JP2993136B2 - 電子楽器 - Google Patents

電子楽器

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JP2993136B2
JP2993136B2 JP3017007A JP1700791A JP2993136B2 JP 2993136 B2 JP2993136 B2 JP 2993136B2 JP 3017007 A JP3017007 A JP 3017007A JP 1700791 A JP1700791 A JP 1700791A JP 2993136 B2 JP2993136 B2 JP 2993136B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子楽器に関し、特に
擦弦楽器の楽音発生に適した電子楽器に関する。
【0002】
【従来の技術】電子楽器のうち、大部分のものは鍵盤を
主たる演奏操作子として用いる。鍵盤は、多数の鍵を有
し、各鍵を操作することによって対応する音高の情報を
発生させる。また押鍵速度、押鍵圧力等による音色、音
量の変化も行なう。これらは主としてピアノ等の鍵盤楽
器の楽音発生に適したものである。
【0003】近年、擦弦楽器の楽音を発生させることの
できる電子楽器の開発が進められている。擦弦楽器にお
いては、指板上で弦を押さえる指の位置を連続的に変化
させると音高が連続的に変化する。また、弓が弦を擦る
弓速、弓が弦を押さえる弓圧を連続的に変化できる。こ
れらの連続変化量に応じて、持続する楽音を表情豊かに
変化させることができる。
【0004】電子楽器においても、表情豊かに変化する
持続楽音を発生させることが望まれる。このためには、
連続的に変化できる制御変数を発生させることが好まし
いが、鍵盤を演奏操作子として用いると、このような持
続楽音の変化を付けにくく、演奏が単調なものになりや
すい。
【0005】そこで、バイオリン等擦弦楽器のイメージ
に近いリアルタイム演奏操作子を用い、擦弦楽器におけ
る弓速や弓圧に相当する速度や圧力を音源の制御パラメ
ータとして入力することが考えられている。
【0006】本出願人は、圧力センサを備えた1次元以
上の種々の操作子を提案している。たとえば、スライド
ボリューム等を用いて楽音を制御し、発音時の特性の制
御や人間らしいゆらぎ等をコントロールする。
【0007】音源回路としては、最近物理モデル音源と
呼ばれるものが開発された。共鳴体の動作を近似する閉
ループ回路に振動源を近似する非線形回路から入力信号
を供給する。この物理モデル音源を用いて、たとえば擦
弦楽器の楽音を発生させる時は、楽音パラメータとして
弓速信号や弓圧信号が必要となる。
【0008】上述のスライドボリューム型操作子におい
ては、スライドボリュームをスライドさせる速さから弓
速信号を形成し、つまみを押付ける力から弓圧信号を形
成することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】スライドボリューム型
操作子は、つまみ(摺動接点)を本体から離すことがで
きず、任意の位置から演奏を始めることはできない。ま
た、振り下したり弾ませたりする演奏ができない。
【0010】このため、擦弦楽器の運弓法におけるスピ
カートのような演奏が不可能だった。
【0011】本発明の目的は、弾むような楽音の発生も
可能な電子楽器を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の楽音信号発生装
置は、楽音信号を発生する楽音信号発生手段と、演奏者
が操作する操作子と、前記操作子の運動を受ける被操作
子と、前記操作子の前記被操作子上での位置、位置の変
化、及び圧力を検出し検出信号を出力する運動検出手段
と、前記検出信号に基づき前記操作子が前記被操作子を
叩いたことを検出する叩き検出手段と、前記叩き検出手
段が、前記操作子が被操作子を叩いたことを検出したか
否かに応じた、異なる態様の制御を、前記検出信号に基
