JP3013827B2 - X線偏光分析器及びそれを用いたx線偏光分析方法 - Google Patents
X線偏光分析器及びそれを用いたx線偏光分析方法Info
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- JP3013827B2 JP3013827B2 JP9343259A JP34325997A JP3013827B2 JP 3013827 B2 JP3013827 B2 JP 3013827B2 JP 9343259 A JP9343259 A JP 9343259A JP 34325997 A JP34325997 A JP 34325997A JP 3013827 B2 JP3013827 B2 JP 3013827B2
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、X線偏光分析に用
いるX線偏光分析器及びそれを用いたX線偏光分析方法
に関する。
いるX線偏光分析器及びそれを用いたX線偏光分析方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】X線の偏光状態の測定には図6に示され
るように、ブラッグ角が45度の回折を使って行われて
いた。ブラッグ角が45度すなわち、散乱角が90度の
回折では、X線の電気ベクトルが散乱面に垂直な成分
(σ成分)のみ回折に寄与するため、回折後の散乱X線
強度を測定することによって、 X線偏光素子a3に入射
するX線1のσ成分に相当する直線偏光成分2を知るこ
とができた。この散乱素子を、 X線偏光素子a3に入射
するX線の方向のまわりにφを90度回転させることに
より、σ成分が90度回転され、入射X線1の90度回
転した直線偏光成分であるσ偏光X線成分2を測定する
ことができる。
るように、ブラッグ角が45度の回折を使って行われて
いた。ブラッグ角が45度すなわち、散乱角が90度の
回折では、X線の電気ベクトルが散乱面に垂直な成分
(σ成分)のみ回折に寄与するため、回折後の散乱X線
強度を測定することによって、 X線偏光素子a3に入射
するX線1のσ成分に相当する直線偏光成分2を知るこ
とができた。この散乱素子を、 X線偏光素子a3に入射
するX線の方向のまわりにφを90度回転させることに
より、σ成分が90度回転され、入射X線1の90度回
転した直線偏光成分であるσ偏光X線成分2を測定する
ことができる。
【0003】また、完全結晶における回折では、回折に
関わる角度幅が、σ偏光とπ偏光で僅かに異なり、σ偏
光の方が広いため、図7に示されるように、2枚の結
晶、即ち、 X線偏光素子a3とX線偏光素子b4とで回
折をさせ、2枚目の結晶の入射角を僅かにずらすことに
よって、σ偏光X線成分2のみを検出することもなされ
ている。この場合もφの回転により、90度回転した直
線偏光成分2を測定する。
関わる角度幅が、σ偏光とπ偏光で僅かに異なり、σ偏
光の方が広いため、図7に示されるように、2枚の結
晶、即ち、 X線偏光素子a3とX線偏光素子b4とで回
折をさせ、2枚目の結晶の入射角を僅かにずらすことに
よって、σ偏光X線成分2のみを検出することもなされ
ている。この場合もφの回転により、90度回転した直
線偏光成分2を測定する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従
来の方法では、以下に示す困難があった。通常、X線の
偏光解析をしようとするX線束は、水平方向の角度発散
とそれに垂直な角度発散には大きなひらきがある。特
に、動力学的回折をしたX線束では、図8に示すよう
に、散乱面内(側面の図で紙面内)の角度発散は1秒程
度なのに対し、それに垂直な方向では、10分程度、場
合によっては1度ほどになることもある。図6および図
