JP3011022U - 水耕栽培装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本考案は、共同住宅のベランダのような比較的
狭い場所で水耕栽培を行うため従来の水耕栽培装置の欠
点を除去し装置を単純化して、コンパクトで場所を取ら
ず、効率的で経済的な水耕栽培装置を提供するすること
を目的とする。 【構成】栽培対象の植物の苗１を支承する支持部材２を
蓋として構成される箱状の栽培槽３において、仕切材４
を用いて栽培槽３の内部を水平的に複数の空間に仕切
り、この仕切材４の一方の端に開口部５を設け、他の端
にその全長が栽培槽３の全体の深さよりやや短く、長さ
の中間の一カ所または複数カ所に細い孔６をあけたたて
管７を垂直方向に貫通して固定し、たて管７の下端の内
側に空気ポンプ８と送気ホース９で連結された散気管１
０を配設した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、植物を栽培するにあたって、植物が必要とする養分と酸素を含んで 循環する養液の流れの中に根が浸るように植物を植えて栽培する水耕栽培装置に 関する

【０００２】

【従来の技術】

従来の水耕栽培装置は一般に、特開平成４ー１１７２２５に示されているよう に、養液槽と栽培槽を別個に設け、その間に揚液ポンプを介在させてそれらを管 で連結し、養液槽中の養液をこの揚液ポンプで栽培槽に送り、栽培植物に水分や 養分を供給するように構成されていた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

このような従来の水耕栽培装置では、養液槽と栽培槽と２つの槽を必要とし、 また揚液ポンプとこれに伴う配管を必要として、このための空間と費用を必要と した。

【０００４】 本考案は、共同住宅のベランダのような比較的狭い場所で水耕栽培を行うため 従来の水耕栽培装置の欠点を除去し装置を単純化して、コンパクトで場所を取ら ず、効率的で経済的な水耕栽培装置を提供するすることを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

この目的を達成するため、本考案は栽培対象の植物または苗を支承する支持材 ２を蓋として構成される箱状の栽培槽３において、仕切材４を用いて栽培槽３の 内部を水平的に複数の空間に仕切り、この仕切材４の一方の端に開口部５を設け 、別の端に全長が栽培槽３の全体の深さよりやや短く、長さの中間の一カ所また は複数カ所に孔６を開けたたて管７を垂直方向に貫通して固定し、たて管７の下 端の内側に空気ポンプ８と送気ホース９で連結された散気管１０を配設する

【０００６】

【作用】

本考案の水耕栽培装置において、栽培槽３に養液を満たして、空気ポンプ８を 作動させると、散気管１０から気泡が噴出し、これと共に養液がたて管７を上昇 して、仕切材４によって仕切られた栽培槽２の上の部分に流出し、仕切板４の他 の端の開口部５から栽培槽３の下の部分を流れてたて管７の下端部に達し、たて 管の内側の散気管１０から噴出する気泡と共に、再びたて管７を通つて栽培槽２ へと循環する。すなわち、気泡との接触によって溶存酸素量が高められた養液は 、空気ポンプ８が作動を続ける間、仕切材４で仕切られた栽培槽２全体を継続的 に循環する。

【０００７】 また栽培槽中の養液の水位は、植物が養液を吸収するにしたがって下降し、水 面からの管７が長く突き出て、たて管の先端から養液が噴出しなくなって、養液 の循環が阻害される。この場合本考案の装置では、たて管７の中間に開けられた 孔６から養液が流出するので、養液の循環が維持される。養液の水位が十分高い 場合、すなわち水面からたて管７が長く突出しない場合は、養液は気泡の上昇作 用でたて管の先端から噴出し、たて管７の中間の孔６から養液が流出することは ない。

【０００８】 この水耕栽培装置を用いて植物を栽培する場合は、まづ栽培槽３の上面の支持 材２に開けられた植え込み孔１１に、茎をスポンジ１２で巻いた植物の苗１を根 の方から挿入する。根は、養分と酸素多く含んだ養液の流れに沿って成長し、仕 切材の開口部５を経て栽培槽３の上の部分から下の部分にまで伸張する。一般に 水耕栽培の場合は土耕栽培の場合に比べて植物は少ない根で養分を十分吸収する ことができ、例えば４月から１０月までを栽培期間とするトマトなどの果菜の場 合、根の長さは４０ー５０ｃｍあれば十分なので，長さ５０ｃｍ程度の栽培槽を 上下２層に仕切ることによって、左右２株の果菜を十分栽培することができる。

