JP2995441B2 - 血漿粉末の脱臭法 - Google Patents

血漿粉末の脱臭法

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雅也 立石
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  • Meat, Egg Or Seafood Products (AREA)
  • Grain Derivatives (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は血漿粉末の脱臭法に関す
るものであって、食品用素材として有用な脱臭血漿粉末
を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】血漿粉末は、牛または豚等の血液にクエ
ン酸ナトリウムなどの凝固防止剤を加えて遠心分離して
血漿を得、これを噴霧乾燥法または円筒乾燥法により粉
末にして製造されている。しかしながら、この方法によ
り得られた血漿粉末は経時的に不快臭を発生し、食品素
材として用途が限定されている。このため血漿をpH4
〜5に調整した後、活性炭を加え濾過して噴霧乾燥する
方法も考えられているが、脱臭効果が不完全でかつpH
4〜5に調整した際に一部の蛋白質が変性沈澱し、著し
く収率が不良となる。またpHを調整しない場合はほと
んど脱臭効果が認められない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】血漿を噴霧乾燥した直
後の血漿粉末はほとんど無臭であるが、これを保存した
場合急速に臭気が悪化し、獣臭に似た不快臭を有するに
至る。この理由は蛋白質と結合した脂質の酸化であろう
とされている。本発明者らは不快臭の原因となる物質を
除去すべく、血漿の脱臭効果が強く、かつ脱臭血漿粉末
の収率がよく、また脱臭操作が簡便な吸着物質を求めて
研究を続けてきた。
【0004】
【問題を解決するための手段】本発明者らは、前記過程
において水に不溶あるいは難溶性のサイクロデキストリ
ンに着目し、これを利用することにより本発明を完成す
るに至った。現在サイクロデキストリンは、揮発性物質
の安定化,食品の消臭と風味の改善,退色の防止,粉末
化基剤等に使用されている。しかしながら、これらの用
途に使用されているサイクロデキストリンは、水への溶
解性の高いもの、あるいは誘導体化することによって水
への溶解性を高めたものであり、本発明で使用する水に
不溶あるいは難溶性のサイクロデキストリンとは全く物
性が異なるものである。血漿粉末の不快臭は、有臭気体
の吸着のよるものではなく、血漿中に不快臭発生の前駆
物質と思われる脂質がコロイダルに溶解しており、これ
を吸着するものと思われる。本発明者らは、血漿をサイ
クロデキストリンで処理することにより、不快臭発生の
前駆物質を包接させて除去し、この血漿を乾燥した血漿
粉末は長期保存しても不快臭の発現がないことを見いだ
した。
【0005】本発明で使用するサイクロデキストリン
は、水に不溶あるいは難溶性のものであればどんなもの
でもよく、たとえば市販されているものではβ−サイク
ロデキストリン(25℃で100 mlの水に対し1.8 g溶解
する。)等があげられる。水に対する溶解性が高いと血
漿との分離が困難となるため本発明には使用しがたい。
本発明の実施の当たっては、円筒にサイクロデキストリ
ンを充填して上部から血漿を流下させるか、あるいはタ
ンク中の血漿にサイクロデキストリンを添加し、その後
濾過するか、各種の方法で行なうことができる。不快臭
発生の前駆物質を包接したサイクロデキストリンは、エ
タノール,イソプロパノール,アセトンまたは水などの
溶剤で洗浄することにより容易に前駆物質が除去され、
再生されるので経済的にも有利である。
【0006】
【実施例】
実施例1 径50cm高さ100 cmの円筒であって底部に取り出し口のあ
る容器にβ−サイクロデキストリンを充填し、予め凍結
血漿を解凍した豚血漿5t を該容器に流し込み、底部か
ら血漿を抜き取って処理血漿3.70t を得た。処理血漿を
噴霧乾燥機により粉末化し本発明品(1)259 kgを得
た。
【0007】実施例2 と畜場で採血し、凝固防止剤としてクエン酸ナトリウム
を加えて遠心分離して得た牛血漿5t にβ−サイクロデ
キストリン750 kgを加えた後、遠心分離,濾過し処理血
漿3.62 tを得た。その後、処理血漿を噴霧乾燥機により
粉末化し、本発明品(2)252.8 kgを得た。
【0008】比較例1 実施例1と同様の解凍血漿5t に塩酸を加えpH4に調
整し20分間撹拌した。これに活性炭を75kg加えた後、濾
過し活性炭処理血漿3.65 tを得た。得られた活性炭処理
血漿を噴霧乾燥機により粉末化し活性炭処理品262.8 kg
を得た。次に解凍血漿5t をそのまま噴霧乾燥した血漿
粉末360.0 kgを対照品として、本発明品(1),(2)
及び活性炭処理品を30℃,10日間保存し、臭気を比較し
たところ、対照品は不快臭が強かったが、本発明品
(1),(2)はともに無臭であった。活性炭処理品は
やや不快臭がした。
【0009】
【発明の効果】血漿粉末は、加熱ゲル化性蛋白質として
利用価値が高い。しかしながらその臭気のため畜肉加工
品などに少量利用されるにすぎなかった。本発明による
脱臭血漿粉末は、加熱ゲル化性を損なう事無くまた収率
もよいため、畜肉加工品のほか、水練り製品,麺類,製
菓,製パン,惣菜など各種の食品に多量使用でき、新規
食品素材として甚だ有用である。またこの結果、従来多
量に廃棄されていたと畜血液の有効利用にも役立つ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−108342(JP,A) 特開 平3−80052(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A23L 1/312 A23J 3/12 A23L 1/015

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 血漿に水に不溶又は難溶性のβ−サイク
    ロデキストリンを添加し、脱臭処理した後、β−サイク
    ロデキストリンを分離除去する工程と、その後乾燥して
    粉末とする工程を有することを特徴とする血漿粉末の脱
    臭方法。
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