JP3012916B2 - 補体成分c3含有組成物 - Google Patents
補体成分c3含有組成物Info
- Publication number
- JP3012916B2 JP3012916B2 JP8212169A JP21216996A JP3012916B2 JP 3012916 B2 JP3012916 B2 JP 3012916B2 JP 8212169 A JP8212169 A JP 8212169A JP 21216996 A JP21216996 A JP 21216996A JP 3012916 B2 JP3012916 B2 JP 3012916B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- complement component
- embryos
- embryo
- growth
- fetuses
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、胚・胎児の栄養因
子組成物に関するものであり、さらに詳しくは、補体成
分C3を有効成分とする組織培養液に添加される組成物
並びに不妊症治療用組成物に関するものである。
子組成物に関するものであり、さらに詳しくは、補体成
分C3を有効成分とする組織培養液に添加される組成物
並びに不妊症治療用組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、胚・胎児及びそれらの組織の培養
においては、発育又は増殖を促進するために血清を主と
する組織液がそのまま培養液の添加物として用いられて
いる〔例えば、Biol. Rev., 53,81(1978)参照〕。この
方法は、組織液に含まれる本来不必要な物質を大量に培
養系に加えてしまうため、胚・胎児及びそれらの組織の
培養を用いた物質生産及び研究において、目的物質の精
製及び実験結果の解釈を難しくするという欠点を有して
いる。
においては、発育又は増殖を促進するために血清を主と
する組織液がそのまま培養液の添加物として用いられて
いる〔例えば、Biol. Rev., 53,81(1978)参照〕。この
方法は、組織液に含まれる本来不必要な物質を大量に培
養系に加えてしまうため、胚・胎児及びそれらの組織の
培養を用いた物質生産及び研究において、目的物質の精
製及び実験結果の解釈を難しくするという欠点を有して
いる。
【0003】不妊症治療のための薬剤としては、成体に
おいて栄養効果の知られている物質以外に、胚・胎児の
発育を促進する栄養剤は知られていない。一方、原因不
明の不妊症患者のある者では、患者の血清を培養液とし
てラット胚を培養した場合に、正常妊婦の血清で培養し
た場合に比べて、胚の発育が悪いことが知られている
〔Am. J. Obstet. Gynecol., 170,228(1994)参照〕。こ
れらの患者では、胚・胎児のための栄養が不足している
と考えられる。
おいて栄養効果の知られている物質以外に、胚・胎児の
発育を促進する栄養剤は知られていない。一方、原因不
明の不妊症患者のある者では、患者の血清を培養液とし
てラット胚を培養した場合に、正常妊婦の血清で培養し
た場合に比べて、胚の発育が悪いことが知られている
〔Am. J. Obstet. Gynecol., 170,228(1994)参照〕。こ
れらの患者では、胚・胎児のための栄養が不足している
と考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、胚・
胎児及びそれらの組織の培養において、発育または増殖
を促進する有用な栄養剤を開発することであり、また、
胚・胎児のための栄養が不足しているために生ずる、胚
・胎児の発育不全による不妊症の治療に有用な治療薬を
開発することである。
胎児及びそれらの組織の培養において、発育または増殖
を促進する有用な栄養剤を開発することであり、また、
胚・胎児のための栄養が不足しているために生ずる、胚
・胎児の発育不全による不妊症の治療に有用な治療薬を
開発することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、胚・胎児
の栄養要求性について鋭意研究を行った結果、ラット血
清から部分精製した血清胚栄養因子を、SDS−ポリア
クリルアミドゲル電気泳動による分析した結果、胚栄養
因子活性に一致して、ジスルフィド結合した2つのバン
ドa及びbを認めた。これらのバンドをPVDF膜にブ
ロッティングし、気相シークエンサーによりN末端から
20個のアミノ酸を調べた結果、補体成分C3のα鎖及
びβ鎖に完全に一致することを見出した。さらに、精製
した補体成分C3に培養ラット胚に対する胚栄養因子活
性を認めたことから、補体成分C3が血清胚栄養因子で
あることを確認した。即ち、本発明は、生体防御因子の
一つである補体系の構成分子の、補体成分C3が、胚・
胎児に対して発育促進活性を示す栄養因子として作用す
ることを見い出したものである。
の栄養要求性について鋭意研究を行った結果、ラット血
清から部分精製した血清胚栄養因子を、SDS−ポリア
クリルアミドゲル電気泳動による分析した結果、胚栄養
因子活性に一致して、ジスルフィド結合した2つのバン
ドa及びbを認めた。これらのバンドをPVDF膜にブ
ロッティングし、気相シークエンサーによりN末端から
20個のアミノ酸を調べた結果、補体成分C3のα鎖及
