JP3012756U - 微生物含有製品の製造装置 - Google Patents

微生物含有製品の製造装置

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JP3012756U JP1994007816U JP781694U JP3012756U JP 3012756 U JP3012756 U JP 3012756U JP 1994007816 U JP1994007816 U JP 1994007816U JP 781694 U JP781694 U JP 781694U JP 3012756 U JP3012756 U JP 3012756U
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武敏 山田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 容器本体内の栄養性培地と微生物との混合物
を均一に加熱できる発酵製品の製造装置を得る。 【構成】 外容器12と、外容器12にある程度の間隙
をもって内設する内容器14とからなる容器本体10
と、外容器12の内壁と内容器14の外壁との間、及び
外容器12の底面と内容器14の底面との間に配設され
たニクロム線ヒータ40と、容器本体10に接続された
タイマー回路56と、を備えて構成した。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は、微生物を含有した製品を製造する装置に関する。詳しくは、容器 本体内に収容された栄養性培地(例えば、牛乳等の乳製品、その他豆乳等)に微 生物を混合して発酵させることにより、微生物を含む発酵製品を製造するための 装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の製造装置は、容器を保温蓋で覆い、一定温度で容器内の内容物 を加熱できるように構成されている。 この製造装置を用いて、例えば、ヨーグルトを製造するためには、先ず牛乳を なべ等に入れて煮沸殺菌した後、なべごと水を入れたボール等に入れて加熱され た牛乳を40〜45℃位まで冷却する。次いで、乳酸菌をなべ内の牛乳に入れて かき混ぜ、これをヨーグルト製造機の内容器に取り分けて所定時間、発酵温度で 加熱する。そして、発酵後は冷蔵庫で冷却する。
【0003】 従来の製造装置はこのようなものであるから、牛乳を煮沸消毒したり、冷却し たりする手間を要し、大変不便であるとともになべ等の後始末が面倒であった。 そこで、実公昭60−38382号公報に示されているように、上本体と下本 体とに分割可能な本体であって、内部は両者を連結した状態で1000cc入り の牛乳パックを収納可能で、両者を分割した状態では、下本体に500ccの牛 乳パックが収納可能なヨーグルト製造機が提案されている。
【0004】 したがって、この従来の製造装置によれば、牛乳パックを開封して発酵菌を混 入した後すぐ封をし、そのまま本体内にセットできるから、従来のように牛乳を 別のなべに入れて煮沸・冷却する必要がないばかりでなく、なべを使用しないの で熱湯消毒や後始末の手間を省くことができる。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の製造装置では、本体内の牛乳パックの加熱が局所的に行 われやすく、加熱される部分では発酵が進行するのに対して、加熱が不十分であ る部分はこのような発酵が進行しない問題がある。例えば、加熱される部分では ヨーグルト状や凝乳状になる一方で、加熱されない部分では、そのようにはなら ないという問題がある。 勿論、牛乳パックに接する全ての領域にヒーターを敷設することも考えられる が、これでは、製造装置が大型化し、かつコストの増大を招く。
【0006】 そこで、この考案は、容器本体内の栄養性培地と微生物との混合物を均一に加 熱できる発酵製品の製造装置を得ることを目的とする。また、このような混合物 で微生物を均一に増殖でき、また、このような混合物を均一に発酵できるように する装置を提供することを目的とする。また、後述する特別な細菌を含んだ製品 を製造できる装置を提供することにある。また、大型になることなく、かつコス トの増大を招くことなく、これら目的を達成できる装置を提供することを目的と する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本考案は、栄養性培地と微生物との混合物を収容 する容器本体と、この容器本体の少なくとも底面に設けられた加熱手段と、を備 え、微生物を含む製品を製造するための装置に関するものである。
