JP3011439U

JP3011439U - 活魚の運搬具

Info

Publication number: JP3011439U
Application number: JP1994015535U
Authority: JP
Inventors: 精介平
Original assignee: 株式会社フジカ
Priority date: 1994-11-21
Filing date: 1994-11-21
Publication date: 1995-05-30
Anticipated expiration: 2000-11-21

Abstract

(57)【要約】【目的】魚同士の接触、隔壁との衝突による魚の損傷
を少なくし、炭酸ガス・アンモニアによって魚が弱るの
を防ぎ、活魚の生存率をきわめて高くでき、活きのよい
状態で運送・保管でき、且つ安価に製作できる活魚の運
搬具を提供する。【構成】箱形の容体１の内部に海水を入れ、これに活
魚、アンモニア吸着剤４、固形酸素ガス発生剤７、炭酸
ガス吸着剤３を投入し、蓋１ｂをして酸素ガスを容体１
内に注入し、把手５ａの付いた手提げ袋５に入れる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、活魚を一匹又は複数匹活きのよい状態で市場・家庭・料亭・食品加工メーカ等に運送・販売・保管できる小型の活魚の運搬具に関する。

【０００２】

【従来の技術】

活魚は海水に溶けた酸素を摂取して呼吸作用をしているので、輸送においては水と酸素は不可欠である。長時間でなければ鯉や金魚のような淡水魚の場合は水を入れたポリ袋で充分対応出来るが、海水魚の場合は口ばしやヒレのけんが鋭く、ポリ袋ではこの突き刺しによって破れるおそれがありポリ袋が使用されているのは空輪便で出荷されるごく一部の魚種だけに限られている。そして海水魚の大部分は活魚用水槽と酸素ボンベを搭載した専用車によって運ばれている。しかし、この専用車による輸送は下記の問題点がある。１．専用車は水槽設備に海水の循環や濾過装置を必要とするため高価につく。２．活魚から発生する炭酸ガス・アンモニアによって活魚が弱る。３．専用車であるため片道採算の運賃であること。又、出荷量の調整が出来にくい。４．水槽の清掃、衛生管理に余分の費用が掛かる。５．運送中車の動揺によって魚同士が衝突したり、或いは水槽の隔壁に衝突して損傷を起こし易い。６．水槽設備に故障が発生した場合、積載した活魚全部に影響する。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

本考案が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、一匹又は少ない個体数で運送・保管でき、魚同士の接触、隔壁との衝突による損傷が少なく、活魚の生存率をきわめて高くでき、活きのよい状態で運送・保管でき、且つ安価に製作できるという活魚の運搬具を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

かかる課題を解決した本考案の構成は、１）魚の口ばしやヒレ等で破れにくい素材で魚を１匹又は複数匹収容できる容積の耐水性の密閉できる活魚収容用容体の内部に水又は海水を入れるとともに、これに炭酸ガス吸着剤を封入したことを特徴とする活魚の運搬具。２）魚の口ばしやヒレ等で破れにくい素材で魚を１匹又は複数匹収容できる広さの耐水性の箱形内枠又は容器を密閉出来る袋内に収納し、又箱形内枠又は容器内に水又は海水を入れるとともに炭酸ガス吸着剤を封入したことを特徴とする活魚の運搬具３）容体内の水又は海水にアンモニア吸着剤を接触させた前記１）記載の活魚の運搬具４）箱形内枠又は容器内の水又は海水中にアンモニア吸着剤を接触させた前記２）記載の活魚の運搬具。５）容体内部の水又は海水中に固形の酸素発生剤を投入した前記１）又は３）記載の活魚の運搬具６）容体内部の空間に気体酸素を注入した前記１），３），５）いずれか記載の活魚の運搬具７）箱形内枠又は容器内の水又は海水中に固形の酸素発生剤を投入した前記２）又は４）記載の活魚の運搬具８）箱形内枠又は容器内の空間に気体酸素を注入した前記２），４），７）いずれか記載の活魚の運搬具９）炭酸ガス吸着剤が顆粒状で、通気性の防水性の袋体内に封入され、水面上に浮遊させた前記１）〜８）何れか記載の活魚の運搬具１０）アンモニア吸着剤がピレット又は顆粒状で水又は海水中に投入されて水と接触する前記３）〜９）何れか記載の活魚の運搬具１１）容体又は袋に把手を設けた前記１）〜１０）何れか記載の活魚の運搬具にある。

【０００５】ここで、魚収容用容体、箱形内枠又は容器の素材としては、魚の口ばしやヒレによって破損することがなく、保形できる程度の厚みの耐水性のプラスチック・耐水処理された紙・人工紙・防水加工された木材・金属製のものが使用される。又、炭酸ガス吸着剤は顆粒状・液状・固形状のものでもよく、海面に浮遊させたもの、容体、容器又は袋内枠内面に塗布付着、又は固形板で取付けたものでもよい。又、アンモニア吸着剤の形状も顆粒状・液状・固形状のものでもよい。これらを水中に投入してもよいし、容体・容器・内枠に少しづつ溶出するように付着・塗布してもよい。

