JP3022787B2 - 血清分取分注装置 - Google Patents

血清分取分注装置

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JP3022787B2 JP8306355A JP30635596A JP3022787B2 JP 3022787 B2 JP3022787 B2 JP 3022787B2 JP 8306355 A JP8306355 A JP 8306355A JP 30635596 A JP30635596 A JP 30635596A JP 3022787 B2 JP3022787 B2 JP 3022787B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血清と血餅とが分
離剤にて分離された状態で親検体容器内に収容されてい
る遠心分離処理済みの血液検体から血清のみを分取し、
これを他の子検体容器に分注する血清分取分注装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】生化学的分析等の各種血液検査を行なう
場合、その前処理として、例えば親検体容器としての試
験管内に入れた血液について遠心分離処理を行ない、し
かるのち上記試験管内の血清を分取し、分取した検体を
しかるべき子検体容器としての例えば検査容器に分注す
る等の作業が行なわれる。
【0003】遠心分離処理された血液検体は、例えば試
験管内において、血清と血餅とに分れている。この場
合、血清と血餅との境界面を明確に区分するために、一
般には血清と血餅とがシリコン等からなる分離剤により
分離されている。したがって遠心分離処理された試験管
内の血液検体は、上部から血清、分離剤、血餅の順に三
つの層に分かれたものとなっている。
【0004】上記のような状態となっている試験管内の
血清を分取し、これを検査容器等に分注する公知の装置
として、エア式吸引吐出機構を用いた装置がある。この
装置は、一般に、吸引吐出用ノズル機構の先端に先細形
状をなす中空円錐体状の分取分注用チップを装着し、血
清の分取に際しては、上記分取分注用チップを試験管内
に挿入し、分取分注用チップ内に試験管内の血清のみを
吸い込んで保持し、血清の分注に際しては、当該分取分
注用チップを含む前記ノズル機構全体を所定の位置まで
移動させた後、上記分取分注用チップ内に保持されてい
る血清を所定の検査容器に対して吐出させる如く構成さ
れている。
【0005】ところで遠心分離処理後の試験管内の血液
検体(血清,血餅,分離剤)は、常に整然とした態様を
呈するとは限らず、特に分離剤がしばしば異常な態様を
呈することがある。
【0006】図6の(a)(b)(c)は遠心分離処理
後の試験管1の中の血液検体(血清2,血餅3,分離剤
4)の異常態様例を示す図である。(a)は分離剤4の
血清側分離面すなわち血清2との境界面が激しい凹凸面
Aとなっている場合である。(b)は分離剤4の血清側
分離面が、試験管軸心Oに対して垂直でなく、不特定な
傾斜をもつ傾斜面Bとなっている場合である。(c)は
分離剤4の血清側分離面自体は比較的平坦ではあるが、
血清2の中に分取分注用チップ(不図示)の孔詰りの原
因となるフィブリン5が浮遊している場合である。かか
る状況にある血液検体を前述のエア式吸引吐出機構を用
いた装置で分取分注を行なうと、次のような不具合が生
じる。
【0007】分離剤4が、図6の(a)または(b)に
示すような態様を呈していると、分離剤4の血清側分離
面のレベルが曖昧なものとなるため、血清2の最深部の
レベルも曖昧なものとなる。このため図示しないセンサ
等で検知される血清最深部のレベルに基づいて予め設定
されたチップ挿入限界位置まで分取分注用チップの先端
開口部を下降させると、分取分注用チップの先端開口部
が分離剤4に突入してしまう場合が起こる。その結果、
分取分注用チップの先端開口部に孔詰りが生じるおそれ
があった。
【0008】上記のような不具合の発生を防ぐため、従
来は分取分注用チップの挿入限界位置を大幅に制限する
などの手段を講じていた。しかし、このような手段を講
じると、試験管1内の血清2を残らず分取することがで
きず、折角得た貴重な血清を無駄に費やしてしまうこと
になる。
【0009】他方、図6の(c)に示すように、血清2
の中にフィブリン5が浮遊している場合、これを分取分
注用チップが吸い込んでしまうと、その時点で分取分注
用チップに孔詰りが発生する。このため試験管1内の血
清残量がまだ十分あるにも拘らず、分取作業を中断せざ
るを得ないことになる。かかる事態に対しては、前記分
取分注用チップの挿入限界位置を制限する等の手段を講
じても、その効果はほとんど期待できない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、遠心
分離処理された試験管内の血液検体(血清,血餅,分離
剤)の分離剤が異常な態様を呈している場合には、血清
の最深部レベルが曖昧となり、分取分注用チップの挿入
深さを最適レベルに設定することが困難となる。このた
め分取分注用チップを深く挿入し過ぎてその先端開口部
に孔詰りが生じたり、逆に分取分注用チップの挿入深さ
が不十分なために、折角得られた貴重な血清を十分に吸
い取ることができず、その有効利用がはかれずに損失を
被る等の問題があった。さらにフィブリン吸込みに対す
る有効な対応策がなかった。
【0011】本発明の目的は、下記の血清分取分注装置
を提供することにある。 (a) 分取分注用チップの先端開口部の分離剤による孔詰
りを防止でき、かつ検体容器内の血清を十分に吸い取る
ことのできる血清分取補助手段を備えた血清分取分注装
置。 (b) 分取分注用チップの先端開口部のフィブリンによる
孔詰りを防止でき、分取作業の中断等を回避できる血清
分取補助手段を備えた血清分取分注装置。 (c) 分取分注用チップの先端開口部が、分離剤に突入す
