JP2987214B2 - 高モジュラスゴム組成物 - Google Patents

高モジュラスゴム組成物

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JP2987214B2
JP2987214B2 JP2406554A JP40655490A JP2987214B2 JP 2987214 B2 JP2987214 B2 JP 2987214B2 JP 2406554 A JP2406554 A JP 2406554A JP 40655490 A JP40655490 A JP 40655490A JP 2987214 B2 JP2987214 B2 JP 2987214B2
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高モジュラスゴム組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】ゴム化合物のモジュラス(modulu
s)を高めることが時には望ましい。例えば、タイヤレ
ッドペース組成物およびタイヤワイヤコート化合物に用
いる、ゴム化合物のモジュラスを高めることが、一般に
望ましい。このようなゴム組成物の高度の剛性は通常、
例えばカーボンブラックのような充てん剤を多量にゴム
化合物に混入することによって、および/またはこのよ
うな化合物の硬化状態を高めることによって得られる。
これらの両方法は残念ながら好ましくない結果を生ず
る。例えば、ゴム化合物に付加的にカーボンブラックを
混入すると、典型的に高レベルのヒステリシスが生ず
る。従って、このような化合物のタイヤへの使用は過度
の蓄熱と不良な切傷生長特性が生ずる。硬化状態を高め
るために、多量の硫黄を用いると典型的に、不良な耐老
化性が生ずる。さらに、硬化状態のみを高めることによ
って高レベルの剛性を得ることは非常に困難である。こ
れらの理由から、高レベルの充てん剤またはキュラティ
ブ(curative)を単に添加するだけでタイヤト
レッドベース化合物の望ましい剛性度を得ることは不可
能である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って、ヒステリシス
レベルが低いまゝで高モジュラスのゴム組成物を得るこ
とが望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は高モジュラスゴ
ム組成物の製造方法を提供する。この方法によって製造
した高モジュラスゴム組成物は高度の剛性が望ましい用
途に充分に適する。しかも、この方法によって製造した
ゴム組成物がヒステリシスの度合を高めることはない。
【0005】本発明は特に、次の工程: (1) ゴムエラストマーのポリマーセメント中でジオール
およびジアミンから成る群から選択した少なくとも1種
類の要素と共に少なくとも1種類のジイソシアネート
を、ポリ尿素またはポリウレタンが分散したゴムセメン
トを形成するような条件下で重合させる工程;および (2) ゴムセメントから高モジュラスゴム組成物を回収す
る工程から成る高モジュラスゴム組成物の製造方法を開
示する。この方法によって製造した高モジュラスゴム組
成物はゴムエラストマー中にポリウレタンまたはポリ尿
素が高度に分散したブレンドである。ポリ尿素はジイソ
シアネートとジアミンとの重合によって形成される。ポ
リウレタンはジイソシアネートとジオールとの重合によ
って形成される。本発明の重合反応はエラストマーのポ
リマーセメント中で実施されるので、ポリ尿素またはポ
リウレタンの高分散ブレンドが得られる。ゴム中のポリ
尿素またはポリウレタンの高分散ブレンドが高モジュラ
スゴム組成物として乾燥形で回収される。
【0006】本発明の高モジュラスゴム組成物は乾燥ゴ
ムのマトリックス中でジオールまたはジアミンをジイソ
シアネートと反応させることによって製造される。この
ような重合は典型的に、乾燥ゴムにせん断力を及ぼす押
出機またはミキサー中で実施される。このようなプロセ
スは (1) ゴムの第1部分中にジイソシアネートを混合し、 (2) ゴムの第2部分中にジオールまたはジアミンを混合
し、 (3) ジイソシアネート含有ゴムとジオールまたはジアミ
ンを含むゴムとを混合することによって実施される。こ
のプロセスは2モノマー成分を同一ゴムに連続的に加え
ることによっても実施される。例えば、ジオールまたは
ジアミンをゴムに混合し、次にジイソシアネートを連続
添加することができる。モノマー添加のこの順序を逆に
することも当然可能である。ジイソシアネートがジオー
ルまたはジアミンのいずれかと接触すると、重合が生じ
て、ポリ尿素またはポリウレタンが形成される。プロセ
スが乾燥ゴムのマトリックス内で実施されるので、乾燥
ゴムとポリ尿素またはポリウレタンとの高分数性ブレン
ドが生じる。
【0007】本特許出願はさらに、少なくとも1種類の
乾燥ゴムのマトリックス内でジオールおよびジアミンか
ら成る群から選択した少なくとも1種類の要素と共に少
なくとも1種類のジイソシアネートを重合して、前記高
モジュラスゴム組成物を製造することから成る高モジュ
ラスゴム組成物の製造方法をも提供する。
【0008】本発明の高モジュラスゴム組成物の製造に
は実際に如何なる種類のエラストマーも使用することが
できる。本発明によって用いられるゴムは典型的に例え
ば共役ジエンモノマーおよび/または非共役ジエンモノ
マーのようなジエンモノマーから誘導される反復単位を
含む。このような共役ジエンと非共役ジエンモノマーは
典型的に炭素数4〜約12、好ましくは炭素数4〜約8
である。適当なジエンモノマーの典型的な例は1,3−
ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−
ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、3,
4−ジメチル−1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチ
ル−1,3−オクタジエン、フェニル−1,3−ブタジ
エン等である。ポリジエンゴムは例えばスチレン、1−
ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、α−メチル
スチレン、4−フェニルスチレン、3−メチルフェニル
等のような、種々なビニル芳香族モノマーから誘導され
る反復単位を含むこともできる。本発明の高モジュラス
ゴム組成物を用いて改質することのできるポリジエンゴ
ムの幾つかの典型的な例には、ポリブタジエン、スチレ
ン−ブタジエンゴム(SBR)、合成ポリイソプレン、
天然ゴム、イソプレン−ブタジエンゴム、イソプレン−
ブタジエン−スチレンゴム、ニトリルゴム、カルポキシ
ル化ニトリルゴムおよびEPDMゴムがある。本発明の
方法は天然ゴム、合成ポリイソプレンおよびシス−1,
4−ポリブタジエンの改質への利用に特に良好に適して
いる。
【0009】本発明の高モジュラスゴム組成物に用いら
れるエラストマーは溶液重合、乳化重合または塊状重合
によって製造される。本発明のゴム組成物の製造に天然
ゴムを用いることも、当然可能である。乾燥ゴムを用い
て高モジュラスゴム組成物を製造する場合に、乾燥ゴム
を合成する方法はあまり重要ではない。しかし、高モジ
ュラスゴム組成物の製造にゴムセメントを用いる本発明
の実施態様では、ゴムを溶液重合によって製造すること
が好ましい。このシナリオでは、ゴムが溶解した有機溶
剤からゴムを回収する必要がない。換言すると、最初に
乾燥形のゴムを回収することなく、本発明の方法をゴム
セメントを用いることができる。このようにすることに
よって、ゴムを有機溶剤から回収して、それを再溶解す
る不必要な工程が省略される。天然ゴムまたは乳化重合
または塊状重合によって製造されたゴムを有機溶剤に溶
解して、本発明によって用いられるゴムセメントを製造
することも可能である。
【0010】本発明の高モジュラスゴム組成物をゴムエ
ラストマーのポリマーセメント中でのポリ尿素またはポ
リウレタンの合成によって製造することが、一般に好ま
しい。ポリ尿素またはポリウレタンは少なくとも1種類
のジイソシアネートを少なくとも1種類のジオールまた
は少なくとも1種類のジアミンと共に重合することによ
って製造される。このような重合はゴムセメント中のポ
リ尿素またはポリウレタンの高分散ブレンドの形成を生
ずる。ゴムセメント中の有機溶剤は重合すべきモノマー
の溶媒ならびにゴムの溶媒として役立つ。有機溶剤中の
ポリウレタンまたはポリ尿素およびゴムエラストマーの
本質的に均質な溶液はこのような重合から生ずる。