7のX線偏光素子a3とX線偏光素子b4とは完全結晶1
0を用いる場合、回折に関与する角度幅が1秒程度であ
るため、水平方向およびそれに垂直な方向の偏光成分の
測定では、単なる回折強度では不十分であり、結晶素子
の格子面に対するX線の入射角を変化させ、積分反射強
度として偏光成分を得なければならない困難があった。
この場合、角度発散に数桁の違いがあるため、測定誤差
が大きくなることも避けられなかった。また、上述した
ように他の直線偏光成分の測定には、φの回転が必ず必
要となる測定工程の煩雑性もあった。
来の方法では、以下に示す困難があった。通常、X線の
偏光解析をしようとするX線束は、水平方向の角度発散
とそれに垂直な角度発散には大きなひらきがある。特
に、動力学的回折をしたX線束では、図8に示すよう
に、散乱面内(側面の図で紙面内)の角度発散は1秒程
度なのに対し、それに垂直な方向では、10分程度、場
合によっては1度ほどになることもある。図6および図
7のX線偏光素子a3とX線偏光素子b4とは完全結晶1
0を用いる場合、回折に関与する角度幅が1秒程度であ
るため、水平方向およびそれに垂直な方向の偏光成分の
測定では、単なる回折強度では不十分であり、結晶素子
の格子面に対するX線の入射角を変化させ、積分反射強
度として偏光成分を得なければならない困難があった。
この場合、角度発散に数桁の違いがあるため、測定誤差
が大きくなることも避けられなかった。また、上述した
ように他の直線偏光成分の測定には、φの回転が必ず必
要となる測定工程の煩雑性もあった。
【0005】本発明の目的は、異なる直線偏光成分を共
通な偏光素子回転位置で測定する事ができるX線偏光分
析器及びそれを用いたX線偏光分析方法を提供すること
にある。
通な偏光素子回転位置で測定する事ができるX線偏光分
析器及びそれを用いたX線偏光分析方法を提供すること
にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のX線偏光分析器
は、X線偏光分析器において、σ偏光X線成分に対しては
透過強度が小さく、π偏光X線成分に対しては透過強度
が大きい性能を有する第1のX線偏光素子を備えてい
る。
は、X線偏光分析器において、σ偏光X線成分に対しては
透過強度が小さく、π偏光X線成分に対しては透過強度
が大きい性能を有する第1のX線偏光素子を備えてい
る。
【0007】また、σ偏光X線成分に対しては透過強度
がほとんどなくなる程度に厚く、π偏光X線成分に対し
ては十分透過できる程度に薄い第1のX線偏光素子を備
えてもよい。
がほとんどなくなる程度に厚く、π偏光X線成分に対し
ては十分透過できる程度に薄い第1のX線偏光素子を備
えてもよい。
【0008】また、σ偏光X線成分を入射X線の方向と
平行にするための、第2のX線偏光素子を更に備えても
よい。
平行にするための、第2のX線偏光素子を更に備えても
よい。
【0009】また、第2のX線偏光素子は第1のX線偏光
素子より十分厚くてもよい。
素子より十分厚くてもよい。
【0010】また、第1のX線偏光素子と第2のX線偏光
素子とは、一体の結晶片から切り出したチャンネルカッ
ト構造であってもよい。
素子とは、一体の結晶片から切り出したチャンネルカッ
ト構造であってもよい。
【0011】また、σ偏光X線成分およびπ偏光X線成分
のそれぞれの検出位置に、同一性能の検出器を備えても
よい。
のそれぞれの検出位置に、同一性能の検出器を備えても
よい。
【0012】また、σ偏光X線成分およびπ偏光X線成分
の偏光成分のトポグラフ像が同時に結像する結像面を備
えてもよい。
の偏光成分のトポグラフ像が同時に結像する結像面を備
えてもよい。
【0013】本発明の上述のX線偏光分析器を用いたX
線偏光分析方法は、第1のX線偏光素子および第2のX線
