JP3019052B2 - 液状物の殺菌装置 - Google Patents

液状物の殺菌装置

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JP3019052B2 JP9356080A JP35608097A JP3019052B2 JP 3019052 B2 JP3019052 B2 JP 3019052B2 JP 9356080 A JP9356080 A JP 9356080A JP 35608097 A JP35608097 A JP 35608097A JP 3019052 B2 JP3019052 B2 JP 3019052B2
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    • C02TREATMENT OF WATER, WASTE WATER, SEWAGE, OR SLUDGE
    • C02FTREATMENT OF WATER, WASTE WATER, SEWAGE, OR SLUDGE
    • C02F1/00Treatment of water, waste water, or sewage
    • C02F1/48Treatment of water, waste water, or sewage with magnetic or electric fields
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C02TREATMENT OF WATER, WASTE WATER, SEWAGE, OR SLUDGE
    • C02FTREATMENT OF WATER, WASTE WATER, SEWAGE, OR SLUDGE
    • C02F2303/00Specific treatment goals
    • C02F2303/04Disinfection

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  • Food Preservation Except Freezing, Refrigeration, And Drying (AREA)
  • Apparatus For Disinfection Or Sterilisation (AREA)
  • Water Treatment By Electricity Or Magnetism (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば飲料、液
状卵黄、液状卵白、水、化粧水、液体医薬品等の液状物
にパルス高電界を印加して殺菌処理を施す殺菌装置に関
し、より具体的には、工業生産規模の大流量殺菌処理に
おいても高エネルギー効率かつ低温殺菌処理を可能にす
る手段に関する。
【0002】
【従来の技術】上記のような液状物の雑菌による汚染防
止、保存寿命の延長等の目的で、例えば図6に示すよう
に、パルス電源6から殺菌処理容器部4へパルス電圧V
p を印加して殺菌処理容器部4内で液状物2に短パルス
の高電界をある回数印加して、液状物2に殺菌処理を施
す技術が既に提案されている(例えば特公平3−117
55号公報または特表平2−501348号公報参
照)。
【0003】液状物2は、液体または液体状のものであ
り、例えば前述した飲料(例えばジュース、牛乳等)、
液状卵黄、液状卵白、水、化粧水、液体医薬品等であ
る。
【0004】この技術の原理は、被殺菌物である液状物
2中に存在する微生物や雑菌が、当該液状物2に印加さ
れる高電界の作用によって、細胞膜の破壊等の影響を受
けて死滅し、それによって殺菌される、ということであ
る。従って、原理的には、省エネルギーかつ低温殺菌が
可能であり、被殺菌物である液状物2の変質が無く、か
つ物理的殺菌なので有毒化学物質残留の恐れもない優れ
た殺菌方法であると言える。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来は
上記のような液状物の殺菌装置の原理は提案されている
ものの、パルス電圧Vp や液状物2の流量等との関係に
おいて、殺菌処理容器部4の寸法の好ましい条件につい
ては何ら明確にされていないため、工業生産規模の大流
量殺菌処理を行おうとすると、パルス電源6に対する負
荷の、即ち殺菌処理容器部4のインピーダンスが下がり