づいて、前記楽音信号発生手段に対して行う制御手段と
を有する。
【0013】
【作用】演奏者が操作する操作子と、操作子の運動を受
ける別体の被操作子とを用いることにより、演奏者は操
作子を被操作子に叩き付けたり、弾ませたりすることが
できる。勿論、操作子を被操作子上で連続的に移動さ
せ、速度信号、圧力信号を発生できる通常演奏を行なう
こともできる。
【0014】叩き検出手段は、操作子で被操作子を叩い
た動作(弾ませる動作を含む)を検出し、叩きが検出さ
れた時は通常の制御と異なる制御を行なう。
【0015】このようにして、スピカートのような弾む
演奏も可能になり、演奏の表現力が向上する。
【0016】
【実施例】まず、図1を参照して、基本構成を説明す
る。
【0017】演奏操作手段3は、操作子1と被操作子2
を含む。操作子1と被操作子2は、互いに相関して運動
を行なうことによって、楽音信号制御用のパラメータを
発生する。演奏操作手段3は、これら操作子1、被操作
子2の他、他の操作子、たとえば鍵盤等を有することが
できる。
【0018】通常の演奏操作においては、操作子1の被
操作子2に対する相対的運動から発生した速度、圧力等
の楽音制御パラメータが制御手段8に送られ、楽音発生
回路9の楽音発生を制御する。
【0019】操作子1によって被操作子2を叩いた時
は、叩き検出手段7が叩いた動作を検出し、制御手段8
を制御して通常の制御とは異なる制御を行なう。この異
なる制御において、制御手段8は楽音発生手段9から弾
むような楽音を発生させる。
【0020】このような基本構成を実施するためのより
具体的な構成を図2を参照して説明する。図2(A)
は、電子楽器の外観を示す。スティック型の操作子1
は、タブレット型の被操作子2の上で操作する。操作子
1は、図2(B)に示すような構造を有する。すなわ
ち、ジュラコン等の材料で形成されたスティックハウジ
ング14の中に、コイル11が埋め込まれており、コイ
ル用電気回路13から電流を供給され、その周囲に磁界
を発生させる。スティックハウジング14中間部分には
歪ゲージ12が接着されている。スティックハウジング
14が、タブレット状被操作子2に叩き付けられて弾性
変形すると、この変形が歪ゲージ12によって検出さ
れ、コード15を介して本体に送られる。スティックハ
ウジング14は、たとえば長さ約30cm、直径約8m
m程度の大きさを有する。タブレット状被操作子2に
は、x方向、y方向に走査線が張られており、操作子1
の先端を被操作子2上に配置すると、コイル11が発生
する磁界が走査線によって検出される。すなわち、操作
子1の先端が被操作子2の面上のどこに配置されている
かが被操作子2から検出される。この位置を定期的に検
出すると、位置の変化から速度信号が形成される。歪ゲ
ージ12が検出する圧力信号と、被操作子2が検出する
位置の信号とにより運弓楽器の弓圧信号と弓速信号を形
成することができる。
【0021】なお、この電子楽器には鍵盤4、ポルタメ
ントバー5も備えられている。鍵盤4を押鍵することに
より、発生する楽音の音高を指定することができる。ま
た、ポルタメントバーを用いて音高を連続的に滑らかに
変化させることもできる。その他鍵の下部にイーチキー
アフタセンサ、横揺れ検出センサ等を設けてもよい。
【0022】スピカート演奏のような弾む音を発生させ
る時には、操作子1を被操作子2上で軽く弾ませるよう
にして演奏操作する。
【0023】図2に示すような電子楽器内における回路
を図3に示す。操作子1は、圧力検出回路16に接続さ
れ、被操作子2は速度検出回路17に接続されている。
速度検出回路17は、被操作子2上の操作子1の位置の
変化から速度を検出する。また、鍵盤4はキースイッチ
回路19に接続され、音高信号を供給する。CPU23
は、バス27を介して圧力検出回路16、速度検出回路
17、キースイッチ回路19から演奏操作データを受取
り、ROM21に格納されたプログラムにしたがって、
RAM22のレジスタ等を用いつつ楽音信号制御パラメ
