JP3002207B2 - 光情報記録媒体 - Google Patents

光情報記録媒体

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JP3002207B2
JP3002207B2 JP1169229A JP16922989A JP3002207B2 JP 3002207 B2 JP3002207 B2 JP 3002207B2 JP 1169229 A JP1169229 A JP 1169229A JP 16922989 A JP16922989 A JP 16922989A JP 3002207 B2 JP3002207 B2 JP 3002207B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は光情報記録媒体に関する。
[従来の技術] 情報を記録するために照射するレーザ光の波長域の光
を吸収する有機色素からなる記録膜が基板上に設けられ
たヒートモード記録方式の光情報記録媒体が知られてい
る。この光情報記録媒体にレーザ光を照射すると、有機
色素がレーザ光のエネルギーを吸収し、光学的手段によ
つて検出されるピツトが形成される。ピツトには、レー
ザ光のエネルギーを吸収した有機色素が分解または融解
することによつて形成されるものと、レーザ光のエネル
ギーを吸収することによつて有機色素の濃度が変化して
形成されるものとがある。光情報記録媒体に記録された
情報は、記録に用いた波長のレーザ光または記録に用い
たとは異なる波長のレーザ光をトラツキングトラツクに
したがつて走査することにより、ピツトとピツトのない
部分との反射率の差が検出されることによつて読み取ら
れる。
上記の有機色素としてはシアニン色素、フタロシアニ
ン色素、ナフトキノン色素、メロシアニン色素、トリフ
エニルメタン色素などが用いられており、いずれの色素
も吸収のピークが、記録に用いるレーザ光の波長域にな
るように分子設計されている。上記のうち、シアニン色
素は有機溶媒に溶けやすく、スピンコート法により薄膜
を形成することができ、生産性に優れている。
[発明が解決しようとする課題] 上述のように、光情報記録媒体の記録膜に用いる有機
色素は、記録感度を高くするために、その吸収波長のピ
ークが記録に用いるレーザ光の波長域、一般には770〜8
50nmの波長域になるように分子設計されているので、同
じ波長のレーザ光を用いて情報を繰り返し再生した場合
に色素の特性が変化し、再生特性が徐々に低下すること
がある。この問題を解決するために光の吸収が小さくな
るように有機色素の膜厚を小さくする方法が提案されて
いるが、この方法には、有機色素記録膜の反射率が低く
なり、読み取りが困難になること、ピツトとピツトのな
い部分との反射率の差が小さくなり、CNRが低下するこ
となどの問題点が存在する。
シアニン色素にあるメチン鎖の炭素数が大きくなる
と、吸収波長が長波長側にシフトすることが知られてい
る。ヘプタメチン鎖をもつインドレニン系シアニン色素
を塩化メチレンに溶解し、ガラス基板上に100nmの厚さ
で塗布したときの該色素の吸収波長ピークは650〜900nm
の範囲にあり、該色素の吸光度は波長がその範囲にある
光に対して高く、例えば波長780nmの光に対しては1.2〜
2.5である。発振波長780nmを有する半導体レーザによつ
て情報を繰り返し読み取る場合には、色素の特性が変化
して再生特性が変化することがある。ペンタメチン鎖ま
たはトリメチン鎖をもつインドレニン系シアニン色素の
吸収波長ピークは300〜690nmの範囲にあり、これらの色
素は波長が770〜850nmの範囲にある光をほとんど吸収し
ないことから、通常の半導体レーザを用いて情報を記録
することは困難である。
また、シアニン色素がイオン結合を形成するアニオン
としてI を有している場合には、その色素は有機溶媒
に対する溶解性は高いが耐久性に劣る。CO4 を有す
るシアニン色素は耐久性は高いが、プラスチツク基板を
侵さないアルコール系溶媒に対する溶解性が低く、アル
コール系以外の溶媒に溶解して使用する必要がある。こ
の場合、基板にハードコート処理を施して基板の耐溶剤
性を高める必要がある。
本発明の目的は、情報を記録するために用いるレーザ
光を吸収し、かつ情報を繰り返し再生しても特性が変化
しないシアニン色素からなる記録膜を備えた光情報記録
媒体を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明によれば、上記の目的は、下記一般式(I)で
示され、吸収波長ピークが300〜690nmの範囲にあるシア
ニン色素(以下、これを色素(I)と略称する)と、下
記一般式(II)で示され、吸収波長ピークが690〜850nm
の範囲にあるシアニン色素(以下、これを色素(II)と
