JP2997980B2

JP2997980B2 - 筒内圧センサの診断装置

Info

Publication number: JP2997980B2
Application number: JP31209793A
Authority: JP
Inventors: 渡邊　　悟; 豊神原
Original assignee: 株式会社ユニシアジェックス
Priority date: 1993-12-13
Filing date: 1993-12-13
Publication date: 2000-01-11
Anticipated expiration: 2015-01-11
Also published as: JPH07167745A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は筒内圧センサの診断装置
に関し、詳しくは、点火栓と取付け座面との間に挟み込
まれるリング状の筒内圧センサの機能診断に関する。

【０００２】

【従来の技術】内燃機関の燃焼状態を把握する方法とし
て、シリンダ内での燃焼ガスの圧力を検出する方法があ
り、そのためのセンサとして、実開昭６３−７００４９
号公報に開示されるような筒圧力センサが知られてい
る。前記実開昭６３−７００４９号公報に示される筒圧
力センサは、シリンダヘッドに螺合される点火栓と該点
火栓の取付け座面との間に、リング状の圧力センサを挟
み込んで点火栓と前記圧力センサとを共締めするもので
あり、一般に座金型筒内圧センサと呼ばれている。

【０００３】前記座金型筒内圧センサは、リング状の圧
電素子と電極とを積層したものであり、点火栓の座金と
して締付けられているため、シリンダ内の燃焼圧力が点
火栓に作用すると、その締付け力が増減変化し、これに
より圧電素子の出力が燃焼圧力（筒内圧）に応じて変化
するものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前記筒内圧
センサが所期の圧力検出機能を実現できなくなると、燃
焼状態の検出に誤りを生じることになってしまうため、
筒内圧センサによる筒内圧の検出が正常に行なわれてい
るか否かを診断できる装置の提供が望まれる。特に、前
記座金型筒内圧センサでは、点火栓の締付トルクが筒内
圧とセンサ出力との相関に大きく影響するために、所定
の締付トルクで点火栓と筒内圧センサとを共締めする必
要があるが、点火栓の交換時などに正規の締付トルク以
外で締付けが行なわれてしまう惧れがある。この場合、
所期の出力特性を発揮しない状態のまま、筒内圧センサ
の出力に基づき燃焼状態の検出が行なわれることにな
り、筒内圧センサを用いた燃焼状態検出の信頼性が大き
く低下することになってしまうという問題があった。

【０００５】本発明は上記実情に鑑みなされたものであ
り、点火栓と共締めされる座金型筒内圧センサにおい
て、締付トルクの不良によるセンサの検出機能の不良を
診断できる診断装置を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】そのため本発明にかかる
筒内圧センサの診断装置は、内燃機関のシリンダヘッド
に螺合する点火栓と取付け座面との間に挟み込まれるリ
ング状の筒内圧センサの診断装置であって、図１に示す
ように構成される。図１において、パワースペクトル検
出手段は、筒内圧センサの出力信号から所定の共振周波
数のパワースペクトルを検出する。

【０００７】そして、センサ診断手段は、パワースペク
トル検出手段で検出されたパワースペクトルが所定値を
越えるときに筒内圧センサの検出機能の異常を判定す
る。

【０００８】

【作用】かかる構成によると、筒内圧センサの出力から
所定の共振周波数のパワースペクトルが検出されるが、
この共振周波数のパワースペクトルは、正規の締付トル
クに対して実際の締付トルクが小さくなると増大する傾
向を示す。このため、検出されたパワースペクトルと正
規の締付トルク（許容締付トルクの下限）に対応する所
定値とを比較することによって、点火栓が所期の締付ト
ルクでシリンダヘッドに点火栓と共に締付けられている
か否かを推定することができ、締付トルクが所期値より
も小さく前記パワースペクトルが所定値を越える場合に
は、かかる締付トルク不良によって筒内圧センサの検出
機能に異常が生じていると診断できる。