過ぎて、殺菌処理容器部4ひいてはその中に導入される
液状物2に所定の短パルスかつ高電界が印加できなくな
ると共に、液状物2でのエネルギー消費が大きくなって
発熱が大きくなり、液状物2に対する低温殺菌処理が困
難になるという問題が生じる。
【0006】このため、従来は、実験用等の小規模な殺
菌装置に留まらざるを得なかった。あるいは、敢えて大
流量処理を行おうとすると、液状物2へのパルス高電界
印加→液状物2の冷却→液状物2へのパルス高電界印加
という工程を何回も繰り返すという複雑な殺菌装置とな
らざるを得なかった。
【0007】そこでこの発明は、殺菌処理容器部の寸法
に対する条件を明確にすることによって、装置を複雑化
することなく、工業生産規模の大流量殺菌装置において
も高エネルギー効率かつ低温殺菌処理が可能な殺菌装置
を提供することを主たる目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は、二つの電極
および両電極間を絶縁する絶縁物から成り、内部を被殺
菌物である液状物が流通する殺菌処理容器部と、この殺
菌処理容器部の二つの電極間に矩形状のパルス電圧を印
加するパルス電源とを備える液状物の殺菌装置におい
て、前記殺菌処理容器部の二つの電極間の間隔をd
[m]、前記パルス電源と前記殺菌処理容器部とを接続
する回路のインダクタンスをL[H]、殺菌処理時に前
記殺菌処理容器部に流通させる液状物の流量をG[m3
/s]、殺菌処理時に前記殺菌処理容器部へ印加するパ
ルス電圧の全パルス数をN[回]、同パルス電圧のパル
ス幅をτ[s]、同パルス電圧のパルス繰り返し率をf
[Hz]および前記液状物の比抵抗をρ[Ωm]とした
場合、前記パルス幅τを100ns未満に設定すると共
に、前記間隔dが次式を満たすように設定していること
を特徴としている。
【数1】d>√{(LGN)/(0.3τρf)}
【0009】詳しくは後述するけれども、パルス電圧の
パルス幅τの面から考察すると、パルス幅τが短いほ
ど、液状物での電気抵抗による損失エネルギーが下が
り、殺菌作用に使うエネルギー効率が高まる。特に、パ
ルス幅τを100ns未満にすることにより、殺菌処理
時の液状物の温度上昇を約10℃未満に抑えることがで
きるので、低温殺菌処理が可能になる。
【0010】一方、パルス電圧のパルス波形の面から考
察すると、パルスの立ち上がりおよび立ち下がりの部分
は、電界が弱くて殺菌作用に寄与しないので、殺菌作用
に使うエネルギー効率を高めるためには、できるだけ立
ち上がりおよび立ち下がりの速い矩形状のパルス電圧に
するのが好ましい。このような条件と、パルス電源と殺
菌処理容器部とのインピーダンスマッチングの条件とか
ら、殺菌処理容器部の電極間の間隔dとして上記数1の
条件が導かれ、当該間隔dが数1を満たすように設定す
ることによって、パルス電源から印加されるパルス電圧
を殺菌処理容器部で高効率で利用することができ、高エ
ネルギー効率を実現することができる。
【0011】従ってこの殺菌装置によれば、液状物での
電気抵抗による損失の低減および印加パルス電圧の高効
率利用が可能になるので、工業生産規模の大流量殺菌処
理においても高エネルギー効率かつ低温殺菌処理が可能
になる。しかも、パルス電圧印加工程と冷却工程とを繰
り返す等という複雑な工程を採用しなくて済むので、装
置を複雑化せずに済む。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は、この発明に係る液状物の
殺菌装置の一例を示す図である。図2は、図1の殺菌装
置の等価回路図である。
【0013】この殺菌装置は、前述した液状物2が内部
を流通する殺菌処理容器部10と、この殺菌処理容器部
10に(具体的にはその2枚の電極12、14間に)矩
形状のパルス電圧Vp を印加するパルス電源20とを備
えている。
【0014】殺菌処理容器部10は、この例では2枚平
板型のものであり、間隔をあけてほぼ平行に相対向する
2枚の平板状の電極、即ち高電圧電極12および接地電
極14と、両電極12、14間を電気的に絶縁する環状
または筒状の絶縁物16とから成る。接地電極14は電
気的に接地されている。絶縁物16には液状物2の入口
16aおよび出口16bが設けられており、この入口1
6aから液状物2が当該殺菌処理容器部10の内部に連
続的に導入され、かつ出口16bから外部に連続的に導
出される。
