JP3011920B2 - シリンダライナの冷却構造 - Google Patents

シリンダライナの冷却構造

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JP3011920B2 JP10168432A JP16843298A JP3011920B2 JP 3011920 B2 JP3011920 B2 JP 3011920B2 JP 10168432 A JP10168432 A JP 10168432A JP 16843298 A JP16843298 A JP 16843298A JP 3011920 B2 JP3011920 B2 JP 3011920B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願に係る発明は、内燃
機関のシリンダライナの上部の冷却効果を簡素な構造で
向上させるためのシリンダライナの冷却構造に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関のシリンダライナは、オイルの
劣化、リング領域におけるカーボンのパッキングおよび
ピストンの焼き付きを防止するために適当に冷却する必
要がある。シリンダライナは熱負荷低減、潤滑のために
冷却されるが、最も冷却が必要とされるシリンダライナ
上部の冷却について、これを効率的に行うことが重要で
ある。内燃機関の馬力を増大させると燃焼による熱負荷
が増大するという問題が生じる。そこで、従来はシリン
ダライナとクランクケースとの間を水によって強制循環
冷却していたが、シリンダヘッド部に熱負荷がより多く
かかるため、その部分のみ流速を高めて冷却効果を向上
させたものが提案されている。
【0003】例えば、特開平6−17700号公報記載
の冷却スリーブを有するシリンダライナである。すなわ
ち、図3に示すようにシリンダライナ01の上部の外周
面に、軸方向に一定の長さを有するライナ溝02を設
け、このライナ溝02にはめ込んむ形で筒状の冷却スリ
ーブ03を設けている。この冷却スリーブ03とシリン
ダライナ01とは円周方向に隔置された複数の通路即ち
ベンチュリスロート04を形成しており、上部冷却水路
05と下部冷却水路06を連通させるように構成してあ
る。なお、図中、09はピストン、010はシリンダヘ
ッド、011は冷却水排出路を示す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開平6−17700号公報記載の冷却構造によれば、
冷却スリーブ03を設けるための筒状のライナ溝02
をシリンダライナ01外周面に削成する必要がある。そ
のため、シリンダライナ01の強度面からライナ溝02
を設けることができない場合には、冷却スリーブ03を
設置できない。 冷却スリーブ03は通常シリンダラ
イナ01とは別体であるが、この場合には、冷却スリー
ブ03をシリンダライナ01周面に取着することは容易
ではない。 冷却スリーブ03とシリンダライナ01
とを一体鋳造することも考えられるが、そもそも構造が
複雑であるため一体鋳造も現実的には難しい。 シリ
ンダライナ01のセンタリングをシリンダライナ01の
フランジ部07の下方位置に設けたセンタリング部08
で行っているため、熱負荷の最も大きい、従って最も冷
却すべき部位まで冷却水路05を延在させることができ
ない。冷却スリーブ03を一定長さ設けなければ冷却水
流は短絡的にすぐ冷却水排出路011の方へ流れ込んで
しまって冷却効率が低下する。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、この出願発明に係るシリンダライナの冷却構造
は、シリンダライナの外周面とクランクケースとの間に
冷却水路を設け、該冷却水路に冷却水を通してクランク
ケースの冷却水排出路から排出するようにした冷却構造
において、該シリンダライナ上部の外周面の一部を該冷
却水排出路の手前でクランクケース側に隆起させ、この
隆起部の頂部とクランクケースとの間で冷却水路の絞り
部を形成し、隆起部を断面視でなだらかな山形に形成
し、しかも、断面視において、隆起部の頂部から冷却水
路の下流端にかけてのシリンダライナ面を弓弧状に形成
すると共に、この弓弧状シリンダライナ面の対向するク
ランクケース面をほぼ直線的に形成して隆起部の頂部か
ら冷却水路の下流端にかけての冷却水路の断面形状をこ
の部分のクランクケース面を長軸とする略半楕円状に形
成したものである
【0006】これにより、簡素な構成でシリンダライナ
