JP3002708U - 育苗ポット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 底面に複数個の排水孔を設けた熱可塑性樹脂
製射出成形硬質育苗ポットの提供にある。 【構成】 開口部（１）が四隅に丸み（５）をつけたほ
ぼ正方形で、一辺の直線部（６）の長さが対向辺（６）
間の間隔（７）の２分の１以上あり、底面（２）が円形
で複数個の排水孔（４）を有する。 【効果】 形状が安定している。中仕切りのない市販の
トレーに多数個を立てて収納するとき隣接の育苗ポット
と開口部がほぼ正方形の各辺の直線部と直線部または八
角形の長い方の辺と辺で接するので縦横各列それぞれ同
数を極めて容易に整列させて安定した収納をすることが
できる。また、開口部のこの形状により隣接育苗ポット
間の隙間を極めて小さくすることができるから、土入れ
の際苗土のこぼれロスが少なく、特に自動機を用いる土
入れ作業を大幅に効率化することができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は底面に複数個の排水孔を設けた熱可塑性樹脂製射出成形硬質育苗ポッ トに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来野菜、草花等の育苗に用いているポットは主としてポリプロピレン、ポリ エチレン等の熱可塑性樹脂を用いてブロー成形した軟質育苗ポットである。従来 の射出成形ポットで硬質のものでも開口部は円形である。軟質のものでは剛性に 欠けるため単体では安定性が劣り、土入れ作業がやりにくい。このため土入れ作 業や流通に際して用いるトレーは、個々のポットを収納するための仕切り枠が必 要となり、コスト高になる。

【０００３】 また硬質のものでも、従来の開口部が円形のものは市販の中仕切りのない育苗 用トレーに収納するときは隣同志のポットの接触箇所が極めて少ないので、トレ ーの中に縦横に各列同数に整列させることは困難であり、自動機による土入れ作 業に際しては土入れロスが多発して作業能率が大幅に低下するという不都合を生 じる。

【０００４】 また育苗ポットを数個、たとえば６個連接して成形してあるものもあるが、こ のように多数個を一まとめにしてあると、たとえばそのうちのいずれか一個のも のの花又は苗が枯れたからといって他の花又は苗と入れ換えようとしても不可能 で、不便である。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は上記のような欠点を除いて、市販の中仕切りのないトレーに容易に整 然と整列させて、従って同じ大きさのトレーには常に一定数を収納することが容 易であり、自動機による土入れ作業を効率よく実施することができ、また市販の 、大抵は円形の化粧鉢にも、また輸送用トレーにも入れやすい、経済性と実用性 に優れた硬質育苗ポットを提供するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記の課題は本考案により、各請求項に記載の構成により解決される。 即ち開口部より面積の狭い底面に排水孔を設けた、熱可塑性樹脂を用いて射出 成形した硬質育苗ポットであって、開口部を四隅に丸みをつけたほぼ正方形とし 、このほぼ正方形の一辺の直線部の長さを対向辺間の間隔の２分の１以上とし、 底面を円形にし、底面に複数個の排水孔を設けることにより解決される。又この 考案の他の実施例として以下の各態様が考えられるが、いずれの態様についても 本考案の育苗ポットは熱可塑性樹脂を用いて射出成形した硬質育苗ポットであっ て且つ開口部の面積が底面より大きいものである。

【０００７】 他の態様では、開口部が正方形の四隅を面取りした八角形で、八角形の直交に 対向する長さの等しい各四辺が直交に対向する長さの等しい他の各四辺より長く 、底面が円形で複数個の排水孔を有する。

【０００８】 他の態様では、開口部が正方形の四隅を面取りした八角形で、対向する２組の 辺のそれぞれの長さは対向辺間の間隔の２分の一以上であり、底面が円形で複数 個の排水孔を有する。

【０００９】 他の態様では、開口部が正方形の四隅を面取りした八角形で、八角形の直交に 対向する長さの等しい各四辺が直交に対向する長さの等しい他の各四辺より長く 、底面が八角形で複数個の排水孔を有する。

【００１０】 他の態様では、開口部が正方形の四隅を面取りした八角形で、対向する２組の 辺のそれぞれの長さは対向辺間の間隔の２分の一以上であり、底面（２’）が八 角形で複数個の排水孔を有する。

【００１１】 この考案による育苗ポットの構成で開口部が底面より広いということは換言す れば開口部から下方に向かう側壁部は徐徐に細くなるということである。更に換 言すれば縦断面は逆台形であるということである。