略称する)とを10対1〜100対1の重量比で含む記録膜
を基板上に備えることを特徴とする光情報記録媒体を提
供することによつて達成される。
一般式(I): [式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2およ
びR3はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子または炭素数1
〜10のアルキル基を表し、X はハロゲン原子、過塩素
酸、ベンゼンスルフオン酸およびトルエンスルフオン酸
からなる群から選ばれる陰イオンを表し、メチル鎖のメ
ソ位にある水素原子は塩素原子またはフエニル基によつ
て置換されていてもよく、nは1または2である。] 一般式(II): [式中、R4は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R5およ
びR6はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子または炭素数1
〜10のアルキル基を表し、R7は水素原子、塩素原子また
はフエニル基を表し、Xはハロゲン原子、過塩素
酸、ベンゼンスルフオン酸およびトリエンスルフオン酸
からなる群から選ばれる陰イオンを表す。] ここで「色素(I)と色素(II)とを含む」とは記録
膜が色素(I)と色素(II)との混合物からなるか、こ
れらと他の色素もしくは化合物との組合せからなること
を意味する。
本発明において用いられる色素(I)は通常の半導体
レーザ光の波長域の光を吸収しないが、アルコール系溶
媒に対する溶解度は高い。色素(II)はアルコール系溶
媒に対する溶解度は低いが、半導体レーザ光の波長域の
光を吸収する。色素(I)と色素(II)とを重量比で1
0:1〜100:1の範囲になるように混合して用いることによ
り、アルコール系溶媒に対する溶解度が高く、かつ半導
体レーザ光の波長域の光を吸収する記録膜が得られる。
混合割合としては20:1〜60:1の範囲が好ましい。
色素(II)の熱分解点が190℃以上であり、かつ色素
(I)の熱分解点以上である場合には、レーザ光を吸収
した色素(II)が発生する熱によつて効率よく、色素
(I)が分解することから、レーザ光の照射によつて均
一な形状のピツトを形成することができる。
色素(I)がイオン結合を形成する陰イオンX
してI またはCO4 を有している場合には、アルコ
ール系溶媒に対する色素の溶解性が特に高い点で好まし
い。また、一般式(I)におけるR1がメチル基、エチル
基またはブチル基であるか、R2またはR3が水素原子また
はメチル基である色素(I)は、同様にアルコール系溶
媒に対する色素の溶解性が特に高い点で好ましい。
色素(II)がイオン結合を形成する陰イオンX
してI またはCO4 を有している場合には、他の陰
イオンを有している場合よりも色素の溶解性が良好であ
る。また一般式(II)におけるR4がメチル基、エチル基
またはブチル基であるか、R5またはR6が水素原子または
メチル基である色素(II)は、他の基または原子を有し
ている場合よりもアルコール系溶媒に対する色素の溶解
性が良好である。
本発明において用いられる色素(I)と色素(II)と
を混合した色素(以下、これを色素(III)と略称す
る)はこれを塩化メチレンに溶解し、ガラス基板上に10
0nmの厚さで塗布した場合に、波長770〜850nmの光に対
して0.1〜0.3の吸光度を示す。この吸光度は従来のヘプ
タメチン鎖をもつインドレニン系シアニン色素(以下、
これを色素(IV)と略称する)の吸光度よりも低い。こ
のことは、色素(III)と色素(IV)とを用いて同じ膜
厚の記録膜を形成し、波長が770〜850nmの範囲にある光
をそれぞれ照射することによつて情報を繰り返し再生す
る場合、色素(III)は色素(IV)よりも特性が変化し
難いことを意味する。また、吸光度が低い色素を用いて
記録膜を形成する場合にはその膜厚を大きくすることが
可能であり、色素(III)は反射率の高い記録膜を与え
ることができる。
色素(I)の代表例として次のものを挙げることがで
きる。
色素(II)の代表例として次のものを挙げることがで
きる。
色素(I)は一般式(III)で示される化合物と一般
式(IV)で示される化合物とを例えば大有機化学含窒素
複素化合物I、第432頁(朝倉書店)に記載された方法
に従つて反応させることによつて製造される。
[式中、R1、R2、R3、Xおよびnは前記のとおりで
ある。] また、色素(II)は一般式(V)で示される化合物と
一般式(VI)で示される化合物とを、例えば前記の文献
に記載された方法に従つて反応させることによつて製造
される。
[式中、R4、R5、R6、R7およびXは前記のとおりで
