JP3017001B2 - 磁気ヘッド - Google Patents

磁気ヘッド

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JP3017001B2
JP3017001B2 JP5298900A JP29890093A JP3017001B2 JP 3017001 B2 JP3017001 B2 JP 3017001B2 JP 5298900 A JP5298900 A JP 5298900A JP 29890093 A JP29890093 A JP 29890093A JP 3017001 B2 JP3017001 B2 JP 3017001B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気ギャップが形成さ
れている磁気テープ摺動面に磁気テープが偏りのない圧
力により安定して接触できるようにした磁気ヘッドに関
する。
【0002】
【従来の技術】図11は、カセットC内の磁気テープT
と、記録再生用の磁気ヘッドHおよび消去用の磁気ヘッ
ドH1との接触状態を示す平面図である。テーププレー
ヤにカセットCが装填されると、記録再生用の磁気ヘッ
ドHと消去用の磁気ヘッドH1がカセットC内に入り込
み、磁気テープTに接触する。JIS;C−5568の
規格では、カセットCの位置決め穴C1とC2を基準面
Xとしたとき、この基準面Xから記録再生用の磁気ヘッ
ドHの先端までの距離、すなわち突き出し量はα=3.
35mmで、消去用の磁気ヘッドH1の突き出し量はβ
=3.5mmである。カセットCの内部にはヘッドパッ
ドPが設けられ、薄い板ばねの弾性力により、ヘッドパ
ッドPが磁気テープTを磁気ヘッドHの摺動面に押し付
ける。またピンチローラ2がキャプスタン1に磁気テー
プTを圧接させ、キャプスタン1の回転により、磁気テ
ープTが図示右方向(矢印方向)へ走行させられる。
【0003】この種のテーププレーヤでは、磁気テープ
Tが磁気ヘッドHの摺動面を摺動する際に、摺動面のコ
ア部の摩耗によるスペーシングロスに加えて、磁気テー
プから剥離した磁粉がコア部表面に付着してスペーシン
グロスが増大され、これにより、記録再生音質の劣化を
招く欠点がある。特に磁気テープからの磁粉の付着につ
いては、高温度で高湿度の環境下において顕著である。
コア部の摩耗や磁粉の付着の程度は、磁気テープの種類
によっても若干は相違するが、磁気ヘッドHの摺動面の
形状によっても左右される。図13は、磁気ヘッドHの
摺動面Haの形状を改善した従来例を示すものであり、
図12は摺動面Haの一部を拡大したものである。図1
2と図13は、図11に示した記録再生用の磁気ヘッド
の底面図であり、磁気テープTの走行方向は図示左方向
となっている。
【0004】図12と図13に示す磁気ヘッドHの摺動
面Haは中心線O−Oに対して左右対称形状である。磁
気ギャップGを形成するコア部の中心は前記中心線O−
Oに一致して設けられている。コア部が設けられている
部分には山部(イ)が形成され、その両側方に溝部
(ロ),(ロ)が形成され、さらに左右外側には肩部
(ハ),(ハ)が形成されている。山部(イ)の表面
は、中心線O−O上に位置する点を中心とする所定の曲
率半径R1の部分円筒面に形成され、肩部(ハ)の表面
も、中心線O−O上に位置する点を中心とする所定の曲
率半径R2の部分円筒面である。一般に曲率半径R1は
1〜5mm程度で、曲率半径R2は10〜20mm程度
である。図13に示すように、磁気テープTはヘッドパ
ッドPにより山部(イ)の表面に加圧されて図示左方向
へ走行し、溝部(ロ)では磁気テープTがヘッド表面か
ら離れている。この摺動面Haの形状では、磁気テープ
から剥離された磁粉が溝部(ロ)内に溜って、山部
(イ)の表面に溜りにくくし、これによりスペーシング
ロスの増大を防止することを目的としている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記形
状の摺動面Haを有する磁気ヘッドHには、以下に示す
問題点がある。磁気テープは、キャプスタン1とピンチ