【０００９】

【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。一実施例
を示す図２において、内燃機関のシリンダヘッド１に設
けた螺子孔２には、点火栓３が螺合されるが、その際、
各気筒の点火栓３とシリンダヘッド１の点火栓取付け座
面４との間にリング状の筒内圧センサ５を挟み込んで共
締めする。

【００１０】尚、６は、筒内圧センサ５と点火栓３との
間に介装されたワッシャである。前記筒内圧センサ５
は、例えば、リング状の中心電極を中心にしてその上下
に２枚のピエゾ圧電素子と、更に、その外側に上面電極
と下面電極を順次積層したもので、これらの内外周を絶
縁性の樹脂材料で一体に固定してある。前記中心電極か
らはリード線７が樹脂材料を通じて取り出される。

【００１１】前記筒内圧センサ５は、点火栓３の座金と
して締付けられるため、シリンダ８内の燃焼圧力が点火
栓３に作用することによって、その締付け力が増減変化
し、これにより圧電素子の出力が燃焼圧力に応じて変化
するものであり、燃焼圧（筒内圧）を相対圧として検出
し得るセンサである。前記点火栓３のターミナルにはハ
イテンションコード（図示省略）が接続され、該ハイテ
ンションコードを介して供給される高電圧によって火花
放電して、シリンダ８内の混合気を着火燃焼させる。

【００１２】前記リード線７を介して取り出されるセン
サ出力は、マイクロコンピュータを内蔵した機関制御ユ
ニット９に入力されるようになっている。前記機関制御
ユニット９には、前記筒内圧センサ５の出力の他、クラ
ンク角センサ10からのクランク角度信号も入力されるよ
うになっており、前記機関制御ユニット９は、座金型筒
内圧センサ５の出力に基づいて検出される燃焼圧及びク
ランク角センサ10で検出されるクランク角位置の情報に
基づいて機関の燃焼状態（例えば失火発生の有無）を検
出する。

【００１３】更に、前記機関制御ユニット９は、図３の
フローチャートに示すようにして、点火栓３の締付トル
クの不良によって筒内圧センサ５の圧力検出機能に異常
が生じているか否かを診断する機能を有している。尚、
本実施例において、パワースペクトル検出手段及びセン
サ診断手段としての機能は、前記図３のフローチャート
に示すように、機関制御ユニット９が備えている。

【００１４】図３のフローチャートにおいて、ステップ
１（図中ではＳ１としてある。以下同様）では、筒内圧
センサ５の出力の周波数分析をクランク角度信号で検出
される所定の分析区間内で行い、各周波数毎のパワース
ペクトルを求める。次のステップ２では、前記クランク
角センサ10から出力されるクランク角度信号に基づいて
機関回転速度Ｎｅを算出する。

【００１５】そして、ステップ３では、予め機関回転速
度Ｎｅに対応する筒内圧センサ５の共振周波数ｆを記憶
したマップを、前記ステップ２で算出した機関回転速度
Ｎｅに基づいて参照して、現在の機関回転速度Ｎｅに対
応する共振周波数ｆを設定する。ステップ４では、前記
ステップ３で求めた共振周波数ｆに対応する周波数分析
結果を検索し、現在の共振周波数ｆのパワースペクトル
を求める。

【００１６】そして、ステップ５では、前記ステップ４
で求めたパワースペクトルと所定値ＳＬとを比較し、検
出したパワースペクトルが所定値ＳＬを越える場合に
は、ステップ６へ進み、締付トルク不良によって筒内圧
センサ５の圧力検出機能に異常が生じていると判定す
る。尚、上記締付トルクの不良を判定したときには、か
かる判定結果を車両の運転席等に設けた警告ランプ等に
よって運転者に警告するようにすると良い。

【００１７】一方、ステップ５で、パワースペクトルが
所定値ＳＬ以下であると判別された場合には、ステップ
７へ進み、少なくとも前記締付トルク不良による検出機
能の異常は生じていないものと判定する。本実施例の筒
内圧センサ５は、点火栓３と共締めされる座金型の筒圧
力センサであるから、点火栓３の締付トルクがその出力
特性に大きく影響し、筒内圧に対して一定の相関を有す
る出力を得るためには、一定の締付トルクで点火栓３と
共締めされることが必要とされる。

