JP2004344347A - ゴルフボール - Google Patents

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ケネス・フロイド・キャストナー
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マイケル・ジョセフ・ラチータ
Michael Paul Mallamaci
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Abstract

【課題】中実のゴルフボールコア内に利用するために優秀な特性を有するシス−1,4−ポリブタジエンを提供する。
【解決手段】本発明は、もし重合を構造式ROOH(式中、Rは2〜約30の炭素原子を含むアルキル基を示す)のカルボン酸を利用して停止させると、中実のゴルフボールコア内に利用するために優秀な特性を有するシス−1,4−ポリブタジエンが有機金属触媒系を利用することによって合成できるという予期できない発見に基づく。本発明はさらに詳細には、中実のコア及び樹脂のカバーを含むゴルフボールを開示し、中実のコアはシス−1,4−ポリブタジエンゴムを含み、該ポリブタジエンゴムは有機金属触媒系の存在下に1,3−ブタジエンを重合することによって製造され、重合は上述のカルボン酸で停止させる。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はゴルフボールに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
米国特許第4929678号は、(a)少なくとも40重量%の、50〜70のムーニーML 1+4粘度及び少なくとも80%のシス1,4−結合含量を有するポリブタジエンゴムを少なくとも40重量%含むゴム成分、(b)補助架橋剤、及び(c)ペルオキシドを含む、優秀な耐久性と弾性反発性を有する中実のゴルフボールのためのゴム組成物を開示する。ゴルフボールを製造する際に利用されるポリブタジエンゴムは、種々の有機金属触媒系を利用して合成できる。例えば、使用できる有機金属触媒系のいくつかの代表的な例は、トリアルキルアルミニウム−ニッケルカルボキシレート−3フッ化ホウ素エーテレート(etherate)系、トリアルキルアルミニウム−有機ニッケル化合物−フッ化水素系、アルキルアルミニウムハロゲン化物−コバルトカルボキシレート系、アルキルアルミニウム−チタン塩系、アルキルアルミニウム−チタン塩−ヨウ素錯化合物、アルキルリチウム化合物、アルキルリチウム−アミン錯化合物、ハロゲン化ネオジム−アルキルアルミニウム系、ネオジムカルボキシレート−アルキルアルミニウム−アルキルアルミニウムハロゲン化物系、及び有機ネオジム化合物−アルキルアルミニウムハロゲン化物系を包含する。
【0003】
希土類触媒系はシス−1,4−ポリブタジエンを合成する際に使用できる。例えば、1,3−ブタジエンモノマーは、(1)有機アルミニウム化合物、(2)ネオジム、プラセオジム、セリウム、及びガドリニウムより成る群から選択されるランタニドのような、周期系のIII−B族からの金属を含む有機金属化合物、及び(3)少なくとも1つの不安定なハロゲン化物イオンを含む少なくとも1種の化合物を含む触媒系で重合できる。
【0004】
米国特許第4663405号は、希土類金属触媒系で触媒した重合における、分子量調節剤としてのハロゲン化ビニルの使用に基づいている。米国特許第4663405号はさらに詳細には、共役ジオレフィンモノマーをポリマーへ重合するための方法を開示し、該方法は(1)有機アルミニウム化合物、(2)ネオジム、プラセオジム、セリウム、及びガドリニウムより成る群から選択されるランタノイドのような、周期系のIII−B族からの金属を含む有機金属化合物、及び(3)少なくとも1つの不安定なハロゲン化物イオンを含む少なくとも1種の化合物を含む触媒系を利用して、共役ジオレフィンモノマーをポリマーへ重合するための方法であって、製造されたポリマーの分子量がビニルハロゲン化物、例えば臭化ビニル、塩化ビニル、及びヨウ化ビニルの存在下に重合を実施することによって減じられる、前記の方法を開示する。
【0005】
チーグラー・ナッタ触媒系が通常、共役ジオレフィンモノマー、例えば1,3−ブタジエンをゴム状ポリマーに重合する際に、使用される。ニッケル系の触媒系が通常、1,3−ブタジエンモノマーをシス−1,4−ポリブタジエンゴムへ重合する際に使用される。そのようなニッケル系触媒系は(a)有機ニッケル化合物、(b)有機アルミニウム化合物及び(c)フッ素含有化合物を含む。そのようなニッケル系触媒系及びシス−1,4−ポリブタジエンの合成におけるそれらの使用は、米国特許第3856764号、米国特許第3,910,869号、及び米国特許第3962375号に詳細に記述されている。
【0006】
種々の化合物は、ニッケル系触媒系と組み合わせて使用されるとき、分子量減少剤として働くことが見いだされている。例えば、米国特許第4383097号は、アルファオレフィン、例えばエチレン及びプロピレンが、そのような3成分系ニッケル触媒系と組み合わせて利用されるときに、分子量減少剤として働くことを開示する。米国特許第5698643号は、1−ブテン、イソブチレン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン及びアレンが、そのようなニッケル系触媒系と組み合わせて使用したときに分子量調節剤として働くことを示す。米国特許第4383097号は、ある種の非共役ジオレフィン、例えば1,4−ペンタジエン、1,6−ヘプタジエン及び1,5−ヘキサジエンが、そのような触媒系と組み合わせて使用されたときに分子量減少剤として働くことを開示する。米国特許第5100982号は、分子量が減じられ広い分子量分布を有するシス−1,4−ポリブタジエンが、ハロゲン化フェノール、例えばパラ−クロロフェノールの存在下にある種のニッケル系触媒系で合成できることを示す。
【0007】
米国特許第5451646号は、パラ−スチレン化ジフェニルアミンが(a)有機ニッケル化合物、(b)有機アルミニウム化合物及び(c)フッ素含有化合物を含むニッケル系触媒系と組み合わせて使用するときに、分子量減少剤として働くことを開示する。米国特許第5451646号の教示はまた、そのようなニッケル系触媒系を利用した、それらの存在下に調製したシス−1,4−ポリブタジエンゴムの加工性を改善するために働くことを示す。パラ−スチレン化ジフェニルアミンは、冷フロー特性を犠牲にすることなく、ゴムの分子量を減じるためにそのようなニッケル系触媒系と組み合わせて使用できる。製造されたゴム内に残るパラ−スチレン化ジフェニルアミンはまた、それに抗酸化保護を与えるように働く。換言すれば、パラ−スチレン化ジフェニルアミンは2つの大きな目的を有している。それは分子量調節剤として働き、そして抗分解剤として働く。