ある。] 本発明の光情報記録媒体の記録膜は、色素(I)およ
び色素(II)をアルコール系溶媒に溶解し、その溶液を
スピンコート法によつて基板上に塗布し、成膜すること
によつて作製される。アルコール系溶媒としてはメタノ
ール、エタノール、ブタノールなどのアルコールまたは
これらアルコールの2種以上の混合物、これらのアルコ
ールとケトンもしくはハロゲン炭化水素との混合物など
が使用される。アルコール系溶媒の使用量は色素(I)
1gあたり10〜50gの範囲である。色素(I)および色素
(II)を含む記録膜の膜厚は30〜200nmの範囲にあるこ
とが好ましい。基板材料としてはポリカーボネート樹
脂、ポリメタクリル樹脂、ポリオレフイン樹脂、ポリア
ミド樹脂、ポリエステル樹脂などのプラスチツク材料が
好ましい。また、必要に応じて基板の耐溶剤性を高める
ために、光硬化性樹脂などを基板に塗布するアンダーコ
ーテイング処理を施してもよい。
[実施例] 以下、本発明により本発明を具体的に説明するが、本
発明はこれらの実施例によつて何ら限定されるものでは
ない。
実施例1 下記の式 で示される1,1′,3,3,3′,3′−ヘキサメチルインドリ
ドトリカーボシアニンアイオダイド(色素(II−1)、
日本感光色素研究所社製:商品番号NK−125、吸収波長
ピーク:800nm、熱分解点:193℃)5mgと、下記の式 で示される1,1′,3,3,3′,3′−ヘキサメチルインドリ
ドジカーボシアニンアイオダイド(色素(I−7)、日
本感光色素研究所社製:商品番号NK−529、吸収波長ピ
ーク:619nmおよび679nm、熱分解点:190℃)180mgとをエ
タノール5gに溶解し、得られた溶液をポリカーボネート
基板上にスピンコート法により膜厚120nmで塗布し、成
膜することにより光情報記録媒体を作製した。波長780n
mの光に対するこの記録膜の反射率は30%であり、吸光
度は0.20であつた。また記録膜の吸収波長ピークは700n
mであつた。
この光情報記録媒体に発振波長780nm、パワー6mWを有
する半導体レーザを用いて、線速1.4m/sec、記録周波数
196KHzの条件で情報を記録した。記録した情報の再生時
におけるCNRは55dBであり、非常に高かつた。発振波長7
80nm、パワー1mWを有する半導体レーザを用いて、記録
した情報の再生を1万回繰り返したが、記録膜の反射率
およびCNRは変化しなかつた。
実施例2 下記の式 で示される1,1′,3,3,3′,3′−ヘキサメチルインドリ
ドトリカーボシアニンパークロレート(色素II−4)、
日本感光色素研究所社製:商品番号NK−2421、吸収波長
ピーク800nm、熱分解点:253℃)5mgと、1,1′,3,3,3′,
3′−ヘキサメチルインドリドジカーボシアニンアイオ
ダイド(色素(I−7))120mgとをエタノール5gに溶
解し、この溶液をポリカーボネート基板上にスピンコー
ト法により膜厚100nmで塗布し成膜することにより、光
情報記録媒体を作製した。
実施例3 1,1′,3,3,3′,3′−ヘキサメチルインドリドトリカ
ーボシアニンパークロレート(色素(II−4))5mg
と、下記の式 で示される1,1′−ジエチル3,3,3′,3′−テトラメチル
インドリドジカーボシアニンアイオダイド(色素(I−
2)、吸収波長ピーク:619nmおよび679nm、熱分解点:19
5℃)180mgとをエタノール5gに溶解し、この溶液をポリ
カーボネート基板上にスピンコート法により膜厚120nm
で塗布し、成膜することにより、光情報記録媒体を作製
した。
実施例4 1,1′,3,3,3′,3′−ヘキサメチルインドリドトリカ
ーボシアニンパークロレート(色素(II−4))5mg
と、下記の式 で示される1,1′−ジブチル3,3,3′,3′−テトラメチル
インドリドジカーボシアニンパークロレート(色素(I
−12)、吸収波長ピーク:618nmおよび682nm、熱分解点:
250℃)180mgとを塩化メチレン1gとエタノール4gとの混
合溶媒に溶解し、この溶液をポリカーボネート基板上に
スピンコート法により膜厚120nmで塗布し、成膜するこ
とにより、光情報記録媒体を作製した。
実施例5 1,1′,3,3,3′,3′−ヘキサメチルインドリドトリカ
ーボシアニンパークロレート(色素(II−4))5mg
と、下記の式 で示される1,1′−ジブチル3,3,3′,3′,6,6′−ヘキサ
メチルインドリドジカーボシアニンパークロレート(色
素(I−18)、吸収波長ピーク:618nmおよび682nm、熱
分解点:253℃)180mgとを塩化メチレン1gとエタノール4
gとの混合溶媒に溶解し、この溶液をポリカーボネート
基板上にスピンコート法により膜厚120nmで塗布し、成
膜することにより、光情報記録媒体を作製した。