【００１８】ここで、点火栓３の交換作業時などに正規
の締付トルクよりも弱いトルクで点火栓３の締付けが行
なわれる可能性があるが、締付トルクが正規レベルより
も弱いと、センサの共振周波数のパワースペクトルが増
大するから、上記のようにして、そのときの機関回転速
度Ｎｅで変化する共振周波数におけるパワースペクトル
を求めて、それが正規のトルクで締付け作業が行なわれ
た場合に生じるレベルを大きく上回る場合には、締付ト
ルクの不良を推定できることになる。

【００１９】従って、締付トルク不良が生じているとき
に、かかる不良の発生を診断することができ、以て、締
付トルク不良の筒内圧センサ５を用いて燃焼状態が誤検
出されることを回避でき、また、警告を行なうことで早
期のメンテナンスを促すことができる。ところで、上記
のように座金型筒内圧センサ５では、点火栓３と共締め
するときの締付トルクがセンサ出力に大きく影響するた
め、市場における点火栓３の締付作業時には、センサ側
からの要求レベルに締付トルクを調整することが望ま
れ、また、締付作業時に筒内圧センサ５自体の不良を発
見できれば便利である。

【００２０】そこで、点火栓３の締付けを所期の締付ト
ルクで行なえると同時に、センサ自体の不良の発見を行
なえる自動締付装置を以下に説明する。図４において、
51は作業装置の本体ユニットであり、モーターコントロ
ール回路52，センサ入力インタフェイス53，信号処理部
54，ＣＰＵ55，気筒選択スイッチ56，締付トルク調整ボ
リューム57，締付トルクＯＫインジケータ58を含んで構
成される。また、前記本体ユニット51には、各種のメッ
セージを表示するためのモニタ59が付設されている。

【００２１】点火栓３の交換などのために点火栓３の締
付けを行なうときに、前記本体ユニット51に筒内圧セン
サ５の出力をセンサ入力インタフェイス53を介して入力
させるようにし、また、クランク角センサ10の信号が読
み込まれるようにする。また、前記モーターコントロー
ル回路52を介して制御される円筒型モータ60の内周を各
気筒の点火栓３の六角ナット部に係合させ、外周がシリ
ンダヘッド１側に係止されるようにした前記円筒型モー
タ60を外周側を固定側として内周を回転駆動させること
で、点火栓３の締付けが円筒型モータ60が発生する駆動
トルクで行なえるようにする。

【００２２】かかる状態で機関を運転させ、本体ユニッ
ト51を起動させることで、図５のフローチャートに示す
ようにして、締付作業及びセンサ不良の診断が行なわれ
る。図５のフローチャートにおいて、まず、ステップ21
では、各気筒毎に筒内圧センサ５で検出される筒内圧を
それぞれに所定の積分期間で積分し、かかる積分値を気
筒別にＩＭＥＰにセットする。

【００２３】次のステップ22では、クランク角センサ10
からの信号に基づいて機関回転速度Ｎｅを演算する。ス
テップ23では、気筒選択スイッチ56による作業対象気筒
の選択を判別する。ステップ24では、各気筒別に算出さ
れる筒内圧積分値ＩＭＥＰの全気筒における平均と、前
記ステップ23で判別した気筒における積分値ＩＭＥＰと
を比較し、全気筒における平均レベルに対して当該気筒
の積分値が所定以上の偏差を有する場合に、その気筒の
筒内圧センサ５自体に何らかの異常が生じているものと
診断する診断制御を実行させる。

【００２４】尚、上記のように筒内圧積分値ＩＭＥＰに
基づいてセンサ自体の異常を診断する場合には、各気筒
別の積分値ＩＭＥＰを加重平均して全気筒における平均
値と比較するようにすると良い。また、ステップ25で
は、前記図３のフローチャートに示した周波数分析によ
る締付トルク不良の診断を行なわせる。

