JP2997330B2 - 人工股関節 - Google Patents

人工股関節

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    • A61F2/02Prostheses implantable into the body
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は人の関節,殊に人工股関
節に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から用いられている人工股関節にお
いてはステンレス綱、コバルトクロム系合金などの金属
製の骨頭球とステムが一体的もしくはテーパー嵌合によ
って固定されており、上記ステムを大腿骨中に挿入し、
骨とステムとの隙間をセメントを用いて固定し、また一
方の臼蓋側は上記骨頭球を受座する合成樹脂よりなるソ
ケットを、骨盤の臼蓋部にセメントを用いて固定するも
のが多数使用されてきた。
【0003】ところが、上述の人工関節においては骨頭
球とこれを受座するソケットは、歩行のたびに摺動し、
1年間にソケットのポリエチレンの厚みは0.2mm程度
摩耗減少してしまう。ここで発生するポリエチレンの摩
耗粉は大変小さい粉であり体内で細胞に取り込まれ、体
外に排出されることなく体内に蓄積されてしまう。そし
て、5年、10年と経過していくうちに発生する摩耗
粉、すなわち体内に取り込まれ蓄積される摩耗粉の量は
多大なものとなり、また、それを取り込む細胞の数もイ
ンプラントされた上記人工股関節の周辺地域を中心に増
え続けることとなる。その結果、これらの摩耗粉を取り
込んだ細胞が人工関節の周りをとり囲むように群棲する
ようになり、この人工関節のまわりをとり囲んだ細胞が
人工関節を支持する骨に悪影響を及ぼすようになり骨は
次第に悪影響により脆弱になってくる。そして、これら
の変化が進むにつれて人工関節は徐々に骨とゆるみを生
じるに至り、生体側はこの緩みによる人工関節の動揺に
より痛みを感じるに至る。
【0004】最近、骨頭球にはセラミック、特にアルミ
ナが強度、表面荒さ、真円度等の特性の優秀さと対ポリ
エチレンとの摩擦係数の低さ、摩耗量の低さ等の理由に
より採用されている。ソケット側はポリエチレン単体の
ものから、外表面に金属の外殻をとりつけて,外力によ
りポリエチレンが変形するクリープ変形を防止し、ポリ
エチレンの形状が常に一定の形にたもたれるようにし
て、工夫したものが多く用いられるようになってきた。
このことにより、ソケットはクリープ変形を起こさなく
なり、骨頭球との摩耗の減少に寄与するようになり、ま
た金属の外殻の表面をポーラス状にしたり、又表面にア
パタイト等をコーティングして骨とは強固に固定できる
ようになってきておりセメントも使用しなくても良いと
いう効果があるが、しかしポリエチレンを使用する限り
は前述のような問題を完全に解決するにいたっていな
い。
【0005】その他にも、セラミックの骨頭球に対して
セラミックの臼蓋ソケットを用いて、セラミックどうし
で摺動面を構成した物もある。これは臼蓋側にセラミッ
ク製の臼蓋ソケットをセメントで固定したり骨に直接ネ
ジ込んだりして、臼蓋に固定しセラミック製の骨頭球と
摺動させるようにしたものである。
【0006】
【従来技術の課題】上述したように、従来の人工股関節
では、ポリエチレン等のソケットを使用するかぎり、ポ
リエチレンの摩耗粉の体内細胞による取り込み、蓄積、
そしてその結果としての人工関節と骨との緩みの発生と
いう問題は解決されない。
【0007】また、セラミック製の骨頭球に対してセラ
ミック製の臼蓋ソケットを用いる人工関節では、ポリエ
チレン等の合成樹脂を摺動面にもたないために、ポリエ
チレンの摩耗粉が発生することがなく、さらにセラミッ
クどうしの摺動部は両構成部分を高精度に一致させると
体液中では摩擦係数も極端に低く流体潤滑状態となると
言われており、摩擦もほとんどなく摺動の観点からのみ
見ると理想的な人工関節である。しかし、この人工関節
にはセラミック製骨頭球・セラミック製臼蓋・大腿骨と
いう接合があり、その部分では衝撃に弱く、セラミック
製部材の破折の問題が発生する危険性があり、実際多く
の破折例が報告されるに至っている。
【0008】
【課題を解決するための手段】これらの課題を解決する
ために、本発明は大腿骨の骨髄腔中に挿入されるステム
と該ステムの先端部に骨頭球を具備し、さらにこの骨頭
球を受座するための臼蓋ソケットで構成される人工股関
節において、摺動部を構成する大腿骨の骨頭の材質がセ
ラミックであり、さらにその骨頭球を受座する臼蓋側ソ
ケットにおける摺動部の材質がセラミックから成り,か
つ上記臼蓋ソケットの骨と接する外殻を金属材で形成す
るとともにセラミック製の摺動部と金属製の外殻との間
にポリエチレン等の樹脂層が介装してあることを特徴と
する人工股関節を提供する。
【0009】
【実施例】本発明の実施例では図1 に示すとおりアルミ
ナセラミックから成る骨頭球1がチタン合金の金属製ス
テム本体2の先端部にテーパー嵌合されている。また、
骨幹部に挿入されるステム本体2は大腿骨3にセメント
4を用いて固定されている。また、上記ステム本体2は
コバルトクロム合金等の生体親和性に優れた金属でもよ
い。
【0010】臼蓋部5は図2 にも示してあるように、ま
ずチタン合金製の半球状のソケットの外殻6がチタン合
金製のネジ66で骨盤の8に固定されている。このチタン
合金製の外殻6にはネジ7を用いて骨盤の骨8に固定で
きるように貫通穴77が数カ所に予め設けてあり、適宜、