るのを物理的に阻止できる血清分取補助手段を備えた血
清分取分注装置。 (d) 検出された検体レベル情報等に基づいて、血清の分
取分注操作を的確に行なえる制御手段を備えた血清分取
分注装置。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決し目的を
達成するために、本発明の血清分取分注装置は以下に示
す如く構成されている。 (1)本発明の血清分取分注装置は、血清と血餅とが分
離剤にて分離された状態で親検体容器内に収容されてい
る遠心分離処理済みの血液検体から血清のみを分取し、
これを他の子検体容器に分注する血清分取分注装置にお
いて、円筒籠形をなし、外周面が前記検体容器の内周面
に略密着した状態を保ちながら上記検体容器内に挿入可
能な如く設けられ、内部が分取分注用チップを挿入可能
な空間となっている装填部材と、この装填部材の下端部
に前記検体容器の軸心と垂直な状態に設けられ、外面が
平坦面となっている平坦化部材と、からなり、前記装填
部材を前記検体容器内に挿入することにより、前記平坦
化部材を前記検体容器内に入っている血清の上部領域か
ら下部領域へ下降させ、当該平坦化部材の平坦面を前記
分離剤の血清側分離面に対して押し付けた状態に装填す
ることにより、上記分離面を平坦化すると共に上記平坦
化部材の装填後において前記分取分注用チップを前記検
体容器内へ挿入可能とした血清分取補助手段を備えたこ
とを特徴としている。 (2)本発明の血清分取分注装置は、血清と血餅とが分
離剤にて分離された状態で親検体容器内に収容されてい
る遠心分離処理済みの血液検体から血清のみを分取し、
これを他の子検体容器に分注する血清分取分注装置にお
いて、大径部と中径部と小径部とが連接され、上記大径
部の外周面が前記検体容器の内周面に略密着した状態を
保ちながら上記小径部側から前記検体容器内に挿入可能
な如く設けられ、内部が分取分注用チップを挿入可能な
空間となっており、複数のスリットを前記大径部および
小径部の各周壁にそれぞれ設けた略円筒状をなす装填部
材と、この装填部材の下端部に前記検体容器の軸心と垂
直な状態に設けられ、外面が平坦面となっている平坦化
部材と、からなり、前記装填部材を前記検体容器内に挿
入することにより、前記平坦化部材を前記検体容器内に
入っている血清の上部領域から下部領域へ下降させ、当
該平坦化部材の平坦面を前記分離剤の血清側分離面に対
して押し付けた状態に装填することにより、上記分離面
を平坦化すると共に上記平坦化部材の装填後において前
記分取分注用チップを前記検体容器内へ挿入可能とした
血清分取補助手段を備えたことを特徴としている。 (3)本発明の血清分取分注装置は、血清と血餅とが分
離剤にて分離された状態で親検体容器内に収容されてい
る遠心分離処理済みの血液検体から血清のみを分取し、
これを他の子検体容器に分注する血清分取分注装置にお
いて、大径部と中径部と小径部とが連接され、上記大径
部の外周面が前記検体容器の内周面に略密着した状態を
保ちながら上記小径部側から前記検体容器内に挿入可能
な如く設けられ、内部が分取分注用チップを挿入可能な
空間となっており、複数のスリットを前記大径部および
小径部の各周壁にそれぞれ設けた略円筒状をなす装填部
材と、この装填部材の下端部に前記検体容器の軸心と垂
直な状態に設けられ、外面が平坦面となっている平坦化
部材と、前記装填部材の上端開口部の周縁に設けられ、
検体レベル情報を得るための標示部と、からなり、前記
装填部材を前記検体容器内に挿入することにより、前記
平坦化部材を前記検体容器内に入っている血清の上部領
域から下部領域へ下降させ、当該平坦化部材の平坦面を
前記分離剤の血清側分離面に対して押し付けた状態に装
填することにより、上記分離面を平坦化すると共に上記
平坦化部材の装填後において前記分取分注用チップを前
記検体容器内へ挿入可能とした血清分取補助手段を備え
たことを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)本実施形態における血清分取分注装置
は、親検体容器としての試験管1内に、血清2と血餅3
とが分離剤4により分離された状態で収容されている遠
心分離処理済みの血液検体から血清2のみを分取し、こ
れを他の子検体容器としての検査容器100に分注する
ための装置である。
【0014】図1の(a)(b)(c)は第1実施形態
に係る血清分取分注装置の血清分取補助手段の構成およ
び作用を示す図である。図1の(a)(b)(c)に示
すように、遠心分離処理後の血液検体は、親検体容器で
ある試験管1の中に、血清2と血餅3とがシリコン等か
らなる分離剤4にて分離された状態で入っている。
【0015】一方、血清分取補助手段10は、シャフト
状装填部材11の先端(図中下端)に、平坦化部材12
の中心部13を着脱自在に螺合させたものとなってい
る。平坦化部材12は、少なくともその図中下端面が平
坦面Fとなっている円板からなり、その平坦面Fを試験
管1の中の分離剤4の血清側分離面4aに押しつけるこ
とにより、上記分離面4aを平坦化し得るものとなって
いる。
【0016】前記シャフト状装填部材11は、エアピス
トン/シリンダ・デバイス等からなる駆動機構14によ
って、矢印MおよびNで示す如く、図中上下方向への往
復駆動、および矢印Rで示す如く軸回り方向への回転駆
動、がなされるものとなっている。なお上記シャフト状
装填部材11が試験管1の軸心と平行に安定して移動す
ることが可能なように、上記シャフト状装填部材11は
適宜な形状をなすガイド部材15によって案内されるも
のとなっている。
【0017】かくしてシャフト状装填部材11は、その
先端に螺合している平坦化部材12を試験管1内の血清
2の上部領域から下部領域へ向けて下降させ、上記平坦
化部材12の平坦面Fを前記分離剤4の血清側分離面4
aに対して設定された姿勢(この実施形態では水平な姿
勢)で押し付けて装填すると共に、この装填後におい
