JP2987893B2 - 相対移動装置 - Google Patents

相対移動装置

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ターボチャージャ等のように高温下で近接
して相対的に移動する可動部材と固定部材とをもつ相対
移動装置に関し、詳しくは、固定部材と可動部材との間
隙を運転中に実質的に無くすことができる相対移動装置
に関する。
[従来の技術] 従来の相対移動装置として、例えば第8図に示す自動
車用ターボチャージャを例にとり説明する。このターボ
チャージャは、可動部材としてターボロータ100とイン
ペラー200とをもち、固定部材としてターボハウジング1
01とコンプレッサハウジング201とをもつものである。
かかるターボチャージャは、ターボロータ100がエンジ
ン(図示せず)の排気エネルギによって回転してシャフ
ト300を回転させ、シャフト300の回転によってインペラ
ー200が回転してエンジンに空気を過給する作用を行な
うものである。このようにターボロータ100とターボハ
ウジング101及びインペラー200とコンプレッサハウジン
グ201は、ターボチャージャの運転時にそれぞれ高温下
で近接して相対移動運動をする。
かかるターボチャージャでは、ターボロータ100とタ
ーボハウジング101との間隙C100やインペラー200とコン
プレッサハウジング201との間隙C200をなるべく小さく
すれば、ターボチャージャの効率が上がることが知られ
ている。しかし、これらの間隙C100、C200を小さくする
と、シャフト300の製造時におけるわずかな偏心や振動
等によって、運転時にターボロータ100がターボハウジ
ング101と接触又は衝突したり、インペラー200がコンプ
レッサハウジング201と接触又は衝突したりするため、
ターボロータ100やインペラー200が破損する可能性があ
った。このため、従来のターボチャージャにあっては、
ターボロータ100とターボハウジング101との間隙C100を
約0.6〜0.8mm、インペラー200とコンプレッサハウジン
グ201との間隙C200を約0.3〜0.5mmとする必要があり、
効率上不十分であった。
このように相対移動装置にあっては、可動部材と固定
部材との間隙をなるべく小さくして効率の改善ができ、
かつ可動部材の破損を防止できる技術の開発が望まれて
いる。
本出願人は、従来、以下の提案をした。この提案は、
前記ターボチャージャにより説明すると、インペラー20
0とコンプレッサハウジング201との間隙C200におけるコ
ンプレッサハウジング201側に軟質金属と樹脂又はグラ
ファイトとが混合された皮膜層を溶射によって形成する
ものである。この皮膜層は、シャフト300の偏心等でイ
ンペラー200がコンプレッサハウジング201と接触等する
ことにより容易に削り取られるため、皮膜層が削り取ら
れた後、インペラー200とコンプレッサハウジング201と
の間隙を実質的に無くすことができる。なお、これによ
りインペラー200が破損されることはない。
また、ターボロータ100とターボハウジング101との間
隙C100については、上記インペラー200とコンプレッサ
ハウジング201との場合と同様、ターボハウジング101に
被削性の優れた材料を溶射によって被覆し、これにより
間隙を小さくしようとする提案がある(特開昭62−1689
26号公報)。ここに使用される皮膜層は、800〜900℃程
度の高温で被削性に優れかつ脱落しにくいものである。
例えば、航空機のジェットエンジン(ガスタービンエン
ジン)で使用されるタービンブレードとタービンケーシ
ングとの間隙の皮膜層とされる特開昭56−87603号公報
開示の材料が採用される。この公報記載の材料は、セラ
ミック、ベントナイト、流紋岩等の非金属物質からなる
芯部と、この芯部を包囲し、4〜8重量%のCr及び2〜
6重量%のAlを含むNiCrAl合金とからなる粉末であり、
この粉末を熱噴霧することにより皮膜層が形成される。
また、米国特許No.4269903では、セラミックシールに係
る発明として、20〜33%の気孔率をもつポーラスな安定
化ジルコニア層を被覆する技術を開示している。この技
術も基本的に上記発明と同様であり、この技術によって
も相対移動装置における可動部材と固定部材との間隙を
