる
ラジカル重合性の不飽和化合物としては、不飽和カルボ
ン酸、不飽和カルボン酸のエステル、芳香族ビニル化合
物、加水分解性不飽和シラン化合物、および不飽和ハロ
ゲン化炭化水素が例示される。
【0032】不飽和カルボン酸としては、無水マレイン
酸、シトラコン酸無水物、2−メチルマレイン酸無水
物、2−クロロマレイン酸無水物、2,3−ジメチルマ
レイン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]−5−ヘプテ
ン−2,3−ジカルボン酸無水物、4−メチル−4−シ
クロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物などのジカ
ルボン酸の無水物およびアクリル酸、メタクリル酸など
のモノカルボン酸が例示される。
【0033】不飽和カルボン酸のエステルとしてはアク
リル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル
酸ブチルなどが例示される。
【0034】加水分解性の不飽和シランとしては、ラジ
カル重合性の不飽和基とアルコキシシリル基もしくはシ
リル基を分子内に有する化合物であり、ビニル基と場合
によってはアルキレン基によって結合した加水分解性の
シリル基を有する化合物、またはアクリル酸、メタクリ
ル酸などのエステルアミドで結合した加水分解性のシリ
ル基を有する化合物が例示できる。これらの具体例とし
ては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メ
トキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、
ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピ
ルトリメトキシシラン、モノビニルシラン、モノアリル
シランなどが例示される。
【0035】不飽和ハロゲン化炭化水素としては塩化ビ
ニル、塩過ビニリデンなどが例示される。
【0036】グラフト共重合に用いられるラジカル開始
剤としては有機過酸化物が好ましい。ポリオレフィンに
グラフト重合する際に通常用いられる有機過酸化物、具
体的にはベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケト
ンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、
t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−
t−ブチルパーフタレート、2,5−ジメチル−2,5
−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキセン、2,5−ジメ
チル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキセン−
3、ジ−t−ブチルパーオキシド、クメンヒドロパーオ
キシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、ジラウリルパ
ーオキシド、ジクミルパーオキサイドなど公知の種々の
化合物が利用できる。
【0037】本発明のグラフト共重合体は上記のシンジ
オタクチック構造のプロピレンの単独重合体または共重
合体と上記のラジカル重合性不飽和化合物とをラジカル
開始剤の存在下にラジカル開始剤の分解温度以上の温度
において加熱することにより得られる。
【0038】ここで、不飽和化合物の使用割合は従来の
アイソタクチックポリプロピレンで用いられる条件がそ
のまま利用できて特に制限はないが、比較的共重合効率
が良いので使用量は少なくて良い。通常シンジオタクチ
ック構造のプロピレン単独重合体または共重合体に対し
0.001〜0.5重量比が好ましい。ラジカル開始剤
のの量は不飽和化合物に対して0.00001〜0.1
重量比用いるのが好ましい。
【0039】加熱温度は反応を溶剤の存在下に行うか、
不存在下に行うかによって異なるが通常50〜350℃
で行われ、50℃以下では反応が遅いので効率が悪く、
350℃以上ではポリマーの分解などの問題が生ずる。
反応はラジカルに対して安定な炭素数2〜20のハロゲ
ン化炭化水素化合物、炭素数6〜20の炭化水素化合物
などの存在下に、プロピレン単独重合体または共重合体
の濃度0.1〜50wt%程度の溶液あるいはスラリー
で実施してもよいし、または押出機などのポリマーを充
分に攪拌することが可能な装置で溶媒の不存在下に実施
してもよい。後者では溶液での反応に比べて比較的高温
度で行うのが一般的である。
【0040】得られたグラフト共重合体は、用途によっ
てグラフト共重合体中のラジカル重合性不飽和化合物単