【0008】 前記加熱手段は容器本体の少なくとも一つの側面にもさらに設けられているこ とが望ましい。好適な態様では、容器の底面と側面の一つ(特に背面)に加熱手 段を設ける。もっとも、側面の二つ以上(例えば、背面と前面等)に加熱手段を 配設することを妨げるものではない。本考案では、また、底面に傾斜を形成する ことも好ましい。この傾斜は、例えば、容器本体の前面から背面にかけて形成さ れる。
【0009】 前記加熱手段は、例えば、電気式加熱装置(例えば、ニクロム線等の抵抗線、 あるいは遠赤外線ヒーター)を備える。また、栄養性培地とは、発酵等の微生物 の増殖現象が生じるための基本となるものであって、特に、牛乳等の乳製品およ びその他の種々の食品を例示できる。
【0010】 また、本考案の製造装置の前記加熱手段は、前記栄養性培地と微生物との混合 体の温度を微生物の増殖に適した温度に維持するための温度制御回路を有する。 このような制御回路として、バイメタルからなるサーモスイッチを例示できる。 また、本考案の製造装置は、さらに、加熱時間設定回路(タイマー回路)を備え ることができる。
【0011】 また、前記栄養性培地と混合される微生物は、主として細菌であって、以下、 この明細書において、栄養性培地に種付けられる菌という意味で、種菌とも称す る。このような菌としては、好ましくは、ヒト消化管の非病原性常在細菌叢から 選択され、通常、ストレプトコッカス属、エンテロコッカス属、ビフィドバクテ リウム属、ラクトバチルス属の少なくとも一つに属する一種または二種以上の細 菌から選択される。 より具体的には、エンテロコッカス・フェーカリス、エンテロコッカス・フェ シウム、エンテロコッカス・デュランス、エンテロコッカス・エビウム、ストレ プトコッカス・サリバリウス、ストレプトコッカス・ボービス、ストレプトコッ カス・イクイヌス、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ギャセ リー、ラクトバチルス・サリバリウス、ラクトバチルス・ファーメンタム、ラク トバチルス・ロイテリー、ラクトバチルス・アラビノーサス、ビフィドバクテリ ウム・ブレーベ、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・ア ドレセンティス、ビフィドバクテリウム・インファンテス、ビフィドバクテリウ ム・ビフィダムの少なくとも一つを例示することができる。
【0012】 また、具体的菌株は、エンテロコッカス・フェーカリス ATCC 19433 、エンテ ロコッカス・フェシウム ATCC 19434 、エンテロコッカス・デュランス IID 677 、ストレプトコッカス・サリバリウス IID 5223 、エンテロコッカス・ヒラエ ATCC 8 043、エンテロコッカス・ヒラエ ATCC 9790、ラクトバチルス・アシドフ ィルス ATCC 4356、ラクトバチルス・アラビノーサス ATCC 8014、 ラクトバチル ス・ファーメンタム IAM 1148、ラクトバチルス・カゼイ ATCC 393 、ビフィド バクテリウム・アドレセンティス ATCC 15705 、ビフィドバクテリウム・ロンガ ム JCM 1217、ビフィドバクテリウム・ビフィダム JCM 1254 、ビフィドバクテ リウム・ブレーベ JCM 1192 、エンテロコッカス・ヒラエ ATCC 8043、クロスト リジウム・ブチリカム ATCC 6015等である。また公知のヨーグルト菌であっても 良い。このようなヨーグルト菌としては、ストレプトッコッカス・サーモフィル ス,ラクトバチルス・ブルガリクスの少なくとも一つを挙げられる。もっとも、 これらの菌に限定されるものではない。
【0013】 上記微生物が混合された製品は、腸内細菌叢の改善あるいは保持、さらには抗 アレルギー性の改善に効果を有する。すなわち、本考案の製造装置は、これら細 菌の増殖、あるいは発酵にとって好ましい加熱を提供する。
【0014】 種菌量としては、特に制限されず菌の種類および/または栄養性培地の成分あ るいはその量に応じて最も適した範囲から選択される。また、加熱手段による加 熱は、前記混合物の温度が増殖(発酵等)に適した温度に調整されることが好ま しいが、菌の種類によって適宜選択される。上記例示した細菌では、35〜40 ℃で良い。また、ヨーグルト、チーズに良く使用されるストレプトコッカス・サ ーモフィルスは45℃程度が最適であるが、35ないし46℃で良い。また、そ の他の発酵食品(例えば、漬物)において良く検出される種菌であるロイコノス トック属(ロイコノストック、メッセントロイデス)は25〜30℃、ラクトコ ッカス・クレモリスは30〜37℃が良い。