て、シャフト状装填部材11の先端(図中下端)を平坦
化部材12の中心部13から離脱させて試験管1の外方
へ引き上げることにより、装填後の試験管1内に、分取
分注用チップ7を挿入可能な空間Gを保有する如く設け
られている。
【0018】なお試験管1の外周面には、検体ナンバー
および当該試験管1内に収容される血液検体がどのよう
な種類のものであるかを示す情報を、例えばバーコード
を用いて記録したラベル6が貼られている。このラベル
6に記録されているバーコード情報すなわち検体ナンバ
ーを含む所要情報Xは、後述するバーコードリーダ21
によって読み取られる。また分離剤4の血清側分離面4
aの高さレベルLa、ないし前記分離剤4の血餅側分離
面4bの高さレベル(=血餅全長)Lbの少なくとも一
方は、後述する検体レベルセンサ22によって検出され
る。
【0019】図2は第1実施形態に於ける分取分注操作
機構20の構成を示すブロック図である。この分取分注
操作機構20は、バーコードリーダ21で読み取られた
情報X,検体レベルセンサ22で検出された情報Y、さ
らに端子Tから入力するチップ孔詰り等の情報Z等に基
づいて、前記血清2の分取分注操作を行なう機構であ
る。
【0020】バーコードリーダ21は、例えば周知の反
射式光学的読取り手段を用いたものである。また検体レ
ベルセンサ22は、例えば発光素子と受光素子とを試験
管1の両側に配置し、これらを試験管1の軸方向に沿っ
て移動させながら、上記試験管1を透過する光の透過率
の変化を検出することにより、血清2と分離剤4と血餅
3との境界位置(レベル)を認識する如く構成されてい
る。
【0021】バーコードリーダ21にて読み取られた検
体ナンバーを含む所要情報X、および検体レベルセンサ
22で検出された高さレベルLaないしLbを含む検体
レベル情報Y、端子Tから入力するチップ孔詰り等の情
報Zは、メインコントローラ23に入力する。
【0022】メインコントローラ23は、入力した情報
X,Y,Z等に基づいて作動し、位置制御装置24およ
び吸排気装置25に対して制御信号V,Wを与えると共
に、前述した駆動機構14に対して駆動制御信号Dを送
出する。また装置に何らかの異常が発生した時には緊急
停止制御信号Uを発する。
【0023】位置制御装置24は、メインコントローラ
23から与えられる制御信号Vに基づいて、前記分取分
注用チップ7が装着された状態のノズル機構8を上下左
右の三軸方向へ移動させるための移動機構9を、所要の
状態に駆動制御する。
【0024】吸排気装置25は、メインコントローラ2
3から与えられる制御信号Wに基づいて吸気または排気
を行ない、これによって親検体容器である試験管1から
前記分取分注用チップ7内に血清2を吸い込んで保持し
たり、分取分注用チップ7内に保持している血清2を子
検体容器である検査容器100へ吐出したりする。
【0025】なおメインコントローラ23から緊急停止
制御信号Uが発せられた時は、位置制御装置24,吸排
気装置25,駆動機構14等が、いずれも直ちに緊急に
停止し、装置全体を緊急停止させるものとなっている。
【0026】次に、第1実施形態に係る血清分取分注装
置の動作を説明する。まず親検体容器である試験管1の
血液検体から血清2を分取する場合の動作を説明する。
図1の(a)に示すように、試験管1の中には遠心分離
処理後の血液検体(血清2,血餅3,分離剤4)が入っ
ている。なお本実施形態においては、上記分離剤4の血
清側分離面4aすなわち血清2との境界面は、凹凸面A
となっているものとする。
【0027】分取分注操作機構20を作動させると、メ
インコントローラ23から駆動制御信号Dが送出され、
駆動機構14が作動開始する。そうすると、図1の
(a)に矢印Mで示すように、血清分取補助手段10の
シャフト状装填部材11が上方から下方へ移動する。こ
れに伴い平坦化部材12は試験管1の中へ徐々に下降し
ていく。平坦化部材12の図中下端面が分離剤4の上面
に接する位置まで下降すると、検体レベルセンサ22が
働き、その出力に基づいて駆動機構14に制動がかか
る。このため平坦化部材12は下端面が分離剤4の上面
に接した位置から若干下降し、平坦化部材12の平坦面
Fが分離剤4の上面を軽く押圧した状態で停止する。こ
のような動作が行なわれることによって、分離剤4の上
面すなわち血清側分離面は、試験管1の軸心に略垂直な
状態に平坦化される。
【0028】次に駆動機構14によってシャフト状装填
部材11は設定された方向へ回転駆動される。このた
め、同シャフト状装填部材11の先端と平坦化部材12
の中心部13との螺合が解かれる。しかるのち上記シャ
フト状装填部材11は駆動機構14によって、図1の
(b)に矢印で示すように、試験管1の外方へ引き上げ
られる。このとき平坦化部材12は、試験管1の内部の
分離剤4の上面に密着した状態のまま、試験管1の内部
に止どまる。
【0029】かくして試験管1内の平坦化部材12の上
方領域には、空間Gが確保されることになる。この空間
Gは、図1の(c)に示すように、分取分注用チップ7
を矢印で示す如く挿入可能とするための空間である。
【0030】このような状態になったところで、メイン
コントローラ23から検体レベルセンサ22の検体レベ
ル情報Yに基づいた制御信号Vが送出されると、位置制
御装置24が作動する。このため移動機構9が駆動制御
され、分取分注用チップ7は試験管1の中へ下降挿入さ
れていく。この分取分注用チップ7の先端部が平坦化部
材12の上面に近接したレベルに到達したところで、上
記の下降動作制御は停止する。
【0031】ここでメインコントローラ23からの制御
信号Wが送出されると、これに基づいて吸排気装置25
が作動する。このため分取分注用チップ7により一定の
吸気が行なわれる。そうすると、試験管1内の血清2が
分取分注用チップ7の中に吸い込まれ、且つその状態が
保持される。しかる後、位置制御装置24が再び作動
し、分取分注用チップ7は上方へ引き上げられる。かく