ローラ2に挟持され図示左方向へ引かれて走行させられ
る。上記従来の磁気ヘッドHの摺動面Haの形状では、
磁気テープTが山部(イ)の表面を摺動するが、同時に
テープ走行方向の下流側に位置する肩部(ハ)と溝部
(ロ)との境界のエッジ部(ニ)の部分に強く当たって
摺動する。一方、上流側の肩部(ハ)と溝部(ロ)との
境界のエッジ部(ホ)に対しては、磁気テープTが軽く
当たるかあるいはほとんど当たらない。
【0006】図14と図15は、磁気ヘッドHの摺動面
Haへの磁気テープTの接触圧力の分布を示している。
図14に示すように、下流側のエッジ部(ニ)では、磁
気テープの接触面積が極端に狭いため、磁気テープTの
接触圧力F1は集中圧力となる。また磁気テープ走行中
は、図13に示すように、ヘッドパッドPが中心線O−
Oに一致した位置に留まっておらず、テープ走行方向の
下流側の溝部(ロ)側へ偏ってしまう。そのため、山部
(イ)では、磁気テープTの接触圧力F2が下流側に偏
った分布となる。このように、ヘッドパッドPの当接状
態が偏ってしまう理由として、次のことが予測される。
【0007】図16は溝部を有していない磁気ヘッドの
摺動面Hcを示しているが、本来はこの図に示すよう
に、キャプスタン1の引っ張り力により、キャプスタン
1から中心線O−Oまでの範囲で磁気テープTに比較的
大きな張力t1が作用する。またこの強い張力t1はヘ
ッドパッドPと摺動面Hcとの当接により遮断され、中
心線O−O線部よりも上流側では、磁気テープTの張力
t2が前記張力t1よりも小さくなる。よってヘッドパ
ッドPは弱い張力t2の上流側へ偏ろうとするが、磁気
テープTは図示左側へ走行しているため、この磁気テー
プに引かれてヘッドパッドPは下流側へ移動しようとす
る。この移動力と、弱い張力t2側へ偏ろうとする力と
のバランスにより、ヘッドパッドPがほぼ中心線O−O
上に位置できるようになっている。
【0008】ところが、図14に示す摺動面Haの形状
では、走行する磁気テープがエッジ部(ニ)に強く押し
付けられながらキャプスタン1により図示左方向へ引か
れるため、エッジ部(ニ)よりも下流側では図16に示
したのと同様に磁気テープTに比較的強い張力t1が作
用するが、この張力t1は磁気テープとエッジ部(ニ)
との強い接触により遮断される。そのためエッジ部
(ニ)と中心線O−Oとの間、すなわち溝部(ロ)の前
方位置では磁気テープTの張力t3が前記張力t1より
も小さくなってしまう。そのため、前述のバランスが崩
れ、磁気テープTの走行に伴ってヘッドパッドPが本来
よりも小さい張力t3の下流側へ引き込まれ、ヘッドパ
ッドPの位置が下流側の溝部(ロ)に向かって偏ること
になる。図14と図15に示すように、ヘッドパッドP
がテープ走行の下流側へ偏り、磁気テープTと山部
(イ)との接触圧力F2が下流の溝部(ロ)側へ偏るこ
とにより、以下に列記する問題が生じる。
【0009】(1)前記接触圧力F2の偏分布により、
走行する磁気テープTは、山部(イ)の下流側の縁部
(へ)に強く当たり、この縁部(へ)に磁気テープTの
磁粉が剥離して付着しやすくなる。テープ走行時間が長
くなるにつれてこの縁部(へ)に溜まる磁粉の付着物が
他の部分よりも多くなる。縁部(へ)での付着物は必ず
しも溝部(ロ)内に逃げることができなくなり、山部
(イ)と磁気テープTと接触が悪くなる。その結果、磁
気ギャップGでのスペーシングロスが増大し、磁気ヘッ
ドの出力特性が劣化する。
【0010】(2)山部(イ)の縁部(へ)での磁気テ
ープの接触圧力が高いために、この縁部(へ)の摩耗が
顕著になる。この縁部(へ)の摩耗量が多くなると、さ
らにヘッドパッドPの接触が下流側へ偏りやすくなっ
て、接触圧力F2の偏分布が増長される。その結果、山
部(イ)でのコア部の摩耗が激しくなる。コア部の摩耗
はそのチャンネルごとに顕著な差を生じるようになり、
その結果、各チャンネル間の磁気ヘッド出力のばらつき
が大きくなる。このばらつきは磁気テープ走行時間が長
くなるにしたがって顕著になる。
【0011】(3)上記のように、従来の磁気ヘッドの
