JP3011055B2 - ヘルメット - Google Patents

ヘルメット

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JP3011055B2
JP3011055B2 JP7145635A JP14563595A JP3011055B2 JP 3011055 B2 JP3011055 B2 JP 3011055B2 JP 7145635 A JP7145635 A JP 7145635A JP 14563595 A JP14563595 A JP 14563595A JP 3011055 B2 JP3011055 B2 JP 3011055B2
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    • B29C70/04Shaping composites, i.e. plastics material comprising reinforcements, fillers or preformed parts, e.g. inserts comprising reinforcements only, e.g. self-reinforcing plastics
    • B29C70/06Fibrous reinforcements only
    • B29C70/08Fibrous reinforcements only comprising combinations of different forms of fibrous reinforcements incorporated in matrix material, forming one or more layers, and with or without non-reinforced layers
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29KINDEXING SCHEME ASSOCIATED WITH SUBCLASSES B29B, B29C OR B29D, RELATING TO MOULDING MATERIALS OR TO MATERIALS FOR MOULDS, REINFORCEMENTS, FILLERS OR PREFORMED PARTS, e.g. INSERTS
    • B29K2995/00Properties of moulding materials, reinforcements, fillers, preformed parts or moulds
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  • Helmets And Other Head Coverings (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繊維強化プラスチック
(以下、FRPとも言う。)製帽体を有するヘルメット
に関し、とくに、軽量、高強度、高耐貫通衝撃性などの
特性が要求されるとともに、帽体形成時に良好な深絞り
成形性が要求される場合に用いて好適なヘルメットに関
する。
【0002】
【従来の技術】FRPは、軽量でありながら高い強度特
性を有していることから、一般の構造用部材の他、ヘル
メットの帽体用材料としても注目され始めている。中で
も、比弾性率が大きく、かつ、比強度が大きい炭素繊維
を用いた炭素繊維強化プラスチック(以下、CFRPと
も言う。)は、高い強度特性を示す。
【0003】FRPは、通常、複数層の強化繊維材に樹
脂が含浸され、成形されたものに構成されるが、成形
前、成形時の取扱い易さ、型への沿わせ易さ、成形後の
FRPとして優れた特性が得られること等の面から、強
化繊維材として織物の形態にした強化繊維織物が多用さ
れている。
【0004】一方、FRPでヘルメット用帽体を作製し
ようとすると、強化繊維織物やそのプリプレグを深絞り
成形する必要がある。ところが、織物は一般に、成形型
に皺を入れずにフィットさせることが困難なので、所定
寸法の小片に裁断した織物を雌型にパッチワーク的に積