して血清2の分取が行なわれる。
【0032】次いで、分取分注用チップ7の中に保持さ
れている血清2を子検体容器である検査容器100に吐
出し、分注を行なう場合の動作を説明する。検体ナンバ
ーを含む所要情報Xに応じて、メインコントローラ23
から制御信号Vが送出されると、位置制御装置24が作
動し、移動機構9を駆動制御する。このため血清2を保
持した分取分注用チップ7は所定位置まで移送され、所
定の検査容器100の上方に位置決めされる。この位置
において、メインコントローラ23から制御信号Wが送
出されると、この制御信号Wに基づいて、吸排気装置2
5は前述の場合とは逆の動作を行なう。そうすると、分
取分注用チップ7に保持されていた血清2は、所定の検
査容器100内へ吐出される。かくして血清2の分注が
行なわれる。
【0033】上記した第1実施形態の装置においては、
遠心分離処理の結果、分離剤4の血清側分離面4aが凹
凸状を呈していたり、試験管1の軸心に対して不特定な
傾斜を呈していても、上記分離剤4の血清側分離面4a
は、血清2の分取に先駆けて平坦化部材12の平坦面F
で押圧されて平坦化される。このため、分離剤4の血清
側分離面4aのレベルLaないし血餅側分離面4bのレ
ベルLbが検体レベルセンサ22により的確に検知され
ることになる。
【0034】したがって分取分注用チップ7の挿入度を
適正に定めることができ、分離剤4の血清側分離面4a
が非平坦であることに起因する弊害を除去できる。また
分取分注用チップ7の先端開口部を分離面4a(本実施
形態では平坦化部材12の上面となる)に最大限接近さ
せ得るので、血清2を殆ど残さず十分に吸い取ることが
できる。
【0035】また血清2中にフィブリン5が浮遊してい
ても、平坦化部材12が血清2の上部領域から下部領域
へ下降する過程において、上記フィブリン5は平坦化部
材12によって下方へ追いやられ、分離剤4の上面に押
し付けられる。このため、血清2中のフィブリン5が分
取分注用チップ7に吸い込まれるおそれは少く、分取時
においてフィブリン5による分取分注用チップ7の先端
開口部の孔詰り発生を回避できる。
【0036】さらに本実施形態においては、平坦化部材
12が分離剤4の上面に密着した状態で試験管1内にそ
のまま止どまるので、制御精度不良などにより、分取分
注用チップ7の先端開口部が血清2の最深部に達した後
に分取分注用チップ7の下降操作が引き続き行なわれた
場合でも、分取分注用チップ7の先端開口部が平坦化部
材12の上面に当接したところで下降はストップしそれ
以下には下降しない。したがって分取分注用チップ7が
分離剤4に突入するのを物理的に阻止できる。その結
果、分取分注用チップ7の先端開口部の分離剤4による
孔詰りを確実に防止できる。なお上記の状態が継続した
場合には、メインコントローラ23から緊急停止制御信
号Uが送出され、装置が停止する。
【0037】なお分取分注用チップ7の挿入限界位置
を、極めて精度良く設定制御できる場合等においては、
シャフト状装填部材11を引き上げる際に平坦化部材1
2も同時に引上げるように構成しても良い。
【0038】ところで、本実施形態においては、一方に
おいて、ラベル6に記録されているバーコードからなる
検体ナンバーを含む所要情報Xが、バーコードリーダ2
1によって読み取られる。そして他方において、分離剤
4の血清側分離面4aの高さレベルLaが極めて明確化
される結果、この分離剤4の血清側分離面4aの高さレ
ベルLaないし分離剤4の血餅側分離面4bの高さレベ
ル(血餅全長)Lbの少なくとも一方が、検体レベルセ
ンサ22により的確に検出され、検体レベル情報Yが得
られる。そしてこれらの入力情報X,Yに基づいて、メ
インコントローラ23が作動し、所要の制御信号V,W
が発せられ、血清2の分取分注操作が行なわれるので、
従来のように曖昧な検体レベル情報に基づく制御とは異
なり、極めて的確な分取分注操作制御を行なえる。
【0039】(第2実施形態)図3の(a)(b)
(c)および(d)は本発明の第2実施形態に係る血清
分取分注装置における血清分取補助手段30の構成およ
び動作を示す図である。図3の(a)(b)(c)およ
び(d)に示すように、第2実施形態に係る血清分取補
助手段30は、第1実施形態において示したものとほぼ
同様に構成されたシャフト状装填部材31と平坦化部材
32とからなっている。
【0040】円盤状をなす平坦化部材32には、その円
周方向に沿って、表裏両面を貫通する如く複数(本実施
形態では4個)の透孔33が設けられている。また平坦
化部材32の平坦面F上には、やはり円周方向に沿って
複数(本実施形態では4個)の回り止め突起34が設け
られている。さらに平坦化部材32の中心部には、表裏
両面を貫通する如く螺合孔35が設けられている。平坦
化部材32の表面側の中央部位には、切り込み部Sを十
字状に設けられた短円筒状をなす結合部36が突設され
ている。この結合部36は前記螺合孔35の雌ねじ部に
連なる雌ねじ部を内周面に有している。
【0041】かくして前記シャフト状装填部材31の先
端(図中下端)に設けてある雄ねじ部37が、上記結合
部36の雌ねじ部および螺合孔35の雌ねじ部に対し、
着脱自在に螺合可能となっている。
【0042】したがって本実施形態の血清分取補助手段
30においては、平坦化部材32が試験管1内に装填さ
れた際、平坦化部材32の回り止め突起34が分離剤4
の上面に対して食い込んだ状態を呈する。したがって、
シャフト状装填部材31を平坦化部材32から離脱させ
るべく、その軸心を中心として回転操作したとき、平坦
化部材32が一緒に回転してしまうのを阻止できる。こ
のためシャフト状装填部材31を平坦化部材32から容
易かつ確実に取り外すことができる。
【0043】なお平坦化部材32には複数の透孔33が
等間隔で設けられており、かつ結合部36には切り込み
Sが十字状に設けられている。したがって平坦化部材3
2が分離剤4の上面に密着した際、血清2はこれらの透