【0011】ポリ尿素またはポリウレタンを含むゴムセ
メントは本質的に均質な性質であるので、ゴムエラスト
マー中のポリ尿素またはポリウレタンの高分散性ブレン
ドが有機溶剤から乾燥形で回収することができる。換言
すると、ゴム中のポリウレタンまたはポリ尿素の高分散
性乾燥ブレンドは本発明の方法を用いて製造される。有
機溶剤は例えば凝固または蒸発のような慣習的な方法を
用いてこのような高分散性ブレンドを回収することによ
って、除去されうる。
【0012】適当な不活性有機溶剤中で1種類以上のジ
エンモノマーを重合することによって、ポリマーセメン
トを製造することができる。用いた有機溶剤は通常、飽
和脂肪族炭化水素または芳香族炭化水素である。適当な
芳香族溶剤の幾つかの代表的な例はベンゼン、トルエ
ン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、イ
ソブチルベンゼン等である。適当な脂肪族溶剤の幾つか
の代表的な例には、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メ
チルシクロヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、n
−オクタン、イソオクタン、n−デカン、2,2−ジメ
チルブタン、石油エーテル、ケロセン、石油アルコー
ル、石油ナフサ等がある。しかし、重合反応の開始に用
いる触媒系に対して不活性である溶剤を選択することが
通常好ましい。
【0013】ゴムセメントは有機溶剤中で1種類以上の
ジエンモノマーを重合することによって製造される。今
まで説明したように、用いるジエンモノマーは共役また
は非共役ジエンモノマーである。ビニル置換芳香族モノ
マーを1種類以上のジエンモノマーと共重合して、例え
ばスチレン−ブタジエン−ゴム(SBR)のような、適
当なゴムエラストマーのような、適当なゴムエラストマ
ーを形成することができる。
【0014】連続式またはバッチ式重合プロセスによっ
て有機溶剤中で1,3−ブタジエンモノマーを重合する
ことによって、高シス−1,4−ポリブタジエンを製造
することができる。無機アルミニウム化合物、溶解性ニ
ッケル含有化合物およびフッ素含有化合物を含む三成分
ニッケル触媒系を用いて、重合を触媒することができ
る。
【0015】用いることのできる有機アルミニウム化合
物は次の構造式: 〔式中、R1 はアルキル基(シクロアルキル基を含
む)、アリール基、アルカリール基、アリールアルキル
基、アルコキシ基、水素およびフッ素から成る群から選
択する;R2 とR3 はアルキル基(シクロアルキル基を
含む)、アリール基、アルカリール基およびアリールア
ルキル基から成る群から選択する。〕を有する。用いる
ことのできる有機アルミニウム化合物の幾つかの代表的
な例はジエチルアルミニウムヒドリド、ジ−m−プロピ
ルアルミニウムヒドリド、ジ−n−ブチルアルミニウム
ヒドリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジフェ
ニルアルミニウムヒドリド、ジ−p−トリルアルミニウ
ムヒドリド、ジベンジルアルミニウムヒドリド、フェニ
ルエチルアルミニウムヒドリド、フェニル−n−プロピ
ルアルミニウムヒドリド、p−トリルエチルアルミニウ
ムヒドリド、p−トリルn−プロピルアルミニウムヒド
リド、p−トリルイソプロピルアルミニウムヒドリド、
ベンジルエチルアルミニウムヒドリド、ベンジルn−プ
ロピルアルミニウムヒドリドおよびベンジルイソプロピ
ルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムエトキ
シド、ジイソブチルアルミニウムエトキシド、ジプロピ
ルアルミニウムメトキシド、トリメチルアルミニウム、
トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニ
ウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチ
ルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリペ
ンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリ
シクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウ
ム、トリフェニルアルミニウム、トリ−p−トリルアル
ミニウム、トリベンジルアルミニウム、エチルジフェニ
ルアルミニウム、エチルジ−p−トリルアルミニウム、
エチルジベンジルアルミニウム、ジエチルフェニルアル
ミニウム、ジエチル−p−トリルアルミニウム、ジエチ
ルベンジルアルミニウムならびに他のトリオルガノアル
ミニウム化合物である。好ましい有機アルミニウム化合
物にはトリエチルアルミニウム(TEAL)、トリ−n
−プロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム
(TIBAL)、トリヘキシルアルミニウム、ジイソブ
チルアルミニウムヒドリド(DIBAH)およびジエチ
ルアルミニウムフルオリドがある。
【0016】ニッケルを含む触媒の成分は溶解性有機ニ
ッケル化合物である。これらの溶解性ニッケル化合物は
通常、炭素数20までのモノ−デンテートまたはビ−デ
ンテート有機リガンドを含むニッケル化合物である。リ
ガンドは金属原子またはイオンに結合した、または結合
したと考えられるイオンまたは分子である。モノ−デン
テートは金属との共役結合または配位結合を形成しうる
位置を一つ有することを意味する。ビ−デンテートは金
属との共役結合または配位結合を形成しうる位置を二つ
有することを意味する。“溶解性”なる用語はブタジエ
ンモノマーおよび不活性溶剤への溶解性を意味する。
【0017】一般に、溶解性ニッケル含有化合物として
は炭素数約1〜20のニッケル塩すなわちニッケル含有
有機酸が用いられる。溶解性ニッケル含有化合物の代表
的な例は安息香酸ニッケル、酢酸ニッケル、ナフタン酸
ニッケル(nickel naphthanate)、
オクタン酸ニッケル、ネオデカン酸ニッケル、ビス(α
−フリルジオキシム)ニッケル、パルミチン酸ニッケ
ル、ステアリン酸ニッケル、アセチルアセトン酸ニッケ
ル、ニッケルサリカルデヒド(nickel sali
caldehyde)、ビス(シクロペンタジエン)ニ
ッケル、ビス(サリチルアルデヒド)エチレンジイミン
ニッケル、シクロプンタジエニル−ニッケルニトロシ
ル、ビス(π−アリルニッケル)、ビス(π−シクロオ
クタ−1,5−ジエン)、ビス(π−アリルニッケルト
リフルオロアセテート)およびニッケルテトラカルボニ
ルである。ニッケルを含む好ましい成分はカルボン酸の
ニッケル塩またはニッケルの有機錯体化合物である。ナ
フタン酸ニッケル、オクタン酸ニッケル、ネオデカン酸
ニッケルが特に好ましい溶解性ニッケル含有化合物であ
る。一般にオクタン酸ニッケル(NiOct)と呼ばれ
る2−エチルヘキサン酸ニッケルは経済的ファクターか
ら最も一般的に用いられる溶解性ニッケル含有化合物で
ある。
【0018】触媒系に用いられるフッ素含有化合物は一
般にフッ化水素または三フッ化ホウ素である。フッ化水
素を用いる場合には、フッ化水素は気体または液体のい
ずれの状態でもよい。フッ化水素は当然無水であり、で
きるかぎり純粋であるべきである。フッ化水素を不活性
溶剤に溶解して、液体溶液として扱って反応帯に装入す
ることができる。任意にブタジエンモノマーを溶剤とし
て用いることもできる。不活性溶剤としてはアルキル
−、アルカリール−、アリールアルキル−およびアリー
ル炭化水素がある。例えば、ベンゼンおよびトルエンが
便利な溶剤である。
【0019】触媒の三フッ化ホウ素成分は気体状三フッ
化ホウ素である。これも無水かつできるかぎり純粋であ
るべきである。
【0020】フッ化水素および/または三フッ化ホウ素
を錯体として、触媒系にフッ素含有化合物として用いる
こともできる。フッ化水素錯体と三フッ化ホウ素錯体は
フッ化水素または三フッ化ホウ素に電子を与える、また
はこれらの化合物と電子を共有することのできる原子ま
たはラジカルを含む化合物によって容易に製造すること
ができる。このような会合(associating)
をすることのできる化合物はエーテル類、アルコール
類、ケトン類、エステル類、ニトリル類および水であ
る。
【0021】ケトンサブクラスは次式: 〔式中、R1 とRは炭素数1〜約30のアルキルラジカ
ル、シクロアルキルラジカル、アリールラジカル、アル
