JP3020014B2 - 大型ブロック用自動研掃装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、主として二重底大型船
体ブロックなどの骨材溶接部の研掃に使用する大型ブロ
ック用自動研掃装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、たとえば二重底大型船体ブロ
ックに代表される金属製の大型ブロックのように、形状
が相当に複雑な骨材溶接部の研掃と、研掃時に投射され
た研掃材および研掃によって骨材から剥落させられたス
ラグなどの異物の回収は、作業者の手作業に委ねられて
いる。したがって、研掃作業性および回収作業性に劣
り、船体の生産性を低下させる一因になっているととも
に、作業空間における粉塵等の飛散度が高いため、作業
環境が劣悪である難点を有していた。そのために、研掃
作業性および回収作業性の大幅な向上と、省人化により
劣悪な作業環境での手作業の回避を実現することの可能
な大型ブロック用自動研掃装置の開発が要請されてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】解決しようとする問題
点は、骨材溶接部の研掃と、研掃材および異物の回収を
作業者の手作業に委ねている現状では、研掃作業性およ
び回収作業性に劣り、船体の生産性を低下させる一因に
なるとともに、劣悪な作業環境点で作業者が作業を行わ
なければならない点である。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、溶接済み大型
ブロックの下側を往復移動可能な自走式台車と、この台
車に搭載された研掃材射出手段と、前記台車に搭載およ
び付設されて前記研掃材射出手段から射出された研掃材
および射出研掃材により前記大型ブロックから剥落させ
られたスラグなどの異物を回収する回収手段と、前記台
車に搭載されて前記回収手段により回収された研掃材お
よび異物を分離する分離手段と、この分離手段によって
異物から分離された研掃材を前記研掃材射出手段に供給
する研掃材供給手段と、予め設定した研掃プログラムに
基づいて前記台車の運転と前記研掃材射出手段の位置お
よび射出姿勢を制御する制御器と、を具備していること
を特徴とし、研掃作業および回収作業の自動化を図り、
研掃作業性および回収作業性を大幅に向上させて構築物
（たとえば船体）の生産性向上に寄与するとともに、劣
悪な作業環境での手作業を回避する目的を達成した。

【０００５】

【作用】本発明によれば、大型ブロックの大きさおよび
形状に応じて予め設定した研掃プログラムに基づき、制
御器から自走式台車および研掃材射撃手段に制御信号を
出力することにより、自走式台車が溶接済み大型ブロッ
クの下側を間欠的に移動する。同時に、溶接軌跡に適合
するように研掃材射出手段の位置および射出姿勢を制御
しながら研掃材の射出が実行されて研掃を行なう。研掃
材射出手段から射出された研掃材および射出研掃材によ
り大型ブロックから剥落させられたスラグなどの異物
は、回収手段によって回収されたのち、分離手段により
研掃材と異物に分離され、分離された研掃材を研掃材供
給手段により再度研掃材射出手段に供給して研掃材の射
出を実行させる。

【０００６】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図１は、本発明に係る大型ブロック用自動研掃装
置の全体構成を示す側面図であり、この図において、１
は自走式台車、２は研掃材射出手段、３は回収手段、４
は分離手段、５は研掃材供給手段、６は制御器を示す。
自走式台車１は、図示していない原動機に対して制御器
６から運転・停止信号が出力されることにより、床面７
もしくははレールに沿って間欠的あるいは連続的に前進
または後退できるように構成されている。研掃材射出手
段２は、エアーブラスト装置によってなり、研掃材噴射
ノズル２０と、この研掃材噴射ノズル２０を取付けた本
体部２１が保持される支柱２２を有し、本体部２１は、
図示していない駆動機構によって、矢印Ｘ方向（前後方
向）の移動、矢印Ｙ方向（垂直軸まわり）の旋回および
矢印Ｚ方向（上下方向）の移動を可能に支柱２２に保持
されており、この本体部２１の先端部に研掃材噴射ノズ
ル２０が首振り機構（図示省略）により首振り運動可能
に取付けられている。回収手段３は、自走式台車１の先
端部下側において台車１の幅方向に延在して設けられ、
床面７に散乱している研掃材および異物をかき上げ回収
する回転ブラシ３０またはマグネット式ベルトコンベア
と、回転ブラシ３０またはマグネット式ベルトコンベア
によって回収された研掃材および異物を後方上部に搬送
するコンベア３１と、コンべア３１によって搬送された
研掃材と異物およびの台車１の上面に散乱する研掃材と
異物を台車１下側の特定箇所に搬送するために、コンベ
ア３１の終端側に対応して台車１の幅方向に延在して配
置された第１スクリューコンベア３２と、第１スクリュ
ーコンベア３２によって台車１下側の特定箇所に搬送さ
れた研掃材と異物を台車１の後部に搬送させるために、
第１スクリューコンベア３２に対応して台車１の長手方
向に延在して配置された第２スクリューコンベア３３
と、第２スクリューコンベア３３によって台車１の後部
に搬送された研掃材と異物を受け取って上方に搬送する
バケットエレベータ３４およびバケットエレベータ３４
の出口に対応して配置されたシユート３５を備えてい
る。