びβ鎖に完全に一致することを見出した。さらに、精製
した補体成分C3に培養ラット胚に対する胚栄養因子活
性を認めたことから、補体成分C3が血清胚栄養因子で
あることを確認した。即ち、本発明は、生体防御因子の
一つである補体系の構成分子の、補体成分C3が、胚・
胎児に対して発育促進活性を示す栄養因子として作用す
ることを見い出したものである。
【0006】
【発明の開示】本発明は、補体成分C3を有効成分とし
て含有することを特徴とする胚・胎児およびそれらの組
織培養液用組成物、並びに補体成分C3を有効成分とし
て含有することを特徴とする胚、胎児の発育不全による
不妊症の治療用組成物を提供するものである。
て含有することを特徴とする胚・胎児およびそれらの組
織培養液用組成物、並びに補体成分C3を有効成分とし
て含有することを特徴とする胚、胎児の発育不全による
不妊症の治療用組成物を提供するものである。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】本発明に係る組成物の有効成分である補体
成分C3は、血漿及び血清等の生体試料からの精製、又
は肝細胞等の補体成分C3産生細胞の培養法等の公知方
法により製造することができる。
成分C3は、血漿及び血清等の生体試料からの精製、又
は肝細胞等の補体成分C3産生細胞の培養法等の公知方
法により製造することができる。
【0009】胚・胎児及びそれらの組織の培養において
は、補体成分C3を例えば生理的塩類溶液に溶解して、
培養液に添加される。これにより、胚・胎児及びそれら
の組織の培養において添加物として用いられる組織液の
量を減らすことが可能になる。
は、補体成分C3を例えば生理的塩類溶液に溶解して、
培養液に添加される。これにより、胚・胎児及びそれら
の組織の培養において添加物として用いられる組織液の
量を減らすことが可能になる。
【0010】不妊症治療のための投与形態としては、補
体成分C3が分子量約18万のタンパク質であることか
ら、液剤として血管内に投与することが適当である。こ
のための剤形としては、補体成分C3を例えば生理的食
塩液に溶解した注射剤等が適している。
体成分C3が分子量約18万のタンパク質であることか
ら、液剤として血管内に投与することが適当である。こ
のための剤形としては、補体成分C3を例えば生理的食
塩液に溶解した注射剤等が適している。
【0011】本発明の組成物の他の用途は、胚・胎児の
発育不全による不妊症の治療である。これは、患者の血
清を培養液とするラット胚の培養において、補体成分C
3の添加による胚発育の改善の有無によって判定され
る。すなわち、補体成分C3の添加により培養胚の発育
が促進される場合、本組成物の治療効果が期待される。
発育不全による不妊症の治療である。これは、患者の血
清を培養液とするラット胚の培養において、補体成分C
3の添加による胚発育の改善の有無によって判定され
る。すなわち、補体成分C3の添加により培養胚の発育
が促進される場合、本組成物の治療効果が期待される。
【0012】培養液及び生体試料中の補体成分C3の濃
度の測定は、補体成分C3に対する特異抗体を用いた、
免疫拡散法、ラジオイムノアッセイ及びエンザイムイム
ノアッセイ等の方法により可能である。しかし、補体成
分C3の胚・胎児に対する発育促進活性は、これらの免
疫学的測定による濃度とは相関が認められない可能性が
あるため、ラット胚の培養により測定する。
度の測定は、補体成分C3に対する特異抗体を用いた、
免疫拡散法、ラジオイムノアッセイ及びエンザイムイム
ノアッセイ等の方法により可能である。しかし、補体成
分C3の胚・胎児に対する発育促進活性は、これらの免
疫学的測定による濃度とは相関が認められない可能性が
あるため、ラット胚の培養により測定する。
【0013】補体成分C3の胚・胎児に対する発育促進
活性の種特異性については、ヒト血清はラット胚の培養
において発育促進活性を示すが、ウサギ血清はラット胚
には発育促進活性を示さないことから、ある程度の種特
異性があると考えられる。不妊症治療の目的には、抗原
性及び種特異性を考慮して、ヒトの補体成分C3を用い
るのが望ましい。
活性の種特異性については、ヒト血清はラット胚の培養
において発育促進活性を示すが、ウサギ血清はラット胚
には発育促進活性を示さないことから、ある程度の種特
異性があると考えられる。不妊症治療の目的には、抗原
性及び種特異性を考慮して、ヒトの補体成分C3を用い
るのが望ましい。
【0014】
〔ラット胚の培養における補体成分C3の胚発育促進活
性の測定〕ラットの妊娠9日胚を回転培養法により48
時間培養した。培養液には、ラット胚に対して発育促進
活性を示さないウサギ血清を用いた。ラット血清からク
ロマトグラフィーにより精製した補体成分C3を、ハン
クス平衡塩類溶液に透析し、培養液に25%(v/v)
の割合で加えた。対照群として、ハンクス平衡塩類溶液
のみ及びハンクス平衡塩類溶液に透析したラット血清を
培養液に加えて同様に培養した。培養終了時に、胚のタ
ンパク量を測定し、ハンクス平衡塩類溶液のみを添加し
て培養した胚に対するタンパク増加量として胚発育促進
活性を求めた。胚発育促進活性は、培養に用いた胚の大
きさによる変動を除くために下記数1式を用いて、透析
したラット血清を添加して培養した胚のタンパク増加量
に対する割合として求めた。その結果を図1に示す。
