JP3020383B2 - シリコン部材の接合方法およびシリコン接合構造体 - Google Patents

シリコン部材の接合方法およびシリコン接合構造体

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ウエーハ熱処理用ボー
トなど半導体プロセスに用いられるシリコン部材の接合
に好適なシリコン部材の接合方法、およびこの接合方法
を使用してなるシリコン接合構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】単結晶または多結晶シリコンは極めて高
純度に生成でき、耐熱性が高く化学的にも安定なため、
例えばウエーハ熱処理用ボートや洗浄容器などの半導体
プロセス用部材として有用である。しかしながら、シリ
コン部材どうしは溶接による接合ができず、他の方法で
接合した場合、次のような問題を有していた。すなわ
ち、シリコン部材どうしを接合する方法として、通常の
有機質や無機質の接合剤を用いた場合、接合剤が不純物
となりシリコンの高純度な特性を減殺させてしまうた
め、この方法は半導体プロセス用部材の接合には向かな
い。組み立て式のシリコンボートのように機械加工のみ
でシリコン部材どうしを接合する方法は、硬くて加工が
難しいシリコン材料を高精度に加工する必要があり、手
間がかかって形状にも多くの制約が課せられる上、がた
つきを皆無にするのは事実上不可能である。しかも、使
用中の磨滅や洗浄時のエッチングのために次第にがたつ
きが増してしまう。
【0003】シリコン部材どうしを接合する他の方法と
して、シリカ質の膜を介在させる方法がある。シリカ膜
は、例えば熱酸化やCVDなどの方法で高純度のものを
形成させることができ、1000℃以上の耐熱性を有す
るものの、シリコンの融点より低温度で軟化する。した
がって、例えば加圧接触させたり、接触部の両側に電界
をかけて昇温すれば、機械的な接合が可能になる。しか
しながら、半導体プロセス用部材の製造には、フッ酸系
のエッチング液による洗浄工程が含まれるので、同工程
でシリカ膜が腐食して隙間を生じ、この隙間に染み込ん
だ洗浄液によって製品が汚染され、さらに腐食が進んだ
場合、接合部の剥離を生ずるおそれがあった。また、接
合面を高精度な平坦面に研磨した後、清浄な環境下で接
触させて加熱することにより接合状態を形成する直接接
合法もあるが、研磨や接合の作業に高精度な技術を必要
とし、適用できる形状に制限があるので、複雑な形状の
半導体プロセス用部材の組み立てに応用するのは極めて
困難である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上のようにシリコン
部材は高純度、高耐熱性、高耐薬品性などの優れた特性
を有するものの、このような特性を損なうことのない接
合方法がなかったため、同部材の用途が制限されるとい
う問題があった。本発明は、上述した従来技術の現況に
鑑み、シリコン部材の特性を損なうことなく容易にシリ
コン部材どうしを接合することのできるシリコン部材の
接合方法を提供することを目的とし、さらにシリコン部
材の特性を生かした高純度なシリコン接合構造体を提供
することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的達成のために、
本発明によれば、シリコン部材どうしの接合面に、焼成
するとシリコンカーバイトとなる化合物を介在させ、か
つ不活性雰囲気中にて800℃以上の温度で焼成するシ
リコン部材の接合方法に於いて、前記不活性雰囲気中で
の焼成を行う前に、酸素を含む雰囲気中にて150〜4
00℃の温度で熱処理することを特徴とするシリコン部
材の接合方法が提供される。また、本発明によれば、上
記シリコン部材の接合方法に於ける一好適態様として、
前記焼成するとシリコンカーバイトとなる化合物とシリ
コン粉とを1:20以下の重量割合で混合して接合コン
パウンドをつくり、シリコン部材どうしの接合面に前記