偏光素子で回折した複数の偏光X線をそれぞれ試料に照
射し、それぞれの試料からの出力をそれぞれ更に別々の
X線偏光分析器に入力するように相互に配置する。
線偏光分析方法は、第1のX線偏光素子および第2のX線
偏光素子で回折した複数の偏光X線をそれぞれ試料に照
射し、それぞれの試料からの出力をそれぞれ更に別々の
X線偏光分析器に入力するように相互に配置する。
【0014】即ち、本発明では回折に寄与するσ偏光成
分にとっては十分厚く、透過強度がほどんどなく、回折
に寄与しないπ偏光成分にとっては十分に薄く、吸収に
よる減衰が少なくて十分透過できるような回折素子を用
いた。又、それぞれの偏光成分の来る位置に同一性能の
検出器をおいた。さらにσ偏光成分を、素子に対する入
射X線の方向と平行にするため、十分に厚い結晶をもう
1枚使い、σ偏光成分とπ偏光成分のX線束を平行にし
た。本発明では同一の回折条件でσ偏光成分とπ偏光成
分が分離でき、それぞれの偏光成分の来る位置に同一性
能の検出器をおけば同時に両偏光成分の計測ができ、更
にσ偏光成分とπ偏光成分のX線束を平行にして、1次
元検出器または2次元検出器によっても両偏光成分の計
測が同時に可能となり、その場合二つの結晶片を一体で
切り出したチャンネルカット構造にすれば、1枚目の結
晶のブラッグ条件を満たせば自動的に2枚目の結晶のブ
ラッグ条件が満たされ、測定が容易になる等の理由で、
異なる直線偏光成分を異なるφの位置で測定することに
起因する従来技術の問題を解決できる。更に、 X線偏光
素子で回折した複数の偏光X線をそれぞれ試料に照射
し、それぞれの試料からの出力をそれぞれ更に別々のX
線偏光分析器に入力するように相互に配置した。その結
果、試料に入射するX線の偏光状態の異なる線束を同時
に使用することもでき、測定の効率化や精度向上が期待
できる。
分にとっては十分厚く、透過強度がほどんどなく、回折
に寄与しないπ偏光成分にとっては十分に薄く、吸収に
よる減衰が少なくて十分透過できるような回折素子を用
いた。又、それぞれの偏光成分の来る位置に同一性能の
検出器をおいた。さらにσ偏光成分を、素子に対する入
射X線の方向と平行にするため、十分に厚い結晶をもう
1枚使い、σ偏光成分とπ偏光成分のX線束を平行にし
た。本発明では同一の回折条件でσ偏光成分とπ偏光成
分が分離でき、それぞれの偏光成分の来る位置に同一性
能の検出器をおけば同時に両偏光成分の計測ができ、更
にσ偏光成分とπ偏光成分のX線束を平行にして、1次
元検出器または2次元検出器によっても両偏光成分の計
測が同時に可能となり、その場合二つの結晶片を一体で
切り出したチャンネルカット構造にすれば、1枚目の結
晶のブラッグ条件を満たせば自動的に2枚目の結晶のブ
ラッグ条件が満たされ、測定が容易になる等の理由で、
異なる直線偏光成分を異なるφの位置で測定することに
起因する従来技術の問題を解決できる。更に、 X線偏光
素子で回折した複数の偏光X線をそれぞれ試料に照射
し、それぞれの試料からの出力をそれぞれ更に別々のX
線偏光分析器に入力するように相互に配置した。その結
果、試料に入射するX線の偏光状態の異なる線束を同時
に使用することもでき、測定の効率化や精度向上が期待
できる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明では異なる直線偏光成分を
共通なX線偏光素子a3の回転位置で測定する。図1に
示す如く、回折に寄与するσ偏光X線成分2にとっては
十分厚く、透過強度がほどんどなく、回折に寄与しない
π偏光X線成分5にとっては十分に薄く、吸収による減
衰が少なくて十分透過できるようにする。その結果同一
の回折条件でσ偏光X線成分2とπ偏光X線成分5が分
離できる。それぞれの偏光成分の来る位置に同一性能の