【０００６】

【作用】

本考案では、活魚を一匹又は数少ない個体数魚収容用容体に入れることによって、魚の回遊がなく、魚の動きを抑えた状態で収容する。これによって魚同士の衝突がないようにしている。又活魚によって発生する炭酸ガスは炭酸ガス吸着剤によって吸収され、炭酸ガスによる活魚の弱りを防止する。又アンモニア吸着剤が水、海水中に入られたものでは、活魚から発生するアンモニア吸収・吸着してアンモニアによる活魚の衰弱を防止する。更に、酸素を固形酸素・気体酸素を送り込まれれば、活魚の吸収を良好にする。袋・外箱に把手を設ければ、手でもっての運送が容易となる。

【０００７】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。実施例：１（図１〜４参照）図１〜４に示す実施例は請求項１，３，５，６，９，１０，１１項の態様の実施例である。図１は実施例１の縦断面図、図２は実施例１の斜視図、図３は実施例１の炭酸ガス吸着剤を示す一部切欠拡大斜視図、図４は実施例１の容体の酸素注入栓を示す拡大断面図である。

【０００８】図中、１は魚を一匹入れる容積の透明プラスチック製の箱形の容体、１ａは同容体の容体本体、１ｂは同容体本体１ａの上部開口部の脱着自在な多少の弾性変形可能な蓋、１ｃは同蓋に設けた酸素ガス注入用の孔１ｄを設けたゴム栓、２は海水、３は炭酸ガス吸着剤、３ａは炭酸ガスを吸収する活性アルミナに炭酸カリウムＫ₂ＣＯ₃ を添着した顆粒状炭酸ガス吸着剤、３ｂは同顆粒状炭酸ガス吸着剤３ａを収納する通気性で防水性の袋体、４は無機の金属塩と金属酸化物の組み合せのセラミック系のライフキーパー（商標名，大日精化工業株式会社）を使ったペレット状アンモニア吸着剤、５は手提げ袋、５ａは同手提げ袋の把手、６は活魚、７は固形酸素発生剤である。

【０００９】この実施例１では、容体１の蓋１ｂをとって、海水２を所定深さまで注ぎ入れ、これに活魚６を入れる。この容体１ａ中に炭酸ガス吸着剤３アンモニア吸着剤４と固形酸素発生剤７を投入する。投入した後、蓋１ｂを容体本体１ａにして容体１を密閉状態にする。その後、ゴム栓１ｃの孔１ｄより酸素ガス注入ノズル（図示せず）を挿入して孔１ｄを拡げて気体酸素ガスを容体１内に注入する。この活魚６を収容した容体１を手提げ袋５に入れ、把手５ａを使って持ち運びを容易にしている。

【００１０】この容体本体１ａ内では、固形酸素ガス発生剤７から発生する酸素と、注入された気体酸素ガスとによって長時間酸素を供給している。又、活魚６から発生するアンモニアはアンモニア吸着剤４によって吸収され、水中アンモニアの濃度が上らないようにし、又発生する炭酸ガスも水面に浮んだ炭酸ガス吸着剤３によってよく吸収され、容体１内の炭酸ガスの上昇を抑えている。炭酸ガス吸着剤３は、防水性且つ通気性の袋体３ｂ内に炭酸ガス吸着剤３ａを封入していて、内部の空気と表面張力で海水面に浮び、海水２から出て容体本体１ａの上方空間に溜った炭酸ガスをよく吸収する。このように必要量の酸素を与え、発生する害のある炭酸ガス及びアンモニアを吸収して抑えることによって、活魚６を高い活性の状態に保持できる。尚、本実施例の炭酸ガス吸着材３ａの炭酸カリウムは水溶解性があり、水に溶けると活魚に悪い影響を与えるので、防水性の袋体３ｂで水への溶解を防止している。魚の口ばし、ヒレ等がプラスチック製容体１を刺しても破損せず、又魚もそのため傷つくことが少なくなっている。手提げ袋５は容体１の水洩れ、水濡れに対して被害を少なくし、又手提げ袋５の把手５ａは容体１の運送を手軽に出来るようにしている。

【００１１】実施例：２（図５，６参照）図５，６に示す実施例２は、請求項２，４，７，８，９，１０，１１，記載の発明の実施例である。図５は実施例２の縦断面図、図６は実施例２の斜視図である。図中、１０はプラスチック製容器、１１は同容器の上方の袋内空間、１２は海水、１３は実施例１の炭酸ガス吸着剤３と同じ炭酸ガス吸着剤、１４は実施例１のアンモニア吸着剤４と同じペレット状アンモニア吸着剤、１５は防水性透明の厚手のプラスチック製外袋、１５ａは同袋の把手、１５ｂは外袋の圧着シート部、１６は活魚、１７は固形酸素発生剤である。