ポーラスな安定化ジルコニア層の被削性で0に近づける
ことができる。
[発明が解決しようとする課題] 近年、自動車業界ではエンジンの高出力化の傾向があ
り、これに伴ってターボチャージャ等の過給機の担う役
割も増大している。一方、上記過給機の大型化は、燃
費、コスト等の問題から望ましくない。このため、小型
で高効率の過給機の開発が切望されている。
しかし、上記従来の技術で開示された皮膜層はいずれ
も、主として航空機のガスタービンのように大型の相対
移動装置を適用対象とすべく創作された材料により形成
されており、自動車用ターボチャージャのように小型の
相対移動装置にはそのまま適用できないことが明らかと
なった。
かかる理由は、次のように考えられる。すなわち、上
記従来の皮膜層が適用対象としている航空機用ガスター
ビンのタービンブレードの断面は2〜5mmと厚く、その
タービンブレードの先端で皮膜層が切削される。これに
対し、自動車用ターボチャージャのターボロータの断面
は、0.6〜0.8mmと薄い。従って、厚いタービングレード
の方が薄いターボロータよりも熱を発散しにくいため、
航空機用ガスタービンの方が自動車用ターボロータより
高温環境になる場合が多く、航空機用ガスタービンの皮
膜層は被削性以上に耐高温酸化性に注意が払われる必要
がある。このため、自動車用ターボチャージャのターボ
ロータは航空機用ガスタービのタービンブレードと比較
して皮膜層によって摩耗されやすいと考えられる。
また、航空機用ガスタービンのタービンケーシングの
直径は1〜3mであり、一方自動車用ターボチャージャの
ターボハウジングのシュラウド部内径は3〜7cmとはる
かに小さい。従って、摩耗がたとえ0.2〜0.4mmとしても
全体の径に対するその割合は、航空機用ガスタービンの
それよりも自動車用ターボチャージャのそれの方がはる
かに大きく、その影響も大きい。
つまり、従来の各皮膜層は、耐高温酸化性に特に注意
を払い、被削性を二の次に考慮して航空機用ガスタービ
ンに合致するように創作されたため、自動車用ターボチ
ャージャには適用しにくいものであることがわかる。そ
して、自動車用ターボチャージャに適用される皮膜層
は、航空機用ガスタービンで一般的なその皮膜層よりも
さらに被削されやすく、相手材を摩耗させないものでな
ければならないことがわかる。
本発明は、上記従来の困難性に鑑みてなされたもので
あって、従来よりも被削性が好適な皮膜層を備えた自動
車用ターボチャージャ相対移動装置を提供することを目
的とする。
[課題を解決するための手段] 本発明の相対移動装置は、高温下で近接して相対的に
移動する可動部材と固定部材とをもち、該固定部材の該
可動部材と近接する部分には該可動部材によって被削さ
れることにより該可動部材と該固定部材との間隙を実質
的に無くす皮膜層が溶射により形成された相対移動装置
であって、 前記皮膜層は、アルミニウムを2〜7重量%含むニッ
ケルアルミニウム合金よりなる母材と、六方晶窒化ホウ
素粉末又はマイカ粉末の少なくとも一方からなる被削助
剤と、気孔とからなり、該被削助剤が7体積%以上であ
り、該被削助剤と該気孔との合計が15〜50体積%である
ことを特徴とするものである。
本発明における相対移動装置は、自動車用ターボチャ
ージャ等のように高温下で近接して相対的に移動する可
動部材と固定部材とをもつものである。例えば、ターボ
チャージャを相対移動装置とすれば、インペラーやター
ボロータが可動部材に該当し、コンプレッサハウジング
やターボハウジングが固定部材に該当する。また、可動
部材と固定部材との相対移動は回転移動でも直線移動で
もよい。
固定部材の可動部材と近接する部分は、可動部材によ
って被削されることにより可動部材と固定部材との間隙
を実質的に無くす皮膜層が溶射により形成されている。
皮膜層は、母材と被削助剤と気孔からなる。
母材はニッケルアルミニウム(NiAl)合金からなる。
NiAl合金としては、アルミニウム(Al)を2〜7重量
(wt)%含むものを用いる。Alが2wt%未満であれば皮
膜層が酸化しやすく、耐久性に劣り、Alが7wt%を越え
ると皮膜層の硬度が過剰に高くなる。
被削助剤は六方晶(以下、略す。)窒化ホウ素(BN)
粉末又はマイカ粉末の少なくとも一方からなる。皮膜層