【0008】
米国特許第5451646号は、(a)有機ニッケル化合物、(b)有機アルミニウム化合物、(c)フッ素含有化合物、及び(d)パラ−スチレン化ジフェニルアミンの存在下に1,3−ブタジエンを重合することを含む、原子量が減じられておりそして改善された加工性を有するシス−1,4−ポリブタジエンを製造する方法であって、有機アルミニウム化合物及びフッ素含有化合物がパラ−スチレン化ジフェニルアミンの存在下に一緒にされる、前記の方法を詳細に開示する。
【0009】
望まれる程度のモノマー転化が、有機金属触媒系を使用して実施される重合において達成された後に、停止剤は、重合を停止するために添加される。ロジンの酸が通常、そのような重合のための停止剤として使用される。商業的な体制で使用されるロジンの酸は、主としてアビエチン酸を含み、これは約10%の混合物ジヒドロアビエチン酸及びデヒドロアビエチン酸を含む。アビエチン酸は構造式
【0010】
【化1】
Figure 2004344347
【0011】
のものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、もし重合を構造式ROOH(式中、Rは2〜約30の炭素原子を含むアルキル基を示す)のカルボン酸を利用して停止させると、中実のゴルフボールコア内に利用するために優秀な特性を有するシス−1,4−ポリブタジエンが有機金属触媒系を利用して合成できるという予期できない発見に基づく。
【0013】
本発明はさらに詳細には、中実のコア及び樹脂のカバーを含むゴルフボールを開示し、中実のコアはシス−1,4−ポリブタジエンゴムを含み、該ポリブタジエンゴムは有機金属触媒系の存在下に1,3−ブタジエンを重合することによって製造され、重合は構造式ROOH(式中、Rは2〜約30の炭素原子を含むアルキル基を示す)のカルボン酸で停止させる。
【0014】
本発明はさらに、優秀な耐久性及び弾性反発を有する中実のゴルフボールのためのゴム組成物を開示し、該組成物は(a)シス−1,4−ポリブタジエンゴムを含み、シス−1,4−ポリブタジエンゴムは30〜90のムーニー 1+4粘度を有し、シス−1,4−ポリブタジエンゴムが少なくとも95%のシス−1,4−結合含量を有し、シス−1,4−ポリブタジエンゴムは有機金属触媒系の存在下に1,3−ブタジエンを重合することによって製造され、重合は構造式ROOH(式中、Rは2〜約30の炭素原子を含むアルキル基を示す)のカルボン酸の添加によって停止させる。
【0015】
本発明のゴルフボールにおいて使用されるシス−1,4−ポリブタジエンゴムは、標準的な有機金属触媒系を利用して1,3−ブタジエンモノマーを重合することによって合成される。しかし、望まれるモノマー転化率が達成された後、重合は、構造式ROOH(式中、Rは2〜約30の炭素原子を含むアルキル基を示す)のカルボン酸の添加によって停止させる。
【0016】
シス−1,4−ポリブタジエンゴムは、溶液重合、塊状重合、又は蒸気相重合技術を利用して合成できる。そのような重合は、連続を基調とした方法、又はバッチ法として実施できる。しかし、シス−1,4−ポリブタジエンは典型的に、1種又はそれより多い芳香族、パラフィン系又はシクロパラフィン系化合物であることができる炭化水素溶媒内での溶液重合によって合成される。これらの溶媒は通常、分子あたり4〜約10の炭素原子を含み、そして重合の条件下で液体である。適切な有機溶媒のいくつかの代表的な例はイソオクタン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等を単独で、又は混合物で包含する。
【0017】
シス−1,4−ポリブタジエンの合成において使用する溶液重合において通常、重合媒質中に約5〜約35重量%のモノマーがある。もちろん、そのような重合媒質は、有機溶媒及び1,3−ブタジエンモノマーを含む。重合が進むにつれ、モノマーがポリマーに転化され、そして重合媒質は約5〜約35重量%の未反応のモノマー及びポリマーを含む。ほとんどの場合、媒質から約10〜約30重量%のモノマー及びポリマーを含むのが好ましい。重合媒質が20〜25重量%のモノマーとポリマーを含むことが一般にさらに好ましい。
【0018】
使用できる触媒系は、チーグラー・ナッタ系、希土類系、及びIa族金属、例えばリチウム、カリウム、ルビジウム、又はセシウムに基づくアニオン開始剤を包含する。使用できるいくつかの具体的な有機金属触媒系のいくつかの代表的な例は、トリアルキルアルミニウム−ニッケルカルボキシレート−3フッ化ホウ素エーテラート系、トリアルキルアルミニウム−有機ニッケル化合物−フッ化水素系、アルキルアルミニウムハロゲン化物−コバルトカルボキシレート系、アルキルアルミニウム−チタン塩系、アルキルアルミニウム−チタン塩−ヨウ素錯化合物、アルキルリチウム化合物、アルキルリチウム−アミン錯化合物、ハロゲン化ネオジム−アルキルアルミニウム系、ネオジムカルボキシレート−アルキルアルミニウム−アルキルアルミニウムハロゲン化物系、及び有機ネオジム化合物−アルキルアルミニウムハロゲン化物系を包含する。
【0019】
本発明の実施において、ニッケル触媒系及び希土類触媒系は高度に有用である。シス−1,4−ポリブタジエンを合成する際に使用することができる希土類触媒系は、周期系のIII−B族からの金属を利用する。例えば、1,3−ブタジエンモノマーは、(1)有機アルミニウム化合物、(2)周期系の第III−B族からの金属(例えば、ネオジム、プラセオジム、セリウム、及びガドリニウム)を含む有機金属化合物、(3)少なくとも1つの不安定なハロゲン化物イオンを含む少なくとも1種の化合物を含む触媒系を使用して重合できる。米国特許第4663405号はそのような希土類触媒系を記述し、そして米国特許第4663405号の教示は、ここにその全体において参照によってここに組み込まれる。
【0020】
本発明の実施において有用なニッケル触媒系は、(a)有機ニッケル化合物、(b)有機アルミニウム化合物、(c)フッ素含有化合物を含む。そのようなニッケル系の触媒系は米国特許第5451646号に記述され、米国特許第5451646号の教示はその全体において参照によってここに組み込まれる。
