JP3005741U - 高硬度材用ハンドタップ - Google Patents

高硬度材用ハンドタップ

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JP3005741U JP1994007656U JP765694U JP3005741U JP 3005741 U JP3005741 U JP 3005741U JP 1994007656 U JP1994007656 U JP 1994007656U JP 765694 U JP765694 U JP 765694U JP 3005741 U JP3005741 U JP 3005741U
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和美 加藤
亜雄 林
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 引張強さが1750MPa程度以上の高硬度
被削材に対しても高能率加工が可能で且つ長寿命が得ら
れるねじの呼び直径が3〜12mmの高硬度材用ハンド
タップを提供する。 【構成】 母材を超微粒子超硬合金にて構成するととも
に表面をチタニウム炭窒化物22で被覆する一方、直溝
16の溝数(刃数)をJISの規定と同じかそれ以上と
し、溝底径Dfを外径の略48〜65%の範囲内とし、
複数のランド18の幅の中心角(刃厚角)γの総和Σγ
を略125〜150°の範囲内とし、切れ刃20のすく
い角αを略−15〜−8°の範囲内とした。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案はめねじを切削加工するハンドタップに係り、特に、引張強さが175 0MPa程度以上の高硬度被削材に対しても高能率加工が可能で且つ長寿命が得 られる高硬度材用ハンドタップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
めねじを切削加工するためにハンドタップが広く用いられているが、このよう なハンドタップの基本構造はJISによりめねじの寸法に応じて細かく規定され ており、例えばJIS B4430には「メートル並目ねじ用等径ハンドタップ 」について定められている。かかるJISの規定によれば、ハンドタップの材質 は、合金工具鋼SKS2若しくは高速度工具鋼SKH9、または使用上これらと 同等以上の性能をもつものと規定されている。また、特開昭61−244412 号公報には、チタニウム窒化物の被覆を施した直みぞタップ等であって、ねじ部 の刃の少なくとも一部の弦フック角(すくい角に相当)が−9〜−1°の範囲内 とされた3みぞ仕様のものが記載されている。図3は上記JISの規定による通 常のハンドタップの一例のねじ部断面図で3みぞのものであり、図4は上記公報 に記載のハンドタップのねじ部断面図で表面がチタニウム窒化物40で被覆され ている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、前記JISの規定による通常のハンドタップでは、引張強さが 1480MPa程度の被削材が限界で、例えば合金工具鋼SKD61など引張強 さが1750MPa程度以上の高硬度被削材に対しては、タップ本体の折損や切 れ刃の欠損,チッピング,早期摩耗などの不具合が生じてねじ立て加工を行うこ とができない。チタニウム窒化物を被覆したハンドタップの場合、耐摩耗性が向 上するため通常の硬度の被削材に対しては優れた工具寿命が得られるようになる が、引張強さが1750MPa程度以上の高硬度被削材に対しては、やはりタッ プ本体の折損や切れ刃の欠損などによりねじ立て加工を行うことはできない。因 みに、高速度工具鋼製ハンドタップの表面にチタニウム窒化物を被覆したものを 用いて、引張強さが1695MPaの合金工具鋼SKD61にM6×1のねじ立 てを試みたところ、切れ刃の異常摩耗によりわずか1穴でねじ立てが不能となっ た。