層し成形する方法や、織物に切れ目を入れて絞り成形す
る方法が採られている。
【0005】ところが、このような成形方法では、雄型
でプレスする際、織物材の積層位置がずれ、所定の補強
効果が得られず、弱部が存在した成形体となる。また、
裁断した小片を積層する方法では、数十枚の小片の繊維
基材を一枚一枚積層するので人手がかかり、生産性が悪
いという問題があった。
【0006】また、深絞り成形品を成形する方法とし
て、強化繊維のストランドを10〜25mm程度に切断
してランダムに配向させ、樹脂を含浸させたシート・モ
ールディング・コンパンド(SMC)やチョップド・ス
トランド・マット、また連続ストランドをループを描き
ながら配向したコンティニュアス・ストランド・マット
による方法が知られているが、これら繊維基材だけで
は、強化繊維が短繊維であるため、また強化繊維の配向
が制御できないため物性がばらつき、信頼性の高い成形
品とはならなかった。また、真っ直ぐ配列した連続繊維
が入っていないので、衝撃に対して弱いという問題があ
った。
【0007】ところで、炭素繊維糸は、通常その繊度が
大きくなる程、プリカーサおよび耐炎化工程や焼成工程
での生産性が向上し、安価に製造することが可能とな
る。
【0008】しかし、通常の強化繊維織物は、強化繊維
をほぼ円形断面に集束させた強化繊維糸を用いて織物に
しているので、織り込まれた状態においては、織糸が互
いに交錯する交錯部における強化繊維糸の断面が楕円形
で、織糸が大きくクリンプしている。特に、太い強化繊
維糸を使用した織物では、太い織糸が互いに交錯してい
るのでこの傾向が大きくなる。
【0009】このため、強化繊維糸が大きくクリンプし
た織物では、繊維密度が不均一となって高強度特性を充
分に発揮できない。また、強化繊維糸が大きくクリンプ
していると、成形されたFRPの表面平滑性も良くな
い。さらに、太い強化繊維糸を使用した織物は、一般
に、織物目付や厚みが大きくなるため、プリプレグやF
RPを成形するときの樹脂含浸性が悪くなる。
【0010】従って、太い強化繊維糸を製織した織物を
用いて得られるFRPやCFRPは、樹脂中に存在する
ボイドが多くなり高い強度特性が期待できない。
【0011】一方、太い強化繊維糸を使用して織物目付
を小さくすると、織糸間に形成される空隙が大きくな
る。このため、織物目付の小さい強化繊維織物を用いて
FRPやCFRPを成形すると、強化繊維の体積含有率
が低くなり、強化繊維糸間に形成される空隙部分に樹脂
のボイドが集中的に発生し、高性能な複合材料が得られ
なくなるという欠点があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状に着目し、とくにFRP製帽体を有するヘルメット
において、該帽体を特定の強化繊維織物を用いたFRP
を含む部材とすることにより、良好な深絞り成形性を確
保しつつ、目標とする高強度化、軽量化を達成すること
を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】この目的に沿う本発明の
ヘルメットは、扁平な強化繊維糸を織糸とする、2方向
性織物からなり、かつ、2方向に延びる織糸の最小交角
が20〜45度の範囲にある織物を含むFRP製帽体
と、この内側に配置した衝撃吸収体とを有するヘルメッ
トであって、前記織糸の糸幅が3〜16mm、糸幅/厚
み比が20以上であるものからなる。
【0014】強化繊維糸としては、炭素繊維糸やガラス
繊維糸、ポリアラミド繊維糸等の各種強化繊維糸が使用
できるが、とくに、高弾性率、高強度の炭素繊維糸が好
ましい。そして、扁平な強化繊維糸は、通常、マルチフ
ィラメント糸の形態とされる。
【0015】このような扁平な強化繊維糸からなる織物
の織糸には、実質的に撚りがなく、織物の状態で単糸が
互いに並行していることが必要である。ここで「実質的
に撚りがない」とは、糸長1m当たりに1ターン以上の
撚りがない状態をいう。つまり、現実的に無撚の状態を
いう。織物の状態で実質的に撚りがないことが必要であ
る。そのためには、無撚の扁平な強化繊維糸のボビンを