カリールラジカルおよびアリールアルキルラジカルであ
り、R1 とRは同一または異なるラジカルである〕によ
って定義される。これらのケトンは酸素に二重結合によ
って結合した炭素結合を有する化合物のクラスを代表す
る。本発明のケトン−フッ化水素錯体または三フッ化ホ
ウ素錯体の製造に有用なケトンの幾つかの代表的な例に
は、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジブチルケ
トン、メチルイソブチルケトン、エチルオクチルケト
ン、2,4−ペンタンジオン、ブチルシクロヘプタノ
ン、アセトフェノン、アミルフェニルケトン、ブチルフ
ェニルケトン、ベンゾフェノン、フェニルトリルケト
ン、キノン等がある。本発明のケトン−フッ化水素化合
物またはケトン−三フッ化ホウ素化合物の形成に用いる
ことのできる好ましいケトンはジアルキルケトンであ
り、アセトンが特に好ましい。
【0022】ニトリルサブクラスは式RCNによって表
され、式中Rは炭素数約30までのアルキル基、シクロ
アルキル基、アリール基、アルカリール基またはアリー
ルアルキル基である。ニトリルは窒素原子に三重結合に
よって炭素原子を含む。ニトリルサブクラスの非限定的
な代表例はアセトニトリル、ブチロニトリル、アクリロ
ニトリル、ベンゾニトリル、トルニトリル、フェニルア
セトニトリル等である。好ましいフッ化水素−ニトリル
錯体または三フッ化ホウ素−ニトリル錯体である。
【0023】アルコールサブクラスは式ROHによって
定義され、式中Rは炭素数約1〜約30のアルキルラジ
カル、シクロアルキルラジカル、アリールラジカル、ア
ルカリールラジカル、またはアリールアルキルラジカル
を表す。これらのアルコールは、単結合によって水素に
結合した酸素原子に単結合によって結合した炭素原子を
有する化合物のクラスを代表する。フッ化水素錯体およ
び三フッ化ホウ素錯体の製造に有用なアルコールの非限
定的な代表例はメタノール、エタノール、n−プロパノ
ール、イソプロパノール、フェノール、ベンジルアルコ
ール、シクロヘキサノール、ブタノール、ヘキサノール
およびペンタノールである。好ましいフッ化水素−アル
コール錯体または三フッ化ホウ素−アルコール錯体はフ
ッ化水素フェノレート錯体または三フッ化ホウ素フェノ
レート錯体である。
【0024】エーテルサブクラスは式R1 ORによって
定義され、RとR1 は炭素数約1〜約30のアルキルラ
ジカル、シクロアルキルラジカル、アリールラジカル、
アルカリールラジカルおよびアリールアルキルラジカル
であり、RとR1 は同一または異なるラジカルである。
Rは共通の炭素結合によって環状エーテルを形成し、エ
ーテルの酸素は例えばテトラヒドロフラン、フランまた
はジオキサンのような環状構造の不可避な一部である。
これらのエーテルは酸素原子に単結合によって結合した
2個の炭素原子を有する化合物のクラスを代表する。本
発明のフッ化水素錯体または三フッ化ホウ素錯体の製造
に有用なエーテルの非限定的な代表例は、ジメチルエー
テル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミル
エーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、アニソール、ジフェニルエーテル、エチルメチルエ
ーテル、ジベンジルエーテル等である。好ましいフッ化
水素−エーテル錯体または三フッ化ホウ素−エーテル錯
体はフッ化水素ジエチルエーテレート、フッ化水素ジブ
チルエーテレート、三フッ化ホウ素ジエチルエーテレー
ト、三フッ化ホウ素ジブチルエーテレート錯体である。
【0025】エステルサブクラスは式: 〔式中RとR1 は炭素数1〜約20のアルキルラジカ
ル、シクロアルキルラジカル、アリールラジカル、アル
カリールラジカルおよびアリールアルキルラジカルから
成る群から選択される〕によって定義される。エステル
は上述したように、酸素原子に二重結合によって結合し
た炭素原子を含む。このようなエステルの非限定的な代
表例はエチルベンゾエート、アミルベンゾエート、フェ
ニルアセテート、フェニルベンゾエートおよび上記式に
従う他のエステルである。好ましいフッ化水素−エステ
ル錯体はフッ化水素−エチルベンゾエート錯体である。
好ましい三フッ化ホウ素−エステル錯体は三フッ化ホウ
素−エチルベンゾエート錯体である。
【0026】このような錯体は通常、適当な量の錯生成
剤、例えばケトン、エーテル、エステル、アルコールま
たはニトリル中に気体状三フッ化ホウ素またはフッ化水
素を簡単にバブルすることによって製造される。これら
水分の不存在下で実施すべきであり、温度が約100°
F(37.7℃)より上昇しないように測定を行うべき
である。大ていの場合に、三フッ化ホウ素錯体とフッ化
水素錯体は、温度を室温に維持しながら製造される。他
の可能な方法はフッ化水素または錯生成剤を適当な溶剤
に溶解し、次に他の成分を加えることである。さらに他
の方法は錯生成剤を溶剤に溶解し、系に通してフッ化水
素または三フッ化ホウ素を、錯生成剤の全てがフッ化水
素または三フッ化ホウ素と反応するまで、単にバブルさ
せることである。濃度は重量増加または化学的滴定によ
って決定される。
【0027】用いる三成分触媒系はプレフォームするこ
とができる。触媒系をプレフォームする場合には、触媒
系は高レベルの活性を長時間にわたって維持する。この
ようなプレフォーム触媒の使用は均一なポリマー生成物
を形成することになる。このようなプレフォーム触媒系
はモノオレフィン、非共役ジオレフィン、共役ジオレフ
ィン、環状非共役マルチオレフィン、アセチレン系炭化
水素、トリオレフィン、ビニルエーテルおよび芳香族ニ
トリルから成る群から選択された、1種類以上のプレフ
ォーム剤(preforming agent)の存在
下で製造される。
【0028】安定化触媒の製造にプレフォーム剤として
用いることのできるオレフィンの代表的な例は、トラン
ス−2−ブテン、混合シス−およびトランス−2−ペン
テン、およびシス−2−ペンテンである。プレフォーム
剤として用いることのできる非共役ジオレフィンの例は
シス−1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘプタジエン、
1,7−オクタジエン等である。用いることのできる環
状非共役マルチオレフィンの代表的な例には、1,5−
シクロオクタジエン、1,5,9−シクロドデカトリエ
ンおよび4−ビニルシクロヘキサン−1がある。プレフ
ォーム剤として用いることのできる幾つかの代表的な例
はメチルアセチレン、エチルアセチレン、2−ブチン、
1−ペンチン、1−オクチンおよびフェニルアセチレン
である。プレフォーム剤として用いることのできるトリ
オレフィンは1,3,5−ヘキサトリエン、1,3,5
−ヘプタトリエン、1,3,6−オクタトリエン、5−
メチル−1,3,6−ヘプタトリエン等である。用いる
ことのできる置換共役ジオレフィンの幾つかの代表的な
例には1,4−ジフェニルブタジエン、ミルセン(7−
メチル−3−メチレン−1,6−オクタジエン)等があ
る。プレフォーム剤として用いることのできるアルキル
ビニルエーテルの代表的な例はエチルビニルエーテルと
イソブチルビニルエーテルである。用いることのできる
芳香族ニトリルの代表的な例はベンゾニトリルである。
使用可能な共役ジオレフィンの幾つかの代表的な例は
1,3−ブタジエン、イソプレンおよび1,3−ペンタ
ジエンを含む。好ましいプレフォーム剤は1,3−ブタ
ジエンである。
【0029】プレフォーム触媒を非常に安定であり比較
的化学的に安定であるように製造する方法は、有機アル
ミニウム化合物とプレフォーム剤とを、ニッケル化合物
に接触させる前に、溶剤媒質に加えることである。次に
この溶液にニッケル化合物を加え、次にこの溶液にフッ
化物化合物を加える。代替手段として、プレフォーム剤
とニッケル化合物とを混合し、これに有機アルミニウム
化合物、次にフッ化物化合物を加える。他の添加順序を
用いることもできるが、他の添加順序ではあまり満足で
きる結果が一般に得られない。
【0030】触媒のプレフォームのためのプレフォーム
剤の使用量は重合すべきモノマー総量の約0.001〜
3%の範囲内である。プレフォーム剤対ニッケル化合物
のモル非で表現すると、プレフォーム工程中に存在する
プレフォーム剤の量はニッケル濃度の約1〜3000倍
である。プレフォーム剤対ニッケルの好ましいモル非は
約3:1から500:1までの範囲内である。
【0031】これらのプレフォーム触媒はその製造直後
に触媒活性を有する。しかし、例えば50℃の中等度の