接合コンパウンドを介在させ、かつ不活性雰囲気中にて
800℃以上の温度で焼成することを特徴とするシリコ
ン部材の接合方法が提供される。更に、本発明によれ
ば、シリコン部材どうしの接合面に、焼成すると窒化珪
素となる化合物を介在させ、かつ不活性雰囲気中にて7
00℃以上の温度で焼成するシリコン部材の接合方法に
於いて、前記不活性雰囲気中での焼成を行う前に、酸素
を含む雰囲気中にて500℃以下の温度で熱処理するこ
とを特徴とするシリコン部材の接合方法が提供される。
また、本発明によれば、上記シリコン部材の接合方法に
於ける一好適態様として、前記焼成すると窒化珪素とな
る化合物とシリコン粉とを1対20以下の重量割合で混
合して接合コンパウンドをつくり、シリコン部材どうし
の接合面に前記接合コンパウンドを介在させ、かつ不活
性雰囲気中にて800℃以上の温度で焼成することを特
徴とするシリコン部材の接合方法が提供される。更にま
た、本発明によれば、上記本発明の何れかのシリコン部
材の接合方法によってシリコン部材どうしをシリコンカ
ーバイド、窒化珪素、又はシリコンオキシナイトライド
により接合してなるシリコン接合構造体が提供される。
【0006】
【作用】シリコン並みの耐熱性と耐薬品性を持つ材料
に、シリコンカーバイト(SiC)、窒化珪素(Si
N)およびシリコンオキシナイトライド(SiON)が
ある。そこで、SiC、SiNまたはSiONを基本成
分とし、しかもシリコンに対して接合力を有し、かつ容
易に高純度化することのできる材料があれば、それを接
合材として用いることによりシリコン部材の特性を損な
うことなく容易にシリコン部材どうしを接合することが
できる。
【0007】本発明者は、このような観点から鋭意検討
した結果、ポリシラン類を出発原料としたカーボシラン
重合体やポリシラスチレン重合体、またはポリシラザン
化合物が上記特性を有していることを発見した。これら
の材料は純化学的に合成できるので、容易に高純度化さ
れる。しかもキシレンなどの溶剤に簡単に溶け、高粘性
の溶液が得られるので、この溶液を接合部に塗布し、接
合後乾燥すればシリコン部材が簡単に接合できることが
わかった。そして、この接合構造体を不活性雰囲気中
で、カーボシラン重合体やポリシラスチレン重合体の接
合材の場合は800℃以上、ポリシラザン化合物接合材
の場合は700℃以上の温度に加熱すれば、カーボシラ
ン重合体やポリシラスチレン重合体の場合は分解してS
iCに変わり、一方、ポリシラザン化合物の場合は分解
してSiNに変わり、何れも接合力が発現することがわ
かった。特に、後に詳細に述べるように、本発明者等の
研究によれば、上記カーボシラン重合体やポリシラスチ
レン重合体から成る接合材では、接合材を塗布し乾燥し
た後、空気等酸素を含む雰囲気中で150乃至400℃
の温度範囲で熱処理し、カーボシランやポリシラスチレ
ンを重合不溶化処理してから不活性ガス雰囲気中800
℃以上で焼成することにより、塗布乾燥後そのまま不活
性ガス雰囲気中で焼成した場合に比較して、その接合強
度を著しく向上させることが出来ることがわかった。ま
た、ポリシラザン化合物からなる接合材の場合も、酸素
を含む雰囲気中で、あらかじめポリシラザン化合物を加
熱処理することによりSiONとなり、より強力な接合
力が生まれることもわかった。
【0008】更に、上記カーボシランポリマー、ポリシ
ラスチレン、ポリシラザン等の化合物の溶液中に高純度
のシリコン粉を充填材として添加配合した場合には、上
記化合物を単味で使用して接合した部材に比べて焼成後
の接合強度がより一層向上することも判った。その主な
原因は、焼成によって化合物がSiC等に変わる際、体
積の収縮を生じて接合部に歪みを発生させるが、前記化
合物溶液にシリコン粉を配合したものは、焼成時に化合
物の分解により生ずる体積収縮が軽減され、歪みの発生
がより少なくなるためと考えられる。従って、上記化合
物の溶液中に高純度のシリコン粉を充填材として添加配