【００２５】そして、ステップ26では、ステップ24，25
の診断のいずれにおいても正常判定されたか否かを判別
する。ここで、２つの診断制御でいずれも正常であると
判定された場合には、ステップ27へ進み、締付トルクＯ
Ｋインジケータ58を点灯することで、選択された気筒に
おける筒内圧センサ５において、センサ自体に異常がな
く、然も、所期の締付トルクで点火栓３と共締めされて
いることを知らせる。更に、締付トルクが所期値になっ
ていることから、次のステップ28では、円筒型モータ60
の駆動を停止する。

【００２６】一方、ステップ26で、ステップ24，25の少
なくとも一方で異常判定されたと判別されたときには、
ステップ29へ進み、ステップ24における筒内圧積分値Ｉ
ＭＥＰに基づく診断のみで正常判定されたか否かを判別
する。そして、ステップ24の診断で正常判定され、ステ
ップ25の診断で異常判定されている場合には、センサ自
体に異常はないものの点火栓３の締付トルクが不適切で
あると判別されている状態であるから、ステップ30へ進
み、モーターコントロール回路52を介して円筒型モータ
60を駆動制御して点火栓３の締付けを行なわせる。

【００２７】また、ステップ25でのみ正常判定されてい
るか、又は、ステップ24，25のいずれの診断においても
異常判定されている場合には、ステップ29からステップ
31へ進み、今度は、ステップ25における診断のみで正常
判定されたか否かを判別する。ここで、ステップ24でセ
ンサ自体の異常が診断され、ステップ25では締付トルク
が所期値であると判別されているときには、正規に締付
けを行なってもセンサ自体の不良によって所期の圧力検
出を行なうことができないから、ステップ32へ進み、選
択されている気筒に設けられている筒内圧センサ５自体
の異常をモニタ59上に表示する。

【００２８】また、ステップ24，25の両方でいずれも異
常判定されているときには、ステップ31からステップ33
へ進み、本体ユニット51，円筒型モータ60などからなる
本実施例の作業装置の異常をモニタ59上に表示する。即
ち、所期の締付作業が行なえないと、センサ自体の異常
も誤判定する惧れがあるので、センサ診断及び締付け作
業の自動化が果たせないことを警告するものである。

【００２９】このように、本実施例によると、センサ出
力の周波数分析に基づいて締付トルクの適正レベルを確
認しつつ点火栓３の締付けが行なえると共に、センサ自
体の異常を診断することができ、異常のあるセンサが点
火栓３と共締めされることを回避でき、また、締付トル
ク不良の発生を未然に回避できる。

【００３０】

【発明の効果】以上説明したように本発明によると、点
火栓と共締めされる座金型筒内圧センサにおいて、セン
サ出力の共振周波数のパワースペクトルを検出すること
で、締付トルクの不良によるセンサの機能不良を診断す
ることができ、締付トルクの不良状態でセンサ出力を用
いて燃焼状態の検出が行なわれてしまうことを未然に回
避できるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の基本構成を示すブロック図。

【図２】本発明の一実施例を示すシステム概略図。

【図３】実施例の締付トルク診断の様子を示すフローチ
ャート。

【図４】実施例の締付トルク診断制御を用いた自動締付
装置の構成を示すブロック図。

【図５】前記自動締付装置における制御内容を示すフロ
ーチャート。

【符号の説明】

１シリンダヘッド２螺子孔３点火栓４取付け座面５筒内圧センサ８シリンダ９機関制御ユニット 10 クランク角センサ

フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) G01M 15/00 F02B 77/08 F02D 45/00 368 F02P 13/00 303

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】内燃機関のシリンダヘッドに螺合する点火
栓と取付け座面との間に挟み込まれるリング状の筒内圧
センサの診断装置であって、前記筒内圧センサの出力信号から所定の共振周波数のパ
ワースペクトルを検出するパワースペクトル検出手段
と、該パワースペクトル検出手段で検出されたパワースペク
トルが所定値を越えるときに前記筒内圧センサの検出機
能の異常を判定するセンサ診断手段と、を含んで構成されたことを特徴とする筒内圧センサの診
断装置。