JP2992137B2 - 全固体調光装置 - Google Patents
全固体調光装置Info
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- JP2992137B2 JP2992137B2 JP3230405A JP23040591A JP2992137B2 JP 2992137 B2 JP2992137 B2 JP 2992137B2 JP 3230405 A JP3230405 A JP 3230405A JP 23040591 A JP23040591 A JP 23040591A JP 2992137 B2 JP2992137 B2 JP 2992137B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は全固体調光装置に関す
る。さらに詳しくは、光透過率制御性能にすぐれた全固
体調光装置に関する。
る。さらに詳しくは、光透過率制御性能にすぐれた全固
体調光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、オフィスビルが高層化し、しかも
窓が大型化しており、オフィスビルにおけるエネルギー
消費量の少なくとも25%は、光または熱として窓から流
入または流出するものである。したがって、エネルギー
の有効利用という観点から、大面積の調光装置の開発が
望まれている。また、モータリゼーションの興隆による
乗用車数の増大、それに加えて乗用車の高級化にともな
い、ほとんどの車にクーラーが搭載されている現在、エ
ネルギーの有効利用という観点から、乗用車の窓に適し
た調光装置を開発することも望まれている。
窓が大型化しており、オフィスビルにおけるエネルギー
消費量の少なくとも25%は、光または熱として窓から流
入または流出するものである。したがって、エネルギー
の有効利用という観点から、大面積の調光装置の開発が
望まれている。また、モータリゼーションの興隆による
乗用車数の増大、それに加えて乗用車の高級化にともな
い、ほとんどの車にクーラーが搭載されている現在、エ
ネルギーの有効利用という観点から、乗用車の窓に適し
た調光装置を開発することも望まれている。
【0003】このような要望にこたえるべく、従来から
太陽光に対する吸光度または反射率の電気的、磁気的制
御により冷暖房負担の軽減を可能にする、いわゆる調光
装置への応用を目的として、いくつかの電気磁気光学素
子の研究が行なわれてきている。
太陽光に対する吸光度または反射率の電気的、磁気的制
御により冷暖房負担の軽減を可能にする、いわゆる調光
装置への応用を目的として、いくつかの電気磁気光学素
子の研究が行なわれてきている。
【0004】従来から研究されている調光装置の一つと
して、エレクトロクロミック素子(以下、EC素子とい
う)を用いたものが知られている(シー・エム・ラムパ
ート(C.M.Lampert) 、ソーラ・エナジー・マテリアル(S
olar Energy Mater.) 、第6巻、第1号(1981))。この
EC素子を用いた調光装置は、酸化タングステン膜の電気
化学的な酸化還元反応にともなうスペクトル変化を利用
するものである。すなわち、タングステンブロンズの可
視- 近赤外領域の光に対する大きな吸収または反射を利
用するものである。
して、エレクトロクロミック素子(以下、EC素子とい
う)を用いたものが知られている(シー・エム・ラムパ
ート(C.M.Lampert) 、ソーラ・エナジー・マテリアル(S
olar Energy Mater.) 、第6巻、第1号(1981))。この
EC素子を用いた調光装置は、酸化タングステン膜の電気
化学的な酸化還元反応にともなうスペクトル変化を利用
するものである。すなわち、タングステンブロンズの可
視- 近赤外領域の光に対する大きな吸収または反射を利
用するものである。
【0005】他の調光装置としては、異方性双極子微粒
子を液体誘電体中に分散させた懸濁液(以下、DPS 素子
という)を用いたものが知られている。このDPS 素子
は、基本的には誘電異方性または針状、板状などの形状
の異方性を有する微粒子を液体誘電体中に分散させた懸
濁液を、透明導電膜付きガラス基板に挟んだもので、電
界の有無に応じて分散された微粒子の配向が異なること
による光透過率変化を利用するものである。すなわち、
電界を作用させると微粒子は長軸を電界に平行にそろえ
て配向し、光がよく透過する状態(開状態)となり、そ
の逆に電界の作用を解除するとブラウン運動により微粒
子の拘束が解かれ無秩序配向となり、光が透過しない状
態(閉状態)となることを利用するものである。
子を液体誘電体中に分散させた懸濁液(以下、DPS 素子
という)を用いたものが知られている。このDPS 素子
は、基本的には誘電異方性または針状、板状などの形状
の異方性を有する微粒子を液体誘電体中に分散させた懸
濁液を、透明導電膜付きガラス基板に挟んだもので、電
界の有無に応じて分散された微粒子の配向が異なること
による光透過率変化を利用するものである。すなわち、
電界を作用させると微粒子は長軸を電界に平行にそろえ
て配向し、光がよく透過する状態(開状態)となり、そ
の逆に電界の作用を解除するとブラウン運動により微粒
子の拘束が解かれ無秩序配向となり、光が透過しない状
態(閉状態)となることを利用するものである。
【0006】磁気光学装置も同様の作用を示し、電気磁
気光学装置のこの状態変化をスイッチング作用という。
気光学装置のこの状態変化をスイッチング作用という。
【0007】このDPS 素子を用いた電気磁気光学装置
は、1960年代の終わり頃から利用されはじめ、これに関
する特許もいくつか出願されている(たとえば、米国特
許第3,257,903 号明細書(1966)、特開昭51-69038号公
報)。
は、1960年代の終わり頃から利用されはじめ、これに関
する特許もいくつか出願されている(たとえば、米国特
許第3,257,903 号明細書(1966)、特開昭51-69038号公
報)。
【0008】本発明者らも、このDPS 素子を用いた調光
装置において、可視- 近赤外に強い吸収を有する微粒子
を用いることにより、光透過率制御性能が改善されるこ
とを見出している(米国特許第4,919,521 号明細書)。
装置において、可視- 近赤外に強い吸収を有する微粒子
を用いることにより、光透過率制御性能が改善されるこ
とを見出している(米国特許第4,919,521 号明細書)。
【0009】これらの電気磁気光学装置は、前述のごと
く電界の下で光透過率が変化するので、調光装置として
利用できる。この調光装置を用いると、電気的制御によ
り太陽光の透過率および(または)反射率を変えること
ができるので、窓からの光または熱の流入、流出を制御
することができる。その結果、冷暖房負荷の軽減を図る
ことが可能になる。
く電界の下で光透過率が変化するので、調光装置として
利用できる。この調光装置を用いると、電気的制御によ
り太陽光の透過率および(または)反射率を変えること
ができるので、窓からの光または熱の流入、流出を制御
することができる。その結果、冷暖房負荷の軽減を図る
ことが可能になる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、EC素子
を用いた電気磁気光学装置では、EC素子が電流駆動型で
あるためにIRドロップが生じ、大面積化したばあいに応
答速度がいちじるしく低下するという問題がある。その
他に、EC素子は低温では実質的に作動しないという作動
原理に起因する問題もある。
を用いた電気磁気光学装置では、EC素子が電流駆動型で
あるためにIRドロップが生じ、大面積化したばあいに応
答速度がいちじるしく低下するという問題がある。その
他に、EC素子は低温では実質的に作動しないという作動
原理に起因する問題もある。
【0011】これらの問題は、EC素子を用いた電気磁気
光学装置を、大面積調光装置に利用するばあいに大きな
障害となる。
光学装置を、大面積調光装置に利用するばあいに大きな
障害となる。
【0012】一方、DPS 素子を用いた調光装置は電界駆
動型であるために、大面積化が比較的容易であり、しか
もEC素子を用いた調光装置が抱えているような問題もな
い。しかしながら、微粒子を液体に分散させているた
め、微粒子が沈降し光学的特性が不均一になるという問
題がある。また、スイッチング作用が微粒子のブラウン
運動に依存しているため、応答速度が遅いという問題も
ある。さらに、微粒子間のファンデルワールス引力によ
る凝集や電界により微粒子が分極されたことにより生ず
る電気的吸引力(双極子- 双極子相互作用)による凝集
のために、応答速度が低下するという問題もある(図3
〜図4参照)。
動型であるために、大面積化が比較的容易であり、しか