位をシンジオタクチック構造のプロピレンの単独重合体
または共重合体の0.1〜50重量%の範囲で所望量を
含有することが好ましい。ラジカル重合性不飽和化合物
単位の含量が、50重量%を越えるとシンジオタクチッ
ク構造のプロピレンの単独重合体または共重合体として
の本来の物性を発現せず好ましくなく、またこれらの値
が下限値を下廻るとグラフト共重合体としての物性が発
現しない。
【0041】本発明においてはグラフト重合を水性媒体
中で行うこともできる。この場合、分散剤として、ポリ
酢酸ビニルの鹸化物、ヒドロキシエチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルセルロースなどの変性セルロース、ポ
リアクリル酸、ポリメタクリル酸など−OH機を含有す
る化合物が好ましく用いられるほか、通常の水性懸濁重
合において用いられる化合物が広く使用される。
【0042】反応はシンジオタクチック構造のプロピレ
ンの単独重合体または共重合体と前記の水不溶性ラジカ
ル重合性の単量体、水不溶性のラジカル開始剤、分散剤
を水中に懸濁して加熱することで行われる。このラジカ
ル重合性の単量体とシンジオタクチック構造のプロピレ
ンの単独重合体または共重合体との和に対する水の使用
割合は好ましくは1:0.1〜1:200、より好まし
くは1:1〜1:100である。また加熱温度は、ラジ
カル開始剤の半減期が好ましくは0.1〜100時間、
より好ましくは0.2〜10時間となるような温度であ
り、好ましくは30〜200℃、より好ましくは40〜
150℃である。加熱に際して懸濁状態になるように充
分な攪拌を行うのが好ましい。こうすることでグラフト
重合体が良好な粒子形で得られる。
【0043】水不溶性の単量体とシンジオタクチックプ
ロピレン単独重合体または共重合体の使用割合は好まし
くは1:0.1〜1:10000であり、ラジカル開始
剤は水不溶性の単量体に対して0.00001〜0.1
重量比用いるのが一般的である。共重合体中の水不溶性
の単量体の存在割合としてはその用途によって好ましい
範囲は異なるが、通常グラフト共重合体のシンジオタク
チック構造のプロピレンの単独重合体または共重合体に
対して0.1〜200wt%とするのが一般的である。
【0044】本発明のグラフト共重合体は、好ましく
は、グラフト成分を含まないα−オレフィン単独重合体
または共重合体と混合することによって接着用樹脂組成
物として用いることができる。この際、シンジオタクチ
ック構造のプロピレンの単独重合体または共重合体にグ
ラフトされるラジカル重合性不飽和化合物としては、前
記の不飽和カルボン酸およびその誘導体並びに加水分解
性シランが好ましく用いられる。
【0045】上記のグラフト成分を含まないα−オレフ
ィン単独重合体または共重合体としては、所望により種
々の分子量のα−オレフィン単独重合体、またはα−オ
レフィン相互のランダムもしくはブロック共重合体を用
いることができる。α−オレフィンとしてはプロピレン
のほかにエチレンおよび炭素数4〜20のα−オレフィ
ンを例示することができる。これらα−オレフィンの単
独重合体または共重合体は、種々の公知の方法で製造す
ることができ、また市場において種々の種類の商品を入
手することができる。
【0046】グラフト共重合体とα−オレフィン単独重
合体または共重合体との混合割合は、グラフト共重合体
中のラジカル重合性不飽和化合物単位、好ましくは不飽
和カルボン酸単位または加水分解性不飽和シラン化合物
単位が、得られる樹脂組成物中に0.01〜1重量%存
在するようにするのが好ましい。
【0047】上記組成物には必要に応じて酸化防止剤、
紫外線吸収剤など通常のポリオレフィンに添加される種
々の添加剤を添加することもできる。
【0048】なお、本発明の接着用樹脂組成物において
α−オレフィンの単独重合体または共重合体を添加する
ことは必須ではない。グラフト共重合体に安定剤などの
上記の添加剤のみを加えて接着用樹脂組成物とすること
もできる。
【0049】組成物を製造する際の混合方法としては特
に制限はなく、ヘンシェルミキサー等で均一に混合した
後、押出機などで溶融混合し造粒するのが一般的であ
る。混合と溶融を同時に行うブラベンダーなどによる方
法を利用することも可能であるし、また溶融後そのま
ま、利用する形態に応じフィルム、シートなどに成形す
ることも勿論可能である。
【0050】本発明のグラフト共重合体のうち、加水分
解性不飽和シランをグラフトしたものは架橋ポリプロピ
レンまたは架橋プロピレン共重合体の出発物質とするこ
とができる。この際、グラフト共重合体中の加水分解性
不飽和シラン単位はシンジオタクチック構造のプロピレ
ンの単独重合体または共重合体に対して好ましくは0.