【０００７】分離手段４は、回収手段３によって回収さ
れた研掃材と異物を分離するためのもので、周知のセパ
レータによってなり、回収手段３におけるシュート３５
の出口に対応して配置されている。研掃材供給手段５
は、研掃材射出手段２に研掃材（シヨット）を供給する
ためのもので、分離手段４の下側に配置された研掃材貯
蔵タンク５０と、この研掃材貯蔵タンク５０の出口に対
応して配置され、出口から吐出された研掃材を受け取っ
て上方に移送させるバケットエレベータ５１と、バケッ
トエレベータ５１の出口に対応して配置されたシュート
５２と、シュート５２の出口に対応して配置され、かつ
レベル計（図示省略）を内蔵しているエアーブラストタ
ンク５３およびエアーブラストタンク５３の出口と研掃
材射出手段２の入口とを連通接続する通路５４を備えて
いる。また、自走式台車１の後部に制御器６が搭載さ
れ、この制御器６に隣接して集塵機８と、研掃材供給手
段５のエアーブラストタンク５３および分離手段３など
にそれぞれ高圧空気を供給する圧縮空気供給源（エアー
コンプレッサ）９が搭載されているとともに、制御器６
から出力される制御信号によって、自走式台車１の原動
機（図示省略）と、研掃材射出手段２における本体部２
１の駆動機構（図示省略）および研掃材噴射ノズル２０
の首振り機構と、回収手段３における回転ブラシ３０，
コンベア３１，第１スクリューコンベア３２，第２スク
リューコンベア３３およびバケットエレベータ３４それ
ぞれの駆動機構（図示省略）と、研掃材供給手段５にお
けるバケットエレベータ５１の駆動機構（図示省略）な
どの運転・停止が自動制御されるようになっている。こ
れら駆動用電源と制御用電源は、ドラム１０によって巻
取または繰り出されるキヤブタイヤケーブルまたはバッ
テリー方式により供給される。なお、図中１１はカバー
を示す。

【０００８】つぎに、前記構成の作動について説明す
る。たとえば、二重底大型船体ブロッのような金属製で
溶接済みの大型ブロック１２の開放側を下方に向けて、
工場の天井走行クレーン１３によって吊り下げる。つい
で、自走式台車１の移動によって、大型ブロック用自動
研掃装置を吊り下げられた大型ブロック１２の下に対応
させる。つぎに、大型ブロック１２の大きさおよび形状
に応じて予め設定した研掃プログラムに基づき、制御器
６から自走式台車１の原動機と、研掃材射出手段２にお
ける本体部２１の駆動機構および研掃材噴射ノズル２０
の首振り機構と、回収手段３における回転ブラシ３０，
コンベア３１，第１スクリューコンベア３２，第２スク
リューコンベア３３およびバケットエレベータ３４それ
ぞれの駆動機構と、研掃材供給手段５におけるバケット
エレベータ５１の駆動機構などに対して制御信号を出力
する。これにより、自走式台車１が溶接済み大型ブロッ
ク１２の下側を間欠的に前進する。同時に大型ブロック
１２の溶接軌跡Ｗに適合するように、研掃材射出手段２
の位置および噴射姿勢を制御しながら研掃材の噴射が実
行されて研掃を行なう。すなわち、自走式台車１の移動
または停止と、研掃材噴射ノズル２０の首振りおよび研
掃材噴射ノズル２０を取付けた本体部２１が矢印Ｘ方
向、矢印Ｙ方向、矢印Ｚ方向に適宜移動または旋回させ
られることとの複合作動によって、大型ブロック１２の
溶接軌跡Ｗの全てに順次研掃材噴射ノズル２０を指向さ
せながら、研掃材を噴射して溶接軌跡Ｗの研掃を行う。

