JP2987216B2 - 純水の加熱方法 - Google Patents

純水の加熱方法

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将徳 川口
克義 鈴木
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  • Instantaneous Water Boilers, Portable Hot-Water Supply Apparatuses, And Control Of Portable Hot-Water Supply Apparatuses (AREA)
  • Resistance Heating (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体装置の製造用など
に用いられる純水の加熱方法であって、純水中に不純物
を混入せず、かつ小型の装置でも効率よく純水を加熱し
うる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】エレクトロニクス技術の進歩に伴い、製
造プロセスにおいて高度に集積された半導体の中間製品
やデバイスの洗浄が重要な項目となっており、最近では
オゾン層の破壊の問題が取り沙汰されてフロンガスを用
いる洗浄工程を避けることが検討されていることもあ
り、純水を用いる洗浄工程がこれに代替するものとして
増加する傾向にある。
【0003】またこれらの洗浄工程では、純水による洗
浄効率を向上させるため、また洗浄後の乾燥を速やかに
するために純水の温度を約50〜80℃に加熱して使用
している。
【0004】純水を加熱する際には加熱器からの不純物
の滲出を防止する必要があり、このため加熱器には様々
な工夫がなされている。
【0005】純水を加熱する方法は大別して2つあり、
1つは貯水槽内で加熱する方法であり、もう1つは純水
が流れる流路配管内で加熱する方法である。
【0006】前者にあっては、石英ガラスやフッ素樹脂
でライニングされたステンレス製の貯水槽内に、フッ
素樹脂や石英ガラスで被覆されたニクロム線のヒータを
直接浸漬することによって純水を加熱している。
【0007】後者の方法としては、口径が約50mm前
後で長さ500〜1,000mm程度の石英ガラス製の
チューブ内に純水を通し、その外部に巻つけたニクロム
線のヒータ(リボンヒータなど)により加熱している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
方法にあっては、数十リットルの純水を貯めるための貯
水槽が必要であるとともに、貯水槽とこれに付随する温
度の制御装置が相当の容積を有しており、コストのかか
る無塵室中にこれらを設置するかなりのスペースを必要
としている。
【0009】さらに、ニクロム線ヒータから発生する熱
の伝達は、ニクロム線と被覆材との接触面が小さいこと
によって不十分であり、熱が純水に速やかに伝達されな
い。また、ヒータが過熱するため大電力を単一のヒータ
にかけることができないので、純水を所定の温度に加熱
するのに長い待ち時間を必要とし、立ち上げを早くする
ためには複数のヒータが不可欠である等の欠点がある。
【0010】後者の方法にあっては、加熱装置の配管口
径より加熱装置の内部の石英ガラス製チューブ内径の方
が大きいことなどにより、加熱装置の内部に水の滞留が
生じてバクテリアが付着して増殖する発生源となる。ま
た、ニクロム線から発生する熱の石英ガラス製チューブ
への熱伝達は、ニクロム線ヒータによる局所的な加熱と
なっているため悪く、さらに石英ガラス製チューブから
純水への熱伝達も境膜の存在によって小さい。よって、
ヒータの電力はせいぜい5kW程度にしか上げられず、
大容量の純水を短時間で加熱できないという欠点があ
る。
【0011】また特開昭63−66885などに記載さ
れているように、抵抗値が正の温度特性を有するセラミ
ックス製ヒータが布団乾燥機や食器乾燥機に利用されて
いることは知られているが、これらに利用されているチ
タン酸バリウム系のセラミックス製ヒータは抵抗値が急
上昇する温度が350℃以下と低いので高温に加熱する
ことができずヒータの容量の大きいものが得難いという
問題がある。
【0012】本発明は、従来の純水の加熱装置が有して
いるこれらの欠点を排除し、コンパクトであっても大容
量の純水を短時間で加熱し得る方法を提供しようとする
ものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の問題点
を種々研究、検討した結果得られたものであり、円筒状
のセラミックス製ヒータと、該ヒータの内側に密着さ
れ、内部に純水の流路を有する石英ガラス製またはフッ
素樹脂製のチューブと、該ヒータおよび該チューブを内
包して支持するケーシングとからなる加熱装置を用い、
該流路内を流れる純水のレイノルズ数を10,000以
上とする純水の加熱方法であって、上記セラミックス製
ヒータがケイ素と、酸化ケイ素、酸化鉄、酸化アルミニ
ウムおよび酸化ニッケルからなる群より選ばれる1種以
上からなる金属酸化物とを主成分とし、ケイ素の含有量
が60〜95重量%であることを特徴とする。
【0014】本発明の純水の加熱方法の好ましい態様で
は、前記ヒータが6kW以上の電力を有する
【0015
【0016】本発明の純水の加熱方法では、伝熱面が広
くなるように面で加熱され、高出力化の可能な円筒状の
セラミックス製ヒータを用い、これに純水を通すとき不
純物による汚染の心配のない材料である石英ガラス製ま
たはフッ素樹脂製のチューブを密着するように組み合わ
せ、さらにチューブ内を流れる純水のレイノルズ数を1
0,000以上とする。
【0017】すなわち、チューブ内を流れる純水のレイ
ノルズ数が10,000以上であることにより、純水の
水流が発達した乱流になるので、純水と石英ガラス製チ