摺動面Haでは、ヘッドパッドPの位置が偏り、よって
磁気テープTの接触状態が不安定であるため、図11に
示す磁気ヘッドの突き出し量αをJISの規格通りまた
はそれ以下に設定しなくてはならない。すなわち突き出
し量αをJIS規格よりも大きくすると、さらに磁気テ
ープと各チャンネルのコア部との接触が不安定になり、
F特性(周波数特性)を悪化させてしまう。突き出し量
αをJISの規格よりも大きくできないために、磁気ヘ
ッドHと磁気テープTとの動摩擦係数を低下させること
ができず、テープ走行負荷が大きくなって、消費電力を
軽減させることが困難になる。
【0012】(4)上記のように突き出し量αを大きく
できず、よって摺動面Haに対する磁気テープTの巻き
付け角度を小さくすることが不可能であるため、コンタ
ー特性の改善も困難である。
【0013】また上記と同種の問題点に着目した公知例
として、特開平2−227857号公報がある。この公
報に記載されている発明は、図12と図13に示すよう
な溝部(ロ)が形成された磁気ヘッドの摺動面におい
て、肩部(ハ)の曲率半径R2を20mm程度に大きく
し、また磁気ヘッドの側方に位置するテープガイドの位
置も変更して、磁気テープTが肩部(ハ)の全面に当た
るようにしたものである。この発明では、接触圧力F1
の集中を防止することが可能である。しかしこの従来例
では、磁気テープと磁気ヘッドとの摺動面積が従来より
も広くなって磁気テープの摺動負荷が増大し、テープ走
行駆動のための電力消費を増大させてしまう。また、こ
の公知発明では、磁気テープTを常に肩部(ハ)の全面
に接触させなければならないが、図11に示す突き出し
量αを大きくすると、磁気テープが肩部(ハ)に全面的
に密着できなくなって効果を発揮できなくなる。突き出
し量αを大きくできないことにより、磁気テープTの磁
気ヘッドに対する巻き付け角度を小さくできず、コンタ
ー特性を改善できない。
【0014】本発明は上記従来の課題を解決するもので
あり、肩部エッジでの磁気テープの接触圧力の集中を無
くして、コア部での磁気テープの接触を安定させ、コア
部での磁粉の付着の増大を防止するとともに、磁気ヘッ
ドの偏摩耗を防止し、さらに省電力化とコンター特性の
改善も可能な磁気ヘッドを提供することを目的としてい
る。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、磁気ギャップ
を有する第1の磁気テープ摺動面と、この第1の磁気テ
ープ摺動面よりも磁気テープ走行方向の下流側に位置す
る第2の磁気テープ摺動面と、両磁気テープ摺動面の間
に位置して磁気テープが接触しない溝部とが形成されて
いる磁気ヘッドであって、前記第2の磁気テープ摺動面
が平坦面を有することを特徴とするものである。
【0016】また上記において、平坦面の磁気テープ走
行方向への長さは、1mm以上で3mm以下であること
が好ましい。
【0017】
【作用】上記手段では、溝部を挟んでテープ下流側に位
置する第2の磁気テープ摺動面を平坦面としているた
め、磁気テープの平坦面への接触圧力が分散し集中圧力
が生じなくなる。よって第1の磁気テープ摺動部では、
ヘッドパッドの当たりの偏りが生じなくなり、コア部で
の磁気テープの接触圧力が安定する。そのため従来のよ
うに磁粉の付着物が第1の磁気テープ摺動面の縁部に偏
って堆積することがなくなり、スペーシングロスを低減
できるようになる。またコア部の偏摩耗が生じないた
め、各チャンネル間でのヘッド出力特性の差も生じなく
なる。
【0018】また磁気テープと磁気ヘッドとの接触が安
定するため、図11に示すヘッドの突き出し量αを大き
くしてもF特性の劣化は無くなる。よって突き出し量α
を大きくしてテープ摺動負荷を軽減しテープ走行駆動電
力を低下させることができるとともに、コンター特性も
改善できる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面により説明す
る。図1は、磁気ヘッドHの摺動面Hbを拡大して示す
底面図、図2は磁気ヘッド全体を示す底面図、図3と図
4は磁気テープの接触圧力の分布を示す説明図である。