もEC素子を用いた調光装置が抱えているような問題もな
い。しかしながら、微粒子を液体に分散させているた
め、微粒子が沈降し光学的特性が不均一になるという問
題がある。また、スイッチング作用が微粒子のブラウン
運動に依存しているため、応答速度が遅いという問題も
ある。さらに、微粒子間のファンデルワールス引力によ
る凝集や電界により微粒子が分極されたことにより生ず
る電気的吸引力(双極子- 双極子相互作用)による凝集
のために、応答速度が低下するという問題もある(図3
〜図4参照)。
【0013】ここで、図3は電界が作用しないばあいを
示し、図4は電界が作用したばあいを示す。
示し、図4は電界が作用したばあいを示す。
【0014】さらに、前記現象に起因して、時間の経過
にしたがい光透過率変化幅が減少するという問題があ
る。
にしたがい光透過率変化幅が減少するという問題があ
る。
【0015】本発明はかかる従来技術の問題に鑑みなさ
れたものであって、微粒子の分散が長期間にわたって安
定であるとともに、スイッチング作用において応答速度
が速く、時間の経過に従い光透過率が減少しない光透過
率制御性能にすぐれた全固体調光装置を提供することを
目的とする。
れたものであって、微粒子の分散が長期間にわたって安
定であるとともに、スイッチング作用において応答速度
が速く、時間の経過に従い光透過率が減少しない光透過
率制御性能にすぐれた全固体調光装置を提供することを
目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成すべく鋭意研究した結果、微粒子分散媒体にポリ
マー架橋体を採用することによって、微粒子の長期間に
わたる分散安定化が達成されるとともに、スイッチング
作用における応答速度および光に対する透過率制御性能
も向上することを見出した。
を達成すべく鋭意研究した結果、微粒子分散媒体にポリ
マー架橋体を採用することによって、微粒子の長期間に
わたる分散安定化が達成されるとともに、スイッチング
作用における応答速度および光に対する透過率制御性能
も向上することを見出した。
【0017】すなわち、本発明は微粒子が分散含有され
た誘電体と、前記誘電体に電界または磁界が供給される
手段とからなる電気磁気調光装置であって、前記誘電体
が実質上有機ポリマーおよび(または)無機ポリマー架
橋体からなることを特徴とする全固体調光装置に関す
る。
た誘電体と、前記誘電体に電界または磁界が供給される
手段とからなる電気磁気調光装置であって、前記誘電体
が実質上有機ポリマーおよび(または)無機ポリマー架
橋体からなることを特徴とする全固体調光装置に関す
る。
【0018】
【作用】本発明の全固体調光装置は、微粒子分散媒体と
してポリマー架橋体を用いているので、微粒子の沈降お
よび凝集が防止され、光学的特性が向上する。
してポリマー架橋体を用いているので、微粒子の沈降お
よび凝集が防止され、光学的特性が向上する。
【0019】また、電界または磁界を作用させると、微
粒子はポリマー架橋体に拘束された状態で配向するの
で、ポリマー架橋体に応力が発生する。この応力のた
め、電界または磁界の作用が解除されると、微粒子はた
だちに初期の無秩序配向状態に復帰する。したがって、
ブラウン運動により無秩序配向状態に復帰するばあいに
比較してスイッチング作用における応答速度が著しく向
上する。
粒子はポリマー架橋体に拘束された状態で配向するの
で、ポリマー架橋体に応力が発生する。この応力のた
め、電界または磁界の作用が解除されると、微粒子はた
だちに初期の無秩序配向状態に復帰する。したがって、
ブラウン運動により無秩序配向状態に復帰するばあいに
比較してスイッチング作用における応答速度が著しく向
上する。
【0020】また、誘電体に電界を作用させたばあい、
微粒子分散媒体として、せん断弾性率(G′)の制御さ
れたポリマー架橋体を用いると、光の透過率変化を大き
くでき、光に対する透過率制御性能も向上する。とくに
微粒子の少なくとも表面に酸化物が存在するばあいは、
加水分解性官能基または水酸基を有するポリジメチルシ
ロキサン(以下、PDMSという)誘導体を使用することに
より、PDMS誘導体が微粒子表面に吸着などするため、微
粒子近傍での架橋密度が低下し電界配向を促進すること
(潤滑効果)により透過率制御を容易に行ないうる。ま
た逆に、微粒子から離れた領域での架橋密度は相対的に
増加するため、この領域に発生した応力が有効に微粒子
の緩和を促進する(緩和促進効果)。
微粒子分散媒体として、せん断弾性率(G′)の制御さ
れたポリマー架橋体を用いると、光の透過率変化を大き
くでき、光に対する透過率制御性能も向上する。とくに
微粒子の少なくとも表面に酸化物が存在するばあいは、
加水分解性官能基または水酸基を有するポリジメチルシ
ロキサン(以下、PDMSという)誘導体を使用することに
より、PDMS誘導体が微粒子表面に吸着などするため、微
粒子近傍での架橋密度が低下し電界配向を促進すること
(潤滑効果)により透過率制御を容易に行ないうる。ま
た逆に、微粒子から離れた領域での架橋密度は相対的に
増加するため、この領域に発生した応力が有効に微粒子
の緩和を促進する(緩和促進効果)。
【0021】
【実施例】以下、本発明の全固体調光装置の一実施例を
図面に基づいて説明するが、本発明はかかる実施例によ
って限定されるものではない。
図面に基づいて説明するが、本発明はかかる実施例によ
って限定されるものではない。
【0022】図1は本発明の調光装置において電界また
は磁界が作用したばあいにおける開状態を示す説明図、
図2は本発明の調光装置において電界または磁界の作用
が解除されたばあいにおける閉状態を示す説明図であ
る。図1および図2において、1は基板、2は透明導電
膜、3はポリマー架橋体、4は微粒子を示し、基板1と
透明導電膜2で電極5を構成している。
は磁界が作用したばあいにおける開状態を示す説明図、
図2は本発明の調光装置において電界または磁界の作用
が解除されたばあいにおける閉状態を示す説明図であ
る。図1および図2において、1は基板、2は透明導電
膜、3はポリマー架橋体、4は微粒子を示し、基板1と
透明導電膜2で電極5を構成している。
【0023】磁界を作用させるばあいは、普通、基板の
外側より磁界を作用させるので、透明導電膜は必要でな
く、調光装置は基板1、ポリマー架橋体3、微粒子4お
よび磁界を作用させる手段となる装置(図示せず)から
構成される。
外側より磁界を作用させるので、透明導電膜は必要でな
く、調光装置は基板1、ポリマー架橋体3、微粒子4お
よび磁界を作用させる手段となる装置(図示せず)から
構成される。
【0024】基板1の材質は、従来より電気磁気光学装
置に用いられているものなら、いかなるものも用いるこ
とができ、とくに限定されるものではない。具体例とし
ては、ソーダライムガラスなどのガラス基板、ポリエチ
レンテレフタレート基板などのプラスチック基板をあげ
ることができる。
置に用いられているものなら、いかなるものも用いるこ
とができ、とくに限定されるものではない。具体例とし
ては、ソーダライムガラスなどのガラス基板、ポリエチ
レンテレフタレート基板などのプラスチック基板をあげ
ることができる。
【0025】基板1の形状およびサイズは、必要に応じ
て適宜決定される。
て適宜決定される。
【0026】電界を作用させるばあいに必要な透明導電
膜2としては、従来より電気光学装置に用いられている
ものならいかなるものも用いることができ、とくに限定
されない。その具体例としては、 SnO2 膜、ITO 膜など
をあげることができる。またその膜厚についてもとくに
制限はないが、調光装置の反射率が最少となるように光
学的に調整された膜厚であるのが好ましい。その一例を
あげると、厚さ 180nmの SnO2 膜があげられる。
膜2としては、従来より電気光学装置に用いられている
ものならいかなるものも用いることができ、とくに限定
されない。その具体例としては、 SnO2 膜、ITO 膜など
をあげることができる。またその膜厚についてもとくに
制限はないが、調光装置の反射率が最少となるように光
学的に調整された膜厚であるのが好ましい。その一例を
あげると、厚さ 180nmの SnO2 膜があげられる。
【0027】ポリマー架橋体3としては、高絶縁性かつ
高耐候性を有するものであって、微粒子4の並進運動お
よび沈降を抑制しながら、電界または磁界作用時に微粒
子4が配向できるだけの回転自由度を付与するとともに
初期の無秩序配向状態に復帰できるだけの復元力を付与
できるものなら、いかなるものも用いることができる
が、適度な弾性を有する固体状態、いわゆる半固体とな
るようにするのが好ましく、実質上有機ポリマーおよび
(または)無機のポリマー架橋体で構成される。前記実
