JP3010348B2 - センサ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、熱的変化に強い防
水気密性に優れたセンサ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】車両に設けられた車輪の回転速度を検出
する回転センサは、一般に、ブラケットを介してタイヤ
ハウス内のような過酷な条件にさらされる車体の一部に
装着される。例えば、図２の断面図に示すように、回転
センサは、炭素鋼（Ｓ４５Ｃ）により形成されたケース
１と、ケース１内に配置されたボビン２と、ボビン２の
中心孔２ａ内に配置された磁気コア３と、磁気コア３の
前部でケース１内に配置される永久磁石４と、ボビン２
の外周に巻かれたコイル５と、コイル５に接続され且つ
ケース１の外部に導出される出力リード線６、７と、ボ
ビン２の周囲でケース１内に充填されるエポキシ樹脂等
の保護樹脂８とを備えている。ボビン２、磁気コア３、
永久磁石４及びコイル５はセンサ部品を構成する。出力
リード線６、７の内端には防振用及び熱吸収用のチュー
ブ９が被嵌される。ケース１内に保護樹脂８をモールド
して、ボビン２が保護されると共に、出力リード線６、
７が固定される。このように構成される回転センサは、
車両のタイヤハウス内に配置され、耐湿性、防水性、耐
熱性、耐振動性等の物理的特性が要求される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】これらの要求を満たす
ため、図３及び図４に示すように、ケース１の内面にコ
字状断面又はＶ字状断面の溝１０を形成して、ケース１
の内面と保護樹脂８との密着性の改善を図っている。し
かしながら、環境の苛酷な温度変化に伴い、ケース１と
保護樹脂８との線膨張係数の違い及び振動により図５及
び図６に示すように、コ字状断面又はＶ字状断面の溝１
０に沿ってクラック１１が発生するため、水又は塩水等
の異物がクラック１１に沿って侵入し、回転センサの内
部を腐食劣化させると共に、電気的絶縁が不十分となる
問題があった。

【０００４】本発明の目的は、温度変化に強い防水気密
性に優れたセンサ装置を提供することにある。

【０００５】

【課題を達成するための手段】本発明によるセンサ装置
は、開口部を有するケースにセンサ部品を内蔵し、前記
ケース内部を保護樹脂でモールドしたセンサ装置におい
て、前記ケースの開口部付近の前記ケースの内面に円形
断面の環状溝又は円形断面の環状凸部を複数個形成し、
該溝又は凸部と前記保護樹脂とを接触させる。ケースの
内面に円形断面の環状溝又は円形断面の環状凸部を複数
個形成し、該溝又は凸部と前記保護樹脂とを接触させ
る。ケースの内面に形成される環状溝又は環状凸部を円
形断面に形成すると、外部とセンサ部品との沿面距離が
増大し、密着性が改善され且つ熱応力が分散されるの
で、ケースに隣接する保護樹脂でのクラックの発生を防
止することができる。

【０００６】本発明の実施の形態では、前記環状溝又は
環状凸部の半径は前記ケースの厚さの半分以下である。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明によるセンサ装置の
実施の形態を図１について説明する。図１では図２〜図
６に示す箇所と同一の部分には同一の符号を付し、説明
を省略する。

【０００８】図１に示すように、ケース１の開口部１ａ
付近のケース１の内面に円形断面の環状溝１３を複数個
形成し、環状溝１３と保護樹脂８とを接触させる。ケー
ス１の内面に形成される環状溝１３を円形に形成する
と、外部とセンサ部品との沿面距離が増大し、密着性が
改善され且つ熱応力が分散されるので、ケース１に隣接
する保護樹脂８でのクラック１２の発生を防止すること
ができる。環状溝１３の半径は、ケース１の機械的強度
の面からケース１の厚さの半分以下である。

【０００９】本発明の前記実施の形態は変更が可能であ
る。例えば、円形断面の環状溝１３の代わりに、円形断
面の環状凸部を複数個ケース１の内面に形成し、凸部と
保護樹脂８とを接触させてもよい。但し、環状凸部の半
径はケース１の厚さの半分以下である。また、複数の環
状溝のうち一部を円形断面としてもよい。

【００１０】

【発明の効果】前記のように、本発明によるセンサ装置
では、ケースに隣接する保護樹脂でのクラックの発生を
防止できるので、温度変化に強いセンサ装置の防水気密
性が得られ、異物の侵入を防止すると共に、電気的絶縁
不良の発生を防止し、センサ装置の寿命を延長すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明によるセンサ装置の部分断面図

【図２】 従来のセンサ装置の断面図

【図３】 ケースの内面にコ字状断面の溝を形成したセ
ンサ装置の部分断面図

【図４】 ケースの内面にＶ字状断面の溝を形成したセ
ンサ装置の部分断面図

【図５】 コ字状断面の溝に隣接して発生するクラック
を示す部分断面図

【図６】 Ｖ字状断面の溝に隣接して発生するクラック
を示す部分断面図

【符号の説明】

１・・ケース、 ２・・ボビン、 ３・・磁気コア、
４・・永久磁石、 ５・・コイル、 ６、７・・出力リ
ード線、 ８・・保護樹脂、 ９・・チューブ、 １０
・・溝、 １１、１２・・クラック、 １３・・環状
溝、

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 開口部を有するケースにセンサ部品を内
   蔵し、前記ケースの内部を保護樹脂でモールドしたセン
   サ装置において、 前記ケースの開口部付近の前記ケースの内面に円形断面
   の環状溝又は円形断面の環状凸部を複数個形成し、 該溝又は凸部と前記保護樹脂とを接触させたことを特徴
   とするセンサ装置。
2. 【請求項２】 前記環状溝又は環状凸部の半径は前記ケ
   ースの厚さの半分以下である請求項１に記載のセンサ装
   置。