【実施例】

【０００９】 図４に示した実施例では、栽培槽３の空間を２層に仕切るために、栽培槽３の 側壁を傾斜面とし、仕切材４の外郭の寸法形状を栽培槽３の一定の高さの水平断 面の形状寸法と一致させ、この仕切材４を栽培槽３の中に落としこんで、栽培槽 ３の所定の位置に固定してある。従って栽培槽３はこの高さで仕切材４によって 上下に仕切られている。この場合、仕切材の周縁部に弾力性のある材料で作られ たパッキングを装着することによって、仕切材の水密性を増すことができる。

【００１０】 仕切材４の端部にたて管７を垂直に貫通させて固定し、たて管７の下端部の内 側に空気ポンプ８と送気ホース９で連結された散気管１０を配置してある。

【００１１】 図５に示すように、植物の吸水によって液面が降下して、たて管の上端部の水 面に現れる長さが約４ｃｍ以上になると、たて管７の上部からの液の噴出がなく なり、養液の循環が阻害されるが、本考案の装置ではこの場合、養液がたて管７ の中間に開けられた孔６から流出するので、養液の循環が維持される。養液の量 が十分で水位が高い間は、養液はたて管７の上端から噴出し、養液がたて管７の 中間に設けた孔６から流出することはない。

【００１２】 栽培槽３の中の養液は、栽培植物の吸収によって減少する。例えばトマトの場 合、平均して１株１日約１リットル吸水するので、栽培槽３に２株植えるものと すると、栽培槽の上層部分の容積が約１５リットル以上あれば、養液の補給は週 に１回の割合でよい。植物によって吸収される養分の割合が異なり、養液に含ま れる養分のバランスが次第にくずれる傾向があるので、月に１回は栽培槽に残っ た養液を捨ててから、新しい養液を補充することが推奨される。

【００１３】

【考案の効果】

以上に説明したように、本考案の水耕栽培装置は、栽培槽２を仕切材４によっ て水平的に仕切り、仕切材を貫通するたて管７の下端部からに気泡を噴出させ、 その上昇作用によって養液を水流として栽培槽全体に循環させるので、養液槽や ポンプが不要で、装置全体の寸法が小さくてすみ、共同住宅のベランダのような 比較的狭い場所で水耕栽培を行うのに適している。

【００１４】 また、栽培槽３の占める空間に比較して、養液の栽培槽中の流路を長くとるこ とができ、噴出する気泡によって溶存酸素量が多くなった養液の流れに浸る植物 の苗の根は、流路に沿って十分長く伸張して、養分と酸素を十分に吸収すること ができる。従って植物は良く成育し、とくに養分を多く必要とする野菜の場合は 、限られた面積で多くの収穫を擧げることができる。

【００１５】 また、たて管７の中間の一カ所または複数カ所に孔６が開けられているので、 栽培槽中の養液の水位が降下した場合もこの孔６から養液が流出するので、養液 の循環を維持することができ、植物の栽培に支障を来す事がない。

【００１６】 また、一般に普及されていて低価格で入手することができる小型の空気ポンプ を用い、気泡によるエアリフト作用を利用して養液を循環させるようにしたので 、揚液ポンプやこれを養液槽や栽培槽に連結する配管を用いる従来の水耕栽培装 置に比較して、経済的な水耕栽培装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例の構成を示す略図である。

【図１】栽培装置全体の斜視図

【図２】栽培装置の断面図

【図３】たて管７を貫通固定した仕切材の斜視図。

【図４】たて管７に開けられた孔６と養液の水位の関係
を説明する部分断面図

【符号の説明】

１ 植物の苗 ２ 支持材 ３ 栽培槽 ４ 仕切材 ５ 開口部 ６ 孔 ７ たて管 ８ 空気ポンプ ９ 送気ホース １０ 散気管 １１ 植え込み孔 １２ スポンジ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】栽培対象の植物の苗１を支承する支持材２
   を蓋として構成される箱状の栽培槽３において、仕切材
   ４を用いて栽培槽３の内部を水平的に複数の空間に仕切
   り、この仕切材４の一方の端に開口部５を設け、他の端
   に全長が栽培槽３の全体の深さよりやや短く、長さの中
   間の一カ所または複数カ所に孔６を開けたたて管７を垂
   直方向に貫通して固定し、たて管７の下端の内側に、空
   気ポンプ８と送気ホース９で連結された散気管１０を配
   設したことを特徴とする水耕栽培装置。