これらの各図は、図11に示すテーププレーヤにて磁気
ヘッドを底部側から見たものであり、各図のいずれにお
いてもテープ走行方向は図示左方向である。図1と図2
に示すように、この磁気ヘッドHの摺動面Hbでは、従
来のものと同様に、中央部に、磁気ギャップGを形成す
るコア部を有する山部(イ)が設けられ、その両側部に
溝部(ロ)が形成され、さらにその両側部に肩部(ハ)
が形成されている。山部(イ)は、中心線O−O上の点
を中心とする曲率半径R1の円筒面であり、R1は1〜
5mm程度である。肩部(ハ)も中心線O−O上の点を
中心とする曲率半径R2の円筒面であり、R2は10〜
20mm程度である。
【0020】ただし、左右の両肩部(ハ)では、溝部
(ロ)との境界から左右両側方に延びる平坦面(ト)が
形成されている。図1に示すように、この平坦面(ト)
は曲率半径R2の肩部(ハ)の表面を接線方向に削って
研磨したものである。したがって、磁気テープTは、第
1の磁気テープ摺動面である山部(イ)の表面と、下流
側に位置する第2の磁気テープ摺動面としての平坦面
(ト)の表面を摺動することになる。また、中心線O−
Oを挟んで上流側に位置する平坦面(ト)には、磁気テ
ープが接触せず、あるいは軽く接触する程度である。リ
バース動作により、磁気テープが図示右方向へ走行する
ときには、磁気テープが図示右側の平坦面(ト)を摺動
し、図示左側の平坦面(ト)に対しては磁気テープが接
触せず、あるいは軽く接触することになる。磁気テープ
Tがキャプスタン1により図示左方向へ引かれて走行す
ると、磁気テープTは、第2の磁気テープ摺動面である
下流側の平坦面(ト)を摺動するが、この平坦面(ト)
での磁気テープの接触圧力F1は、従来例のように集中
したものではなく、図3に示すように分散分布した圧力
になる。また圧力F1の絶対値も従来よりも大幅に小さ
くなる。
【0021】平坦面(ト)での接触圧力F1が分散分布
でありまた圧力の絶対値も小さいため、キャプスタンに
より引かれる磁気テープの平坦面(ト)よりも下流側の
張力をt1とすると、この張力t1は平坦面(ト)と磁
気テープとの接触によってほとんど遮断されることがな
い。よって下流側の平坦面(ト)と中心線O−Oの間で
の張力はほぼ同じt1となる。すなわち図16において
説明した溝部を有しない磁気ヘッドにおける張力の分布
とほぼ同じになる。よって、磁気テープTが走行する際
に、ヘッドパッドPが弱い張力t2の上流側へ偏ろうと
する力と、ヘッドパッドPが磁気テープの走行力により
引かれる力とのバランスがとれ、磁気テープ走行中はヘ
ッドパッドPがほぼ中心線O−Oに一致した状態とな
る。よって山部(イ)での磁気テープTの接触圧力F2
は偏りのない左右にバランスのとれた圧力分布となる。
【0022】したがって、従来のように図15に示す下
流側の縁部(へ)に磁粉が偏って付着することがなく、
この偏った磁粉の付着により磁気テープと山部(イ)の
表面との接触状態が悪化することがない。よって磁気ギ
ャップGでのスペーシングロスの増大を防止できる。ま
た山部(イ)での磁気テープTの接触圧力が安定してい
るため、コア部に偏磨耗が生じることがなく、各チャン
ネルのコア部の摩耗に差が生じることがない。平坦部
(ト)のテープ走行方向の幅寸法は、接触圧力F1の集
中を避けるためには1mm以上とすることが好ましく、
また磁気テープと磁気ヘッドとの接触面積をあまり広く
せずテープ摺動抵抗を増大させないために、平坦部
(ト)の幅寸法は3mm以下とすることが好ましい。
【0023】次に、図1と図2に示した実施例と、図1
2と図13に示した従来例のぞれぞれの磁気ヘッドの特
性について測定した。その結果を図5ないし図10に示
す。この測定に使用した磁気ヘッドは、シールドケース
がパーマロイ(NiFe)製であり、いずれも山部
(イ)の曲率半径R1が3mm、肩部(ハ)の曲率半径
R2が15mmである。また本発明の実施例の磁気ヘッ
ドでは、平坦面(ト)のテープ走行方向の幅寸法を2m
mとした。
【0024】(測定1)図5と図6は、テープ走行時間
と、各チャンネル(1CH〜4CH)からの再生出力の