【0015】 これらの微生物を事前に調製するために、例えば、ロゴサ培地(成分を後述) 、GAM培地(日水製薬製)で好気性雰囲気あるいは嫌気性雰囲気のもとで37 ℃の培養を行う。このための培地は、オートクレープで121℃、15分間の殺 菌が行われる。培地に菌株を摂取し(106 /ml)し、15時間培養の後、培 養液を12000r.p.mの遠心分離により菌体を集め、培養液の1/20を 10%スキムミルク中に分散し、凍結乾燥する。これらの乾燥菌体の生菌数は約 、109 〜1011/gである。 ロゴサ培地:水1リットル中に トリプチケース 10 g 酵母エキス 5 g トリプトース 3 g K2 HPO4 3 g KH2 PO4 3 g クエン酸アンモニウム 2 g ツィーン80 2 g グルコース 20 g システィン 0.2g 塩類溶液 5ml 塩類溶液:精製水1000ml中に、 MgSO4 ・7H2 O 11.5 g FeSO4 ・7H2 O 0.68 g MnSO4 ・2H2 O 2.4 g
【0016】 また、本考案において、栄養性培地は、パック(例えば、牛乳パック)のまま 、あるいは別容器に移すなどして、本考案の容器本体内に供給される。
【0017】 また、本考案の前記加熱手段が、栄養性培地が収容された別容器側面のほぼ全 ての面積を加熱できるように、前記容器本体の側面に設けられていることが望ま しい。また、金属箔帯が、前記加熱手段が設けられている側面とこれが設けられ ていない側面とに跨って、前記容器本体に添着される。
【0018】
【作用】
前記本考案によれば、栄養性培地と微生物との混合物が容器本体の底面から加 熱されるため、混合体内で加熱された部分とそうではない部分とを混合するため の対流が順次行われ、熱が混合物内でほぼ均等に及ぶようになる。したがって、 微生物は、混合物のほぼ全域に渡ってほぼ均等に増殖する。故に、発酵も混合物 の全域に渡って均等に進行する。
【0019】 また、本考案によれば、加熱手段が容器本体の底面あるいは底面と背面に設け られているようにすれば、装置が大型化し、かつコストの増大を招くことはない 。
【0020】
【実施例】
次に本考案の実施例について説明する。 図1は本考案の実施例に係わる製造装置の容器本体の断面図、図2は図1のA −A断面図である。本考案に係わる製造装置は容器本体と、この容器本体内に設 けられた加熱手段と、容器本体に接続されたタイマー回路とから構成されている 。
【0021】 前記容器本体は、製造装置内に栄養性培地と微生物との混合物を収容するため の空間を形成する。すなわち、この容器本体10は、図1,2に示されるように 、内部に断面矩形の空間11を有する長方状の形状を備える。また、容器本体1 0は外側に臨む外容器12と内側部分を形成する内容器14とを備えている。
【0022】 この外容器12は上面が開放され、かつ底面部分に均等に4カ所U状に突出す る支持脚16が一体に形成されている。この外容器12は、内部に断面矩形の空 間18を有し、この空間18内に同様に断面矩形の第2の空間を有する内容器1 4が収容されている。この内容器14は外容器12内への収納が可能なようにそ の外壁部分が外容器の空間18の幅よりも狭く形成され、外容器12の内壁と内 容器14の外壁との間に間隙22が形成されている。
【0023】 図2に示されるように、この間隙24は容器本体10の背面に相当する、外容 器12の内壁と内容器14の外壁との間で、それ以外の部分よりも広く形成され ており、この広い間隙(以下、「広間隙」という)に後述するような加熱手段と してのニクロム線ヒータが配設されている。
【0024】 一方、内容器14の底面26は外容器12の底面28よりも上部に位置してお り、両者はボルト30Aおよびナット30Bからなる連結機構によって締結され る。すなわち、内容器14底面から外容器12に向け、かつ外容器12底面から 内容器14に向けて円筒状の突片32A,32Bがそれぞれの中心位置で突設し て設けられ、内容器14を外容器12内に挿入した際に両者の先端面が互いに整 合するようになっている。そして、これら突片32A、32Bのそれぞれには円 筒状のボルト穴が構成され、ボルト30Aが内容器14からボルト穴に挿通され 、外容器12の突片32A、32B内に挿通される。次いで、ナット30Bを外 容器12側よりボルト30Aの先端に螺着する。このようにして、内容器14が 外容器12内に固定される。
