JP2996862B2 - 電子顕微鏡 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、透過型、走査型等の電
子顕微鏡に関し、特に、試料のどの領域にどれだけの電
子線が照射されたかを一目で検知し得る電子顕微鏡に関
する。
子顕微鏡に関し、特に、試料のどの領域にどれだけの電
子線が照射されたかを一目で検知し得る電子顕微鏡に関
する。
【0002】
【従来の技術】透過型、走査型等の電子顕微鏡では、試
料に電子線を照射してその透過電子線像あるいは二次電
子像等を観察しているが、このようにして観察される試
料の中には電子線の照射によって損傷を受けやすいもの
も多く、ある程度の電子線量を照射すると試料の微細構
造が壊れてしまうような場合もある。そのため、正確な
観察やデータ収集を行うためには、一度観察した箇所と
未だ観察していない、すなわち電子線を一度も照射して
いない箇所とを区別することが重要になってくる。
料に電子線を照射してその透過電子線像あるいは二次電
子像等を観察しているが、このようにして観察される試
料の中には電子線の照射によって損傷を受けやすいもの
も多く、ある程度の電子線量を照射すると試料の微細構
造が壊れてしまうような場合もある。そのため、正確な
観察やデータ収集を行うためには、一度観察した箇所と
未だ観察していない、すなわち電子線を一度も照射して
いない箇所とを区別することが重要になってくる。
【0003】しかしながら、従来の電子顕微鏡では、試
料面の適当な箇所を中心座標として、現在観察が行われ
ている箇所の座標を表示装置上に表示することが行われ
ているのみであり、過去の観察経過については表示され
ることはない。したがって、過去にどの領域を観察した
かについては、観察者が観察箇所の座標について別途記
録を取るか、あるいは観察者自身の記憶に頼らざるを得
ないという状況にあり、観察者の負担が大きいととも
に、正確を期することが極めて困難であった。
料面の適当な箇所を中心座標として、現在観察が行われ
ている箇所の座標を表示装置上に表示することが行われ
ているのみであり、過去の観察経過については表示され
ることはない。したがって、過去にどの領域を観察した
かについては、観察者が観察箇所の座標について別途記
録を取るか、あるいは観察者自身の記憶に頼らざるを得
ないという状況にあり、観察者の負担が大きいととも
に、正確を期することが極めて困難であった。
【0004】このような従来技術に対して、試料面の観
察可能な領域を微細な領域単位に分割し、各領域単位ご
とに電子線が照射されたか否かを検知して、一度電子線
が照射された箇所と、一度も照射されていない箇所とを
表示装置上に区別して表示するものが提案されている。
また、試料面上で電子線が過去に通過した軌跡を自動記
録するものも提案されている。
察可能な領域を微細な領域単位に分割し、各領域単位ご
とに電子線が照射されたか否かを検知して、一度電子線
が照射された箇所と、一度も照射されていない箇所とを
表示装置上に区別して表示するものが提案されている。
また、試料面上で電子線が過去に通過した軌跡を自動記
録するものも提案されている。
【0005】
【発明の解決しようとする課題】しかしながら、これら
の提案にかかるものでは、いずれも得られるデータは、
過去に電子線が照射されたことがあるか否か、すなわち
1か0かのデータであるにすぎない。これでは、試料面
上の一箇所について長く観察を行った場合でも、また、
観察箇所を変更するために単に試料面上を横切った場合
でも、同じように電子線既照射領域として記録あるいは
表示されてしまう。一方、電子線照射による損傷を受け
やすい試料であっても、ある一定の電子線量までならば
特段の問題もなく観察を行えるものもあり、特に、観察
箇所を変えるために電子線が横切った程度では何も問題
にする必要がない場合も少なくない。しかしながら、上
記提案に係るものでは、単に電子線が照射されたか否か
という情報しか得られないため、本来は問題なく使用で
きる試料面についても観察に不適当と判断され、貴重な
試料が有効に利用されないという問題点がある。
の提案にかかるものでは、いずれも得られるデータは、
過去に電子線が照射されたことがあるか否か、すなわち
1か0かのデータであるにすぎない。これでは、試料面
上の一箇所について長く観察を行った場合でも、また、
観察箇所を変更するために単に試料面上を横切った場合
でも、同じように電子線既照射領域として記録あるいは
表示されてしまう。一方、電子線照射による損傷を受け
やすい試料であっても、ある一定の電子線量までならば
特段の問題もなく観察を行えるものもあり、特に、観察
箇所を変えるために電子線が横切った程度では何も問題
にする必要がない場合も少なくない。しかしながら、上
記提案に係るものでは、単に電子線が照射されたか否か
という情報しか得られないため、本来は問題なく使用で
きる試料面についても観察に不適当と判断され、貴重な
試料が有効に利用されないという問題点がある。
【0006】本発明は、上記の課題を解決するものであ
って、観察開始から現在までの間に試料面上のどの箇所
にどれだけの電子線量が照射されたかを一目で識別する
ことを可能として、迅速且つ正確な観察を可能とし、ま
た貴重な試料を有効利用することが可能な電子顕微鏡を
提供することを目的とするものである。
って、観察開始から現在までの間に試料面上のどの箇所
にどれだけの電子線量が照射されたかを一目で識別する
ことを可能として、迅速且つ正確な観察を可能とし、ま
た貴重な試料を有効利用することが可能な電子顕微鏡を
提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の電子顕微鏡は、試料面内の観察可能な領
域を微小な領域単位に分割し、当該領域単位ごとにデー
タを読み書きできる記憶領域を有する記憶手段と、前記
微小な領域単位に対応させてデータを表示しうる表示手
段と、観察時に、試料に照射される電子線の総電流量と
広がりの大きさとから、前記微小な領域単位ごとに照射
された単位時間ごとの電流量を逐次計算し、その電流量
計算値を順次積算させながら前記記憶手段の各々の記憶
領域にデータとして記憶させるとともに、その記憶され
た領域単位ごとのデータを所定の電流量積算値の範囲ご