【００１２】本実施例２では、プラスチック製容器１０は袋１５内に挿入され、同容器１０内に海水１２を入れ、活魚１６を一匹入れ、又同海水中に顆粒状のアンモニア吸着剤１４及び固形酸素発生剤１７を投入し、又炭酸ガス吸着剤１３を海水面に浮べる。又気体酸素ガスを外袋１５の開口部から注入し、圧着シート部１５ｂでシールして袋内空間１１内に封入する。又、固形酸素発生剤１７が海水と反応して酸素を発生する。このように、活魚１６に必要な酸素は固形酸素発生剤１７及び上部に封入された気体酸素から供給される。魚から発生する炭酸ガスは海水面に浮べられた炭酸ガス吸着剤１４によって吸収され、又海水中のアンモニアはアンモニア吸着剤１４によって吸着され、魚にとって有害な炭酸ガス及びアンモニアの濃度を低く抑え、充分な酸素も供給でき、活魚を弱らせることがないようにしている。又、前記実施例１同様に、容器１０が魚の口ばし、ヒレによって刺さらないようにし、外袋１５の破損による水洩れを防ぎ、又魚体の口ばし、ヒレが刺さり込むことを防ぎ、魚体の損傷も防いでいる。この活魚の運搬具の運送はその把手１５ａによって手軽に行える。

【００１３】本考案では、実施例１，２のように容体１、容器１０を使う他に袋を厚手にして魚と袋の直接の接触を防ぐため、厚手・硬質の内枠を使用してもよい。このとき、水・海水は袋によって貯えられ、内枠は箱形空間を保持すること及び魚と袋の直接接触を防ぐことに機能する。内枠を使用するときは折り畳み自在にして押し拡げると箱形形状を保持できるものとすれば使用しないときに折畳み保管ができ、保管・運送で有利となる。

【００１４】

【考案の効果】

以上の様に、本考案によれば、活魚を衰弱させる炭酸ガスを炭酸ガス吸着剤で吸収させることで、活魚の生きをよくして長期間の維持を可能とし、又魚を一匹、複数匹の少ない固体数のものを容体・内枠に収容させることで、魚同志の接触も少なく、又容体・内枠が破れにくい素材であるので、口ばし・ヒレ等が容体・内枠に刺って傷つけることもない。更に、アンモニア吸着剤を入れたものでは、活魚から発生したアンモニアを吸着し、アンモニア濃度を低下させ、魚が弱るのを防ぐ。酸素発生剤又は気体酸素を投入するものは、活魚に必要な酸素を供給でき、長期間の魚の生存を可能とする。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例１の縦断面図である。

【図２】実施例１の斜視図である。

【図３】実施例１の炭酸ガス吸着剤を示す一部切欠拡大
斜視図である。

【図４】実施例１の容体のゴム栓を示す拡大断面図であ
る。

【図５】実施例２の縦断面図である。

【図６】実施例２の斜視図である。

【符号の説明】

１容体１ａ容体本体１ｂ蓋１ｃゴム栓２海水３炭酸ガス吸着剤３ａ顆粒３ｂ袋体４アンモニア吸着剤５手提げ袋５ａ把手６活魚７固形酸素発生剤１０容器１１袋内空間１２海水１３炭酸ガス吸着剤１４アンモニア吸着剤１５袋１５ａ把手１５ｂ圧着シート部１６活魚１７固形酸素発生剤

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】魚の口ばしやヒレ等で破れにくい素材で
魚を１匹又は複数匹収容できる容積の耐水性の密閉でき
る活魚収容用容体の内部に水又は海水を入れるととも
に、これに炭酸ガス吸着剤を封入したことを特徴とする
活魚の運搬具。
【請求項２】魚の口ばしやヒレ等で破れにくい素材で
魚を１匹又は複数匹収容できる広さの耐水性の箱形内枠
又は容器を密閉出来る袋内に収納し、又箱形内枠又は容
器内に水又は海水を入れるとともに炭酸ガス吸着剤を封
入したことを特徴とする活魚の運搬具。
【請求項３】容体内の水又は海水にアンモニア吸着剤
を接触させた請求項１記載の活魚の運搬具。
【請求項４】箱形内枠又は容器内の水又は海水中にア
ンモニア吸着剤を接触させた請求項２記載の活魚の運搬
具。
【請求項５】容体内部の水又は海水中に固形の酸素発
生剤を投入した請求項１又は３記載の活魚の運搬具。
【請求項６】容体内部の空間に気体酸素を注入した請
求項１，３，５いずれか記載の活魚の運搬具。
【請求項７】箱形内又は容器枠内の水又は海水中に固
形の酸素発生剤を投入した請求項２又は４記載の活魚の
運搬具。
【請求項８】箱形内枠又は容器内の空間に気体酸素を
注入した請求項２，４，７いずれか記載の活魚の運搬
具。
【請求項９】炭酸ガス吸着剤が顆粒状で、通気性の防
水性の袋体内に封入され、水面上に浮遊させた請求項１
〜８何れか記載の活魚の運搬具。
【請求項１０】アンモニア吸着剤がピレット又は顆粒
状で水又は海水中に投入されて水と接触する請求項３〜
９何れか記載の活魚の運搬具。
【請求項１１】容体又は袋に把手を設けた請求項１〜
１０何れか記載の活魚の運搬具。