【0025】 図3は前記連結機構の拡大断面図であり、二つの突片32Aと32Bとの間に シール用のOリング34が介装されている。このような構成によれば、二つの突 片32Aと32Bとをガタつきなく完全に固定してシールすることができる。
【0026】 前記図1および図2に示すように、前記内容器14の上端部分は、内容器14 が外容器12内に固定された状態で、外容器12の上端より上方に突出し、さら に底面方向に向かって、かつ外側に向けて屈曲し、その先端が外容器12の上端 部分で終了している。
【0027】 内容器14の先端部分の径方向内側に臨む部分が、ほぼ半分の肉厚で円周方向 に沿って切り欠かれ、外容器12の先端部分はその外壁からほぼ半分の肉厚で円 周方向に沿って切り欠かれている。したがって、内容器14の先端と外容器12 の先端とは、外容器12内に内容器14を固定した時、互いに係合される。これ らのことは、図4に詳細に説明されている。そして、両者の間には、望ましくは 、防水性等を目的としたシール部材としての円形のパッキン36を周設する。ま た、両者を直接接着剤(材)によってシールする事も可能である。
【0028】 図5ないし7は、前記内容器14を拡大して示すものであり、この内容器14 の背面38(前記広間隙24に臨む部分)と底面26(図7参照)には、加熱手 段としてのニクロム線ヒータ40が配設されている。このニクロム線ヒータ40 は、背面を長さ方向に蛇行し、かつ底面部分も蛇行するように連続して配設され 、これら二つの面を同時に広く加熱できるようになっている。
【0029】 また、内容器14の背面38、左右の側面、および正面には、保温用および背 面に設けられたニクロム線ヒータ40による加熱を背面以外の他の面にも及ぼす ための伝熱手段としての2重層アルミニウム箔44が一連に卷き回されている。 また、このアルミ箔44は底面26にも添着されている。
【0030】 前記ニクロム線ヒータ40の途中には、温度制御手段としてのTRS(サーモ スイッチ:設定温度以上になると閉じ、それ以下であると開くスイッチ)46が 設けられている。前記内容器14の背面38に設けられたニクロム線ヒータ40 は、前記広間隙24内に納まるため、内容器14を外容器12内に収容する際に ニクロム線ヒータ40が外容器12内壁に当接して、内容器14の挿入が妨げら れることはない。
【0031】 図8は前記外容器12の全体を示す斜視図であり、その背面部分に前記ニクロ ム線ヒータ40に通電するためのマグネット式コード受け口48が存在する。こ の受け口48は内容器14を外容器12にセットした際に前記ニクロム線ヒータ 40と電気的に接続するように構成されており、そして、図9に示す電源コード 50がこの受け口48にセット可能になっている。
【0032】 この電源コード50は、その先端に前記マグネット式受け口48に脱着可能な 差し込み部52と、他端には家庭用電源に差し込み可能なプラグ54が設けら、 その途中にはタイマー回路56を備える。このタイマー回路の正面には、前記加 熱手段への通電時間を設定するためのタイマー摘み58が設けられている。
【0033】 図10は、前記電気回路の回路図を示すものである。したがって、差し込み部 52を受け口48に接続し、そしてタイマー摘み58を所望時間に設定すること により、その間、前記ニクロム線ヒータ40に通電することができる。
【0034】 図1,2に示す符号60は、栄養性培地としての牛乳が収容される容器を示す ものであり、好ましくは1000ccの牛乳を入れることができる容器である。 容器本体10の内容器14内の空間は、このような容器を収容できる形状および 体積に形成される。また、図11に示すように、1000cc入りの牛乳パック 62をそのまま収容できるように、内容器14を形成しても良い。 図5に示すように、前記ニクロム線ヒータ40は、これらの容器を十分加熱で きるように、内容器14の背面38の底部から上部にかけて設けられている。容 器本体10の高さは適宜変更できる。また、図12に示すように、容器本体10 を保温の目的で蓋64によって覆うようにしても良い。なお、図1,2の符号6 0および図12の符号15は牛乳用パックとは異なる主として樹脂製の別容器を 示し、市販の牛乳パック内の牛乳をこれに移し換えるようにして使用する事もで きる。
【0035】 次に本実施例の動作について説明する。栄養性培地としての牛乳が入ったパッ ク内に前記種菌を植え付ける。通常このような種菌は、牛乳1リットルパック毎 に適用される量に分包されている。これら種菌は望ましくは、冷暗所(望ましく は数度℃以下)内に貯蔵されることが望ましい。