1〜50重量%、より好ましくは0.1〜10重量%で
ある。
【0051】このグラフト共重合体は水の存在下に加熱
される。この処理に先立ってグラフト共重合体は目的の
形状に成形するのが一般的である。成形に際し、水によ
る架橋がより有効に生じるように種々の触媒が混入され
る。触媒としてはアルカリ金属またはアルカリ土類金属
の水酸化物あるいは酸化物、アンモニアまたはアミン
類、有機または無機酸あるいはその塩類など、アルコキ
シ珪素または水素化珪素の加水分解触媒として良く知ら
れているものがそのまま利用できる。触媒の使用量は、
通常グラフト共重合体の0.001〜1重量%である。
【0052】また成形に際して、上記グラフト共重合体
と相溶性のよい重合体をグラフト重合体の10重量倍程
度まで混合してもよい。
【0053】水の存在下に上記グラフト共重合体を加熱
するための温度は50〜200℃が好ましく、特に80
〜120℃が好ましい。水はスチームの形で用いてもよ
いが、通常は沸騰の水に成形体を浸漬して処理するのが
好ましい。
【0054】このようにして得られたシンジオタクチッ
ク構造の架橋プロピレンの単独重合体または共重合体の
沸騰キシレン不溶分の割合が、好ましくは5〜100重
量%である。
【0055】本発明のグラフト共重合体のうち、加水分
解性不飽和シランをグラフトしたものはフェノール系の
酸化防止剤、サルファイド系のヒドロパーオキシド分解
剤および多価アミンを配合することによって水架橋性の
樹脂組成物とすることができる。
【0056】フェノール系の酸化防止剤としては既に多
くの種類が知られており市場で入手できる。2,6−ジ
−t−ブチルフェノールなど2および/または6位の水
素をアルキル残基で置換した置換フェノールが好ましく
利用できる。具体的には、2,6−ジ−t−ブチル−p
−クレゾール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノー
ル、ビタミンE、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブ
チル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4
−メチルフェニルアクリレート、2,2’−メチレン−
ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,
2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフ
ェノール)、2,2’−メチレン−ビス(6−シクロヘ
キシル−4−メチルフェノール)、1,6−ヘキサンジ
オール−ビス−(3−(3,5−ジ−t−ブチル(4−
ヒドロキシフェニル)))−プロピオネート、ペンタエ
リスリチル−テトラキス−(3−(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル))−プロピオネートな
どである。
【0057】サルファイド系のヒドロパーオキシド分解
剤としてはチオエーテルのエステルが好ましく、具体的
には、3,3’−チオジプロピオン酸の、ラウリル、ト
リデシル、ステアリルなど高級アルコールのジエステル
など、多くの種類のものがチオエーテル系酸化防止剤と
して市場で入手できる。
【0058】多価アミンとしてはその誘導体の他にオギ
ザリックアシッド−ビス(ベンジリデンヒドラジド)な
どのヒドラジド化合物、3−(N−サリシロイル)アミ
ノ−1,2,4−トリアゾールなどのトリアゾール化合
物が例示される。
【0059】これらの添加剤はグラフト共重合体に対し
重量比で、それぞれ好ましくは1/1000〜1/10
0000、より好ましくは1/500〜1/10000
の量で添加される。
【0060】グラフト共重合体と上記安定剤の混合方法
については特に制限はなく通常のヘンシェルミキサーに
よって乾式混合し、ついで溶融造粒する方法を用いるこ
とができる。
【0061】この組成物は上記安定剤の他にさらにステ
アリン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アル
ミニウム、ハイドロタルサイトなどの中和剤、安息香酸
の塩、ソジウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−
ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ベンジルソ
ルビトールなどの核剤などを添加することもできる。
【0062】この組成物は水の存在下に加熱処理される
ことによって架橋される。処理に先だち目的の形状に成
形するのが通常である。成形に際し、水による架橋がよ
り有効に生じるように種々の触媒が混入される。触媒と
してはアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物
または酸化物、アンモニアまたはアミン類、有機または
無機酸はその塩類など、アルコキシ珪素あるいは水素化
珪素の加水分解触媒として良く知られているものがその
まま利用できる。触媒の使用量は通常グラフト共重合体
の0.001〜1重量%である。
【0063】
【実施例】以下に実施例および比較例を示して本発明を
さらに具体的に説明する。しかしながら、これらの実施
例は本発明を説明するためのものであり、限定するもの
と解さるべきではない。
【0064】実施例1 常法にしたがって合成したイソプロピルシクロペンタジ
エニル−1−フルオレンをリチウム塩に転化し、四塩化
ジルコニウムと反応させ、反応生成物を再結晶すること
により得たイソプロピル(シクロペンタジエニル−1−
フルオレニル)ジルコニウムジクロリド0.2gと東ソ
ーアクゾ(株)製メチルアルミノキサン(重合度16.