中、被削助剤は7体積(vol)%以上含まれる。被削助
剤が7vol%未満では、被削助剤がNiAl合金中に分散しに
くく、高温条件下でNiAl合金同士が結合して被削性が低
下する。また、皮膜層中、気孔が被削助剤との合計量で
15〜50vol%含まれる。気孔が被削助剤との合計量で15v
ol%未満では被削性が充分ではなく、気孔が被削助剤と
の合計量で50vol%を越えると強度が低下して皮膜層が
脱落しやすい。
この皮膜層は、母材と被削助剤とからなるアブレーダ
ブル材料を溶射することにより形成することができる。
このアブレーダブル材料は、被削助剤粉末にNiAl合金を
被覆した二重構造粉末であってもよく、被削助剤粉末と
NiAl合金粉末との混合粉末であってもよい。溶射の方法
としては、プラズマジェット溶射法、火炎溶射法を採用
することができる。
[作用] 本発明の相対移動装置は、固定部材の可動部材と近接
する部分にNiAl合金、被削助剤及び気孔からなる皮膜層
を具備している。かかる皮膜層では、Alにより硬度及び
摩耗量が調節され、被削助剤及び気孔により被削性が確
保される。また、この皮膜層では、被削助剤がNiAl合金
中に分散し、高温条件下でNiAl合金同士が結合すること
による被削性の低下を防止する。
[実施例] 以下、本発明をターボチャージャに具体化した実施例
1、2、3、4を比較例1、2とともに説明する。
(実施例1) このターボチャージャは、第1図に部分断面図を示す
ように、前記従来のもの(第8図参照)と基本的に同一
のものであり、ターボハウジング81と、シャフト80に連
結されたターボロータ82とを備えたものである。このタ
ーボチャージャは、ターボハウジング81のターボロータ
82と近接する部分(シュラウド部)Pに、皮膜層85を具
備している。
この皮膜層85は、次のように得られたものである。す
なわち、NiAl合金としてのNi−4wt%Al合金粉末(粒径1
0〜100μm)と、BN粉末(粒径5〜50μm)とを用意
し、Ni−4wt%Al合金粉末80vol%及びBN粉末20vol%を
調合・混合し、アブレーダブル材料とした。このアブレ
ーダブル材料を部分Pにプラズマ溶射し、0.7mmの厚さ
に皮膜層85を形成した。次いで、Inconel713Cからなる
ターボロータ82を組付け、ターボハウジング81とターボ
ロータ82との間隙が実質的に0になるよう平均厚さが約
0.62mmまで皮膜層85に機械加工を施した。この皮膜層85
の気孔率は11vol%であった。こうして実施例1のター
ボチャージャを作成した。
(実施例2) このターボチャージャは基本的には実施例1のターボ
チャージャと同一のものであるが、NiAl合金としてNi−
7wt%Al合金粉末(粒径10〜100μm)を用い、Ni−7wt
%Al合金粉末86vol%及びBN粉末14vol%でアブレーダブ
ル材料を調整した点が異なる。このターボチャージャに
おける皮膜層の気孔率は8vol%であった。こうして実施
例2のターボチャージャを作成した。
(実施例3) このターボチャージャは基本的には実施例1のターボ
チャージャと同一のものであるが、Ni−4wt%Al合金粉
末92vol%及びマイカ粉末8vol%でアブレーダブル材料
を調整した点が異なる。このターボチャージャにおける
皮膜層の気孔率は10vol%であった。こうして実施例3
のターボチャージャを作成した。
(実施例4) このターボチャージャは基本的には実施例1のターボ
チャージャと同一のものであるが、NiAl合金としてNi−
7wt%Al合金粉末(粒径10〜100μm)を用い、Ni−7wt
%Al合金粉末88vol%及びマイカ粉末12vol%でアブレー
ダブル材料を調整した点が異なる。このターボチャージ
ャにおける皮膜層の気孔率は15vol%であった。こうし
て実施例4のターボチャージャを作成した。
(比較例1) このターボチャージャは基本的には実施例1のターボ
チャージャと同一のものであるが、特開昭56−87603号
公報開示のNi−5wt%Cr−4.5wt%Al合金とベントナイト
とからなるアブレーダブル材料(粒径63〜125μm)を
用意し、このアブレーダブル材料をO2−C2H2火炎溶射す
ることにより皮膜層を形成した点が異なる。このターボ
チャージャにおける皮膜層ではNiCrAl合金中にベントナ