【0015】パルス電源20は、簡単に言えば、例えば
図2に示すように、高電圧の充電電源(例えばパルス電
源)22にパルス成形部24および出力スイッチ26を
接続した構成をしている。パルス成形部24は、パルス
の波形を所定の波形(矩形波)に整えるパルス成形ライ
ン(PFL)またはパルス成形回路網(PFN)であ
る。
【0016】液状物2の流通時の上記殺菌処理容器部1
0は、等価回路的には、図2に示すように、静電容量C
と抵抗Rとの並列回路と見なすことができる。この殺菌
処理容器部10とパルス電源20とを接続する回路には
通常はインダクタンスLが存在する。
【0017】上記のような殺菌装置におけるエネルギー
効率について、(1)パルス電圧Vp のパルス幅τおよ
び(2)パルス電圧Vp のパルス波形の面から考察す
る。
【0018】(1)パルス電圧Vp のパルス幅τに関し
て上記殺菌装置の基本パラメータは次のとおりである。
【0019】殺菌処理容器部10における印加電界:E
[V/m] パルス電圧Vp のパルス幅:τ[s] パルス電圧Vp 印加の全パルス数:N[回] 液状物2の誘電率:ε[F/m] 液状物2の比抵抗:ρ[Ωm] 電極12、14の面積:S[m2 ] 電極12、14間の間隔:d[m] 殺菌処理容器部10の容積:Vo [m3 ]=S・d パルス電圧Vp の大きさ:V[V]=d・E 殺菌処理容器部10の静電容量:C[F]=εS/d 殺菌処理容器部10の抵抗:R[Ω]=ρd/S
【0020】上記殺菌処理容器部10へパルス電圧Vp
印加時の静電エネルギーUc は次式で表される。
【0021】
【数2】 Uc =(1/2)CV2 =(1/2)εE2 Vo [J]
【0022】液状物2の電気抵抗での電界印加1回当た
りの損失エネルギーUr は次式で表される。
【0023】
【数3】 Ur =τV2 /R=(τ/ρ)E2 Vo [J/回]
【0024】殺菌処理容器部10における殺菌は電界殺
菌であるので、殺菌に寄与するのは上記エネルギーUc
であり、上記エネルギーUr は損失と考えることができ
る。従って、次式で表される効率ηがエネルギー効率の
指標となる。
【0025】
【数4】η=NUc /NUr =ρε/(2τ)
【0026】上記ρεは液状物2の特性値であって液状
物2の種類によって自ずから決まるので、パルス電圧V
p のパルス幅τが短いほど、エネルギー効率ηは高ま
る。
【0027】次にこのパルス幅τのより具体的な条件を
求めると、液状物2として代表的な飲料等の場合、その
比抵抗ρおよび誘電率εは概略次のとおりであり、ρε
≒1.4×10-9[FΩ]=1.4[ns]と非常に短
い。εr は液状物2の比誘電率、ε0 は真空の誘電率で
ある。
【0028】
【数5】ρ≒2[Ωm] ε≒εr ・ε0 =80×8.9×10-12 ≒7.1×1
-10 [F/m]
【0029】一方、液状物2のパルス電圧Vp 印加での
温度上昇を考察すると、殺菌処理での液状物2の単位体
積当たりのエネルギー消費Uo は、上記静電エネルギー
Ucは無視し得るから、上記数3から次式で表される。
【0030】
【数6】Uo =(Ur /Vo )N=(τ/ρ)E2
【0031】液状物2の殺菌処理では通常、E≒3[M
V/m]、N≒100[回]程度であるので(電界Eが
強くなれば回数Nは少なくて済む)、ρ≒2[Ωm]と
すると、数6に示したエネルギー消費Uo は次式とな
る。
【0032】
【数7】Uo =(τ/ρ)E2 N≒4.5×1014τ
[J/m3
【0033】飲料等の通常の液状物2の密度および比熱
はほぼ水のそれと等しいから、殺菌処理時の液状物2の
温度上昇を約10℃未満に抑えて低温殺菌処理を実現す
るためには、パルス電圧Vp のパルス幅τは次式を満た
すように設定すれば良い。
【0034】
【数8】τ<(4.2×107 )/(4.5×1014
≒93[ns]
【0035】上記2点から、即ちパルス電圧Vp のパ
ルス幅τが短いほどエネルギー効率ηが高まり、液状
物2の温度上昇を約10℃未満に抑えるためにはパルス
幅τを約93ns程度未満にすれば良い、ということか
ら、パルス幅τを100ns未満に設定することによ
り、殺菌処理のエネルギー効率を高めることができると
共に、液状物2の温度上昇を約10℃未満に抑えること
ができるので、低温殺菌処理を実現することができる。
約10℃未満の温度上昇であれば、液状物2は常に常温
に近いので、変質を生じることはなく、低温殺菌と言う