孔33を通して平坦化部材32の上面にスムーズに導き
出される。このため平坦化部材21の上に導き出された
血清2を的確に吸い取ることができる。
【0044】上記した点以外は第1実施形態と同様であ
るので説明は省略する。 (第3実施形態)図4の(a)(b)(c)および
(d)は、本発明の第3実施形態に係る血清分取分注装
置における血清分取補助手段40の構成および動作を示
す図である。図4の(a)に示すように、第3実施形態
の血清分取補助手段40は、樹脂などで一体的に形成さ
れた円筒籠形をなす装填部材41と、この装填部材41
の図中下端部に形成された外面が平坦面Fとなっている
平坦化部材42とからなっている。平坦化部材42には
その表裏両面を貫通する透孔43が設けられている。装
填部材41の図中上端部および中間部には、補強リング
44,45が設けられている。
【0045】なお円筒籠形をなす装填部材41の内部に
は、分取分注用チップ7を試験管1の中へ挿入可能な空
間Gが確保されている。血清2を分取するに際しては、
前述した駆動機構14によって、図4の(b)(c)に
示すように、血清分取補助手段40が試験管1の中へ挿
入される。このとき、装填部材41の外周面は試験管1
の内周面に略密着した状態を保ちながら試験管1内に滑
り込むことになる。このため、平坦化部材52は血清2
の中を通り、分離剤4の上面に到達する。そして若干下
方へ押え込まれる。その結果、図4の(c)に示すよう
に、分離剤4の上面は試験管1の軸心と垂直な状態に保
たれている平坦化部材42の平坦面Fによって平坦化さ
れる。
【0046】したがって分取分注用チップ7は、試験管
1の中へスムーズに挿入され、その先端開口部が分離剤
4の血清側分離面4aに最大限接近した位置、即ち平坦
化部材42の内面に到達した位置で停止することにな
る。かくして血清2の分取が的確に行なえる状態とな
る。
【0047】本実施形態の装置においては、円筒籠形を
なす装填部材41と平坦化部材42とが一体化されてい
る為、平坦化部材42の姿勢が安定に保たれるという利
点がある。また装填部材41は平坦化部材42の装填が
終了した後においても外部へ引き出されない。しかし装
填部材41には、分取分注用チップ7をその内部へ挿入
可能な空間Gを保有している為、そのままの状態で何ら
支障なく分取操作を行なうことができる。
【0048】上記した点以外は第1実施形態と同様であ
るので説明は省略する。 (第4実施形態)図5の(a)(b)(c)は、本発明
の第4実施形態に係る血清分取分注装置における血清分
取補助手段50の構成および動作を示す図である。図5
の(a)(b)(c)に示すように、この第4実施形態
の血清分取補助手段50は、略円筒状をなす装填部材5
1と、この装填部材51の図中下端部に形成された外面
が平坦面Fとなっている平坦化部材52と、この装填部
材51の図中上端の開口部周縁に設けられた標示部56
とからなっている。
【0049】装填部材51は、樹脂等で一体成形された
ものであり、図中上端部位が大径部51aとなってお
り、中間部位が中径部51bとなっており、図中下端部
位が小径部51cとなっている。なお大径部51aおよ
び小径部51cには、スリット54,55がそれぞれ設
けてある。平坦化部材52には、その表裏両面を貫通す
る4個の透孔53が設けられている。標示部56は、装
填部材51の上端開口部に立設されており、例えば光電
素子等からなるセンサ57により、その存在を検知され
得るものとなっている。なお円筒形をなす装填部材51
の内部には、分取分注用チップ7を試験管1の中へ挿入
可能な空間Gが確保されている。
【0050】血清2を分取するに際しては、前述した駆
動機構14によって、図5の(c)に示すように、血清
分取補助手段50が試験管1の中へ挿入される。このと
き装填部材51は、小径部51c,中径部51b,大径
部51aの順に挿入されていく。このため平坦化部材5
2は血清2の中を通り、分離剤4の上面に到達する。そ
して若干下方へ押え込まれる。このとき大径部51aの
外周面が試験管1の内周面に略密着した状態となる。そ
の結果、図5の(c)に示すように、分離剤4の上面は
試験管1の軸心と垂直な状態に保たれている平坦化部材
52の平坦面Fによって平坦化される。
【0051】この状態において、装填部材51の開口部
周辺に立設されている標示部56がセンサ57で検知さ
れる。この検知された情報は前記検体レベル情報Yに代
る検知情報Y′として、メインコントローラ23に入力
する。メインコントローラ23では、入力した検知情報
Y′に基づいた演算が内蔵の演算部等で行なわれ、分離
剤4の血清側分離面4aのレベルLaないし分離剤4の
血餅側分離面4bのレベルLbが、間接的に検知され
る。したがって前述の場合と同様に、メインコントロー
ラ23から位置制御装置24に対して制御信号Vが与え
られる。
【0052】かくして分取分注用チップ7は、試験管1
の中へスムーズに挿入され、その先端開口部が分離剤4
の血清側分離面4aに最大限接近した位置、即ち平坦化
部材52の内面に到達した位置で停止することになる。
かくして血清2の分取が的確に行なえる状態となる。
【0053】本実施形態の装置においては、分離剤4の
血清側分離面4aのレベルLaないし分離剤4の血餅側
分離面4bのレベルLbが、装填部材51に設けた標示
部56をセンサ57によって検知することにより、間接
的に検知されることになる。したがって、分離剤4の血
清側分離面4aのレベルLaないし分離剤4の血餅側分
離面4bのレベルLbを、光透過率の変化から直接的に
検知するようにした検知手段等に比べて、検知スピード
が速くかつ明確な検知信号が得られる等の利点を有す
る。また装填部材51が、大径部51aと中径部51b
と小径部51cとからなり、全体が先細形状をなしてい
るので、試験管1への挿脱操作をスムーズに行なえると
いう利点もある。
【0054】上記した点以外は第3実施形態の場合と同