F特性(12.5kHz/315Hz)の変化量を測定
したものである。市販のカセットテープは、メーカおよ
び品種により、磁粉の付着しやすさが相違するが、この
測定に使用した磁気テープは、市販のγ−Fe23テー
プのうち、磁粉が磁気ヘッドに付着しやすいものを使用
した。また環境は、磁気テープから剥離された磁粉が磁
気ヘッドの摺動面に付着しやすい状態の温度65℃で相
対湿度50%として、磁気テープを連続走行させた。図
5は従来の磁気ヘッドを使用した測定結果を示し、図6
は本発明の実施例による磁気ヘッドを使用した測定結果
を示している。従来例では各チャンネルの出力のF特性
の変化量が、テープ走行時間80時間から100時間に
おいて大幅に低下するが、実施例の磁気ヘッドでは、各
チャンネルの出力のF特性の変化量が、テープ走行時間
100時間でわずかしか低下しないことが確認できる。
すなわち実施例による磁気ヘッドでは、磁気テープを長
時間走行させたときの、山部(イ)のコア部表面での磁
粉の付着物の堆積が従来例よりも少なく、スペーシング
ロスによる再生出力の劣化が少ないことが解る。
【0025】(測定2)図7と図8は、磁気テープを長
時間走行させたときの、各チャンネル間での再生出力の
F特性の変化量のばらつきについて測定したものであ
る。この測定には市販のγ−Fe23テープのうち、磁
気ヘッドを摩耗させやすいものを選んで使用した。また
環境は、温度20℃で相対湿度50%とした。図7は従
来例の測定結果であり、テープ走行時間が長くなるにし
たがって、各チャンネル(1CH〜4CH)間にてF特
性の変化量のばらつきが大きくなっているのが解る。図
8は本発明の実施例の磁気ヘッドを使用した測定結果で
あるが、これによれば、テープ走行時間が長くなっても
各チャンネル間でのF特性の変化量にばらつきが生じな
いのが解る。この結果から、従来例では図15に示す山
部の縁部(へ)からコア部が偏摩耗し、テープ走行時間
が長くなるにしたがってこの摩耗が激しくなり、各チャ
ンネルのコア部の摩耗にばらつきが生じることが解る。
一方本発明の実施例では、磁気テープを長時間走行させ
ても各チャンネルのコア部に摩耗のばらつきが生じない
ことが解る。すなわち本発明の実施例では、山部(イ)
すなわちコア部表面に磁気テープTが安定した圧力分布
により接触していることを確認できる。
【0026】(測定3)図9と図10は、磁気ヘッドの
突き出し量α(図11参照)と、各チャンネルでの再生
出力のF特性変化量との関係を調べた結果である。前述
のようにJISでの規格では、突き出し量αは3.35
mmであるが、この測定では、突き出し量αを変化さ
せ、そのときの各チャンネルの再生出力のF特性の変化
量を測定したものである。図9は従来例の磁気ヘッドを
使用した測定結果である。この結果を見ると、突き出し
量αを3.35mmを中心として、3.2から3.5m
mの範囲で変動させた範囲ではF特性の変動量は変化し
ないが、突き出し量αが3.5mmを越えるとF特性の
変動量が低下していくのが解る。図10は本発明の実施
例の磁気ヘッドを使用した測定結果である。この結果で
は、突き出し量αが3.2〜3.7mmの広い範囲でF
特性の変動量が変化しないことが解る。またαが3.7
mmを越えてもF特性の変化量の低下が従来例よりも緩
やかである。この測定の結果、本発明の実施例の磁気ヘ
ッドでは、山部(イ)での磁気テープTの接触圧力の分
布が安定し、各チャンネルのコア部に磁気テープが安定
して接触しているため、磁気ヘッドをカセットC内から
後退させて、突き出し量αを大きくしても、安定した記
録および再生特性が得られていることが解る。図10の
結果によると、本発明の実施例では、突き出し量αを
3.7mmまで大きくでき、JISの規格よりも磁気ヘ
ッドをカセットC内から0.35mm後退させることが
できることが解る。
【0027】よって実施例による磁気ヘッドを使用した
場合には、突き出し量αを大きくでき、摺動面Hbに対
する磁気テープの巻き付け角度を小さくできるため、磁
気テープと磁気ヘッドとの動摩擦係数を下げ、テープ走