【0021】
希土類及びニッケル触媒系において利用できる有機アルミニウム化合物は構造式
【0022】
【化2】
Figure 2004344347
【0023】
[式中、Rは、アルキル基(シクロアルキル基を含む)、アリール基、アルカリール(アルキルアリール)基、アリールアルキル基、アルコキシ基、水素及びフッ素より成る群から選択され,R及びRはアルキル基(シクロアルキルを含む)、アリール基、アルカリール基及びアリールアルキル基より成る群から選択される]のものである。R、R及びRが1〜約10の炭素原子を含むアルキル基を示すことが好ましい。R、R及びRが2〜5の炭素原子を含むアルキル基を示すことが好ましい。
【0024】
利用できる有機アルミニウム化合物のいくつかの代表的な例は、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ−n−プロピルアルミニウム、水素化ジ−n−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジフェニルアルミニウム、水素化ジ−p−トリルアルミニウム、水素化ジベンジルアルミニウム、水素化フェニルエチルアルミニウム、水素化フェニル−n−プロピルアルミニウム、水素化−p−トリルエチルアルミニウム、水素化−p−トリル−n−プロピルアルミニウム、水素化ジ−p−トリルイソプロピルアルミニウム、水素化エチルアルミニウム、水素化ベンジルn−プロピルアルミニウム、及び水素化ベンジルイソプロピルアルミニウム、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムエトキシド、ジプロピルアルミニウムメトキシド、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ−p−トリルアルミニウム、トリベンジルアルミニウム、エチルジフェニルアルミニウム、エチルジ−p−トリルアルミニウム、エチルジベンジルアルミニウム、ジエチルフェニルアルミニウム、ジエチルp−トリルアルミニウム、ジエチルベンジルアルミニウム及び他のトリ有機アルミニウム化合物である。好ましい有機アルミニウム化合物は、トリエチルアルミニウム(TEAL)、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)、トリヘキシルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBA−H)及びジエチルアルミニウムフッ化物を包含する。
【0025】
希土類触媒系の有機金属化合物として有用なIII−B族金属は、スカンジウム、イットリウム、ランタニド類、及びアクチニド類を包含する。ランタニド類はランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム及びルテチウムを包含する。アクチニド類はアクチニウム,トリウム,プロトアクチニウム、ウラン、ネプツニウム、プルトニウム、アメリシウム、キュリウム、バークリウム、カリホルニウム、アインスタイニウム、フェルミウム、メンデレビウム、及びローレンシウムを包含する。好ましいアクチニドはツリウム及びウランである。好ましいIII−B族金属はセリウム、プラセオジム、ネオジム、及びガドリニウムである。最も好ましいランタニド金属はネオジムである。
【0026】
利用する有機金属化合物において、有機部分は有機型のリガンド、又は基(1〜20の炭素原子を含む)を含む。これらのリガンドは1価及び2座又は2価及び2座のものであることができる。そのような有機リガンド又は基の代表例は、(1)o−ヒドロキシアルデヒド、例えばサリチルアルデヒド、2−ヒドロキシル−1−ナフトアルデヒド、2−ヒドロキシ−3−ナフトアルデヒド等;(2)o−ヒドロキシフェノン類、例えば2’−ヒドロキシアセトフェノン、2’−o−ヒドロキシブチロフェノン、2’−ヒドロキシプロピオフェノン等;(3)アミノフェノール類、例えばo−アミノフェノール、N−メチルo−アミノフェノール、N−エチルo−アミノフェノール等;(4)ヒドロキシエステル類、例えばサリチル酸エチル、サリチル酸プロピル、サリチル酸ブチル等;(5)フェノール化合物、例えば2−ヒドロキシキノリン、8−ヒドロキシキノリン等;(6)ベータ−ジケトン類、例えばアセチルアセトン、ベンジルアセトン、プロピオニルアセトン、イソブチリルアセトン、バレリル(valeryl)アセトン、エチルアセチルアセトン等;(7)モノカルボン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、吉草酸、ヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、ラウリン酸、ステアリン酸等;(8)オルト2水酸化フェノール類、例えばピロカテコール;(9)アルキレングリコール類、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングルコール等;(10)ジカルボン酸、例えば蓚酸、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、o−フタル酸等;(11)上述のジカルボン酸のアルキル化誘導体;(12)フェノールエーテル類、例えばo−ヒドロキシアニソール、o−ヒドロキシエチルフェノールエーテル等である。
【0027】
有用であり得る式MLに相当する第III−B族金属の代表的有機金属化合物は、セリウムアセチルアセトネート、セリウムナフテネート、セリウムネオデカノエート、セリウムオクタノエート、トリス−サリチルアルデヒド・セリウム、セリウム・トリス−(8−ヒドロキシキノレート)、ガドリニウムナフテネート、ガドリニウムネオデカノエート、ガドリニウムオクタノエート、ランタンナフテネート、ランタンオクタノエート、ネオジムナフテネート、ネオジムネオデカノエート、ネオジムオクタノエート、プラセオジムナフテネート、プラセオジムオクタノエート、イットリウムアセチルアセトネート、イットリウムオクタオネート、ジスプロシウムオクタノエート、塩化トリス(π−アリル)ウラニウム、臭化トリス(π−アリル)ウラニウム、ヨウ化トリス(π−アリル)ウラニウム、ウラニウムテトラメトキシド、ウラニウムテトラエトキシド、ウラニウムテトラブトキシド、ウラニウムオクタノエート、トリウムエトキシド、塩化トリス(π−アリル)トリウム、トリウムナフテネート、ウラニウムイソバレエート、そして1〜20の炭素原子を含むリガンドと錯化した他のIII−B金属を包含する。