様であるので説明は省略する。 (変形例)上述した実施形態に示された血清分取分注装
置は下記の変形例を含んでいる。・平坦化部材の平坦面
を親検体容器としての試験管1の軸心に対して特定の傾
きをもった傾斜面となし、分離剤4の血清分離面4a
を、上記傾斜面にしたがった特定の傾斜平坦面と成すよ
うにしたもの。上記の場合においても、特定の傾斜平坦
面を予め認識した上で所定の制御が行なわれる限り、前
述の実施形態において示した装置とほぼ同様の作用効果
を期待できる。
【0055】(実施形態の特徴点)上述した実施形態に
示された血清分取分注装置の特徴点をまとめると次の通
りである。 [1]実施形態に示された血清分取分注装置は、血清
(2) と血餅(3) とが分離剤(4) にて分離された状態で親
検体容器(1) 内に収容されている遠心分離処理済みの血
液検体から血清(2) のみを分取し、これを他の子検体容
器(100) に分注する血清分取分注装置において、一端部
に平坦面(F) を有し、この平坦面(F) で前記親検体容器
(1) 内の分離剤(4) の血清側分離面(4a)を押圧すること
により上記分離面(4a)を平坦化する平坦化部材(12,32,4
2,52) と、この平坦化部材(12,32,42,52) を前記親検体
容器(1)内の血清(2) の上部領域から下部領域へ下降さ
せ上記平坦化部材(12,32,42,52)の平坦面(F) を前記分
離剤(4) の血清側分離面(4a)に対して設定された姿勢で
押し付けて装填すると共に、この装填後の前記親検体容
器(1) 内に分取分注用チップ(7) を挿入可能な空間(G)
を保有する如く設けられた装填部材(11,31,41,51)と、
からなる血清分取補助手段(10)を備えたものとなってい
る。
【0056】上記血清分取分注装置においては、分離剤
(4) の血清側分離面(4a)が、凹凸面(A) を呈していた
り、親検体容器(1) の軸心に対して不特定な傾斜面(B)
を呈していても、上記血清側分離面(4a)は血清(2) の分
取に先駆けて平坦化部材(12)の平坦面(F) による押圧操
作で平坦(水平面および特定された傾斜面を含む)な状
態に修正される。このため、血清(2) の最深部レベルを
明確に特定することができ、分離剤(4) の血清側分離面
(4a)のレベル(La)ないし血餅側分離面(4b)のレベル(Lb)
を、検体レベルセンサ(22)により正確に検出することが
可能になる。したがって分取分注用チップ(7) の挿入度
を最適レベルに設定可能である。このため血清分離剤
(4) の分離面が非平坦であることに起因する分取分注用
チップ(7) の先端開口部の孔詰りを防止でき、且つ親検
体容器(1) 内の血清(2) を殆ど残さずに分取することが
可能となる。
【0057】また、平坦化部材(12)が血清(2) の上部領
域から下部領域へ下降する過程において、血清(2) 中に
浮遊しているフィブリン(5) は上記平坦化部材(12)によ
って下方へ追いやられ、分離剤(4) の上面に押し付けら
れることになる。このため血清(2) 中のフィブリン(5)
は殆ど除去される。したがって血清分取時におけるフィ
ブリン吸込みによる分取分注用チップ(7) の孔詰り発生
を防止でき、分取作業の中断等を回避できるる利点があ
る。 [2]実施形態に示された血清分取分注装置は、血清
(2) と血餅(3) とが分離剤(4) にて分離された状態で親
検体容器(1) 内に収容されている遠心分離処理済みの血
液検体から血清(2) のみを分取し、これを他の子検体容
器(100) に分注する血清分取分注装置において、一端部
に平坦面を有し、この平坦面で前記親検体容器(1) 内の
分離剤(4) の血清側分離面(4a)を押圧することにより、
上記分離面(4a)を平坦化する平坦化部材(12,32,42,52)
と、この平坦化部材(12,32,42,52) を前記検体容器(1)
内の血清(2) の上部領域から下部領域へ下降させ、上記
平坦化部材(12,32,42,52) の平坦面(F) を前記分離剤
(4) の血清側分離面(4a)に対して設定された姿勢で押し
付けて装填すると共に、この装填後の前記検体容器(1)
内に、分取分注用チップ(7)を挿入可能な空間(G) を保
有する如く設けられた装填部材(11,31,41,51) と、前記
平坦化部材(12,32,42,52) によって平坦化された前記分
離剤(4) の血清側分離面(4a)の高さレベル(La)ないし前
記分離剤(4) の血餅側分離面の高さレベル(血餅全長)
(Lb)の少なくとも一方を検出する検体レベルセンサ(22)
と、この検体レベルセンサ(22)で検出された検体レベル
情報(Y) に基づいて、前記血清(2) の分取分注操作を行
なう分取分注操作機構(20)とを具備したものとなってい
る。
【0058】上記血清分取分注装置においては、前記
[1]と同様の作用効果を奏する上、血清(2) の分取開
始に際し平坦化部材(12,32,42,52) により平坦化された
分離剤(4) の血清側分離面(4a)の高さレベル(La)ないし
分離剤(4) の血餅側分離面(4b)の高さレベル(血餅全
長)(Lb)の少なくとも一方を検体レベル情報(Y) とする
ことができる。このため検出された上記検体レベル情報
(Y) に基づいて血清(2) の分取分注操作を的確に行なえ
るものとなる。 [3]実施形態に示された血清分取分注装置は、上記
[1]に記載した装置であって、かつ平坦化部材(12,3
2) と装填部材(11,31,41,51) とは着脱自在に結合され
ており、平坦化部材(12,32) は、装填部材(11,31,41,5
1) によって親検体容器(1) の中に装填されたのち、装
填部材(11,31,41,51) とは切り離されて、親検体容器
(1) の中にそのままの状態で残留するものとなってい
る。
【0059】上記血清分取分注装置においては、前記
[1]と同様の作用効果を奏する上、平坦化部材(12)が
