JP2988897B2 - 横流ファン - Google Patents

横流ファン

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JP2988897B2
JP2988897B2 JP9337494A JP33749497A JP2988897B2 JP 2988897 B2 JP2988897 B2 JP 2988897B2 JP 9337494 A JP9337494 A JP 9337494A JP 33749497 A JP33749497 A JP 33749497A JP 2988897 B2 JP2988897 B2 JP 2988897B2
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    • F04D29/666Combating cavitation, whirls, noise, vibration or the like; Balancing especially adapted for elastic fluid pumps by means of rotor construction or layout, e.g. unequal distribution of blades or vanes
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    • F04D17/02Radial-flow pumps, e.g. centrifugal pumps; Helico-centrifugal pumps having non-centrifugal stages, e.g. centripetal
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  • Engineering & Computer Science (AREA)
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  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Structures Of Non-Positive Displacement Pumps (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は空気調和機の室内ファン
等に好適な横流ファンに係り、特に、モールド成型した
複数齣の多翼羽根車を軸方向に順次積み重ねて固着した
横流ファンに関する。
【0001】
【従来の技術】一般に、この種の横流ファンを室内ファ
ンとして組み込む空気調和機の一例としては図17に示
すものがある。これは室内機1の本体ケーシング2の前
面2aに、吸込グリル3と吹出グリル4とを図中上下に
配設し、これら吸込グリル3と吹出グリル4とをファン
ケーシング5内の通風路6により連通している。
【0002】そして、この通風路6には、室内側熱交換
器7の下流側に、室内ファンとして横流ファン8を配設
し、吸込グリル3から本体ケーシング2内へ吸い込んだ
室内空気を室内側熱交換器7で熱交換して、冷風または
暖風を横流ファン8により吹出グリル4から室内へ再び
送風して冷房または暖房するようになっている。
【0003】そして、この種の従来の横流ファン8は、
例えば図18に示すように左右一対の円板状の端板8
a,8b間に、ファン軸Oに対して平行をなす複数の長
尺翼8cを周方向に所要のピッチを置いて横架し、軸方
向中間部には環状の仕切板8dを軸方向に所要のピッチ
で並設している。
【0004】また、横流ファン8は図17で示すファン
ケーシング5とノーズ9と共に送風機を構成し、ノーズ
9とファンケーシング5と横流ファン8との隙間の付近
では吸込み部分と吹出し部分とに分かれている。特に、
この2箇所の隙間部分では横流ファン8の長尺翼8cに
対する流速方向が逆転するために大きな圧力変動が発生
し、送風騒音の主音源となっている。
【0005】この圧力変動による騒音は横流ファン8の
長尺翼8cの枚数×回転数の周波数と、その倍音の周波