【0028】
利用できるハロゲン化物イオンのいくつかの代表例は、臭化物イオン、塩化物イオン、フッ化物イオン、及びヨウ化物イオンを包含する。2種又はそれより多いこれらのイオンの組合せが利用できる。これらのハロゲン化物イオンは、(1)ハロゲン化水素、(2)アルキル、アリール、アルカリール、アルアルキル及びシクロアルキル金属ハロゲン化物(金属が周期表の第II族、III−A族及びIV−A族から選択される)、(3)周期表の第III、IV、V、VI−B及びVIII族の金属のハロゲン化物、及び(4)一般式ML(3−y)に相当する有機金属ハロゲン化物(Mは周期表のIII−B族の金属から選択される21、39及び57〜71の原子番号を有する金属であり、Lは1〜20の炭素原子を含み、(a)o−ヒドロキシアルデヒド類、(b)o−ヒドロキシフェノン類、(c)ヒドロキシキノリン類、(f)β−ジケトン類、(g)モノカルボン酸類、(h)オルトジヒドロキシフェノール類、(i)アルキレングリコール類、(j)ジカルボン酸、(k)ジカルボン酸のアルキル化誘導体、(l)フェノールエーテル類より成る群から選択され、Xはハロゲン化物イオンであり、yは1〜2の整数であり、そして金属Mに結合したハロゲン化物イオンの数を示す)として導入できる。有機リガンドLは、1価で2座、又は2価で2座であることができる。
【0029】
不安定なハロゲン化物イオンを含むそのような化合物の代表例は、(1)無機ハロゲン酸、例えば臭化水素、塩化水素及びヨウ化水素、(2)有機金属ハロゲン化物、例えば臭化エチルマグネシウム、臭化ブチルマグネシウム、臭化フェニルマグネシウム、塩化メチルマグネシウム、塩化ブチルマグネシウム、ヨウ化エチルマグネシウム、ヨウ化フェニルマグネシウム、臭化ジエチルアルミニウム、臭化ジイソブチルアルミニウム、メチルアルミニウムセスキ臭化物、塩化ジエチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、エチルアルミニウムセスキ塩化物、塩化ジイソブチルアルミニウム、二塩化イソブチルアルミニウム、塩化ジヘキシルアルミニウム、二塩化シクロヘキシルアルミニウム、二塩化フェニルアルミニウム、塩化ジドデシルアルミニウム、フッ化ジエチルアルミニウム、フッ化ジブチルアルミニウム、ヨウ化ジエチルアルミニウム、ヨウ化ジブチルアルミニウム、二ヨウ化フェニルアルミニウム、ヨウ化トリメチル錫、塩化トリエチル錫、二塩化ジブチル錫、三塩化ブチル錫、二塩化ジフェニル錫、ヨウ化トリブチル錫等;(3)無機ハロゲン化物、例えば臭化アルミニウム、塩化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、5塩化アンチモン、3塩化アンチモン、3ヨウ化ホウ素、3塩化ホウ素、塩化第2鉄、3塩化ガリウム、5塩化モリブデン、3臭化リン、5塩化リン、塩化第2錫、4塩化チタン、4ヨウ化チタン、6塩化タングステン等、及び(4)ハロゲン化有機金属(III−B族)、例えば、塩化t−ブチルサリチルアルデヒドハイドロセリウム(III)、塩化サリチルアルデヒドハイドロセリウム(III)、塩化5−シクロヘキシルサリチリアルデヒドハイドロセリウム(III)、塩化2−アセチルフェノラト(phenolato)セリウム(III)、塩化オキサラト(oxalato)セリウム(III)、臭化オキサラクトセリウム(III)等を包含する。不安定なハロゲン化物イオンを含む好ましい化合物は、無機ハロゲン化物酸、及び有機金属ハロゲン化物である。
【0030】
希土類金属触媒系は、「その場」技術を使用して製造でき、またはそれは「予備形成」できる。「その場」とは、触媒成分が重合すべきモノマーに別々に添加されることを意味する。「予備形成された」とは、触媒成分が、重合されるモノマーへ成分のいずれかが暴露される前に、互いに混合される様式を意味する。本発明において記述されるタイプの触媒系を使用するとき、モノマーの存在は活性触媒種の形成にとって本質的ではなく、「予備形成された」触媒の使用を容易にすることも知られている。また、新たに「予備形成された」触媒はしばしば、使用前に老化させられたた触媒よりも活性が低いことも既知である。大きく改善された「予備形成された」触媒は、少量の共役ジオレフィンの存在下で「予備形成」を実施することによって製造できる。モノマーの存在下で予備形成することは、均質な(可溶性の)触媒系を生じ、一方モノマーの非存在下に混合することによって製造されたものはしばしば不均一(不溶性)である。そのような、そのような「予備形成」技術は、米国特許第3794604号に詳細に記述されており、参照によってここに組み込まれる。
【0031】
希土類触媒組成物の成分の比率は広く変化できる。ハロゲン含有化合物のハロゲン化物イオンは臭化物、塩化物、又はヨウ化物イオンであり、ハロゲン化物イオンの第III−B族金属に対する元素比は、約0.1/1〜約6/1で変化できる。さらに好ましい比は約0.5/1〜約3.5/1であり、そして最も好ましい比は約2/1である。しかし、ハロゲン含有化合物のハロゲン化物イオンがフッ化物イオンであるときは、フッ化物イオンの第III−B族金属イオンに対する比は、約20/1〜約80/1の範囲内であり、そして最も好ましい比は約30/1〜約60/1である。トリアルキルアルミニウム又は水素化アルキルアルミニウムの第III−B族金属に対するモル比は、約4/1〜約200/1の範囲であることができ、最も好ましい比は約8/1〜約100/1である。1,3−ブタジエンモノマーの第III−B族金属に対するモル比は約0.2/1〜3000/1の範囲であることができ、最も好ましい範囲は約5/1〜約500/1である。
【0032】
減少系に装填される触媒の量は、広い範囲にわたって変化できる、唯一の要件は触媒組成物の触媒的量(1,3−ブタジエンモノマーの重合を生じるために十分)が反応系に存在することである。灰分の問題を最小化するために、低濃度の触媒が望ましい。第III−B金属の触媒量が100gのモノマーにつき0.05〜1.0ミリモルの第III−B族金属で変化するときに重合が起こることが見いだされている。好ましい比は100gのモノマーにつき0.1〜0.3ミリモルのIII−B族金属である。
【0033】
