JP2994404B2 - バインダーをフォーム状にして塗布する研磨シートの製造方法 - Google Patents

バインダーをフォーム状にして塗布する研磨シートの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の分野 本発明は、研磨シートの製造方法に関するもので、特
に、研磨材粒子が単層で、表面精度を良く基板シートに
接着した研磨シートの製造方法に関するものである。
従来技術および発明が解決しようとする課題 従来の研磨シートは、第3図に示すように、研磨材粒
子3をバインダー4としてのポリエステル樹脂などの接
着剤および硬化剤と混合撹拌し、ポリエステルなどのプ
ラスチックシート1に均一に塗布して乾燥硬化させて製
造したものである。
このようにして製造された研磨シートは、研磨層2の
表面に露出している一部の研磨材粒子3aのみが研磨に寄
与し、他の多数の粒子は研磨層の内部に埋没したまま
で、研磨には寄与しなかった。それ故、研磨層を薄くし
て、内部に埋没した粒子の数を少なくする方法が開発さ
れた。しかし、例えば、研磨材粒子が単層になるよう研
磨層の厚さを形成すると、第4図に示すように、研磨材
粒子の粒径の大きさのバラツキ5のため、平面精度の悪
い研磨シートとなる。
また、平面精度がよくなるようにするため、第5図に
示すようにローラー(第5a図)又はブレード(第5b図)
を使用する製造方法では、研磨材粒子の大きいもの3′
が、ローラー6又はブレード7に引っ掛かり、研磨シー
トに溝スジを作るという製造上の難点がある。
上記のような問題を解消するために、理想的に粒径の
そろった研磨材粒子を塗布するにしても、第6図に示す
ように稠密に研磨材粒子を並べる方法(第6a図)と、他
の並べる方法(第6b図)とが存在するため、実際に製造
した研磨シートの研磨層の厚さを、第3図に示した研磨
層の厚さのように、粒径の数倍にしないと平面精度の良
い研磨シートは得られなかった。それ故、研磨層の表面
に露出した一部の粒子のみが研磨に有効に寄与し、他の
多数の粒子は有効に寄与しなかった。このことは、ダイ
ヤモンドやその他の高価な研磨材粒子を使用する研磨シ
ートを製造する場合、研磨シートのコストを実質的に高
くする原因となっていた。
本発明はこのような問題を考慮してなされたもので、
したがって、その目的は、ダイヤモンドのような比較的
高価な研磨材粒子を、研磨層にできるだけまばらに分布
させ、しかも研磨層が薄くて平面精度の良い研磨シート
を製造する方法を提供することである。
課題を解決するための手段 本発明は、ダイヤモンドのような比較的高価な研磨材
粒子をプラスチック基板シート表面に、できるだけまば
らに分布させ、しかも表面精度良く接着させる研磨シー
トの製造方法で、研磨材粒子とそのバインダーである樹
脂接着剤を混合してスラリー状とした後、このスラリー
を発泡させて発泡体状としてプラスチック基板上に均一
に塗布することを特徴とする方法である。ここで、均一
にしかも平面精度を良くするために、研磨材粒子が混合
された発泡体を、塗布時には比較的厚く塗布しても差し
支えない。
塗布後一定時間加熱するか、または消泡剤を噴霧し
て、泡を消滅させると、基板シート上に薄くて平面精度
も良く、しかも研磨材粒子がまばらに分布した研磨層が
形成され、目的とする研磨シートを製造できる。
研磨材粒子とバインダー接着剤を混合したスラリーを
発泡体状にするために、アゾジカルボンアミド、ジニト
ロソペンタメチレンテトラミン、脂肪酸モノグリセリ
ド、硫酸エステル塩、ショ糖脂肪酸エステル、硫酸ドデ
シル塩、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテ
ル、重炭酸アンモニウムといった化学的な発泡剤をその
中に加え、加熱してもよく、また、研磨材粒子とバイン
ダー接着剤を混合したスラリー中にノズルにより圧縮空
気、圧縮窒素、または液化プロパンガスを吹き込んでも
よい。
研磨材粒子とバインダー接着剤を混合して発泡体状と
したときに発生した泡を安定化させるために、ドデシル