質上とは、弾性率を制御するための添加物を含んでもよ
いことをいう。
高耐候性を有するものであって、微粒子4の並進運動お
よび沈降を抑制しながら、電界または磁界作用時に微粒
子4が配向できるだけの回転自由度を付与するとともに
初期の無秩序配向状態に復帰できるだけの復元力を付与
できるものなら、いかなるものも用いることができる
が、適度な弾性を有する固体状態、いわゆる半固体とな
るようにするのが好ましく、実質上有機ポリマーおよび
(または)無機のポリマー架橋体で構成される。前記実
質上とは、弾性率を制御するための添加物を含んでもよ
いことをいう。
【0028】ポリマー架橋体3の架橋密度は、前記特性
がえられるよう適宜調整されるが、前記弾性を評価する
適切な関数の一つであるせん断弾性率(G′)を測定し
て、その値を調整することにより、電界作用時の光透過
率を制御することもできる。その範囲としてはせん断弾
性率(G′)が常温で1×102 〜1×105 dyn /cm
2 (測定周波数1Hz、以下省略)が好ましく、1×103
〜1×104 dyn /cm2 がより好ましい。
がえられるよう適宜調整されるが、前記弾性を評価する
適切な関数の一つであるせん断弾性率(G′)を測定し
て、その値を調整することにより、電界作用時の光透過
率を制御することもできる。その範囲としてはせん断弾
性率(G′)が常温で1×102 〜1×105 dyn /cm
2 (測定周波数1Hz、以下省略)が好ましく、1×103
〜1×104 dyn /cm2 がより好ましい。
【0029】ポリマー架橋体のせん断弾性率(G′)が
1×102 dyn /cm2 未満のばあいには、電界作用時に微
粒子近傍のポリマーに発生する応力の緩和が大きすぎる
ために充分な復元力を付与しにくい傾向が生じる。ま
た、せん断弾性率(G′)が1×105 dyn /cm2 を超え
るばあいには、電界作用時に微粒子が周囲のポリマーか
ら受ける抵抗力が大きすぎるために充分な回転自由度を
付与しにくい傾向が生じる。
1×102 dyn /cm2 未満のばあいには、電界作用時に微
粒子近傍のポリマーに発生する応力の緩和が大きすぎる
ために充分な復元力を付与しにくい傾向が生じる。ま
た、せん断弾性率(G′)が1×105 dyn /cm2 を超え
るばあいには、電界作用時に微粒子が周囲のポリマーか
ら受ける抵抗力が大きすぎるために充分な回転自由度を
付与しにくい傾向が生じる。
【0030】このような点を考慮すると、有機ポリマー
架橋体の例としては、たとえばポリウレタン、ポリビニ
ルブチラールなどがあげられ、無機ポリマー架橋体の例
としては、たとえばオルガノポリシロキサンなどがあげ
られる。
架橋体の例としては、たとえばポリウレタン、ポリビニ
ルブチラールなどがあげられ、無機ポリマー架橋体の例
としては、たとえばオルガノポリシロキサンなどがあげ
られる。
【0031】前記ポリマー架橋体のなかでも前記のよう
な物性および調光装置の使用温度範囲が-20 〜+80 ℃で
あることを考慮すれば、その流動点が低いことから、基
本骨格がオルガノポリシロキサンからなるオルガノポリ
シロキサン架橋体がより好ましい。
な物性および調光装置の使用温度範囲が-20 〜+80 ℃で
あることを考慮すれば、その流動点が低いことから、基
本骨格がオルガノポリシロキサンからなるオルガノポリ
シロキサン架橋体がより好ましい。
【0032】前記オルガノポリシロキサン架橋体は、オ
ルガノポリシロキサン付加架橋体が好ましく、またポリ
ジメチルシロキサンなどのようなシロキサン結合を主骨
格とする構造を有するものが好ましい。
ルガノポリシロキサン付加架橋体が好ましく、またポリ
ジメチルシロキサンなどのようなシロキサン結合を主骨
格とする構造を有するものが好ましい。
【0033】前記せん断弾性率を調整する方法として
は、ポリマー架橋体を形成する原料となる化合物の種類
(ポリマーの種類や架橋剤の種類)や比率を変えて反応
させる方法、前記ポリマー架橋体を形成する原料に架橋
密度制御剤を添加、反応させる方法、前記ポリマー架橋
体を形成する原料を反応させてえられたものに架橋密度
制御剤を添加して架橋密度を調整する方法などの方法が
あげられる。
は、ポリマー架橋体を形成する原料となる化合物の種類
(ポリマーの種類や架橋剤の種類)や比率を変えて反応
させる方法、前記ポリマー架橋体を形成する原料に架橋
密度制御剤を添加、反応させる方法、前記ポリマー架橋
体を形成する原料を反応させてえられたものに架橋密度
制御剤を添加して架橋密度を調整する方法などの方法が
あげられる。
【0034】前記原料となる化合物の例としては、たと
えば不飽和基含有オルガノポリシロキサンと架橋剤にあ
たるヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンを組み
合わせたものなどがあげられる。
えば不飽和基含有オルガノポリシロキサンと架橋剤にあ
たるヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンを組み
合わせたものなどがあげられる。
【0035】前記不飽和基含有オルガノポリシロキサン
とヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンの組み合
わせでは、不飽和基含有オルガノポリシロキサン成分中
のケイ素原子に結合した不飽和基とヒドロシリル基含有
オルガノポリシロキサン成分中のケイ素原子に結合した
水素原子とが官能基となり、ヒドロシリル化反応を行な
い、架橋密度が調整される。
とヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンの組み合
わせでは、不飽和基含有オルガノポリシロキサン成分中
のケイ素原子に結合した不飽和基とヒドロシリル基含有
オルガノポリシロキサン成分中のケイ素原子に結合した
水素原子とが官能基となり、ヒドロシリル化反応を行な
い、架橋密度が調整される。
【0036】前記架橋密度制御剤は、前記ポリマー架橋
体を形成する原料またはその反応物との相溶性が良好な
液体であることが好ましく、その例としては、たとえば
PDMS、PDMS誘導体などがあげられ、なかでもPDMS、一般
式(I) :
体を形成する原料またはその反応物との相溶性が良好な
液体であることが好ましく、その例としては、たとえば
PDMS、PDMS誘導体などがあげられ、なかでもPDMS、一般
式(I) :
【0037】
【化2】
【0038】(式中、XはCl、NH2 、 OCH3 、OHまたは
アルキルエステルを表わし、mは1〜3、nは10〜50の
整数を表わす)で表わされるPDMS誘導体が好ましい。ま
た、その粘度としては5〜1000 cSt、さらには10〜50 c
Stのものが好ましい。
アルキルエステルを表わし、mは1〜3、nは10〜50の
整数を表わす)で表わされるPDMS誘導体が好ましい。ま
た、その粘度としては5〜1000 cSt、さらには10〜50 c
Stのものが好ましい。
【0039】前記架橋密度の調整の際に、要すれば溶剤
や可塑剤を添加してもよく、これらを使用すると調整が
容易になる。添加する溶剤や可塑剤は、使用するポリマ
ーに応じて適宜選択して使用されるが、その具体例とし
ては、フタル酸エステル系、芳香族カルボン酸エステル
系、ポリエステル系、エポキシ系、リン酸エステル系な
どの溶剤や可塑剤があげられる。
や可塑剤を添加してもよく、これらを使用すると調整が
容易になる。添加する溶剤や可塑剤は、使用するポリマ
ーに応じて適宜選択して使用されるが、その具体例とし
ては、フタル酸エステル系、芳香族カルボン酸エステル
系、ポリエステル系、エポキシ系、リン酸エステル系な
どの溶剤や可塑剤があげられる。
【0040】本発明の全固体調光装置には、微粒子を分
散させた誘電体(前記ポリマー架橋体)が使用される。
散させた誘電体(前記ポリマー架橋体)が使用される。
【0041】前記微粒子4は、電界または磁界の有無に
応じて、配向状態から無秩序状態へ、また、その逆方向
へ変化しうるものならいかなるものも用いることができ
る。その具体例としては、たとえばヘラパサイトに代表
されるアルカロイド酸塩の過ハロゲン化物、偏光性金属
ハロゲン化物、その他のハロゲン化物、塩酸ナフオキシ
ジン、グアニンなどの有機化合物微粒子、塩基性炭酸
鉛、オキシ塩化ビスマス、ヒ酸水素鉛、リン酸水素鉛、
グラファイト、マイカ、ざくろ石などの無機化合物微粒
子、アルミニウム、クロム、金、パラジウム、銀、タン
タル、チタン、酸化スズ、酸化チタン、五酸化バナジウ
ムなどの金属または金属酸化物の微粒子、金属酸化物で
被覆されたマイカ、ガラスフレーク、有機金属化合物で
被覆された微粒子、タングステンブロンズ膜で被覆され
た微粒子、少なくとも表面がTi Ox (1≦X≦1.5 )で