可溶性の有機ニッケル化合物のいずれもが、1,3−ブタジエンモノマーをシス−1,4−ポリブタジエンに重合するために使用できるニッケル触媒系において使用でき。これらの可溶性ニッケル化合物は通常、20以下の炭素原子を含む1座又は2座の有機リガンドを有するニッケル化合物である。リガンドは、金属原子又はイオンに結合又は結合していると考えられるイオン又は分子である。一座とは、金属と共有結合又は配位結合が形成され得る1つの位置を有することを意味する。二座とは、金属と共有結合又は配位結合が形成され得る2つの位置を有することを意味する。用語「可溶性」とは、ブタジエンモノマー及び不活性溶媒内への可溶性を意味する。
【0034】
一般に、ニッケル塩又はニッケル含有有機酸(約1〜20の炭素原子を含む)は、可溶性のニッケル含有化合物として使用され得る。可溶性ニッケル含有化合物のいくつかの代表例は、安息香酸ニッケル、酢酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル、オクタン酸ニッケル、ネオデカン酸ニッケル、ビス(α−フリル(furyl)ジオキシム)ニッケル、パルミチン酸ニッケル、ステアリン酸ニッケル、ニッケルアセチルアセトネート、ニッケルサリクアルデヒド(salicaldehyde)、ビス(シクロペンタジエン)ニッケル、ビス(サリチルアルデヒド)エチレンジイミンニッケル、シクロペンタジエニル−ニッケルニトロシル、ビス(π−アリルニッケル)、ビス(πシクロオクタ−1,5−ジエン)、ビス(π−アリルニッケルトリフルオロアセテート)及びニッケルテトラカルボニルを包含する。好ましいニッケル含有成分はカルボン酸のニッケル塩又はニッケルの有機錯化合物である。ナフテン酸ニッケル、オクタン酸ニッケル、ネオデカン酸ニッケルは、好ましいニッケル含有化合物である。2−エチルヘキサン酸ニッケル(通常オクタン酸ニッケル(NiOct)と呼ばれる)は、可溶性のニッケル含有化合物であり、これは経済的な因子からもっとも普通に使用される。
【0035】
ニッケル触媒系において使用されるフッ素含有化合物は一般にフッ化水素又はトリフッ化ホウ素である。もしフッ化水素が使用されると、それはガス状又は液体状態である。フッ化水素が使用される場合には、もちろんそれは無水であり、そしてできる限る純粋であるべきである。フッ化水素は、不活性溶媒内に溶解でき、それによって取り扱うことができ、液体状態として反応帯域内に装填できる。所望により、ブタジエンモノマーが溶媒として使用できる。不活性溶媒は、アルキル−、アルカリール−、アリールアルキル−及びアリール炭化水素を包含する。例えば、ベンゼン及びトルエンは便利な溶媒である。
【0036】
3フッ化ホウ素が、ニッケル触媒の成分として使用される場合は、それはガス状態であることができる。それはまた無水で可能な限り純粋であるべきである。フッ化水素錯化合物及び又は2フッ化ホウ素錯化合物も触媒系内にフッ素含有化合物として使用できる。フッ化水素錯化合物及びフッ化ホウ素錯化合物は、フッ化水素又は3フッ化ホウ素に電子を供与できるか、又は電子を共有できる原子又は基を含む化合物を使用して容易に製造できる。そのような結合できる化合物は、エーテル類、アルコール類、ケトン類、エステル類、ニトリル類、アミン類及び水である。ケトンの下位分類は式
【0037】
【化3】
Figure 2004344347
【0038】
(R’及びRは1〜約30の炭素原子を含むアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルカリール基及びアリールアリキル基より成る群から選択され、R’及びRは同じでも異なっていても良い)によって定義できる。これらのケトン類は、酸素に二重結合によって結合した炭素原子を有する等級の化合物を示す。本発明のケトン−フッ化水素錯化合物又は3フッ化ホウ素錯化合物の製造に有用なケトンのいくつかの代表例は、ジメチルケトン、メチエチルケトン、ジブチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルオクチルケトン、2,4−ペンタンジオン、ブチルシクロヘプタノン、アセトフェノン、アミルフェニルケトン、ブチルフェニルケトン、ベンゾフェノン、フェニルトリルケトン、キノン等を包含する。本発明のケトン−フッ化水素化合物及びケトン−3フッ化ホウ素化合物を形成するために使用できる好ましいケトンは、ジアルキルケトンであり、このうちアセトンが最も好ましい。
【0039】
ニトリルの下位分類は式RCN(Rは約30以下の炭素原子を含むアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルカリール基又はアルアルキル基を示す)によって示すことができる。ニトリルは窒素原子に三重結合によって結合された炭素原子を含む。代表的であるが網羅的でないニトリルの下位分類は、アセトニトリル、ブチロニトリル、アクリロニトリル、ベンゾニトリル、トルニトリル、フェニルアセトニトリル等である。好ましいフッ化水素−ニトリル錯化合物又は三フッ化ホウ素ニトリル錯化合物は、フッ化水素ベンゾニトリル錯化合物又は3フッ化ホウ素ベンゾニトリル錯化合物である。
【0040】
アルコールの下位分類は、式ROH(Rは約1〜30の炭素原子を含む、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルカリール基又はアリールアルキル基を示す)によって定義できる。これらのアルコールは、酸素に単結合によって結合した炭素原子(これは次に単結合によって水素に結合する)を有するクラスの化合物を示す。フッ化水素錯化合物及びトリフッ化ホウ素錯化合物の製造に有用なアルコールの代表例(網羅的でない)は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、フェノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、ブタノール、ヘキサノール、及びペンタノールである。好ましいフッ化水素−アルコール錯化合物又は3フッ化ホウ素錯化合物は、フッ化水素フェノレート錯化合物又は3フッ化ホウ素フェノーレート錯化合物である。
【0041】