酸ジエタノールアミド、ドデシルジメチルアミンオキシ
ドといった安定剤をそのスラリー中に添加することがで
きる。
研磨材粒子とバインダー接着剤を混合して発泡体状と
したときに発生した泡を消す必要があるときは、メタノ
ール、ブタノール、ジメチルポリシロキサン、低級アル
コール、鉱物油といった消泡剤をその発泡体表面に噴霧
してもよい。
研磨シート基板として、紙または布を用いる場合は、
バインダー接着剤として酢酸ビニール樹脂エマルジョン
を使用し得る。
実施例 本発明の研磨シートを製造する方法を図を参照して説
明する。
まず、研磨シートに接着される研磨材粒子を、温度10
0〜150℃で1時間以上加熱して、粒子表面の水分を除
く。この接着される研磨材粒子としては、直径が0.3μ
m〜40μmのダイヤモンド、酸化アルミニウム、シリコ
ンカーバイドなどを用いることもできる。次に、この研
磨材粒子とバインダー接着剤とを混合する。バインダー
接着剤としてはポリエステル樹脂接着剤が好適である
が、これに限定されるものではない。具体的には、ダイ
ヤモンド(平均直径3μm)1kgを100℃で1時間加熱
後、飽和ポリエステル樹脂1kgと混合したが、これは例
示である。
この混合物に、トルエン、キシレン、酢酸エチル、メ
チルエチルケトンの混合溶媒を加えてよく撹拌し、粘度
500cpのスラリーとする。次に網目の間隔が5μmの金
網フィルターでスラリーをろ過する。その後イソシアネ
ート系硬化剤7.5gと、必要に応じて発泡剤であるアゾジ
カルボンアミド10〜20gをこのスラリーに加え、さらに
上記と同じ組成の混合溶媒を撹拌しながら徐々に加え
て、スラリーの粘度を1〜150cp程度に低下させる。
ここで使用する発泡材は、アゾジカルボンアミドのほ
か、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、脂肪酸モノ
グリセリド、硫酸エステル塩、ショ糖脂肪酸エステル、
硫酸ドデシル酸、ポリエチレングリコールモノラウリル
エーテル、重炭酸アンモニウムなどがある。
粘度の低下したスラリーは、撹拌器のついたバットに
移される。バットの底部には、多数のノズルが設けられ
ており、そこから1.1〜1.2気圧の圧縮空気がスラリー中
に吹き込まれる。すると、スラリーは撹拌されながら発
泡して発泡体状となる。
泡の直径は、スラリーの粘度、温度、ノズルの直径及
び空気圧などにより変化するが、0.2μmから5mm以上の
ものまで発生させることができる。また、発泡体状にな
ったスラリーの密度は、もとの密度の1/2〜1/100程度に
なる。
実際の製造過程では、泡の直径は1μmから20μm程
度が良く、それより直径が大きいと、出来上がった研磨
シートの表面の平面精度が悪く、また、それより泡が小
さいと、泡の消滅に時間がかかるのでよくない。
第1a図または第1b図に示すように、研磨材粒子とバイ
ンダー接着剤を発泡体状にした後、ローラー6又はブレ
ード7で、厚さ10〜20μmとして基板プラスチックシー
ト1上に均一に塗布し、研磨材粒子3、バインダー接着
剤4および泡15を含む発泡体の塗布層12を形成する。こ
の基板プラスチックシートは、厚さが16〜150μmのポ
リエステルシートが好適である。
なお、発泡体状にしたときに発生する泡を安定させる
ときは、ドデシル酸ジエタノールアミド、またはドデシ
ルジメチルアミンオキシドをスラリーに添加しておく。
その後、加熱器に入れて90〜100℃で1〜2分間加熱
する。この過程で泡は消滅するが、泡が消滅しにくい場
合は、塗布された発泡体の表面に、メタノール、ブタノ
ール、ジメチルポリシロキサン、低級アルコール、鉱物
油といった消泡剤を噴霧すると、泡は容易に消滅し、薄
くて、表面精度の良い研磨層2を基板シート1上に形成
できる(第1図参照)。
このようにして、泡の消滅による発泡体の体積の減少
により、研磨層が薄くて研磨材粒子が単層でまばらに分
布した研磨シートは、温度40〜180℃で5〜12時間のキ
ュアリング過程を経て、第2図に示すような完成品とな
る。
効果 本発明の製造方法を実施することにより、研磨材粒子
を研磨層にできるだけまばらに分布させることができ、