温度における例えば15〜30分間の短時間のユーシン
グ(aging)がプレフォーム触媒の活性を非常に高
めることが観察されている。
【0032】触媒を適当に安定化するために、有機アル
ミニウム化合物がニッケル化合物またはフッ化物化合物
と反応する機械を有する前に、プレフォーム剤が存在し
なければならない。触媒系が少なくとも少量のプレフォ
ーム剤の存在もなしにプレフォームされる場合には、ニ
ッケル化合物またはフッ化物化合物に対する有機アルミ
ニウム剤の化学的効果のために、触媒の触媒活性は非常
に低下し、短時間後に不活性になる。少なくとも少量の
プレフォーム剤の存在下では、触媒の触媒寿命または貯
蔵寿命はプレフォーム剤が存在しない場合に比べて非常
に改良される。
【0033】三成分ニッケル触媒系はプレミックスする
こともできる。このようなプレミックス触媒系は1種類
以上のポリマー触媒安定剤の存在下で製造される。ポリ
マー触媒安定剤はモノマー、液体ポリマー、ポリマーセ
メント、またはポリマー溶液の形状をとりうる。ポリマ
ー触媒安定剤は一般に共役ジエンのホモポリマーまたは
共役ジエンとスチレンおよびメチル置換スチレンとのコ
ポリマーである。ポリマー触媒安定剤の製造に用いられ
るジエンモノマーは通常炭素数4〜約12を有する。こ
のようなポリマー触媒安定剤の製造に使用可能な共約ジ
エンモノマーの幾つかの代表的な例としては、イソプレ
ン、1,3−ブタジエン、ピペリレン、1,3−ヘキサ
ジエン、1,3−ヘプタジエン、1,3−オクタジエ
ン、2,4−ヘキサジエン、2,4−ヘプタジエン、
2,4−オクタジエンおよび1,3−ノナジエンが挙げ
られる。この他、2,3−ジメチルブタジエン、2,3
−ジメチル−1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチル
−1,3−ヘプタジエン、2,3−ジメチル−1,3−
オクタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ノナジエン
およびこれらの混合物も挙げられる。
【0034】ポリマー触媒安定剤の幾つかの代表的な例
には、ポリイソブレン、ポリブタジエン、ポリピペリレ
ン、ブタジエン/スチレンコポリマー、ブタジエン/α
−メチルスチレンコポリマー、イソプレン/スチレンコ
ポリマー、イソプレン/α−メチルスチレンコポリマ
ー、ピペリレン/スチレンコポリマー、ピペリレン/α
−メチルスチレンコポリマー、2,3−ジメチル−1,
3−ブタジエン/スチレンコポリマー、2,3−ジメチ
ルブタジエン/α−メチルスチレンコポリマー、ブタジ
エン/ビニルトルエンコポリマー、2,3−ジメチル−
1,3−ブタジエン/ビニルトルエンコポリマー、ブタ
ジエン/β−メチルスチレンコポリマーおよびピペリレ
ン/β−メチルスチレンコポリマーがある。
【0035】このプレミックス法によって触媒系を適当
に安定化するために、ポリマー触媒安定剤は有機アルミ
ニウム化合物がニッケル化合物またはフッ素含有化合物
のいずれかと反応する機械を有する前に存在しなければ
ならない。触媒系を少なくとも少量のポリマー触媒安定
剤の存在もなしにプレミックスする場合には、ニッケル
化合物またはフッ化物化合物への有機アルミニウム化合
物の化学的効果のために、触媒系の触媒活性は非常に低
下し、短時間後に不活性になる。少なくとも少量のポリ
マー触媒安定剤の存在下では、触媒系の触媒寿命または
貯蔵寿命はポリマー触媒安定剤が存在しない同触媒系に
比べて非常に改良される。
【0036】このプレミックス触媒系を高活性でありか
つ比較的化学的に安定であるように製造する1方法は、
有機アルミニウム化合物をポリマーセメント溶液に加
え、有機アルミニウム化合物がニッケル含有化合物と接
触する前に完全に混合することである。次にニッケルと
ポリマーセメント溶液に加える。または、ニッケル化合
物を最初にポリマーセメント溶液と混合し、次に有機ア
ルミニウム化合物を添加する。その後に、フッ素含有化
合物をポリマーセメント溶液に加える。これは他の順序
または触媒添加方法を排除する意図ではなく、有機アル
ミニウム触媒系がニッケル含有化合物またはフッ素含有
化合物のいずれかと反応する機会を有する前に、有機ア
ルミニウム化合物が存在しなければならないことを強調
する。
【0037】触媒系をプレミックスするためのポリマー
触媒安定剤の使用量は重合すべきモノマー総量の約0.
01〜3重量%の範囲内である。ポリマー触媒安定剤対
ニッケルの重量比として表現すると、プレミックス工程
中に存在するポリマー触媒安定剤の量はニッケル濃度の
約2〜2000倍の範囲内になる。ポリマー触媒安定剤
対ニッケルの好ましい重量比は約4:1から約300:
1までの範囲内である。このようなプレミックス触媒は
製造直後に触媒活性を示すが、例えば50℃の中等度の
温度における例えば15〜30分間の短時間のエージン
グがプレフォーム触媒系の活性を高めることが観察され
ている。
【0038】三成分ニッケル触媒系の製造に「現場改質
(modified in situ)」法を用いるこ
ともできる。このような「現場改質法」で製造された触
媒を用いると、実際に重合とポリマー生成物とがいっそ
う均一に制御される。このような「現場改質法」では、
有機アルミニウム化合物をそのまま(neat)の1,
3−ブタジエンモノマーに加え、ニッケル含有化合物は
後から加える。次に、有機アルミニウム化合物とニッケ
ル含有化合物とを含むブタジエンモノマーを重合に用い
られる反応帯に装入し、フッ素含有化合物は反応帯に別
に装入する。通常、有機アルミニウム化合物とニッケル
含有化合物とはブタジエンモノマーに混入した直後に反
応帯に装入する。大ていの場合に、有機アルミニウム化
合物とニッケル含有化合物とはブタジエンモノマーに混
入した後60秒間以内に反応帯に装入する。適当な溶剤
に溶解した有機アルミニウム化合物とニッケル含有化合
物とを用いることが一般に望ましい。
【0039】本発明の実施に用いられる三成分ニッケル
触媒系は広範囲な触媒濃度と触媒成分比とにわたって活
性を有する。3触媒成分は相互作用して、活性な触媒系
を形成する。その結果、各成分の最適濃度は他の2触媒
成分の各々の濃度に非常に依存する。さらに、重合は広
範囲な触媒濃度と比とにわたって生ずるが、合成される
ポリマーの最も望ましい性質は比較的狭い範囲で得られ
る。重合は有機アルミニウム化合物対有機ニッケル含有
化合物のモル比約0.3:1から約300:1までの範
囲内;フッ素含有化合物対有機ニッケル含有化合物のモ
ル比約0.5:1から約200:1までの範囲内;およ
びフッ素含有化合物対有機アルミニウム化合物のモル比
約0.4:1から約10:1までの範囲内を用いて実施
される。有機アルミニウム化合物対ニッケル含有化合物
の好ましいモル比は約2:1から約80:1までの範囲
であり、フッ素含有化合物対ニッケル含有化合物の好ま
しいモル比は約3:1から約100:1までの範囲であ
り、フッ素含有化合物対有機アルミニウム化合物の好ま
しいモル比は約0.7:1から約7:1までの範囲であ
る。反応帯で用いられる触媒系の濃度は例えば純度、用
いる重合温度、反応器の設計等のようなファクターに依
存する。
【0040】三成分ニッケル触媒系は連続溶液重合に用
いられる反応帯に、好ましい触媒濃度を維持するために
充分な速度で、連続装入される。3触媒成分は反応帯に
「現場で(in situ)」または既述したように、
プレフォームもしくはプレミックス触媒系として装入さ
れる。触媒成分の反応帯への「現場で」の装入を容易に
するために、これらを不活性有機溶剤またはブタジエン
モノマーの少量に溶解することもできる。プレフォーム
およびプレミックス触媒系は当然既に溶剤に溶解されて
いる。用いられる重合媒質は通常約5〜約35重量%の
モノマーおよびポリマーとを含み、重合媒質の約65〜
約95重量%は溶剤である。
【0041】重合媒質に1種類以上の分子量調節剤を含
めることもできる。使用可能な分子量調節剤には、米国
特許第4,383,097号および南アフリカ特許第8
3/2555号、第83/2557号、第83/255
8号(これらの特許はここに参考文献として関係する)
に述べられているような、ニッケル触媒系を用いる1,
3−ブタジエンモノマーの重合に有用であることが知ら
れている分子量調節剤がある。これらの分子量調節剤は
α−オレフィン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブ
テン、アレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサ
ジエン、1,6−ヘプタジエン、1,2,4−トリビニ
ルシクロヘキセン、1−トランス−4−ヘキサジエンお
よび4−ビニル−1−シクロヘキセンから成る群から選
択される。使用可能なα−オレフィンは炭素数2〜約1
0である。このために使用可能なα−オレフィンの代表
的な例には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−
ペンテンおよび1−ヘキセンがある。1−ブテンが好ま
しい分子量調節剤である。この理由は1−ブテンが1,
3−ブタジエンの沸点(−4.5℃)非常に近い沸点
(−6.3℃)を有し、また1−ブテンが低濃度で分子
量調節剤として有効であり、その濃度が著しく増加場合
にも重合に対して有害ではないからである。
【0042】分子量調節剤の必要な使用量は、使用する
分子量調節剤の種類、触媒系、重合温度、および合成さ
れるポリマーの目的分子量によって変化する。例えば、
高分子量ポリマーが望ましい場合には、比較的少量の分
子量調節剤が必要である。他方では、分子量を実質的に
減ずるために、比較的多量の分子量調節剤が用いられ
る。一般に、用いる触媒系がフッ化水素を含むかまたは
三フッ化ホウ素を含み、エージングされた触媒である場
合には、多量の分子量調節剤が必要である。例えばアレ
ンのような、特に有効な分子量調節剤は低濃度で用いる
ことができ、それにも拘らず高濃度の典型的な分子量調
節剤と同程度に分子量を抑制する。さらに詳しくは、ア
レンは0.005phm(モノマー100部あたりの部
数)程度の低濃度で用いた場合に溶液重合で合成される
ポリマーの分子量を抑制する。一般に、分子量調節剤は
約0.005〜20phmの範囲内の濃度で用られる。
通常は0.1〜15phmの濃度で分子量調節剤を用い
ることが好ましく、最も好ましい濃度は1〜10phm
である。
【0043】連続重合では、分子量調節剤は反応帯に望
ましい濃度の分子量調節剤を維持するために充分な速度
で反応帯に連続的に装入される。分子量調節剤は重合反
応において消耗されないとしても、損失を補充するため
にある一定量の分子量調節剤を連続的に添加する必要が
ある。単位時間あたりに反応帯に装入される1,3−ブ
タジエンモノマー、触媒系、溶剤および分子量調節剤
(任意)の総量は、単位時間に反応帯から取り出される
高シス−1,4−ポリブタジエンセメントの量と本質的
に同じである。
【0044】高シス−1,4−ポリブタジエンは、通常
「シュードリビング(pseudo−living)」
であると考えられる、例えばランタニド系のような希土
類触媒系を用いた溶液重合の条件下においても製造され
る。このような希土類触媒系は3成分から構成される。
これらの成分は(1) 有機アルミニウム化合物、(2) 周期
律表第III −B族の金属を含む有機金属化合物、および
(3) 少なくとも1種類の不安定なハリドイオン(hal
ide ion)を含む少なくとも1種類の化合物であ
る。このような希土類触媒系と共に用いることのできる
有機金属化合物は前記三成分ニッケル触媒系と共に用い
るものとして上述した化合物と同じである。
【0045】同期律表第III −B族からの金属を含む有
機金属化合物では、金属イオンがリガンド型基または原
子が結合する原子の中心コアを形成する。これらの化合
物は時には配位型化合物として知られる。これらの化合
物は象徴的にML3 として表される、式中Mは第III −
B族の上記金属イオンを表し、Lは(1) O−ヒドロキシ
アルデヒド、(2) O−ビドロキシフェノン、(3)アミノ
フェノール、(4) ヒドロキシエステル、(5) ヒドロキシ
キノリン、(6) β−ジケトン、(7) モノカルボン酸、
(8) O−二価フェノール、(9) アルキレングリコール、
(10)ジカルボン酸、(11)ジカルボン酸のアルキル化誘導
体および(12)フェノール性エーテルから成る群から選択
した炭素数1〜20の有機リガンドである。
【0046】有機金属化合物に有用な第III −B族金属
はスカンジウム、イットリウム、ランタニドおよびアク
チニドである。ランタニドにはランタン、セリウム、プ
ラセオジミウム、ネオジミウム、プロメチウム、サマリ
ウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジス
プロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッ
テルビウムおよびニテチウムがある。アクチニドにはア
クチニウム、トリウム、プロタクチニウム、ウラニウ
ム、ネプツニウム、プルトニウム、アメリシウム、キュ
ウリウム、ベルケリウム、カリホルニウム、アインスタ
イニウム、フェルミウム、メンデレリウムおよびローレ
ンシウムがある。好ましいアクチニドはそれぞれ原子番
号90と92を有するトリウムとウラニウムである。好
ましい第III −B族金属はそれぞれ原子番号58、5
9、60および64を有するセリウム、プラセオジミウ
ム、ネオジミウムおよびガドリニウムである。最も好ま
しいランタニド金属はネオジウムである。
【0047】用いる有機金属化合物において、有機部分
は炭素数1〜20の有機型リガンドまたは基である。こ
れらのリガンドは一価形、ビデンテートまたは二価形お
よびビデンテート形である。このような有機リガンドま
たは基の典型的な例は次の通りである。
【0048】(1) 例えばサリチルアルデヒド、2−ヒド
ロキシル−1−ナフタルデヒド、2−ヒドロキシ−3−
ナフタルデヒド等のようなO−ヒドロキシアルデヒド; (2) 例えば21 −ヒドロキシアセトフェノン、21−O
−ヒドロキシブチロフェノン、21 ヒドロキシプロピオ
フェノン等のようなO−ヒドロキシフェノン; (3) 例えばO−アミノフェノール、N−メチルO−アミ
ノフェノール、N−エチルO−アミノフェノール等のよ
うなアミノフェノール;
【0049】(4) 例えばエチルサリチレート、プロピル
サリチレート、ブチルサリチレート等のようなヒドロキ
シエステル; (5) 例えば2−ヒドロキシキノリン、8−ヒドロキシキ
ノリン等のようなフェノール系化合物; (6) 例えばアセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、プ
ロピオニルアセトン、イソブチルアセトン、バレリルア
セトン、エチルアセチルアセトン等のようなβ−ジケト
ン;
【0050】(7) 例えば酢酸、プロピオン酸、吉草酸、
ヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、ラ
ウリン酸、ステアリン酸等のようなモノカルボン酸; (8) 例えばピロカテコールのようなO−二価フェノー
ル; (9) 例えばエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコー
ル等のようなアルキレングリコール;
【0051】(10)例えばシュウ酸、マロン酸、マレイン
酸、コハク酸、O−フタル酸等のようなジカルボン酸; (11)上記ジカルボン酸のアルキル化誘導体; (12)例えばO−ヒドロキシアニソール、O−ヒドロキシ
エチルフェノール等のようなフェノール系エーテル
【0052】本発明に有用な、式ML3 に相当する第II
I −B族金属の代表的な有機金属化合物には、アセチル
アセトン酸セリウム、アフテン酸セリウム、ネオデカン
酸セシウム、トリス−サリチルアルデヒドセリウム、セ
リウムトリス−(8−ヒドロキシキノレート)、ナフテ
ン酸ガドリニウム、ネオデカン酸ガドリニウム、オクタ
ン酸ランタニウム、ナフテン酸ネオジミウム、ネオデカ
ン酸ネオジミウム、オクタン酸ネオジミウム、ナフテン
酸プラセオジミウム、オクタン酸プラセオジミウム、ア
セチルアセトン酸イットリウム、オクタン酸イットリウ
ム、オクタン酸ジスプロシウム、トリス(π−アリル)
ウラニウムクロリド、トリス(π−アリル)ウラニウム
プロミド、トリス(π−アリル)ウラニウムヨージド、
ウラニウムテトラメトキシド、ウラニウムテトラエトキ
シド、ウラニウムテトラブトキシド、オクタン酸ウラニ
ウム、トリウムエトキシド、トリス(π−アリル)トリ
ウムクロリド、ナフテン酸トリウム、イソ吉草酸ウラニ
ウム、および炭素数1〜20のリガンドを有する他の第
III −B族金属錯体がある。
【0053】このような希土類触媒系に用いられる第3
触媒成分はハリドイオンを含む化合物である。使用可能
なハリドイオンの幾つかの代表的な例はブロミドイオ
ン、クロリドイオン、フルオリドイオンおよびヨージド
イオンである。これらのイオンの2個以上の組合せも用
いることができる。これらのハリドイオンは、(1) ハロ