とに表示方法を変えて前記表示手段に表示させる演算手
段とを備えることを特徴とする。
めに、本発明の電子顕微鏡は、試料面内の観察可能な領
域を微小な領域単位に分割し、当該領域単位ごとにデー
タを読み書きできる記憶領域を有する記憶手段と、前記
微小な領域単位に対応させてデータを表示しうる表示手
段と、観察時に、試料に照射される電子線の総電流量と
広がりの大きさとから、前記微小な領域単位ごとに照射
された単位時間ごとの電流量を逐次計算し、その電流量
計算値を順次積算させながら前記記憶手段の各々の記憶
領域にデータとして記憶させるとともに、その記憶され
た領域単位ごとのデータを所定の電流量積算値の範囲ご
とに表示方法を変えて前記表示手段に表示させる演算手
段とを備えることを特徴とする。
【0008】また、上記本発明の一態様として、電子顕
微鏡が透過電子顕微鏡であり、計算手段において、蛍光
スクリーンに結像された試料面の範囲を前記電子ビーム
の広がりの大きさと設定して前記領域単位ごとの電流量
を計算することを特徴とする。
微鏡が透過電子顕微鏡であり、計算手段において、蛍光
スクリーンに結像された試料面の範囲を前記電子ビーム
の広がりの大きさと設定して前記領域単位ごとの電流量
を計算することを特徴とする。
【0009】
【作用及び発明の効果】本発明の電子顕微鏡では、ま
ず、試料面内の観察可能な領域を仮想的に微小な領域単
位に分割する。そして、試料の観察時に、試料に照射さ
れる電子線の総電流量と広がりの大きさ(面積)とか
ら、演算手段によって、単位時間ごとにどの微小領域単
位にどれだけの電子線が照射されたかを逐次計算する。
この計算値は、記憶手段における前記微小領域単位ごと
の格納領域のうち、対応する格納領域に順次加算してい
く。するとこの記憶手段に記憶されたデータは、観察開
始から現在に至るまでの微小領域単位ごとの照射電子線
量の総量(積算値)に相当することになる。このデータ
を、ある所定の範囲ごとに例えば表示色を変えるなどし
て、表示手段上に表示するものである。
ず、試料面内の観察可能な領域を仮想的に微小な領域単
位に分割する。そして、試料の観察時に、試料に照射さ
れる電子線の総電流量と広がりの大きさ(面積)とか
ら、演算手段によって、単位時間ごとにどの微小領域単
位にどれだけの電子線が照射されたかを逐次計算する。
この計算値は、記憶手段における前記微小領域単位ごと
の格納領域のうち、対応する格納領域に順次加算してい
く。するとこの記憶手段に記憶されたデータは、観察開
始から現在に至るまでの微小領域単位ごとの照射電子線
量の総量(積算値)に相当することになる。このデータ
を、ある所定の範囲ごとに例えば表示色を変えるなどし
て、表示手段上に表示するものである。
【0010】したがって、表示手段に表示された画像を
見れば、一目でどの領域にどれだけの電子線が照射され
たかを知ることができるので、電子線照射に対する耐力
が低い試料にあっては、観察者が新たに観察が可能な領
域と既に電子線が相当量照射されて観察に不適当となっ
ている領域とを容易に判別することができ、正確な観察
をスピーディーに行うことが可能となる。また、未だ使
用に耐えられる試料を廃棄することがなくなり、試料資
源を最大限有効に活用することができるようになる。さ
らには、一度観察した試料面を再度観察する場合にも、
その位置を容易に知ることができるようになる。
見れば、一目でどの領域にどれだけの電子線が照射され
たかを知ることができるので、電子線照射に対する耐力
が低い試料にあっては、観察者が新たに観察が可能な領
域と既に電子線が相当量照射されて観察に不適当となっ
ている領域とを容易に判別することができ、正確な観察
をスピーディーに行うことが可能となる。また、未だ使
用に耐えられる試料を廃棄することがなくなり、試料資
源を最大限有効に活用することができるようになる。さ
らには、一度観察した試料面を再度観察する場合にも、
その位置を容易に知ることができるようになる。
【0011】さらに、請求項2に記載した電子顕微鏡に
おいては、蛍光スクリーン上に透過電顕微鏡像を結像す
る透過電子顕微鏡を対象とする。そして、演算手段で微
小領域単位ごとの照射電子線量を計算する際、当該蛍光
スクリーンに結像された試料面の範囲を前記電子ビーム
の広がりの大きさとして設定するようにしている。
おいては、蛍光スクリーン上に透過電顕微鏡像を結像す
る透過電子顕微鏡を対象とする。そして、演算手段で微
小領域単位ごとの照射電子線量を計算する際、当該蛍光
スクリーンに結像された試料面の範囲を前記電子ビーム
の広がりの大きさとして設定するようにしている。
【0012】したがって、後に実施例の説明において詳
述するように、演算手段における照射電子線量の計算が
容易となり、演算手段のロードを大幅に軽減することが
可能となる。
述するように、演算手段における照射電子線量の計算が
容易となり、演算手段のロードを大幅に軽減することが
可能となる。
【0013】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明の一実施例につ
いて説明する。図1は本発明に係る電子顕微鏡の一実施
例の構成を示す図であり、図中、1は透過電子顕微鏡本
体、2は試料ステージ、3は対物レンズ、4、5は中間
レンズ、6は投影レンズ、7は偏向コイル、8は蛍光ス
クリーン、9はステージ駆動手段、10は偏向コイル電
源、11はレンズ電源、12は制御手段、13は走査手
段、14は電流検出手段、15は演算手段、16、17
は記憶手段、18は表示手段を示す。
いて説明する。図1は本発明に係る電子顕微鏡の一実施
例の構成を示す図であり、図中、1は透過電子顕微鏡本
体、2は試料ステージ、3は対物レンズ、4、5は中間
レンズ、6は投影レンズ、7は偏向コイル、8は蛍光ス
クリーン、9はステージ駆動手段、10は偏向コイル電
源、11はレンズ電源、12は制御手段、13は走査手
段、14は電流検出手段、15は演算手段、16、17
は記憶手段、18は表示手段を示す。
【0014】図1における透過電子顕微鏡本体1は、従
来より知られている一般的な透過電子顕微鏡であり、そ
の基本的な動作は次のようである。すなわち、試料ステ
ージ2上に保持された試料に電子線が照射されると、試
料を透過した電子線が対物レンズ3、中間レンズ4、
5、及び投影レンズ6によって蛍光スクリーン8上に透