性の測定〕ラットの妊娠9日胚を回転培養法により48
時間培養した。培養液には、ラット胚に対して発育促進
活性を示さないウサギ血清を用いた。ラット血清からク
ロマトグラフィーにより精製した補体成分C3を、ハン
クス平衡塩類溶液に透析し、培養液に25%(v/v)
の割合で加えた。対照群として、ハンクス平衡塩類溶液
のみ及びハンクス平衡塩類溶液に透析したラット血清を
培養液に加えて同様に培養した。培養終了時に、胚のタ
ンパク量を測定し、ハンクス平衡塩類溶液のみを添加し
て培養した胚に対するタンパク増加量として胚発育促進
活性を求めた。胚発育促進活性は、培養に用いた胚の大
きさによる変動を除くために下記数1式を用いて、透析
したラット血清を添加して培養した胚のタンパク増加量
に対する割合として求めた。その結果を図1に示す。
【0015】
【数1】 後掲図1から明らかなように、補体成分C3は胚に対し
て、著しい発育促進活性を示すことが認められた。発育
促進活性は、補体成分C3の濃度が約0.5mg/ml
においてほぼ最大に達することが認められた。
て、著しい発育促進活性を示すことが認められた。発育
促進活性は、補体成分C3の濃度が約0.5mg/ml
においてほぼ最大に達することが認められた。
【0016】
【発明の効果】以上、本発明により、胚・胎児及びそれ
らの組織の培養において、発育または増殖を促進する新
規な栄養剤として有用な組成物が提供される。これによ
り、胚・胎児及びそれらの組織の培養において添加物と
して用いられる組織液の量を減らすことが可能になり、
また、これらの培養を用いた物質生産及び研究におい
て、目的物質の精製及び実験結果の判定が容易となる。
らの組織の培養において、発育または増殖を促進する新
規な栄養剤として有用な組成物が提供される。これによ
り、胚・胎児及びそれらの組織の培養において添加物と
して用いられる組織液の量を減らすことが可能になり、
また、これらの培養を用いた物質生産及び研究におい
て、目的物質の精製及び実験結果の判定が容易となる。
【0017】さらに、本発明により、胚・胎児のための
栄養が不足しているために生ずる、胚・胎児の発育不全
による不妊症の治療に有用な組成物が提供される。
栄養が不足しているために生ずる、胚・胎児の発育不全
による不妊症の治療に有用な組成物が提供される。
【図1】ラット胚の培養における補体成分C3の胚発育
促進活性を示すグラフである。各点は6個の胚の平均値
を示し、縦棒は標準誤差を示す。
促進活性を示すグラフである。各点は6個の胚の平均値
を示し、縦棒は標準誤差を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 津田 充宥 東京都世田谷区上用賀1丁目18番1号 国立衛生試験所内 (56)参考文献 特開 平6−113829(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 1/00 - 7/08 A61K 37/00 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)
Claims (2)
- 【請求項1】 補体成分C3を有効成分として含有す
ることを特徴とする胚・胎児およびそれらの組織培養液
用組成物。 - 【請求項2】 補体成分C3を有効成分として含有す
ることを特徴とする胚、胎児の発育不全による不妊症の
治療用組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8212169A JP3012916B2 (ja) | 1996-07-24 | 1996-07-24 | 補体成分c3含有組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8212169A JP3012916B2 (ja) | 1996-07-24 | 1996-07-24 | 補体成分c3含有組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1033164A JPH1033164A (ja) | 1998-02-10 |
JP3012916B2 true JP3012916B2 (ja) | 2000-02-28 |
Family
ID=16618057
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8212169A Expired - Lifetime JP3012916B2 (ja) | 1996-07-24 | 1996-07-24 | 補体成分c3含有組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3012916B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005023980A3 (en) * | 2003-09-08 | 2005-08-18 | Univ Hong Kong | Use of complement protein c3 and its derivatives in enhancing mammalian embryo development |
-
1996