イトが点在していた。こうして比較例1のターボチャー
ジャを作成した。
(比較例2) このターボチャージャは基本的には実施例1のターボ
チャージャと同一のものであるが、米国特許No.4269903
号公報開示のZrO2・8wt%Y2O3からなるアブレーダブル
材料(粒径10〜74μm)を用意し、このアブレーダブル
材料をプラズマ溶射することにより皮膜層を形成した点
が異なる。このターボチャージャにおける皮膜層の気孔
率は26.4vol%であった。こうして比較例2のターボチ
ャージャを作成した。
(評価) ガス温度800℃、10万rpm、60分間の条件で運転を行な
い、各ターボチャージャにおける皮膜層により摩耗され
たターボロータの重量減少量(mg)及び外径寸法(mm)
を測定した。
重量減少量の結果を第2図に示す。第2図からわかる
ように、実施例1〜4のターボチャージャにおける皮膜
層は、いずれもターボロータの重量減少量が許容範囲で
ある0〜10mg内に止どまっている。また、実施例1〜4
のターボチャージャでは、ターボロータにより摩耗され
た後の皮膜層の表面が従来のものより非常に滑かになっ
ていた。一方、比較例1、2のターボチャージャにおけ
る皮膜層は、いずれもターボロータの重量減少量が許容
範囲を大きく上回っている。
また、実施例1〜4のターボチャージャにおける皮膜
層では、ターボロータの外径がほとんど減少しなかっ
た。一方、比較例1のターボチャージャにおける皮膜層
では0.25mmも減少し、比較例2のターボチャージャにお
ける皮膜層では0.38mmも減少した。
次に、実施例1〜4及び比較例1、2のターボチャー
ジャを用いて、ロータ回転数10万rpmの条件下で単体性
能の評価として総合効率(%)を測定した。この結果、
皮膜層のないターボチャージャの効率と比較して比較例
1が2.4ポイント、比較例2が2.7ポイントそれぞれ上昇
したのに対し、実施例1が4.4ポイント、実施例2が3.9
ポイント、実施例3が4.1ポイント、実施例4が3.9ポイ
ントにそれぞれ上昇していた。つまり、実施例1〜4の
ターボチャージャは比較例1、2のものと比較して平均
1ポイント以上も効率が上がっていた。これは、実施例
1〜4のターボチャージャでは、被削後の皮膜層が滑か
であるため、ガスが滞りなく流れるようになったためで
あると考えられる。なお、被削後の皮膜層が滑かな理由
は、おそらく金属成分の硬度が軟かいことに起因すると
思われる。
したがって、実施例1〜4のターボチャージャは、比
較例1、2のターボチャージャと比較して、たとえシャ
フト80が偏心していてターボロータ82が運転時に皮膜層
85に接触又は衝突しても、ターボハウジング81の皮膜層
85がターボロータ82によって容易に被削されるものであ
り、自動車用ターボチャージャに適していることがわか
る。
また、比較例1、2のターボチャージャは、わずか60
分間の試験によってもターボロータが摩耗しているた
め、上記公報記載の材料により形成される皮膜層は、相
手攻撃性が大きすぎ、自動車用ターボチャージャに適さ
ないことがわかる。
[試験例] 以下、本発明における皮膜層の組成を決定するために
行なった試験1〜4について説明する。
(試験1) 以下に示すサンプル1〜5の金属成分と、被削助剤と
してのBNとからなるアブレーダブル材料を用いて皮膜層
を形成し、各皮膜層の摩耗性の評価を行なった。各アブ
レーダブル材料はいずれも金属成分と被削助剤とを体積
比2:3で機械的に混合したものであり、これらを用いてO
2−C2H2火炎溶射により円柱状テストピース素材の外周
に皮膜層を形成し、テストピースとした。
サンプル1…Ni−20wt%Cr−4wt%Al サンプル2…Ni−5wt%Cr−4.5wt%Al サンプル3…Ni−4wt%Al サンプル4…Ni−14wt%Cr−8wt%Fe−3.5wt%Al サンプル5…Fe−60wt%Cr−8wt%C 各テストピースの皮膜層において、BNと気孔との合計
量(うちBNのみの量)は以下の通りであった。
サンプル1…38vol%(15.20vol%) サンプル2…42vol%(17.22vol%) サンプル3…39vol%(16.38vol%) サンプル4…44vol%(21.12vol%) サンプル5…49vol%(19.11vol%) 相手材としてターボロータと同材質のInconel713cか