【0004】 なお、放電加工によれば引張強さが1750MPa程度以上の高硬度被削材に 対してもめねじを加工できるが、加工精度が低いとともに加工時間や経費が多く て非経済的であり、必ずしも実用的でない。
【0005】 本考案は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、 引張強さが1750MPa程度以上の高硬度被削材に対しても高能率加工が可能 で且つ長寿命が得られる高硬度材用ハンドタップを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための第1の手段】 かかる目的を達成するために、第1考案は、谷の径が3〜12mmのめねじを 切削加工するための高硬度材用ハンドタップであって、母材が超微粒子超硬合金 にて構成されているとともにねじ部の表面がチタニウム炭窒化物によって被覆さ れている一方、みぞ数は3以上で、みぞ底の径はねじ部の外径の略48〜65% の範囲内で、刃厚角の総和は略125〜150°の範囲内で、切れ刃のすくい角 は略−15〜−8°の範囲内であることを特徴とする。
【0007】 なお、上記超微粒子超硬合金とは、例えば特公昭63−4618号公報等にて 提案されている超硬合金であって、それまでにない組成を持ったものである。す なわち、WC硬質相の原料粉末として粒径1μm以下のものを用い、且つ結合金 属の粒径が1000Å以下の超微粒を用いた高Co からなる超硬合金で、これに より同じ硬さの従来技術による超硬合金と比べて高い強度(靱性)が得られ、タ ップ加工のような低い切削速度においても優れた特性を有すことができる。
【0008】
【作用】
このような高硬度材用ハンドタップにおいては、母材が超微粒子超硬合金であ るため基本的に高強度,高剛性が得られるとともに、切削加工を行うねじ部の表 面にはチタニウム炭窒化物が被覆されているため、前記チタニウム窒化物の被覆 に比較して引張強さが1750MPa程度以上の高硬度被削材に対しても優れた 耐摩耗性が得られる。また、みぞ数(刃数)は3以上、すなわちJISの規定と 同じかそれ以上で、みぞ数を多くすれば食付き部の1刃当たりの切込み量が小さ くなるため、切削加工時の切れ刃の負担が軽減される。しかし、切りくずの排出 性能を維持しながらみぞ数を多くすると刃厚が狭くなり、切れ刃の負担が軽減さ れるとはいっても欠損などの不具合が生じ易くなるため、みぞ数はJISの規定 より1または2程度増やすのが限度である。
【0009】 みぞ底の径はねじ部の外径(加工すべきめねじの谷の径)の略48〜65%の 範囲内で、通常のハンドタップに比べて大きめであり、強度や剛性が向上して折 損し難くなる。外径に対するみぞ底の径の割合が大きい程強度や剛性は向上する が、この割合が大きくなるに従ってみぞの断面積が小さくなり、切りくずつまり が生じ易くなるため、このような得失を考慮して上記範囲は定められている。ま た、切りくずの大きさ、すなわちねじ山の高さはねじ部の外径に比例せず、ねじ 部の外径が小さくなる程相対的に大きくなり、大きなみぞ断面積を確保する必要 があることから、ねじ部の外径が小さくなる程上記割合を低くすることが望まし い。すなわち、上記48〜65%の範囲は、ねじ部の外径の相違についても考慮 して定められているのであり、外径が大きい場合は上記範囲内の比較的高域部分 で設定することが望ましく、外径が小さい場合は上記範囲内の比較的低域部分で 設定することが望ましいのである。みぞ数すなわち刃数によって切りくずの大き さは変化し、切りくずつまりの発生し易さが変わるため、上記みぞ底の径の設定 に際してはみぞ数についても考慮する必要がある。
【0010】 刃厚角の総和は略125〜150°の範囲内で、この角度が大きい程各刃厚が 広くなって強度や剛性が高くなり、欠損などの不具合が生じ難くなるが、角度が 大きくなるに従ってみぞの断面積が小さくなり、切りくずつまりが生じ易くなる ため、このような得失を考慮して上記角度範囲は定められている。また、みぞ数 が多い程1つの刃厚やみぞ断面積は小さくなるし、切りくずの大きさはねじ部の 外径やみぞ数によって異なるため、そのようなみぞ数やねじ部の外径を考慮して 、切りくずつまりを生じることなく十分な強度や剛性が得られるように上記角度 範囲は定められている。言い換えれば、個々のハンドタップにおける刃厚は、み ぞ数やねじ部の外径を考慮して上記角度範囲内で設定することになるのである。
