JP3021609U - 浴槽水利用のトイレ洗浄水供給装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 風呂の残り湯を水洗トイレに給水して洗浄水
に利用でき、水道使用量を大きく減らせ、また家庭に容
易に導入でき低コストで使用可能である、浴槽水利用の
トイレ洗浄水供給装置を提供する。 【解決手段】 トイレ洗浄水供給装置１では、容量約１
００ｌの丈夫で底の深い形状の容器を貯水タンク２とし
て水洗トイレのロータンク９上方に設けている。貯水タ
ンク２下部とロータンク９の給水口１０ａを給水管３で
接続し、さらに、貯水タンク２最上部とロータンク９を
オーバーフロー管４で接続している。貯水タンク２側面
にはタンク内水位を外から視認できる水位表示部２ａを
設けている。一方、風呂の浴槽１４内には、水１６を汲
み上げるポンプ５を水中に入れている。このポンプ５の
吐水口５ａとトイレ内の貯水タンク２をホース６で接続
して給水する仕組みで、ポンプ５の操作は貯水タンクそ
ばのタイマースイッチ７で行う。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、風呂の浴槽内の残り湯を水洗トイレの洗浄水として有効に使用でき る浴槽水利用のトイレ洗浄水供給装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

一般家庭で水洗トイレの使用時に流される洗浄水は、従来ほとんどが上水道か らの水を用いているが、近年の水不足が恒常化する状況の中にあって、貴重な水 道水のこのような洗浄水としての使用を控える動きが出始めている。その一つと して、下水や雨水を処理して得られた処理水を洗浄水として使う例が増えている 。しかし、設備導入の難しさや処理コストの高さなどから、公共施設や大規模集 合住宅などにおける採用にとどまり、一般家庭に広く普及するには至っておらず 、水道水の使用量はあまり減少していない。 一方、一般家庭において大量に発生する風呂の残り湯は、以前から洗たくや掃 除等に使われることもあったが、約１５０ｌの容量の浴槽に大量に残った残り湯 を全て有効に活用することはできず、そのまま無駄に捨てられる場合が多かった 。こうした状況は、水資源の有効利用の観点から早急な改善を求められていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

本考案が解決しようとする課題は、上記した問題点を解消し、風呂の残り湯を 水洗トイレに給水して洗浄水に有効利用でき、水道水の使用量を大きく減らせ、 また一般家庭に容易に導入でき低コストで使用可能である、浴槽水利用のトイレ 洗浄水供給装置を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

かかる課題を解決した本考案の構成は、 １） 風呂の浴槽内の水を汲み上げる電動式のポンプを設け、水洗トイレのロー タンク上方に浴槽より小さくロータンクより十分大きい容量の貯水タンクを設け 、前記ポンプの吐水口と前記貯水タンク上部をホースで接続し、貯水タンク下部 とロータンクのボールタップ給水口を接続すると共に、貯水タンク最上部からロ ータンク内に通じるオーバーフロー管を設け、ポンプの電源を開閉するスイッチ を備えた浴槽水利用のトイレ洗浄水供給装置 ２） 前記貯水タンクにタンク内水位を示す水位表示部を設け、前記スイッチを 貯水タンクそばに取付けた、前記１）に記載の浴槽水利用のトイレ洗浄水供給装 置 ３） 前記スイッチを、スイッチ閉とした後所定の時間でスイッチ開とするタイ マーを備え通電時間が自由に設定可能であるタイマースイッチとした、前記２） に記載の浴槽水利用のトイレ洗浄水供給装置 にある。

【０００５】

【作用】

本考案の浴槽水利用のトイレ洗浄水供給装置では、まず、ポンプを風呂の浴槽 内の水を汲み上げ可能な位置に設置してから、スイッチを閉にして、ポンプを作 動させる。ポンプにより汲み上げられた水は貯水タンク内に貯水されていく。貯 水タンクが満水になった頃にスイッチを開にしてポンプを止める。スイッチの操 作ミスなどで貯水タンクが満水の状態でさらにスイッチを閉にし続けてポンプに よる汲み上げを続けた場合でも、貯水タンク最上部から水をオーバーフロー管内 に流し込み、貯水タンクから水があふれるのを防止する。オーバーフロー管に流 れ込んだ水はロータンク内に入り、ロータンク内でも所定水位を越えた場合には 、ロータンク内のオーバーフロー管から排水される。貯水タンク内の水は、ロー タンク側面のハンドルを動かして洗浄水を流す操作を行うと、ボールタップが開 いて、給水口からボールタップを通じて通常の水道水と同様にロータンク内に入 って次回の洗浄水として貯水される。貯水タンクはロータンクに比べ十分大きい ので、水洗トイレを数回連続使用しても水供給はスムーズに行える。貯水タンク 内の水が減ったら、再びポンプを作動させて浴槽内の水を入れる。洗浄水として 大量に使用して浴槽内の水もなくなりかけたら、浴槽内に水道水を足して貯水タ ンクへの給水が途切れないようにする。