ータ等を演算し、物理モデル音源20に楽音制御パラメ
ータを供給する。物理モデル音源20は、楽音制御パラ
メータに基づいて楽音信号を形成し、楽音信号をサウン
ドシステム25に送り楽音を発生させる。なおタイマ2
4はCPU23等をタイミング制御する。
【0024】RAM22に形成されるレジスタのうち、
主のものを以下に説明する。
【0025】KCD キーコードレジスタであり、鍵に
対応するキーコードを格納するレジスタである。
【0026】PRS 圧力データレジスタであり、弓圧
データを格納する。
【0027】VEL 速度データレジスタであり、弓速
データを格納する。
【0028】POSTN1 新たに検出された位置デー
タを格納する位置データレジスタである。
【0029】POSTN2 前回検出された位置データ
を格納する前位置データレジスタである。
【0030】DIFF 今回の位置データと前回の位置
データの差を格納する位置差データレジスタである。
【0031】spiccato スピカート処理が行な
われている時、スピカート処理用のパラメータを格納す
るレジスタであり、実施例においては最大値25の数を
格納する。
【0032】basepress 演算に使われる圧力
データを格納するレジスタである。
【0033】basespeed 演算に使われる速度
データを格納するレジスタである。
【0034】plag1 1サンプル前の圧力値を格納
するレジスタである。
【0035】plag2 2サンプル前の圧力値を格納
するレジスタである。
【0036】VOL 音源回路内部のボリューム制御変
数を格納するレジスタである。
【0037】NORMAL 音量を一定にする時の定数
を格納するレジスタである。
【0038】THR スピカート処理に入る時の閾値を
格納するレジスタである。
【0039】自然擦弦楽器においては、楽音を発生させ
るために適当な弓速と弓圧の領域が存在する。図3に示
す回路において、物理モデル音源20から適当な楽音信
号を発生させるためにも、同様に好適な弓速、弓圧の範
囲が存在する。
【0040】図4は、擦弦楽器における発音領域を示
す。楽音が発生する際には、鳴り始めと表記した領域に
弓速、弓圧が存在することが必要であり、一旦楽音が発
生した際には、持続時と表記したより広い領域に弓速、
弓圧が存在することが必要である。演奏の初心者は、こ
の領域に弓速、弓圧を形成することが難しい場合もあ
る。そこで、図3に示す回路においては、図4に示す発
音領域外の弓速、弓圧が供給された時には、演算処理、
テーブル処理等によりデータを修正して発音領域内の弓
速、弓圧信号を形成し、物理モデル音源20に供給す
る。
【0041】なお、演奏操作により弓速、弓圧を変化さ
せた際、ノイズによってデータの値が飛ぶことがある。
このようなノイズに対処するため、通常データの補間作
業(平均化、急な変化の除去等)を行なう。
【0042】図5は物理モデル音源20の要部を示す。
【0043】この音源回路には、上述のように形成され
た楽音パラメータである弓速信号、音高(ピッチ)信
号、弓圧信号の他の必要に応じて弓位置信号等が供給さ
れる。弓速信号は加算回路52に入力される。管楽器の
場合は、息圧または唇の構えを表わすアンブシュアが弓
速信号に対応する。この弓速信号は、起動信号であり、
加算回路53、除算回路54を介して非線形回路55に
供給される。非線形回路55はバイオリンの弦の非線形
特性等を表す非線形特性の回路である。非線形回路55
の特性は、弓位置の関数としてもよい。
【0044】非線形回路55の非線形特性は、原点から
ある範囲までのほぼ線形な領域とそれよりも外側の特性
の変化した領域との2つの部分を含む。バイオリン等の
擦弦楽器の弦を弓で擦る場合、弓速が遅い間は、弦の変
位はほぼ弓の変位と同等であり、弦の運動を静摩擦係数
によって表わすことができる。この場合、ほぼ線形の特
性が表われる。弓の弦に対する相対速度がある値を越え
ると、弓の速度と弦の変位速度とは同一ではなくなる。