横取り解舒させ、解舒撚りが入らないようにたて糸およ
びよこ糸供給を行って織物にする。
【0016】織糸に撚りがあると、その撚りがある部分
で糸幅が狭く収束して分厚くなり、製織された織物の表
面に凹凸が発生する。このため、製織された織物は、外
力が作用した際にその撚り部分に応力が集中し、FRP
等に成形した場合に強度特性が不均一となってしまう。
【0017】扁平な強化繊維糸単糸の糸幅は3〜16m
mの範囲が好ましい。この範囲の糸幅が製織し易く、糸
厚みとの関係から、最適な扁平状態が得やすい。糸幅/
糸厚み比は、20以上が好ましい。20未満では、高い
カバーファクターを得ようとすると、織糸のクリンプを
小さく抑えることが難しくなる。
【0018】このような最適な扁平状態の、実質的に撚
りがない織糸からなる強化繊維織物は、織糸の繊度を大
きくしても、各織糸の交錯部におけるクリンプは極めて
小さく抑えられ、FRPやCFRPにした際に高い強度
特性が得られる。クリンプが小さいので、FRPやCF
RPにした際の表面平滑性が良く、所望のヘルメット用
帽体の表面形態が容易に得られる。また、織糸の繊度を
上げられることから、織糸、ひいては強化繊維織物は、
より安価に製造される。
【0019】また、クリンプが極めて小さく抑えられる
ので、織物目付を高く設定でき、かつ、織糸の扁平状態
を確保した状態にて90%以上の高いカバーファクター
に設定することが可能となる。したがって、FRPにお
いて、繊維含有率を高く設定できるとともに、織糸間の
樹脂リッチな部分を極めて小さく抑えることができ、高
強度でかつ均一な強度特性を有する複合材料が得られ
る。
【0020】さらに、織物の形態で各織糸が扁平な状態
に維持されているから、樹脂の含浸性が極めてよい。し
たがって、一層均一な特性の複合材料が得られ、目標と
する強度特性が容易に得られる。
【0021】ここで、カバーファクターCf(%)と
は、織糸間に形成される空隙部の大きさに関係する要素
で、織物上に面積S1 の領域を設定したとき、面積S1
内において織糸に形成される空隙部の面積をS2 とする
と、次式で定義される値をいう。 カバーファクターCf=[(S1 −S2 )/S1 ]×1
00
【0022】本発明の強化繊維織物は、薄い扁平な強化
繊維糸からなるたて糸やよこ糸を用いている。従って、
目抜け度の小さな、すなわちカバーファクターが大きな
織物となる。このようなカバーファクターの大きな強化
繊維織物を用いてFRPを成形すると、均一な成形品が
得られ、樹脂中にボイドが入ったり、応力が集中するよ
うな繊維分布むらが発生しない。
【0023】なお、上記のような扁平糸自身の作成方法
としては、たとえば、強化繊維糸の製造工程において、
複数の強化繊維からなる繊維束をロール等で所定の幅に
拡げ、扁平な形状にしてそのまま保持するか、あるいは
元に戻らないようにサイジング剤等で形態を保持させれ
ばよい。とくに、扁平形状を良好に保持するためには、
扁平糸に0.1〜1.5重量%程度の小量のサイジング
剤を付着させておくことが好ましい。
【0024】前記扁平な強化繊維糸をたて糸およびよこ
糸とする織物とする場合には、織物目付が100〜40
0g/m2 であることが好ましい。
【0025】また、本発明においては、強化繊維織物
は、前述の如き高いカバーファクターを達成しやすくす
るために、2方向性織物としている。2方向性織物の少
なくとも一方の織糸を、上記扁平な強化繊維糸を複数積
層した形態とすることもできる。このようにすれば、目
付の大きな織物が可能となり、より繊維体積含有率の大
きなFRPの成形が可能となる。
【0026】このように、一方の織糸が、扁平な強化繊
維糸が複数積層されてなる織物とする場合には、織物目
付が200〜600g/m2 であることが好ましい。扁
平な織糸であるため、このように複数積層した状態で織
成しても、クリンプは小さく抑えられる。そして、積層
により織物の繊維密度を高めることができる。
【0027】さらに、補助糸を用いた織物の形態とする
こともできる。補助糸としては、繊度が2,000デニ
ール以下の細い繊維からなる扁平な織糸を使用すること
が好ましく、さらに好ましくは50〜600デニールで
