JP3017784B2 - 積層型変位素子 - Google Patents

積層型変位素子

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JP3017784B2 JP2264692A JP26469290A JP3017784B2 JP 3017784 B2 JP3017784 B2 JP 3017784B2 JP 2264692 A JP2264692 A JP 2264692A JP 26469290 A JP26469290 A JP 26469290A JP 3017784 B2 JP3017784 B2 JP 3017784B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、産業用ロボットのアクチュエータ、超音波
モータ等に使用する電気機械変換素子に関するものであ
り、特に電気機械変換材料からなる薄板を、内部電極を
介して複数枚積層することにより、変位量を増大させた
積層型変位素子の改良に関するものである。
[従来の技術] 従来、この種の積層型変位素子は第3図に示すような
構造であった。すなわち、電気機械変換材料からなる薄
板(電歪効果層)1の片面に内部電極材料2を形成し、
これらを複数枚積層して駆動層8を形成して、さらにそ
の両端部に他物体から素子を保護するために内部電極を
含まないダミー層9が設けられた構造となっている。そ
の一側面に露出した内部電極2を一層おきに絶縁物3に
より絶縁する。さらにその上から第1の外部電極4を形
成する。一方、他の側面において、前述の側面において
絶縁物3を形成しなかった内部電極2の露出部分を絶縁
物3により絶縁し、その上から第2の外部電極5を形成
する。そして、前記積層型変位素子の中央付近に位置す
る外部電極4、5にリード線6を半田7で接続した構造
であった。これら従来の積層型変位素子は、リード線6
を介して電圧供給部の外部電極端子A,Bから外部電極
4、5間に電圧を印加すると、内部電極2を介してすべ
ての電歪効果層1の両端に電圧が印加されて、素子全体
として図示した矢印のX,Y方向に歪が発生するものであ
る。
上述した従来の第3図に示す積層型変位素子では、駆
動層8部分の外部電極4、5上にリード線6を半田付け
すると、電歪効果層1が伸縮するために、半田7と外部
電極4、5の間に応力が働き、積層型変位素子を駆動さ
せると半田付け部分が剥離や断線をしてしまうという問
題があった。
[発明が解決しようとする問題点] そこで、上記問題点を解決する方法として、第4図に
示す構造の積層型変位素子が提案されている。当該積層
型変位素子の両端に設けられたダミー層9は、電界を印
加しても伸縮をしないため、前記外部電極4、5をダミ
ー層9上まで延長し、延長した外部電極部分にリード線
6を半田付けするといったことが提案されている(特開
昭61−272984公報参照)。
しかしながら、第4図に示すように、積層型変位素子
を固定部材(金属等導電材料)10に取り付ける場合、積
層型変位素子の全長が短い場合や、変位量を大きく取る
ために駆動層8部分を大きく取りダミー層9部分を薄く
した場合において、半田7を被着する十分なスペースが
取れなくなり、半田7と固定部材10の間隔が狭くなり放
電してしまうなどの電気的不具合いが生ずるという欠点
があった。
その改善方法として、第5図に示すように、前記積層
型変位素子の随意の中間部に変位しないダミー層9aを設
けて、その部分に位置する外部電極4、5上にリード線
6を半田付けするという提案もなされている(特開昭62
−274681号公報,特開昭63−122287号公報参照)。この
方法により、ダミー層9が薄い積層型変位素子を固定部
材10に取り付けた場合でも、固定部材10と半田7との間
隔が十分に取れるため、放電などの電気的不具合は解消
されるが、積層型変位素子の中間に駆動しない比較的厚
いダミー層を挿入することによって変位量が減少してし
まうという欠点がある。
本発明は、上記従来技術に存在する問題点を解決し、
高信頼度の積層型変位素子を提供することを目的とす
る。
[問題点を解決するための手段] 上記問題点を解決するために、本発明においては、ほ
ぼ同一の輪郭および接触面積に形成した電気機械変換材
料からなる薄板と導電材料からなる内部電極とを各々複
数枚交互に積層した駆動層と、その両端あるいは/およ
び随意の層間に設けたダミー層を形成し、前記駆動層と
ダミー層との境界に、電気機械変換材料の横効果によっ
て発生する剪断応力を緩和するために駆動層よりも変位
量を小さくした緩衝層を設けた積層体であって、前記積
層体の側面に露出した内部電極を一層おきに接続する一
対の外部電極を設けるとともに、外部接続用リード部材
を前記緩衝層に相当する位置の外部電極導体にそれぞれ
固着するという技術的手段を採用したのである。
[作用] 上記の構成のように、積層型変位素子の緩衝層部分か
らリード線を取り出すことにより、積層型変位素子を固
定部材に取り付ける場合に固定部材と半田の間隔が十分
に取れて、半田が素子の端面にだれて放電あるいはショ