すなわち、静摩擦係数に代わって動摩擦係数が運動を支
配するようになる。この静摩擦係数から動摩擦係数への
切り替えにより、非線形特性が生じる。
【0045】図5において、このような非線形特性を有
する非線形回路55の出力は、乗算回路56を経て2つ
の加算回路44、45に供給される。
【0046】非線形回路55の入力側の除算回路54、
出力の乗算回路56は、弓圧信号を受けて、非線形回路
55の特性を変更させる。弓圧信号は、管楽器の場合は
アンブシュアまたは息圧に対応する。入力側の除算回路
54は、入力信号を除算することによって、小さな値に
変更する。除算回路54がある場合、大きな入力を受け
ても小さな入力を受けたかのような出力を与える。出力
側の乗算回路56は、非線形回路55の出力を増大さ
せ、除算回路54と非線形回路55で形成される特性を
出力側に増大した特性を作る。なお、同一の弓圧信号を
受けて、入力を初めに除算し、後で出力を乗算すること
は、除算回路54で係数Coで除算し、乗算回路56で
同一の係数Co を乗算することを表す。この場合は、総
合特性は非線形回路55のみの時の特性を横軸、縦軸に
Co 倍した形状を有する。乗算回路の係数を除算回路の
係数と異なるように変化させることにより、異なる形状
を作るようにさせてもよい。非線形特性は弓位置信号を
受けて修飾されるようにもできる。弓移動の向きによっ
てさらに変化させてもよい。
【0047】加算回路44、45は半循環信号路31
a、31bの内に接続されている。2つの半循環信号路
31a、31bを合わせた循環信号路31は、擦弦楽器
の弦に対応して楽音信号を循環させる閉ループを構成す
る。すなわち、弦においては振動が両端で反射して往復
する。また、管楽器においては、共鳴体中を振動が往復
する。これを信号が循環する閉ループで近似する。この
循環信号路内には、2つの遅延回路32、33、2つの
LPF(ローパスフィルタ)34、35、2つの減衰回
路38、39、2つの乗算回路42、43を含む。遅延
回路32、33は音高を表すピッチ信号と係数αないし
(1−α)との積を受け、所定の遅延時間を与える。係
数αは弓の毛が接する弦上の位置等に基づいて決定され
る。一定値としてもよい。
【0048】循環信号路31a、31bを信号が循環
し、元の位置に戻るまでの全遅延時間によって、楽音の
基本ピッチが定まる。すなわち、主として2つの遅延回
路32、33の遅延時間の和、ピッチ×[α+(1−
α)]=ピッチ、が基本ピッチを定める。一方の遅延回
路は、弓と弦との接触する位置から駒までの距離、他方
の遅延回路は弓と弦の接触する位置から押指位置までの
距離に対応する。
【0049】なお、遅延回路32、33によってピッチ
がほぼ決定するが、この循環信号路中に含まれる他の要
素、たとえばLPF34、35、減衰コントロール3
8、39等によっても遅延が発生する。厳密には、発生
する楽音のピッチを定めるのはこれらのループ中に含ま
れる全遅延時間の和である。
【0050】LPF34、35は循環している波形信号
の伝達特性を変更することにより、種々の弦の振動特性
をシミュレートする。楽器本体上の音色スイッチの選択
等によって、音色信号を発生させ、LPF34、35に
供給して、その特性を切り替え、所望の擦弦楽器の楽音
をシミュレートする。
【0051】弦を振動が伝搬する際に、振動は次第に減
衰する。減衰コントロール38、39はこの弦を伝わる
振動が減衰する減衰量をシミュレートするものである。
【0052】乗算器42、43は弦固定端での振動の反
射に対応して反射係数−1を乗算するものである。すな
わち、減衰なしの固定端での反射を想定して弦の振幅を
逆位相に変化させる。係数−1がこの逆相反射を示す。
反射における振幅の減衰は、減衰コントロール38、3
9の減衰量に組み込んである。
【0053】このようにして、弦に相当する循環信号路
31a、31bの上を振動が循環することによって擦弦
楽器の弦の運動をシミュレートする。
【0054】また、擦弦楽器の弦の運動はヒステリシス