1)30g、トルエン80リットルおよびプロピレンを
内容積200リットルのオートクレーブに装入し、重合
圧力3kg/cm2 −Gにおいて、20℃で2時間重合し
た。重合混合物をメタノールとアセト酢酸メチルを加え
30℃で処理し、塩酸水溶液で洗浄し、ついで濾過し
5.6kgのシンジオタクチックポリプロピレンを得た。
このポリプロピレンは13C−NMRによればシンジオタ
クチックペンタッド分率0.935であり、135℃テ
トラリン溶液で測定した極限粘度(以下ηと略記)は
1.45、1,2,4−トリクロロベンゼンで測定した
重量平均分子量と数平均分子量との比(以下、Mw/M
nと略記)は2.2であった。
【0065】このポリプロピレン140gをモノクロル
ベンゼン1.4リットルに120℃で溶解し、この溶液
に、モノクロルベンゼン60mlおよびアセトン40mlに
無水マレイン酸20gを溶解した溶液とモノクロルベン
ゼン100mlに溶解したジクミルパーオキサイド14g
を窒素雰囲気下で4時間かけて添加した。添加後さらに
120℃で3時間加熱攪拌した後、30℃に冷却し、ア
セトン1.5リットルを加えて濾過したところ容易にポ
リマーパウダーが分離できた。得られたパウダーをさら
に1.5リットルのアセトンで洗浄した。得られたパウ
ダーを乾燥し秤量したところ142.5gであった。赤
外吸収スペクトル(図1)によりこのパウダーの無水マ
レイン酸の含量を算出したところ約7.4重量%であっ
た。さらにこのパウダーを沸騰アセトンで6時間抽出し
た後、同様に算出した無水マレイン酸の含量は6.8重
量%であった。また13C−NMRによってプロピレン単
位のシンジオタクチックペンタッド分率を算出したとこ
ろ0.928であり実質的に変化はなく、ηは1.28
であった。
【0066】このグラフト共重合体のプレスシート(厚
み1mm)のアイゾット衝撃強度(ASTM D256)
は14.5であり、グラフト共重合する前とほとんど変
化がなかった。
【0067】比較例1 ポリプロピレンとして市販のアイソタクチックポリプロ
ピレン(ηが1.62、13C−NMRで測定したアイソ
タクチックペンタッド分率0.954、Mw/Mnは
6.7)を用いて実施例1と同様に操作したところ、ポ
リマーパウダーが細かいために分離が悪く、濾過をする
のに5時間を要した。またパウダーの無水マレイン酸の
含量は3.1wt%であり、抽出後は2.8wt%であ
った。またηは0.35と大幅に低下していた。実施例
1と同様にして測定しアイゾット衝撃強度はグラフト共
重合する前の3.1から2.1に低下していた。
【0068】実施例2 実施例1で用いた触媒を用いてプロピレン自身を溶媒と
する塊状重合法により60℃で重合を行った。得られた
η0.93、シンジオタクチックペンタッド分率0.8
3のシンジオタクチックポリプロピレンを用いて実施例
1と同様に反応した。ただしこの際、無水マレイン酸の
使用量を30gとした。濾過は簡単に行うことができ
た。得られたポリマーの無水マレイン酸の含量は10.