過電子顕微鏡像を結像する。この透過電子顕微鏡像の倍
率は、観察者によって操作手段13から入力される指令
に応じ、制御手段12が各レンズ3〜6のレンズ電源1
1を操作することによって可変制御される。また、透過
電子顕微鏡像の視野の移動は、同じく操作手段13から
の指令に基づいて、制御手段12がステージ駆動手段9
を制御することによって実行されるほか、偏向コイル7
に励磁電流を供給する偏向コイル電源10の出力を調整
することによっても実行される。
来より知られている一般的な透過電子顕微鏡であり、そ
の基本的な動作は次のようである。すなわち、試料ステ
ージ2上に保持された試料に電子線が照射されると、試
料を透過した電子線が対物レンズ3、中間レンズ4、
5、及び投影レンズ6によって蛍光スクリーン8上に透
過電子顕微鏡像を結像する。この透過電子顕微鏡像の倍
率は、観察者によって操作手段13から入力される指令
に応じ、制御手段12が各レンズ3〜6のレンズ電源1
1を操作することによって可変制御される。また、透過
電子顕微鏡像の視野の移動は、同じく操作手段13から
の指令に基づいて、制御手段12がステージ駆動手段9
を制御することによって実行されるほか、偏向コイル7
に励磁電流を供給する偏向コイル電源10の出力を調整
することによっても実行される。
【0015】このような基本的な透過電子顕微鏡の構成
に加え、本実施例ではさらに、電流検出手段14、演算
手段15、記憶手段16、17、表示手段18が備えら
れている。
に加え、本実施例ではさらに、電流検出手段14、演算
手段15、記憶手段16、17、表示手段18が備えら
れている。
【0016】ここで、電流検出手段14は、試料に照射
される電流量を検出するためのものである。
される電流量を検出するためのものである。
【0017】記憶手段16は、各レンズ3〜6に関する
データなど、後に説明する演算手段15での計算に必要
なデータを格納しておくためのメモリである。なお、試
料に照射される電流量は、電子線の照射条件や各レンズ
3〜6に関する焦点距離などのデータから間接的に知る
ことができ、そのような計算に必要なデータをマップな
どにしてこの記憶手段16に格納しておく場合には、上
記電流検出手段14は不要とすることもできる。
データなど、後に説明する演算手段15での計算に必要
なデータを格納しておくためのメモリである。なお、試
料に照射される電流量は、電子線の照射条件や各レンズ
3〜6に関する焦点距離などのデータから間接的に知る
ことができ、そのような計算に必要なデータをマップな
どにしてこの記憶手段16に格納しておく場合には、上
記電流検出手段14は不要とすることもできる。
【0018】記憶手段17は、試料面の観察可能領域を
仮想的に例えば10μm四方の微小な領域単位に分割
し、それぞれの微小領域単位ごとにデータを格納できる
ような格納領域を備えた、読み書き自在のメモリであ
る。
仮想的に例えば10μm四方の微小な領域単位に分割
し、それぞれの微小領域単位ごとにデータを格納できる
ような格納領域を備えた、読み書き自在のメモリであ
る。
【0019】表示手段18は、記憶手段18に格納され
た試料面の微小領域単位ごとのデータをグラフィカルに
表示するためのものである。
た試料面の微小領域単位ごとのデータをグラフィカルに
表示するためのものである。
【0020】演算手段15は、制御手段12、電流検出
手段14、記憶手段16から各種情報を取り込んで、試
料面の微小領域単位ごとに、単位時間ごとに照射される
電流量を逐次計算し、その計算値を記憶手段17内の対
応する格納領域に順次積算していくものである。そし
て、その積算されたデータを記憶手段17から読み出し
て、表示装置18に表示させるものである。
手段14、記憶手段16から各種情報を取り込んで、試
料面の微小領域単位ごとに、単位時間ごとに照射される
電流量を逐次計算し、その計算値を記憶手段17内の対
応する格納領域に順次積算していくものである。そし
て、その積算されたデータを記憶手段17から読み出し
て、表示装置18に表示させるものである。
【0021】次に、この図1に示した一実施例の動作に
ついて説明する。まず、本実施例では、観察に先立っ
て、試料面が仮想的に微小な領域単位に分割される。こ
こで仮想的というのは、試料面上に実際に線引などを施
して微小領域単位に分割するということではなく、演算
手段15、記憶手段17、表示手段18等の内部データ
として、試料面を微小な領域単位に分割するということ
を表す。
ついて説明する。まず、本実施例では、観察に先立っ
て、試料面が仮想的に微小な領域単位に分割される。こ
こで仮想的というのは、試料面上に実際に線引などを施
して微小領域単位に分割するということではなく、演算
手段15、記憶手段17、表示手段18等の内部データ
として、試料面を微小な領域単位に分割するということ
を表す。
【0022】この微小な領域単位は、試料面上の特定の
1点、例えば中心点を基準点とし、試料面上の観察可能
な領域を一定の間隔で升目に区切ることによって設定さ
れる。例えば、試料が3mmφの略円形であり、そのう
ち観察可能な領域部分が 2.2mm× 2.2mmであったと
し、上記升目の一区切りを10μmと設定したとすれば、
その試料面上の観察可能な領域は 220×220 の微小な領
域単位に分割されることになる。なお、このような升目
の区切りをどの程度の大きさにするかについては、観察
者が試料の種類や観察の目的等に応じて任意に設定しう
ることであり、例えば1μmで区切ってもよいし、ある
いは20μmで区切るようにしてもよい。このような微小
領域単位の大きさは、操作手段13を通して観察者が入
力設定することができる。また、設定された微小領域単
位は、演算手段15、記憶手段17、及び表示手段18
において共通のデータであり、かつ、試料の観察視野が
変更されても不偏のものとして保持されるものである。
1点、例えば中心点を基準点とし、試料面上の観察可能
な領域を一定の間隔で升目に区切ることによって設定さ
れる。例えば、試料が3mmφの略円形であり、そのう
ち観察可能な領域部分が 2.2mm× 2.2mmであったと
し、上記升目の一区切りを10μmと設定したとすれば、
その試料面上の観察可能な領域は 220×220 の微小な領