【０００９】研掃材噴射ノズル２０から噴射された研掃
材と噴射研掃材により大型ブロック１２の溶接軌跡Ｗか
ら剥落させられたスラグなどの異物は、床面７および自
走式台車１の前部に落下散乱する。床面７に散乱した研
掃材とスラグなどの異物は、回収手段３によって回収さ
れたのち、分離手段４により研掃材と異物に分離され、
分離された研掃材を研掃材供給手段５により研掃材射撃
手段２に再度供給して研掃材の射撃を実行する。すなわ
ち、床面７に散乱した研掃材とスラグなどの異物は、自
走式台車１の移動に伴って回転ブラシ３０またはマグネ
ット式ベルトコンベアによってかき上げ回収されてコン
ベア３１に吐出され、コンベア３１によって第１スクリ
ューコンベア３２に搬送される。一方、自走式台車１の
前部に落下散乱している研掃材と異物の少なくとも大部
分は、自走式台車１の前部に形成した多数の透孔１ａか
ら傾斜案内板１Ａ上に落下し、研掃時に発生する自走式
台車１および傾斜案内板１Ａの振動によって、斜案内板
１Ａ上を滑走しながら第１スクリューコンベア３２に搬
送される。第１スクリューコンベア３２に吐出された研
掃材と異物は、台車１下側の特定箇所に搬送され、ここ
から第２スクリューコンベア３３に移送されて台車１の
後部に搬送されたたのち、バケットエレベータ３４に移
送され、バケットエレベータ３４の出口からシュート３
５を通って分離手段４に吐出される。

【００１０】分離手段４では研掃材と異物が分離され、
異物を適宜回収するとともに、研掃材は研掃材供給手段
５の研掃材貯蔵タンク５０に貯蔵される。研掃材貯蔵タ
ンク５０に貯蔵された研掃材は、エアーブラストタンク
５３内における研掃材の使用量のレベル検知に基づい
て、バケットエレベータ５１とシュート５２を通ってエ
アーブラストタンク５３に搬送され、ここから通路５４
を通って研掃材射出手段２に供給されて、再び研掃材噴
射ノズル２０により溶接軌跡Ｗに向けて連続噴射される
ことになる。

【００１１】本発明によれば、二重底大型船体ブロック
に代表される金属製の大型ブロック１２のような、形状
が相当に複雑な骨材溶接部の研掃と、研掃時に噴射され
た研掃材および研掃によって骨材から剥落させられたス
ラグなどの異物の回収を、作業者の手作業に委ねること
なく自動的に実行することができるので、研掃作業性お
よび回収作業性が大幅に向上し、船体の生産性向上に寄
与するとともに、劣悪な作業環境での手作業を回避し
て、作業者の保全を図ることができる。

【００１２】なお、前記実施例では、研掃材射出手段２
として圧縮空気圧力によって研掃材を噴射させるエアー
ブラスト装置を使用して説明しているが、本発明は前記
実施例にのみ限定されるものではなく、遠心力によって
研掃材を投射させる遠心投射機を使用してもよい。ま
た、前記実施例で説明した二重底大型船体ブロックに限
らず、他の金属製の大型ブロックの研掃にも使用可能で
あることはいうまでもない。

【００１３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明は、形状が
相当に複雑な骨材溶接部の研掃と、研掃時に噴射された
研掃材および研掃によって骨材から剥落させられたスラ
グなどの異物の回収を、作業者の手作業に委ねることな
く自動的に実行することができるので、研掃作業性およ
び回収作業性が大幅に向上し、船体あるいは他の構築物
の生産性向上に寄与するとともに、劣悪な作業環境での
手作業を回避して、作業者の保全を図ることができる等
の利点を有している。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例構成の全体を示す正面図であ
る。

【符号の説明】

１ 自走式台車 ２ エアーブラスト装置または遠心投射機（研掃材射出
手段） ３ 回収手段 ４ 分離手段 ５ 研掃材供給手段 ６ 制御器 １０ 大型ブロック

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 溶接済み大型ブロックの下側を往復移動
   可能な自走式台車と、この台車に搭載された研掃材射出
   手段と、前記台車に搭載および付設されて前記研掃材射
   出手段から射出された研掃材および射出研掃材により前
   記大型ブロックから剥落させられたスラグなどの異物を
   回収する回収手段と、前記台車に搭載されて前記回収手
   段により回収された研掃材および異物を分離する分離手
   段と、この分離手段によって異物から分離された研掃材
   を前記研掃材射出手段に供給する研掃材供給手段と、予
   め設定した研掃プログラムに基づいて前記台車の運転と
   前記研掃材射出手段の位置および射出姿勢を制御する制
   御器と、を具備していることを特徴とする大型ブロック
   用自動研掃装置。