JP3002750U - 冷却袋 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 冷剛硬化による弁フラップの密着不良と冷
却剤水溶液の袋内移動による弁フラップの変歪とがもた
らす漏出、滲出を阻止し、適切な低温を長時間維持し、
曲面部に対する形状順応性が高く、小型、軽量で使い勝
手のよい冷却袋を提供する。 【構成】 弁フラップを彎曲ヒートシールによって画
定、形成した逆止弁に１または２の弁口開閉手段を付設
し、これを、区分ヒートシールによる分割によって形成
した小室を有し、１の袋口開閉手段を有することのある
袋体に取着し、該小室に主冷却剤及び副冷却剤を収納す
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、逆止弁及び該逆止弁を取着した密封構造の袋体に冷却剤を封入して 成る冷却袋に関する。

【０００２】

【従来の技術】

逆止弁を取着した合成樹脂薄膜製袋体は気体、液体、固体、ゲル状物を密封状 態に収納、保持するもので、容器として又包装用緩衝材として近年益々注目され ている。この袋体に水に溶解するとき大きな吸熱を伴う硝安、尿素等の冷却剤を 封入したものは、魚介類、食肉等の食品、瓶詰、缶詰等の飲食料を一時的に又貯 蔵、搬送中に冷却するための冷却袋として使用され、特にスポーツ、運動後の筋 肉、血管を調整する所謂アイシング（氷冷）のための用具、冷却パックとして賞 用されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

このような用具は、使用場所での水の便がよい場合には搬送、貯蔵、取扱の点 から小型、軽量であることが第一に要求される。換言すると、このような用具に おいては冷却を開始するための水は当初から冷却剤と共存するのではなく、使用 する現場において調達され、注入されるタイプのものが望まれる。その上アイシ ングを良好、快適に行うためには、（１）限られた量の冷却剤によって低すぎる ことのない適切な低温状態が長時間持続すること、（２）低温冷剛化による逆止 弁の作動不良があっても、及び使用中の患部等への当接力の変化に起因する袋体 内部の圧力変動があっても冷却剤の水溶液が漏出、滲出しないこと、及び（３） 容易に変形して肩等の曲面部に密着、順応するものであることの３点が要求され る。本考案は右都合４つの要求を同時に充足するものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案に係る冷却袋は、冷却剤を溶解する水を蛇口、ノズル、水差し等の外部 水源に求めるもので、水は合成樹脂薄膜製袋体の端部に取着した本考案の逆止弁 を通して所定量注入される。水は冷却剤が占有していたスペース及びその近傍の スペースによって十分収容されるので、水や含水ゲル状物を収納した内袋のごと きもののためのスペースを殊更設ける必要はなく、冷却袋はそのぶん小型化し、 軽量化する。

【０００５】 逆止弁は注水に利用されるばかりでなく水又は冷却剤の水溶液を袋体内に密封 するためにも利用される。本考案の逆止弁は、特開平５−１１８４５５号公報図 １に示されるように、重ね合わせた２枚の合成樹脂薄膜に共通して施した第１の 彎曲部と第２の彎曲部とが略Ｔ字形に組み合わさって再帰返戻部を有するものと した彎曲ヒートシールの左右一対を以て弁フラップを画定、形成したものに周知 の、雌雄嵌合子型のチヤック、ファスナーのごとき弁口開閉手段を設けて成るも のである。弁口開閉手段は、逆止弁を形成する合成樹脂薄膜の一方に雌嵌合子を 、他方に雄嵌合子を付設して成るもので、逆止弁が取着される袋体の構成に応じ て弁フラップの上方部に１個又は互いに間隔を置いて２個形成される。弁口開閉 手段は、合成樹脂薄膜と比較して遥に剛性が大きく１個の場合はそれ自体が、２ 個の場合は下段のそれが、冷却剤の水溶液が袋内で激しく移動することによって 惹起する弁フラップが外方へ押し出される傾向（後述）を最小にする。またこの 弁口開閉手段は、１個の場合は袋体の袋口開閉手段と協同して、２個の場合はこ れら同士で、水又は冷却剤の水溶液の漏出、滲出を完全に阻止する。合成樹脂薄 膜としてはポリエチレンフィルムが好適であり、その他これとナイロンとのラミ ネートも使用される。