域単位に分割されることになる。なお、このような升目
の区切りをどの程度の大きさにするかについては、観察
者が試料の種類や観察の目的等に応じて任意に設定しう
ることであり、例えば1μmで区切ってもよいし、ある
いは20μmで区切るようにしてもよい。このような微小
領域単位の大きさは、操作手段13を通して観察者が入
力設定することができる。また、設定された微小領域単
位は、演算手段15、記憶手段17、及び表示手段18
において共通のデータであり、かつ、試料の観察視野が
変更されても不偏のものとして保持されるものである。
【0023】このようにして試料面上に微小な領域単位
が設定された後、観察が開始されると、演算手段15
は、試料に照射されている照射電流値を電流検出手段1
4から取り込む。それと同時に、制御手段12から試料
面上における電子線の広がりの大きさ、すなわち電子線
の照射位置、形状、及び照射面積に関係する諸データを
取り込み、(1) 電子線の総照射面積はどれだけか、また
(2) 電子線が前記微小領域単位のどの升目に照射されて
いるかを演算する。
が設定された後、観察が開始されると、演算手段15
は、試料に照射されている照射電流値を電流検出手段1
4から取り込む。それと同時に、制御手段12から試料
面上における電子線の広がりの大きさ、すなわち電子線
の照射位置、形状、及び照射面積に関係する諸データを
取り込み、(1) 電子線の総照射面積はどれだけか、また
(2) 電子線が前記微小領域単位のどの升目に照射されて
いるかを演算する。
【0024】ここで、上記(1) の電子線の総照射面積に
関しては、対物レンズ3、中間レンズ4、5、及び投影
レンズ6からなるレンズ系の倍率及び焦点距離から計算
することができる。したがって、制御手段12からレン
ズ電源11に与えられる制御信号と、電子顕微鏡本体1
のレンズ系固有の諸数値が取り込まれ、前記電子線の総
照射面積が計算される。なお、予め記憶手段16内に、
レンズ系の倍率、焦点距離などのデータに対応させて電
子線の総照射面積の計算値をマップなどの形で記憶させ
ておけば、演算手段15におけるロードを軽減できる。
関しては、対物レンズ3、中間レンズ4、5、及び投影
レンズ6からなるレンズ系の倍率及び焦点距離から計算
することができる。したがって、制御手段12からレン
ズ電源11に与えられる制御信号と、電子顕微鏡本体1
のレンズ系固有の諸数値が取り込まれ、前記電子線の総
照射面積が計算される。なお、予め記憶手段16内に、
レンズ系の倍率、焦点距離などのデータに対応させて電
子線の総照射面積の計算値をマップなどの形で記憶させ
ておけば、演算手段15におけるロードを軽減できる。
【0025】また、上記(2) の電子線が微小領域単位の
どの升目に照射されているかに関しては、まず制御手段
12からステージ駆動手段9に与えられる制御信号を取
り込むことによって電子線の照射位置を検知する。ま
た、ステージ位置を一定としていても偏向コイル7の励
磁電流を操作することによって電子線の照射位置を変更
することができるが、そのような場合には、偏向コイル
電源10に与えられる制御信号も取り込んで、前記ステ
ージ駆動手段9への制御信号とともに所定の演算を施す
ことにより、電子線の照射位置を正確に検知することが
できる。また、電子線の照射条件から、試料面上におけ
る電子線の照射形状を検知する。この電子線の形状につ
いては、計算を簡略化するために円形として取り扱うこ
とにしてもよい。これらの場合も、上記(1) のときと同
様に、記憶手段16内に予め演算した値を記憶させてお
けば、演算手段15では、制御手段12から取り込んだ
各種データに応じてそれらに対応する記憶値を記憶手段
16から読み出せばよいこととなる。そして、このよう
にして求められた電子線の照射位置及び照射形状と、上
記電子線の総照射面積とから、どの升目に電子線が照射
されているかを検知する。
どの升目に照射されているかに関しては、まず制御手段
12からステージ駆動手段9に与えられる制御信号を取
り込むことによって電子線の照射位置を検知する。ま
た、ステージ位置を一定としていても偏向コイル7の励
磁電流を操作することによって電子線の照射位置を変更
することができるが、そのような場合には、偏向コイル
電源10に与えられる制御信号も取り込んで、前記ステ
ージ駆動手段9への制御信号とともに所定の演算を施す
ことにより、電子線の照射位置を正確に検知することが
できる。また、電子線の照射条件から、試料面上におけ
る電子線の照射形状を検知する。この電子線の形状につ
いては、計算を簡略化するために円形として取り扱うこ
とにしてもよい。これらの場合も、上記(1) のときと同
様に、記憶手段16内に予め演算した値を記憶させてお
けば、演算手段15では、制御手段12から取り込んだ
各種データに応じてそれらに対応する記憶値を記憶手段
16から読み出せばよいこととなる。そして、このよう
にして求められた電子線の照射位置及び照射形状と、上
記電子線の総照射面積とから、どの升目に電子線が照射
されているかを検知する。
【0026】図2は、試料面上における電子線の広がり
と微小領域単位の升目との関係を表した図である。図2
において、線20は電子線の照射されている範囲(広が
りの大きさ)を示しており、この線20の内側の部分に
電子線が照射されていることを示す。このような線20
で囲まれた部分の総面積を求めるのが上記(1) で説明し
た過程であり、また、この線20の位置及び形状を確定
し、その線20で囲まれた範囲の中にどの微小領域単位
が含まれているかを知るのが上記(2) の過程である。
と微小領域単位の升目との関係を表した図である。図2
において、線20は電子線の照射されている範囲(広が
りの大きさ)を示しており、この線20の内側の部分に
電子線が照射されていることを示す。このような線20
で囲まれた部分の総面積を求めるのが上記(1) で説明し
た過程であり、また、この線20の位置及び形状を確定
し、その線20で囲まれた範囲の中にどの微小領域単位
が含まれているかを知るのが上記(2) の過程である。
【0027】なお、微小領域単位は方形で区切られてお
り、その一方で、電子線の形状は通常は略円形あるいは
楕円形様であるため、線20の境界付近では、中間的に
電子線が照射されている升目が存在する。このような升