数に大きなピークをもつ回転音Pa,Pbが図19
(A)の騒音波形Nに示すように発生し、圧力変動波形
が急峻であるために、これを基本波とする高調波(倍音
Pb)が発生し易いという特性がある。
【0006】なお、図19(A)は横流ファン8の寸法
が、例えば直径が88mm,全長が593mm,長尺翼8c
の枚数が35枚であり、長尺翼8cがファン軸Oと平行
であり、回転数20回/sec で運転したときの送風機騒
音Nの分析図を示している。
【0007】そして、横流ファン8とノーズ9およびフ
ァンケーシング5との隙間は小さくするほど回転数当り
の風量が増える傾向にあるが、この部分での圧力変動も
大きくなるため、回転音Nが大きくなり、その高調波成
分も増える。この隙間はある程度までは小さい方が風量
の増分が大きいため同一風量時の騒音値が下がり、送風
性能が上がる傾向にあるが、あまりこの隙間を小さくす
ると回転音Nが相対的に大きくなり、耳障りがする等聴
感上も好ましくないため、これらの隙間はあまり小さく
できない。
【0008】また、長尺翼8cの長手方向がファン軸O
と平行に成形されている従来の横流ファン8を用いた送
風機では、横流ファン8と共に送風機を構成するノーズ
9,ファンケーシング5はファン軸Oと平行に構成され
ているため、1枚1枚の長尺翼8cはノーズ9およびフ
ァンケーシング5との各隙間付近を長尺翼8cの長さ方
向全体が同時に短時間で通過し、長尺翼8cの長さ分の
空間で同時に圧力変動が発生しようとするため、1枚の
長尺翼8cで発生する圧力変動の総和が大きく、波形の
歪みも大きいため高調波成分が多く発生し易かった(図
19(A))。この波形歪みは、ノーズ9,ファンケー
シング5と長尺翼8cの平行度によって大きく変化し、
高調波の数や大きさが変化し易い。すなわち長尺翼8c
をファン軸Oと平行に作った横流ファン8を用いた送風
機では、回転音Nの高調波成分に個体差が大きく発生し
易い。このような高調波は一般的に騒音に含まれると、
耳障りな音となり易い性質がある。また、風量を増すた
めノーズ9との隙間,ファンケーシング5との隙間を狭
めると、回転音Nが著しく大きくなたるため、あまり隙
間を小さくできず、したがって、風量も増やすことがで
きなかった。
【0009】そこで、実公昭59−39196号,実開
昭56−2092号,実開昭56−45196号の各公
報でそれぞれ記載された横流ファンは翼をファン軸Oに
対して非平行に形成することによって、圧力変動を連続
的に発生させて前記回転騒音Nを低減させることが提案
されている。
【0010】これを実現するためには、一般的に、図2
0で示す横流ファン10のように複数の長尺翼11を数
枚の円盤状の仕切板12に貫通させ、これら長尺翼11
を複数の仕切板12と左右一対の端板13a,13bと
に固定した後、ねじる外力を加えて塑性変形させるか、
あるいは、図21で示す横流ファン14のように、複数
の長尺翼15に外力を加えてねじった状態で複数の仕切
板16と左右一対の端板17a,17bとに固定してい
る。
【0011】また、実公昭59−19838号公報に記
載の横流ファンでは仕切板の片面上に、ファン軸に平行
な複数の翼を林立させ、他面に翼と同数の嵌合溝を設け
た多翼羽根車を用い、この多翼羽根車の翼の先端部を他
の多翼羽根車の仕切板上の嵌合溝に嵌合して連結し、1
本の横流ファンに組み立てているが、嵌合するために翼
を溝に押し込む際に、翼先端部を所定方向へひねるよう
に溝形状を設定している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】(1)しかしながら、
このように翼に外力を加えて変形させる従来の横流ファ
ンでは、翼材料内部に残留応力が大きく残り、寸法精度
を確保することが難しいために送風機の性能にばらつき
が発生し易い。また、このような残留応力を減らすため
には長時間のアニーリングが必要である。一方、翼材料
に応力を残さないようにするためには、翼自体を長手方
向に円弧状に形成する方法があるが、削成によれば材料
に無駄が生ずるうえに、削成工程が増える。
【0013】(2)また、実公昭59−39196号公