らなり、厚さが0.8mmのチップを用意した。そして、第
3図に示すように、各テストピース1をモータにより回
転数1000rpmで図中の矢印の方向に回転させつつ、1分
間チップ2を面負荷150g/mm2の荷重で押付けた後のチッ
プ2の重量減少量(mg)及び皮膜層の被削深さ(mm)を
測定した。結果を第4図に示す。
第4図からわかるように、サンプル3のアブレーダブ
ル材料からなる皮膜層は、サンプル1、2、4、5のア
ブレーダブル材料からなる皮膜層と比較して、チップの
重量減少量が少なく、かつ皮膜層の被削深さが深いた
め、優れていることがわかる。
また、以下に示すように、各サンプル1〜5のアブレ
ーダブル材料からなる皮膜層の硬度を測定した。測定は
5kgの荷重によるビッカース硬さにより求めた。
サンプル1…Hv77.1 サンプル2…Hv48.9 サンプル3…Hv23.9 サンプル4…Hv84.0 サンプル5…Hv181.2 各皮膜層は、全てBNを含むポーラスなものであったた
め、金属成分のみによる皮膜層と比較して大幅に低い値
となっている。しかし、特にサンプル3のアブレーダブ
ル材料からなる皮膜層は、他のサンプル1、2、4、5
のアブレーダブル材料からなる皮膜層と比較して、極め
て低い値であることがわかる。このため、サンプル3の
アブレーダブル材料は、サンプル1、2、4、5のアブ
レーダブル材料と比較して、優れていることがわかる。
(試験2) NiAl合金中のAl量の適正範囲を検討するため、以下に
示すサンプル6〜11の金属成分と、被削助剤としてのBN
とからなるアブレーダブル材料を用いて皮膜層を形成
し、各皮膜層の摩耗評価を行なった。試験は上記試験1
と同様の方法により行なった。
サンプル6…Ni−1wt%Al サンプル7…Ni−2wt%Al サンプル8…Ni−4wt%Al サンプル9…Ni−7wt%Al サンプル10…Ni−10wt%Al サンプル11…Ni−15wt%Al 各テストピースの皮膜層において、BNと気孔との合計
量(うちBNのみの量)は以下の通りであった。
サンプル6…34vol%(13.94vol%) サンプル7…34vol%(14.96vol%) サンプル8…38vol%(15.20vol%) サンプル9…40vol%(17.60vol%) サンプル10…39vol%(18.33vol%) サンプル11…39vol%(16.38vol%) そして、各テストピース毎にチップの重量減少量(m
g)及び皮膜層の被削深さ(mm)を上記試験1と同様に
測定した。結果を第5図に示す。
第5図からわかるように、皮膜層を構成するNiAl合金
のAl量が少ないもの程チップの重量減少量は小さく、皮
膜層の被削深さが大きくて良好な結果が得られることが
わかる。これは、NiAl合金中のAl量が増加すると、Alが
Niと金属間化合物であるNiAl、Ni3Al、NiAl3等を形成
し、皮膜層自体の硬度が大幅に大きくなるからである。
(試験3) 前記サンプル1、2、6〜11のアブレーダブル材料を
用いて試験1と同様に皮膜層を形成し、各皮膜層の高温
酸化試験を行なった。高温酸化試験はそれぞれ200℃で1
0時間、600℃で10時間、800℃で10時間の3種類の高温
酸化試験を実施した評価は酸化試験後の重量増加率
(%)で行なった。結果を第6図に示す。
第6図より、Al量は少ない方が酸化しやすいことがわ
かる。また、サンプル6とサンプル7との間には耐高温
酸化性に大きな差があることがわかる。一般に、自動車
用ターボチャージャのターボハウジング内は、運転中に
排気ガスが通過し、還元雰囲気となっているので、耐高
温酸化性に特に重大な関心を払う必要はないが、耐久性
向上の観点から耐高温酸化性を併せもつことが好まし
い。このため、Al量は、試験2の摩耗評価をも考え併
せ、2〜7wt%が好ましいことがわかる。
(試験4) 皮膜層中における被削助剤及び気孔の適正範囲を検討
するため、BNと気孔との合計量(うちBNのみの量)を以
下に示すサンプル12〜20で変化させた。金属成分として
はNi−4wt%Al、被削助剤としてはBNを用いて皮膜層を
形成した。