しかもその研磨層が薄くて平面精度の良い研磨シートを
製造することができる。このため、研磨に寄与しない研
磨材粒子を非常に減少させることができ、このことは研
磨材粒子としてダイヤモンドを利用する場合に、特に研
磨シートの製造コストを著しく低下させる。
【図面の簡単な説明】
第1a図は、本発明を実施して研磨材粒子とバインダー接
着剤を発泡体状にして基板シートに塗布し、ローラーに
より平坦な発泡体塗布層を形成するところを示し、第1b
図は、本発明を実施して研磨材粒子とバインダー接着剤
を発泡体状にして基板シートに塗布し、ブレードにより
平坦な発泡体塗布層を形成するところを示す。 第2図は、第1図の発泡体塗布層の泡が消え、研磨材粒
子が面精度良く、さらにまばらに分布した形成された研
磨シートを示す。 第3図は、研磨に寄与しない、研磨層内部に埋没した粒
子を有する従来の研磨シートを示す。 第4図は、粒径のバラツキのため平面精度を悪くした単
層の研磨材粒子にり形成される従来の研磨シートを示
す。 第5a図は従来の研磨シートの製造方法において行われ
る、研磨層の平面精度を良くするためのローラーの使用
を示し、第5b図は従来の研磨シートの製造方法において
行われる、研磨材粒子層の平面精度を良くするためのブ
レードの使用を示す。 第6a図は、研磨層の2〜3層を稠密に並べた研磨シート
を示し、第6b図は研磨層の2〜3層を積み上げるように
並べた研磨シートを示す。 [主要符号の説明] 1……基板シート 2……研磨層 3……研磨材粒子 4……バインダー(接着剤) 12……発泡体塗布層 15……泡

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】研磨シートの製造方法であって、 研磨材粒子とバインダー接着剤とを混合してスラリーと
    する工程、 前記スラリーを発泡させて発泡体状とする工程、 発泡体状とした前記スラリーを、基板の少なくとも片面
    に塗布する工程、及び 前記スラリーを発泡体状としたときに発生した泡を消し
    て、前記基板上に研磨層を形成する工程、 を含む、 研磨シートの製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の製造方法であって、 前記発泡体状とする工程は、前記スラリーに、アゾジカ
    ルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、
    脂肪酸モノグリセリド、硫酸エステル塩、ショ糖脂肪酸
    エステル、硫酸ドデシル塩、ポリエチレングリコールモ
    ノラウリルエーテル、重炭酸アンモニウムからなる群か
    ら選択された化学的な発泡剤を加え、加熱することによ
    り行われる、 ところの方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の製造方法であって、 前記発泡体状とする工程は、前記スラリーに、ノズルに
    より圧縮空気、圧縮窒素、または液化プロパンガスを吹
    き込むことにより行われる、 ところの方法。
  4. 【請求項4】請求項1記載の製造方法であって、 前記スラリーを発泡体状としたときに発生した泡を安定
    化するために、ドデシル酸ジエタノールアミド、ドデシ
    ルジメチルアミンオキシドからなる群から選択された安
    定剤が前記スラリー中に添加される、 ところの方法。
  5. 【請求項5】請求項1記載の製造方法であって、 前記スラリーを発泡体状としたときに発生した泡を消す
    ために、メタノール、ブタノール、ジメチルポリシロキ
    サン、低級アルコール、鉱物油から選択された消泡剤が
    前記発泡体表面に噴霧される、 ところの方法。
  6. 【請求項6】請求項1記載の製造方法であって、 基板として紙または布を用いる場合は、バインダー接着
    剤として酢酸ビニール樹脂エマルジョンが使用される、 ところの方法。
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