報記載の横流ファンでは長尺翼をねじった状態で成形し
た後、組み立ててゆくので、長尺翼の残留応力は少なく
て済むが、次の(3)の課題がある。
【0014】(3)一般的に、横流ファンに外部から衝
撃が加わると、翼と仕切板の接合部に応力が集中する。
そのため、その接合部で破壊変形が起こり易い性質があ
る。
【0015】したがって、長尺翼を仕切板の溝や穴に嵌
め込んで成型する場合は、翼と仕切板との接合手段とし
てカシメあるいは接着が考えられるが、いずれの方法で
も接合部分の強度・剛性は低く、比較的小さい外力の作
用でも接合部分の塑性変形が起こり易く、仕切板と翼と
の取付角度が変化してしまい易い。
【0016】さらに、ファン軸心に対する翼の形状、特
にファン軸心との非平行度を安定して製造することが難
しく、製造誤差が増大して送風性能にも大きなばらつき
を生じる。
【0017】また、このような従来のカシメ止め方式で
は工作性を上げるために、圧着点以外の部分に隙間を作
るのが通常であるが、横流ファンでは翼面に軸方向に気
流が生じ、この気流が仕切板に激しく衝突するので、こ
のカシメ用の隙間に軸方向の気流が流れ込み、笛吹き音
が生じるという課題がある。
【0018】(4)実公昭59−19838号公報記載
の横流ファンは、翼の溶着溝を擂鉢状に形成しておき、
翼の溶着時にねじるように構成しており、翼の長さ違い
の製品を容易に製造することが可能であるが、一旦成形
した翼を組み立てる際に外力を加えてねじり変形させる
ので、上記(1)と同様の課題が生じる。
【0019】そこで本発明はこのような事情を考慮して
なされたもので、その目的は、低騒音で高効率、かつ翼
形状やファン長の変更が容易で信頼性が高く、安価な横
流ファン並びにその製造方法および装置を提供すること
にある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するために次のように構成される。
【0021】本発明は、成形型内で射出成形され、その
回転軸回りに回転させながら前記成形型から抜き出され
た1駒の多翼羽根車を、ファン軸方向に複数駒順次積み
重ねて固着した横流ファンであって、前記1駒の多翼羽
根は、仕切板の一面に複数の翼が環状かつ所定角度傾斜
して一体に立設され、さらに翼根元部と翼先端部の両前
縁部同士を結ぶ前縁の外形線に接する接線と、翼先端部
前縁からファン軸に垂下した垂線とがなす角度が90°
以上で、しかも翼根元部と翼先端部の両後縁部同士を結
ぶ後縁の外形線に接する接線と、翼根元部後縁からファ
ン軸に垂下した垂線とがなす角度が90°以上であるこ
とを特徴とする横流ファンである。
【0022】この発明によれば、複数齣の多翼羽根車を
軸方向に順次積み重ねて固着して横流ファンを一体に形
成するので、製造が簡単かつ安価である上に、その多翼
羽根車の積層数を適宜選択することによりファン軸長の
変更が容易である。しかも、多翼羽根車同士を周方向に
適宜ずらす、いわゆる齣ずれの設定が容易であり、翼形
状も任意に設定することができる。
【0023】そして、複数の翼を、仕切板の一面に傾斜
して立設することによりファン軸に対して非平行に形成
しているので、この翼を有する横流ファンとノーズとフ
ァンケーシングの間隙で発生する圧力を連続的に変動さ
せることができる。このために、横流ファンの回転音を
低減することができる。
【0024】また、各翼と仕切板とを一体に成形するの
で、これら翼と仕切板との取付角度の精度を安定的に向
上させて送風性能のばらつきを低減することができる上
に、各翼を仕切板にカシメ止めする必要がないので、翼
のねじれ角度を大きくとることができる上に、仕切板に
カシメ止め用の間隙を設ける必要がないので、この間隙
に気流が流入して発生する笛吹き音を防止することがで
きる。
【0025】さらに、各翼の前,後縁部の接線と、ファ
ン軸の垂線とでなす角度を、共に90°以上に設定して
いるので、多翼羽根車を金型から回転させながら引き抜
く際に、各翼の前,後縁部が型に触れなくなり、多翼羽
根車の応力を低減して強度を高めると共に、型の摩耗が
減少して型寿命が延びる。
【0026】