サンプル12…11vol%(5vol%) サンプル13…15vol%(10vol%) サンプル14…19vol%(4vol%) サンプル15…29vol%(7vol%) サンプル16…30vol%(11vol%) サンプル17…30vol%(21vol%) サンプル18…34vol%(5vol%) サンプル19…49vol%(27vol%) サンプル20…61vol%(31vol%) そして、各テストピース毎に溶射したままのものと、
溶射後850℃の炉内に10時間放置したものとを用いて、
チップの重量減少量(mg)及び皮膜層の被削深さ(mm)
を上記試験1と同様に測定した。結果を第7図に示す。
第7図から、チップの重量減少量は、BNと気孔との合
計量にほとんど関係なく、少ないことがわかる。
また、皮膜層の被削深さは、溶射後すぐに評価したも
のでは、BNと気孔との合計量が高いものほど、大きくな
っていることがわかる。しかし、BNと気孔との合計量が
60vol%を越えたサンプル20では、剥離を生じてしまっ
た。この原因は、BNと気孔との合計量が60vol%を越え
ることにより、皮膜層の強度が極端に低下したためと考
えられる。一方、溶射後850℃に保持してから評価した
ものは、BN量が7vol%に満たない皮膜層の被削性が悪く
なっている。この理由は、BNはNiAl粒子間に存在し、Ni
Al粒子同士の結合を抑制していると考えられるが850
℃、10時間保持により、皮膜層中のNiAl粒子間に拡散結
合が生じ、NiAl粒子が脱落しにくくなっているからであ
ると考えられる。よって、気孔量が多くてもBN量が極端
に少なくなれば、ターボチャージャの使用温度に長時間
保持された後で皮膜層が摩耗されにくくなってしまう恐
れがあることがわかる。
従って、皮膜層中のBNと気孔との合計量は、15〜50vo
l%がよく、BN量は少なくとも7vol%以上必要であるこ
とがわかる。
なお、上記試験1〜4では被削助剤としてBNを採用し
たが、マイカ粉末に置換しても全く同様の結果が得られ
た。
[発明の効果] 以上詳述したように、本発明の相対移動装置では、皮
膜層が、Alを2〜7wt%含むNiAl合金よりなる母材と、B
N粉末又はマイカ粉末の少なくとも一方からなる被削助
剤とからなり、7vol%以上の該被削助剤と、該被削助剤
との合計量が15〜50vol%の気孔とを含むため、その皮
膜層の優れた被削性の下で、可動部材と固定部材との間
隙を実質的に無くすことができる。
したがって、この相対移動装置を例えば自動車用ター
ボチャージャに適用すれば、小型で高効率のターボチャ
ージャとすることができるため、自動車業界の要望を実
現することができる。
【図面の簡単な説明】 第1図及び第2図は本発明の一実施例に係り、第1図は
ターボチャージャの部分断面図、第2図は実施例と比較
例とにおけるターボロータの重量減少量を示すグラフで
ある。第3図及び第4図は試験1に係り、第3図は試験
方法を示す斜視図、第4図は各サンプル毎のチップの重
量減少量及び皮膜層の被削深さを示すグラフである。第
5図は試験2に係る各サンプル毎のチップの重量減少量
及び皮膜層の被削深さを示すグラフである。第6図は試
験3に係る各サンプル毎の温度と重量増加率とを示すグ
ラフである。第7図は試験4に係る各サンプル毎のチッ
プの重量減少量及び皮膜層の被削深さを示すグラフであ
る。第8図は従来のターボチャージャの断面図である。 82……ターボロータ(可動部材) 81……ターボハウジング(固定部材) P……近接する部分 85……皮膜層

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高温下で近接して相対的に移動する可動部
    材と固定部材とをもち、該固定部材の該可動部材と近接
    する部分には該可動部材によって被削されることにより
    該可動部材と該固定部材との間隙を実質的に無くす皮膜
    層が溶射により形成された相対移動装置であって、 前記皮膜層は、アルミニウムを2〜7重量%含むニッケ
    ルアルミニウム合金よりなる母材と、六方晶窒化ホウ素
    粉末又はマイカ粉末の少なくとも一方からなる被削助剤
    と、気孔とからなり、該被削助剤が7体積%以上であ
    り、該被削助剤と該気孔との合計が15〜50体積%である
    ことを特徴とする相対移動装置。
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