ューブまたはフッ素樹脂製チューブとの間の熱伝達が良
好になるとともに、チューブの内壁面にバクテリアが付
着したり、増殖したりするのを防止できる。
【0018】フッ素樹脂製のチューブは、熱伝導率はあ
まり大きくないが耐熱性の限度内である程度温度を上げ
ることができ、これによって伝熱量を稼ぐことができ
る。また、弾力性と潤滑性があって、焼結されたセラミ
ックス製の円筒状ヒータ内に密着するように押し込むこ
とが容易であるので、本発明において用いられる純水の
加熱装置の製造が容易となる点で特に好ましい部材であ
る。
【0019】一方石英ガラス製チューブを利用する場合
は、フッ素樹脂製のチューブと比べて硬いので一体に焼
き付ける等の方法によらないとセラミックス製ヒータと
密着した状態にすることができない他、両者間の熱膨張
率差についても熱応力で破損しないように両者の熱膨張
率の差を大きくせず、中間の熱膨張率を有する接着剤で
接合するなどの対策を講ずる必要がある。
【0020】本発明の純水の加熱方法に用いられる円筒
状のセラミックス製ヒータは、電気抵抗の温度特性が正
であるため、特別に温度調節装置を装備しなくても所定
の温度に加熱でき、かつ過熱することがない。また、セ
ラミックス製ヒータの材質を選ぶことによって温度調整
も可能となる。
【0021】セラミックス製ヒータの電力としては、利
用が可能であれば大きい方が好ましく、6kW以上のも
のを用いることによって、チューブ内を流れる純水のレ
イノルズ数が10,000以上となる流速の早い条件下
においても所要の温度の純水が容易に得られるので好ま
しい。
【0022】本発明におけるセラミックス製ヒータは
金属酸化物を含むので水を吸収しやすく、遠赤外線をよ
り多く放射する。セラミックス製ヒータに用いられる金
は、半導体特性を有するケイ素であり、金属酸化物は
酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化ニッケル、酸化ケイ
やこれらの混合物である。その成分割合としてはケイ素
を60〜95重量%、残部を上記金属酸化物としている
ので電気抵抗値がヒータとして適切なレベルのものとな
る。
【0023】また、電気抵抗の温度特性が正であり、か
つ数百℃まで昇温できるので好都合である。
【0024】このようなセラミックス製ヒータを製造す
るには、ケイ素と金属酸化物の粉末の混合物を、例えば
メチルセルローズなどの結合剤および水と混合混練して
押出し成形し、乾燥後焼成して焼結体とされるのが好ま
しく、その焼成温度は通常1000〜1300℃であ
る。
【0025】
【実施例】ケイ素金属粉末90重量%、酸化ケイ素粉末
7重量%からなる混合物に、結合剤としてメチルセルロ
ーズおよび水を加えて混練して押出し成形し、乾燥後1
250℃で8時間焼成して、外径15mm、内径9m
m、長さ250mmのセラミックス製ヒータを得た。こ
のヒータは、200Vで10kWの電力を有し、電気抵
抗の温度係数が正のものであった。
【0026】図1はこのヒータを組み込んだ本発明に用
いる純水の加熱装置の一例である。すなわち、このヒー
タ1の内面に、純水の流路4を有する外径9mm、内径
8mmのフッ素樹脂製チューブ2を密着させて挿入し
た。さらにこのヒータ1を外径50mm、長さ300m
mのケーシング3に組み込み、リード線5を取り付けて
純水の加熱装置を作成した。
【0027】この純水の加熱装置に20℃の10リット
ル/分の純水を流すときのフッ素樹脂製チューブ2内を
流れる純水のレイノルズ数は約26,600であった。
【0028】この装置を初期温度20℃の純水100リ
ットルを入れた純水のタンクに取り付けて10リットル
/分の割合で純水を循環させることによって約45分で
タンク中にある水の水温を約80℃に昇温することがで
きた。
【0029】
【発明の効果】本発明の純水の加熱方法では、セラミッ
クス製ヒータを熱伝達良く利用するようになっているの
で該ヒータが小型でも大量の純水を加熱できる。すなわ
ち、チューブ中を流れる純水のレイノルズ数を10,0
00以上と大きく取ることによって乱流を形成して熱伝
達を良くし、かつ純水の加熱装置中に純水が滞留するこ
ともないのでバクテリアが付着して増殖することがな
く、純水が流れるチューブが長期間使用されても純水が
バクテリアで汚れることもなくな
【0030】さらにはセラミックス製ヒータとして正の
温度特性を有するものを使用しているため、温度の制御
を特別な温度調節装置を使用しなくても可能としてい
る。また、ケイ素酸化ケイ素、酸化鉄、酸化アルミニ
ウムおよび酸化ニッケルからなる群より選ばれる1種以
上からなる金属酸化物とを主成分とするセラミックス製
ヒータを用いることにより、数百℃の高温まで昇温でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる純水の加熱装置の一例を示す断
面図
【符号の説明】
1 ヒータ 2 フッ素樹脂製チューブ 3 ケーシング 4 純水の流路 5 リード線

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】円筒状のセラミックス製ヒータと、該ヒー
    タの内側に密着され、内部に純水の流路を有する石英ガ
    ラス製またはフッ素樹脂製のチューブと、該ヒータおよ
    び該チューブを内包して支持するケーシングとからなる
    加熱装置を用い、該流路内を流れる純水のレイノルズ
    を10,000以上とする純水の加熱方法であって、上
    記セラミックス製ヒータがケイ素と、酸化ケイ素、酸化
    鉄、酸化アルミニウムおよび酸化ニッケルからなる群よ
    り選ばれる1種以上からなる金属酸化物とを主成分と
    し、ケイ素の含有量が60〜95重量%であることを特
    徴とする純水の加熱方法。
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