ある。補助糸は、繊度が大きいとクリンプが大きくな
り、また、繊度が小さいと製織や取扱いに際して切断し
易い。この補助糸は、並行する扁平な織糸を一体に保持
することを目的に使用され、炭素繊維やガラス繊維など
の無機繊維、ポリアラミド繊維、ビニロン繊維、ポリエ
ステル繊維などの有機繊維が使用でき、種類に関しては
特に限定はない。
【0028】ここで、織物の繊維密度とは、次式で定義
される値をいう。 織物の繊維密度(g/m3 )=[織物目付(g/
2 )]/[織物厚さ(mm)] なお、織物目付(g/m2 )および織物厚さ(mm)
は、それぞれJIS R7602に準拠して測定した値
である。
【0029】本発明においては、強化繊維織物2方向
性織物とし、2方向に延びる織糸の最小交角20〜4
5度の範囲とする。
【0030】ここで最小交角とは、深絞り成形された状
態で、上記織物中、2方向に延びる強化繊維糸の交差す
る角度が最小になった部分の、両強化繊維糸の交角のこ
とをいう。すなわち、深絞りによって上記織物の織糸
(2方向に延びる強化繊維糸)には多かれ少なかれ目ず
れが生じ、目ずれによって両織糸の交角が変化する。そ
して、この変化後の交角が最小になった部分の角度を最
小交角という。通常この最小交角は、深絞り領域の縁部
あるいはその近傍に生じる。
【0031】最小交角を20〜45度の範囲とすること
により、目開きがなく、高いカバーファクターが得られ
る。このカバーファクターは、90%以上であることが
好ましく、より好ましくは95%以上である。
【0032】上記のような最小交角を実現するために
は、深絞り成形される織物の各織糸が、深絞り成形の際
剪断方向に動き易く、かつその際にも織糸の望ましい形
態を保って高いカバーファクターを保つ必要がある。通
常の織物では、深絞り成形が困難であるか、深絞り成形
の際に生じる皺を防止するためには切れ目を入れておか
なければならなかったが、上記のように織糸を扁平な強
化繊維糸とすることにより、織糸が剪断方向に動き易く
なり、上記のような最小交角を実現し得る織物を用いる
と、切れ目を入れておく必要がない。
【0033】このような強化繊維織物からなる強化繊維
材が複数層積層され、樹脂が含浸されて所望の機械的特
性を有するFRPに成形される。織物の積層構成として
は特に限定されず、一方向でも交差積層でもよいが、あ
らゆる方向からの外力に対し均一に高い機械的特性を発
揮させるためには、とくに交差積層が好ましい。そし
て、積層された複数の織物を含む場合、互いに隣接する
織物をみたとき、織糸の交差角が25〜65度の範囲に
あることが好ましい。
【0034】織物に使用する強化繊維糸が炭素繊維糸の
場合、使用する炭素繊維扁平糸の特性として、引張弾性
率が高く、破壊歪エネルギーが大きいことが好ましく、
さらに引張強度(引張破断強度)が高いことが好まし
い。引張弾性率としては、20×103 kgf/mm2
以上であることが好ましく、破壊歪エネルギーとして
は、4.0mm・kgf/mm3 以上であることが好ま
しい。このような高破壊歪エネルギーとすることによ
り、成形されるFRPの耐貫通衝撃性が向上し、局部的
な外力に対して強いヘルメット用帽体が得られる。炭素
繊維糸の引張強度としては、450kgf/mm2 以上
であることが好ましく、これによって、成形されるFR
Pの強度が確保される。
【0035】上記において、引張弾性率はJIS−R7
601に準拠して測定されるものである。破壊歪エネル
ギー(w)は、JIS−R7601に準拠して測定され
た引張強度をσ(kgf/mm2 )を、上記引張弾性率
をE(kgf/mm2 )としたとき、式、 w=σ2 /2E で定義されるものである。
【0036】上述のような強化繊維織物からなる強化繊
維材が複数層積層され、深絞り成形された後該強化繊維
材に樹脂が含浸され、あるいはプリプレグの状態で深絞
り成形され、FRPからなるヘルメット用帽体に成形さ
れる。この帽体は、このFRP自身のみから構成されて
もよく、このFRPを用いた構成、例えば、該FRPの
外側や中層にマット層を設けた構造に構成されていても
よい。