- 1996-07-24 JP JP8212169A patent/JP3012916B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005023980A3 (en) * | 2003-09-08 | 2005-08-18 | Univ Hong Kong | Use of complement protein c3 and its derivatives in enhancing mammalian embryo development |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1033164A (ja) | 1998-02-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Beutler et al. | Cachectin/tumor necrosis factor: production, distribution, and metabolic fate in vivo. | |
Sara et al. | Ontogenesis of somatomedin and insulin receptors in the human fetus. | |
Roh et al. | Direct stimulation of the adrenal cortex by interleukin-1 | |
Schini et al. | Bradykinin stimulates the production of cyclic GMP via activation of B2 kinin receptors in cultured porcine aortic endothelial cells. | |
US5464751A (en) | Ligand for the neu gene product | |
JPS62240700A (ja) | ポリペプチド | |
DE3879685T2 (de) | Potenzierung der erythropoiesis. | |
Llovera et al. | Anti-TNF treatment reverts increased muscle ubiquitin gene expression in tumour-bearing rats | |
BRPI0712052A2 (pt) | polipeptìdeos de fator de crescimento tipo insulina estabilizados | |
JPH02256622A (ja) | アクチビン及び/またはインヒビンによる治療により胎児ヘモグロビンを増大する方法 | |
JP2001516726A (ja) | 流産の防止 | |
JPH09136899A (ja) | 天然のコロニー促進因子−1の精製 | |
JPS63146833A (ja) | 後生的なグリコシル化最終産物を除去する為の方法及び薬剤 | |
CN107375910A (zh) | PTHrP在制备治疗男性性腺功能低下综合征中的应用 | |
DE60207043T2 (de) | Histidin-reiches glykoprotein (hrgp) zur inhibierung der angiogenese | |
JPH04503154A (ja) | 変型ヒト成長ホルモン | |
EA010158B1 (ru) | Пептид, повышающий резистентность капилляров, фармацевтическая композиция на его основе и способ ее применения | |
Doolan et al. | Renal clearance of lysine in cystinuria: pathogenesis and management of this abnormality | |
US6372890B1 (en) | Water-soluble polypeptides | |
Waalkes et al. | In vivo release of histamine from rabbit blood by reserpine | |
JP3012916B2 (ja) | 補体成分c3含有組成物 | |
De Vries et al. | Studies on amino acid metabolism. II. Blood glycine and total amino acids in various pathological conditions, with observations on the effects of intravenously administered glycine | |
JPH02117698A (ja) | 血管内皮細胞成長因子 | |
Wakimoto et al. | Involvement of collagen formation in the hormonally induced functional differentiation of mouse mammary gland in organ culture. | |
CN108949730A (zh) | 一种重组变构胶原酶的制备方法及其应用 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
EXPY | Cancellation because of completion of term |