JP3020137B2 - 化学めっき液の有価成分回収装置 - Google Patents

化学めっき液の有価成分回収装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プリント配線板の製造
プロセス等に用いる化学銅めっき液の老化廃液中の金属
イオン、キレート剤、およびギ酸イオンを回収し、再資
源化する装置に係り、特に、銅イオンを回収した化学銅
めっき液の廃液から、有価成分を回収し再資源化する装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】コンピューターの部品であるプリント配
線板の製造プロセスを例に挙げれば、スルーホール銅、
導体パターンの形成に化学銅めっき液を用いている。化
学銅めっき液は析出反応により液中の銅イオンを金属銅
として析出すると、析出量に対比してめっき液中の銅イ
オン、還元剤、pH調整剤が減少するため、減少量に応
じて銅イオン、還元剤、pH調整剤を補給して、化学銅
めっき液の成分濃度を一定に維持し作業を継続してい
る。一般的に銅イオンの補給源としては硫酸銅溶液を用
いており、また、硫酸銅溶液に替えてギ酸銅溶液を用い
ることも試みられている。還元剤、pH調整剤としてホ
ルマリン、苛性ソーダ溶液を用いている。しかし、化学
銅めっきの欠点として、前記の析出反応、すなわち、 CuSO4+4NaOH+2HCHO→ Cu↓+H2
+Na2SO4+2NaCOOH により化学銅めっき液中にギ酸ソーダ、硫酸ソーダが生
じ蓄積する。これ等の塩が蓄積し高濃度になると、析出
するめっき皮膜は物性が劣る脆いめっき皮膜となる。ま
た、析出するめっき皮膜にはコブ状(ノジュール)の突
起が発生しやすくなる傾向にある。そのため、化学銅め
っき液中に蓄積するギ酸ソーダ、硫酸ソーダ等の塩濃度
を管理し、一定量に達すると廃棄して新しい液に更新す
る必要がある。
【0003】現在、この化学銅めっきの老化廃液処理と
しては、産業廃棄物処理業者に処理を委託したり、もし
くは、プリント配線板の製造業者自身が有する排水処理
施設において、金属イオンを凝集沈降し固液分離し希釈
放流している。しかし、この化学銅めっき液の成分は、
金属イオン以外にも大量のキレート剤、反応生成物のギ
酸ソーダ等が含まれているため、近年、環境汚染の問題
や廃液中の有価資源の回収、再利用という観点から、化
学銅めっき液の老化廃液中の有価資源である、銅イオン
は金属銅とし、また、キレート剤は晶析分離して回収す
る等の再資源化、再利用化が積極的に行われるようにな
ってきた。だが、反応生成物であるギ酸ソーダ、硫酸ソ
ーダ等は、従来から有価資源として回収、再利用は行な
われていないのが現状である。特に、ギ酸ソーダを未回
収のまま、一般排水として河川に放流するとCOD(化
学酸素消費量)成分が高くなり水質汚染の原因となる。
そのため、水質基準に定める濃度以下にCOD成分を処
理して河川に放流する必要がある。従来のCOD成分の
処理方法は、いくつか有るが一般的には以下の方法で行
われている。東京教育情報センター発行の『水質関係の
基礎知識』第2節の汚水処理の方式〔生物化学的処理〕
に述べられているように、COD成分は生物化学的に処
理する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】化学めっきの老化廃液
中のギ酸ソーダの処理は、一般的には上記したような方
法で行われている。しかし、従来の方法である生物処理
は効率が悪いため、処理に時間がかかり施設の規模が大
きくなるという欠点がある。さらに処理施設の運転も専
従員を必要とする等、投資金額、ランニング費が大き
く、また、廃液処理物中から有価成分を回収し、資源の
有効活用、環境対策という点では効果が得られないとい
える。本発明は、上記の課題を解決するものであり、化
学銅めっきの老化廃液中に含まれる金属イオンの回収後
の廃液中から、キレート剤を回収し、キレート剤回収後