【0037】マット層としては、ガラス繊維チョップド
ストランドマットやガラス繊維コンティニュアスストラ
ンドマットを使用できる。とくに帽体の最外層側にマッ
ト層を設ければ、帽体の表面平滑性を向上することがで
きる。
【0038】本発明に係るFRP成形に使用するマトリ
クス樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル
樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノー
ル樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの熱硬化
性樹脂は、織物に含浸された状態ではBステージであ
る。とくに、ヘルメット用帽体には、引張破断伸度が3
〜8%のビニルエステル樹脂が好適である。また、マト
リクス樹脂として、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、
ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエーテルエーテ
ルケトン(PEEK)樹脂、ビスマレイミド樹脂等の熱
可塑性樹脂も使用することができる。
【0039】本発明のヘルメットは、FRP製帽体の内
側に衝撃吸収体を有している。この衝撃吸収体は、衝撃
力を適切に吸収し人体頭部を適切に保護できる材質、た
とえば発泡スチロールや弾力性を有するゴム、スポンジ
等から構成され、衝撃吸収ライナとして帽体の内側に装
着される。また、衝撃吸収ライナを使用せず、ハンモッ
ク、ヘッドバンド、環ひも等の装着体で衝撃を吸収する
構成であってもよい。
【0040】また、この衝撃吸収ライナの内側には、ハ
ンモック、ヘッドバンド、環ひも、さらにはあごひも等
装着体が配置される。これら装着体は、ヘルメットの用
途に応じて、適当な形状に設計できる。また、これらの
材質も、用途に応じて適当に選定できる。
【0041】さらに、本発明のヘルメットにおいては、
FRP製帽体の少なくとも外表面が塗装仕上げされてい
ることが好ましい。また、FRP製帽体の少なくとも外
表面にゲルコート層が設けられることが好ましい。
【0042】本発明に係るヘルメットにおいては、その
FRP帽体に用いられる強化繊維織物を特定の扁平糸織
物としたので、軽量化は勿論のこと、表面平滑性に優
れ、かつ、強度や耐貫通衝撃性の機械的特性に優れたヘ
ルメットを実現できる。また、切れ目を設けることなく
容易に深絞り成形できるようになり、かつ、あらゆる方
向に対して所望の機械的特性を容易に達成できる。
【0043】
【実施例】以下に、本発明に係るヘルメットについて、
図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例に
係るヘルメット全体を示しており、図2〜図4は、該ヘ
ルメットのFRP製帽体を作製する際の、強化繊維織物
の深絞り成形段階での様子を示している。
【0044】図1において、11はヘルメット全体を示
しており、12はFRP製帽体を示している。帽体12
の内側には、衝撃吸収体としての衝撃吸収ライナ13が
配置されている。ライナ13の内側には、ハンモック1
4、ヘッドバンド15、環ひも16からなる装着体が設
けられており、ヘッドバンド15にはあごひも17が接
続されている。
【0045】図2〜図4は、上記帽体12の成形に用い
るプリフォームを示しており、図2は、プリフォーム1
の一部を破断した概略斜視図、図3は、図2におけるプ
リフォーム1の繊維基材の端部を図の一点鎖線に沿って
除去したプリフォーム2の縦断面図である。図4は図2
のプリフォーム1の平面図である。ここでは、プリフォ
ーム1とともに、深絞り加工後の余分な部分を除去した
プリフォーム2もまた、プリフォームという。
【0046】プリフォーム1、2は、炭素繊維織物3
a、3bとガラス繊維からなるコンティニュアス・スト
ランド・マット4a、4bの4層の強化繊維基材からな
り、プリフォーム1、2の凸部1a、2a(深絞り部)
の外層部から第1層にはコンティニュアス・ストランド
・マット4a、第2層目には炭素繊維織物3a、第3層