表わされる微粒子、さらに TiOx Ny (1.37≦x+y≦
1.95、0.15≦y≦0.92)微粒子などをあげることができ
る。
応じて、配向状態から無秩序状態へ、また、その逆方向
へ変化しうるものならいかなるものも用いることができ
る。その具体例としては、たとえばヘラパサイトに代表
されるアルカロイド酸塩の過ハロゲン化物、偏光性金属
ハロゲン化物、その他のハロゲン化物、塩酸ナフオキシ
ジン、グアニンなどの有機化合物微粒子、塩基性炭酸
鉛、オキシ塩化ビスマス、ヒ酸水素鉛、リン酸水素鉛、
グラファイト、マイカ、ざくろ石などの無機化合物微粒
子、アルミニウム、クロム、金、パラジウム、銀、タン
タル、チタン、酸化スズ、酸化チタン、五酸化バナジウ
ムなどの金属または金属酸化物の微粒子、金属酸化物で
被覆されたマイカ、ガラスフレーク、有機金属化合物で
被覆された微粒子、タングステンブロンズ膜で被覆され
た微粒子、少なくとも表面がTi Ox (1≦X≦1.5 )で
表わされる微粒子、さらに TiOx Ny (1.37≦x+y≦
1.95、0.15≦y≦0.92)微粒子などをあげることができ
る。
【0042】微粒子4の形状は、光学的に充分なコント
ラストがえられる点から、針状または板状であるのがよ
く、充分な透過率変化をうるためには、アスペクト比が
3.5以上であり、かつ光吸光係数が5×103 cm-1以上で
あるものが好ましい。また、微粒子4のサイズは、開状
態の透過率を上げるため、短軸が 100nm以下であること
が望ましく、さらには50nm以下であることがより望まし
い。
ラストがえられる点から、針状または板状であるのがよ
く、充分な透過率変化をうるためには、アスペクト比が
3.5以上であり、かつ光吸光係数が5×103 cm-1以上で
あるものが好ましい。また、微粒子4のサイズは、開状
態の透過率を上げるため、短軸が 100nm以下であること
が望ましく、さらには50nm以下であることがより望まし
い。
【0043】前記ポリマー架橋体中の前記微粒子の含有
量は、1〜10%(重量%、以下同様)、さらには2〜5
%であるのが透過率制御性能の点から好ましい。
量は、1〜10%(重量%、以下同様)、さらには2〜5
%であるのが透過率制御性能の点から好ましい。
【0044】微粒子4の少なくとも表面に酸化物が存在
するばあいには、架橋密度調整剤として一般式(I) で表
わされるPDMS誘導体を使用すると、片末端にCl、NH2 、
OCH3 基などの加水分解性官能基またはOH基を含むケイ
素基が存在するため前記微粒子に吸着などし、前述の潤
滑効果および緩和促進効果が顕著となり、一層調光性能
を向上させることができる。ここで加水分解性官能基と
は、水と反応して水酸基を形成することができる官能基
をいう。
するばあいには、架橋密度調整剤として一般式(I) で表
わされるPDMS誘導体を使用すると、片末端にCl、NH2 、
OCH3 基などの加水分解性官能基またはOH基を含むケイ
素基が存在するため前記微粒子に吸着などし、前述の潤
滑効果および緩和促進効果が顕著となり、一層調光性能
を向上させることができる。ここで加水分解性官能基と
は、水と反応して水酸基を形成することができる官能基
をいう。
【0045】前記微粒子を含有する誘電体層の好ましい
厚さは、電界を作用させるばあいと磁界を作用させるば
あいとで異なり、電界を作用させるばあい、電界の強さ
は電極間距離に逆比例するから、電極間距離が小さいほ
ど同じ電界強度をうるのに必要な電圧が低くてすみ、こ
の点から、電極間距離は5〜50μmとするのが好まし
い。
厚さは、電界を作用させるばあいと磁界を作用させるば
あいとで異なり、電界を作用させるばあい、電界の強さ
は電極間距離に逆比例するから、電極間距離が小さいほ
ど同じ電界強度をうるのに必要な電圧が低くてすみ、こ
の点から、電極間距離は5〜50μmとするのが好まし
い。
【0046】微粒子4に電界または磁界を作用させる手
段としては、従来よりこの種の電気磁気光学装置におい
て使用されているものならいかなるものも用いることが
でき、さらに電界を作用させる手段としては、たとえば
前記透明導電膜を図1に示すような基板の内側に設けて
電圧を印加する方法などがあげられる。
段としては、従来よりこの種の電気磁気光学装置におい
て使用されているものならいかなるものも用いることが
でき、さらに電界を作用させる手段としては、たとえば
前記透明導電膜を図1に示すような基板の内側に設けて
電圧を印加する方法などがあげられる。
【0047】前記全固体調光装置の製法としては、たと
えば以下のような方法があげられる。
えば以下のような方法があげられる。
【0048】まず、微粒子を分散媒に添加、撹拌して、
分散体を調製する。
分散体を調製する。
【0049】分散体の調製方法としては、たとえば微粒
子をポリマー架橋体を形成する原料となるポリマーおよ
び架橋剤に添加、撹拌する方法、微粒子を前記ポリマー
および架橋剤と架橋密度制御剤の混合物に添加、撹拌す
る方法などがあげられる。
子をポリマー架橋体を形成する原料となるポリマーおよ
び架橋剤に添加、撹拌する方法、微粒子を前記ポリマー
および架橋剤と架橋密度制御剤の混合物に添加、撹拌す
る方法などがあげられる。
【0050】前記方法でえられた分散体は、たとえば片
面にITOなどの透明導電膜を設けたガラス基板などの
基板の上に、スクリーン印刷などの方法により塗布す
る。そして、同様に透明導電膜を設けた基板を内側に透
明導電膜が向くようにして一定間隔になるように挟む。
分散体の膜厚を一定間隔にする方法としては、たとえば
分散体を調製する際に、一定粒径のポリマー製ビーズを
スペーサー材として前記分散媒に混入する方法があり、
前記スペーサー材を使用する方法では単に一対の基板で
分散体を挟んで固定するだけで一定の間隔にしうる。
面にITOなどの透明導電膜を設けたガラス基板などの
基板の上に、スクリーン印刷などの方法により塗布す
る。そして、同様に透明導電膜を設けた基板を内側に透
明導電膜が向くようにして一定間隔になるように挟む。
分散体の膜厚を一定間隔にする方法としては、たとえば
分散体を調製する際に、一定粒径のポリマー製ビーズを
スペーサー材として前記分散媒に混入する方法があり、
前記スペーサー材を使用する方法では単に一対の基板で
分散体を挟んで固定するだけで一定の間隔にしうる。
【0051】このように、間に分散体がセットされた基
板を、たとえば50〜80℃で0.5 〜2.5 時間加熱すること
により、全固体調光装置がえられる。
板を、たとえば50〜80℃で0.5 〜2.5 時間加熱すること
により、全固体調光装置がえられる。
【0052】なお、分散体の調製方法として、微粒子を
前記ポリマーおよび架橋剤に添加して反応させたのち、
さらに架橋密度制御剤を添加、撹拌する方法もあり、こ
のばあいには完全に反応させると流動性を失うので、完
全に反応して固化する前の状態で架橋密度制御剤を添
加、基板に塗布し、そののちは前記と同様の工程で全固
体調光装置を製造すればよい。
前記ポリマーおよび架橋剤に添加して反応させたのち、
さらに架橋密度制御剤を添加、撹拌する方法もあり、こ
のばあいには完全に反応させると流動性を失うので、完
全に反応して固化する前の状態で架橋密度制御剤を添
加、基板に塗布し、そののちは前記と同様の工程で全固
体調光装置を製造すればよい。
【0053】えられた全固体調光装置のサイズは、その
用途などにより適宜決定されるが、分散媒体として分散
時に液体であり、加熱などにより硬化させて適当な弾性
を有する固体とする前記方法を用いることができるの
で、スクリーン印刷法などの大面積化に適した方法を採
用することができ、従来よりも大面積(たとえば約100c
m 角)の調光装置の作製が可能になる。ちなみに、いま
までの分散媒体は液体であったために、組み立て方法と
して真空注入法しか採用できなかったので、調光装置の
サイズは、約30cm角までであった。
用途などにより適宜決定されるが、分散媒体として分散
時に液体であり、加熱などにより硬化させて適当な弾性
を有する固体とする前記方法を用いることができるの
で、スクリーン印刷法などの大面積化に適した方法を採
用することができ、従来よりも大面積(たとえば約100c
m 角)の調光装置の作製が可能になる。ちなみに、いま
までの分散媒体は液体であったために、組み立て方法と
して真空注入法しか採用できなかったので、調光装置の
サイズは、約30cm角までであった。
【0054】本発明の全固体調光装置に電界を作用させ
ると、微粒子は図1に示すように長軸が電界に平行にな
るように配向する。そして、電界を解除すると、微粒子
は図2に示すように初期の無秩序状態に復帰する。
ると、微粒子は図1に示すように長軸が電界に平行にな
るように配向する。そして、電界を解除すると、微粒子