【0036】 次に菌が混入された牛乳パックを容器本体10の内容器14内に挿入して、前 記タイマー摘みを58を微生物の増殖(発酵)に適した時間に設定する。通常5 〜20時間である。この間、前記ニクロム線ヒータ40は通電されて、ニクロム 線ヒータ40が発酵に適した温度まで牛乳を加熱すると共に、前記温度維持手段 46によって発酵に対して適温を維持する。
【0037】 この加熱に際して、前記ニクロム線ヒータ40が、内容器14の底面26の広 い領域に設けられているために、底面26のほぼ全面よりパック内の牛乳が加熱 される。加熱されて比重が軽くなった牛乳は、その上部にある加熱されていない 牛乳と順次対流し、牛乳パックの全体が均一に微生物の増殖に適した温度に加熱 される。しかも、本実施例によれば、内容器14の背面38にもニクロム線ヒー タ40が設けられているために、発酵に適した温度まで短時間で到達するように なる。したがって、栄養性培地が内容器14の背面38に設けられたニクロム線 ヒータ40によってその高さ方向から加熱されると共に、内容器14の底面26 に設けられたニクロム線ヒータ40によって、その径方向からも加熱されること によって、栄養性培地と細菌との混合物の全体を均一かつ迅速に加熱することが できる。しかも、ニクロム線ヒータ40は内容器14の底面26および背面38 に設けられているだけなので、装置を必要以上に大型化することなく、かつコス トの増大を招くこともない。
【0038】 図15は、実公昭60−38382号公報記載の装置を用いて1000ccの 牛乳パックを加熱した結果を示している。図13中のA,B,Cは、1000c c牛乳パックにおける高さ位置を示したものであり、図14及び図15のAAは 図13のAの位置(容器上部)に対応する時間−温度の関係曲線であり、BBは Bの位置(容器中間部)における同様な関係曲線、CCはCの位置(容器底部) における同様な関係曲線である。
【0039】 条件としては、恒温槽(10℃)内で、15時間の加熱を行った。また、菌と しては、前記例示したものの中から十数種の菌が混合されたものを用いた。具体 的な菌の処方を下記に示す(表1参照)。前記実公昭60−38382号公報記 載の装置は、1000cc牛乳パックの下半分を側面から加熱するものであるか ら、最も温度が高い部分(CC)と最も温度が低い部分(AA)との間に約15 ないし17℃の差がある。
【表1】
【0040】 一方、同様な条件のもとで、図1に示す装置を用いて発酵試験を行った。この 結果、牛乳パックのAないしCの位置で、図14に示すように、〔AA〕〔BB 〕〔CC〕に示す如くの特性が得られた。この特性によれば、最も温度が高い部 分(〔CC〕)と最も温度が低い部分(〔AA〕)との温度差は約7℃以下に迄 縮めることができた。このことは、本考案の製造装置によってパック内の牛乳が その全体にわたってほぼ均一に加熱されていることを示している。したがって、 本実施例の装置によれば、製品の底部から上部にかけて均一な性状(粘度、流動 性等)を持った製品を提供することができる。
【0041】 そして、本実施例の製造装置によれば、アルミ箔44によって加熱手段からの 熱量が外容器方向に逃げないようにするとともに、内容器の背面38にあるニク ロム線ヒータ40の熱量を、内容器14の左右の側面および正面にも及ぼすよう にすることができる。また、上記製造装置は、ニクロム線ヒータ40を内容器1 4の底面および背面に設けているだけなので、装置が大型にならず、かつコスト の増大を来すこともない。
【0042】 本考案の容器本体10は好適には樹脂によって構成される。そのうち、内容器 14は熱伝導性の良好な材料(例えば、塩化ビニール樹脂、ポリプロピレン、ポ リエチレン樹脂)で構成することが望ましく、外容器12は断熱性に優れた材料 (例えば、ポリスチレン、ABS)で構成することが望ましい。
【0043】 本考案に係わる製造装置は、本考案の範囲内で適宜変更できるものである。例 えば、図16に示すように、内容器14の底面26を正面から背面38にかけて 上り勾配を有する傾斜状に形成することもできる。これによれば、内容器の底面 の面積が広くなることによって、加熱を広範に行うことができ、しかも熱の対流 を良好にすることができる。なお、この実施例において、栄養性培地を収容する 容器(パック)を挿入する場合には、当該容器(パック)の底面形状は内容器の 底面形状に合致することが望ましい。