目の扱いについては、(a) 少しでも電子線照射領域(線
20の内側)にかかっていればその升目は電子線が照射
されているものとして扱う、(b) 例えば当該升目の面積
の50%以上が電子線照射領域にかかっていれば、その
升目は電子線が照射されている升目として扱い、50%
未満ならば照射されていないものとして扱う、あるいは
(c) 電子線照射領域に100%かかっていなければその
升目は電子線が照射されているものとは扱わない等のル
ールを予め設定しておくことが必要である。図2では、
上記(b) の取扱いをする場合を想定し、電子線が照射さ
れたとして扱われる升目を網かけによって示している。
り、その一方で、電子線の形状は通常は略円形あるいは
楕円形様であるため、線20の境界付近では、中間的に
電子線が照射されている升目が存在する。このような升
目の扱いについては、(a) 少しでも電子線照射領域(線
20の内側)にかかっていればその升目は電子線が照射
されているものとして扱う、(b) 例えば当該升目の面積
の50%以上が電子線照射領域にかかっていれば、その
升目は電子線が照射されている升目として扱い、50%
未満ならば照射されていないものとして扱う、あるいは
(c) 電子線照射領域に100%かかっていなければその
升目は電子線が照射されているものとは扱わない等のル
ールを予め設定しておくことが必要である。図2では、
上記(b) の取扱いをする場合を想定し、電子線が照射さ
れたとして扱われる升目を網かけによって示している。
【0028】次に、演算手段15では、電流検出手段1
4から取り込んだ照射電流値と、上記(1) の過程で求め
た総照射面積値とから、電子線が照射されている各升目
に対し、単位時間当たりどれだけの電流が照射されてい
るかを計算する。例えば、100PAの照射電流値で、
電子線の総照射面積値が100μm平方であり、各升目
の大きさが1辺1μmであったとすれば、1秒ごとに1
つの升目に1ピコクーロンの電流が照射されていること
になる。このようにして、どの微小領域単位に、単位時
間当たりどれだけの電流が照射されているかが計算され
る。
4から取り込んだ照射電流値と、上記(1) の過程で求め
た総照射面積値とから、電子線が照射されている各升目
に対し、単位時間当たりどれだけの電流が照射されてい
るかを計算する。例えば、100PAの照射電流値で、
電子線の総照射面積値が100μm平方であり、各升目
の大きさが1辺1μmであったとすれば、1秒ごとに1
つの升目に1ピコクーロンの電流が照射されていること
になる。このようにして、どの微小領域単位に、単位時
間当たりどれだけの電流が照射されているかが計算され
る。
【0029】そして、このようにして求めた各微小領域
単位(升目)ごとの照射電流値を、それぞれ記憶手段1
7内の対応する格納領域に積算して書き込んでいく。上
記例では、電子線照射領域内にあると判定された微小領
域単位のそれぞれに対応した記憶手段17内の格納領域
に対し、1秒ごとに1ピコクーロンに相当する数値を順
次積算していくことになる。したがって、上記条件で1
0秒間にわたり電子線が照射されれば、その照射領域内
にあった微小領域単位に対応する格納領域には、10ピ
コクーロンに相当する数値が記憶されることになる。こ
のような演算処理が、観察が行われている間、連続的に
実行される。
単位(升目)ごとの照射電流値を、それぞれ記憶手段1
7内の対応する格納領域に積算して書き込んでいく。上
記例では、電子線照射領域内にあると判定された微小領
域単位のそれぞれに対応した記憶手段17内の格納領域
に対し、1秒ごとに1ピコクーロンに相当する数値を順
次積算していくことになる。したがって、上記条件で1
0秒間にわたり電子線が照射されれば、その照射領域内
にあった微小領域単位に対応する格納領域には、10ピ
コクーロンに相当する数値が記憶されることになる。こ
のような演算処理が、観察が行われている間、連続的に
実行される。
【0030】そして、この記憶手段17に記憶された数
値に関するデータが、観察者からの指示に応じて、ある
いは観察の進行と同時並行的に、制御手段15によって
読み出され、所定の処理を施されて表示手段18上に表
示される。この表示に際しては、演算手段15により、
記憶手段17内の積算データが所定の範囲を越えるごと
に視覚的に表示方法を異ならせるような処理が行われ
る。
値に関するデータが、観察者からの指示に応じて、ある
いは観察の進行と同時並行的に、制御手段15によって
読み出され、所定の処理を施されて表示手段18上に表
示される。この表示に際しては、演算手段15により、
記憶手段17内の積算データが所定の範囲を越えるごと
に視覚的に表示方法を異ならせるような処理が行われ
る。
【0031】図3に、そのような表示手段18における
表示の一例を示す。ここでは、記憶手段17内に記憶さ
れた積算値に応じて3段階に表示を分けた場合の例を示
しており、電子線が照射された履歴を持つが微量の範囲
にある升目をA(小ドットで示した部分)、前記Aの範
囲を超え電子線が相当量照射された範囲にある升目をB
(格子模様で示した部分)、さらに照射が進んでもはや
観察には適さない範囲にある升目をC(大ドットで示し
た部分)の3段階に視覚的に分別して表示している。こ
のような表示は、画面上の濃淡によって視覚的に分けて
もよいし、また表示装置18がカラー表示可能な画面を
有するものであれば、電子線の照射量の積算値に応じ
て、例えば最小値[青]から[緑]、[黄]、最大値
[赤]のように、表示色で分けるようにしてもよい。要
するに、この表示手段18による表示は、電子線が既に
照射された微小領域単位の位置とその照射量とを観察者
が一目で認識できるようになされていればよく、したが
って、何段階に分けて表示するか、あるいはどのような
表示方法とするかは、上記の例に限定されるものではな
い。
表示の一例を示す。ここでは、記憶手段17内に記憶さ
れた積算値に応じて3段階に表示を分けた場合の例を示
しており、電子線が照射された履歴を持つが微量の範囲
にある升目をA(小ドットで示した部分)、前記Aの範
囲を超え電子線が相当量照射された範囲にある升目をB
(格子模様で示した部分)、さらに照射が進んでもはや
観察には適さない範囲にある升目をC(大ドットで示し
た部分)の3段階に視覚的に分別して表示している。こ