【0011】 切れ刃のすくい角は略−15〜−8°の範囲内であるため、すくい面と外周逃 げ面とによって構成される切れ刃と直角な断面における刃物角が通常のハンドタ ップに比べて大きめとなり、強度や剛性が向上して刃欠けやチッピングの発生が 抑制される。すくい角が小さい(マイナス側に大きくなる)程刃物角が大きくな って切れ刃の強度や剛性は向上するが、すくい角が小さくなるに従って切削抵抗 が大きくなるため、このような得失を考慮して上記範囲は定められている。また 、このように負のすくい角を採用すると、高硬度被削材の場合の切りくずは剪断 形になって比較的小さく分断されるため、前記みぞ底の径や刃厚を大きくするこ とによってみぞ断面積が小さくなっても切りくずつまりが良好に回避される。
【0012】
【第1考案の効果】 このように、本考案の高硬度材用ハンドタップによれば、加工すべきめねじの 谷の径すなわちねじ部の外径に応じて、みぞ数やみぞ底の径,刃厚,すくい角を 上記所定の範囲内で適当に設定することにより、切りくずつまり等による切削抵 抗の上昇を抑制しながら、母材が超微粒子超硬合金であることと相まって優れた 強度,剛性が得られるようになるとともに、チタニウム炭窒化物の被覆によって 高い耐摩耗性が得られるようになり、引張強さが1750MPa程度以上の高硬 度被削材に対しても高能率加工が可能で、例えば熱処理後にねじ立てを行うこと ができるようになるとともに、実用上十分な工具寿命が得られるようになる。
【0013】
【課題を解決するための第2の手段】 第2考案は、上記第1考案の高硬度材用ハンドタップにおいて、前記みぞ底の 径がねじ部の外径の略50〜62%の範囲内で、前記刃厚角の総和が略127〜 140°の範囲内で、前記切れ刃のすくい角が略−13〜−9°の範囲内である ことを特徴とする。
【0014】
【作用および第2考案の効果】 すなわち、この第2考案の高硬度材用ハンドタップは、第1考案に比較し、み ぞ底の径,刃厚,および切れ刃のすくい角について、切りくずつまり等による切 削抵抗の上昇を抑制しながら更に優れた強度,剛性が得られるように設定範囲を 限定したもので、高硬度被削材に対する加工性能が一層向上する。
【0015】
【課題を解決するための第3の手段】 第3考案は、上記第1考案または第2考案の高硬度材用ハンドタップのうち谷 の径が3〜5.5mmのめねじを切削加工するためのもので、みぞ数を4、みぞ 底の径をねじ部の外径の略50〜52%の範囲内としたことを特徴とする。
【0016】
【作用および第3考案の効果】 この第3考案は、谷の径が3〜5.5mmのめねじを切削加工するための高硬 度材用ハンドタップに関するもので、ねじ部の外径が3〜5.5mmと比較的小 さいため、切りくずの排出性能などを考慮してみぞ数を4、みぞ底の径をねじ部 の外径の略50〜52%の範囲内に限定したのであり、引張強さが1750MP a程度以上の高硬度被削材に対しても高能率加工が可能で且つ実用上十分な工具 寿命が得られる。
【0017】
【課題を解決するための第4の手段】 第4考案は、上記第1考案または第2考案の高硬度材用ハンドタップのうち谷 の径が5.5〜12mmのめねじを切削加工するためのもので、みぞ数を5、み ぞ底の径をねじ部の外径の略56〜62%の範囲内としたことを特徴とする。
【0018】
【作用および第4考案の効果】 この第4考案は、谷の径が5.5〜12mmのめねじを切削加工するための高 硬度材用ハンドタップに関するもので、ねじ部の外径が5.5〜12mmと比較 的大きいため、切りくずの排出性能などを考慮してみぞ数を5、みぞ底の径をね じ部の外径の略56〜62%の範囲内に限定したのであり、引張強さが1750 MPa程度以上の高硬度被削材に対しても高能率加工が可能で且つ実用上十分な 工具寿命が得られる。