合することがより好ましい。
【0009】以下、本発明についてさらに詳細に説明す
る。 (1)焼成するとシリコンカーバイトとなる化合物を接
合材として用いた方法 ここでは、接合材としてカーボシラン重合体を用いたシ
リコン部材の接合方法を説明する。本接合方法で用いる
カーボシラン重合体は、SiC繊維の前駆体として使わ
れるものと同じでよい。このようなカーボシラン重合体
は、公知の合成法で容易に得ることができる。本発明者
が実際に行った合成例を以下〜に示す。 市販のパーメチルポリシラン(融点270℃以上)
をオートクレーヴに入れ、減圧後450℃で24時間加
熱した。次いで冷却後に反応生成物を1mmTorrの
減圧下にて200℃で加熱蒸留し、低留分を除いてカー
ボシラン重合体を得た。 市販のポリシラスチレン(融点110〜125℃、
商品名PSS−120)を窒素雰囲気中にて300℃で
5時間加熱して反応させた。次いで250℃で保持して
発泡を押さえた後、室温まで冷却してカーボシラン重合
体を得た。 市販のポリシラスチレン(融点150〜180℃、
商品名PSS−400)をそのまま用いた。なお、より
低融点のポリシラスチレンをそのまま用いても、焼成に
よってSiCに分解するものであればほぼ同様の結果が
得られた。
【0010】さらに、本発明方法では、カーボシラン重
合体とシリコン粉とを溶剤中で混合して接合用コンパウ
ンドをつくる。接合用コンパウンドの組成は、接合剤と
して適当な粘性と乾燥速度を有し、接合面への塗布が容
易でかつ安定していること(条件1)、乾燥および焼成
後も良好な接合性を保ち、接合強度が大きいこと(条件
2)、のそれぞれを満たすようにする。条件1は主とし
て溶剤の種類とその添加量で決まり、条件2はカーボシ
ラン重合体とシリコン粉の混合比率で決まる。
【0011】溶剤の種類は、塗布方法など使用目的に応
じて選択できる。例えばベンゼン、トルエン、キシレン
などの芳香属類、ヘキサン、ペンタン、流動パラフィン
などの脂肪族、トリクレンなどの有機ハロゲン化合物な
どが使用できる。カーボシラン重合体はこれらの溶媒に
よく溶けるが、その溶解度以上の量を加えても問題な
い。シリコン粉は、高純度のシリコンをボールミルなど
で粉砕して用いる。ここで、シリコン粉の粒度が大きい
と、混練した接合用コンパウンドを保管している間に沈
降分離し易くなり、塗布性も悪くなる。粒径10μm以
下のものが良好な結果を得た。
【0012】固形分に対する溶剤の量は、塗布から乾燥
までの作業性の難易を決める。一般に、溶剤の分量を少
なくするほうが乾燥しやすく乾燥後の目減りも少ないた
め良好な結果をもたらす。ただし、分量が少なすぎると
流動性がなくなって塗布しにくくなるので、これらの点
を考慮して溶剤の量を加減する。使用するシリコン粉の
粒度や塗布方法にもよるが、流動性を持たせるためには
20%以上の液体成分が必要であった。カーボシラン重
合体、溶剤、およびシリコン粉は、所望の量を計りとっ
て乳鉢やボールミルなどで十分に混練し、接合用コンパ
ウンドとする。
【0013】最適なカーボシラン重合体とシリコン粉の
割合を決めるために次のような実験を行った。ポリシラ
ンから合成したカーボシラン重合体を用い、溶剤はnへ
キサンとした。溶剤の分量は、重量比で固形分1に対し
て0.5とした。溶剤中に、合成したカーボシラン重合
体および平均粒径3μmのシリコン粉を表1に示した割
合で混合し、乳鉢で良く混練して接合用コンパウンドを
作成した。一条件の試料量は3gである。
【0014】端面を平面に仕上げた直径10mm、長さ
30mmのシリコン棒を用意した。一つのシリコン棒の
端面に上記の接合用コンパウンドを石英ガラス棒で塗り
付けた後、もう一つのシリコン棒の端面と合わせて押し
付け、接合させた。このようにして得たシリコン接合構
造体を70℃で3時間乾燥させて固着し、窒素雰囲気中
で1100℃まで昇温して焼成した。得られたシリコン
接合構造体の引っ張り強度を測定し、その測定結果を表