のような表示は、画面上の濃淡によって視覚的に分けて
もよいし、また表示装置18がカラー表示可能な画面を
有するものであれば、電子線の照射量の積算値に応じ
て、例えば最小値[青]から[緑]、[黄]、最大値
[赤]のように、表示色で分けるようにしてもよい。要
するに、この表示手段18による表示は、電子線が既に
照射された微小領域単位の位置とその照射量とを観察者
が一目で認識できるようになされていればよく、したが
って、何段階に分けて表示するか、あるいはどのような
表示方法とするかは、上記の例に限定されるものではな
い。
【0032】このような表示手段18上の表示を見るこ
とにより、観察者は、次に試料面上のどの部分を使用し
て観察を行えばよいか、直ちに知ることができる。そし
て、未だ電子線の照射されていない部分の微小領域単位
の座標値(Nx、Ny)に基づいて、操作手段13等か
ら次に電子線を照射すべき位置に関する情報を入力すれ
ば、制御手段12を介してステージ駆動手段9等が操作
され、新たな観察が行われることとなる。したがって、
一度電子線を照射してもはや観察に適さなくなっている
試料面を再度観察することもなく、また未だ使用に耐え
られる試料を無駄に廃棄するようなこともなくなり、観
察がスピーディーで、かつ正確に行われるとともに、資
源を最大限有効に利用することが可能となるのである。
また、あえて一度観察した場所を再度観察するような場
合にも、表示手段18上に表示された微小領域単位の座
標値(Nx、Ny)から容易にその場所を知ることがで
きる。
とにより、観察者は、次に試料面上のどの部分を使用し
て観察を行えばよいか、直ちに知ることができる。そし
て、未だ電子線の照射されていない部分の微小領域単位
の座標値(Nx、Ny)に基づいて、操作手段13等か
ら次に電子線を照射すべき位置に関する情報を入力すれ
ば、制御手段12を介してステージ駆動手段9等が操作
され、新たな観察が行われることとなる。したがって、
一度電子線を照射してもはや観察に適さなくなっている
試料面を再度観察することもなく、また未だ使用に耐え
られる試料を無駄に廃棄するようなこともなくなり、観
察がスピーディーで、かつ正確に行われるとともに、資
源を最大限有効に利用することが可能となるのである。
また、あえて一度観察した場所を再度観察するような場
合にも、表示手段18上に表示された微小領域単位の座
標値(Nx、Ny)から容易にその場所を知ることがで
きる。
【0033】なお、本実施例では、照射電流値を電流検
出手段14によって直接的に検出する場合について説明
したが、照射電流値は電子線加速系の諸値(加速電圧
等)、レンズ系の諸値(焦点距離等)、試料の種類等の
観察の条件によって一義的に求めることができる。した
がって、予め観察の条件ごとに照射電流値を実測した値
を記憶手段16内にマップ等の形で記憶させておき、観
察時には、そのときの条件に関係するデータを演算手段
15が制御手段12から取り込んで、当該諸データに対
応する電流値を記憶手段16から読み出すようにすれ
ば、電流検出手段14は不要とすることもできる。
出手段14によって直接的に検出する場合について説明
したが、照射電流値は電子線加速系の諸値(加速電圧
等)、レンズ系の諸値(焦点距離等)、試料の種類等の
観察の条件によって一義的に求めることができる。した
がって、予め観察の条件ごとに照射電流値を実測した値
を記憶手段16内にマップ等の形で記憶させておき、観
察時には、そのときの条件に関係するデータを演算手段
15が制御手段12から取り込んで、当該諸データに対
応する電流値を記憶手段16から読み出すようにすれ
ば、電流検出手段14は不要とすることもできる。
【0034】次に、本発明の別の実施例を説明する。図
1に示したような透過電子顕微鏡では、前述したよう
に、試料面に電子線を照射すると、その照射された部分
の透過電子顕微鏡像がレンズ系3〜6に設定した倍率で
拡大されて、蛍光スクリーン8上に結像するものであ
る。したがって、試料面上における電子線の照射範囲
(広がりの大きさ)と、レンズ系3〜6の倍率、及び蛍
光スクリーン8上の透過電子顕微鏡像の大きさとの間に
は密接な関係がある。
1に示したような透過電子顕微鏡では、前述したよう
に、試料面に電子線を照射すると、その照射された部分
の透過電子顕微鏡像がレンズ系3〜6に設定した倍率で
拡大されて、蛍光スクリーン8上に結像するものであ
る。したがって、試料面上における電子線の照射範囲
(広がりの大きさ)と、レンズ系3〜6の倍率、及び蛍
光スクリーン8上の透過電子顕微鏡像の大きさとの間に
は密接な関係がある。
【0035】そこで、蛍光スクリーン8上に像を結んで
いる試料部分に対して電子線が照射されているものと仮
置きすれば、蛍光スクリーン8の実効的なスクリーンサ
イズとレンズ系3〜6の倍率とがわかれば、逆に試料面
における電子線の広がりの大きさを知ることができる。
すなわち、実効的なスクリーンサイズをS、レンズ系の
倍率をMとすれば、試料面における電子線の照射領域の
面積Rは、 R=M/S によって求めることができる。例えば、蛍光スクリーン
8のスクリーンサイズを200mmφ、レンズ系3〜6
の倍率を2000倍として観察を行っている場合には、 R=200mmφ/2000=100μmφ となり、試料面では100μmφの範囲に電子線が照射
されていると考えることができる。そして、電子線の照
射領域の形状を円とし、その中心が光軸(蛍光スクリー
ンの中心)にあるとすれば、試料面での照射領域は光軸
位置を中心として半径50μmの範囲と判定することが
できる。また、その照射面積は、100μmφの円とし
て簡単に求めることができる。
いる試料部分に対して電子線が照射されているものと仮
置きすれば、蛍光スクリーン8の実効的なスクリーンサ
イズとレンズ系3〜6の倍率とがわかれば、逆に試料面
における電子線の広がりの大きさを知ることができる。
すなわち、実効的なスクリーンサイズをS、レンズ系の
倍率をMとすれば、試料面における電子線の照射領域の
面積Rは、 R=M/S によって求めることができる。例えば、蛍光スクリーン
8のスクリーンサイズを200mmφ、レンズ系3〜6
の倍率を2000倍として観察を行っている場合には、 R=200mmφ/2000=100μmφ となり、試料面では100μmφの範囲に電子線が照射