ゲン化水素;(2) 周期律表第II族、第III −A族および
第IV−A族から選択した金属のアルキル、アリール、ア
リカリール、アラルキルおよびシクロアルキル金属ハリ
ド;(3) 周期律表第III 族、第IV族、第V族、第VI−B
族および第VIII族から選択した金属のハリド;および
(4) 一般式ML(3-Y) Y に相当する有機金属ハリド
〔式中Mは周期律表第III −B族の原子番号21、39
および57から71までを有する金属を表し;Lは炭素
数1〜20の有機リガンドであり、(a)O−ヒドロキ
シアルデヒド、(b)O−ヒドロキシフェノン、(c)
ヒドロキシキノリン、(d)β−ジケトン、(e)モノ
カルボン酸、(f)O−二価フェノール、(g)アルキ
レングリコール、(h)ジカルボン酸、(i)ジカンボ
ン酸のアルキル化誘導体および(j)フェノール系エー
テルから成る群から選択したリガンドを表す;Xはハリ
ドイオンであり;Yは金属Mに結合したハリドイオン数
を表し、1から2までの整数である〕として導入するこ
とができる。有機リガンドLは一価およびビデンテート
または二価およびビデンテート形である。
【0054】不安定なハリドイオンを含むこのような化
合物の代表的な例には、(1) 例えば臭気水素酸、塩化水
素酸およびヨウ化水素酸のような無機ハロゲン化水素
酸;(2) 例えばエチルマグネシウムブロミド、ブチルマ
グネシウムブロミド、フェニルマグネシウムブロミド、
メチルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムクロ
リド、エチルマグネシウムヨージド、フェニルマグネシ
ウムヨージド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソ
ブチルアルミニウムブロミド、メチルアルミニウムセス
キブロミド、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルア
ルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムセスキクロ
リド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、イソブチル
アルミニウムジクロリド、ジヘキシルアルミニウムクロ
リド、シクロヘキシルアルミニウムジクロリド、フェニ
ルアルミニウムジクロリド、ジドデシルアルミニウムク
ロリド、ジエチルアルミニウムフルオリド、ジブチルア
ルミニウムフルオリド、ジエチルアルミニウムヨージ
ド、ジブチルアルミニウムヨージド、フェニルアルミニ
ウムジヨージド、トリメチルスズブロミド、トリエチル
スズクロリド、ジブチルスズジクロリド、ブチルスズト
リクロリド、ジフェニルスズジクロリド、トリブチルス
ズヨージド等のような有機金属ハリド;(3) 例えばシュ
ウ化アルミニウム、塩化アルミニウム、ヨウ化アルミニ
ウム、五塩化アンチモン、三塩化アンチモン、三シュウ
化ホウ素、三塩化ホウ素、塩化第二鉄、三塩化ガリウ
ム、五塩化モリブデン、三シュウ化リン、五塩化リン、
塩化第二スズ、四塩化チタン、四ヨウ化チタン、六塩化
タングステン等のような無機ハリド;および(4) 例えば
t−ブチルサリチルアルデヒドロセリウム(III )クロ
リド、サリチルアルデヒドロセリウム(III )クロリ
ド、5−シクロヘキシルサリチルアルデヒドロセリウム
(III )クロリド、2−アセチルフェノラートセリウム
(III )クロリド、オキサラートセリウム(III )クロ
リド、オキサラートセリウム(III )ブロミド等のよう
な有機金属(第III −B族)ハリドがある。不安定なハ
リドイオンを含む好ましい化合物は無機ハロゲン化水素
酸および有機金属ハリドである。
【0055】希土類金属触媒系は「現場で(in si
tu)」方法を用いて製造するかまたは「フレフォー
ム」することができる。「現場で」とは、触媒成分を重
合すべきモノマーに別々に加えることを意味する。「プ
レフォーム」とは重合すべきモノマーに成分のいずれか
が暴露される触媒成分を共に混合する方法を意味する。
本発明に述べたような触媒系を用いる場合に、モノマー
の存在が活性触媒種の形成にとって必らずしも必要では
なく、このことは「プレフォーム」触媒の使用を支持す
ることも知られている。また、新たな「プレフォーム」
触媒が使用前にエージングされた触媒よりもしばしば活
性であることも知られている。少量のジオレフィンの存
在下で「プレフォーミング」を実施することによって、
非常に改良された「プレフォーム」触媒が製造される。
モノマーの存在下のプレフォーミングは均質な(溶解
性)触媒系を生成し、モノマーの不存在下での混合によ
って製造された触媒系はしばしば不均質(非溶解性)で
ある。このような「プレフォーミング」方法は未国特許
第3,794,604号(ここに参考文献として関係す
る)に詳述されている。
【0056】本発明の重合触媒組成物の成分の割合は広
範囲に変化しうる。ハロゲン含有化合物のハリドイオン
がブロミド、クロリドまたはヨージドである場合には、
ハリドイオン対第III −B族金属の原子比は約0.1/
1から約6/1までの範囲内である。好ましい比は約
0.5/1から約3.5/1までの範囲内であり、最も
好ましい比は約2/1である。しかし、ハロゲン含有化
合物のハリドイオンがフルオリドイオンである場合に
は、フルオリドイオン対第III −B族金属イオンの比は
約20/1から約80/1までの範囲内であり、最も好
ましい比は約30/1から約60/1までの範囲内であ
る。トリアルキルアルミニウムまたはアルキルアルミニ
ウムヒドリド対第III −B族金属のモル比は約4/1か
ら可能200/1までの範囲内であり、最も好ましい比
は約8/1から約100/1までの範囲内である。ジオ
レフィン対第III −B族金属のモル比は約0.2/1か
ら3000/1までの範囲内であり、最も好ましい範囲
は約5/1から約500/1までである。
【0057】反応系への希土類触媒の装入量は広範囲に
わたって変化することができ、唯一の必要条件は1,3
−ブタジエンモノマーを重合させるために充分な、触媒
量の触媒組成物が反応系に存在することである。灰分
(ash)問題を最小にするためには、低濃度の触媒が
好ましい。第III −B族金属の触媒レベルがモノマー1
00gにつき第III −B族金属0.05〜1.0ミリモ
ルの範囲内である場合に重合が生ずることが判明してい
る。好ましい比はモノマー100gにつき第III −B族
金属0.1〜0.3ミリモルの範囲内である。
【0058】用いる総触媒系の濃度は当然、例えば系の
純度、好ましい重合速度、温度等のようなファクターに
依存する。それ故、触媒量を用いること以外には所定濃
度を設定することはできない。
【0059】希土類触媒を用いる重合反応を実施する温
度は広範囲にわたって変化しうる。通常この温度は−6
0℃のような非常に低温から150℃以上のような高温
までの範囲内である。従って、希土類触媒系による1,
3−ブタジエンモノマーの重合では温度は重要なファク
ターではない。しかし、約10℃〜約90℃の範囲内の
温度において重合反応を実施することが一般に好まし
い。重合を実施する場合の圧力も広範囲にわたって変化
しうる。反応を大気圧において実施することができる
が、望ましい場合には、減圧または過圧においても反応
を実施することができる。一般に、用いる作業条件下で
反応物質によって発生する、大体自原性の圧力(aut
ogenous pressure)において反応を実
施する場合に、満足すべき重合が達成される。
【0060】トロックモートン(Throckmort
on)の米国特許第4,663,405号(ここに参考
文献として関係する)に述べられているように、分子量
調節剤として希土類触媒系と共にビニルハリドを用いる
ことができる。分子量調節剤として用いることのできる
ビニルハリドは、ビニルフルオリド、ビニルクロリド、
ビニルブロミドおよびビニルヨージルである。ビニルブ
ロミド、ビニルクロリドおよびビニルブロミドが好まし
い。一般に、ビニルクロリドとビニルブロミドが最も好
ましい。ビルニハリドの使用量は合成するポリマーの好
ましい分子量によって変化する。多量のビニルハリドの
使用は当然、低分子量のポリマーの製造をもたらすこと
になる。一般に、約0.05〜10phm(モノマー1
00部あたりの部数)のビニルハリドが用いられる大低
の場合に、重合中に0.1〜2.5phmのビニルハリ
ド該存在する当業者は特に好ましい分子量を有するポリ
マーの製造をするためのビニルハリド量を容易にしるこ
とができる。