1に示した。表1からシリコン/カーボシランの比が3
0以下のときに接合し、4〜0.5のときに大きな引っ
張り強度を得られることがわかる。
【0015】
【表1】
【0016】次に、シリコン/カーボシランの比を2と
した接合用コンパウンドを作成し、上記と同じ方法で接
合ないし乾燥させた後、焼成温度を変えて引っ張り強度
との関係を調べた。その結果を表2に示す。表2から明
らかなように、焼成温度が800℃以上で高強度とな
り、1100℃付近からほぼ一定になった。ただし、1
400℃付近になると接合自体に問題はないものの、シ
リコン構造体の融点に近づくので、雰囲気ガスとの反応
や変形などの好ましくない影響が現れた。
【0017】
【表2】
【0018】上記のように得られた接合体の接合強度は
大きいが、強度評価では必ず接合部分から剥れ、シリコ
ン自体の強度には及ばなかった。その原因を調べるため
に剥がれた面を詳細に調べた結果、界面に空孔が発生し
ており、接合面の全体で接合していないことがわかっ
た。さらに、合成した接合用コンパウンドでシリコンと
石英ガラスを張り付け、接合面が観察できるようにして
昇温しながら界面の変化を調べた。その結果、350℃
以上でカーボシランが溶融分解し、発泡していることが
分かった。そこで、接合体を乾燥後空気中で熱処理して
カーボシランを重合させる不溶化処理を行った後、窒素
中で1200℃まで昇温して接合し、強度との関係を調
べた。空気中での熱処理条件と接合強度との関係を表3
に示す。表3から150℃〜400℃、1時間以上の処
理で強度が改善されることが分かる。 同様な実験をポ
リシラスチレン重合体についても行ったが、結果はカー
ボシラン重合体の場合と同じであった。
【0019】
【表3】
【0020】(2)焼成すると窒化珪素となる化合物を
接合材として用いた方法 ここでは、接合材としてポリシラザン化合物を用いたシ
リコン部材の接合方法を説明する。本接合方法で使用す
るポリシラザン化合物は、ペルヒドロポリシラザンの種
々の分子量の重合体、メチルポリシラザンの各種重合体
など、SiNまたはSiONの前駆体としてよく知られ
た化合物でよい。これらの化合物は必要に応じて、例え
ばキシレンやヘキサンなどの溶剤およびシリコン粉末と
混合し、適度の粘性と乾燥後の接合強度をもたらすよう
調合し、接合用コンパウンドとする。
【0021】シリコン粉は、高純度のシリコンをボール
ミルなどで粉砕して用いる。ここで、シリコン粉の粒度
が大きいと、混練した接合用コンパウンドを保管してい
る間に沈降分離し易くなり、塗布性も悪くなる。粒径1
0μm以下のものが良好な結果を得た。シリコン粉とポ
リシラザン化合物の混合比は、焼成後の接合構造体の接
合強度に大きな影響を及ぼす。一方、固形分に対する溶
剤の量は塗布から乾燥までの作業性の難易を決める。一
般に、溶剤の分量を少なくするほうが乾燥しやすく乾燥
後の目減りも少ないため良好な結果をもたらす。ただ
し、分量が少なすぎると流動性がなくなって塗布しにく
くなるので、これらの点を考慮して溶剤の量を加減す
る。使用するシリコン粉の粒度や塗布方法にもよるが、
流動性を持たせるためには20%以上の液体成分が必要
であった。
【0022】得られた接合用コンパウンドは、筆塗りや
デスペンサーなどを使って一定量をシリコン部材の接合
面に供給する。そして、溶剤が蒸発して固まる前にシリ
コン部材どうしを突き合わせ、必要なら加熱して乾燥さ
せる。その後、空気などの酸素を含む雰囲気内で500
℃以下の所望の温度で加熱処理してから窒素やアルゴン
等の不活性雰囲気中で700℃以上の温度で焼成すれば
目的のシリコン接合構造体を得る。
【0023】最適なポリシラザン化合物とシリコン粉と
の混合割合を決めるために次の実験を行った。分子量1
700〜2100のペルヒドロポリシラザンに対して平
均粒径3μmのシリコン粉を表4に示した重量割合で混
合し、固形分1に対して0.6になるようキシレン(溶
剤)を加えて乳鉢でよく混練し、接合用コンパウンドを