特性を有する。これをシミュレートするため乗算回路5
6の出力は、LPF58と、乗算回路59を介して非線
形回路55の入力側にフィードバックされている。LP
F58はフィードバックループの発振を防止するための
ものである。
【0055】今、加算回路52から加算回路53への入
力をuとし、フィードバック路から加算回路53への入
力をvとし、除算回路54、非線形回路55、乗算回路
56を合わせた増幅率をAとすると、乗算回路56の出
力wは、(u+v)A=wで表される。LPF58と乗
算回路59を含む負帰還回路のゲインがB(負の値)で
あるとすると、帰還量vはv=wBで表される。これら
の2つの式を整理すると、(u+wB)A=w、∴w=
uA/(1−AB)となる。
【0056】フィードバックなし、すなわち、B=0の
場合は、w=uAであり、入力uが単に係数A倍されて
出力する。ゲインBの負帰還をかけた場合、同じ出力を
得るには、B=0の場合の(1−AB)倍(Bは負)の
入力を印加しなければならない。
【0057】一旦入力が閾値を越してから、再び減少す
る場合には、出力wが小さいので、フィードバックされ
る量v=Bwも小さい。すなわち、非線形回路55に入
力する信号の大きさが同じでも、静摩擦係数領域の場合
と比べて、動摩擦係数領域の場合は、負のフィードバッ
ク量が小さいので、加算回路52から加算回路53への
入力uは小さな値となる。
【0058】非線形回路55の入力が、閾値になる時の
加算回路52からの入力uの大きさを考えると、入力増
大時には静摩擦係数が支配し、大きい出力に対応して強
い負帰還を受けるので、より大きな入力でこの切り替え
が起るが、入力減少時には動摩擦係数が支配し、小さな
出力に対応して負帰還量が小さいので、より小さな入力
uの値で切り替えが起る。ヒステリシスの大きさは、乗
算回路59のゲインによって制御される。
【0059】このようにして、図5に示す楽音信号形成
回路によれば、擦弦楽器の弦の運動がシミュレートで
き、楽音の基本波形を作ることができる。
【0060】図5に示すように、循環信号路31のいず
れかの点から出力を取り出して、擦弦楽器の胴の特性を
シミュレートするフォルマントフィルタ61を介して出
力信号をサウンドシステムに供給する。フォルマントフ
ィルタ61も音色信号を受けてその特性を変化させるよ
うにすることができる。
【0061】ところで、スピカート演奏においては、弓
を弦に弾ませるような演奏を行なう。このような演奏に
おいては、図6に示すような圧力波形が発生する。すな
わち、圧力のない状態から急激に圧力が発生し、急速に
その圧力は消滅する。弓が弦の上で弾むことによって、
このような変化が数回繰返される。
【0062】このような演奏において発生する弓圧、弓
速の信号は、図4においては点Sで示すように弓速がほ
とんど0であるのに対して、弓圧が弓速と比較して非常
に大きな値をとり、やがてその弓圧も急速に0近傍に減
少する。このようなスピカート演奏の弓圧、弓速を、前
述のように発音可能領域に弓圧、弓速が存在するように
修正してしまうとスピカート演奏特有の楽音は発生させ
ることができない。
【0063】そこで、スピカート演奏のような弾む楽音
を発生させるために以下に述べるような叩いたことを検
出する処理を行ない、弾む楽音を発生させる。
【0064】図7に弾む楽音を発生させる処理のメイン
ルーチンを示す。まず処理がスタートすると、ステップ
S1において、各レジスタのイニシャライズ等のイニシ
ャライズ処理が行なわれる。続いて、鍵盤における押鍵
を処理する押鍵処理がステップS2で行なわれる。押鍵
処理に続いて、ステップS3でその他の処理が行なわ
れ、ステップS2、S3を繰返し実行することによって
楽音を発生させる。
【0065】図8は押鍵処理のフローチャートを示す。
押鍵処理が開始すると、ステップS11においてキーオ
ンイベントがあるかないかを調べる。キーオンイベント
があれば、ステップS12に進み、この押鍵に対応する