検出器a6と検出器b7とをおけば同時に両偏光成分の
計測ができる。さらに図2に示す如く、σ偏光X線成分
2を、素子に対する入射X線1の方向と平行にするた
め、十分に厚い結晶であるX線偏光素子b4をもう1枚使
い、σ偏光X線成分2とπ偏光X線成分5のX線束を平
行にして、1次元検出器a6と1次元検出器b7(また
は2次元検出器a6と2次元検出器b7)によっても両
偏光成分の同時計測が可能になる。更にこの場合、二つ
の結晶片を一体で切り出したチャンネルカット構造にす
ることにより、1枚目の結晶のブラッグ条件を満たせば
自動的に2枚目の結晶のブラッグ条件が満たされ、測定
を容易にした。
共通なX線偏光素子a3の回転位置で測定する。図1に
示す如く、回折に寄与するσ偏光X線成分2にとっては
十分厚く、透過強度がほどんどなく、回折に寄与しない
π偏光X線成分5にとっては十分に薄く、吸収による減
衰が少なくて十分透過できるようにする。その結果同一
の回折条件でσ偏光X線成分2とπ偏光X線成分5が分
離できる。それぞれの偏光成分の来る位置に同一性能の
検出器a6と検出器b7とをおけば同時に両偏光成分の
計測ができる。さらに図2に示す如く、σ偏光X線成分
2を、素子に対する入射X線1の方向と平行にするた
め、十分に厚い結晶であるX線偏光素子b4をもう1枚使
い、σ偏光X線成分2とπ偏光X線成分5のX線束を平
行にして、1次元検出器a6と1次元検出器b7(また
は2次元検出器a6と2次元検出器b7)によっても両
偏光成分の同時計測が可能になる。更にこの場合、二つ
の結晶片を一体で切り出したチャンネルカット構造にす
ることにより、1枚目の結晶のブラッグ条件を満たせば
自動的に2枚目の結晶のブラッグ条件が満たされ、測定
を容易にした。
【0016】
【実施例】実施例により本発明を説明する。図2におい
て、X線偏光素子a3としてシリコン単結晶を用い、X線
が入射する面を(111)面に選び、薄い結晶片の厚さ
を800μm程度にした。X線偏光素子b4も同様にシリ
コン単結晶を用い、入射面を(111)面にして、厚さ
を10mm程度にした。X線偏光分析器は、この回折部
とそれぞれの偏光成分を測定する検出器a6と検出器b
7とで構成した。波長が0.06335nmのX線に対
し、777反射ではブラッグ角はほぼ 45度となり、
角度広がりの十分狭いX線束に対し、π偏光X線成分5
は8割ほどの透過率となった。σ偏光X線成分2は2回
の回折を受け、全体で反射率が8割程度になった。それ
ぞれの成分には他の成分の混入は検出限界以下であっ
た。また、X線偏光素子a3およびX線偏光素子b4に、ひ
とつの単結晶から一体で切り出したチャンネルカット結
晶を用いることもできた。その結果、X線偏光素子a3の
結晶のブラック条件を満たせば、自動的にX線偏光素子4
bの結晶のブラック条件が満たされ、測定が簡便になっ
た。
て、X線偏光素子a3としてシリコン単結晶を用い、X線
が入射する面を(111)面に選び、薄い結晶片の厚さ
を800μm程度にした。X線偏光素子b4も同様にシリ
コン単結晶を用い、入射面を(111)面にして、厚さ
を10mm程度にした。X線偏光分析器は、この回折部
とそれぞれの偏光成分を測定する検出器a6と検出器b
7とで構成した。波長が0.06335nmのX線に対
し、777反射ではブラッグ角はほぼ 45度となり、
角度広がりの十分狭いX線束に対し、π偏光X線成分5
は8割ほどの透過率となった。σ偏光X線成分2は2回
の回折を受け、全体で反射率が8割程度になった。それ
ぞれの成分には他の成分の混入は検出限界以下であっ
た。また、X線偏光素子a3およびX線偏光素子b4に、ひ
とつの単結晶から一体で切り出したチャンネルカット結
晶を用いることもできた。その結果、X線偏光素子a3の
結晶のブラック条件を満たせば、自動的にX線偏光素子4