は図2に示すように初期の無秩序状態に復帰する。
【0055】この復帰に要する時間は、たとえばオルガ
ノポリシロキサンを使用したばあい0.5 〜5秒であり、
その一例をあげると約 0.7秒である(図5参照)。従来
の液体分散媒を用いたものが、約50秒である(図6参
照)ので、復帰時間が大幅に短縮される。したがって、
ポリマー架橋体を用いた全固体調光装置のスイッチング
作用における応答速度が大幅に向上する。
ノポリシロキサンを使用したばあい0.5 〜5秒であり、
その一例をあげると約 0.7秒である(図5参照)。従来
の液体分散媒を用いたものが、約50秒である(図6参
照)ので、復帰時間が大幅に短縮される。したがって、
ポリマー架橋体を用いた全固体調光装置のスイッチング
作用における応答速度が大幅に向上する。
【0056】本発明の架橋体のせん断弾性率(G′)を
特定の範囲にするばあいには、その透過率変化幅(△T
t)を約13%と大きく向上させることができる。
特定の範囲にするばあいには、その透過率変化幅(△T
t)を約13%と大きく向上させることができる。
【0057】また、分散媒が適当な弾性を有する固体で
あるため、従来の液体分散媒を用いた調光装置のように
液漏れや破損時に分散媒が飛散することもないので、調
光装置の信頼性および安全性が向上する。
あるため、従来の液体分散媒を用いた調光装置のように
液漏れや破損時に分散媒が飛散することもないので、調
光装置の信頼性および安全性が向上する。
【0058】つぎに具体的な実施例に基づいて本発明の
全固体調光装置をさらに詳細に説明するが、本発明はか
かる実施例のみに限定されるものではない。
全固体調光装置をさらに詳細に説明するが、本発明はか
かる実施例のみに限定されるものではない。
【0059】実施例1 異方性双極子微粒子である針状ルチル形 TiO2 結晶(短
軸の平均粒子径0.09μm、アスペクト比 6.5)をシリコ
ーン架橋体材料(信越化学工業(株)製のKE1052でA液
とB液の重量比が1/1のもの)に添加して、微粒子濃
度3%の分散体を調製した。えられた分散体を、SiO 2
膜(厚さ約500nm )を被覆した ITO透明導電膜(厚さ35
nm)付きガラス基板(50×20×1.1mm)の間に挟み込ん
だ。そののち、50℃で一晩保存して分散体を硬化させ、
調光装置用セル(以下、セルという)をえた。なお、ス
ペーサー材として平均粒径24μmのポリマー製ビーズを
ガラス基板間に挿入した。
軸の平均粒子径0.09μm、アスペクト比 6.5)をシリコ
ーン架橋体材料(信越化学工業(株)製のKE1052でA液
とB液の重量比が1/1のもの)に添加して、微粒子濃
度3%の分散体を調製した。えられた分散体を、SiO 2
膜(厚さ約500nm )を被覆した ITO透明導電膜(厚さ35
nm)付きガラス基板(50×20×1.1mm)の間に挟み込ん
だ。そののち、50℃で一晩保存して分散体を硬化させ、
調光装置用セル(以下、セルという)をえた。なお、ス
ペーサー材として平均粒径24μmのポリマー製ビーズを
ガラス基板間に挿入した。
【0060】えられたセル内の分散体(微粒子含有シリ
コーン架橋体)の室温における流動性をガラス棒で触れ
て調べたところ、流動性は認められなかった。
コーン架橋体)の室温における流動性をガラス棒で触れ
て調べたところ、流動性は認められなかった。
【0061】前記セルのスイッチング性能を調べるた
め、2秒間160V印加4秒間OFF 状態を保つ操作を1サイ
クルとしてセル駆動し、その光透過率を測定した。結果
を図7に示す。
め、2秒間160V印加4秒間OFF 状態を保つ操作を1サイ
クルとしてセル駆動し、その光透過率を測定した。結果
を図7に示す。
【0062】図7から実施例1のセルは、明瞭なスイッ
チング作用を有することがわかる。
チング作用を有することがわかる。
【0063】実施例2 実施例1で用いた分散体に、20%の割合(シリコーン架
橋体材料および微粒子の合計重量に対する割合、以下同
様)で1000cSt のPDMSを添加して架橋密度を変化させた
ほかは、実施例1と同様にしてセルを作製した。
橋体材料および微粒子の合計重量に対する割合、以下同
様)で1000cSt のPDMSを添加して架橋密度を変化させた
ほかは、実施例1と同様にしてセルを作製した。
【0064】えられたセル内の分散体の室温における流
動性を実施例1と同様に調べたところ、流動性は認めら
れなかった。
動性を実施例1と同様に調べたところ、流動性は認めら
れなかった。
【0065】前記セルのスイッチング性能を、実施例1
と同一のセル駆動条件の下に測定した。結果を図8に示
す。
と同一のセル駆動条件の下に測定した。結果を図8に示
す。
【0066】図8から実施例2のセルは明瞭なスイッチ
ング作用を有することがわかる。
ング作用を有することがわかる。
【0067】実施例3 シリカおよびアルミナの絶縁膜を被膜した針状 TiOx 微
粒子(短軸の平均粒子径0.09μm、アスペクト比 6.5)
をシリコーン架橋体材料(実施例1と同じ)に添加し、
さらに架橋密度制御剤として片末端に3個の OCH3 基を
含むケイ素基を有する重合度が20のPDMS誘導体を、その
添加量が0%、20%、40%、60%または80%となるよう
に添加して架橋密度を変化させた5種の分散体を調製し
た。各サンプルの微粒子濃度は、すべて0.025 %になる
ように調整した。
粒子(短軸の平均粒子径0.09μm、アスペクト比 6.5)
をシリコーン架橋体材料(実施例1と同じ)に添加し、
さらに架橋密度制御剤として片末端に3個の OCH3 基を
含むケイ素基を有する重合度が20のPDMS誘導体を、その
添加量が0%、20%、40%、60%または80%となるよう
に添加して架橋密度を変化させた5種の分散体を調製し
た。各サンプルの微粒子濃度は、すべて0.025 %になる
ように調整した。
【0068】まず、分散体中における微粒子の凝集およ
び沈降状態を調べるために、硬化前の分散体を1cm角の
光学セル中に注入し、50℃で1晩加熱することにより架
橋反応を完結させ、分光光度計((株)日立製作所製の
330 )により波長540nm の光を用いて濁度の経時変化を
測定した。結果を図9に示す。
び沈降状態を調べるために、硬化前の分散体を1cm角の
光学セル中に注入し、50℃で1晩加熱することにより架
橋反応を完結させ、分光光度計((株)日立製作所製の
330 )により波長540nm の光を用いて濁度の経時変化を
測定した。結果を図9に示す。
【0069】図9から、架橋密度制御剤の添加量が60%
以下の範囲では測定を開始してから約3ヵ月後も濁度は
ほとんど変化しておらず、凝集および沈降がほぼ完全に
制御されていることがわかる。なお、架橋密度制御剤の
添加量が80%になると濁度の経時変化があらわれてい
る。
以下の範囲では測定を開始してから約3ヵ月後も濁度は
ほとんど変化しておらず、凝集および沈降がほぼ完全に
制御されていることがわかる。なお、架橋密度制御剤の
添加量が80%になると濁度の経時変化があらわれてい
る。
【0070】つぎに、レオメトリックス社製のRDAII
により、そのせん断弾性率を測定した。サンプルのせん
断弾性率の対数と架橋密度制御剤添加量の関係を図10に
示す。図10よりわかるように、架橋密度制御剤の添加量
の増加に伴って架橋体の架橋密度は低下し、分散体のせ
ん断弾性率は低下している。前述のように架橋密度制御
剤が片末端に3個の OCH3 基を含むケイ素基を有するPD
MS誘導体であるばあいには、その添加量が80%未満であ
ることが好ましいため、凝集および沈降防止のために
は、せん断弾性率が1×103 dyn /cm2 を超えるシリコ
ーン架橋体が好ましいことがわかる。
により、そのせん断弾性率を測定した。サンプルのせん
断弾性率の対数と架橋密度制御剤添加量の関係を図10に
示す。図10よりわかるように、架橋密度制御剤の添加量
の増加に伴って架橋体の架橋密度は低下し、分散体のせ
ん断弾性率は低下している。前述のように架橋密度制御
剤が片末端に3個の OCH3 基を含むケイ素基を有するPD
MS誘導体であるばあいには、その添加量が80%未満であ
ることが好ましいため、凝集および沈降防止のために
は、せん断弾性率が1×103 dyn /cm2 を超えるシリコ
ーン架橋体が好ましいことがわかる。
【0071】実施例4 実施例3で使用したものと同一の微粒子をシリコーン架
橋体材料(実施例1と同じ)に添加し、さらに架橋密度
制御剤として、重合度が32で粘度が20cSt のPDMSまたは
重合度が160 で粘度が1000cSt のPDMSを、その添加量が
それぞれ20〜60%になるように添加して架橋密度の異な
る分散体を調製した。各サンプルの微粒子濃度は、すべ
て3%になるように調整した。スペーサー材としては、