作成した。一条件の試料量は約3gである。端面を平面
に仕上げた直径10mm,長さ30mmのシリコン棒を
用意した。一つのシリコン棒の端面に上記の接合用コン
パウンドを石英ガラス棒で塗り付けた後、もう一つのシ
リコン棒の端面と合わせて押し付け、接合させた。こう
して得たシリコン接合構造体を70℃で3時間乾燥させ
て固着させ、窒素雰囲気中で1200℃まで昇温して焼
成した。
【0024】このようにして得られたシリコン接合構造
体の引っ張り強度を測定し、その測定結果を表4に示し
た。表4からシリコン/ポリシラザンの比が30以下の
ときに接合し、4〜0.5のときに大きな引っ張り強度
が得られることがわかる。次に、シリコン/ポリシラザ
ンの比を2とした接合用コンパウンドを作成し、上記と
同じ方法で接合ないし乾燥させた後、焼成温度を変えて
引っ張り強度との関係を調べた。その結果を表5に示
す。
【0025】
【表4】
【0026】
【表5】
【0027】表5から明らかなように、800℃以上で
高強度となり、1200℃付近からほぼ一定になった。
ただし、1400℃付近になると接合自体に問題はない
ものの、シリコン構造体の融点に近づくので、雰囲気ガ
スとの反応や変形などの好ましくない影響が現れた。
【0028】上記ポリシラザン化合物等を接合材として
用いる方法に於いては、接合面に塗布した接合材を酸素
含有雰囲気内で加熱処理することによりポリシラザン化
合物の一部が酸化され、後の不活性雰囲気中での焼成時
に生成する分解物としてSiNだけでなくSiONをも
生じさせる。従って、この方法ではSiNのみを生じさ
せる場合(接合材を酸素含有雰囲気内で加熱処理せず、
塗布乾燥後そのまま不活性雰囲気中での焼成する場合)
に比べ、焼成後の体積変化が少ないので、接合部の残留
応力が小さくなるという利点がある。このため上記の方
法では、不活性雰囲気中にて800℃以上で加熱焼成す
る前に、空気など酸素を含む雰囲気中で200℃以上で
加熱処理する工程を挿入する。なお、酸化の条件が強す
ぎると二酸化珪素を生じてしまい、目的のシリコン接合
構造体を得られなくなるので注意を必要とする。例え
ば、空気雰囲気の場合、500℃以上まで昇温すると二
酸化珪素への反応が大きくなり、耐薬品性が大きく低下
する。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明す
る。ただし、本発明は下記の実施例により制限されるも
のではない。 実施例1 融点140℃の高純度のポリシラスチレン重合体を使用
した。化学分析ではFe,Al,Na,Ni,K,Ti
などの不純物の総量は数PPmの範囲であり、石英ガラ
ス並みの純度であった。一方、高純度シリコンを石英ガ
ラス製ボールミルで粉砕し、平均粒径8μmのシリコン
粉を得た。ポリシラスチレン重合体とシリコン粉を1対
3の重量比になるよう計り取り、3倍量のキシレンとよ
く混練して接合用コンパウンドを得た。
【0030】比抵抗100Ωcmの不純物無添加の単結
晶シリコンから部品を切り出し、図1に示すような形状
のウエーハ熱処理用ボート(シリコン接合構造体)を組
み立てた。ここで、溝付き角柱状のシリコン部材1のシ
リコン板2に接合する端部3は,図2のようにホゾ状に
加工してある。上記作成した接合用コンパウンドをこの
端部3に塗って、シリコン板2の穴部4と嵌め合わせ
た。組み立て後、120℃の温度で5時間乾燥し、さら
に空気中にて350℃の温度で4時間で加熱した。次い
で窒素雰囲気にて1300℃まで加熱し焼成した。この
ようにして得られたウエーハ熱処理用ボートをフッ酸洗
浄し、ウエーハを装着して拡散炉に入れ1100℃で熱
処理した。その後、このウエーハの汚染度測定したが、
ウェーハに汚染は検出されず、しかもウエーハ熱処理用
ボートに変形箇所がないため、ウエーハに対して不均等
な応力がかからず、転位の発生も見られなかった。
【0031】実施例2 分子量約1000のポリトリメチルシラザンとシリコン