【0061】周期律表第I族と第II族からの金属も、
1,3−ブタジエンモノマーを1,4−ポリブタジエン
に重合するための触媒として用いることができる。この
タイプの開始剤系の使用は「リビング」ポリマーを形成
させる。このタイプの開始剤系に最も一般的に用いられ
る金属はバリウム、リチウム、マグネシウム、ナトリウ
ムおよびカリウムである。リチウムとマグネシウムがこ
のような開始剤系に最も一般的に用いられる金属であ
る。ブタジエンのポリブタジエンへの重合に最も一般的
に用られる金属開始剤系は有機金属化合物の形状であ
る。例えば、リチウムは有機リチウム化合物としてこの
ような重合を触媒するために一般的に用いられる。この
ような有機リチウム化合物は一般に構造式:LiRを有
し、式中のRは炭素数1〜20のアルキル基を表す。さ
らに一般的にはこのようなアルキルリチウム化合物中の
アルキル基は炭素数2〜8である。例えば、ブチルリチ
ウムがこのような化合物の開始剤として非常に一般的に
用いられる。
【0062】ここで述べた触媒系以外の触媒系を用いて
ポリジエンセメントを製造することも可能である。本発
明のブレンドの製造にこのようなポリブタジエンセメン
トを利用できることも考えられる。
【0063】例えばポリイソプレン、スチレン−ブタジ
エンゴム(SBR)およびスチレン−イソプレン−ブタ
ジエンゴム(SIBR)のような、他のエラストーのゴ
ムセメントは公知の溶液重合方法を用いて合成すること
もできる。このようなゴムセメントは本発明の高分散性
ブレンドの製造にも当然利用できる。
【0064】ポリ尿素またはポリウレタンはゴムセメン
トにジイソシアネートとジアミンまたはジオールとを単
に加えることによって合成される。ジイソシアネートと
ジアミンまたはジオールとの約化学量論量を典型的に添
加する。モノマー添加量は製造すべき高分散性ブレンド
中のポリウレタンまたはポリ尿素の好ましい混入レベル
に依存する。典型的には、ポリ尿素またはポリウレタン
約2phr〜約50phr(ゴム100部あたりの部
数)を含むブレンドを製造するために充分なモノマー量
が加えられる。高分散性ブレンドがポリ尿素またはポリ
ウレタン約5phrから約40phrを含むことが典型
的に好ましい。ブレンド中のポリ尿素またはポリウレタ
ンの最も好ましい量は高モジュラスゴム組成物の最終的
用途に依存する。一般に、約10phr〜約30phr
の範囲内の量が最も好ましい。
【0065】ゴムセメント中のモノマーの溶液は通常、
重合媒質(モノマー、ゴム、溶剤)の総重量を基準にし
て約5重量%から約35重量%までのモノマーおよびポ
リマーを含む。重合媒質が約10%から約30%までの
モノマーおよびポリマーを含むことが好ましい。重合媒
質が約15重量%から約25重量%までのモノマーおよ
びポリマーを含むことが一般に特に好ましい。営利的な
操作では、重合媒質は典型的に約20重量%のモノマー
およびポリマーを含む。
【0066】実際に如何なるタイプのジイソシアネート
モノマーも用いられる。これらのジイソシアネートモノ
マーの典型的に構造式: 〔式中、Aはアルキレン、シクロアルキレン、アリーレ
ンまたはシクロアリーレン部分を表す〕によって表され
る。使用可能なジイソシアネートモノマーの幾つかの代
表的な例は1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、
4,41 −メチレンジフェニルジイソシアネート、トル
エンジイソシアネート、アフタレンジイソシアネート、
およびイソホロンジイソシアネートである。イソホロン
ジイソシアネートは5−イソシアネート−1−(イソシ
アネートメチル)−1,3,3−トリメチル−シクロヘ
キサンとしても知られ、次の構造式: を有する。
【0067】実際に如何なる種類のジアミンモノマーを
ジイソシアネートモノマーと反応させることによって
も、ポリ尿素が得られる。使用可能なジアミンモノマー
の幾つかの代表的な例には、エチレンジアミン、フェニ
レンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、アフタリン
ジアミン(naphthalyne diamin
e)、1,4−ブチレンジアミン、ピペラジン、ヒドラ
ジン等がある。同様に、実際に如何なるジオールをジイ
ソシアネートモノマーと反応させることによっても、ポ
リウレタンが製造される。使用可能なジオールモノマー
の幾つかの典型的な例にはエチレングリコール、ブチレ
ングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロセキサ
ンジメタノールおよび1,6−ヘキサンジオールがあ
る。少量のポリイソシアネート、ポリアミンまたはポリ
オールをポリマー中に共重合させて、架橋を形成するこ
とができる。ある場合には、一般に迅速な反応速度が得
られるという理由から芳香族ジアミンを用いることが望
ましい。ポリ尿素またはポリウレタンを乾燥ゴムのマト
リックス内で合成する場合には、迅速な反応速度が特に
望ましい。
【0068】ジアミンモノマーまたはジオールを含む乾
燥ゴムマトリックス中にジイソシアネートモノマーをブ
レンドして、高モジュラスゴム組成物を製造することが
できる。このような方法では、ジイソシアネートモノマ
ーをゴムに混入し、次にすでにジイソシアネートモノマ
ーを含むゴム中にジアミンまたはジオールをブレンドす
ることが、通常好ましい。この順序を逆にして、ジアミ
ンモノマーまたはジオールモノマーをゴムに混入し、次
にジイソシアネートモノマーを加えることも可能であ
る。ジオールモノマーまたはジアミンモノマーを加える
と同時に、乾燥ゴムにジイソシアネートモノマーを加え
ることは典型的に好ましくない。
【0069】本発明の他の好ましい実施態様では、ポリ
ジイソシアネートを乾燥ゴムの第1部分に分散させる。
ジオールモノマーまたはジアミンモノマーをゴムの第2
部分にブレンドする。次に両部分をブレンドして、ジイ
ソシアネート含有ゴム部分とジオールまたはジアミンモ
ノマー含有部分とを混合することができる。この方法も
乾燥ゴムのマトリックス中にポリウレタンまたはポリ尿
素が高度に分散したブレンドを製造する。
【0070】ポリ尿素またはポリウレタンはゴムマトリ
ックス中またはポリマーセンメト中で広い温度範囲にわ
たって合成することができる。便利さのために、このよ
うな溶液重合は典型的に室温(約20℃〜約30℃)に
おいて実施される。乾燥ゴムマトリックス内でポリ尿素
またはポリウレタンを製造する場合に、重合を実施する
温度は典型的に約60℃〜約200℃の範囲内である。
このような重合を約100℃〜約160℃の範囲内の温
度で実施することが好ましく、重合を約120℃〜約1
40℃の範囲内の温度で実施することが最も好ましい。
【0071】ポリ尿素またはポリウレタンを乾燥ゴムの
マトリックス内で合成する場合には、ゴムおよびモノマ
ーを機械的にせん断力にさらしながら重合を実施する。
乾燥ゴムを通してモノマーを均一に分散させるために充
分に高いせん断力を与えることのできる押出機またはミ
キサー中で、典型的に重合は実施される。バンバリーミ
キサー(Banbury mixer)およびブラベン
ダーミキサー(Brabender mixer)がこ
の方法への使用に非常に適している。
【0072】本発明を下記の実施例によって説明する
が、これらの実施例は説明のためにのみ挙げるのであ
り、本発明の範囲または本発明の実施方法を限定するも
のと見なすべきではない。他に特に指示しないかぎり、
部および%は重量によるものである。
【実施例】
【0073】
【実施例1】この実験では、ポリブタジエン中ポリ尿素
の高分散性ブレンドを溶液重合によって製造した。用い
た方法では、ヘキサン中ポリブタジエン10%溶液30
gを窒素雰囲気下約40℃において1,6−ヘキサンジ
アミン0.39gと充分に混合した。次にイソホロンジ
イソシアネート0.75gをポリブタジエン/1,6−
ヘキサンジアミン溶液に溶液を迅速に撹拌しながら加え
た。これによって、ポリ尿素が形成されるにつれて溶液
は迅速に不透明に変化した。しかし、生成した溶液は一
晩放置後にも分離しなかった。
【0074】混合物を非粘着性トレーに注入し、ヘキサ
ン溶剤を蒸発させた。残留ヘキサン溶剤は真空炉中で除
去した。乾燥ゴムをミル処理し、プレスアウトレインス
トロン装置での引張り試験用にシートから引張り試験バ
ーをカットした。ポリ尿素改質ポリブタジエンは非改質
ポリブタジエンに比べて非常に改良された引張り特性を
示した。
【0075】
【実施例2】ポリイソプレン溶液(ヘキサン中固体分約
19%)220g、ヘキサン220gおよびヘキサンジ
