JP2995991B2 - 磁心の製造方法 - Google Patents
磁心の製造方法Info
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Description
の平滑やノ−マルモ−ド用ノイズフィルタ−のコア及び
アクティブイルタ−等、あるいは高周波トランスに用い
られる恒透磁性の優れた磁心の製造方法に関する。
周波トランスに用いられるチョ−クコイルには恒透磁
性、すなわち透磁率が磁界Hの大きさに強く依存せずほ
ぼ一定な性質を有することが要求される。
金からなるいわゆるアモルファスコアにおいては、まず
鉄系の非晶質(アモルファス)合金の薄帯(以下アモル
ファスリボンという)を所定回数だけ巻き取り、これを
熱処理した後、エポキシ樹脂等の接着剤で含浸、固化さ
せ、次に磁路の一部を切断するギャップ(空隙)を設け
て前記恒透磁性を実現していた。
には数百kHz以上の高周波領域で使用されることが予
定されるが、このような高周波領域ではコアから発生す
る熱、すなわち鉄損を最小限度に抑制する必要があっ
た。
形成した磁心では、エポキシ樹脂の含浸硬化時の収縮応
力及び切断時の加工歪に加えて、切断面の絶縁不良等に
より鉄損が大幅に増大するという問題があった。
成することなく恒透磁性を実現する技術が種々提案され
ている。
c,4th Int .Conf.on Rapidl
y Metals](第1007頁〜第1010頁)に
おいて、「A.Datta」らの行った研究では、熱処
理後のアモルファスリボンの表面近傍にα−Feの微結
晶が析出し、それにより恒透磁性が発現することを明ら
かにしている。
は、微結晶化温度以下の低温で10時間以上の熱処理を
施し、表面の結晶析出を安定的に抑制し、恒透磁性を実
現する提案がなされている。
晶化に関してJ.Japan Inst.Metal
s,Vol.52,No.4(1988)pp420〜
427ではN.Moritaらが熱処理雰囲気中に水分
が含まれていると、アモルファスリボン(Fe−B−S
i系)の表面層近傍で結晶化が生じると同時に鉄損の劣
化する現象が見出されたと報告している。この報告によ
れば、Fe78.5B13Si 8.5非晶質合金薄帯を673K
で焼鈍した場合、Ar,N2,dry H2及びN2+O2
中での焼鈍によって鉄損は改善され、鉄損値は殆んど差
がないが、前記アモルファスリボンを露点323K(5
0℃)の湿潤H2雰囲気中の焼鈍においては、鉄損が劣
化することが記されている。しかしこの文献には恒透磁
性を得るための熱処理法については全く記載されていな
い。
では、アモルファスリボンの表面に微結晶を析出させる
ことにより、目的とする恒透磁性を有するコアを得るた
め、熱処理における微細な温度変化であっても、透磁率
の変動を生じる結果となり、安定した製品を大量に供給
することができないという問題点をかかえていた。
あり、熱処理条件、特に熱処理雰囲気中の水蒸気量を制
御することにより、ギャップを形成しない場合において
も恒透磁性を有するコア(磁心)を提供し、かつ恒透磁
性を実現するための好適な熱処理温度の幅を広げ、鉄損
が少なくかつ低透磁率領域において安定した特性を備え
たコア(磁心)を提供することにある。
雰囲気に湿度を特定量導入することにより、磁心にギャ
ップを設けない場合でも広い温度範囲で、しかも鉄損が
少なく、かつ低透磁性領域で安定した恒透磁性が得られ
ることを見出した。
らなる磁心本体を得た後、この磁心本体を、25℃換算
における単位水蒸気量が5〜500g/m3の、い わゆる
湿潤雰囲気中において熱処理するものである。
ァスリボンを巻回又は積層すること等によって得られ
る。たとえばアモルファス合金製のリボン(薄帯)をス
リット状に加工してこれを巻回した後、巻き端をカプト
ンテ−プ等を貼付して固定したものあるいはアモルファ
スリボンを積層して、必要により所定形状に打抜いたも
のが使用できる。
は、合金中のFeの含有量が50原子%以上のFe基ア
モルファス合金(金属)であり、これらのFe基アモル
ファス合金としては、Fe−B,Fe−B−C,Fe−
B−Si,Fe−B−Si−C,Fe−B−Si−C
r,Fe−Co−B−Si,Fe−Ni−Mo−B等の
Fe系のものを例示できる。
金属としては、、FeXSiYBZMWを例示できる。ここ
でX=50〜85、Y=5〜15、Z=5〜25(X,
Y,Zいずれも原子%を表す)の範囲である。また、M