bの結晶のブラック条件が満たされ、測定が簡便になっ
た。
【0017】別の実施例を示す。必ずしも結晶厚さの実
寸(加工精度)とその設計値(計算値)とが理想的に一
致しないので、そのような場合でも、薄い結晶の厚さに
対する制御性を高めるために、実験上は、X線偏光素子
を図3のように楔型の結晶8形にした。楔型結晶のX線
偏光素子8は、シリコン単結晶を用い、X線の入射する
面を(111)面にして、その(111)面の紙面上の
長さ約20mm、楔の角度4度程度の結晶を用いた。こ
の場合もチャンネルカット結晶を用いることもできた。
本装置を用いた測定にあたっては、図6に示したX線偏
光素子a3のφの回転に相当する楔型結晶のX線偏光素
子8の回転を行い、両偏光成分の検出効率が一致するよ
うに、入射X線1に対するX線偏光分析器全体の相対位置
を図3に示した縦方向矢印のように平行移動して、最も
適した厚さの位置に固定して測定した。
寸(加工精度)とその設計値(計算値)とが理想的に一
致しないので、そのような場合でも、薄い結晶の厚さに
対する制御性を高めるために、実験上は、X線偏光素子
を図3のように楔型の結晶8形にした。楔型結晶のX線
偏光素子8は、シリコン単結晶を用い、X線の入射する
面を(111)面にして、その(111)面の紙面上の
長さ約20mm、楔の角度4度程度の結晶を用いた。こ
の場合もチャンネルカット結晶を用いることもできた。
本装置を用いた測定にあたっては、図6に示したX線偏
光素子a3のφの回転に相当する楔型結晶のX線偏光素
子8の回転を行い、両偏光成分の検出効率が一致するよ
うに、入射X線1に対するX線偏光分析器全体の相対位置
を図3に示した縦方向矢印のように平行移動して、最も
適した厚さの位置に固定して測定した。
【0018】以上、X線偏光素子の反射面は(777)
面としたが、必ずしもこの面に限定する必要はなく、5
55反射でも999反射でもよく、多数の反射面に対し
て適用できる。それぞれの反射に対してブラッグ角が4
5度となる波長のX線に対して適応できる。即ち、本発
明は図6の従来型のX線偏光素子a3が適応できるすべ
てのX線に対して適用可能となる。また、 X線偏光素子
による反射に非対称反射を利用することもできる。結晶
もシリコンに限定する必要はなく単結晶であれば他の材
料、例えば、ゲルマニウムや水晶などの結晶も使用で
き、材料により適応波長は多数存在する。また、ブラッ
グ角が45度の場合、完全結晶でなくてもσ偏光X線成
分のみが回折に寄与するので、厚さを適当に選べば完全
結晶でなくても、モザイク結晶でも適用できる。
面としたが、必ずしもこの面に限定する必要はなく、5
55反射でも999反射でもよく、多数の反射面に対し
て適用できる。それぞれの反射に対してブラッグ角が4
5度となる波長のX線に対して適応できる。即ち、本発
明は図6の従来型のX線偏光素子a3が適応できるすべ
てのX線に対して適用可能となる。また、 X線偏光素子
による反射に非対称反射を利用することもできる。結晶
もシリコンに限定する必要はなく単結晶であれば他の材
料、例えば、ゲルマニウムや水晶などの結晶も使用で
き、材料により適応波長は多数存在する。また、ブラッ
グ角が45度の場合、完全結晶でなくてもσ偏光X線成
分のみが回折に寄与するので、厚さを適当に選べば完全
結晶でなくても、モザイク結晶でも適用できる。
【0019】測定するX線束の角度広がりが十分に狭い
場合は、 X線偏光素子の反射面に対する入射角を微小に
回転することでσ偏光X線成分およびπ偏光X線成分の
角度分布も独立に同時に測定できる。このことは、角度
広がりの異なる条件で偏光分析を行っていた従来のX線
偏光素子では、事実上不可能であった。
場合は、 X線偏光素子の反射面に対する入射角を微小に
回転することでσ偏光X線成分およびπ偏光X線成分の