【0019】
【実施例】
以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。 図2は、本考案の一実施例である高硬度材用ハンドタップ10(以下、単にハ ンドタップ10という)を軸心と直角な方向から見た正面図で、M6×1すなわ ち谷の径が6mmでピッチが1mmのめねじを切削加工するためのものであり、 シャンク部12およびねじ部14を備えているとともに、ねじ部14には加工す べきめねじに対応する外径が6mmのおねじが設けられている。図1は、ねじ部 14の軸心Oと直角な断面図であるが、ねじ部14には5本の直みぞ16が軸心 と平行に設けられて5つのランド18に分断されており、各ランド18の端部に 切れ刃20が設けられている。このハンドタップ10の母材は、前記WC硬質相 の原料粉末として粒径1μm以下のものを用い、且つ結合金属の粒径が1000 Å以下の超微粒を用いた高Co からなる超微粒子超硬合金で、ねじ部14の表面 はチタニウム炭窒化物22によって被覆されている。チタニウム炭窒化物22は 、例えばCVDやPVDなどによって設けることができる。また、上記直みぞ1 6のみぞ底の径Dfの、ねじ部14の外径Dに対する割合Rd(%)、すなわち (Df/D)×100は略56%で、5つのランド18の幅(刃厚)は等しく、 刃厚角γの総和Σγは略127°で、切れ刃20のすくい角αは−13〜−9° 程度である。なお、図1の破線24はねじの谷底を表している。
【0020】 このようなハンドタップ10においては、母材が超微粒子超硬合金であるため 基本的に高強度,高剛性が得られるとともに、切削加工を行うねじ部14の表面 にはチタニウム炭窒化物22が被覆されているため、チタニウム窒化物の被覆に 比較して引張強さが1750MPa程度以上の高硬度被削材に対しても優れた耐 摩耗性が得られる。また、直みぞ16は5本設けられ、JISの規定である「3 または4」よりも多く、食付き部の1刃当たりの切込み量が小さくなるため、切 削加工時の切れ刃20の負担が3/5〜4/5程度に軽減される。みぞ数が多く なると刃厚が狭くなり、切れ刃20の負担が軽減されるとはいっても欠損などの 不具合が生じ易くなるが、本実施例ではみぞ数が5であるため、欠損などの不具 合を回避しつつ切れ刃20の負担を軽減できる。
【0021】 みぞ底の径の割合Rdは略56%で、JIS等で規定する通常のハンドタップ に比べて大きく、強度や剛性が向上して折損し難くなる。例えばRd=36%の 場合に比べると、(56/36)の2乗に比例して耐折損性は向上する。割合R dが大きい程強度や剛性は向上するが、この割合Rdが大きくなるに従ってみぞ 断面積が小さくなり、切りくずつまりが生じ易くなるとともに、切りくずの大き さはねじ部14の外径すなわち加工すべきめねじの大きさやみぞ数によって異な り、切りくずつまりの発生し易さが相違するため、上記Rd≒56%の数字は、 それ等を総合的に考慮して切りくず排出性を損なうことなく十分な強度,剛性が 得られるように定められている。
【0022】 刃厚角γの総和Σγは略127°でみぞ数に比較して大きく、各刃厚が比較的 広くて高い強度や剛性が得られ、欠損などの不具合が生じ難い。みぞ数が同じで あれば総和Σγが大きくなるに従ってみぞ断面積が小さくなり、切りくずつまり が生じ易くなるが、切りくずの大きさはねじ部14の外径やみぞ数によって異な るため、上記Σγ≒127°の数字は、そのようなみぞ数やねじ部14の外径な どを考慮して切りくずつまりを生じることなく十分な強度や剛性が得られるよう に定められている。