はCo,Ni,Nb,Ta,Mo,W,Zr,Cu,C
r,Mn,Al,P等の一種または二種以上の組合せか
らなる金属で、W=0〜10(好ましくは0〜5)原子
%のものを例示できる。
の25℃換算における単位水蒸気量が5〜500g/m3
のものが用いられる。
〜500g/m3の範囲内にすることによりギャップを設
けない場合でも広い熱処理温度範囲で、鉄損が少なく、
かつ低透磁率領域で安定した恒透磁性が得られる。
算)は好ましくは8〜200g/m3,更に好ましくは
10〜80g/m3,最も好ましくは20〜80g/m3
である。なお本発明で25℃換算における気体雰囲気中
の単位水蒸気量とは所定(熱処理)温度における気体雰
囲気中の単位水蒸気量を大気圧下において25℃おける
場合に換算した単位水蒸気量である。
件であってもよいが、好ましくは窒素、アルゴン、ヘリ
ウム雰囲気等の不活性ガス雰囲気を用いることにより、
アモルファスリボンの端部止めに用いたカプトンテ−プ
の剥離等を防止することができ、また表面に耐候性のよ
い被膜が形成されるので不活性ガス雰囲気下で行うこと
が好ましく、実用面から特に窒素雰囲気下が好ましい。
の変化を、各熱処理温度について示したものである。
系平滑チョークで代表されるように、直流重畳磁界の増
加によって急激な透磁率の低下が少ないことが望まし
い。
e)における透磁率を測定するだけで、直流磁界を重畳
した場合の透磁率、すなわち恒透磁性を推測することが
できる。
状態(0Oe)における磁心の透磁率を下げることによっ
て恒透磁性の得られることがわかる。
熱処理温度を高温にすればよいが、熱処理温度を高くす
ることによって鉄損も増大してしまう。この点について
本発明は下記のように比較的低温の広い領域での透磁率
の制御を実現している。
て得られた磁心本体(実施例で製作した熱処理前の磁心
本体と同じものを用いた)(ギャップは有していない)
に対して、熱処理雰囲気として、空気、酸素、窒素雰囲
気のそれぞれについて乾燥状態および湿潤状態(25℃
換算における単位水蒸気量が23g/m3)で処理した場
合の熱処理温度と透磁率との関係を示している。
カ−ド株式会社製プレシジョンLCRメ−タ(HP42
84A)を用いて100kHz、5mOeの交流磁界印
加時(直流磁界は0(Oe))に測定したものである。
この透磁率を知ることにより、直流磁界を重畳したとき
の恒透磁性を推測することができる。好ましい恒透磁性
が得られる透磁率の範囲は150〜600である。
雰囲気中で熱処理を行った場合には、450℃(2時
間)以下の比較的低温領域で透磁率を抑制できる。
る単位水蒸気(含有)量が5〜500g/m3、好ましく
は8〜200g/m3、更に好ましくは10〜80g/
m3、最も好ましくは20〜80g/m3の湿潤雰囲気中で
処理することにより、比較的低温領域で熱処理した場合
においても磁心の透磁率を抑制し、広い温度範囲で、鉄
損が少なく、かつ安定的な恒透磁性を得ることができ
る。
じ磁心本体を用いた場合における各雰囲気条件における
熱処理温度と鉄損との関係を示したのが図2および図
7、透磁率と鉄損との関係を示したものが図3である。
酸素、窒素も25℃換算における単位水蒸気含有量が2
3g/m3の状態の空気、酸素又は窒素を示す。
雰囲気中といおいては、熱処理温度に対する鉄損の変化
はほぼ等しく、湿潤雰囲気での熱処理が乾燥雰囲気での
熱処理に比べて鉄損を増大させるものではないことを示
している。
る範囲から湿潤雰囲気は乾燥雰囲気よりも鉄損が増大す
る特性があることがわかるが、本発明が目的とする恒透
磁性が得られる透磁率範囲100〜600程度の、いわ
ゆる低透磁率領域においては乾燥雰囲気に比較した鉄損
の劣化は全くない。
を抑制し、広い温度範囲で恒透磁性を得、かつ鉄損の劣
化を防ぐためには熱処理温度Tは下記の数1、特に数2
の範囲にあることが好ましい。
ァス合金の結晶化温度を示している。
に、結晶化温度Txを用いて限定したのは、これよりも
低温側(Tx−100℃)より低温では恒透磁性が損な
われ、高温側(Tx−5℃)より高温では鉄損が増大す
るためである。
るために、特に数式2の範囲で行うことが好ましい。
0mg,加熱速度10℃/min,N2雰囲気中で測定した発
熱ピーク曲線から最も低い温度の発熱ピークの低温側の
ベースラインの高温側への延長線と、発熱ピークの低温
側の曲線に勾配が最大になる点で引いた接線との交点と
して求めた。
1分〜20時間、特に30分〜3時間が好ましい。最適