平均粒径24μmのポリマー製ビーズを用いた。
橋体材料(実施例1と同じ)に添加し、さらに架橋密度
制御剤として、重合度が32で粘度が20cSt のPDMSまたは
重合度が160 で粘度が1000cSt のPDMSを、その添加量が
それぞれ20〜60%になるように添加して架橋密度の異な
る分散体を調製した。各サンプルの微粒子濃度は、すべ
て3%になるように調整した。スペーサー材としては、
平均粒径24μmのポリマー製ビーズを用いた。
【0072】えられた分散体を実施例1で用いた SiO2
膜被覆ITO 透明導電膜付きガラス基板の間に挟み、50℃
で一晩保存して架橋反応を完結させ、セルをえた。
膜被覆ITO 透明導電膜付きガラス基板の間に挟み、50℃
で一晩保存して架橋反応を完結させ、セルをえた。
【0073】つぎに、4秒間 320V(ピーク)の電圧を
印加後30秒間OFF 状態を保つ操作をを1サイクルとして
セル駆動し、電圧印加時およびOFF 時の全透過率を求
め、その差より全透過率変化幅(△Tt、光の透過率
(%)の変化幅)を求めた。結果を図11に示す。
印加後30秒間OFF 状態を保つ操作をを1サイクルとして
セル駆動し、電圧印加時およびOFF 時の全透過率を求
め、その差より全透過率変化幅(△Tt、光の透過率
(%)の変化幅)を求めた。結果を図11に示す。
【0074】縦軸は全透過率変化幅(△Tt)であり、横
軸は架橋密度制御剤添加量(%)である。
軸は架橋密度制御剤添加量(%)である。
【0075】図11から、PDMS添加量の増加にともなって
△Ttは増大し、約40%で最大値に達したのちに減少する
ことがわかる。また図11より有意義な△Ttをうるために
は架橋密度制御剤がPDMSのばあいには、添加量が約20〜
60%の範囲にあることが好ましいことがわかる。また、
この実施例では重合度が32のPDMSと重合度が 160のPDMS
を用いたが全透過率変化幅に大差がなく、このPDMS添加
効果はPDMSの分子量の影響が小さいことがわかる。
△Ttは増大し、約40%で最大値に達したのちに減少する
ことがわかる。また図11より有意義な△Ttをうるために
は架橋密度制御剤がPDMSのばあいには、添加量が約20〜
60%の範囲にあることが好ましいことがわかる。また、
この実施例では重合度が32のPDMSと重合度が 160のPDMS
を用いたが全透過率変化幅に大差がなく、このPDMS添加
効果はPDMSの分子量の影響が小さいことがわかる。
【0076】なお、一般に明確に認識可能な△Ttの値は
約3%以上である。
約3%以上である。
【0077】また、前記分散体を用いて実施例3と同様
にせん断弾性率を測定した。サンプルの全透過率変化幅
(△Tt)のせん断弾性率(G′)依存性を図12に示す。
図12から、有意義な△Ttをうるためには、せん断弾性率
の対数が約 3.4〜3.8 (G′が 2.5×103 〜 6.3×103
dyn /cm2 )であることがわかる。
にせん断弾性率を測定した。サンプルの全透過率変化幅
(△Tt)のせん断弾性率(G′)依存性を図12に示す。
図12から、有意義な△Ttをうるためには、せん断弾性率
の対数が約 3.4〜3.8 (G′が 2.5×103 〜 6.3×103
dyn /cm2 )であることがわかる。
【0078】さらに、粒子サイズが小さいほど、電界配
向時に1個の微粒子が受ける応力が減少することから、
G′の上限値は粒子サイズが小さいほど大きくなる。し
かしながら、アスペクト比を 3.5以上に保ちながら、粒
子サイズを500nm 以下にすることは技術的に困難をとも
なうことから、実用的なG′の上限値にはおのずから限
界がある。
向時に1個の微粒子が受ける応力が減少することから、
G′の上限値は粒子サイズが小さいほど大きくなる。し
かしながら、アスペクト比を 3.5以上に保ちながら、粒
子サイズを500nm 以下にすることは技術的に困難をとも
なうことから、実用的なG′の上限値にはおのずから限
界がある。
【0079】実施例5 実施例3で使用したものと同一の微粒子をシリコーン架
橋体材料(実施例1と同じ)に添加し、さらに架橋密度
制御剤として片末端に3個の OCH3 基を含むケイ素基を
有する重合度が10、20または50のPDMS誘導体を、その添
加量として20〜100 %の範囲内で適当に選んで添加し、
架橋密度を変化させた分散体を調製した。各サンプルの
微粒子濃度は、すべて3%になるように調整した。
橋体材料(実施例1と同じ)に添加し、さらに架橋密度
制御剤として片末端に3個の OCH3 基を含むケイ素基を
有する重合度が10、20または50のPDMS誘導体を、その添
加量として20〜100 %の範囲内で適当に選んで添加し、
架橋密度を変化させた分散体を調製した。各サンプルの
微粒子濃度は、すべて3%になるように調整した。
【0080】つぎに実施例3と同様にセルを作製し、全
透過率変化幅(△Tt)を調べた。結果を図13に示す。
透過率変化幅(△Tt)を調べた。結果を図13に示す。
【0081】また実施例3と同様にせん断弾性率を測定
した。結果を図14に示す。
した。結果を図14に示す。
【0082】このばあい、架橋密度制御剤の添加量の増
加に伴って架橋体の架橋密度は低下し、分散体のせん断
弾性率は低下する。
加に伴って架橋体の架橋密度は低下し、分散体のせん断
弾性率は低下する。
【0083】図13は、架橋密度制御剤の添加量の増加に
ともなって△Ttは増加し、添加量が約50〜60%で最大値
に達したのちに減少することを示している。この吸着性
のある加水分解性官能基を有するPDMS誘導体の添加効果
は通常のPDMSの添加効果に比べてさらに大きいこと、ま
た、その重合度が20のばあいに△Ttは飛躍的に増加して
いることがわかる。図13より有意義な△Ttをうるために
は、吸着性のPDMS誘導体のばあい、その添加量が20%を
超える範囲が好ましいことがわかる。
ともなって△Ttは増加し、添加量が約50〜60%で最大値
に達したのちに減少することを示している。この吸着性
のある加水分解性官能基を有するPDMS誘導体の添加効果
は通常のPDMSの添加効果に比べてさらに大きいこと、ま
た、その重合度が20のばあいに△Ttは飛躍的に増加して
いることがわかる。図13より有意義な△Ttをうるために
は、吸着性のPDMS誘導体のばあい、その添加量が20%を
超える範囲が好ましいことがわかる。
【0084】図13の結果より全透過率変化幅(△Tt)が
大きいことのわかった、重合度が20で、その添加量が40
〜60%になるように前記PDMS誘導体を添加した分散体を
用いた調光装置につき、スイッチング性能を調べたとこ
ろ、分散体が配向状態から無秩序状態に復帰する時間が
約4秒であり、実施例4で記載した電圧印加とOFF の状
態を100 回くり返しても、再現性よくほぼ同じ全透過率
変化幅(△Tt)を示した。
大きいことのわかった、重合度が20で、その添加量が40
〜60%になるように前記PDMS誘導体を添加した分散体を
用いた調光装置につき、スイッチング性能を調べたとこ
ろ、分散体が配向状態から無秩序状態に復帰する時間が
約4秒であり、実施例4で記載した電圧印加とOFF の状
態を100 回くり返しても、再現性よくほぼ同じ全透過率
変化幅(△Tt)を示した。
【0085】図14は、重合度が20の前記PDMS誘導体を添
加したものにつき、全透過率変化幅(△Tt)(%)とせ
ん断弾性率(G′)の対数の関係を示したものである。
図14より、有意義な△Ttをうるためには、せん断弾性率
の対数が約 3.8(G′が約6.3 ×103 dyn /cm2 )以下
であることがわかる。さらに、実施例3の結果を考慮す
ると、G′および吸着性の架橋密度制御剤PDMS誘導体添
加量のとくに好ましい範囲はそれぞれ1×103 <G′≦
6.3 ×103 dyn /cm2 、20%<架橋密度制御剤PDMS誘導
体添加量<80%であることがわかる。
加したものにつき、全透過率変化幅(△Tt)(%)とせ
ん断弾性率(G′)の対数の関係を示したものである。
図14より、有意義な△Ttをうるためには、せん断弾性率
の対数が約 3.8(G′が約6.3 ×103 dyn /cm2 )以下
であることがわかる。さらに、実施例3の結果を考慮す
ると、G′および吸着性の架橋密度制御剤PDMS誘導体添
加量のとくに好ましい範囲はそれぞれ1×103 <G′≦
6.3 ×103 dyn /cm2 、20%<架橋密度制御剤PDMS誘導
体添加量<80%であることがわかる。
【0086】さらに、粒子の微小化を考慮すると、G′
の最適値は1×103 < G′≦1×104 dyn /cm2 とな
ると推定される。
の最適値は1×103 < G′≦1×104 dyn /cm2 とな
ると推定される。
【0087】実施例6 実施例3で使用したものと同一の微粒子を、シリコーン