分離剤(4) の上面に密着した状態で親検体容器(1) 内に
そのまま止どまるので、制御精度不良などにより、分取
分注用チップ(7) の先端開口部が血清(2) の最深部に達
した後に分取分注用チップ(7) の下降操作が引き続き行
なわれた場合でも、分取分注用チップ(7) の先端開口部
が平坦化部材(12)の上面に当接したところで下降はスト
ップしそれ以下には下降しない。したがって分取分注用
チップ(7) が分離剤(4) に突入するのを確実に阻止で
き、分離剤(4) による孔詰りを防止できる。 [4]実施形態に示された血清分取分注装置は、上記
[3]に記載した装置であって、かつ平坦化部材(12,3
2) の中心部に形成されている装填部材(11,31) との螺
合孔(13,36) に、分取分注用チップ(7) の先端を当てが
って血清の分取を行なうものとなっている。
【0060】上記血清分取分注装置においては、前記
[3]と同様の作用効果を奏する上、分取分注用チップ
(7) の先端が螺合孔(13,36) によって支えられる形態と
なるので、分取分注用チップ(7) の姿勢が安定に保持さ
れる上、分取分注用チップ(7)の先端が分離剤(4) へ突
入するのを阻止され、しかも螺合孔(13,36) 内に溜って
いる血清(2) も十分に吸い上げることが可能である。 [5]実施形態に示された血清分取分注装置は、上記
[3]に記載した装置であって、かつ平坦化部材(12,3
2,42,52) は、表裏を貫通する1または複数の貫通孔(1
3,33,43,53) を備えている。
【0061】上記血清分取分注装置においては、前記
[3]と同様の作用効果を奏する上、貫通孔(13,33,43,
53) を通して血清(2) が平坦化部材(12,32,42,52) の上
方へ導出させ得るので、血清(2) を十分に吸い上げるこ
とができる上、平坦化部材(12,32,42,52) を分離剤4の
血清側分離面4aに対して安定に密着させることができ
る。 [6]実施形態に示された血清分取分注装置は、上記
[3]に記載した装置であって、かつ平坦化部材(32)
は、その裏面の平坦面(F) の複数箇所に、回り止め突起
(34)を有している。
【0062】上記血清分取分注装置においては、前記
[3]と同様の作用効果を奏する上、装填部材(11)を平
坦化部材(32)から離脱させるべく回転させたとき、平坦
化部材(32)が一緒に回転してしまうのを阻止できる。こ
のため容易かつ確実に装填部材(11)の取り外しができ
る。 [7]実施形態に示された血清分取分注装置は、上記
[1]に記載した装置であって、かつ血清分取補助手段
(40)は、円筒籠形をなす装填部材(41)と、この装填部材
(41)の先端部に形成された外面が平坦面(F) となってい
る平坦化部材(42)とからなっている。
【0063】上記血清分取分注装置においては、前記
[1]と同様の作用効果を奏する上、円筒籠形をなす装
填部材(41)と平坦化部材(42)とが一体化されている為、
平坦化部材(42)の姿勢が安定に保たれるという利点があ
る。また装填部材(41)は平坦化部材(42)の装填が終了し
た後においても外部へ引き出されない。しかし装填部材
(41)には分取分注用チップ(7) をその内部へ挿入可能な
空間(G) を保有している為、そのままの状態で何ら支障
なく分取操作を行なうことができる。 [8]実施形態に示された血清分取分注装置は、上記
[1]に記載した装置であって、かつ血清分取補助手段
(50)は、大径部(51a) と中径部(51b) と小径部(51c) と
が連設された略円筒状の装填部材(51)と、この装填部材
(51)の先端部に形成された外面が平坦面(F) となってい
る平坦化部材(52)とからなっている。
【0064】上記血清分取分注装置においては、前記
[1]と同様の作用効果を奏する上、前記[7]と同様
に略円筒状の装填部材(51)と平坦化部材(52)とが一体化
されている為、平坦化部材(52)の姿勢が安定に保たれる
という利点がある。また装填部材(51)が、大径部(51a)
と中径部(51b) と小径部(51c) とからなり、全体が先細
形状をなしているので、親検体容器(1) への挿脱操作を
スムーズに行なえるという利点がある。 [9]実施形態に示された血清分取分注装置は、上記
[1]に記載した装置であって、かつ検体レベル情報
(Y) は、平坦化部材(12,32,42,52) の装填終了時におけ
る装填部材(11,31,41,51) の挿入度を、装填部材(11,3
1,41,51) (51)に取り付けた標示部(56)をセンサ(57)で
検知することにより得るものとなっている。
【0065】上記血清分取分注装置においては、前記
[1]と同様の作用効果を奏する上、分離剤(4) の血清
側分離面(4a)のレベル(La)、ないし分離剤(4) の血餅側
分離面(4b)のレベル(Lb)を含む情報が、装填部材(51)に
設けた標示部(56)をセンサ(57)で検知することによっ
て、間接的に知ることができる。したがって分離剤(4)
の血清側分離面4aのレベルLaないし分離剤4の血餅
側分離面4bのレベルLbを、光透過率の変化から直接
的に検知するようにした検知手段等に比べて、検知スピ
ードが速くかつ明確な検知信号が得られる等の利点を有
する。
【0066】
【発明の効果】本発明によれば、下記のような血清分取
分注装置を提供することができる。 (a) 分取分注用チップの先端開口部の分離剤による孔詰
りを防止でき、かつ検体容器内の血清を十分に吸い取る
ことのできる血清分取補助手段を備えた血清分取分注装
置。 (b) 分取分注用チップの先端開口部のフィブリンによる
孔詰りを防止でき、分取作業の中断等を回避できる血清
分取補助手段を備えた血清分取分注装置。 (c) 分取分注用チップの先端開口部が、分離剤に突入す
るのを物理的に阻止できる血清分取補助手段を備えた血
清分取分注装置。 (d) 検出された検体レベル情報等に基づいて、血清の分
