JP3011539U - 電鋳製電池ケース - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 製造工程が簡略で、しかも軽量化が容易な電
池ケースを提供すること。 【構成】 金属の電鋳によって製造され、一端が開口し
た継ぎ目のない筒状ケースよりなる電鋳製電池ケース
で、薄肉化が容易である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、小型の乾電池あるいは充電式電池の電池ケースに関するものである 。

【０００２】

【従来の技術】

従来の乾電池の内缶用ケースの例を、円筒形単３型乾電池の製造工程の概略を 挙げて説明すると、先ず亜鉛を溶解して、鉛やマグネシウムを添加して合金を製 造してインゴットを作り、ロールで圧延して４〜８ｍｍの板にする。次いでこの 板から丸形や６角形のペレットを打抜き、丸空のダイスの中に亜鉛合金ペレット を入れ、円筒状のパンチでプレスして上部のみ開口した円筒状の容器を製作し、 この容器の中に電解材料（合剤）及び中心部に炭素棒を入れ、容器の周囲を絶縁 した後、外装缶に入れ外装缶の隙間に特殊アスファルトを流し込み、キャップを つけて乾電池が完成する。

【０００３】 以上のように、亜鉛合金板の内缶容器を作るまでに、溶解，圧延，パンチング ，プレス作業と４つの工程を必要とするので手間がかかる。また、プレス成形に より円筒容器にするので容器の板厚の減少には制約が大きい。

【０００４】 次に充電式電池ケースの例として携帯用電話器の充電式電池ケースの製造例を 説明する。 ケース材質として深絞り用鋼板（ＳＴＰＣＣ）板厚０．３〜０．５ｍｍを採用 する場合には７〜８段の多段プレスの工程を経て所定の寸法，形状の筒に成形後 、開口部上端面をトリミングし、更に耐食性を付加するためにケースの内外面に 無電解ニッケルめっきを２〜３μｍの厚みで実施している。

【０００５】 またケース材質としてステンレス鋼板を採用する場合には耐食性は問題ないが 、成形加工に際して途中に２回の軟化焼鈍を入れながら約４０段の多段プレスを 経て成形される。 この様にいずれの材質の場合にも多段のプレス工程を経るため成形品の厚みや 形状に対する自由度が小さく、またコスト的にも高いものになっていた。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、上記従来技術の欠点を解消し、製造工程が簡便で、かつ安価な電池 ケースを提供することを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案の上記目的は、次の如き手段を採用することにより達成できる。即ち、 金属の電鋳によって製造され、一端が開口した継ぎ目のない筒状ケースよりなる 電鋳製電池ケースである。この電池ケースは電鋳によって造られるためその厚さ を任意に設定することができる。ただし厚さは、電鋳のピンホール，物性，母型 との離型を考慮すると０．１ｍｍ以上が望ましい。

【０００８】 電鋳用の材料としては、特に限定されず電池の用途によって決められ、例えば 鉄，亜鉛，銅，ニッケル，コバルト及びこれらの合金等が使用される。

【０００９】 加工法は、所望の電池ケースの内面寸法に製作した金属母型（例えばステンレ ス鋼）を用いて、その表面に電鋳法により金属の薄膜を形成後に、該金属薄膜を 母型から脱型することにより電池ケースが得られる。できれば電鋳前に母型の表 面に離型剤を塗布しておけば離型がさらに容易になる。

【００１０】

【作用】

本考案では、電池ケースが電鋳によって製造されるので、歪みのない寸法精度 の高い且つ均質なものが得られ、また任意の形状の電池ケースが精度良く得られ 、さらに板厚のコントロールが自由自在で、かつ均一厚みのものが容易に得られ る。

【００１１】

【実施例】

以下本考案をその実施例を示し乍ら説明する。 実施例１ この実施例１は、携帯電話器用充電式電池ケースの例である。 母型として、幅３３ｍｍ，長さ４５ｍｍ，厚み７．５ｍｍの長方体のステンレ ス鋼板を製作（表面仕上げ＃６００以上）し、メッキ浴として浴組成が、硫酸ニ ッケル２４０ｇ／ｌ，塩化ニッケル４５ｇ／ｌ，ほう酸３０ｇ／ｌのワット浴を 使用し、温度を５５℃に保定した。

【００１２】 図１に示すように、ステンレス鋼母型１の上端部を支持して、メッキ浴中に浸 漬し、母型の上面を除く四周方向と底面に電極板２を配設して電流密度５０Ａｍ ／ｄｍ² で電鋳を行い、母型表面に０．１５ｍｍ厚みのＮｉ電鋳皮膜を形成した 。 次いで母型にＮｉを電鋳した材料を室温で、抜き金具を取り付け、この金具を 押し下げることにより母型から電鋳製品を脱型して内径が、幅３３ｍｍ，長さ４ ５ｍｍ，で厚み０．１５ｍｍの図２に示すような一端が開口した継ぎ目のない角 形筒状の電池ケース３を得た。

【００１３】 実施例２ この実施例２は、円筒形電池用内缶ケースの例である。 母形として、φ１３．５×４７ｍｍの円筒状のステンレス鋼体を製作（表面仕 上げ＃６００以上）し、メッキ浴として浴組成が、硫酸亜鉛２４０ｇ／ｌ，塩化 アンモニウム１５ｇ／ｌ，硫酸アルミニウム３０ｇ／ｌ，甘草１ｇ／ｌの亜鉛メ ッキ浴を使用し、温度を３０℃に保定した。

【００１４】 図３に示すように、ステンレス鋼母型１の表面にＴｉＮを２−３μｍイオンプ レーティング後、上端部を支持してメッキ浴中に浸漬して、母型の上面を除く周 面と底面に電極板２を配設して電流密度２Ａｍ／ｄｍ² で電鋳を行い、母型表面 に０．５ｍｍ厚みの亜鉛電鋳皮膜を形成した。 次いで母型に亜鉛を電鋳した材料から中部のステンレス鋼母型を抜き取り、内 径が１３．５ｍｍと長さ４７ｍｍの一端が開口した継ぎ目のない円筒状の乾電池 用内缶ケース３を得た。

【００１５】

【考案の効果】

以上述べて来た如く、本考案によれば、電鋳だけで筒状のケースが得られるの で従来に比べて製造工程が省略できる。また、従来の加工では困難な形状の電池 ケースや板厚を任意の厚さ（好ましくは０．１ｍｍ以上）に決めることができる ので、強度アップ，軽量化，また機能に合わせた形状（デザイン）等の自由度の 高いものが得られる。さらには電鋳金属を選択することにより電池ケースの利用 範囲が広げられる。例えばＮｉ，Ｃｏを用いると耐薬品性が良く、また機械加工 が困難な高硬度、高強度の金属でも容易に採用できるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例１の製造工程の概略を示す説明図。

【図２】実施例１で得られた電池ケースの斜視図。

【図３】実施例２の製造工程の概略を示す説明図であ
る。

【図４】実施例２で得られた電池ケースの斜視図。

【符号の説明】

１ 母型 ２ 電極板 ３ 電池ケース

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 岡部 祐治 北九州市小倉南区新曽根５番１号 三島光 産株式会社機工事業本部内 (72)考案者 橋田 和夫 北九州市小倉南区新曽根５番１号 三島光 産株式会社機工事業本部内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 金属の電鋳によって製造され、一端が開
   口した継ぎ目のない筒状ケースよりなることを特徴とし
   た電鋳製電池ケース。