【０００６】 冷却剤としては硝安、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム等のアンモニウム 塩類、炭酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム等のナトリウム塩類、 尿素等が用いられ、硝安及び尿素は単独で使用して又は併用して好適である。市 販されているこれらの冷却剤は多くは顆粒状であって比表面積が大きく、水に溶 解する速度も大きいので、溶融して楕円体、円柱、アーモンド形等塊状のものに 成形する。冷却剤はこのような塊状のものとすることにより水に対する見掛け上 の溶解速度を低少にし、適当な低温状態を長時間持続させることが出来る。しか して注入する水の温度、必要とする低温の程度如何によっては注水直後の低温状 態が十分でなく、冷却袋としての初期冷却能力が不十分となるので、立ち上がり 時の冷却能力を十分なものとするために市販されている顆粒状の冷却剤を、冷却 剤全使用量の５乃至２５％程度使用する。従って本考案において水に溶解する速 度の小さい塊状のものは主冷却剤、水に溶解する速度の大きい顆粒状のものは副 冷却剤である。なお、これら主、副冷却剤は、必要に応じて周知の増粘剤例えば ポバール、カルボキシメチルセルロース等、及び又は周知の吸水性樹脂例えばポ リアクリル酸塩と共に使用される。これら増粘剤、吸水性樹脂は前記冷却剤水溶 液の漏出、滲出を一層抑制する。

【０００７】 主冷却剤及び副冷却剤を収納する合成樹脂薄膜製袋体は、その一は前記逆止弁 における雌雄嵌合子型のチヤックと同種のチヤックのごとき袋口開閉手段を側方 内側に具備し４側をヒートシールして密閉構造としたものであり、いま一は逆止 弁の挿入部分を残して４側をヒートシールして密閉構造としたものである。前者 においては、逆止弁は袋体から突出、露出しないように袋体内に取着され、袋体 の外形、輪郭は少しも乱されないから、これを積層して包装する場合手間が掛か らず、しかも袋口開閉手段によって逆止弁は大気中の塵埃から、又収納された主 、副冷却剤は湿気から完全に隔離され、きわめて長時間清浄、安定に保持される 。これら二種の袋体の内部はいずれも線状の区分ヒートシール及び必要に応じて 採用される点状の区分ヒートシールによって互いに連通する複数の小室に分割さ れ、各小室は主、副冷却剤及び必要に応じて使用される増粘剤等を受容する。線 状の区分ヒートシールは、袋体の１側に対して略平行して又は斜交するように施 されるもので注水しても厚みは変化しないから、この部分は山または谷となって 折り曲げやすく、袋体は全体として肩、肘、膝頭等曲面に適した形状をとること が出来る。合成樹脂薄膜としては、内部の低温を伝達し外部からの高温を反射す る点でアルミニウム蒸着層を有するポリエチレンフィルム、同シートが好適であ り、その他ポリエチレンフィルム、ポリプロピレン不織布、アルミニウム蒸着層 、同箔等を成分とする適宜のラミネートも使用される。 次に本考案を図示の実施例に基づいて説明する。