エーテルの下位分類は、式R’OR(R及びR’は、約1〜30の炭素原子を含む、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルカリール基及びアリールアルキル基を示し、R及びR’は同じでも異なっていてもよい)によって示される。Rは共通の炭素原子を通じて結合して環状エーテルを形成していてもよく、エーテル酸素が環状構造(例えば、テトラヒドロフラン、フラン又はジオキサン)の必須の部分である。これらのエーテルは、単結合によって酸素原子に結合した2つの炭素原子を有する分類の化合物を示す。本発明のフッ化水素錯化合物又は3フッ化ホウ素錯化合物の製造において有用なエーテルの代表的(網羅的ではない)な例は、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソール、ジフェニルエーテル、エチルメチルエーテル、ジベンジルエーテル等である。好ましいフッ化水素−エーテル錯化合物又は3フッ化ホウ素−エーテル錯化合物は、フッ化水素ジエチルエーテレート、フッ化水素ジブチルエーテレート、3フッ化ホウ素ジエチルエーテレート、及び/又は3フッ化ホウ素ジブチルエーテレート錯化合物である。
【0042】
エーテルの下位分類は、式
【0043】
【化4】
Figure 2004344347
【0044】
(R及びR’は、約1〜20の炭素原子を含む、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルカリール基及びアリールアルキル基を示す)によって定義できる。エステルは、示したように二重結合によって酸素原子に結合した炭素原子を含む。そのようなエステルの代表的であるが網羅的ではない例は、安息香酸エチル、安息香酸アミル、酢酸フェニル、安息香酸フェニル、及び上の式に適合する他のエステルである。好ましいフッ化水素−エステル錯化合物はフッ化水素・安息香酸エチル錯化合物である。好ましい3フッ化ホウ素−エステル錯化合物は3フッ化ホウ素−安息香酸エチル錯化合物である。
【0045】
そのような錯化合物は通常、適切な量の錯化剤、例えばケトン、エーテル、エステル、アルコール又はニトリル内に3フッ化ホウ素又はフッ化水素を単に泡立たせることによって製造できる。このことは水分の非存在下に実施しなければならず、そして約100°F(37.7℃)より上に温度が上がらないように手段がとられるべきである。ほとんどの場合、室温に温度が維持されて3フッ化ホウ素及びフッ化ホウ素錯化合物が製造される。他の可能な方法は、適切な溶媒中にフッ化水素又は錯化剤を溶解することであろう。他の混合法は、錯化剤を溶媒内に溶解し、そしてガス状フッ化水素又は3フッ化ホウ素を系全体に、全ての錯化剤がフッ化水素又は3フッ化ホウ素と反応するまで単に泡立たせることである。濃度は、重量の増加又は化学的滴定によって決定できる。
【0046】
利用される3成分ニッケル触媒系は予備形成できる。もしニッケル触媒系が予備形成されると、それは長時間にわたり、高い活性レベルを維持する。そのような予備形成されたニッケル触媒系の利用はまた、均一なポリマー生成物の形成を生じる。モノオレフィン、非共役ジオレフィン、共役ジオレフィン、環状非共役マルチオレフィン、アセチレン系炭化水素、トリオレフィン、ビニルエーテル類、及び芳香族ニトリルより成る群から選択される1又はそれより多い予備形成剤の存在下に、そのような予備形成されたニッケル触媒系が製造される。
【0047】
安定化された触媒の製造に際して予備形成剤として使用できるオレフィンのいくつかの代表例はトランス−2−ブテン、混合シス及びトランス−2−ペンテン、及びシス−2−ペンテンである。予備形成剤として使用できるいくつかの非共役ジオレフィンはシス−1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン等である。使用できる環状非共役マルチオレフィンの代表例は、1,5−シクロオクタジエン、1,5,9−シクロドデカトリエン及び4−ビニルシクロヘキセン−1を包含する。予備形成剤として使用できるアセチレン系炭化水素のいくつかの代表例は、メチルアセチレン、エチルアセチレン、2−ブチン、1−ペンチン、2−ペンチン、1−オクチン、及びフェニルアセチレンである。予備形成剤として使用できるトリオレフィンは、1,3,5−ヘキサトリエン、1,3,5−ヘプタトリエン、1,3,6−オクタトリエン、5−メチル−1,3,6−ヘプタトリエン、等である。使用できる置換共役ジオレフィンのいくつかの代表例は、1,4−ジフェニルブタジエン、ミルセン(myrcene)(7ーメチル−3−メチレン−1,6−オクタジエン)等を包含する。エチルビニルエーテル及びイソブチルビニルエーテルが予備形成剤として使用できるアルキルビニルエーテルの代表例である。使用できる芳香族ニトリルの代表例は、ベンゾニトリルである。使用できる共役ジオレフィンのいくつかの代表例は1,3−ブタジエン、イソプレン及び1,3−ペンタジエンを包含する。好ましい予備形成剤は1,3−ブタジエンである。
【0048】
高度に活性でそして比較的に化学的に安定であるように予備形成された触媒を製造する方法は、有機アルミニウム化合物及び予備形成剤を、それらがニッケル化合物及び場合によってパラスチレン化ジフェニルアミンと接触する前に、溶媒媒質に加えることである。次にニッケル化合物及びパラスチレン化ジフェニルアミンが溶液に加えられ、そして続いてフッ素化化合物が溶液に加えられる。代替として、予備形成剤及びニッケル化合物が混合でき、その後有機アルミニウム化合物、パラスチレン化ジフェニルアミン、そして次にフッ化化合物又はフッ化水素/p−スチレン化ジフェニルアミン錯化合物が添加されてもよい。他の添加順序も使用できるが、一般的に満足度の低い結果を生じる。
【0049】
触媒を製造するために使用される予備形成剤の量は、重合されるモノマーの全量の約0.001〜3%の範囲である。予備形成剤のニッケル化合物に対するモル比として示して、予備形成工程中の予備形成剤の量は、ニッケルの濃度の約1〜3000倍であることができる。予備形成剤のニッケルに対する好ましい比は約3:1〜500:1である。
【0050】
これらの予備形成剤された触媒は製造直後に触媒活性を有する。しかし、温和な温度、例えば50℃における短い老化期間、例えば15〜30分は予備形成した触媒の活性を増すことが観察されている。
【0051】
適切に触媒を安定化するために、予備形成剤は、有機アルミニウム化合物がニッケル化合物又はフッ化化合物と反応する機会を有する前に存在しなければならない。もし触媒系が少なくとも少量の予備形成剤の存在無しに予備形成されると、有機アルミニウムのニッケル化合物又はフッ化化合物への化学的影響は、触媒の触媒活性が大きく減じられ、そしてその後まもなく不活性にするようなものである。少なくとも少量の予備形成剤の存在下に、触媒の触媒寿命又は貯蔵寿命は予備形成剤の存在しない系を超えて大きく改善される。
【0052】