されていると考えることができる。そして、電子線の照
射領域の形状を円とし、その中心が光軸(蛍光スクリー
ンの中心)にあるとすれば、試料面での照射領域は光軸
位置を中心として半径50μmの範囲と判定することが
できる。また、その照射面積は、100μmφの円とし
て簡単に求めることができる。
【0036】したがって、透過電子顕微鏡において、蛍
光スクリーン8の実効的スクリーンサイズに対応した試
料面の範囲、換言すれば蛍光スクリーン8に結像された
試料面の範囲を電子線の広がりの大きさと設定して、演
算手段15において微小領域単位ごとの電流量を計算す
ることが可能であり、このようにすることにより、演算
手段におけるロードを大幅に軽減することができる。
光スクリーン8の実効的スクリーンサイズに対応した試
料面の範囲、換言すれば蛍光スクリーン8に結像された
試料面の範囲を電子線の広がりの大きさと設定して、演
算手段15において微小領域単位ごとの電流量を計算す
ることが可能であり、このようにすることにより、演算
手段におけるロードを大幅に軽減することができる。
【0037】また、予め蛍光スクリーン8の実効的なサ
イズとレンズ系3〜6の各種倍率とに対応させて照射領
域の範囲や照射面積の値等に関するデータを計算し、そ
の数値をマップにして記憶手段16に記憶させておけ
ば、実際の観察時には、演算手段15は制御手段12か
ら蛍光スクリーン8の実効的なサイズとレンズ系3〜6
の各種倍率とを取り込んだ上で対応するデータを記憶手
段16から読み出せばよいだけとなり、さらにロードを
軽減することができる。
イズとレンズ系3〜6の各種倍率とに対応させて照射領
域の範囲や照射面積の値等に関するデータを計算し、そ
の数値をマップにして記憶手段16に記憶させておけ
ば、実際の観察時には、演算手段15は制御手段12か
ら蛍光スクリーン8の実効的なサイズとレンズ系3〜6
の各種倍率とを取り込んだ上で対応するデータを記憶手
段16から読み出せばよいだけとなり、さらにロードを
軽減することができる。
【0038】次に、図4を用いて、さらに別の実施例を
説明する。図4は本発明を走査電子顕微鏡に適用した場
合の一実施例の構成を示す図であり、図中、41は走査
電子顕微鏡本体、42は電子銃、43、44は集束レン
ズ、45は試料、46は試料ステージ、47は偏向コイ
ル、48は検出器、49はステージ駆動手段、50は偏
向コイル電源、51はレンズ電源、52は制御手段、5
3は操作手段、59は加算手段、60は表示手段であ
る。また、同図中、図1と同等な構成要素については同
一の符号を付す。
説明する。図4は本発明を走査電子顕微鏡に適用した場
合の一実施例の構成を示す図であり、図中、41は走査
電子顕微鏡本体、42は電子銃、43、44は集束レン
ズ、45は試料、46は試料ステージ、47は偏向コイ
ル、48は検出器、49はステージ駆動手段、50は偏
向コイル電源、51はレンズ電源、52は制御手段、5
3は操作手段、59は加算手段、60は表示手段であ
る。また、同図中、図1と同等な構成要素については同
一の符号を付す。
【0039】図4における走査電子顕微鏡本体41は、
従来より知られている一般的な走査電子顕微鏡であり、
その基本的な動作は次のようである。すなわち、電子銃
42から放射される電子線は、集束レンズ3、4によっ
て細く収束されて、試料ステージ42上に保持された試
料45に照射される。この電子線は偏向コイル47によ
って試料45上を二次元的に走査される。そして、試料
45から放出される二次電子等が検出器48で電気信号
として検出され、加算手段59を経て表示手段60に表
示される。この透過電子顕微鏡像の倍率は、観察者によ
って操作手段53から入力される指令に応じ、制御手段
52が偏向コイル電源50及びレンズ電源51を操作す
ることによって可変制御される。また、試料面の視野の
移動は、同じく操作手段53からの指令に基づいて、制
御手段52がステージ駆動手段49及び偏向コイル電源
50を制御することによって実行される このような基本的な走査電子顕微鏡の構成に加え、本実
施例ではさらに、電流検出手段14、演算手段15、記
憶手段16、17、表示手段18が備えられている。こ
れらの各構成要素は図1で説明したものと同じであり、
その動作についても図1を用いて説明した一実施例と同
様であるので、ここでは重複する説明は省略する。
従来より知られている一般的な走査電子顕微鏡であり、
その基本的な動作は次のようである。すなわち、電子銃
42から放射される電子線は、集束レンズ3、4によっ
て細く収束されて、試料ステージ42上に保持された試
料45に照射される。この電子線は偏向コイル47によ
って試料45上を二次元的に走査される。そして、試料
45から放出される二次電子等が検出器48で電気信号
として検出され、加算手段59を経て表示手段60に表
示される。この透過電子顕微鏡像の倍率は、観察者によ
って操作手段53から入力される指令に応じ、制御手段
52が偏向コイル電源50及びレンズ電源51を操作す
ることによって可変制御される。また、試料面の視野の
移動は、同じく操作手段53からの指令に基づいて、制
御手段52がステージ駆動手段49及び偏向コイル電源
50を制御することによって実行される このような基本的な走査電子顕微鏡の構成に加え、本実
施例ではさらに、電流検出手段14、演算手段15、記
憶手段16、17、表示手段18が備えられている。こ
れらの各構成要素は図1で説明したものと同じであり、
その動作についても図1を用いて説明した一実施例と同
様であるので、ここでは重複する説明は省略する。
【0040】なお、図4に示したような走査電子顕微鏡
においては、もともと二次電子像等を表示するための表
示手段60を備えているため、この表示手段60と電子
線照射状況を識別表示するための表示手段18とを共用
することも可能である。この場合には、表示手段の画面
を二分割して二次電子像等と電子線照射状況を表示する
画像とを同時に表示することもできるが、観察者からの
指示等に応じて、2つの画像を適宜切り替えて表示する
ようにしてもよい。
においては、もともと二次電子像等を表示するための表
示手段60を備えているため、この表示手段60と電子
線照射状況を識別表示するための表示手段18とを共用
することも可能である。この場合には、表示手段の画面