症例によって骨量の抱負な所を選択し固定できるように
なっている。さらに、このチタン合金製の外殻6の外表
面は粗面でアパタイトがコートされ骨との癒着性を良好
にしてある。
【0011】半球状の外殻6の入口にはポリエチレンの
樹脂層9を固定するための固定用ツメ66が配設してあり
樹脂層9を外殻6内にたたき込むことによって前述のツ
メ66が樹脂層9のストッパーとして作用して固定するよ
うになっている。樹脂層9はアルミナセラミック製の摺
動部10と樹脂層9とが一体となって前述のチタン合金製
の半球状の外殻6の内側に嵌まり込み固定用ツメ66でさ
らにこれらが一体化される。このようにして樹脂層9は
複合用の部材として用いるだけでなくショックアブソー
バーとしてアルミナセラミック製の摺動部10の破折防止
のために重要な役割を果たす事となる。尚、上記骨頭頭
1が摺動する摺動部10としては、アルミナセラミックを
用いた例を述べたが、これに限らずその他のセラミック
材、例えばジルコニアセラミックを用いてもよい。また
樹脂層9 としてはポリエチレンの例を述べたが、これに
限らずその他の樹脂層、例えばテフロン 、シュラコ
ン、ジルリン等を使うこともできる。
【0012】次に、この樹脂層9とアルミナセラミック
製の摺動部10はモールドされ複合一体化しているが、以
下その製造方法について述べる。図3は樹脂層9とアル
ミナセラミック製の摺動部10をモールドしているところ
を示すが、ポリエチレンの粉末99を重量を予め測定して
定量を下金型11の半球状の凹部に入れる。そして内表面
が鏡面状に研磨された摺動面を持ったアルミナセラミッ
ク製の摺動部10をその上にのせ該摺動部10の半球面と精
密に一致させた凸状の半球面を持つ上金型12を徐々に降
下させながら上下金型を加熱しポリエチレンの粉末99を
溶融させ加圧した後に徐々に冷却する。上記摺動部の外
表面にはアンダーカット部13が設けてあり冷却されるに
従ってポリエチレンは収縮しアルミナセラミック製の摺
動部10と強固に固定される。このようにして複合一体化
された部材を前述のようにチタン合金製の外殻4に叩き
込み固定用のツメ66を用いて固定する。骨と接する部分
には金属を用い金属の表面をポーラス化したり、さらに
はアパタイト等をコーティングしておくとよい。
【0013】これによって,1.セラミック製の摺動部
と金属の外殻との間に樹脂を配設することによってセラ
ミックの破折を防止することが可能となる。 2.摺動部をセラミックどうしにすることによりポリエ
チレンの摩耗粉の発生が皆無であり回りの細胞に悪影響
を及ぼさない。 3.関節の減りがなく若い人にも使用することができ
る。 4.骨と接する部分、特に臼蓋側、は金属にすることに
より表面をポーラス状とする、もしくはアパタイトコー
ト等を行い骨セメントを用いないで臼蓋ソケットを固定
できるようになり、骨セメント重合熱等による生体への
悪影響をなくすことが可能となる。等のことが実現でき
るようになった。
【0014】
【発明の効果】上述のように、本発明による人工股関節
によればポリエチレンの摩耗粉の発生もなく、又セラミ
ック骨頭球等の関節摺動部の破折の心配もなく、長期に
安全で安定した成績を期待することができ、歩行回復に
絶大なる威力を発揮し、長期間人工関節の安定した性能
を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の人工股関節のステムと臼蓋ソケットを
それぞれ大腿骨と骨盤に装着した状態を示す部分破断側
面図である。
【図2】本発明の人工股関節の構成部分である臼蓋部の
断面図である。
【図3】本発明実施例による人工股関節の構成部分であ
る臼蓋部の樹脂層9とアルミナ摺動部10をモールドして
いるところを示す、その装置とポリエチレン粉末99と該
アルミナ摺動部10の斜視断面図である。
【符号の説明】
骨頭球 1 ステム本体 2 大腿骨 3 セメント 4 臼蓋部 5 外殻 6 ツメ 66 ネジ 7 貫通穴 77 骨盤 8 樹脂層 9 摺動部 10 粉末 99 下金型 11 上金型 12 アンダーカット部 13

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】大腿骨の骨髄腔中に挿入されるステムと該
    ステムの先端部に骨頭球を具備し、さらにこの骨頭球を
    受座するための臼蓋ソケットで構成される人工股関節に
    おいて、摺動部を構成する大腿骨の骨頭の材質がセラミ
    ックであり、さらにその骨頭球を受座する臼蓋側ソケッ
    トにおける摺動部の材質がセラミックから成り,かつ上
    記臼蓋ソケットの骨と接する外殻を金属材で形成すると
    ともにセラミック製の摺動部と金属製の外殻との間にポ
    リエチレン等の樹脂層が介装してあることを特徴とする
    人工股関節。
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US6261322B1 (en) 1998-05-14 2001-07-17 Hayes Medical, Inc. Implant with composite coating
ATE296596T1 (de) 2000-07-20 2005-06-15 Hayes Medical Inc Schienbeinteil aus einem bimetal zur anwendung in einer knieprothese

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