【実施例】以下、本発明の実施例を図1〜図16に基づ
いて説明する。なお、図1〜図16中、同一または相当
部分には同一符号を付している。
【0027】図1は本発明の一実施例の全体構成の斜視
図、図2は図1の分解斜視図、図3(A),(B)は図
1の詳細斜視図であり、これらの図において、横流ファ
ン21は、例えば図17で示す空気調和機の室内機1に
室内ファンとして組み込む場合等に好適な横流ファンで
あり、左右一対の端板22,23間に、横断面が円弧状
の複数の翼24を同心状に環状に配すると共に、所定角
度傾斜させて横架固着しており、各翼24の軸方向中間
部には環状(リング状)の仕切板25を軸方向に所要の
ピッチで配設しており、ファン軸O周りに回転すること
により軸方向に送風するようになっている。
【0028】横流ファン21は図2に示すように一体成
形の複数齣の多翼羽根車26を軸方向に順次同心状に固
着してなり、図2中右端の多翼羽根車26の端板23は
円板状または環状の仕切板25の外面に、図示しないモ
ータ等の回転軸を止めねじ等により着脱自在に結合せし
めるボス部27を同心状に一体、または一体的に形成し
ている。
【0029】一方、図2中、左端の端板22は、その図
中右隣の多翼羽根車26の各翼24の先端部を各嵌合溝
22a内に嵌入固着せしめるものであり、その外面中央
部には同心状に軸28を一体、または一体的に突設して
いる。
【0030】そして、各多翼羽根車26は図2,図4に
示すように環状の仕切板25の一面に、隣り合う多翼羽
根車26の各翼24の先端部をそれぞれ嵌入させて固着
する円弧状の嵌合凹部25aを形成する一方、仕切板2
5の他面には、複数の翼24を周方向に所要の取付ピッ
チを置いて射出成型等により一体に立設している。
【0031】各翼24はその横断面形状が回転方向に対
して前向きに傾斜する円弧状をなし、その回転方向前縁
24aが回転方向へファン軸Oに対して所定角度直線的
に傾斜するように仕切板25に一体にモールド成形され
ている。但し、図5に示すように各翼24を、その回転
方向前縁24bが曲線的に傾斜するように一体に成形し
てもよい。
【0032】また、各翼24は底面図の図6とその部分
拡大図の図7に示すように、その横断面の厚さを仕切板
25側の根元部24cから翼先端部24dへ向けて次第
に薄くなるように先細に形成すると共に、翼根元部24
cと翼先端部24dの両前縁部(外周縁部)同士を結ぶ
前縁24aの外形線に接する接線Loと、翼先端部24
d前縁からファン軸Oに垂下した垂線Soとがなす角度
θoが90°以上(θo≧90°)であり、しかも、翼
根元部24cと翼先端部24dの両後縁部(内周縁部)
同士を結ぶ後縁24eの外形線に接する接線Liと、翼
根元部24c後縁からファン軸Oに垂下した垂線Siと
がなす角度θiが90°以上(θi≧90°)になるよ
うに形成されている。
【0033】そして、図8,図9に示すように横流ファ
ン21は軸方向で隣り合う各多翼羽根車26を、例えば
回転方向へ所定の齣ずれ角29でずらして、順次同心状
に連結固着している。
【0034】この場合、各翼24は、その前縁部24a
の先端が図9中破線で示す垂線よりも回転方向へねじれ
角30だけ角度傾斜して仕切板25に形成されており、
このねじれ角30は上述の駒ずれ角29よりも小さい値
に設定されている。
【0035】また、図10に示すように各多翼羽根車2
6は、各仕切板25上の各翼24の周方向の取付ピッチ
を例えば3種類Pa,Pb,Pc以上に設定している。
【0036】次に、前記多翼羽根車26を、例えば射出
成形により一体に形成した後、金型(成形型)から抜き
出す方法および装置について説明する。
【0037】従来、射出成形品を、例えば金型の上型か
ら分離した下型より抜き出す場合は、図11に示すよう
に複数の平行ノックピン31を多翼羽根車26の仕切板
25の下面に突き当てて押し上げる方法が考えられる
が、この方法では、各翼24が仕切板25に対して所定
角度傾斜しているために、金型から簡単に抜き出すこと
ができず、無理に抜こうとすれば、翼24等が破損して
しまう。
【0038】そこで、本発明者らは、多翼羽根車26