【0023】 切れ刃20のすくい角αは略−13〜−9°程度であるため、すくい面26と 外周逃げ面28とによって構成される切れ刃20と直角な断面における刃物角β が略90°程度かそれ以上となり、通常のハンドタップに比べて大きいため、強 度や剛性が向上して刃欠けやチッピングの発生が抑制される。すくい角αが小さ い(マイナス側に大きくなる)程刃物角βが大きくなって切れ刃20の強度や剛 性は向上するが、すくい角αが小さくなるに従って切削抵抗が大きくなるため、 このような得失を考慮して上記すくい角αは定められている。また、このように すくい角αが負の場合には、高硬度被削材にねじ立てを行った時の切りくずが剪 断形になって比較的小さく分断されるため、前記みぞ底の径Dfや刃厚を大きく することによってみぞ断面積が小さくなっても切りくずつまりが良好に回避され る。
【0024】 したがって、このような本実施例のハンドタップ10によれば、切りくずつま り等による切削抵抗の上昇を抑制しながら優れた強度や剛性、耐摩耗性が得られ るようになり、引張強さが1750MPa程度以上の高硬度被削材に対しても高 能率加工が可能で、例えば熱処理後にねじ立てを行うことができるようになると ともに、実用上十分な工具寿命が得られるようになる。
【0025】 なお、上例ではねじのサイズがM6×1のハンドタップ10について具体的に 説明したが、本考案はねじの呼びが3〜12mmの範囲内の種々のサイズのハン ドタップに適用することが可能で、その幾つかの具体例についてみぞ数およびみ ぞ底の径の割合RdをJISの規格と比較して表1に示す。
【表1】
【0026】 上記表1中、M3〜M5のサイズではみぞ数が4で割合Rdが50〜52%で あり、M6〜M12のサイズではみぞ数が5で割合Rdが56〜62%であるが 、M5〜M6のねじサイズも含めて何れの場合もみぞ数は3以上であれば良く、 割合Rdは略48〜65%の範囲内で、好ましくは略50〜64%、更に好まし くは略50〜62%の範囲内であれば良い。表1中のM6×1における本考案の 具体例は前記実施例のことである。また、表1には示されていないが、本考案の 各具体例における刃厚角γの総和Σγは略125〜150°の範囲内、好ましく は127〜140°の範囲内で設定され、すくい角αは略−15〜−8°の範囲 内、好ましくは−13〜−9°の範囲内で設定される。
【0027】 次に、本考案の効果を更に具体的に明らかにするために、本考案品を用いてね じ立てを行った場合の幾つかの試験結果を説明する。 <試験1> 試験1は、従来技術のハンドタップでは1穴ねじ立てできる程度の被削材に対 する本考案の効果を調べたもので、表2に示す本考案品A,B、従来品A〜Dを 用いて以下の切削条件でねじ立てを行ったところ、表3に示す結果が得られた。 かかる表3の結果から明らかなように、本考案品によれば、引張強さが1760 MPa程度の高硬度被削材に対しても良好にねじ立てを行うことができるととも に、実用上十分な工具寿命が得られる。なお、耐久判定理由の「欠損」は切れ刃 やランドの欠け、「折損」はタップ本体の折れ、「摩耗大」は切れ刃の摩耗やチ ッピングである。 (切削条件) ねじのサイズ:M5×0.8 被削材 :SKD61(引張強さ1760MPa) 下穴形状 :φ4.30〜4.32mm×14mm ねじ立て長さ:7.5mm(1.5D) 切削速度 :1.9m/min(120min-1) 切削油剤 :不水溶性切削油剤(JIS 2種15号) 使用機械 :立型タッピングセンタ
【0028】
【表2】
【表3】
【0029】 <試験2> 試験2は、従来技術による超微粒子超硬合金製ハンドタップの加工限界付近の 被削材硬さにおけるねじ立て試験で、前記表2に示す本考案品A,Bおよび従来 品A,Bを用いて以下の切削条件でねじ立てを行ったところ、表4に示す結果が 得られた。かかる表4の結果から明らかなように、本考案品によれば、硬さが6 0HRC程度の高硬度被削材に対しても良好にねじ立てを行うことができるとと もに、実用上十分な工具寿命が得られる。なお、切削条件は前記<試験1>に比 較して被削材の材質が異なるだけである。 (切削条件) ねじのサイズ:M5×0.8 被削材 :SKD11(硬さ60HRC) 下穴形状 :φ4.30〜4.32mm×14mm ねじ立て長さ:7.5mm(1.5D) 切削速度 :1.9m/min(120min-1) 切削油剤 :不水溶性切削油剤(JIS 2種15号) 使用機械 :立型タッピングセンタ