粉を1対1の重量比になるよう計り取り、3倍量のキシ
レンとよく混練して接合用コンパウンドを得た。比抵抗
100Ωcmの不純物無添加の単結晶シリコンから部品
を切り出し、図1に示すような形状のウエーハ熱処理用
ボート(シリコン接合構造体)を組み立てた。ここで、
溝付き角柱状のシリコン部材1のシリコン板2に接合す
る端部3は,図2のようにホゾ状に加工してある。この
端部3を上記作成した接合用コンパウンドに浸し、乾く
前にシリコン板2の穴部4と嵌め合わせた。組み立て
後、室内で1日放置して乾燥させた後、空気雰囲気中に
て300℃の温度で3時間加熱し、次いで窒素雰囲気に
て1300℃まで加熱し焼成した。このようにして得ら
れたウエーハ熱処理用ボートをフッ酸洗浄し、ウエーハ
を装着して拡散炉に入れ1100℃で熱処理した。その
後、このウエーハの汚染度を測定したが、ウェーハに汚
染は検出されず、しかもウエーハ熱処理用ボートに変形
箇所がないため、ウエーハに対して不均等な応力がかか
らず、転位の発生も見られなかった。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、シ
リコン部材の特性を損なうことなく容易にシリコン部材
どうしを強固に接合することができ、シリコン部材の用
途拡大に大きく寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で作成したウエーハ熱処理用ボ
ートの外観を示す斜視図である。
【図2】同ウエーハ熱処理用ボートの接合端部の構造を
拡大して示す斜視図である。
【符号の説明】
1 溝付き角柱シリコン 2 シリコン板 3 端部嵌合部
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 37/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコン部材どうしの接合面に、焼成す
    るとシリコンカーバイトとなる化合物を介在させ、かつ
    不活性雰囲気中にて800℃以上の温度で焼成するシリ
    コン部材の接合方法に於いて、 前記不活性雰囲気中での焼成を行う前に、酸素を含む雰
    囲気中にて150〜400℃の温度で熱処理することを
    特徴とするシリコン部材の接合方法。
  2. 【請求項2】 前記焼成するとシリコンカーバイトとな
    る化合物とシリコン粉とを1:20以下の重量割合で混
    合して接合コンパウンドをつくり、シリコン部材どうし
    の接合面に前記接合コンパウンドを介在させ、かつ不活
    性雰囲気中にて800℃以上の温度で焼成することを特
    徴とする請求項1記載のシリコン部材の接合方法。
  3. 【請求項3】 シリコン部材どうしの接合面に、焼成す
    ると窒化珪素となる化合物を介在させ、かつ不活性雰囲
    気中にて700℃以上の温度で焼成するシリコン部材の
    接合方法に於いて、 前記不活性雰囲気中での焼成を行う前に、酸素を含む雰
    囲気中にて500℃以下の温度で熱処理することを特徴
    とするシリコン部材の接合方法。
  4. 【請求項4】 前記焼成すると窒化珪素となる化合物と
    シリコン粉とを1対20以下の重量割合で混合して接合
    コンパウンドをつくり、シリコン部材どうしの接合面に
    前記接合コンパウンドを介在させ、かつ不活性雰囲気中
    にて800℃以上の温度で焼成することを特徴とする請
    求項3記載のシリコン部材の接合方法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4の何れかに記載し
    たシリコン部材の接合方法によってシリコン部材どうし
    をシリコンカーバイド、窒化珪素、又はシリコンオキシ
    ナイトライドにより接合してなるシリコン接合構造体。
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