【０００６】 貯水タンクに水位表示部を設け、スイッチを貯水タンクそばに取付けた構成で は、貯水タンクの水位表示部を見て、タンク内水位が下がっていたら、スイッチ を閉にして、ポンプを作動させ、貯水タンクに浴槽から水を汲み上げる。水位表 示部を見てタンク内水位が一杯になるのを確認したら、スイッチを開にしてポン プを止める。水洗トイレをしばらく使用して、タンク内水位が下がってきたら、 再びスイッチを閉にして、ポンプにより貯水タンクに浴槽内の水を入れる。

【０００７】 スイッチをタイマースイッチとした構成では、貯水タンクの水位表示部を見て 、タンク内水位が下がっていた場合に、貯水タンクを満水にする水量をポンプで 汲み上げるのにかかる時間を、タイマースイッチにセットしてスイッチを閉にし 、ポンプを作動させる。ポンプからの水の吐出量は単位時間あたりほぼ一定とな るので、その値と水位表示部で読み取った必要水量から、ポンプの作動時間が容 易に設定できる。タイマースイッチが閉の間、ポンプにより浴槽内の水が汲み上 げられ、貯水タンクに貯水される。セットした所定の時間が経過して貯水タンク が水で満たされた頃、タイマースイッチが自動的に開となり、ポンプが停止する 。

【０００８】

【考案の実施の形態】

本考案の浴槽水利用のトイレ洗浄水供給装置のポンプには、洗たく機への汲み 上げ用として市販されている、ポンプ本体を浴槽内の水中へ入れて水を汲み上げ る水中ポンプ方式の安価な家庭用電動ポンプが主に用いられるが、家庭用として 十分操作が簡便かつ小型のポンプであれば、吸込み部分のみ水中に入れて浴槽の 外のポンプ本体で水を汲み上げる方式の電動ポンプなど他の形式のものでもかま わない。

【０００９】 このポンプの電源を開閉するスイッチは、ポンプのある浴槽付近やトイレ内な どに設けるが、貯水タンクのオーバーフロー時に速やかにスイッチを開とできる ように、トイレ内に取付けるのが望ましい。特に、貯水タンクに水位表示部を設 けている場合には、これを確認しながらスイッチ操作が行えるよう貯水タンクそ ばにスイッチを設置するのがよい。このようなスイッチには、貯水タンクへの給 水の状態を見ながら手動操作するスイッチや、給水量に見合ったポンプ作動時間 を設定して自動的に開閉するタイマースイッチなどが用いられるが、給水に時間 がかかるので、手間の少ないタイマースイッチが望ましい。タイマースイッチの 場合は、水位表示部を見ながら設定できるよう貯水タンクそばに設ける。

【００１０】 また、貯水タンクの水位表示部としては、貯水タンク側面にタンク内部と通じ た透明なパイプを上下方向に取付けたものや、貯水タンクの側壁の一部に上下に 長い透明窓を設けたものなどが用いられる。この水位表示部には、貯水タンク内 水位を確実に把握するための目盛が付いているのが望ましい。

【００１１】

【実施例】

本考案の実施例を図面に基づいて説明する。本実施例は、水位表示部およびタ イマースイッチを採用し、小型の水中ポンプを使用する、一般家庭における例を 示す。 図１は実施例を示す説明図、図２は実施例によるロータンクへの給水を示す説 明図、図３は実施例のタイマースイッチ設定操作を示す説明図である。

【００１２】 本実施例のトイレ洗浄水供給装置１では、容量が約１００ｌの丈夫で底の深い 形状の、市販されているふた付プラスティック製容器を貯水タンク２として、水 洗トイレのごく一般的な内部構造のロータンク９上方に設けている。この貯水タ ンク２下部とロータンク９のボールタップ１０の給水口１０ａを給水管３で接続 し、さらに、貯水タンク２最上部とロータンク９をオーバーフロー管４で接続し ている。貯水タンク２側面には、タンク内水位を外から視認できるように、細長 い透明パイプの上下両端を外側からタンク内にそれぞれ開口させて取付けた構成 の水位表示部２ａを設けている。水位表示部２ａには、貯水タンク２の満水状態 に対する不足水量の目安となる目盛２ｂを付けている。一方、風呂の浴槽１４内 には、浴槽１４内の残り湯等の水１６を汲み上げる市販の電動式小型ポンプ５を 水中に没した状態に入れている。このポンプ５は、内部のインペラの回転で水を 吸引し吐水口５ａから吐出する構造で、モータを含むポンプ本体を全て水中へ入 れる水中ポンプ方式となっている。このポンプ５の吐水口５ａとトイレ内の貯水 タンク２をホース６で接続して、水１６を貯水タンク２に給水可能にしている。 ポンプ５の操作は、貯水タンク２そばに設けたタイマースイッチ７で行う仕組み である。タイマースイッチ７は、任意に設定した時間だけ閉状態を保ち、それ以 降は開状態となる市販されている一般的なタイプのもので、貯水タンク２の満水 状態に対する不足水量と、これをポンプで給水するのにかかる時間を対応させた 目盛を付けて、水位表示部２ａの目盛２ｂを見てそのまま時間設定ができるよう にしている。なお、ポンプ５は、使用しない時は浴槽１４内から出して浴槽外の 安全な場所に移動させることができる。