アミン6gを共に混合した。ヘキサンジアミンが溶解し
た時に、イソホロンジイソシアネート12gを迅速に撹
拌しながら溶液に滴加した。次に、生成したエラストマ
ーを55℃にセットした真空炉中で乾燥した。エラスト
マーを200〜230°Fにおいてプレスアウトし、引
張り特性を試験した。〔表1〕のデータはポリ尿素/ポ
リイソプレン(30/70)ブレンドが50%伸びと1
00%伸びの両方ならびに破断点伸びにおいて高い引張
り値を有する事を示す。ある場合には、引張り特性値は
2〜3倍の大きさであった。破断点伸びの平均値と最良
値の両方は比改質ポリイソプレン対照よりも非常に高か
った。これはポリ尿素成分の強い水素結合効果によると
考えられる。
【0076】 ポリイソプレン対照は平均破断点伸び291%を有し、
ポリ尿素/ポリイソプレンブレンドは平均破断点伸び5
15%を有した。試験したポリイソプレンサンプルの最
大破断点伸びは515%であった。最大破断点伸びを有
するポリ尿素/ポリイソプレンブレンドは700%と測
定された。
【0078】
【実施例3】この実験では、実施例1で述べた方法によ
って製造したポリ尿素/ポリイソプレンの高分散性ブレ
ンドを硬化し、硬化ブレンドの機械的特性をインスロン
で測定した。用いた方法では、ポリ尿素/ポリイソプレ
ンブレンドに、カーボンブラック45phr、油9ph
r、N−フェニル−N1 −(1,3−ジメチルブチル)
−9−フェニレンジアミン2phr、ワックス1ph
r、ステアリン酸3phr、酸化亜鉛3phr、N−オ
キシジエチレンベンゾチアゾール−2−スルフェンアミ
ド0.8phr、グアニジン0.4phrおよび不溶性
硫黄1.6phrを配合した。次に、ゴム組成物を30
0°F(149℃)において25分間硬化した。製造し
た硬化ゴムサンプルの50%モジュラス、100%モジ
ュラス、引張強さおよび伸びを〔表2〕に報告する。
【0079】
【0080】
【実施例4】この実験では、ポリ尿素の高分散性ブレン
ドを乾燥ポリイソプレン中に製造した。用いた方法で
は、120℃で操作するベーダーミキサー中でポリイソ
プレン175gを1,6−ヘキサンジアミン25gと3
分間混合した。次に、このブレンド用混合物をイソフロ
ンジイソシアネート50gを5分間にわたって滴加し
た。配合温度は約160℃〜約170℃の範囲内に維持
した。
【0081】生成したゴム状物質を約0.125インチ
(3.2mm) シートにプレスアウト、それから引張り
試験バーを試験のためにカットした。対照サンプルは4
3psi(2.96×105 パスカル)の破壊強さと1
66%の破断点伸びを示した。ポリ尿素改質ポリブタジ
エンブレンドは114psi(7.86×105 パスカ
ル)の破壊引張り強さと357%の破断点伸びを有し
た。この実施例は乾燥ゴムマトリックス内にポリ尿素を
製造することによって本発明の利点が実証されることを
示す。
【0082】
【実施例5】実施例3に述べた一般的方法を用いた反応
器配合によって、ポリ尿素/ポリイソプレンの高分散性
ブレンドを製造した。この実験では、ポリ尿素/ポリイ
ソプレン10phr、20phrおよび30phrを含
むブレンドを製造した。製造したこのグリーンゴムブレ
ンド(green rubber blend)を次に
実施例2に述べた方法を用いて硬化した。硬化ゴムブレ
ンドの引張りを〔表3〕に報告する。
【0083】
【0084】
【実施例6】この実験では、芳香族ポリ尿素を用いてポ
リイソプレンを改質した。実施例3に述べた一般的方法
を用いて、改質液体ジフェニルメタン4,41 −ジイソ
シアネートを1,6−ヘキサンジアミンと反応させるこ
とによって芳香族ポリ尿素を乾燥ポリイソプレン中に混
入した。製造した芳香族ポリ尿素は最終ポリ尿素/ゴム
ブレンドの引張りモジュラスの改良に硬化的であるよう
に見えた。等しい改質レベルにおいて、芳香族ポリ尿素
は脂肪族ポリ尿素に比べて殆んど2倍に有効であった。
このことは芳香族構造がより剛性であることに起因する
と考えられる。製造した硬化ブレンドの物理的性質を
〔表4〕に報告する。
【0085】 本発明を説明するための一定の実施態様と詳細を示した
が、本発明の範囲から逸脱することなく種々な変化およ
び変更がなせれることは当業者に明らかであると考えら
れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (73)特許権者 590002976 1144 East Market Str eet,Akron,Ohio 44316 −0001,U.S.A. (72)発明者 ダグラス・デーヴィッド・カランダー アメリカ合衆国オハイオ州44313,アク ロン・サン・モリッツ・ドライブ 590 (72)発明者 ウェン−リャン・ス アメリカ合衆国オハイオ州44321,コプ レイ,コニストーガ・トレイル 4482 (72)発明者 アデル・ファーハン・ハラサ アメリカ合衆国オハイオ州44210,バス, イヴレット・ロード 5040 (72)発明者 ドナルド・ジェームズ・バーレット アメリカ合衆国オハイオ州44281,ワド ワース,レイマー・ロード 2309 (72)発明者 メリス・マイケル・ケレー アメリカ合衆国オハイオ州44314,アク ロン,ジェイソン・アベニュー 972 (56)参考文献 特開 昭57−212221(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 7/00 - 21/02 C08G 18/08 C08L 75/04

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の: (1)ゴムエラストマーのポリマーセメント中で、室温に
    おいて、少なくとも1種類のジイソシアネートをジオー
    ルと重合させてポリウレタンが分散されているゴムエラ
    ストマーセメントを形成し;そして (2) 形成されたゴムセメントから高モジュラスゴム組成
    物を回収する工程を含んで成る高モジュラスゴム組成物
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 少なくとも1種の乾燥ゴムと少なくとも
    1種類のジイソシアネートおよびジオールとを混合し、
    次いで該ジイソシアネートを該ジオールと、60〜20
    0℃の範囲内の温度において、せん断力下で重合させて
    高モジュラスゴム組成物を生成させる工程を含んで成
    る、高モジュラスゴム組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】 ゴムエラストマーがポリブタジエンであ
    る、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 ゴムエラストマーがポリイソプレンであ
    る、請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 ゴムエラストマーがスチレン−ブタジエ
    ンゴムである、請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 ゴムエラストマーがスチレン−イソプレ
    ン−ブタジエンゴムである、請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の方法によって製造され
    た高モジュラスゴム組成物。
  8. 【請求項8】 ポリウレタンを5〜40phr含む、請
    求項7に記載の高モジュラスゴム組成物。
  9. 【請求項9】 ジオールを乾燥ゴムに混入し、その後に
    ジイソシアネートを添加する、請求項2に記載の方法。
  10. 【請求項10】 ジイソシアネートを乾燥ゴムに混入
    し、その後にジオールを添加する、請求項2に記載の方
    法。
  11. 【請求項11】 ジイソシアネートをゴムの第1部分に
    混入し、ジオールをゴムの第2部分に混入し、そしてジ
    イソシアネートを含有するゴムの第1部分を、ジオール
    を含有するゴムの第2部分と混合する、請求項2に記載
    の方法。
  12. 【請求項12】 請求項2に記載の方法によって製造さ
    れた高モジュラスゴム組成物。
  13. 【請求項13】 乾燥ゴムがポリイソプレンである請求
    項2に記載の方法。
  14. 【請求項14】 乾燥ゴムがポリブタジエンである請求
    項2に記載の方法。
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