3成分ニッケル触媒系もまた予備混合できる。そのような予備混合された触媒系は、1またはそれより多いポリマー触媒安定剤の存在下に製造される。ポリマー触媒安定化剤は、液体ポリマー、ポリマーセメント又はポリマー溶液の形態であることができる。ポリマー触媒安定剤は一般に共役ジエンのホモポリマー、又は共役ジエンとスチレン及び/又はメチル置換スチレンとのコポリマーである。ポリマー触媒安定剤の製造において使用されるジエンモノマーは通常、4〜約12の炭素原子を含む。そのようなポリマー触媒安定剤の製造の際に利用できる共役ジエンモノマーのいくつかの代表的な例は、イソプレン、1,3−ブタジエン、ピペリレン、1,3−ヘキサジエン、1,3−ヘプタジエン、1,3−オクタジエン、2,4−ヘキサジエン、2,4−ヘプタジエン、2,4−オクタジエン、及び1,3−ノナジエンを包含する。さらに、2,3−ジメチルブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ヘプタジエン、2,3−ジメチル−1,3−オクタジエン、及び2,3−ジメチル−1,3−ノナジエン及びこれらの混合物も包含される。
【0053】
ポリマー触媒安定剤のいくつかの代表的な例は、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリピペリレン、ブタジエンとスチレンとのコポリマー、ブタジエンとα−メチルスチレンとのコポリマー、イソプレンとスチレンとのコポリマー、イソプレンとα−メチルスチレンとのコポリマー、ピペリレンとスチレンとのコポリマー、ピペリレンとαメチルスチレンとのコポリマー、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンとスチレンとのコポリマー、2,3−ジメチルブタジエンとα−メチルスチレンとのコポリマー、ブタジエンとビニルトルエンとのコポリマー、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンとビニルトルエンとのコポリマー、ブタジエンとα−メチルスチレンとのコポリマー、及びピペリレンとα−メチルスチレンとのコポリマーを包含する。
【0054】
触媒系をこの予備混合技術によって適切に安定化するために、ポリマー触媒安定剤は、有機アルミニウム化合物がニッケル化合物又はフッ素含有化合物と反応する機会を有する前に存在しなければならない。パラ−スチレン化ジフェニルアミンは、もちろん、有機アルミニウム化合物がフッ素含有化合物と接触するときに存在する。もし触媒系が少なくとも少量のポリマー触媒安定剤が存在せずに予備混合されると、有機アルミニウム化合物のニッケル化合物又はフッ素化合物への化学的効果は、触媒系の触媒活性が大きく減じられ、そしてまもなく不活性とするようなものである。少なくとも少量のポリマー触媒安定剤の存在下で、触媒系の触媒寿命又は貯蔵寿命は、ポリマー触媒安定剤が存在しない同じ系を超えて大きく改善される。
【0055】
それが高度に活性で比較的に化学的に安定であるような、この予備混合された触媒系の製造の一方法は、有機アルミニウム化合物がニッケル含有化合物と接触する前に、有機アルミニウム化合物をポリマーセメント溶液に加え、そして完全に混合することである。次にニッケル化合物がポリマーセメント溶液に加えられる。代わりに、ニッケル化合物をポリマーセメントと先に混合し、その後、有機アルミニウム化合物、及び所望によりパラ−スチレン化ジフェニルアミンを添加することができる。次にフッ素含有化合物がポリマーセメント溶液に加えられる。このことは触媒添加の他の順序又は方法を除外するものではないが、安定剤は、有機アルミニウム化合物がニッケル含有化合物又はフッ素含有化合物のいずれかと反応する機会を有する前に存在しなければならないということが強調される。
【0056】
触媒系を予備混合するために使用されるポリマー触媒安定剤の量は、重合されるモノマー全量の約0.01〜3重量%の範囲内であることができる。ポリマー触媒安定剤のニッケルに対する重量比で表して、予備混合工程中に存在するポリマー触媒安定剤の量は、ニッケルの濃度の約2〜約2000倍の範囲内であることができる。ポリマー触媒安定剤のニッケルに対する好ましい重量比は約4:1〜約300:1である。たとえそのような予備混合された触媒系が製造された直後に触媒活性を示すとしても、温和な温度、例えば50℃における短い老化期間、例えば15〜30分は予備形成した触媒の活性を増すことが観察されている。
【0057】
「その場で改質」技術も、3成分ニッケル触媒系を製造する際に使用できる。事実、そのような「その場で改質」技術によって製造された触媒の利用は、重合及びポリマー生成物のさらに均一な制御を生じる。そのような「その場で改質」技術において、有機アルミニウム化合物は、正味の1,3−ブタジエンモノマーに加えられ、そしてニッケル含有化合物、及び所望によりパラ−スチレン化ジフェニルアミンが後で加えられる。次に有機アルミニウム化合物を含むブタジエンモノマー、パラ−スチレン化ジフェニルアミン及びニッケル含有化合物が重合に使用される反応帯域に装填され、フッ素含有化合物が反応帯域に別に装填される。通常、有機アルミニウム化合物、パラ−スチレン化ジフェニルアミン及びニッケル含有化合物が、ブタジエンモノマー内に混合された後まもなく、反応帯域に装填される。ほとんどの場合、有機アルミニウム化合物、パラ−スチレン化ジフェニルアミン、及びニッケル含有化合物が、ブタジエンモノマーと混合された後60秒以内に反応帯域に装填される。適切な溶媒に溶解した有機アルミニウム化合物及びニッケル含有化合物を使用することが一般に望ましい。
【0058】
ニッケル触媒系は、広い範囲の触媒濃度及び触媒成分比にわたり活性を有する。3つの触媒成分は相互作用して、活性な触媒系を形成する。結果として、いずれか1つの成分の最適の濃度は、他の2つの触媒成分のそれぞれの濃度に大きく依存する。さらに、重合が広い範囲の触媒濃度及び比率にわたって起こるが、合成されるポリマーにとってもっとも望ましい性質は、比較的狭い範囲にわたり得られる。重合は、約0.3:1〜約300:1の範囲内の、有機アルミニウム化合物のニッケル含有化合物に対するモル比を利用して実施できる。フッ素含有化合物の有機ニッケル化合物に対するモル比は約0.5:1〜約200:1の範囲であり、そしてフッ素含有化合物の有機アルミニウム化合物に対するモル比は約0.4:1〜約10:1の範囲である。有機アルミニウム化合物のニッケル含有化合物に対する好ましいモル比は、約3:1〜約100:1の範囲であり、フッ素含有化合物の有機アルミニウム化合物に対する好ましいモル比は、約0.7:1〜約7:1の範囲である。反応帯域において利用される触媒系の濃度は、例えば純度、望まれる反応速度、利用する重合温度、反応の設計、及び他の因子のような因子に依存する。