の廃液からギ酸ソーダをギ酸として回収することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、化学めっき液から金属イオンが回収され
た老化廃液を収容する老化廃液貯槽と、老化廃液からキ
レート剤を晶析させるため前記老化廃液貯槽内に硫酸を
添加する添加機構と、前記老化廃液貯槽内の老化廃液を
撹拌する撹拌機構と、キレート剤濾過用の濾過器と、老
化廃液を前記老化廃液貯槽から前記濾過器に移送する移
送機構と、濾過器で濾過した老化廃液を減圧蒸留する減
圧蒸留器と、減圧蒸留により気化したギ酸を液化する冷
却器を備えるようにしている。
【0006】
【作用】上記手段により、化学銅めっきの老化廃液中の
銅イオンを、金属銅として析出させ回収した後の液に、
硫酸を添加しpH2以下にすることにより、キレ−ト剤
であるエチレンジアミンテトラアセテートは晶析する。
晶析したエチレンジアミンテトラアセテートを固液分離
し、ろ液を硫酸酸性で減圧蒸留することにより、化学銅
めっきの老化廃液中のギ酸ソ−ダをギ酸として蒸留回収
する。
【0007】
【実施例】以下に本実施例について図1を用いて説明す
る。化学銅めっきの析出反応で生じた、ギ酸ソーダ、硫
酸ソーダ等の塩濃度が、管理限界に達した化学銅めっき
槽1の化学銅めっき液2は、ポンプ3で配管4を経由し
て廃液貯槽5に移送される。廃液貯槽5の化学銅めっき
液2は、加温用ヒータ6でめっき反応に最適な温度まで
昇温する。廃液貯槽5には化学銅めっきの析出反応に必
要な十分な量の還元剤(ホルマリン)、pH調整剤(苛
性ソーダ)を添加する。化学銅めっき液2は、ポンプ7
で配管8を経由し、金属イオンを析出させる触媒となる
金属を付着させたフィルター9を装填した濾過器10を
通過し廃液貯槽5に戻る。一定の時間循環濾過を行うこ
とにより化学銅めっき液中の銅イオンは、フィルター9
に金属銅として析出する。
【0008】次に、銅イオンが除去された廃液貯槽5の
液を、ポンプ11で配管12を経由して晶析槽14に移
送する。硫酸タンク17の硫酸18をポンプ15で配管
16を経由し添加し撹拌機13で撹拌しながら、pHを
2以下に下げて銅イオンを除去した化学銅めっき液2に
含まれているキレート剤を晶析させる。その後、ポンプ
19で配管20を経由しフィルター21を装着した濾過
器22に送液し固液分離する。ろ液は配管20から減圧
蒸留器24に送くられ、沸点70〜80℃になるように
圧力を減じた、減圧蒸留器24で蒸留する。気化したギ
酸は冷却器23で液化し、ギ酸受槽25に回収する。回
収したギ酸は、酸化銅を添加し撹拌することにより、酸
化銅がギ酸に溶解してギ酸銅なる。このギ酸銅は化学銅
めっきに使用することができる。
【0009】具体的な処理条件を示すと、廃液貯槽5の
化学銅めっき液量は、約5000lで廃液中の銅濃度は
2.6g/l、キレート剤であるエチレンジアミンテト
ラアセテートは31g/l、反応生成物であるギ酸ソー
ダは51g/lである。廃液の液温は65〜75℃に昇
温し、ポンプ7で1分間当り500〜600lを濾過器
10に送液した。フィルター9は市販の20インチのカ
ートリッジタイプで、フィルターのメッシュは10ミク
ロンメータを用いた。フィルターは、あらかじめ市販の
パラジウム触媒に2〜3分間浸漬したのち、2〜3分間
流水中で水洗し、水洗中から取り出し3〜4分間液きり
を行ったのち、洗浄水を循環できる濾過器に装填し10
〜15分間水洗したのち、濾過器10に20本装填し
た。化学銅めっき液2の循環は120分間行なった。銅
イオン除去後の廃液貯槽5の液中の銅イオン濃度は1p
pm以下となり、約13kgの銅が回収できた。
【0010】銅イオンを除去した廃液貯槽5の液を晶析
槽14に移し、25℃以下に冷却し、75%の硫酸を添
加し撹拌しながらpH1.5に調整し、エチレンジアミ
ンテトラアセテートを晶析させ濾過器で固液分離した。
フィルターは市販の20インチのカートリッジタイプ
で、フィルターメッシュは5ミクロンメータを用いた。
ろ液中のエチレンジアミンテトラアセテート濃度は0.