角度分布も独立に同時に測定できる。このことは、角度
広がりの異なる条件で偏光分析を行っていた従来のX線
偏光素子では、事実上不可能であった。
【0020】また、更なる実施例として、図4のよう
に、検出器の替わりにX線フィルムやイメージングプレ
ートなど9の2次元検出器を使用することで、σ偏光X
線成分およびπ偏光X線成分のみのトポグラフ像を同時
に同一検出器上で撮影することも可能になった。
に、検出器の替わりにX線フィルムやイメージングプレ
ートなど9の2次元検出器を使用することで、σ偏光X
線成分およびπ偏光X線成分のみのトポグラフ像を同時
に同一検出器上で撮影することも可能になった。
【0021】また、均一な試料か、あるいは同一な試料
が複数ある場合は図5に示すように、試料14に入射す
るX線1の偏光状態の異なる線束を同時に使用すること
もできる。 即ち、X線偏光素子a3およびX線偏光素子b
4とで回折した複数の偏光X線をそれぞれ試料14に照射
し、それぞれの試料14からの出力をそれぞれ更に別々
のX線偏光分析器に入力するように相互に配置した。 例
えば磁場などを印加する場合は、その磁場に対して、X
線の偏光成分が平行なものと垂直なものを同時に入射で
きる。その結果測定時間の短縮や精度向上が期待でき
る。
が複数ある場合は図5に示すように、試料14に入射す
るX線1の偏光状態の異なる線束を同時に使用すること
もできる。 即ち、X線偏光素子a3およびX線偏光素子b
4とで回折した複数の偏光X線をそれぞれ試料14に照射
し、それぞれの試料14からの出力をそれぞれ更に別々
のX線偏光分析器に入力するように相互に配置した。 例
えば磁場などを印加する場合は、その磁場に対して、X
線の偏光成分が平行なものと垂直なものを同時に入射で
きる。その結果測定時間の短縮や精度向上が期待でき
る。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、回折に
寄与するσ偏光成分にとっては十分厚く、透過強度がほ
どんどなく、回折に寄与しないπ偏光成分にとっては十
分に薄く、吸収による減衰が少なくて十分透過できるよ
うな回折素子を用い、又、それぞれの偏光成分の来る位
置に同一性能の検出器をおき、さらにσ偏光成分を、素
子に対する入射X線の方向と平行にするため、十分に厚
い結晶をもう1枚使い、σ偏光成分とπ偏光成分のX線
束を平行にすることにより、異なる2つの直線偏光成分
を同時に計測することができるという効果がある。これ
を用いれば、X線磁気散乱、X線磁気コンプトン散乱や
X線磁気共鳴散乱などによる物質の磁気構造の研究に効
果を発揮する。また、X線核共鳴散乱等のX線の偏光成
分の変化などの検出にも役立つ。
寄与するσ偏光成分にとっては十分厚く、透過強度がほ
どんどなく、回折に寄与しないπ偏光成分にとっては十
分に薄く、吸収による減衰が少なくて十分透過できるよ
うな回折素子を用い、又、それぞれの偏光成分の来る位
置に同一性能の検出器をおき、さらにσ偏光成分を、素
子に対する入射X線の方向と平行にするため、十分に厚
い結晶をもう1枚使い、σ偏光成分とπ偏光成分のX線
束を平行にすることにより、異なる2つの直線偏光成分
を同時に計測することができるという効果がある。これ
を用いれば、X線磁気散乱、X線磁気コンプトン散乱や
X線磁気共鳴散乱などによる物質の磁気構造の研究に効
果を発揮する。また、X線核共鳴散乱等のX線の偏光成
分の変化などの検出にも役立つ。
【0023】更に、 X線偏光素子で回折した複数の偏光
X線をそれぞれ試料に照射し、それぞれの試料からの出
力をそれぞれ更に別々のX線偏光分析器に入力するよう
に相互に配置すれば、同時にσ偏光X線とπ偏光X線を
得られ、測定時間の短縮、精度向上が期待できる。
X線をそれぞれ試料に照射し、それぞれの試料からの出