を二分割して二次電子像等と電子線照射状況を表示する
画像とを同時に表示することもできるが、観察者からの
指示等に応じて、2つの画像を適宜切り替えて表示する
ようにしてもよい。
【0041】以上、本発明のいくつかの実施例について
説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものでは
なく、種々の変形が可能であることは当業者に明らかで
ある。例えば、試料によっては低い倍率で観察を行って
いる場合には、試料面における電子線照射損傷がほとん
ど問題にならないような場合もある。そのような場合に
は、ある所定の倍率以上で観察するときだけ、上記の電
子線照射量の演算が行われるようにしてもよい。また、
1度観察した領域にポイント番号を自動的に付すように
し、再度観察する場合には、そのポイント番号を入力す
るだけで、所望の既観察領域が観察できるようにステー
ジ駆動手段等を制御するようにしてもよい。
説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものでは
なく、種々の変形が可能であることは当業者に明らかで
ある。例えば、試料によっては低い倍率で観察を行って
いる場合には、試料面における電子線照射損傷がほとん
ど問題にならないような場合もある。そのような場合に
は、ある所定の倍率以上で観察するときだけ、上記の電
子線照射量の演算が行われるようにしてもよい。また、
1度観察した領域にポイント番号を自動的に付すように
し、再度観察する場合には、そのポイント番号を入力す
るだけで、所望の既観察領域が観察できるようにステー
ジ駆動手段等を制御するようにしてもよい。
【図1】 本発明の一実施例の構成を示す図である。
【図2】 本発明の一実施例において、試料面上におけ
る電子線の広がりと微小領域単位の升目との関係を表し
た図である。
る電子線の広がりと微小領域単位の升目との関係を表し
た図である。
【図3】 本発明の一実施例における表示手段の表示例
を示す図である。
を示す図である。
【図4】 本発明の別の実施例の構成を示す図である。
1…透過電子顕微鏡本体、2…試料ステージ、3…対物
レンズ、4、5…中間レンズ、6…投影レンズ、7…偏
向コイル、8…蛍光スクリーン、9…ステージ駆動手
段、10…偏向コイル電源、11…レンズ電源、12…
制御手段、13…走査手段、14…電流検出手段、15
…演算手段、16、17…記憶手段、18…表示手段、
41…走査電子顕微鏡本体、42…電子銃、43、44
…集束レンズ、45…試料、46…試料ステージ、47
…偏向コイル、48…検出器、49…ステージ駆動手
段、50…偏向コイル電源、51…レンズ電源、52…
制御手段、53…操作手段、59…加算手段、60…表
示手段。
レンズ、4、5…中間レンズ、6…投影レンズ、7…偏
向コイル、8…蛍光スクリーン、9…ステージ駆動手
段、10…偏向コイル電源、11…レンズ電源、12…
制御手段、13…走査手段、14…電流検出手段、15
…演算手段、16、17…記憶手段、18…表示手段、
41…走査電子顕微鏡本体、42…電子銃、43、44
…集束レンズ、45…試料、46…試料ステージ、47
…偏向コイル、48…検出器、49…ステージ駆動手
段、50…偏向コイル電源、51…レンズ電源、52…
制御手段、53…操作手段、59…加算手段、60…表
示手段。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 37/04 H01J 37/22
Claims (2)
- 【請求項1】試料面内の観察可能な領域を微小な領域単
位に分割し、当該領域単位ごとにデータを読み書きでき
る記憶領域を有する記憶手段と、 前記微小な領域単位に対応させてデータを表示しうる表
示手段と、 観察時に、試料に照射される電子線の総電流量と広がり
の大きさとから、前記微小な領域単位ごとに照射された
単位時間ごとの電流量を逐次計算し、その電流量計算値
を順次積算させながら前記記憶手段の各々の記憶領域に
データとして記憶させるとともに、その記憶された領域
単位ごとのデータを所定の電流量積算値の範囲ごとに表
示方法を変えて前記表示手段に表示させる演算手段とを
備えることを特徴とする電子顕微鏡。 - 【請求項2】電子顕微鏡が透過電子顕微鏡であり、演算
手段において、蛍光スクリーンに結像された試料面の範
囲を前記電子線の広がりの大きさと設定して前記領域単
位ごとの電流量を計算することを特徴とする請求項1記
載の電子顕微鏡。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6053903A JP2996862B2 (ja) | 1994-03-24 | 1994-03-24 | 電子顕微鏡 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6053903A JP2996862B2 (ja) | 1994-03-24 | 1994-03-24 | 電子顕微鏡 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07262956A JPH07262956A (ja) | 1995-10-13 |
JP2996862B2 true JP2996862B2 (ja) | 2000-01-11 |
Family
ID=12955684
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6053903A Expired - Fee Related JP2996862B2 (ja) | 1994-03-24 | 1994-03-24 | 電子顕微鏡 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2996862B2 (ja) |
-
1994
- 1994-03-24 JP JP6053903A patent/JP2996862B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07262956A (ja) | 1995-10-13 |
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