を、その回転軸回りに各翼24の傾斜方向へ回転させな
がら金型より抜き出す方法を提案し、そのためのエジェ
クタ装置を発明した。
【0039】図12はそのエジェクタ装置32の一例の
要部斜視図であり、これは軸心回りに回転するエジェク
タシャフト33にカム構造によってスキューカムプレー
ト34を連動自在に設け、エジェクタシャフト33を回
転させながら上下動させるようになっている。エジェク
タシャフト33の上端部上にはエジェクタブロック35
を連結している。
【0040】エジェクタブロック35は図13にも示す
ように、例えば図示しない上下に分離可能の金型の上金
型が下金型36から分離されたときに、その下金型36
の中心孔36aから上方へ突出して多翼羽根車26をそ
の軸心回りに回転させながら下金型36から上方へ抜き
出すものであり、円盤上の台座37を有する。
【0041】この台座37は、多翼羽根車26の成形時
には下金型36と共に、多翼羽根車26の仕切板25の
一部を形成し、この台座37の円形の突部37aは仕切
板25の中心孔25bを形成する。
【0042】また、突部37aの外周部上面上には、図
14でも示すように仕切板25の内面(下面)に、例え
ば矩形状の突部25cを係脱自在に嵌入せしめる嵌合凹
部37bがそれぞれ形成され、台座37の回転時に、回
転しながら多翼羽根車26を持ち上げる際に、確実に多
翼羽根車26が台座37に追随するようになっている。
なお、仕切板25の各突部25cは図15で示すように
円孔25dでもよく、この場合は、各円孔25dに係脱
自在に嵌合する突部をエジェクタブロック36に突設す
る必要がある。
【0043】したがって、この多翼羽根車26を製造す
る場合は、まず、図示しない金型の上金型と下金型36
および台座37を合せて形成される空間に樹脂材料が射
出されて多翼羽根車26が成形される。
【0044】その後、上金型が下金型から分離し、エジ
ェクタシャフト33が多翼羽根車26を下金型から排出
するように可動する。その際、スキューカムプレート3
4によってエジェクタシャフト33が図中矢印Aの方向
へ回転する。これに伴って、エジェクタブロック35お
よび台座37も回転し、これに成形された多翼羽根車2
6の仕切板25も回転することになる。したがって、多
翼羽根車26は回転しながら下金型36から抜け出る。
【0045】次に、まず、本実施例による騒音低減効果
を図19(B)〜(E)に基づいて説明する。なお、図
19(B)〜(E)は、従来例の騒音分布を示す同図
(A)の実験データを得た実験方法と同一の条件により
行なった結果を示している。つまり、横流ファンの寸法
と翼24の枚数、単位時間当りの回転数を従来例実験と
同一にしている。
【0046】まず、本実施例は図1等に示すように各翼
24をファン軸Oに対して傾斜させて非平行に形成して
いるので、横流ファン21と、図17で示すノーズ9お
よびファンケーシング5との間隙で発生する圧力が連続
的に変動する。このために、齣ずれ角29を設けず、さ
らに、各翼24の周方向設置ピッチを等間隔にした場合
でも、図19(B)に示すように回転音ピーク値Pa
と、その倍音ピーク値Pbとを共に低減することができ
る。
【0047】また、翼24をファン軸Oに対して傾斜さ
せると共に、齣ずれ角29を設けた場合には、仕切板2
5を挟んで隣り合う翼24で発生する音圧波を、齣ずれ
角29により相互に打ち消し合うように位相差をつける
ことができるので、翼24の傾斜形状によって低減させ
た回転音の全体を、図19(C)に示すように、さらに
一段と低減することができる。
【0048】さらに、複数の翼24の周方向の取付ピッ
チを複数種類Pa〜Pc設定したので、齣ずれ角29を
設けない場合でも、図19(D)に示すように各翼24
の傾斜形状により低減した回転音Nのピーク周波数成分
を分散させることができ、耳障り感を低減して聴感を改
善することができる。
【0049】また、複数の翼24の周方向の取付ピッチ
を複数種類Pa〜Pc設定すると共に、齣ずれ角29を
設ける場合は、図19(E)に示すように各翼24の傾
斜形状により低減した回転音Nをさらに一段と低減し、