【0030】
【表4】
【0031】 <試験3> 試験3は、試験2と同じねじ立て試験を異なるねじサイズで行った場合で、表 5に示す本考案品A,Bおよび従来品A,Bを用いて以下の切削条件でねじ立て を行ったところ、表6に示す結果が得られた。かかる表6の結果から明らかなよ うに、本考案品によれば、硬さが60HRC程度の高硬度被削材に対しても良好 にねじ立てを行うことができるとともに、実用上十分な工具寿命が得られる。 (切削条件) ねじのサイズ:M8×1.25 被削材 :SKD11(硬さ60HRC) 下穴形状 :φ6.90〜6.91mm×20mm ねじ立て長さ:12mm(1.5D) 切削速度 :1.8m/min(70min-1) 切削油剤 :不水溶性切削油剤(JIS 2種15号) 使用機械 :立型タッピングセンタ
【0032】
【表5】
【表6】
【0033】 以上、本考案の実施例および試験結果を詳細に説明したが、これ等はあくまで も一具体例で、例えばねじれみぞタップにも本考案は同様に適用され得るし、前 記チタニウム炭窒化物の被覆やすくい角α等の条件は必ずしもねじ部14の全域 で満足している必要はなく、例えば負荷が大きい食付き部だけでも良いなど、本 考案は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することが できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例である図2の高硬度材用ハン
ドタップのねじ部における軸心と直角な断面の一部を拡
大した図である。
【図2】本考案の一実施例である高硬度材用ハンドタッ
プを軸心と直角な方向から見た正面図である。
【図3】従来の通常のハンドタップのねじ部における軸
心と直角な断面図である。
【図4】ねじ部の表面にチタニウム窒化物を被覆した従
来のハンドタップのねじ部における軸心と直角な断面の
一部を拡大した図である。
【符号の説明】
10:高硬度材用ハンドタップ 14:ねじ部 18:ランド 20:切れ刃 22:チタニウム炭窒化物 D:ねじ部の外径 Df:みぞ底の径 α:すくい角 γ:刃厚角

Claims (4)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 谷の径が3〜12mmのめねじを切削加
    工するための高硬度材用ハンドタップであって、 母材が超微粒子超硬合金にて構成されているとともにね
    じ部の表面がチタニウム炭窒化物によって被覆されてい
    る一方、みぞ数は3以上で、みぞ底の径はねじ部の外径
    の略48〜65%の範囲内で、刃厚角の総和は略125
    〜150°の範囲内で、切れ刃のすくい角は略−15〜
    −8°の範囲内であることを特徴とする高硬度材用ハン
    ドタップ。
  2. 【請求項2】 前記みぞ底の径はねじ部の外径の略50
    〜62%の範囲内で、前記刃厚角の総和は略127〜1
    40°の範囲内で、前記切れ刃のすくい角は略−13〜
    −9°の範囲内である請求項1に記載の高硬度材用ハン
    ドタップ。
  3. 【請求項3】 谷の径が3〜5.5mmのめねじを切削
    加工するための高硬度材用ハンドタップであって、みぞ
    数は4、みぞ底の径はねじ部の外径の略50〜52%の
    範囲内である請求項1または2に記載の高硬度材用ハン
    ドタップ。
  4. 【請求項4】 谷の径が5.5〜12mmのめねじを切
    削加工するための高硬度材用ハンドタップであって、み
    ぞ数は5、みぞ底の径はねじ部の外径の略56〜62%
    の範囲内である請求項1または2に記載の高硬度材用ハ
    ンドタップ。
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