架橋体材料(信越化学工業(株)製のKE1052)で、その
B液とA液の重量比(X)(X=B液/A液)を変化さ
せたものに添加して分散体を調製した。Xの値が大きい
ほど、架橋密度は増加し、分散体の弾性率は大きくな
る。各サンプルの微粒子濃度は、すべて 0.025%になる
ように調整した。
架橋体材料(信越化学工業(株)製のKE1052)で、その
B液とA液の重量比(X)(X=B液/A液)を変化さ
せたものに添加して分散体を調製した。Xの値が大きい
ほど、架橋密度は増加し、分散体の弾性率は大きくな
る。各サンプルの微粒子濃度は、すべて 0.025%になる
ように調整した。
【0088】分散体中における微粒子の凝集および沈降
状態を調べるために、硬化前の分散体を実施例3と同様
に光学セル中に注入し、50℃で1晩加熱することによ
り、架橋反応を完結させ、波長540 nmの光を用いて濁度
の経時変化を測定した。
状態を調べるために、硬化前の分散体を実施例3と同様
に光学セル中に注入し、50℃で1晩加熱することによ
り、架橋反応を完結させ、波長540 nmの光を用いて濁度
の経時変化を測定した。
【0089】図15から、X≧0.4 の範囲では測定を開始
してから約2カ月後も濁度はほとんど変化しておらず、
凝集および沈降がほぼ完全に抑制されていることがわか
る。
してから約2カ月後も濁度はほとんど変化しておらず、
凝集および沈降がほぼ完全に抑制されていることがわか
る。
【0090】実施例7 実施例3で使用したものと同一の微粒子を、シリコーン
架橋体材料(信越化学工業(株)製のKE1052)で、その
B液とA液の重量比(X)(X=B液/A液)を変化さ
せたものに添加して分散体を調製した。各サンプルの微
粒子濃度は、すべて3%になるように調整した。スペー
サー材として平均粒径24μmのポリマー製ビーズを用い
た。えられた分散体を実施例1で用いた SiO2 膜被覆IT
O 透明導電膜付きガラス基板の間に挟み、50℃で一晩保
存して架橋反応を完結させてセルを作製した。つぎに実
施例4と同様に、4秒間 320V(ピーク)の電圧を印加
後30秒間OFF 状態を保つ操作を1サイクルとしてセル駆
動し、全透過率変化幅(△Tt)(%)を求めた。結果を
図16に示す。
架橋体材料(信越化学工業(株)製のKE1052)で、その
B液とA液の重量比(X)(X=B液/A液)を変化さ
せたものに添加して分散体を調製した。各サンプルの微
粒子濃度は、すべて3%になるように調整した。スペー
サー材として平均粒径24μmのポリマー製ビーズを用い
た。えられた分散体を実施例1で用いた SiO2 膜被覆IT
O 透明導電膜付きガラス基板の間に挟み、50℃で一晩保
存して架橋反応を完結させてセルを作製した。つぎに実
施例4と同様に、4秒間 320V(ピーク)の電圧を印加
後30秒間OFF 状態を保つ操作を1サイクルとしてセル駆
動し、全透過率変化幅(△Tt)(%)を求めた。結果を
図16に示す。
【0091】図16から、Xの増加にともなって全透過率
変化幅は増大し、0.45<X<0.5 の範囲で最大に達した
のちに再び減少することがわかる。X>0.8 の領域で全
透過率変化幅が急激に減少しているのは、架橋密度が小
さすぎるために、分散体の損失弾性率が大きくなりすぎ
たためである。したがって、Xの最適範囲は0.4 ≦X≦
0.8 である。
変化幅は増大し、0.45<X<0.5 の範囲で最大に達した
のちに再び減少することがわかる。X>0.8 の領域で全
透過率変化幅が急激に減少しているのは、架橋密度が小
さすぎるために、分散体の損失弾性率が大きくなりすぎ
たためである。したがって、Xの最適範囲は0.4 ≦X≦
0.8 である。
【0092】実施例8 実施例7と同様に、シリコーン架橋体材料におけるB液
とA液の重量比(X)(X=B液/A液)を変化させた
分散体を調製し、実施例3と同様にせん断弾性率
(G′)を測定した。図17に混合比(X)とせん断弾性
率(G′)との関係を示す。
とA液の重量比(X)(X=B液/A液)を変化させた
分散体を調製し、実施例3と同様にせん断弾性率
(G′)を測定した。図17に混合比(X)とせん断弾性
率(G′)との関係を示す。
【0093】図17から、Xの増加とともにせん断弾性率
(G′)が増加していることがわかる。また、実施例3
で示したXの最適範囲(0.4 ≦X≦0.8 )は、1×102
〜1×104 dyn /cm2 のせん断弾性率(G′)に対応し
ていることがわかる。
(G′)が増加していることがわかる。また、実施例3
で示したXの最適範囲(0.4 ≦X≦0.8 )は、1×102
〜1×104 dyn /cm2 のせん断弾性率(G′)に対応し
ていることがわかる。
【0094】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の全固体調
光装置においては、微粒子分散体に磁場または電場をオ
ン・オフしたばあいに微粒子の配向状態の変化にともな
い適当な弾性を有する固体の分散媒に発生する応力を利
用してスイッチング作用を行なっているので、光に対す
る透過率を制御でき、その応答速度を著しく向上するこ
とができる。
光装置においては、微粒子分散体に磁場または電場をオ
ン・オフしたばあいに微粒子の配向状態の変化にともな
い適当な弾性を有する固体の分散媒に発生する応力を利
用してスイッチング作用を行なっているので、光に対す
る透過率を制御でき、その応答速度を著しく向上するこ
とができる。
【0095】また、本発明の全固体調光装置は、分散媒
が適当な弾性を有する固体であるため、微粒子の沈降が
抑制され、さらに分散媒体をそのせん断弾性率が制御さ
れたポリマー架橋体にしたばあい、光に対する透過率制
御性能を向上させることができる。
が適当な弾性を有する固体であるため、微粒子の沈降が
抑制され、さらに分散媒体をそのせん断弾性率が制御さ
れたポリマー架橋体にしたばあい、光に対する透過率制
御性能を向上させることができる。
【0096】また、本発明の調光装置は、分散体が固体
または半固体であることから、分散媒の漏洩や破損時の
飛散が防止できるので、調光装置として好適に使用でき
るとともに、その信頼性および安全性を向上させること
ができる。
または半固体であることから、分散媒の漏洩や破損時の
飛散が防止できるので、調光装置として好適に使用でき
るとともに、その信頼性および安全性を向上させること
ができる。
【0097】さらに、本発明の調光装置は、微粒子分散
体を基板に塗布する際スクリーン印刷法を用いて作製で
きるので、大面積の調光装置も容易に製造でき、しかも
透過率制御のすぐれたものを安価にえられる。
体を基板に塗布する際スクリーン印刷法を用いて作製で
きるので、大面積の調光装置も容易に製造でき、しかも
透過率制御のすぐれたものを安価にえられる。
【0098】以上より、本発明のポリマー架橋体を用い
た全固体調光装置は建築物および自動車の窓ガラスなど
広い範囲で好適に使用できる。
た全固体調光装置は建築物および自動車の窓ガラスなど
広い範囲で好適に使用できる。
【図1】本発明の全固体調光装置において電界または磁
界が作用したばあいの光透過状態を示す説明図である。
界が作用したばあいの光透過状態を示す説明図である。
【図2】本発明の全固体調光装置において電界または磁
界の作用が解除されたばあいの光の透過状態を示す説明
図である。
界の作用が解除されたばあいの光の透過状態を示す説明
図である。
【図3】電界により微粒子が凝集する様子を説明するた
めの図で、まだ電界が作用していないばあいを示す説明
図である。
めの図で、まだ電界が作用していないばあいを示す説明
図である。
【図4】電界により微粒子が凝集する様子を説明するた
めの図で、電界が作用したばあいを示す説明図である。
めの図で、電界が作用したばあいを示す説明図である。
【図5】本発明の全固体調光装置のスイッチング作用に
おける応答速度の一例を示すグラフである。
おける応答速度の一例を示すグラフである。
【図6】従来の全固体調光装置のスイッチング作用にお
ける応答速度の一例を示すグラフである。
ける応答速度の一例を示すグラフである。
【図7】実施例1のセルのスイッチング性能を示すグラ
フである。
フである。
【図8】実施例2のセルのスイッチング性能を示すグラ
フである。
フである。
【図9】実施例3に記載した方法で製造した分散体中の
微粒子の分散安定性を示すグラフである。
微粒子の分散安定性を示すグラフである。
【図10】実施例3にに記載した方法で製造した分散体
のせん断弾性率の対数と架橋密度制御剤添加量の関係を
示すグラフである。
のせん断弾性率の対数と架橋密度制御剤添加量の関係を
示すグラフである。
【図11】実施例4に記載の本発明の全固体調光装置に
おける光の全透過率変化幅と架橋密度制御剤添加量との