しかも、残った翼ピッチ音の周波数成分を分散させるこ
とができ、耳障り感を改善して聴感を改善することがで
きる。
【0050】そして、本実施例は、仕切板25と各翼2
4とを一体成形した多翼羽根車26の複数齣を軸方向に
連結固着したので、その齣数を適宜調整することによ
り、横流ファン21全体の長さの変更が容易である上
に、齣ずれ角29を適宜選択することにより翼24の形
状変更も非常に容易であり、製造コストを低減すること
ができる。
【0051】また、多翼羽根車26は翼24と仕切板2
5とを一体成形したので、次の諸効果がある。
【0052】(1)翼24を従来例のように後加工でひ
ねる必要がなく、残留歪みが生じないので、翼24と仕
切板25の強度を向上させることができる上に、翼24
と仕切板25との取付角度等の部品寸法の精度を安定し
て向上させることができるので、送風性能のばらつきを
低減することができる。
【0053】(2)翼24のねじれ角30を従来の手法
以上に大きくとれ、大幅な騒音低減が図れる。これに対
して図20で示す従来のカシメ構造の横流ファン10で
は、前記したようにねじれ角を大きく取ると、カシメ強
度が落ちる。そこで、翼11に歪みが大きく残らないよ
うにするためには、平板を円弧状にカットしなければな
らず、材料に無駄が生じるという課題がある。
【0054】(3)仕切板25付近で従来生じた笛吹き
音等の異常音が生じない。つまり、横流ファン21では
翼24面上で軸方向の流れが必ず生じるため、仕切板2
5に気流が激しく衝突する特性がある。このため、従来
のカシメ方式では工作性を上げるために、圧着点以外の
部分に隙間を作るのが通常であった。しかし、この隙間
には軸方向の気流が流れ込み、笛吹き音が生じるという
問題があったが、本実施例では、仕切板25には貫通す
る隙間がないので、これが原因となる笛吹音等の異常音
は殆ど発生しない。
【0055】そして、射出成形後、多翼羽根車26を、
その軸心回りに回転させながら下金型36から抜き出す
ので、この多翼羽根車26を型から引き抜く際の摩擦力
を低減することができ、引抜が容易となる上に、成形性
が良好となる。また、各翼24を先細形状に形成してい
るので、金型からの引抜を一段と容易にすることができ
る。
【0056】さらに、各翼24の前,後縁部24a,2
4eの接線Lo,Liと、ファン軸Oの垂線So,Si
とでなす角度θoを、共に90°以上に設定しているの
で、多翼羽根車26を金型から回転させながら引き抜く
際に、各翼24の前,後縁部24a,24eが型に触れ
なくなり、多翼羽根車26の応力を低減して強度を高め
ると共に、型の摩耗が減少して型寿命が延びる。
【0057】なお、前記実施例では、仕切板25の一面
に翼24を一体に立設した場合について説明したが、本
発明はこれに限定されるものではなく、例えば図16で
示す横流ファン41のように環状の仕切板42の両面
に、複数の翼43をそれぞれ一体に立設してもよい。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
複数齣の多翼羽根車を軸方向に順次積み重ねて固着して
横流ファンを一体に形成するので、製造が簡単かつ安価
である上に、その多翼羽根車の積層数を適宜選択するこ
とによりファン軸長の変更が容易である。しかも、多翼
羽根車同士を周方向に適宜ずらす、いわゆる齣ずれの設
定が容易であり、翼形状も任意に設定することができ
る。
【0059】そして、複数の翼を、仕切板の一面に傾斜
して立設することによりファン軸に対して非平行に形成
しているので、この翼を有する横流ファンとノーズとフ
ァンケーシングの間隙で発生する圧力を連続的に変動さ
せることができる。このために、横流ファンの回転音を
低減することができる。
【0060】また、各翼と仕切板とを一体に成形するの
で、これら翼と仕切板との取付角度の精度を安定的に向
上させて送風性能のばらつきを低減することができる上
に、各翼を仕切板にカシメ止めする必要がないので、翼
のねじれ角度を大きくとることができる上に、仕切板に
カシメ止め用の間隙を設ける必要がないので、この間隙
に気流が流入して発生する笛吹き音を防止することがで