熱処理温度の範囲は、その合金組成によって異なるが、
アライド社のアモルファス合金である2605S−2
(Fe78B13Si9(原子%):Tx=501℃)を用
いたときの最適熱処理温度範囲は496℃〜401℃、
特に好ましくは481℃〜436℃である。
示したものである。同図から明かなように、処理温度が
低温であるほど僅かな水蒸気量で透磁率を抑制できるこ
とがわかった。すなわち、このような低温領域では、湿
潤雰囲気を導入することによって安定的な恒透磁性の得
られることが判明した。
名:Metglas,品番:2605S−2,組成:F
e78B13Si9(原子%),厚さ21μm,幅10mm)
を巻回 して、得られた外径25mm,内径15mmのトロ
イダル状の磁心本体を電気炉において、処理温度445
℃にて2時間焼鈍した。このとき、焼鈍雰囲気として
は、窒素ガス中に25℃換算での単位水蒸気量が25g/
m3の湿潤雰囲気とした。そして、この磁心本体にギャッ
プを設けることなく合成樹脂からなるケースに収容し、
磁心とした。
との関係を図6に示す。同図では、比較のために前記磁
心と同条件で得られたギャップチョークと、センダスト
の圧粉を成形して得られたダストチョークとのそれぞれ
の特性をプロットしてある。
れた磁心は、ダストチョークと近似した特性を有し、か
つ重畳の全般にわたってダストチョークよりも高い透磁
率を得ることができた。また、ギャップチョークのよう
に100(Oe)以下での急激な透磁率の低下もなかった。
気量を制御することにより、鉄損が少なくかつ低透磁率
領域において安定した特性を備えた磁心を提供できる。
度制御の幅を広くとれるため、多少の制御温度の誤差を
生じていても安定した特性の製品を供給できるため、磁
心の生産性を向上させることができる。
の好適な用途としては、チョークコイル等を挙げること
ができる。
温度と透磁率との関係を示すグラフ図
度と鉄損との関係を示すグラフ図
ラフ図
示すグラフ図
係を示すグラフ図
較で直流重畳磁界特性を示したグラフ図
度と鉄損との関係を示すグラフ図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 鉄系の非晶質合金からなる磁心本体を、
25℃換算での単位水蒸気量が5〜500g/m3の湿潤
雰囲気中において熱処理することを 特徴とする磁心の
製造方法。 - 【請求項2】 磁心本体が鉄系の非晶質合金の薄帯を巻
回又は積層することにより得られたものである請求項1
記載の磁心の製造方法。 - 【請求項3】 前記湿潤雰囲気は、窒素雰囲気中に形成
されていることを特徴とする請求項1又は2記載の磁心
の製造方法。 - 【請求項4】 前記熱処理温度は、結晶化温度Txにお
いてTx−5℃〜Tx−100℃の範囲で、1分〜20
時間熱処理することを特徴とする請求項1ないし3のい
ずれかに記載の磁心の製造方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP3764291 | 1991-03-04 | ||
JP3-37642 | 1991-03-04 |
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Publication Number | Publication Date |
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Family Applications (1)
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JP4736992A Expired - Lifetime JP2995991B2 (ja) | 1991-03-04 | 1992-03-04 | 磁心の製造方法 |
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Families Citing this family (3)
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-
1992
- 1992-03-04 JP JP4736992A patent/JP2995991B2/ja not_active Expired - Lifetime
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