目にはコンティニュアス・ストランド・マット4b、第
4層目には炭素繊維織物3bが積層されて、各炭素繊維
織物およびコンティニュアス・ストランド・マットの強
化繊維基材に皺が入ることなく、切れ目がなくて一体に
半球殻状のプリフォーム1、2の全面を覆っている。第
2層目の炭素繊維織物3aは、X1−X1軸、Y1−Y
1軸に対してたて糸およびよこ糸が斜め方向に繊維配向
し、第4層目の炭素繊維織物3bは、X1−X1軸、Y
1−Y1軸と45度位相のずれたX2−X2軸、Y2−
Y2軸に対してたて糸およびよこ糸が斜め方向に繊維配
向している。第2層目と第4層目の2枚の炭素繊維織物
3a、3bによって、機械的特性が疑似等方性になるよ
うになっている。
【0047】炭素繊維織物3a、3bは平組織の織物
で、上記プリフォーム1、2成形前には、そのたて糸お
よびよこ糸は90度の交角をもって製織されているが、
深絞り成形されたプリフォーム1、2にあっては、各織
糸が深絞りによって目ずれし、最小交角θが特定した範
囲内の角度となっている。この最小交角θは、本実施態
様では深絞り領域(プリフォームの凸部1a、2a)の
縁上で発生している。
【0048】なお、上記説明において、2層の炭素繊維
織物を使用したプリフォームについて説明したが、少な
くとも1層の炭素繊維織物を使用し、残りは他の強化繊
維基材であってよい。また、ガラス繊維からなるコンテ
ィニュアス・ストランド・マットと炭素繊維織物の2種
類の強化繊維基材を使用したプリフォームについて説明
したが、勿論、マットを使用せず全てが炭素繊維織物で
あってよいし、積層による繊維配向は好ましくは、上記
に説明したように、炭素繊維織物の繊維配向が疑似等方
性になるようにすればよいが、必ずしも限定するもので
はない。同様に、積層数も上記の4層に限定するもので
はなく、成形品に要求される特性や厚みによって適宜決
めることができる。
【0049】なお、凸部の外層部から第1層目をガラス
繊維やビニロン繊維などからなるマット層にすると、成
形品の塗装の際、炭素繊維の黒色を簡単に見えないよう
にすることができて、種々のカラーを有する成形品が得
られ、また、FRP表面の平滑性もよくなり、商品価値
の高い成形品が得られる。
【0050】さて、型に対し、特に炭素繊維織物がフィ
ットする状況をよく観察すると、炭素繊維は引張弾性率
が大きいのでほとんど伸びず、シート状の炭素繊維織物
を半球殻状の形状に深絞り変形させると、型に対してた
て糸(0度)およびよこ糸(90度)が繊維配向してい
る部分は引張られ、斜め方向(±45度)に繊維配向し
ている部分は織糸の交差角が小さくなるように目ずれ変
形して織物が型にフィットした。プリフォームにおいて
織糸の交差角が元の90度の箇所は存在するが、交差角
が目ずれにより種々に変化しており、絞り度合いの高い
プリフォームほど織糸の交差角が小さくなっていた。ま
た、鋭意検討の結果、炭素繊維織物の織物を構成する2
方向の炭素繊維の、プリフォームにおける最小交角が2
0〜45度であれば、通常の深絞りCFRP成形品、つ
まりヘルメット用帽体のプリフォームは織物に切れ目を
入れずとも作製することが可能であることがわかった。
【0051】すなわち、プリフォームにおける最小交角
が45度以上であれば、これら深絞り成形品のためのプ
リフォームは、織物に皺が入ったプリフォームとなる
し、また、皺の入らないプリフォームが入らないように
するには織物の切れ目を入れることが必要となる。ま
た、最小交角が20度以下になると、この部分のたて糸
とよこ糸の交錯度合いがきつくなり、FRPに成形した
とき、樹脂含浸性が悪くなったり、また織糸の屈曲、す
なわち、クリンプが大きくなり、応力集中により強度低
下するという問題がある。
【0052】また、皺を入れず、また切れ目を入れずに
一体に半球殻状のプリフォームの全面を覆うには、糸間
の隙間が大きく織糸によって形成される空隙の大きなメ
ッシュ状の炭素繊維織物を使用すれば可能である。この
場合、斜め方向に繊維配向している部分は、目ずれ変形
して織糸の交差角が小さくなり、糸間隔も小さくなり、
この部分の炭素繊維織物の織糸によって形成される空隙