ことができる。
【0036】(2)パルス電圧Vp のパルス波形に関し
て液状物2に対する殺菌効果は、それに印加する電界に
強く依存するので、所定の電圧(電界)のパルス電圧V
p を印加する場合、当該パルス電圧Vp の立ち上がりお
よび立ち下がりが遅いと、その部分は、パルス電圧Vp
中において殺菌の役に立たない無駄な部分ということに
なる。従って、パルス電界殺菌のエネルギー効率を高め
るためには、パルス電圧Vp は、できるだけ立ち上がり
および立ち下がりの速い矩形状のパルスにするのが好ま
しい。
【0037】図5にパルス電圧Vp の波形の一例を示
す。パルス幅τは通常はこの例のように半値全幅で定義
される。立ち上がり時間t1 と立ち下がり時間t2 とは
通常は互いにほぼ等しいので、以下では立ち上がり時間
1 で代表させる。
【0038】パルス電圧Vp の立ち上がり時間t1 は、
パルス電源20の(より具体的にはそのパルス成形部2
4の)インピーダンスZと負荷である殺菌処理容器部1
0の抵抗Rとが等しくてインピーダンスマッチングが取
れているとすると、次式で表される。ここでL[H]
は、前述したようにパルス電源20と(より具体的には
そのパルス成形部24と)殺菌処理容器部10とを接続
する回路(ライン)のインダクタンスであり、当該回路
に図2の例のように出力スイッチ26が介在する場合は
そのインダクタンスも含むものである。
【0039】
【数9】t1 ≒L/R[s]
【0040】ここで、パルス電圧Vp が矩形状のパルス
波形をしていて殺菌処理の高効率化を図るためには、上
記立ち上がり時間t1 をパルス幅τの30%未満にする
のが好ましい、即ち次式にするのが好ましいと言える。
その程度であれば通常のパルス電源20で十分に実現可
能であり、しかもパルス幅τはパルス電圧Vp のほぼ7
0%あるので効率も高く、かつ波形も矩形状と言えるか
らである。
【0041】
【数10】t1 <0.3τ
【0042】上記数9および数10の条件を満たしなが
ら、即ち高エネルギー効率を図りながら、殺菌処理容器
部10において流量G[m3 /s]の液状物2を殺菌処
理するには、パルス電圧Vp のパルス繰り返し率をf
[Hz]とすると、G=Vo f/N、また前記のように
R=ρd/S、Vo =Sdであるから、これらを上記数
9および数10の条件に適用すると、殺菌処理容器部1
0の電極間隔dの条件として次式が導かれる。この数1
1は前記数1と同じものである。
【0043】
【数11】d>√{(LGN)/(0.3τρf)}
【0044】この殺菌装置では、殺菌処理容器部10の
電極間隔dがこの数11を満たすように設定しており、
それによって、パルス電源20から印加されるパルス電
圧Vp を殺菌処理容器部10で高効率に利用することが
でき、高エネルギー効率を実現することができる。
【0045】なお、前述したようにV=dEなる関係が
成立するので、一定の電界Eを実現するためには、電極
間隔dの大きさに比例させてパルス電圧Vp の大きさV
を変えれば良い。
【0046】上記(1)および(2)の結論をまとめる
と、パルス電源20から殺菌処理容器部10に印加する
パルス電圧Vp のパルス幅τを100ns未満に設定す
ると共に、殺菌処理容器部10の電極間隔dが数11
(=数1)を満たすように設定することによって、液状
物2中での電気抵抗による損失の低減および印加パルス
電圧Vp の高効率利用が可能になるので、工業生産規模
の大流量殺菌処理においても高エネルギー効率かつ低温
殺菌処理が可能になる。しかも、従来例で説明したよう
なパルス電圧印加工程と冷却工程とを繰り返す等という
複雑な工程を採用しなくて済むので、装置を複雑化せず
に済む。
【0047】ここで、液状物2として比抵抗ρ≒2Ωm
の飲料(例えばリンゴジュースやオレンジジュース等)
を、工業生産規模の流量G=1m3 /h≒3×10-4
3 /sで殺菌処理する具体例を説明する。パルス電源2
0から殺菌処理容器部10に印加するパルス電圧Vp の
パルス幅τ=90ns、パルス繰り返し率f=100H
z、全パルス数N=100回に設定する。パルス電源2
0と殺菌処理容器部10間のインダクタンスLは、出力
スイッチ26に例えば後述する同軸構造の磁気スイッチ
を用いる等すれば、200nHの低インピーダンス化が
可能である。
【0048】上記条件の場合、数11の右辺の√{(L
GN)/(0.3τρf)}=3.3×10-2m=3.