力をそれぞれ更に別々のX線偏光分析器に入力するよう
に相互に配置すれば、同時にσ偏光X線とπ偏光X線を
得られ、測定時間の短縮、精度向上が期待できる。
【図1】本発明の実施の形態を示す装置概念図である。
【図2】本発明の別の実施の形態および実施例を示す装
置概念図である。
置概念図である。
【図3】本発明の別の実施例を示す装置概念図である。
【図4】本発明の別の実施例を示す装置概念図である。
【図5】本発明の別の実施例を示す装置概念図である。
【図6】従来の技術を示すための装置概念図である。
【図7】従来の技術を示すための装置概念図である。
【図8】従来の技術を説明するための原理概念図であ
る。 (a)側面図を示す。 (b)平面図を示す。
る。 (a)側面図を示す。 (b)平面図を示す。
1 入射X線 2 σ偏光X線成分 3 X線偏光素子a 4 X線偏光素子b 5 π偏光X線成 6 検出器a 7 検出器b 8 楔型結晶のX線偏光素子 9 X線フィルム等 10 完全結晶(試料)
Claims (8)
- 【請求項1】 X線偏光分析器において、σ偏光X線成分
に対しては透過強度が小さく、π偏光X線成分に対して
は透過強度が大きい性能を有する第1のX線偏光素子を
備えたことを特徴とするX線偏光分析器。 - 【請求項2】 σ偏光X線成分に対しては透過強度がほ
とんどなくなる程度に厚く、π偏光X線成分に対しては
十分透過できる程度に薄い前記第1のX線偏光素子を備
えた請求項1に記載のX線偏光分析器。 - 【請求項3】 σ偏光X線成分を入射X線の方向と平行
にするための、第2のX線偏光素子を更に備えた請求項
1または請求項2に記載のX線偏光分析器。 - 【請求項4】 前記第2のX線偏光素子は前記第1のX線
偏光素子より十分厚い請求項3に記載のX線偏光分析
器。 - 【請求項5】 前記第1のX線偏光素子と前記第2のX線
偏光素子とは、一体の結晶片から切り出したチャンネル
カット構造である請求項3に記載のX線偏光分析器。 - 【請求項6】 σ偏光X線成分およびπ偏光X線成分のそ
れぞれの検出位置に、同一性能の検出器を備えた請求項
1から請求項5のいずれか1項に記載のX線偏光分析
器。 - 【請求項7】 σ偏光X線成分およびπ偏光X線成分の偏
光成分のトポグラフ像が同時に結像する結像面を備えた
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のX線偏光
分析器。 - 【請求項8】 前記第1のX線偏光素子および前記第2
のX線偏光素子で回折した複数の偏光X線をそれぞれ試料
に照射し、該それぞれの試料からの出力をそれぞれ更に
別々のX線偏光分析器に入力するように相互に配置する
ことを特徴とする請求項3から請求項7のいずれか1項
に記載のX線偏光分析器を用いたX線偏光分析方法。
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---|---|---|---|
JP9343259A JP3013827B2 (ja) | 1997-12-12 | 1997-12-12 | X線偏光分析器及びそれを用いたx線偏光分析方法 |
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JP9343259A JP3013827B2 (ja) | 1997-12-12 | 1997-12-12 | X線偏光分析器及びそれを用いたx線偏光分析方法 |
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JPH11174002A JPH11174002A (ja) | 1999-07-02 |
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