実施例6 1,1′,3,3,3′,3′−ヘキサメチルインドリドトリカ
ーボシアニンパークロレート(色素(II−4))5mg
と、1,1′,3,3,3′,3′−ヘキサメチルインドリドジカ
ーボシアニンアイオダイド(色素(I−7))90mgと、
1,1′−ジエチル3,3,3′,3′−テトラメチルインドリド
ジカーボシアニンアイオダイド(色素(I−2))90mg
とをエタノール5gに溶解し、この溶液をポリカーボネー
ト基板上にスピンコート法により膜厚120nmで塗布し、
成膜することにより、光情報記録媒体の記録膜を作製し
た。
これらの光情報記録媒体が有する記録膜の波長780nm
の光に対する反射率および吸光度を第1表に示す。また
これらの光情報記録媒体に実施例1におけると同じ条件
で記録した情報を再生したときのCNRと1万回再生を繰
り返した後の記録膜の反射率およびCNRの変化とを第1
表に示す。
比較例1 下記の式 で示される1,3,3,1′,3′,3′−ヘキサメチルインドリ
ドトリカーボシアニンアイオダイド(色素(II−1)、
日本感光色素研究所社製、商品番号NK−125)150mgをエ
タノール5gに溶解し、得られた溶液をポリカーボネート
基板上にスピンコート法により膜厚100nmで塗布し光情
報記録媒体を作製した。波長780nmの光に対する記録膜
の反射率は21%であり、吸光度は1.6であつた。実施例
1におけると同じ条件で記録した情報を再生したときの
CNRは高く、55dBであつたが、1万回再生を繰り返すと
記録膜の反射率が10%まで低下した。
比較例2 下記の式 で示される1,3,3,1′,3′,3′−ヘキサメチル−4,5,
4′,5′ジベンゾインドジカーボシアニンパークロレー
ト(日本感光色素研究所社製:商品番号NK−2929)を塩
化メチレンに溶解し、膜厚が130nmになるようにガラス
板上に塗布した場合、波長が780nmの光に対する吸光度
は0.25である。この色素はアルコール系溶媒に対する溶
解性が低く、プラスチツク基板上に色素の薄膜を形成す
ることが困難であつた。
[発明の効果] 本発明によれば、情報を記録するために用いるレーザ
光を吸収し、かつ情報を繰り返し再生しても特性が変化
しないシアニン色素を含む記録膜を備えた光情報記録媒
体が得られる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−85791(JP,A) 特開 昭64−40387(JP,A) 特開 平2−196690(JP,A) 特開 平2−204089(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/26 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I) [式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2およ
    びR3はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子または炭素数1
    〜10のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子、過塩
    素酸、ベンゼンスルフオン酸およびトルエンスルフオン
    酸からなる群から選ばれる陰イオンを表し、メチル鎖の
    メソ位にある水素原子は塩素原子またはフエニル基によ
    つて置換されていてもよく、nは1または2である。] で示され、吸収波長ピークが300〜690nmの範囲にあるシ
    アニン色素と、下記一般式(II) [式中、R4は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R5およ
    びR6はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子または炭素数1
    〜10のアルキル基を表し、R7は水素原子、塩素原子また
    はフエニル基を表し、Xはハロゲン原子、過塩素
    酸、ベンゼンスルフオン酸およびトルエンスルフオン酸
    からなる群から選ばれる陰イオンを表す。] で示され、吸収波長ピークが690〜850nmの範囲にあるシ
    アニン色素とを10対1〜100対1の重量比で含む記録膜
    を基板上に備えることを特徴とする光情報記録媒体。
  2. 【請求項2】一般式(II)で示されるシアニン色素の熱
    分解点が190℃以上であり、かつ一般式(I)で示され
    るシアニン色素の熱分解点以上の温度であることを特徴
    とする請求項1記載の光情報記録媒体。
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