【００１２】 以下に添付した図面に図示した実施例につき本考案を説明する。

【００１３】

【実施例】

図１及び図４にこの考案による、開口部１がほぼ正方形で底面２が円形の育苗 ポットの斜視図及び平面図を示す。図示のように底面２には複数個の排水孔４を 設けてある。

【００１４】 開口部１は図１及び図４に明示するようにほぼ正方形であるが、正方形の四隅 を僅かに削って丸み５をつけてある。正方形の一辺の直線部６の長さは対向辺６ 間の間隔７の少なくとも２分の１以上ある。この長さによりこの育苗ポットを一 定個数市販の中仕切りなしのトレーに容易に縦横各列それぞれに同数を安定に整 列させて収納することができる。図３はこの育苗ポットの側面図である。

【００１５】 従来の、開口部が円形の育苗ポットは軟質のものは無論のこと、硬質のもので も図１４に示すように一列中の隣接する育苗ポットの隙間に隣接の列を形成しよ うとする育苗ポットが入り込んで各列同じ個数を整列させることはできない。ま た軟質のものでは隣接の育苗ポット同志が相互に押しつぶし合って変形するので 整列せず、従って一定個数をトレー内に収納するのが困難である。そこで育苗ポ ットを一個一個収納するための中仕切りを設けたトレーを使用することになるが 、このような中仕切りを設けたトレーは非常に高価である。

【００１６】 しかし図１、図２、図４からわかるように本考案により開口部１をほぼ正方形 にするかまたは図６、図８、図１０、図１２からわかるように開口部１’を八角 形（正八角形ではない）にすれば中仕切りのない安価なトレーに同じ列中でも、 隣接列中でも相接する育苗ポットが前記の長さ、即ち隣接する辺６、６’が開口 部の対向辺６、６’間の間隔の半分以上の長さで相接するので図１３に示すよう に整然と相隣接接触して各列同数に収まり、従来の育苗ポットのように不整列に ならず、容易に整然と且つほぼ隙間無く並べられる。こうして同じ大きさのトレ ーには常に容易に同数の育苗ポットを容易且つ素早く整列収納することができる 。また隣接育苗ポットは各開口部１、１’の長い直線の各辺６、６’で相接する ので各育苗ポット間に大きな隙間ができず、土入れするとき従来の育苗ポットの ように隣接ポット間に大きな隙間ができて土がポット外に落ちることなく、土の ロスが生ぜず効率のよい土入れ作業が可能になる。図５及び７はこの育苗ポット の斜視図であり、図９及び図１１は側面図である。

【００１７】 特に自動機を用いて土入れ作業を行う場合にはポット整列の安定化と隙間低減 による作業効率の効果は極めて大きい。 以上のようにこの考案による育苗ポットは収納トレーも中仕切りのない廉価な ものを使用でき、収納に際しても作業が容易簡単であり、その後の土入れ作業も 効率的なので経済性と実用性に優れている。

【００１８】 開口部をほぼ正方形にすると、従来の円形開口部のものと違って育苗ポットの 容量も従来のものと異なるが、それは育苗ポットの高さをいくらか大きくするこ とで相殺できる。

【００１９】 この、従来の育苗ポットの円形の開口部と本考案による角形の開口部との大き さの関係を示したのが図２、図６、図８である。これらの図のうち図２では斜線 部分と黒く塗りつぶした部分とから明らかなように開口部が円形でもほぼ正方形 でも開口面積（容量）は大差がないが、図６と図８は斜線部と空白部との差があ り、そのため育苗ポットの容量に差があるようにみえるが、それは育苗ポットの 高さで調節できる。即ち本考案の、開口部が八角形のものの場合には育苗ポット の高さを従来の、（たとえば３号の）大きさの育苗ポットより幾らか高くして同 容量にする。こうしても収納トレーは従来の市販のものがそのまま使用できる。 というのは本考案の育苗ポットは硬質プラスチック材料で成形されているから、 育苗ポットの上面、即ち開口部がトレー枠の上へ突出しても育苗ポットは変形す ることがなく、育苗ポットを収納したトレーを直接積み重ねることができるから である。

【００２０】 なお、本考案による育苗ポットは開口部の形状が八角形の場合正八角形ではな い。即ち少なくとも直交して対向する４辺は直交して対向する他の４辺より長い 。こうすることにより既に説明したように、トレーに収納するとき隣接の育苗ポ ットとの接触が安定するからである。

【００２１】 ほぼ正方形及び八角形の開口部の場合には上記のような利点があるが、更に底 面が円形の育苗ポットの場合は苗を取り出す際に底部の側壁コーナーに土が残留 することがなくまた市販の化粧鉢に入れやすいという利点がある。