5重量%であり、アセトン抽出後は8.9重量%であっ
た。またηは0.72とほとんど低下していなかった。
【0069】実施例3 実施例1で得たグラフト共重合体2部に市販のプロピレ
ンとエチレンの共重合体(三井東圧化学(株)製MFL
4.9 )98重量部と、2,6−ジ−t−ブチル−p−ク
レゾール10/10000重量比及びステアリン酸カル
シウム15/10000重量比を加え造粒して接着用の
樹脂組成物を得た。
【0070】上記組成物をL/D=22の20mmφの押
出機(TERMO PLSATICS INDUSTRY Co. )を用いて240
℃で、またエバール(クラレ(株)製EP−F)を同様
の押出機から220℃でそれぞれ共押出Tダイを通して
押出し、上記組成物の厚さ0.12mm、エバールの厚さ
0.13mmの共押出シートを成形した。このシートにつ
いて剥離強度(インストロン引っ張り試験機を用い、巾
2.5cmの試験片について23℃、10mm/min の引っ
張り速度でのT型剥離強度を測定した)は32g/cmで
あった。
【0071】比較例2 比較例1で得たグラフト共重合体を用いた他は実施例3
と同様にして共押出シートを製造し、これを評価した
(但し、無水マレイン酸の量が同じとなる様に10g用
いた)。T型剥離強度は14g/cmであった。
【0072】実施例4 実施例2で得たグラフト共重合体を用いた他は実施例3
と同様にしてプロピレンとエチレンのランダム共重合体
と混合した。この組成物とナイロン(東レ(株)製6ナ
イロンCM1021より成膜、厚さ各々0.2mm)を用
いナイロンの押出温度を260℃とした他は実施例3と
同様の方法で共押出シートを製造してその接着強度を評
価したところ剥離強度は720g/cmであった。
【0073】実施例5 実施例1で得たシンジオタクチックポリプロピレン0.
5kg、トリエトキシビニルシラン15gおよびアセトン
10mlに溶解したジクミルパーオキシド0.5gを混合
し20mmφの押出機(TERMO PLSATICS INDUSTRY Co.
製)で230℃において溶融混合してグラフト共重合体
を得た。得られたペレットをキシレンに溶解し、多量の
アセトンに加えてポリマー析出させて未反応のトリエト
キシビニルシランを除去した後、珪素の分析により求め
たグラフト量は1.8重量%であった。この共重合体の
赤外吸収スペクトルを図2に示す。また、13C−NMR
によってプロピレン単位のシンジオタクチックペンタッ
ド分率を算出したところ0.928であり実質的に変化
はなく、ηは1.32であった。
【0074】比較例3 比較例1で用いたアイソタクチックポリプロピレンを用
いて実施例5と同様にしたところトリメトキシビニルシ
ランを0.8重量%しか含有しないグラフト共重合体が
得られた。また、ηも0.45と大幅に低下していた。
【0075】実施例6 実施例2で得たシンジオタクチックポリプロピレンを用
いて実施例5と同様に操作した(但しトリエトキシビニ
ルシランに代えてトリメトキシビニルシランを30g用
いた)。トリメトキシビニルシランの含量は2.6wt
%であり、ηは0.74とほとんど低下していなかっ
た。
【0076】実施例7 実施例5で得たグラフト共重合体にジブチル錫ラウレー
トを0.15wt%加えて厚さ1mmのシートとし沸騰水
で10時間処理した。沸騰水で処理する前のシートの6
時間沸騰キシレン抽出残分の割合は0.52wt%であ
るのに対し沸騰水で処理したものは52.5wt%であ
り架橋が進行していた。また、引張り強さ(ASTM
D638)は、架橋前の240kg/cm2 が270kg/cm
2 に向上した。
【0077】比較例4 比較例3において、トリメトキシビニルシランを40g
用いたほかは同様に操作してトリメトキシビニルシラン
含量2.1重量%のグラフト共重合体を得た。この共重
合体を用いて実施例7と同様にして沸騰キシレン不溶分
を測定したところ28重量%であった。
【0078】実施例8 実施例2で得たシンジオタクチックポリプロピレンを用
い、トリエトキシビニルシランに代えてγ−メタクリロ
キシプロピルトリメトキシシラン15gを用いて実施例
5と同様に操作してグラフト共重合体を得た。γ−メタ
クリロキシプロピルトリメトキシシランの含量は1.4
0重量%であり、ηは0.74とほとんど低下していな
かった。触媒として酸化ナトリウムを用いた他は実施例
9と同様にしたところポリマーのキシレン抽出残分は2
5.3重量%であり、架橋が進行していた。
【0079】実施例9 実施例5で得たグラフト共重合体にハイドロタルサイ