ートするといった不具合が解消される。
また、積層型変位素子の緩衝層は駆動層とダミー層の
境界に発生する剪断応力を緩和するために、駆動層より
も変位量を小さくしてあるため、リード線を緩衝層部分
に固着しても積層型変位素子の変位を阻害したり、リー
ド線固着部分で外部電極の剥離や断線などの不良を防止
することが出来る。
[実施例] 第1図は本発明の実施例を模式的に示す側面図であ
り、同一部分は前記第3図と同一の参照符号で示す。第
1図において、まず例えばPb(Zr,Ti)O3粉末に、有機
バインダーとしてPVB、可塑材としてBPBG、有機溶剤と
してトリクレンを各々添加して混合し、この混合材料を
ドクターブレード法により厚さ100μmのシート状の薄
板1に形成する。次にこの薄板1の表面に内部電極2を
形成する銀−パラジュームペーストをスクリーン印刷す
る。上記のように形成した内部電極2を有する薄板1を
交互に例えば100枚積層して圧着する。なお、緩衝層は
例えば前記銀−パラジュームペーストをスクリーン印刷
する場合に例えば電歪効果層の厚さの0.5〜5倍程度の
直径を有する電極を印刷しない穴を形成し、積層体断面
積の0.3〜0.8倍程度の面積とした層を前記駆動層8とダ
ミー層9の間に8層ずつ挿入することにより形成する。
その後、所定の寸法に切断して脱バインダーを行った
後、1050〜1200℃で1〜5時間焼成して積層体を形成す
る。次にこの積層体の側面に、内部電極2の端縁に一層
おきに絶縁材料からなる被覆3と、導電材料からなる外
部電極4、5とを設ける。その後、前記緩衝層の位置に
おいて、外部電極4、5の上にリード線を半田付け接続
する。
本実施例は、電圧供給部の外部端子A,Bからリード線
6を介して外部電極4、5間に電圧を印加すると、内部
電極2間のすべての電歪効果層1の両端に電圧が印加さ
れて素子全体として、図示したX,Y方向に歪が発生する
ものである。このようにして製造された積層型変位素子
の変位特性を図2に示す。リード線6を緩衝層部分の外
部電極上に半田付けしたことによる変位量の減少はみら
れなかった。さらに周波数10Hz、パルス幅50msec、電圧
150Vの信号を入力して1000時間駆動しても、積層型変位
素子の緩衝層部分に半田が付いているために不具合は発
生しなかった。また、積層型変位素子を固定部材10に接
着材を用いて取り付けてもリード線6やはんだ7と固定
部材10との間の電気絶縁性は十分であった。
また、本実施例では薄板を構成する電気機械変換材料
として圧電材料の場合についてのみ記述したが、キュリ
ー温度が室温より低いため、分極の必要がなく、かつ変
位量が大であると共にヒステリシスが少ない等の特徴を
有する電歪材料を使用した積層型変位素子に付いても、
前記と全く同様な作用を期待できることは勿論である。
[発明の効果] 以上説明したように本発明によれば、リード線固着部
分の外部電極の剥離や断線を無くすることが出来る。ま
た別の視点から、半田を被着するのに十分な場所を得ら
れ、半田と固定部材との間で放電やショートといった不
具合も無くすることが出来、素子の小型化や信頼性の向
上に大きな効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の積層型変位素子の断面図、第2図は本
発明の一実施例に係る変位特性図、第3図、第4図およ
び第5図は従来の積層型変位素子の断面図である。 1……電歪効果層、2……内部電極、3……絶縁物、4,
5……外部電極、6……リード線、7……半田、8……
駆動層、9、9a……ダミー層、10……固定部材、11……
緩衝層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土田 弘志 埼玉県熊谷市三ケ尻5200番地 日立金属 磁性材料研究所内 審査官 小野田 誠 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 41/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】略同一の平面輪郭および接触面積に形成し
    た電気機械変換材料からなる薄板と、導電材料からなる
    内部電極とを各々複数枚交互に積層して駆動層を形成
    し、前記駆動層の積層方向の両端部あるいは/および随
    意の層間に内部電極材料を被着しない少なくとも一層以
    上の電気機械変換材料を層状に挿入したダミー層を形成
    し、前記駆動層とダミー層との境界に、電気機械変換材
    料の横効果によって発生する剪断応力を緩和するための
    緩衝層を設けた積層体を形成し、前記積層体の側面に露
    出した内部電極を一層おきに接続する一対の外部電極を
    設けて成る積層型変位素子であって、外部接続用リード
    部材を前記緩衝層に相当する位置において外部電極導体
    にそれぞれ固着されていることを特徴とする積層型変位
    素子。
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