チャネル割当ての処理を行なう。続いて、押鍵された鍵
に対応するキーコードをレジスタKCDiに格納する
(ステップS13)。また、割当てられたi番目のチャ
ネルに対するキーオン信号を発生させるため、レジスタ
KONiに1を格納する(ステップS14)。このよう
にして形成したキーコードとキーオン信号を割当てられ
た音源に送出する(ステップS15)。次にステップS
16でキーオフイベントがあるかないかを調べる。な
お、ステップS11でキーオンイベントがなかった時
は、ただちにステップS16に移る。
【0066】キーオフイベントがあった時は、ステップ
S17に進み、キーオフイベントのあった鍵に対応する
キーコードをレジスタKCDに格納する。続いてステッ
プS18で、レジスタKCDに格納されたキーコードで
発音中のチャネルをサーチする。該当チャネルがあるか
ないかを調べ(ステップS19)、あった場合は該当i
番目のキーオン信号を格納するレジスタKONiに0を
格納する(ステップS20)。続いてステップS21に
おいて音源の該当チャネルにレジスタKONiの信号を
送出する。このようにして、キーオン信号が0に変えら
れると楽音発生が停止する。
【0067】以上の工程により、キーオンイベントおよ
びキーオフイベントを処理し、元にリターンする。
【0068】なお、ステップS19で該当チャネルがな
かった時は、このキーオフイベント処理は既に実行され
ているのでただちにリターンする。また、キーオフイベ
ントがステップS16でなかった時も、ただちにリター
ンする。
【0069】図9に楽音制御パラメータを変化させるた
めのタイマ割込みルーチンを示す。
【0070】処理がスタートすると、操作子から供給さ
れた圧力データをレジスタPRSに格納し、被操作子か
ら供給された位置データをレジスタPOSTN1に格納
する(ステップS31)。検出した新たな位置データを
格納するレジスタPOSTN1から前回の位置データを
格納するレジスタPOSTN2の値を引いて位置の差を
求め、レジスタDIFFに格納する(ステップS3
2)。
【0071】この位置の差分はタイマのタイミング信号
が一定時間ごとに発生しているため、位置の時間微分を
意味し、速度を表わす。レジスタDIFFの値を参照し
て、テーブル処理を行ない速度情報を得る。この速度情
報をレジスタVELに格納する(ステップS33)。
【0072】このようにして、圧力データと速度データ
を得ることができる。
【0073】次のステップS34では、位置のデータを
更新するためレジスタPOSTN1に格納された値を前
回位置を格納するレジスタPOSTN2に格納する。続
いて、ステップS35において、検出された圧力デー
タ、速度データに基づき、スピカート処理を行なう。
【0074】スピカート処理を行なった後、レジスタP
RSに格納された圧力データ、レジスタVELに格納さ
れた速度データを音源へ送出し、楽音信号を発生させる
(ステップS36)。
【0075】図10に図9に示したスピカート処理の前
半部分を示す。スピカート処理が開始すると、圧力デー
タを格納するレジスタPRSの値を演算用レジスタba
sepressに格納し、速度データを格納するレジス
タVELの値を演算用レジスタbasespeedに格
納する(ステップS41)。
【0076】次に、ステップS42において、2回前の
圧力データを格納するレジスタplag2の値が0でか
つ今回の圧力データを格納するレジスタbasepre
ssの値が所定の閾値THR以上であり、かつ今回の速
度を格納するレジスタbasespeedが0か否かを
判定する。
【0077】これらの条件が全て満たされる時、操作子
は被操作子に叩かれたことを意味する。すなわち、速度
はほとんど0であり、圧力のみが0から急激に立上がっ
たことを示す。
【0078】判定がイエスであれば、Yesの矢印にし
たがってステップS43に進み、スピカート処理を行な
うため、レジスタspiccatoに25を格納する。
【0079】この数字25は一定の大きさを有する数値