3g/l以下となり、約150kg回収できた。ろ液を
減圧蒸留器24で沸点70〜80℃で蒸留し、ギ酸受槽
25に回収した。この時、化学銅めっきの老化廃液50
00lから、ギ酸が約100kg回収出来た。従来、5
000l(約5600kg)の産業廃棄物量を500k
gに減量出来た。
【0011】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、化
学めっきの老化廃液からの有価成分のキレート剤、ギ酸
の回収を、低コストの設備投資、ランニング費で可能と
する。また、回収したギ酸に銅を溶解することにより、
化学銅めっきの銅イオンの補給に再利用することが可能
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】化学銅めっき液から有価成分の銅、キレート
剤、ギ酸を回収する回収装置の構成を示す。
【符号の説明】
1 化学銅めっき槽 2 化学銅めっき液 3 ポンプ 4 配管 5 廃液貯槽 6 加温用ヒータ 7 ポンプ 8 配管 9 フィルター 10 濾過器 11 ポンプ 12 配管 13 撹拌機 14 晶析槽 15 ポンプ 16 配管 17 硫酸タンク 18 硫酸 19 ポンプ 20 配管 21 フィルター 22 濾過器 23 冷却器 24 減圧蒸留器 25 ギ酸受槽 26 ギ酸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−39167(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 18/00 - 18/54

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学めっき液から金属イオンが回収され
    た老化廃液を収容する老化廃液貯槽と、老化廃液からキ
    レート剤を晶析させるため前記老化廃液貯槽内に硫酸を
    添加する添加機構と、前記老化廃液貯槽内の老化廃液を
    撹拌する撹拌機構と、キレート剤濾過用の濾過器と、老
    化廃液を前記老化廃液貯槽から前記濾過器に移送する移
    送機構と、濾過器で濾過した老化廃液を減圧蒸留する減
    圧蒸留器と、減圧蒸留により気化したギ酸を液化する冷
    却器を備えることを特徴とする化学めっき液の有価成分
    回収装置。
  2. 【請求項2】 化学めっきに使用した化学めっき液を収
    容する貯槽と、前記貯層に接続され、前記貯槽内の化学
    めっき液を移送して前記貯層に戻すように循環移送する
    第一の移送機構と、前記移送機構の途中に介在接続さ
    れ、金属イオンを還元反応で析出される媒体となる金属
    を付着された濾材を装填した第一の濾過器と、前記第一
    の濾過器は前記化学めっき液中の金属イオンを前記濾材
    に還元析出させて前記化学めっき液を濾過し、前記金属
    イオンが濾過された液を収容する晶析槽と、前記貯槽と
    前記晶析槽とに接続され、前記金属イオンが濾過された
    前記貯槽内の液を前記晶析層に移送する第二の移送機構
    と、前記晶析槽内の液に酸を添加する添加機構と、キレ
    ート剤濾過用の第二の濾過器と、前記晶析槽内の液を前
    第二の濾過器に移送する第三の移送機構とを有し、前
    記晶析槽内の液中に晶析したキレート剤が前記第二の濾
    過器により濾過されることを特徴とする化学めっき液の
    有価成分回収装置。
  3. 【請求項3】 前記キレート剤が濾過された液を減圧蒸
    留する減圧蒸留器と、前記減圧蒸留により気化したギ酸
    を液化する冷却器と、前記冷却器で液化されギ酸を収容
    する受槽とを備えることを特徴とする請求項2記載の化
    学めっき液の有価成分回収装置。
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