行負荷を低下させて、省電力化を実現できる。また磁気
テープの巻き付け角度を小さくできるため、コンター特
性も改善できることになる。
【0028】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、テープ
摺動面に溝部が形成された磁気ヘッドにおいて、コア部
が形成された第1の磁気テープ摺動面に磁気テープが安
定し且つ偏りのない圧力により圧接されるようになるた
め、コア部での磁粉などの付着の増大を防止でき、また
コア部の偏摩耗を防止してチャンネルごとのコア部の摩
耗のばらつきが生じるのを防止できる。また磁気テープ
が磁気ヘッドに安定して接触するため、磁気ヘッドの磁
気テープとの巻き付け角度を小さくできる。よってテー
プ走行負荷を軽減して省電力化を実現でき、またコンタ
ー特性も改善できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による磁気ヘッドの摺動面の一
部を示す底面図、
【図2】本発明の実施例による磁気ヘッドの底面図、
【図3】実施例の磁気ヘッドの摺動面での磁気テープの
接触圧力の分布を示す説明図、
【図4】実施例の磁気ヘッドの山部での磁気テープの接
触圧力の分布を示す説明図、
【図5】従来例の磁気ヘッドを使用した場合の磁気テー
プの走行時間とF特性変化量との関係を示す線図、
【図6】本発明の実施例の磁気ヘッドを使用した場合の
磁気テープの走行時間とF特性変化量との関係を示す線
図、
【図7】従来例の磁気ヘッドを使用した場合の、磁気テ
ープの走行時間と各チャンネルでの再生出力のF特性変
化量のばらつきとの関係を示す線図、
【図8】本発明の実施例の磁気ヘッドを使用した場合
の、磁気テープの走行時間と各チャンネルでの再生出力
のF特性変化量のばらつきとの関係を示す線図、
【図9】従来例の磁気ヘッドでの突き出し量とF特性変
化量との関係を示す線図、
【図10】本発明の実施例の磁気ヘッドでの突き出し量
とF特性変化量との関係を示す線図、
【図11】カセット内の磁気テープと磁気ヘッドとの接
触状態を示す平面図、
【図12】従来の磁気ヘッドの摺動面の一部を示す底面
図、
【図13】従来の磁気ヘッドの底面図、
【図14】従来の磁気ヘッドの摺動面での磁気テープの
接触圧力の分布を示す説明図、
【図15】従来の磁気ヘッドの山部での磁気テープの接
触圧力の分布を示す説明図、
【図16】溝部が形成されていない磁気ヘッドの磁気テ
ープ摺動状態を示す底面図、
【符号の説明】
H 磁気ヘッド Hb 摺動面 T 磁気テープ C カセット P ヘッドパッド (イ) 山部(第1の磁気テープ摺動面) (ロ) 溝部 (ハ) 肩部 (ト) 平坦面(第2の磁気テープ摺動面)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−128427(JP,A) 特表 平3−505269(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/187 - 5/255

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気ギャップを有する第1の磁気テープ
    摺動面と、この第1の磁気テープ摺動面よりも磁気テー
    プ走行方向の下流側に位置する第2の磁気テープ摺動面
    と、両磁気テープ摺動面の間に位置して磁気テープが接
    触しない溝部とが形成されている磁気ヘッドであって、
    前記第2の磁気テープ摺動面が平坦面を有することを特
    徴とする磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 平坦面の磁気テープ走行方向への長さ
    が、1mm以上で3mm以下である請求項1記載の磁気
    ヘッド。
JP5298900A 1993-11-04 1993-11-04 磁気ヘッド Expired - Fee Related JP3017001B2 (ja)

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