であればよく、他の値であっても構わない。
【0080】続いてステップS44において、音源へ弓
圧、弓速補間を止めるよう指示する。すなわち、通常の
演奏においてノイズ低減させるために行なっている補間
作業を停止させ、スピカート演奏における急激な弓圧、
弓速変化をそのまま用いる。
【0081】続いて、ステップS45において、レジス
タspiccatoの値が1か否かを判定する。
【0082】操作子がたたかれた時には、当初レジスタ
spiccatoには25が格納されており、以下に述
べるステップにおいてこの値が漸減されるが、1まで減
少したか否かを判断する。
【0083】spiccatoの値が1であれば、次の
ステップS46において音源へ通常補間の動作を行なう
よう指示する。
【0084】続いてレジスタspiccatoの値を1
減少させる(ステップS47)。
【0085】なお、ステップS42の判定がノーの場合
は、Noの矢印にしたがい、ステップS45に移る。ま
た、ステップS45の判定がノーの場合は、Noの矢印
にしたがい、ステップS47に移る。
【0086】図11はスピカート処理のフローチャート
の後半を示す。図10のステップS47に続き、ステッ
プS48において、レジスタspiccatoの値が負
か否かを判定する。負の場合は次のステップS49にお
いて、レジスタspiccatoに0を格納し、レジス
タspiccatoの値を0以上の値に保つようにす
る。
【0087】次にステップS50において、新たな圧力
データを格納するレジスタbasepressの値を前
回の圧力データを格納するレジスタplag1に格納
し、前回の圧力データを格納するplag1の値を2回
前の圧力データを格納するplag2に格納する。この
ようにして、圧力データの更新を行なう。
【0088】次にステップS51において、レジスタs
piccatoの値が正か否かを判定する。
【0089】レジスタspiccatoの値が1から2
4までの値である場合は、Yesの矢印にしたがい、ス
テップS52に進み音量データを格納するレジスタVO
Lに一定値NORMALを格納し、その値を音源へ送出
する。
【0090】続いてステップS53において、レジスタ
spiccatoの値が23を越えるか否かを判定す
る。すなわち、上述の場合、spiccatoの値が最
大値である24か否かを判定する。なお、この数値23
も他の数値によって置換えることができる。この工程で
スピカートが発生した後、暫くの間の時間を指定する。
【0091】なお、ステップS51において、レジスタ
spiccatoの値が0であった場合は、Noの矢印
にしたがい、ステップS54に進み、圧力データを格納
するレジスタbasepressの値を音量パラメータ
を格納するレジスタVOLに格納し、その値を音源へ送
出する。
【0092】すなわち、スピカート演奏においては音量
は一定値に保たれ、通常演奏においては圧力に比例した
音量の楽音が発生する。
【0093】ステップS53の判定がイエスであれば、
ステップS56に進み、レジスタbasepressの
値を圧力レジスタPRSに格納し、同じ値を速度レジス
タVELにも格納する。すなわち、スピカート演奏にお
いては、圧力データから速度データを形成する。
【0094】ステップS53において、判定の結果がノ
ーであれば、ステップS57に進み、通常の楽音発生処
理を行なう。すなわち、発音可能領域に速度データ、圧
力データを変換し、変換後のレジスタbasepres
sの値を圧力レジスタPRSに格納し、変換後のbas
espeedの値を速度レジスタVELに格納する。そ
の後、リターンする。
【0095】以上説明したように、操作子が被操作子を
叩いた時は、通常の処理を中断し、補間を止め、弓速デ
ータ、弓圧データを発音可能領域に変換する作業を停止
し、圧力データから圧力および速度情報を形成し、急激
に変化するスピカート音を発生させる。
【0096】以上実施例に沿って本発明を説明したが、
本発明はこれらに制限されるものではない。たとえば、