3cmとなる。従ってこの場合は、電極間隔dを例えば
d=3.4cmとすれば、数11を満たす。ちなみに、
殺菌処理容器部10の電極の面積S=88cmとすれ
ば、この場合の液状物2の抵抗R=7.7Ωとなる。
【0049】電極間隔dを上記のように3.4cmとす
る場合、殺菌処理容器部10における電界E=30kV
/cmを実現するとすれば、パルス電圧Vp の大きさV
≒100kVにすれば良い。
【0050】上記各値は、いずれも、現状のパルス電源
技術から見ても、かつ構造的に見ても、実現可能な値で
ある。
【0051】またこの例での液状物2の温度上昇は、上
述したようにして計算すると、約9.6℃であり、低温
殺菌処理を実現することができる。
【0052】図3は、この発明に係る液状物の殺菌装置
の他の例を示す図である。図1の実施例との相違点を主
体に説明すると、この実施例では殺菌処理容器部10を
同軸構造にしている。
【0053】即ち、この例では、円筒状または円柱状の
高電圧電極12の外側に円環状(リング状)の接地電極
14を、高電圧電極12との間に間隔をあけて同軸状に
配置し、この接地電極14の左右の両側と高電圧電極1
2との間に2枚の円板状の絶縁物16を設けて殺菌処理
容器部10を形成している。接地電極14は電気的に接
地されている。接地電極14には液状物2の入口14a
および出口14bが設けられており、この入口14aか
ら液状物2が当該殺菌処理容器部10の内部に連続的に
導入され、かつ出口14bから外部に連続的に導出され
る。
【0054】上記高電圧電極12は、それと同軸構造を
成す金属製の接続管28内を通して、パルス電源20ま
で延びて当該パルス電源20の出力部に接続されてい
る。この接続管28も電気的に接地されている。
【0055】また、上記高電圧電極12の先端側は、殺
菌処理容器部10を貫通させると共に先端部を丸めてお
り、そして金属製の端部容器30で覆っている。この端
部容器30も電気的に接地されている。このような構造
にすることにより、殺菌処理容器部10の端部(高電圧
電極12の先端側)に電界集中が起こるのを防止するこ
とができる。この端部容器30内には、この例では、当
該端部容器30と高電圧電極12とに接続された電圧測
定抵抗32が収納されている。
【0056】この実施例では、パルス電源20から高電
圧のパルス電圧Vp が印加される高電圧電極12が外部
に露出しておらず、接地電位の接地電極14、接続管2
8および端部容器30で覆われているので、安全性が高
い。
【0057】殺菌処理容器部10がこの実施例のように
円形同軸構造の場合、前述した数1〜数11を適用する
上での図1の実施例との相違点を説明すると、殺菌処理
容器部10の軸方向の長さ(即ち2枚の絶縁物16間の
距離)をa[m]、高電圧電極12の外径r1 [m]、
接地電極14の内径をr2 [m]とすると、この殺菌処
理容器部10の静電容量Cは次式で表される。lnは自
然対数である。
【0058】
【数12】C=2πεa/ln(r2 /r1
【0059】前述した電極間隔dはこの実施例の場合は
d=r2 −r1 であるから、前述した電極面積Sは次式
で計算すれば良い。
【0060】
【数13】 S=2π(r2 −r1 )a/ln(r2 /r1
【0061】またこの実施例の場合、パルス電圧Vp は
殺菌処理容器部10の一端(図3の左端)から印加さ
れ、軸方向に進行して行く。この進行と共に液状物2の
抵抗分でエネルギーが失われるので、上記長さaがあま
り長いと、高電圧電極12の軸に沿う方向において印加
電圧が一定でなくなる可能性が生じ、好ましくない。ま
た、同軸構造において、その内径側(高電圧電極12に
近い側)と外径側(接地電極14に近い側)とで電界E
が大きく異なるのは、不都合である。いずれも、液状物
2の殺菌処理の均一性を低下させるからである。そこで
この観点からは、必要な電極面積S(数13参照)を実
現するためには、構造的(または価格的)に許す範囲
で、軸方向の長さaを短くし、直径を大きくするように
上記r1 、r2 およびaを決めるのが好ましい。例え
ば、先の具体例で示したd=3.4cm、S=88cm
を確保するためには、a=2cm、r1 =5.4cm、
2 =8.8cm程度にすれば良い。
【0062】なお、上記殺菌処理容器部10の部分は、
必ずしも円形同軸構造でなくても良く、断面が楕円形や
長円形の同軸構造でも良い。
【0063】上記図1や図3に示した殺菌処理容器部1
0にパルス電圧Vp を印加するのに好適なパルス電源2
0の例を図4に示す。前述したような、パルス幅τが1
00ns未満で大きさVが100kV級の短パルスかつ
高電圧のパルス電圧Vp を、100Hz程度の高繰り返
し率fで安定して発生させるためには、このパルス電源
20のように、固体スイッチ(サイリスタ等の半導体ス