きる。
【0061】さらに、各翼の前,後縁部の接線と、ファ
ン軸の垂線とでなす角度を、共に90°以上に設定して
いるので、多翼羽根車を金型から回転させながら引き抜
く際に、各翼の前,後縁部が型に触れなくなり、多翼羽
根車の応力を低減して強度を高めると共に、型の摩耗が
減少して型寿命が延びる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る横流ファンの一実施例の斜視図。
【図2】図1で示す実施例の分解斜視図。
【図3】(A),(B)は図1の各詳細拡大図。
【図4】図2で示す多翼羽根車の一例の斜視図。
【図5】図2で示す多翼羽根車の他の一例の斜視図。
【図6】図4の底面図。
【図7】図6の要部拡大図。
【図8】図1で示す実施例の横流ファンの齣ずれ角を示
す斜視図。
【図9】図8で示す齣ずれ角とねじれ角を示す要部拡大
斜視図。
【図10】図6で示す多翼羽根車の翼取付ピッチを示す
底面図。
【図11】図2等で示す一体成形の多翼羽根車を従来の
平行ノックピンにより金型より抜け出す方法を示す要部
拡大斜視図。
【図12】図2等で示す多翼羽根車を型から抜け出すた
めのエジェクタ装置の斜視図。
【図13】図12で示すエジェクタブロックにより図2
等で示す多翼羽根車を下金型から抜け出す状態を示す斜
視図。
【図14】図13で示す多翼羽根車の部分拡大斜視図。
【図15】図13で示す多翼羽根車の変形例の部分拡大
斜視図。
【図16】本発明の他の実施例の一部切欠分解斜視図。
【図17】従来の空気調和機における室内機の一例の縦
断面図。
【図18】図17で示す従来の横流ファンの斜視図。
【図19】(A)は図18で示す従来の横流ファンの回
転音の分布図、(B)〜(E)は図1等で示す本発明の
各実施例の回転音の分布図。
【図20】従来の他の横流ファンの斜視図。
【図21】図20で示す横流ファンの分解斜視図。
【符号の説明】
21,41 横流ファン 22,23 端板 24,43 翼 24a 翼前縁(直線) 24b 翼前縁(曲線) 24c 翼根元部 24d 翼先端部 25 仕切板 25a 円弧状嵌合凹部 25b 中心孔 26 多翼羽根車 27 ボス部 28 軸 29 齣ずれ角 30 ねじれ角 31 平行ノックピン 32 カム式エジェクタ装置 33 エジェクタシャフト 34 スキューカムプレート 35 エジェクタブロック 36 下金型 37 台座 37a 円形突部 37b 嵌合凹部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金野 悟 静岡県富士市蓼原336番地 株式会社東 芝 富士工場内 (72)発明者 池田 義雄 静岡県富士市蓼原336番地 株式会社東 芝 富士工場内 (72)発明者 広瀬 勉 静岡県富士市蓼原336番地 株式会社東 芝 富士工場内 (56)参考文献 特開 平5−17198(JP,A) 実開 昭58−64885(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F04D 17/04 F04D 29/28 F04D 29/30 101 F04D 29/62

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成形型内で射出成形され、その回転軸回
    りに回転させながら前記成形型から抜き出された1駒の
    多翼羽根車を、ファン軸方向に複数駒順次積み重ねて固
    着した横流ファンであって、前記1駒の多翼羽根は、仕
    切板の一面に複数の翼が環状かつ所定角度傾斜して一体
    に立設され、さらに翼根元部と翼先端部の両前縁部同士
    を結ぶ前縁の外形線に接する接線と、翼先端部前縁から
    ファン軸に垂下した垂線とがなす角度が90°以上で、
    しかも翼根元部と翼先端部の両ぶ縁部同士を結ぶ後縁の
    外形線に接する接線と、翼根元部後縁からファン軸に垂
    下した垂線とがなす角度が90°以上であることを特徴
    とする横流ファン。
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