【０００８】

【実施例】

実施例１ 図１乃至図３に示されるように、合成樹脂薄膜製袋体は、アルミニウム蒸着層 を外側にして重ね合わせた２枚のポリエチレンフィルム（２０ｃｍ×２３ｃｍ） ３，４の外側４周にヒートシールＳ１（頂部）、ヒートシールＳ２（両側部）及 びヒートシールＳ３（底部）を、内方にヒートシールＳ４及び線状の区分ヒート シールＳ５並びに点状の区分ヒートシールＳ６を有し、上部に袋口開閉手段とし ての雌雄嵌合子型のチヤックＣｐを具備する。区分ヒートシールＳ５及び区分ヒ ートシールＳ６は袋内部を縦横に分割、区分し、通路ｎによって互いに連通する ４つの小室を提供する。ヒートシールＳ４は、ポリエチレンフィルム３，４間に 挿入、配置した逆止弁Ｖを袋体に取着し、これによって小室とチヤックＣｐ側と は遮断される。符号ｈ，ｋ及びｍはそれぞれ吊下げ用孔、切除指示線及び引き裂 き開始箇所を示す。 逆止弁Ｖは、重ね合わせた２枚のポリエチレンフィルム１，２の両側をヒート シールし、第１の彎曲部１１と第２の彎曲部１２とが略Ｔ字状に組み合わさって 再帰返戻部ｒを具備するものとした彎曲ヒートシールを、弁体の中心軸を挟んで 左右一対施してこれらの間を弁フラップｆとし、彎曲ヒートシールの上方に袋体 におけると同様の雌雄嵌合子型のチヤックＣｖを弁口開閉手段として具備するも ので、チヤックＣｖの上方の部分においてヒートシールＳ４によって袋体に取着 される。 主冷却剤は、市販の顆粒状硝安を２０５℃に加熱溶融し、直径５．０ｃｍ、中 心厚２．０ｃｍの楕円体状の塊状物Ｔ１（９０ｇ／個）に成形したものである。 この塊状物Ｔ１は前記４つの小室に１個づつ収納する（なお，簡明のため逆止弁 Ｖを取着した小室における塊状物Ｔ１の図示は省略）。別に市販の顆粒状尿素Ｔ ２６０ｇを副冷却剤として前記４つの小室の中の１室に集中して又は２室に分散 して収納する。

【０００９】 実施例２ 図４及び図５に示されるように、合成樹脂薄膜製袋体は、重ね合わせた２枚の ポリエチレンフィルム（２０ｃｍ×２０ｃｍ）３０，４０の外側４周にヒートシ ールＳ１０（頂部）、ヒートシールＳ２０（両側部）及びヒートシールＳ３０（ 底部）を、内方に線状の区分ヒートシールＳ５０を有する。区分ヒートシールＳ ５０は袋内部を縦に分割、区分し、通路ｎ０によって互いに連通する二つの小室 を提供する。ヒートシールＳ１０はポリエチレンフィルム３０，４０間に挿入、 配置した逆止弁Ｖ０を袋体に取着する。 逆止弁Ｖ０は、重ね合わせた２枚のポリエチレンフィルム１０，２０の両側を ヒートシールし、第１の彎曲部１１０と第２の彎曲部１２０とが略Ｔ字状に組合 わさって再帰返戻部ｒ０を具備するものとした彎曲ヒートシールを、弁体の中心 軸を挟んで左右一対施してこれらの間を弁フラップｆ０とし、彎曲ヒートシール の上方に袋体におけると同様の二つの雌雄嵌合子型のチヤックＣｖ０１（下段） 及びＣｖ０２（上段）を弁口開閉手段として有するもので、チヤックＣｖ０１と チヤックＣｖ０２の間においてヒートシールＳ１０によって袋体に取着される。 主冷却剤は、市販の顆粒状硝安を２１５℃に加熱溶融し、直径２．０ｃｍ、長 さ１５ｃｍの円柱状の塊状物Ｔ１０（９０ｇ／個）に成形したものである。この 塊状物Ｔ１０は前記二つの小室に１個づつ収納する（なお、簡明のため逆止弁Ｖ ０を取着した小室における塊状物Ｔ１０の図示は省略）。別に市販の顆粒状尿素 Ｔ２０６０ｇを副冷却剤として逆止弁を取着した小室に収納する。又袋内には吸 水性樹脂としてポリアクリル酸塩１．５ｇを収納する。