【0044】 また、加熱手段としては、前記ニクロム線ヒータ40の他に遠赤外線発生手段 であっても良い。この遠赤外線発生手段は、次のように構成される。すなわち、 内容器14の外容器12側の面と、内側空間20側の面の少なくとも一面(この 面の一部あるいは大部分)に遠赤外線発生用セラミックスを固定すれば良い。こ のようなセラミックスとしては、日本板硝子(株)製のラジエコーパウダーを使 用できる。このセラミックスは板状(カード状)に予め成形し、これを内容器1 4の面に接着するようにすると製造が容易になる等好ましい結果が得られる。 また、このセラミックスは、図12に示す別容器15の内面及び外面の少なく とも一つの一部あるいは全部に設けられることがさらに良い。そしてまた、別容 器15の側面を中に空間を備えた二重構造とし、この空間内にセラミックスを配 設した構造としてもよい。そして、この場合には、前記セラミックスが、直接栄 養性倍地と接触することがなく、手入れが簡単になるという利点が得られる。遠 赤外線セラミックは、前記ニクロム線ヒータ40の加熱によって遠赤外線を発生 する。遠赤外線は前記栄養性培地の内部まで浸透しこれを効果的に加熱すること ができる。したがって、加熱時間を短くし、かつ加熱を広範に行うことができる 。セラミックスが設けられている面積あるいは体積が増えることにより、発生す る遠赤外線量を増大することができる。
【0045】 また、前記ニクロム線ヒータ40の配列パターンは、図17に示すように、内 容器14の幅方向に往復(蛇行させても良い。)させ、隣接するニクロム線ヒー タ40の間隔を狭くすることにより、栄養性培地を広い範囲で加熱することがで きる。
【0046】 また、内容器14からこの内容器14内に収納される別容器60(牛乳パック でも良い。図1参照)への伝熱効率を向上するために、内容器14の背面38に 敷設されるニクロム線ヒータ40(図5参照)の敷設密度を向上し(すなわち、 隣接するニクロム線ヒータ40間の距離を少なくする。)、あるいは内容器14 の背面38と別容器60との間の隙間を極力少なくすることが好ましい。このた めに、内容器14の前面にその背面側に向かって突出する半球状の突起を容器前 面の上部から底部にかけて均等に複数(例えば、3箇所)配置し、別容器60を 内容器14の背面側に密着するように付勢することが好ましい。前述したような 遠赤外線による加熱あるいは加温も別容器60への伝熱効率を向上させるための ものである。
【0047】 また、前記内容器14の高さは、好ましくは牛乳パック1000ccの高さに 設定される。もっとも500ccパックの高さにしても良い。前者の高さに内容 器14が作成されている場合は、容器本体10を500ccパックの上部から覆 うようにすれば、別容器(牛乳パック等)の大きさに拘らず本考案装置を用いる ことができる。なお、内容器14内に直接牛乳等を入れても良い。この場合、容 器本体10を覆う蓋を設けることにより、内容器14内の牛乳等を均一に加熱す ることができる。
【0048】 また、本考案によれば、栄養性培地(牛乳、豆乳等)を均等に加熱あるいは加 温することができるので、栄養性培地を同培地内に混合された発酵菌の至適温度 に好適に調整することができる。栄養性培地を発酵菌の至適温度に調整すること の利点は、たとえば、次のようなことから理解される。本考案の好適な実施例で は、発酵菌として前述の菌を複数混合したものを利用するが、この場合、複数の 菌に共通した至適温度範囲に栄養性培地を維持することが好ましい。 図14に示すように、本考案によれば栄養性培地のほぼ全体を均一に加熱でき ることから、共通した至適温度に栄養性培地全体を維持できる。これに対して、 従来の製造装置によれば、図15に示すように、温度が高くなる容器底部の培地 において、一つあるいは複数の菌の至適温度を越え、これらの菌が死滅あるいは 増殖しないおそれがある。複数の菌が全て増殖して栄養性培地を均一に発酵させ ることにより、全ての有効成分を含む発酵製品を得ることができる。
【0049】
【考案の効果】
以上説明したように、本考案によれば、栄養性培地と微生物との混合物が容器 本体の底面から加熱されるため、加熱が混合物内でほぼ均等に及ぶようになる。 したがって、微生物は、混合物のほぼ全域に渡ってほぼ均等に増殖する。故に、 発酵も混合物の全域に渡って均等に進行する。この結果、製品の底部から上部に かけて均一な性状を持った製品を提供することができる。
【0050】 そして、加熱手段を、容器本体の底面と側面の一つ(好ましくは背面)に形成 するだけで、前記効果が得られるため、装置が大型化することなく、かつコスト の増大を招くこともない。