イッチ36および磁気スイッチ46、48)を用い、か
つコンデンサ42、パルス成形部44および磁気スイッ
チ46、48を用いて多段のパルス圧縮を行うものが好
ましい。
【0064】このパルス電源20は、高電圧の充電電源
(例えばパルス電源)34をコンデンサ38を介して昇
圧パルストランス40の1次巻線に接続し、充電電源3
4に並列に半導体スイッチ36を接続している。昇圧パ
ルストランス40の2次巻線にコンデンサ42を並列に
接続し、かつ同2次巻線に磁気スイッチ46、パルス成
形部44および磁気スイッチ48を接続している。
【0065】このパルス電源20の動作を簡単に説明す
ると、充電電源34でコンデンサ38を充電した後に半
導体スイッチ36をオンすると、コンデンサ38の電荷
が昇圧パルストランス40を通じてコンデンサ42に移
行する。この電荷移行の終了時点付近において磁気スイ
ッチ46が飽和し(即ちオンし)、コンデンサ42から
パルス成形部44へ電荷が(即ちパルスが)伝送され、
このパルス成形部44でパルスの波形が所定の矩形波に
整えられる。このパルス成形部44からのパルスは、飽
和した磁気スイッチ48を通して前述したパルス電圧V
p として出力される。このパルス電源20では、コンデ
ンサ42からパルス成形部44へのパルスの伝送時およ
びパルス成形部44から殺菌処理容器部10へのパルス
の伝送時に、2段のパルス圧縮が行われる。
【0066】上記半導体スイッチ36の代わりに、サイ
ラトロンを使用しても良い。
【0067】最終出力スイッチである上記磁気スイッチ
48は、アモルファス金属や微結晶金属等の高周波特性
の良いトロイダル型磁性体を用いた同軸構造とし、殺菌
処理容器部10と直結して接続回路の低インダクタンス
(L)化を図るのが好ましい。
【0068】パルス成形部44は、例えば、同軸イオン
交換水コンデンサや高圧同軸ケーブル等を用いたパルス
成形ライン(PFL)が好ましいけれども、複数のコン
デンサとインダクタンスを梯子状に回路構成したパルス
成形回路網(PFN)でも良い。
【0069】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、パルス
電源から殺菌処理容器部に印加するパルス電圧のパルス
幅τを100ns未満に設定すると共に、殺菌処理容器
部10の電極間隔dが前記条件を満たすように設定した
ことによって、液状物中での電気抵抗による損失の低減
および印加パルス電圧の高効率利用が可能になるので、
工業生産規模の大流量殺菌処理においても高エネルギー
効率かつ低温殺菌処理が可能になる。しかも、パルス電
圧印加工程と冷却工程とを繰り返す等という複雑な工程
を採用しなくて済むので、装置を複雑化せずに済み、構
成が簡素な殺菌装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る液状物の殺菌装置の一例を示す
図である。
【図2】図1の殺菌装置の等価回路図である。
【図3】この発明に係る液状物の殺菌装置の他の例を示
す図である。
【図4】パルス電源の一例を示す図である。
【図5】パルス電圧の波形の一例を示す図である。
【図6】液状物の殺菌装置の基本構成を示す概略図であ
る。
【符号の説明】
2 液状物 10 殺菌処理容器部 12 高電圧電極 14 接地電極 16 絶縁物 20 パルス電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23L 3/32 A61L 2/02 C02F 1/48

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二つの電極および両電極間を絶縁する絶
    縁物から成り、内部を被殺菌物である液状物が流通する
    殺菌処理容器部と、この殺菌処理容器部の二つの電極間
    に矩形状のパルス電圧を印加するパルス電源とを備える
    液状物の殺菌装置において、前記殺菌処理容器部の二つ
    の電極間の間隔をd[m]、前記パルス電源と前記殺菌
    処理容器部とを接続する回路のインダクタンスをL
    [H]、殺菌処理時に前記殺菌処理容器部に流通させる
    液状物の流量をG[m3 /s]、殺菌処理時に前記殺菌
    処理容器部へ印加するパルス電圧の全パルス数をN
    [回]、同パルス電圧のパルス幅をτ[s]、同パルス
    電圧のパルス繰り返し率をf[Hz]および前記液状物
    の比抵抗をρ[Ωm]とした場合、前記パルス幅τを1
    00ns未満に設定すると共に、前記間隔dが次式を満
    たすように設定していることを特徴とする液状物の殺菌
    装置。 d>√{(LGN)/(0.3τρf)}
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