の上部における冷却水流を加速して熱負荷の大きい部位
の冷却効率を高めると共に、絞り部で加速された冷却水
流がシリンダライナ面に向かい、下流端まで弓弧状の流
れを生じ、下流端で折り返して下降流となり、熱負荷の
高い部位まで流速を高めた冷却水を行き渡らせることに
より効率の良い冷却が行われる。
【0007】また上記構成において、冷却水路をシリン
ダライナのフランジ部下面位置まで延設し、冷却水の折
り返し点となるべき冷却水路の下流端よりも上流側に冷
却水排出路の入口を位置せしめることにより、熱負荷の
高い部位に冷却水を行き渡らせてこの部位の冷却効率を
高めと共に、冷却水流が短絡的に冷却水排出路にすぐ流
れ込まないようにして冷却機能が高められる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながらこの出
願発明の実施形態を説明する。
【0009】図1は内燃機関のシリンダの片側上部を断
面にて示しており、図2はこの要部拡大図である。これ
らの図に示すように、クランクケース1とシリンダヘッ
ド2により形成されたシリンダボア3にシリンダライナ
4が設けられ、シリンダライナ4の外周面とクランクケ
ース1との間に筒状の冷却水路5が形成されている。ク
ランクケース1はクランクケース本体6とこの上部に組
み付けられたクランクケーススペーサ7を総称したもの
である。シリンダライナ4の上端はシリンダヘッド2に
連接し、シリンダライナ1を取り囲むようにクランクケ
ース1が組み立てられている。
【0010】クランクケース1上部の内側には棚面8a
とセンタリング面8bを有する段部8が形成されてい
る。この段部8の棚面8aにシリンダライナ4のフラン
ジ部9の下面9aが着座してシリンダライナ4はクラン
クケース1に支持される一方、フランジ部9の側面9b
が段部8のセンタリング面8bに接することで、シリン
ダライナ4のセンタリング(芯出し)が行われるように
なっている。これによって、後述するように冷却水路5
の上端(下流端)5eがシリンダライナフランジ部9の
下面9a位置まで延設でき、最も熱負荷の大きい部位
(シリンダヘッド2に近い部位)の冷却が効果的にでき
るようになっている。
【0011】本願ではシリンダライナ4の上部において
特徴的な冷却水路の構造を有する。すなわち、シリンダ
の断面視である図1において、クランクケース1の上部
に冷却水排出路10がL形に形成されており、この冷却
水排出路10の入口10aより一定距離下方の位置にお
いてシリンダライナ4の外周面の一部がクランクケース
1側に隆起している。この隆起部11は、シリンダライ
ナ4の全周に渡ってなだらかな山形に形成するのが好ま
しく、この山形隆起部11の頂部11aがクランクケー
ス1に接近して両者の間で冷却水路5の絞り部5aを形
成している。山形隆起部11の頂部11aから上流側稜
線12部分に対向するクランクケース1の対向面1aは
略弓状(図では一部に直線部を含んでいるが全体を通し
て湾曲状にしてもよい)にえぐられたような形に形成さ
れ、それから山形隆起部11の頂部11aに接近して上
記絞り部5aを形成している。そして、シリンダライナ
4の下流側稜線13から下流端5eにかけてのシリンダ
ライナ面は、弓弧状にえぐられたような形に形成され、
シリンダライナフランジ部9の下面9aに滑らかに連続
している。つまり、山形隆起部11の頂部11aから下
流側裾野部14にかけてシリンダライナ4面はなだらか
に下降し、下流側裾野部14から再びなだらかに隆起し
て下流端5e位置でフランジ部9の下面9aに連続して
いる。この構成によって、絞り部5aで加速された冷却
水流がシリンダライナ面に向かい、下流端5eまで弓弧
状の流れを生じ、下流端5eで折り返して下降流とな
り、熱負荷の高い部位まで冷却水を行き渡らせることに
より効率よい冷却が行われる。
【0012】そして、下流側裾野部14付近の対向位置
に、すなわち、下流端5eから一定距離離れた上流側に
上記した冷却水排出路10の入口10aが配置されてい
る。
【0013】一方、シリンダライナ4の上記弓弧状の面
に対向したクランクケース1の面はほぼ直線的に形成さ
れており、従って、両者で囲まれたこの部分の冷却水路
の断面形状は、クランクケース面を長軸とする略半楕円
状に形成されることになる。
【0014】次に、上述した構成による作用を説明す
る。
【0015】シリンダ下方位置の冷却水路5においてシ
リンダライナ4面に平行に流れてきた冷却水流Sは上流
側裾野部15から斜めに山形隆起部11に沿って、クラ
ンクケース1側へと流れの向きを変えながら上昇し、絞