操作子によって被操作子を叩いたことを検出し、スピカ
ート処理を行なう制御をソフトウェアによって実行する
場合を説明したが、これらをハードウェアによって行な
うように装置を構成してもよい。また、操作子で被操作
子を叩いたこと被操作子全面で検出する場合を説明した
が、被操作子のタブレット面を分割し、スピカート演奏
を行なう時の領域を別に設けてもよい。また、圧力デー
タを操作子から、位置データを被操作子から検出する場
合を説明したが、これらの検出はどのようなものであっ
てもよい。その他、種々の変更、改良、組み合わせ等が
可能なことは当業者に自明であろう。
【0097】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
操作子で叩く動作を別に検出することにより、スピカー
ト等の弾む楽音を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 電子楽器の基本構成を示すブロック図であ
る。
【図2】 実施例による電子楽器の構成を示す斜視図お
よび操作子の断面図である。
【図3】 図2に示す電子楽器の回路を示すブロック図
である。
【図4】 擦弦楽器の楽音を発生させる時の弓速、弓圧
の発音領域を示すグラフである。
【図5】 図3に示す物理モデル音源の要部を示す回路
図である。
【図6】 操作子で被操作子を叩いた時の圧力変化の波
形を示すグラフである。
【図7】 電子楽器の楽音発生処理のメインルーチンで
ある。
【図8】 押鍵処理のフローチャートである。
【図9】 タイマ割込みルーチンのフローチャートであ
る。
【図10】 スピカート処理の前半を示すフローチャー
トである。
【図11】 スピカート処理の後半を示すフローチャー
トである。
【符号の説明】
1…操作子、2…被操作子、4…鍵盤、5…ポルタメン
トバー、7…叩き検出手段、8…制御手段、9…楽音発
生手段、11…コイル、12…歪ゲージ、13…コイル
用電気回路、14…スティックハウジング、15…コー
ド、16…圧力検出回路、17…速度検出回路、19…
キースイッチ回路、20…物理モデル音源、21…RO
M、22…RAM、23…CPU
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G10H 1/053 G10H 7/08 G10H 1/32 - 1/34 G10H 1/46

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 楽音信号を発生する楽音信号発生手段
    と、 演奏者が操作する操作子と、 前記操作子の運動を受ける被操作子と、 前記操作子の前記被操作子上での位置、位置の変化、及
    び圧力を検出し検出信号を出力する運動検出手段と、 前記検出信号に基づき前記操作子が前記被操作子を叩い
    たことを検出する叩き検出手段と、 前記叩き検出手段が、前記操作子が被操作子を叩いたこ
    とを検出したか否かに応じた、異なる態様の制御を、前
    記検出信号に基づいて、前記楽音信号発生手段に対して
    行う制御手段とを有する楽音信号発生装置。
  2. 【請求項2】 制御パラメータにしたがって楽音信号を
    発生する楽音信号発生手段と、 演奏者が操作する操作子と、 前記操作子の運動を受ける被操作子と、 前記操作子の前記被操作子上での位置、位置の変化、及
    び圧力を検出し検出信号を出力する運動検出手段と、 前記検出信号に基づき前記操作子が前記被操作子を叩い
    たことを検出する叩き検出手段と、 前記検出信号に基づいて前記制御パラメータを発生する
    とともに、前記叩き検出手段が、前記操作子が被操作子
    を叩いたことを検出した場合は、該発生した制御パラメ
    ータに対して変更処理を行う制御手段とを有する楽音信
    号発生装置。
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