【００２２】

【考案の効果】

上記のようなこの考案による育苗ポットは硬質熱可塑性樹脂を用いて成形して あり形状が安定している。この育苗ポットはほぼ正方形又は八角形であるから、 中仕切りのない市販のトレーに多数個を立てて収納するとき隣接の育苗ポットと 開口部がほぼ正方形の各辺の直線部と直線部または八角形の長い方の辺と辺で接 するので縦横各列それぞれ同数を極めて容易に整列させて安定した収納をするこ とができる。また、開口部のこの形状により隣接育苗ポット間の隙間を極めて小 さくすることができるから、土入れの際苗土のこぼれロスが少なく、特に自動機 を用いる土入れ作業を大幅に効率化することができる。

【００２３】 また、底面が円形または八角形なので、苗の植え替えに際して苗土の取り出し が容易で、市販の円形ポットへの入替えも円形の化粧鉢への収容も極めて容易に 行える。

【００２４】 更に、この育苗ポットは形状が安定しているので市販のトレーに収納してトレ ーを何段にも積み重ねられるから輸送の際トラックには専用棚の取り付けが不要 となり、輸送効率を大幅に改善することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】開口部がほぼ正方形で隅角部に丸みをつけたこ
の考案による育苗ポットの斜視図である。

【図２】図１の育苗ポットの平面図に従来の育苗ポット
の円形の開口部を重ね合わせて示した図である。

【図３】図１の育苗ポットの側面図である。

【図４】図１の育苗ポットの平面図である。

【図５】開口部が八角形で、底面が円形のこの考案によ
る育苗ポットの斜視図である。

【図６】図５の育苗ポットの平面図に従来の育苗ポット
の円形の開口部を重ね合わせて示した図である。

【図７】開口部も底面も八角形のこの考案による育苗ポ
ットの斜視図である。

【図８】図７の育苗ポットの平面図に従来の育苗ポット
の円形の開口部を重ね合わせて示した図である。

【図９】開口部が八角形で、底面が円形のこの考案によ
る育苗ポットの側面図である。

【図１０】図９の育苗ポットの平面図である。

【図１１】開口部も底面も八角形のこの考案による育苗
ポットの側面図である。

【図１２】図１１の育苗ポットの平面図である。

【図１３】トレーに各列同数を収容した育苗ポットの上
面図である。

【図１４】トレーに不揃いに収容された従来の育苗ポッ
トの上面図である。

【符号の説明】

１ 開口部 １’ 開口部 ２ 底面 ２’ 底面 ３ 側壁部 ４ 排水孔 ５ 丸み ６ 開口部の一辺の直線部 ７ 開口部の対向辺間の間隔 ８ 面取り部

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 開口部より面積が狭い底面に排水孔を設
   けた育苗ポットにおいて、開口部（１）が四隅に丸み
   （５）をつけたほぼ正方形で、一辺の直線部（６）の長
   さが対向辺（６）間の間隔（７）の２分の１以上あり、
   底面（２）が円形で複数個の排水孔（４）を有すること
   を特徴とする熱可塑性樹脂製射出成形硬質育苗ポット。
2. 【請求項２】 開口部より面積が狭い底面に排水孔を設
   けた育苗ポットにおいて、開口部（１’）が正方形の四
   隅を面取り（８）した八角形で、八角形の直交に対向す
   る長さの等しい各四辺が直交に対向するそれぞれ長さの
   等しい他の各四辺より長く、底面（２）が円形で複数個
   の排水孔（４）を有することを特徴とする熱可塑性樹脂
   製射出成形硬質育苗ポット。
3. 【請求項３】 開口部より面積が狭い底面に排水孔を設
   けた育苗ポットにおいて、開口部（１’）が正方形の四
   隅を面取り（８）した八角形で、対向する２組の辺のそ
   れぞれの長さは対向辺間の間隔の２分の１以上であり，
   底面（２）が円形で複数個の排水孔（４）を有すること
   を特徴とする熱可塑性樹脂製射出成形硬質育苗ポット。
4. 【請求項４】 開口部より面積が狭い底面に排水孔を設
   けた育苗ポットにおいて、開口部（１’）が正方形の四
   隅を面取り（８）した八角形で、八角形の直交に対向す
   る長さの等しい各四辺が直交に対向するそれぞれ長さの
   等しい他の各四辺より長く、底面（２’）が八角形で複
   数個の排水孔（４）を有することを特徴とする熱可塑性
   樹脂製射出成形硬質育苗ポット。
5. 【請求項５】 開口部より面積が狭い底面に排水孔を設
   けた育苗ポットにおいて、開口部（１’）が正方形の四
   隅を面取り（８）した八角形で、対向する２組の辺のそ
   れぞれの長さは対向辺間の間隔の２分の１以上であり，
   底面（２’）が八角形で複数個の排水孔（４）を有する
   ことを特徴とする熱可塑性樹脂製射出成形硬質育苗ポッ
   ト。