ト、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ジステ
アリル−3,3’−チオジプロピオネートおよびメラミ
ンをそれぞれポリマーに対して重量比で5/1000
0、1/1000、5/1000および1/1000加
え混合し、さらに、ジブチル錫ラウレートを0.15重
量%加えて造粒した後、厚さ0.2mmの銅板を挟んで厚
さ1mmのシートとし沸騰水で10時間処理した。沸騰水
で処理する前のシートの6時間沸騰キシレン抽出残分の
割合は0.65重量%であるのに対し沸騰水で処理した
ものは82.5重量%であり架橋が進行しているのが判
った。このシートを300℃で5分処理し、次いで銅板
を剥して銅板と接触した部分のポリマーの様子を観察し
たが異常はなかった。また剥した銅板を80℃の水で1
7時間処理したが変化は見られなかった。
【0080】比較例5 ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネートを用い
なかった他は実施例9と同様にしたところ沸騰キシレン
抽出残分の割合は81.6重量%であったが、300℃
で加熱処理した後銅板と接触した部分は薄緑に着色して
おりポリマーが劣化しているのが観察された。
【0081】比較例6 メラミンを用いなかった他は実施例9と同様にしたとこ
ろ沸騰キシレン抽出残分の割合は48.5重量%と少な
く、300℃で加熱処理した後銅板と接触した部分は薄
緑に着色しておりポリマーが劣化していた。また銅板に
も曇が見られた。
【0082】比較例7 2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを用いなかっ
た他は実施例9と同様にしたところ沸騰キシレン抽出残
分の割合は65.5重量%と少なく、300℃で加熱処
理した後、シートは全体が黄色に着色しておりポリマー
が劣化しているのが観察された。
【0083】実施例10 実施例8で得たグラフト共重合体にイルガノックスH1
010(フェノール系の酸化防止剤)、ラウリル−ステ
アリル−3,3’−チオジプロピオネートおよびメラミ
ンをそれぞれ重量比で1/1000、3/1000およ
び1/1000を用いた他は実施例9と同様にしたとこ
ろ沸騰キシレン抽出残分の割合は75.6重量%であ
り、300℃で加熱処理後も同様に変化がみられなかっ
た。
【0084】実施例11 実施例1で得たシンジオタクチックポリプロピレン20
0g、スチレン180g、日本合成(株)製の鹸化ポリ
酢酸ビニル(AH22,鹸化度97.5〜98.5%、
重合度1500以上)およびp−t−ブチルパーオキシ
ベンゾエート2gを水1リットル中に分散し、攪拌しな
がら90℃で4時間加熱した。反応終了後スラリーを濾
過したところビーズ状のポリマーを得た。ポリマーをア
セトンで良く洗浄し乾燥したところ重量は370gであ
った。
【0085】この共重合体の赤外吸収スペクトルを図3
に示す。
【0086】比較例8 比較例1で用いた市販のアイソタクチックポリプロピレ
ンを用いて実施例11と同様にしたところ不定形のポリ
マーを345g得た。
【0087】実施例12 実施例2で得たシンジオタクチックポリプロピレンを用
いて実施例11と同様に反応を行った。この反応におい
て、スチレンの使用量を100gとし、分散剤として信
越化学(株)製エチルヒドロキシセルロース(メトロー
ス60SH50)を用い、温度を100℃とした他は実
施例1と同様にしたところビーズ状のポリマーを395
g得た。
【0088】
【発明の効果】本発明によるシンジオタクチック構造の
プロピレン単独重合体もしくはプロピレンとα−オレフ
ンとの共重合体にラジカル重合性不飽和化合物をグラフ
トしたグラフト共重合体は種々の用途に適するポリマー
である。また、ラジカル重合性不飽和化合物をグラフト
するに当って、上記プロピレンの単独重合体もしくは共
重合体のラジカル分解も実質的に起こらない。
【0089】不飽和カルボン酸を上記プロピレンの単独
重合体もしくは共重合体にグラフトした共重合体は接着
用樹脂組成物として有用である。
【0090】また、加水分解性不飽和シランをグラフト
された上記プロピレンの単独重合体もしくは共重合体は
接着用樹脂組成物に有用であり、かつ有用な水架橋性の
樹脂組成物を与える。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において得られたグラフト共重合体の
赤外吸収スペクトルである。
【図2】実施例5において得られたグラフト共重合体の
赤外吸収スペクトルである。
【図3】実施例11において得られたグラフト共重合体
の赤外吸収スペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平2−190724 (32)優先日 平成2年7月20日(1990.7.20) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平2−193905 (32)優先日 平成2年7月24日(1990.7.24) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平2−247160 (32)優先日 平成2年9月19日(1990.9.19) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平3−52652 (32)優先日 平成3年3月18日(1991.3.18) (33)優先権主張国 日本(JP) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 255/02 C08F 4/60 C08F 8/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的にシンジオタクチック構造を有す
    るプロピレンの単独重合体もしくはプロピレンと他のα
    −オレフィンとの共重合体とラジカル重合性の不飽和化
    合物とを、ラジカル開始剤の存在下にラジカル開始剤の
    分解温度以上に加熱して得られる、プロピレン単独重合
    体もしくは共重合体にグラフトしたラジカル重合性不飽
    和化合物単位の含量がプロピレン重合体または共重合体
    の0.1〜50重量%であるシンジオタクチックプロピ
    レン共重合体。
  2. 【請求項2】 実質的にシンジオタクチック構造を有す
    るプロピレンの単独重合体もしくはプロピレンと他のα
    −オレフィンとの共重合体とラジカル重合性の不飽和化
    合物とを、ラジカル開始剤の存在下にラジカル開始剤の
    分解温度以上に加熱してプロピレン単独重合体もしくは
    共重合体にラジカル重合性不飽和化合物をグラフトする
    ことからなるシンジオタクチックプロピレン共重合体の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 実質的にシンジオタクチック構造を有す
    るプロピレンの単独重合体もしくはプロピレンと他のα
    −オレフィンとの共重合体とラジカル重合性の不飽和化
    合物とを、ラジカル開始剤の存在下にラジカル開始剤の
    分解温度以上に加熱して得られる、プロピレン単独重合
    体もしくは共重合体にグラフトしたラジカル重合性不飽
    和化合物単位の含量がプロピレン重合体もしくは共重合
    体の0.1〜50重量%であるシンジオタクチックプロ
    ピレン共重合体を含有してなる接着用樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 実質的にシンジオタクチック構造を有す
    るプロピレンの単独重合体もしくはプロピレンと他のα
    −オレフィンとの共重合体と加水分解性の不飽和シラン
    とを、ラジカル開始剤の存在下にラジカル開始剤の分解
    温度以上に加熱して得られる、プロピレン単独重合体も
    しくは共重合体にグラフトした加水分解性の不飽和シラ
    ン単位の含量がプロピレン重合体もしくは共重合体の
    0.1〜50重量%であるシンジオタクチックプロピレ
    ン共重合体を水の存在下に加熱して架橋することからな
    る架橋プロピレン単独重合体もしくは共重合体の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 実質的にシンジオタクチック構造を有す
    るプロピレンの単独重合体もしくはプロピレンと他のα
    −オレフィンとの共重合体と加水分解性の不飽和シラン
    とを、ラジカル開始剤の存在下にラジカル開始剤の分解
    温度以上に加熱して得られる、プロピレン単独重合体も
    しくは共重合体にグラフトした加水分解性の不飽和シラ
    ン単位の含量がプロピレン重合体もしくは共重合体の
    0.1〜50重量%であるシンジオタクチックプロピレ
    ン共重合体、フェノール系酸化防止剤、サルファイド系
    のヒドロパーオキシド分解剤および多価アミンからなる
    水架橋性樹脂組成物。
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