取分注操作を的確に行なえる制御手段を備えた血清分取
分注装置。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る血清分取分注装置
における血清分取補助手段の構成および作用を示す図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る血清分取分注装置
における分取分注操作機構の構成を示すブロック図。
【図3】本発明の第2実施形態に係る血清分取分注装置
における血清分取補助手段の構成および動作を示す図。
【図4】本発明の第3実施形態に係る血清分取分注装置
における血清分取補助手段の構成および動作を示す図。
【図5】本発明の第4実施形態に係る血清分取分注装置
における血清分取補助手段の構成および動作を示す図。
【図6】従来技術の問題点を説明するための図で、
(a)(b)(c)は遠心分離処理後の分離剤の異常態
様例をそれぞれ示す図。
【符号の説明】
1…試験管(親検体容器) 2…血清 3…血餅 4…分離剤 5…フィブリン 6…ラベル 7…分取分注用チップ 8…ノズル機構 9…移動機構 G…空間 10,30,40,50…血清分取補助手段 11,31,41,51…装填部材 12,32,42,52…平坦化部材 14…駆動機構 15…ガイド部材 56…標示部 57…センサ 100…検査容器(子検体容器)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/48 G01N 1/00 101 G01N 35/02 B01L 3/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】血清と血餅とが分離剤にて分離された状態
    で親検体容器内に収容されている遠心分離処理済みの血
    液検体から血清のみを分取し、これを他の子検体容器に
    分注する血清分取分注装置において、 円筒籠形をなし、外周面が前記検体容器の内周面に略密
    着した状態を保ちながら上記検体容器内に挿入可能な如
    く設けられ、内部が分取分注用チップを挿入可能な空間
    となっている装填部材と、 この装填部材の下端部に前記検体容器の軸心と垂直な状
    態に設けられ、外面が平坦面となっている平坦化部材
    と、 からなり、前記装填部材を前記検体容器内に挿入するこ
    とにより、前記平坦化部材を前記検体容器内に入ってい
    る血清の上部領域から下部領域へ下降させ、当該平坦化
    部材の平坦面を前記分離剤の血清側分離面に対して押し
    付けた状態に装填することにより、上記分離面を平坦化
    すると共に上記平坦化部材の装填後において前記分取分
    注用チップを前記検体容器内へ挿入可能とした血清分取
    補助手段を備えたことを特徴とする血清分取分注装置。
  2. 【請求項2】血清と血餅とが分離剤にて分離された状態
    で親検体容器内に収容されている遠心分離処理済みの血
    液検体から血清のみを分取し、これを他の子検体容器に
    分注する血清分取分注装置において、 大径部と中径部と小径部とが連接され、上記大径部の外
    周面が前記検体容器の内周面に略密着した状態を保ちな
    がら上記小径部側から前記検体容器内に挿入可能な如く
    設けられ、内部が分取分注用チップを挿入可能な空間と
    なっており、複数のスリットを前記大径部および小径部
    の各周壁にそれぞれ設けた略円筒状をなす装填部材と、 この装填部材の下端部に前記検体容器の軸心と垂直な状
    態に設けられ、外面が平坦面となっている平坦化部材
    と、 からなり、前記装填部材を前記検体容器内に挿入するこ
    とにより、前記平坦化部材を前記検体容器内に入ってい
    る血清の上部領域から下部領域へ下降させ、当該平坦化
    部材の平坦面を前記分離剤の血清側分離面に対して押し
    付けた状態に装填することにより、上記分離面を平坦化
    すると共に上記平坦化部材の装填後において前記分取分
    注用チップを前記検体容器内へ挿入可能とした血清分取
    補助手段を備えたことを特徴とする血清分取分注装置。
  3. 【請求項3】血清と血餅とが分離剤にて分離された状態
    で親検体容器内に収容されている遠心分離処理済みの血
    液検体から血清のみを分取し、これを他の子検体容器に
    分注する血清分取分注装置において、 大径部と中径部と小径部とが連接され、上記大径部の外
    周面が前記検体容器の内周面に略密着した状態を保ちな
    がら上記小径部側から前記検体容器内に挿入可能な如く
    設けられ、内部が分取分注用チップを挿入可能な空間と
    なっており、複数のスリットを前記大径部および小径部
    の各周壁にそれぞれ設けた略円筒状をなす装填部材と、 この装填部材の下端部に前記検体容器の軸心と垂直な状
    態に設けられ、外面が平坦面となっている平坦化部材
    と、 前記装填部材の上端開口部の周縁に設けられ、検体レベ
    ル情報を得るための標示部と、 からなり、前記装填部材を前記検体容器内に挿入するこ
    とにより、前記平坦化部材を前記検体容器内に入ってい
    る血清の上部領域から下部領域へ下降させ、当該平坦化
    部材の平坦面を前記分離剤の血清側分離面に対して押し
    付けた状態に装填することにより、上記分離面を平坦化
    すると共に上記平坦化部材の装填後において前記分取分
    注用チップを前記検体容器内へ挿入可能とした血清分取
    補助手段を備えたことを特徴とする血清分取分注装置。
JP8306355A 1996-11-18 1996-11-18 血清分取分注装置 Expired - Fee Related JP3022787B2 (ja)

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