【００１０】

【考案の効果】

彎曲ヒートシールによって画定、形成される弁フラップを有する逆止弁は、本 来きわめて高い流体密性を発揮するものである。しかしながら低温の環境では弁 フラップを形成するポリエチレンフィルム等の冷剛、硬化は不可避であり、この ような逆止弁といえども人、動物等に使用される冷却袋には不向きであった。弁 フラップは、注水時互いに離間して水の流入を許し、注水完了後袋内部に生成す る冷却剤水溶液の液圧によって密着して該水溶液の流出を阻止するものであるが 、注水圧や注水量に過不足があると液圧による密着が遅れたり、低温となった該 水溶液が逆流したりすることによって密着不良のまま冷剛、硬化するからである 。また冷却袋が人、動物の局部に当接して使用されると、押しつけ、握り、掴み 等による外力が加わって該水溶液が袋内で激しく移動し、このため弁フラップは 捩じれ、捲くれ等の変形をして外方へ押し出される傾向を示すからである。そし て一度このような事態が生ずると僅量であっても漏出、滲出は避け難い。 本考案は、弁口開閉手段によって弁フラップが外方へ押し出される傾向を最小 にし、弁フラップの密着不良に起因する冷却剤水溶液の漏出、滲出分を弁口開閉 手段と袋口開閉手段の協同又は二つの弁口開閉手段同士の協同によって袋内に又 は逆止弁内に留保し、水に対する溶解速度を異にする主、副冷却剤の併用によっ て適切な低温を長時間持続し、袋内部を分割、区分するヒートシールによって曲 面部に対する順応、追従性を大きくし、小型、軽量で使い勝手のよい冷却袋を提 供する。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例１の冷却袋の構成を逆止弁の構成と共に
示す説明図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線断面図である。

【図３】図１のＢ−Ｂ線断面図である。

【図４】実施例２の冷却袋の構成を逆止弁の構成と共に
示す説明図である。

【図５】図４のＣ−Ｃ線断面図である。

【符号の説明】

Ｓ１ ヒートシール Ｓ５ 区分ヒートシール Ｃｐ チヤック Ｖ 逆止弁 Ｃｖ チヤック ｆ 弁フラップ Ｔ１ 塊状物 Ｔ２ 顆粒状尿素 Ｖ０ 逆止弁

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】合成樹脂薄膜製密封構造の袋体の複数の小
   室に、塊状に溶融成形した主冷却剤及び顆粒状の副冷却
   剤が収納され、該袋体は袋口開閉手段と逆止弁を具備
   し、該逆止弁は重ね合わせた２枚の合成樹脂薄膜に施し
   た左右一対の彎曲ヒートシールを以て弁フラップを画
   定、形成したものに弁口開閉手段を付設して成り、該左
   右一対の彎曲ヒートシールはそれぞれ第１の彎曲部と第
   ２の彎曲部とが略Ｔ字形に組み合わさって再帰返戻部を
   有するものであり、該複数の小室は該袋体に施した区分
   ヒートシールによる分割によって形成され互いに連通す
   るものである、冷却袋。
2. 【請求項２】逆止弁を取着した合成樹脂薄膜製密封構造
   の袋体の複数の小室に、塊状に溶融成形した主冷却剤及
   び顆粒状の副冷却剤が収納され、該逆止弁は重ね合わせ
   た２枚の合成樹脂薄膜に施した左右一対の彎曲ヒートシ
   ールを以て弁フラップを画定、形成したものに、袋体に
   取着するための間隔を置いて二つの弁口開閉手段を付設
   して成り、該左右一対の彎曲ヒートシールはそれぞれ第
   １の彎曲部と第２の彎曲部とが略Ｔ字形に組み合わさっ
   て再帰返戻部を有するものであり、該複数の小室は該袋
   体に施した区分ヒートシールによる分割によって形成さ
   れ互いに連通するものである、冷却袋。
3. 【請求項３】重ね合わせた２枚の合成樹脂薄膜に施した
   左右一対の彎曲ヒートシールを以て弁フラップを画定、
   形成したものに、袋体に取着するための間隔を置いて二
   つの弁口開閉手段を付設して成り、該左右一対の彎曲ヒ
   ートシールはそれぞれ第１の彎曲部と第２の彎曲部とが
   略Ｔ字形に組み合わさって再帰返戻部を有するものであ
   る、冷却袋用逆止弁。