【００１３】 本実施例のトイレ洗浄水供給装置１を使用するには、浴槽１４に残り湯などの 水１６が入った状態にしてから、ポンプ５を浴槽１４内に入れ、ポンプ５本体を 全て水１６中に沈めておく。そして、トイレ内の貯水タンク２の水位表示部２ａ を見て、タンク内水位が下がっていた場合に、水位表示部２ａで読み取った貯水 タンク２を満水にするのに必要な給水量を、ポンプ５の作動時間に換算した目盛 に合わせてタイマースイッチ７をセットし、スイッチを閉にする（図３参照）。 タイマースイッチ７が閉の間、ポンプ５が作動し、浴槽１４内の水１６が汲み上 げられ、ホース６を通って貯水タンク２に給水される。所定の時間が経過して、 貯水タンク２にたまった水１６が満水に達したら、タイマースイッチ７が自動的 に開となり、ポンプ５が停止する。タイマースイッチ７にセットした時間を長く しすぎて、貯水タンク２が満水の状態となってもポンプ５による水１６の汲み上 げが続いてしまう際には、多すぎる水を貯水タンク２最上部からオーバーフロー 管４内に流してロータンク９へ導き、貯水タンク２から水１６があふれるのを防 いでいる。

【００１４】 水洗トイレを使用後、ハンドル１１を動かしてロータンク９内の水１６を流す と、ボールタップ１０が開き、給水口１０ａに接続された給水管３を通じて貯水 タンク２内の水１６がボールタップ１０へ流れ込み、ロータンク９内に入ってい く。ロータンク９内で水１６が一定水量に達するとボールタップ１０の働きで水 １６の流入が止まる。こうして貯水タンク２内の水１６が水洗トイレの使用ごと にロータンク９内へ補充されていく。ロータンク９の容量は通常１０ｌ程度と貯 水タンク２に比べ十分小さいので、水洗トイレを数回連続使用しても貯水タンク ２からの水供給は水道水を使用するのと同様スムーズに行うことができる。水洗 トイレを使用し続けて、貯水タンク２の水位表示部２ａからタンク内水位が下が っていることがわかったら、再びタイマースイッチ７をセットして浴槽１４から 水１６を補給する。浴槽１４の水１６が少なくなってポンプ５による汲み上げが 難しくなってきたら、浴槽１４内に水道水を給水して水量を増やし、貯水タンク ２への給水が途切れないようにする。

【００１５】 本実施例のトイレ洗浄水供給装置１で、水洗トイレでの水道水の使用が著しく 減少するので、家庭での水道水の総使用量も大きく減らせ、四人家族の平均的な 家庭での一ケ月の水道水使用量が従来約３８ｔであったのを本実施例の使用によ り２５ｔ程度まで抑えることができる。

【００１６】

【考案の効果】

本考案は、上記した構成を採用することにより、風呂の浴槽内に残った水をそ のまま捨てずに水洗トイレ洗浄水として再利用でき、無駄な水消費を少なくして 水道水の使用量を低く抑えられる。また、装置全体が安価で、容易に設置・導入 でき、使用にあたっての追加コストもほとんどポンプの電気代のみで済むので、 貴重な水資源の有効利用を容易かつ低コストに実現可能で、一般家庭への普及も はかりやすい。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例を示す説明図である。

【図２】実施例によるロータンクへの給水を示す説明図
である。

【図３】実施例のタイマースイッチ設定操作を示す説明
図である。

【符号の説明】

１ トイレ洗浄水供給装置 ２ 貯水タンク ２ａ 水位表示部 ２ｂ 目盛 ３ 給水管 ４ オーバーフロー管 ５ ポンプ ５ａ 吐水口 ５ｂ 電源コード ６ ホース ７ タイマースイッチ ７ａ タイマー設定部 ８ ポンプ電源部 ９ ロータンク １０ ボールタップ １０ａ 給水口 １１ ハンドル １２ オーバーフロー管 １３ 便器 １４ 浴槽 １５ 水道蛇口 １６ 水 １７ コンセント

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 風呂の浴槽内の水を汲み上げる電動式の
   ポンプを設け、水洗トイレのロータンク上方に浴槽より
   小さくロータンクより十分大きい容量の貯水タンクを設
   け、前記ポンプの吐水口と前記貯水タンク上部をホース
   で接続し、貯水タンク下部とロータンクのボールタップ
   給水口を接続すると共に、貯水タンク最上部からロータ
   ンク内に通じるオーバーフロー管を設け、ポンプの電源
   を開閉するスイッチを備えた浴槽水利用のトイレ洗浄水
   供給装置。
2. 【請求項２】 前記貯水タンクにタンク内水位を示す水
   位表示部を設け、前記スイッチを貯水タンクそばに取付
   けた、請求項１に記載の浴槽水利用のトイレ洗浄水供給
   装置。
3. 【請求項３】 前記スイッチを、スイッチ閉とした後所
   定の時間でスイッチ開とするタイマーを備え通電時間が
   自由に設定可能であるタイマースイッチとした、請求項
   ２に記載の浴槽水利用のトイレ洗浄水供給装置。