関係を示すグラフである。
おける光の全透過率変化幅と架橋密度制御剤添加量との
関係を示すグラフである。
【図12】実施例4に記載の本発明の全固体調光装置に
おける光の全透過率変化幅と分散体のせん断弾性率の対
数との関係を示すグラフである。
おける光の全透過率変化幅と分散体のせん断弾性率の対
数との関係を示すグラフである。
【図13】実施例5に記載の本発明の全固体調光装置に
おける光の全透過率変化幅と架橋密度制御剤の添加量と
の関係を示すグラフである。
おける光の全透過率変化幅と架橋密度制御剤の添加量と
の関係を示すグラフである。
【図14】実施例5に記載の本発明の全固体調光装置に
おける光に対する全透過率変化幅と分散体のせん断弾性
率の対数との関係を示すグラフである。
おける光に対する全透過率変化幅と分散体のせん断弾性
率の対数との関係を示すグラフである。
【図15】実施例6に記載の方法で製造した分散体中の
微粒子の分散安定性を示すグラフである。
微粒子の分散安定性を示すグラフである。
【図16】実施例7に記載の本発明の全固体調光装置の
全透過率変化幅とシリコーン架橋体材料のB液とA液の
重量比との関係を示すグラフである。
全透過率変化幅とシリコーン架橋体材料のB液とA液の
重量比との関係を示すグラフである。
【図17】実施例8に記載の本発明の全固体調光装置の
せん断弾性率とシリコーン架橋体材料のB液とA液の重
量比との関係を示すグラフである。
せん断弾性率とシリコーン架橋体材料のB液とA液の重
量比との関係を示すグラフである。
1 基板 2 透明導電膜 3 ポリマー架橋体 4 微粒子 5 電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平田 昌宏 大阪市中央区道修町三丁目5番11号 日 本板硝子株式会社内 (72)発明者 河原 秀夫 大阪市中央区道修町三丁目5番11号 日 本板硝子株式会社内 (72)発明者 ▼ヨシ▲岡 博 東京都千代田区大手町二丁目6番1号 信越化学工業株式会社 本社内 (72)発明者 池野 正行 群馬県碓氷郡松井田町大字人見1番地10 信越化学工業株式会社 シリコーン電 子材料技術研究所内 (72)発明者 小野 猪智郎 群馬県碓氷郡松井田町大字人見1番地10 信越化学工業株式会社 シリコーン電 子材料技術研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02F 1/17 - 1/19
Claims (10)
- 【請求項1】 微粒子が分散含有された誘電体と、前記
誘電体に電界または磁界が供給される手段とからなる電
気磁気調光装置であって、前記誘電体が実質上有機ポリ
マーおよび(または)無機ポリマー架橋体からなること
を特徴とする全固体調光装置。 - 【請求項2】 前記誘電体と、電界が供給される一対の
電極からなる電気調光装置である請求項1記載の全固体
調光装置。 - 【請求項3】 前記誘電体が、せん断弾性率(G′)が
常温で1×102≦G′≦1×105 dyn /cm2 (測定周波
数=1Hz)の範囲である請求項2記載の全固体調光装
置。 - 【請求項4】 前記誘電体が、せん断弾性率(G′)が
常温で1×103<G′≦1×104 dyn /cm2 (測定周波
数=1Hz)の範囲である請求項2記載の全固体調光装
置。 - 【請求項5】 前記誘電体がオルガノポリシロキサン架
橋体で構成されてなる請求項1、2、3または4記載の
全固体調光装置。 - 【請求項6】 前記オルガノポリシロキサン架橋体がオ
ルガノポリシロキサン付加架橋体であることを特徴とす
る請求項5記載の全固体調光装置。 - 【請求項7】 前記オルガノポリシロキサンがポリジメ
チルシロキサンを主骨格とするものであることを特徴と
する請求項5記載の全固体調光装置。 - 【請求項8】 前記誘電体が前記ポリマー架橋体に架橋
密度制御剤が添加されて前記せん断弾性率の範囲に調整
されてなる請求項3または4記載の全固体調光装置。 - 【請求項9】 架橋密度制御剤がポリジメチルシロキサ
ンまたはポリジメチルシロキサン誘導体である請求項8
記載の全固体調光装置。 - 【請求項10】 ポリジメチルシロキサン誘導体が一般
式(1) : 【化1】 (ただし、XはCl、NH2 、 OCH3 、OHまたはアルキルエ
ステルを表わし、mは1〜3、nは10〜50の整数を表わ
す)で表わされる片末端に加水分解性官能基および(ま
たは)水酸基を含むケイ素基を有するポリジメチルシロ
キサン誘導体である請求項9記載の全固体調光装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3230405A JP2992137B2 (ja) | 1990-09-28 | 1991-09-10 | 全固体調光装置 |
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26170690 | 1990-09-28 | ||
JP2-261706 | 1991-05-10 | ||
JP3-106041 | 1991-05-10 | ||
JP10604191 | 1991-05-10 | ||
JP3230405A JP2992137B2 (ja) | 1990-09-28 | 1991-09-10 | 全固体調光装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0527271A JPH0527271A (ja) | 1993-02-05 |
JP2992137B2 true JP2992137B2 (ja) | 1999-12-20 |
Family
ID=27310642
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3230405A Expired - Fee Related JP2992137B2 (ja) | 1990-09-28 | 1991-09-10 | 全固体調光装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2992137B2 (ja) |
Families Citing this family (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5728251A (en) * | 1995-09-27 | 1998-03-17 | Research Frontiers Inc | Light modulating film of improved UV stability for a light valve |
DE69715567T3 (de) * | 1996-11-26 | 2016-08-04 | Saint-Gobain Glass France S.A. | Verwendung einer Verbundglasscheibe zur Dämmung von durch Festkörper geleiteten Schwingungen in einem Fahrzeug |
AU2009283544B2 (en) | 2008-08-19 | 2013-01-31 | Resonac Corporation | Light-modulating film |
WO2010021275A1 (ja) | 2008-08-19 | 2010-02-25 | 日立化成工業株式会社 | 調光フィルム |
WO2010092954A1 (ja) | 2009-02-13 | 2010-08-19 | 日立化成工業株式会社 | 調光フィルム |
AU2010214431B2 (en) * | 2009-02-13 | 2014-05-29 | Hitachi Chemical Company, Ltd. | Light modulation film |
WO2015040975A1 (ja) * | 2013-09-20 | 2015-03-26 | シャープ株式会社 | 赤外調光装置 |
JP6665490B2 (ja) * | 2015-11-04 | 2020-03-13 | 日立化成株式会社 | 電磁波調整用分散体及び電磁波調整素子 |
CN111825347A (zh) * | 2020-07-03 | 2020-10-27 | 广东工业大学 | 一种电场取向玻璃鳞片的装置和方法 |
-
1991
- 1991-09-10 JP JP3230405A patent/JP2992137B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0527271A (ja) | 1993-02-05 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |