JP3025328B2 - 双ベルト連続鋳造の湯面制御方法 - Google Patents

双ベルト連続鋳造の湯面制御方法

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JP3025328B2 JP3071880A JP7188091A JP3025328B2 JP 3025328 B2 JP3025328 B2 JP 3025328B2 JP 3071880 A JP3071880 A JP 3071880A JP 7188091 A JP7188091 A JP 7188091A JP 3025328 B2 JP3025328 B2 JP 3025328B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、双ベルト連続鋳造の湯
面制御方法に関する。
【0002】
【従来技術】湯面レベルの検出方法としては、以下に示
すようなものがある。
【0003】1.浮き子を利用する方法 湯面に浮き子を浮かべ、この浮き子の位置を棒またはチ
ェ−ン等により検出する方法。
【0004】2.光学的(光電変換)方法 湯面と容器等の接触位置における輝度の違いに着目し、
この境界線を例えばアレイセンサあるいはテレビカメラ
等を用いて三角測量法によって測定する方法。 3.超音波による方法 超音波を湯面表面に照射し、その反射した音波がもどっ
てくる時間をはかることで湯面までの距離を測定する方
法。
【0005】4.放射線を利用する方法 湯面に対し斜め方向に放射線を透過させ、この放射線の
減衰量により湯面レベルを検出する方法。
【0006】5.浸漬電極法 電極と湯面により電気回路のON−OFF状態を作って
湯面レベルを検出する方法。
【0007】6.電磁誘導法 特開昭48−93539号公報の方法は、モ−ルド外壁
面に深さ方向に長いコイルを設け、このコイルをインピ
−ダンスブリッジ回路の一辺に接続する方法で、モ−ル
ド内の湯面レベルの変化をモ−ルド壁温度変化としてと
らえ、これによって生じるモ−ルド壁の固有抵抗変化に
よりモ−ルド内に発生する渦電流の変化を利用して湯面
レベルを検出する方法である。
【0008】双ベルト連続鋳造の湯面制御方法として
は、上述の湯面レベル検出器で測定された湯面レベル測
定値に基づき、この湯面レベル測定値と湯面レベル目標
値との差をPI制御器またはPID制御器に入力し、注
湯量指令値を演算し、この注湯量指令値を注湯量操作器
に出力するのが従来の一搬的な技術である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】PI制御器またはPI
D制御器を用いる双ベルト連続鋳造の湯面制御方法は、
湯面の振動を考慮することができないので、演算された
注湯量指令値による注湯量変化が、湯面の振動を引き起
こす場合があり、製品の品質または歩留まり、操業率,
操業時の安全性の点で問題を生じる。
【0010】本発明の目的は、上述の課題を解決し、湯
面の平均レベルに影響を与える外乱を補償し、湯面の平
均レベルを目標値に追従させるとともに、湯面の振動を
積極的に抑制する制御方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、双ベルト連続
鋳造の湯面制御方法において、 (イ)湯面レベル検出器を用いて、湯面レベルを測定
し、 (ロ)オブザ−バにより、注湯量指令値または注湯量実
績値と湯面レベル測定値に基づいて、湯面の平均レベル
および湯面の振動モ−ドを演算し、 (ハ)上記湯面の平均レベルおよび振動モ−ドから注湯
量指令値1を演算し、 (ニ)湯面レベル目標値と湯面レベル測定値から注湯量
指令値2を演算し、 (ホ)注湯量指令値1と注湯量指令値2から注湯量指令
値を演算し、 (ヘ)上記湯量指令値を注湯量操作器に出力する、こ
とにより、湯面の平均レベルに影響を与える外乱を補償
し、湯面の平均レベルを目標値に追従にさせるととも
に、湯面の振動を抑制することを特徴とする。
【0012】
【作用】以下、本発明について詳細に説明する。モ−ル
ドに向かってモ−ルドの左端上の1点を原点として、水
平方向にy軸,鉛直上向きにz軸をとり、時刻t,位置
yでの湯面の変位をz=ζ(y,t)とするとき、 ζ(y,t)[m]はN+1項(N≧1)の和
【0013】
【数1】
【0014】で近似される。「′」は時間微分を表す。
n [1/m]は次式で表される。
【0015】 kn =nπ/L(1≦n≦N) ・・・・・・(2) L[m]はモ−ルド幅である。x0 (t)[m]は湯面
の平均レベル、xn ′(t)[m]は湯面のn次の振動
モ−ドのモ−ド変位であり、それぞれ次の微分方程式で
表される。
【0016】 x0 ′(t)=U0 u(t)−W(t), xn ″(t)+gknn (t)=Un u(t)(1≦n≦N)・・・(3) gは重力加速度で、g=9.8[m/s2]である。
【0017】W(t)[m/s]は引き抜き速度であ
る。
【0018】Uo [m/s],Un [m/s]は次式で
表される。
【0019】
【数2】
【0020】ノズルからの注湯速度のy方向の分布はU
(y)u(t)で表され、U(y)の次元は[m/
s],u(t)は無次元である。U(y)は、u(t)
=1のときのノズルからの注湯速度のy方向の分布であ
り、ノズルの寸法,形状およびモ−ルド内での位置によ
り決定する。式(3)から、u(t)は、重みU0 で湯
面の平均レベルに影響を与え、重みUn で湯面のn次の
振動モ−ドに影響を与える。
【0021】本発明は、以上の知見をもとになされたも
のである。以下に、本発明の作用について、図1を参照
しながら詳細に説明する。図1は、本発明において、3
次のオブザ−バを用いる場合を示したものである。これ
は、上述のモデルでN=1の場合に基づいている。図1
で、三角形の中に積分記号を書いたものは積分器、大き
い円の中に変数を書いたものは変数の値を乗じる乗算
器、小さい円の中に加算記号を書いたものは加算器、小
さい円の中に減算記号を書いたものは減算器を表す。こ
のうち、減算器は減算の順序を明示するために、加算記
号と減算記号とを添えてある。プラントは、注湯量指令
値を入力とする注湯量操作器,ノズル,モ−ルド等の湯
面プロセス要素ならびに湯面レベル測定値を出力とする
湯面検出器からなる。湯面レベル検出器を用いて、湯面
レベル位置をy=y1 で測定し、その湯面レベル測定値
ζ(t)=ζ(y1 ,t) ・・・・・(5) とする。湯面レベル測定値は式(1)より
【0022】
【数3】
【0023】と表される。ここで c1 =cosk11 ・・・・・(7) である。
【0024】注湯量指令値または注湯量実績値がオブザ
−バに入力され、式(4)のU0 ,U1 を乗じる乗算
器,式(2)の−gk1 を乗じる乗算器,加算器および
積分器を用いて式(3)により、湯面の平均レベルx0
(t),湯面の1次の振動モ−ドのモ−ド変位x1
(t)およびその積分値x1 (t)の推定値が求められ
る。また、式(7)のc1 を乗じる乗算器,加算器を用
いて式(6)により、湯面レベル推定値が求められる。
湯面レベル測定値と湯面レベル推定値から、減算器およ
びe0 ,e1 を乗じる乗算器による、図1に示すフィ−
ドバック演算により、湯面の平均レベルx0(t),湯
面の1次の振動モ−ドのモ−ド変位x1 ′(t)および
その積分値x1 (t)の推定値が演算されこれらが真値
に収束する。x1 ′(t),x1 (t)は湯面の1次の
振動モ-ドを表わす。x0 (t),x1′(t),x1
(t)はしたがって湯面の状態(レベルと運動)を表わ
す。すなわち、オブザ−バは、注湯量指令値または注湯
量実績値と湯面レベル測定値から湯面の状態を演算す
る。
【0025】演算された状態x0 (t),x1 ′(t),
1 (t)から、乗算器および加算器により、注湯量指
令値1を演算する。湯面の平均レベルに影響を与える外
乱としては、注湯量操作器の特性の変動,鋳造速度の変
動などが考えられる。湯面レベル目標値と湯面レベル測
定値から、減算器,積分器,乗算器を用いて注湯量指令
値2を演算し、注湯量指令値2と注湯量指令値1から、
減算器を用いて注湯量指令値を演算する。この部分は、
湯面の平均レベルを目標値に追従させ、湯面の平均レベ
ルに影響を与える外乱を補償する。
【0026】湯面制御の目的は、湯面レベルを与えられ
た目標値に追従させ、湯面レベルに影響を与える外乱を
補償し、湯面の振動を抑制することである。すなわち、
0(t),x1 ′(t)において、湯面の平均レベルx
0 (t)に影響を与える外乱を補償し、湯面の平均レベ
ルx0 (t)を目標値に追従させ、振動のモ−ド変位x
1 ′(t)を漸近的に零に近づけることにより目的の制
御が達成される。
【0027】本発明では、注湯量指令値1が、湯面の平
均レベルx0 (t)を目標値に追従させ、振動のモ−ド
変位x1 ′(t)を漸近的に零に近づけ、注湯量指令値
2が、湯面の平均レベルx0 (t)に影響を与える外乱
を補償する。これにより目的の制御を達成している。
k,k0 ,k11 ,k10 を乗じる乗算器において、k,k0,
11 ,k10 の値は、湯面の振動と、湯面の平均レベル
の目標値への追従速度に影響を与える重要な作用をする
ので、実際のプラントで実験して適正値を決定すること
が望ましい。
【0028】以上で、3次のオブザ−バを用いる場合を
図1に基づき説明を行った。図1では、オブザ−バに注
湯量指令値が入力されているが、注湯量実績値が得られ
る場合は、これを用いる方がよい。
【0029】図3に5次のオブザ−バを用いる場合を示
す。これは、上述のモデルでN=2の場合に基づいてい
る。この場合、オブザ−バは、5個の積分器をもち、5
個の状態が出力される。オブザ−バから出力された5個
の状態から、5個の乗算器、4個の加算器を用いて注湯
量指令値1が演算される。注湯量指令値2は、3次のオ
ブザ−バを用いる場合と全く同様に演算される。注湯量
指令値は、注湯量指令値2と注湯量指令値1から、減算
器を用いて演算される。
【0030】以上の展開は、一般のN(N≧1)につい
て、2N+1次のオブザ−バを用いる場合に拡張され
る。この場合、オブザ−バは、2N+1個の積分器をも
ち、2N+1個の状態が出力される。オブザ−バから出
力された2N+1個の状態から、2N+1個の乗算器、
2N個の加算器を用いて注湯量指令値1が演算される。
注湯量指令値2は、3次のオブザ−バを用いる場合と全
く同様に演算される。注湯量指令値は、注湯量指令値2
と注湯量指令値1から、減算器を用いて演算される。
【0031】
【実施例】本発明をシミュレ−ションにより実施した例
を図2に示す。図2は、図1すなわち3次のオブザ−バ
を用いる場合を実施した例である。実線は本発明の制御
方法適用したときの湯面レベルを、破線は従来のPI制
御方法を適用したときの湯面レベルを示す。図2の
(a)は、時刻t<0で引き抜き速度0.1〔m/s〕
の定常状態の後、t=0で湯面レベル目標値を+1〔c
m〕変更した場合を、図2の(b)は、t=0で引き抜
き速度に+1〔cm/s〕の外乱が加わった場合のモ−
ルドの左端での湯面レベルを示している。横軸は時刻で
単位は〔sec〕、縦軸は左端の湯面レベルで単位は
〔cm〕である。モ−ルドの幅をL=1〔m〕とし、
0.25〔m〕の幅のノズルをノズルの左端とモ−ルド
の中心が一致するように位置している。種々のシミュレ
−ションを行い、湯面レベル測定値の安定性、速応性を
考慮して、各パラメ−タは、 e0 =1, e1 =1, k0 =40, k10 =−240 k11 =−80, k=45 ・・・(8) と設定した。
【0032】PI制御方法(比較例)では、PI制御器
の伝達関数を (c0 +c1 p)/p ・・・・・・(9) としたとき本発明の実施例(本発明例)と速応性が同程
度になるように、各パラメ−タは、 c0 =15, c1 =5 ・・・・・・(10) と設定した。
【0033】図2の(a)は、目標値への追従の様子を
示し、図2の(b)は、外乱の補償の様子を示してい
る。PI制御方法(比較例)では、目標値への追従,外
乱の補償いずれの場合も湯面レベルは振動的であるのに
対して、本発明の制御方法(本発明例)では、目標値へ
の追従,外乱の補償いずれの場合も速やかに行われ、湯
面レベルは実質上振動していない。
【0034】
【効果】本発明によれば、湯面の平均レベルを目標値に
追従させ、外乱を補償するとともに、湯面の振動を積極
的に抑制することができ、連続鋳造においては製品の品
質および歩留まりの向上、操業率の向上、操業時の安全
性の向上の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を、3次のオブザ−バを用いる実施す
る湯面レベル制御系の演算システムを示すブロック図で
ある。
【図2】 本発明を実施する場合と従来例を実施する場
合の湯面レベルの時系列推移を示すグラフであり、図2
の(a)は目標値を変更した直後の湯面レベル変動を、
図2の(b)は鋳片引抜き速度が一時的に変動したとき
の湯面レベル変化を示す。
【図3】 本発明を、5次のオブザ−バを用いる実施す
る湯面レベル制御系の演算システムを示すブロック図で
ある。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−309439(JP,A) 特開 平3−174960(JP,A) 特開 平3−110051(JP,A) 特開 平2−142658(JP,A) 特開 平1−95854(JP,A) 特開 昭56−65214(JP,A) 「線形制御糸の設計理論」、第117〜 119頁、(社)計測自動制御学会、昭和 53年8月31日発行 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/06 340 B22D 11/16 104 B22D 11/18

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 双ベルト連続鋳造の湯面制御方法におい
    て、 (イ)湯面レベル検出器を用いて、湯面レベルを測定
    し、 (ロ)オブザ−バにより、注湯量指令値または注湯量実
    績値と湯面レベル測定値に基づいて、湯面の平均レベル
    および湯面の振動モ−ドを演算し、 (ハ)上記湯面の平均レベルおよび振動モ−ドから注湯
    量指令値1を演算し、 (ニ)湯面レベル目標値と湯面レベル測定値から注湯量
    指令値2を演算し、 (ホ)注湯量指令値1と注湯量指令値2から注湯量指令
    値を演算し、 (ヘ)上記湯量指令値を注湯量操作器に出力する、 ことにより、湯面の平均レベルに影響を与える外乱を補
    償し、湯面の平均レベルを目標値に追従にさせるととも
    に、湯面の振動を抑制することを特徴とする双ベルト連
    続鋳造の湯面制御方法。
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「線形制御糸の設計理論」、第117〜119頁、(社)計測自動制御学会、昭和53年8月31日発行

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