【0051】 しかも、本考案によれば、腸内細菌叢を良好な状態で増殖させ、このような細 菌の菌体を含むことにより、腸内細菌叢の改善あるいは維持、さらには抗アレル ギー性を有する微生物含有製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この装置の容器本体の断面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】容器本体の連結機構の拡大断面図図である。
【図4】容器本体の外容器と内容器との接合部の断面図
である。
【図5】内容器の斜視図である。
【図6】内容器を径方向に切断した一部断面図である。
【図7】内容器を底面から見た一部の斜視図である。
【図8】外容器の斜視図である。
【図9】容器本体に通電するための電源コードの斜視図
である。
【図10】加熱のための電気回路を示す回路図である。
【図11】容器本体に牛乳パックが収容されている状態を
示す容器本体の断面図である。
【図12】容器本体の内容器に蓋が載置されている状態を
示す容器本体の断面図である。
【図13】牛乳パックの高さ位置と各符号との関係を示す
模式図である。
【図14】本考案の装置における加熱温度と加熱時間との
関係を示す特性図である。
【図15】従来の装置における加熱温度と加熱時間との関
係を示す特性図である。
【図16】内容器の底面形状の他の実施例を示す概念図で
ある。
【図17】加熱手段の他の配列パターンを示す概念図であ
る。
【符号の説明】
10 容器本体 12 外容器 14 内容器 40 ニクロム線ヒータ

Claims (15)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 栄養性培地と微生物との混合物を収容す
    るための容器本体と、この容器本体の少なくとも底面に
    設けられた加熱手段と、を備える微生物含有製品の製造
    装置。
  2. 【請求項2】 前記加熱手段が、容器本体の少なくとも
    一つの側面にさらに設けられている請求項1記載の装
    置。
  3. 【請求項3】 前記加熱手段が、容器本体の底面と背面
    に設けられている請求項1記載の装置。
  4. 【請求項4】 前記加熱手段が、通電によって発熱する
    電気式加熱装置を備える請求項1記載の装置。
  5. 【請求項5】 前記加熱手段が、遠赤外線ヒーターを備
    える請求項1記載の装置。
  6. 【請求項6】 前記混合物を微生物の発酵に適した温度
    に維持する温度制御手段をさらに備える請求項1記載の
    装置。
  7. 【請求項7】 前記容器本体が、外容器と、この外容器
    内に配設される内容器とを備え、内容器の表面に前記加
    熱手段が配設されている請求項1項記載の装置。
  8. 【請求項8】 前記微生物が、ヒト消化管の非病原性常
    在細菌叢から選択される請求項1記載の装置。
  9. 【請求項9】 前記微生物が、ストレプトコッカス属、
    エンテロコッカス属、ビフィドバクテリウム属、ラクト
    バチルス属の少なくとも一つに属する一種または二種以
    上の細菌である請求項8記載の装置。
  10. 【請求項10】 前記栄養性培地が乳製品であり、この乳
    製品を微生物によって発酵した発酵食品を得る請求項1
    記載の装置。
  11. 【請求項11】 前記加熱手段が、栄養性培地が収容され
    た別容器側面のほぼ全ての面積を加熱できるように、前
    記容器本体の側面に設けられている請求項2記載の装
    置。
  12. 【請求項12】 前記加熱手段が、栄養性培地が収容され
    た別容器側面のほぼ全ての面積を加熱できるように、前
    記容器本体の側面に設けられている請求項3記載の装
    置。
  13. 【請求項13】 前記容器本体の底面が傾斜を持って形成
    されている請求項1記載の装置。
  14. 【請求項14】 金属箔帯が、前記加熱手段が設けられて
    いる側面とこれが設けられていない側面とに跨って、前
    記容器本体に添着されている請求項2記載の装置。
  15. 【請求項15】 金属箔帯が、前記加熱手段が設けられて
    いる側面とこれが設けられていない側面とに跨って、前
    記容器本体に添着されている請求項2記載の装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020010668A (ja) * 2018-07-20 2020-01-23 アイリスオーヤマ株式会社 発酵乳生成装置及び専用容器

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