が小さくなる、すなわち、カバーファクターが大きくな
るが、型に対してたて糸およびよこ糸が繊維配向してい
る部分は、型に沿わせてもあまり目ずれ変形しないの
で、織糸によって形成される空隙は元のメッシュ状の炭
素繊維織物の状態と変わらず大きい。すなわち、カバー
ファクターが小さい。
【0053】ところが本発明においては、前述のような
扁平で実質的に撚りがない強化繊維マルチフィラメント
糸を織糸とする織物を用いることにより、メッシュ織物
を使用することなく、高いカバーファクターが実現され
る。
【0054】プリフォームにおける炭素繊維織物のカバ
ーファクターは、前述の如く、90%以上であることが
好ましい。炭素繊維織物のカバーファクターの小さなプ
リフォームを成形すると、FRP成形品の表面が凸凹し
たり、織糸によって形成される空隙部に樹脂が偏在して
樹脂過多部となり、この部分にクラックが発生し、また
ボイドが集中し、FRPの強度を低下させる。また、部
分的にみてこの部分には炭素繊維が存在しないので、局
部的に極めて強度の低い部分が存在することになる。
【0055】前記のプリフォーム1、2に用いる炭素繊
維織物においては、扁平な炭素繊維マルチフィラメント
糸からなるたて糸とよこ糸は、非常に粗い密度で製織さ
れており、さらに織糸のクリンプが小さいので、織糸を
目ずれさせやすい。すなわち、前記炭素繊維織物を目ず
れ変形させた場合、たて糸またはよこ糸の糸間隔を詰め
る余裕が十分にあるので、扁平糸の糸幅を挟めつつ糸間
隔を小さくさせながら皺を発生させることなく大きく変
形させることができるのである。つまり、たて糸とよこ
糸の交角を小さくすることができ、炭素繊維織物に皺が
入ることがなく、切れ目がなくて一体に半球殻状のプリ
フォームの全面を覆うことができ、物性が高くて、ばら
つきの少ない深絞りFRP成形品が得られる。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のヘルメッ
トによれば、帽体を特定の扁平糸織物を含むFRPから
構成したので、良好な深絞り成形性を示し、軽量化、高
強度化は勿論のこと、優れた耐貫通衝撃性等を有するヘ
ルメットを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るヘルメットの縦断面図
である。
【図2】図1のヘルメットにおける帽体成形用プリフォ
ームの斜視図である。
【図3】図2のプリフォームの周縁部を切断除去したプ
リフォームの縦断面図である。
【図4】図2のプリフォームの概略平面図である。
【符号の説明】
1、2 帽体成形用プリフォーム 1a、2a 凸部(深絞り部) 3a、3b 強化繊維織物(炭素繊維織物) 4a、4b マット 5 深絞り中心 6、7 固定部 11 ヘルメット 12 帽体 13 衝撃吸収体 14 ハンモック 15 ヘッドバンド 16 環ひも 17 あごひも θ 最小交角
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−321010(JP,A) 特開 平6−136632(JP,A) 特開 平1−58599(JP,A) 実開 平7−24936(JP,U) 実公 平5−39876(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A42B 3/06 B29C 70/06 B29C 70/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 扁平な強化繊維糸を織糸とする、2方向
    性織物からなり、かつ、2方向に延びる織糸の最小交角
    が20〜45度の範囲にある織物を含むFRP製帽体
    と、この内側に配置した衝撃吸収体とを有するヘルメッ
    トであって、前記織糸の糸幅が3〜16mmの範囲にあ
    り、糸幅/厚み比が20以上であるヘルメット。
  2. 【請求項2】 前記織物のカバーファクターが90%以
    上である、請求項1のヘルメット。
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