り部5aによって冷却水路5の通路の断面積が絞られて
いることから、ここを通過した後の冷却水の流速は速め
られる。そして、この冷却水流はその流速を保ったまま
シリンダライナ4の弓弧状の稜線13に沿って、すなわ
ち、シリンダライナ4側に向きを変えて流れ、下流側裾
野部14から再び上昇して下流端5eであるシリンダラ
イナフランジ部9の下面9a位置まで達し、これにより
最も熱負荷の大きい部位の冷却を効率よく行った後、折
り返して下方に流れの向きを変えて下降し、冷却水排出
路10の入口10aへと流れ込み、冷却水出口10bか
ら流出される。冷却水排出路10の入口10a付近は上
昇流と下降流とが入り交じった2層流になっている。こ
れは、山形隆起部11の頂部11aからシリンダライナ
4の外周面を弓弧状にえぐり、流速の大きい流れがシリ
ンダライナ4面に接して流れるようにし、かつ、裾野部
14から下流端5eに向けてクランクケース1側へ向く
流れとし、下降流が直線的なクランクケース面に沿って
流れるようにしたことから生じるものである。しかも、
冷却水排出路10の入口10aは、下流側裾野部14付
近の対向位置に、すなわち、下流端5eから一定距離離
れた上流側に位置されているから、絞り部5aを通過し
た増速流は短絡してすぐ冷却水排出路10の入口10a
には入り込まず、シリンダライナ4上部の冷却が効果的
に行われるものである。
【0016】
【発明の効果】この出願発明は、以上説明したような形
態で実施され、次のような効果を奏する。 従来のよ
うな冷却スリーブを必要とする複雑な構成を避けて、簡
素な構成で容易に製作できる、しかも、冷却効率の高い
シリンダライナの冷却構造を得ることができる。 特
に、熱負荷の高い部位まで冷却水路を延在させること
で、この部位における冷却効率を大幅に向上させること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】内燃機関のシリンダ部の片側の上部付近を断面
して示した図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】従来技術の説明図で、内燃機関のシリンダ部の
上部付近を断面して示した図である。
【符号の説明】
1 クランクケース 2 シリンダヘッド 3 シリンダボア 4 シリンダライナ 5 冷却水路 6 クランクケース本体 7 クランクケーススペーサ 8 段部 8a 棚面 8b センタリング面 9 フランジ部 9a(フランジ部)下面 9b(フランジ部)側面 5e 下流端 10 冷却水排出路 10a 入口 11 隆起部 11a 頂部 12 上流側稜線 13 下流側稜線 14 下流側裾野部 15 上流側裾野部
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭49−96142(JP,A) 実開 昭55−152341(JP,U) 特許84904(JP,C2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02F 1/16 F01P 3/02 F02F 1/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダライナの外周面とクランクケー
    スとの間に冷却水路を設け、該冷却水路に冷却水を通し
    てクランクケースの冷却水排出路から排出するようにし
    た冷却構造において、該シリンダライナ上部の外周面の
    一部を該冷却水排出路の手前でクランクケース側に隆起
    させ、この隆起部の頂部とクランクケースとの間で冷却
    水路の絞り部を形成し、隆起部を断面視でなだらかな山
    形に形成し、しかも、断面視において、隆起部の頂部か
    ら冷却水路の下流端にかけてのシリンダライナ面を弓弧
    状に形成すると共に、この弓弧状シリンダライナ面の対
    向するクランクケース面をほぼ直線的に形成して隆起部
    の頂部から冷却水路の下流端にかけての冷却水路の断面
    形状をこの部分のクランクケース面を長軸とする略半楕
    円状に形成したことを特徴とするシリンダライナの冷却
    構造。
  2. 【請求項2】 冷却水路をシリンダライナのフランジ部
    下面位置まで延設し、冷却水の折り返し点となるべき冷
    却水路の下流端よりも上流側に冷却水排出路の入口を位
    置せしめたことを特徴とする請求項1記載のシリンダラ
    イナの冷却構造。
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