【0059】
触媒成分の反応帯域への「その場」の装填を容易にするために、それらは少量の不活性有機溶媒又はブタジエンモノマー内に溶解されることができる。予備形成され、そして予備混合された触媒系は、もちろん、溶媒内に溶解されている。
【0060】
使用が必要とされる分子量調節剤の量は、触媒系、重合温度、及び合成される高シス1,4−ポリブタジエンの望まれる分子量と共に変化する。例えば、もし高い分子量のゴムが望まれると、そのときは比較的少量の分子量調節剤が必要である。一方、分子量を実質的に減じるために、比較的大量の分子量調節剤を使用することが必要である。一般に、利用する触媒系がフッ化水素を含んでいるか、又は3フッ化ホウ素を含む老化触媒であるときは、より多い量の分子量調節剤が必要である。しかし、一般に、約0.25phm(モノマー100部に対する重量部)〜約1.5phmの分子量調節剤が使用される。使用できる分子量調節剤は、α−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、及び1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン、イソブテン、及びパラ−スチレン化ジフェニルアミンを包含する。
【0061】
0.5phm〜0.75phmのパラ−スチレン化ジフェニルアミンを分子量調節剤として使用することが通常好ましいが、これはそのような濃度では分子量の良好な減少が実現でき、そして生成した高シス−1,4−ポリブタジエンゴムに良好な安定度が与えられるからである。そのような場合、合成されるゴムの分子量は、フッ素含有化合物の有機アルミニウム化合物に対する比を調節することによって制御できる。言い換えれば、パラ−スチレン化ジフェニルアミンの0.25phm〜1.8phm内の一定量において、合成されるポリマーの分子量が、フッ素含有化合物の有機アルミニウム化合物に対する比を変えることによって制御できる。分子量の最大の減少と、最大の転化率は通常、フッ素含有化合物の有機アルミニウム化合物に対する1.5:1〜2:1の範囲内のモル比で起こる。1.5:1未満のモル比及び2:1〜2.75:1の範囲内のモル比において、分子量の減少はより少ない。
【0062】
本発明の重合において利用される温度は重要ではなく、そして極端に低い温度〜非常に高い温度に変え得る。例えば、そのような重合は約−10℃〜約120℃の範囲内のいずれの温度においても実施できる。重合は、好ましくは、約30℃〜約110℃の範囲内の温度で実施される。重合が約70℃〜約95℃の範囲内の温度で実施されるのが通常好ましい。そのような重合は通常、通常約80%を超え、そして好ましくは約90%を超える高い収率を達成するために十分な時間、実施される。
【0063】
望まれる転化率が達成された後、構造式RCOOH(Rは2〜約30の炭素原子を含む)のカルボン酸を添加して、重合を停止する。典型的には、ニッケルに対して理論的に過剰量のアルコールを、約5〜約200モル%を添加して、重合を停止させる。さらに典型的には、ニッケルに対して理論的に過剰量のアルコールを、約5〜約10モル%を添加して、重合を停止させる。理論量又は過剰のアルコールの使用は硬化剤(硫黄系及びペルオキシド系の両方)の性能を改善する。
【0064】
約2〜約10の炭素原子、典型的には約2〜約4の炭素原子を含む低分子量のアルコールが使用できる。約12〜約30、典型的には約14〜約22の炭素原子を含む、より高い分子量を有するアルコールも使用できる。
【0065】
重合が終わった後、シス−1,4−ポリブタジエンゴムは、得られたポリマー溶液(ゴムセメント)から、いくつかの手順[例えば凝固、水蒸気ストリッピング、又は直接脱溶媒法(フラッシュ蒸発、真空乾燥、押出機乾燥等を含む)]のどの方法によっても回収し得る。一つのそのような手順は、ゴムセメントを極性凝固剤、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン等と混合することを含む。凝固剤は、室温で、又は液体の低分子量炭化水素が蒸発する温度未満で加えることができる。もし、望まれるのであれば、低分子量炭化水素の除去を早めるが、極性凝固剤を蒸発させるためには十分ではない、穏やかな加熱が加えられる。蒸発した低分子量の炭化水素溶媒は次に回収でき、リサイクルできる。凝固したゴムは、遠心分離、デカンテーション又はろ過によって、極性凝固剤のスラリーから回収される。
【0066】
シス−1,4−ポリブタジエンゴムを回収するための他の手順は、ゴム溶液をスプレー乾燥にかけることである。そのような手順は、連続操作に特に適しており、そして熱の要求が最小限であるという利点を有する。そのような手順が使用されたとき、回収されたポリマーは、ポリマー中の残存活性触媒を破壊するために、回収されたすぐ後に極性溶媒で洗浄されるべきである。そのような手順において、蒸発した有機溶媒も容易に回収できるが、通常はリサイクルされる前に精製が必要である。
【0067】
ニッケル触媒系を使用して合成されたシス−1,4−ポリブタジエンゴムは、典型的には約95%を超えるシス含量を有する。例えば、シス−1,4−ポリブタジエンゴムは典型的に約97%のシス含量、約2%のトランス含量及び約1%のビニル含量を有する。
【0068】
本発明の方法によって製造されたシス−1,4−ポリブタジエンゴムは、中実のゴルフボールを製造する際に利用するための格別の特性を有する。例えば、そのようなシス−1,4−ポリブタジエンゴムを使用して製造したゴルフボールは、優れた弾性反発性及び疲れ抵抗を有する。シス−1,4−ポリブタジエンゴムは、典型的には約30〜約90の範囲内の、100℃におけるムーニーML 1+4粘度を有する。シス−1,4−ポリブタジエンは好ましくは、40〜80の範囲内の、100℃におけるムーニーML 1+4粘度を有し、最も好ましくは50〜75の範囲内の、100℃におけるムーニーML 1+4粘度を有する。
【0069】
中実のゴルフボールは一般に、コアと樹脂のカバーを含む。中実のゴルフボールの設計は、1個構成(ワンピース)成形又は複数個構成(マルチピース)の設計(1またはそれより多い層がコア上に被覆される)によって得られるコアを含み得る。いずれの場合でも、そのような本発明の中実のゴルフボールは、補助架橋剤及びペルオキシドをも含む組成物を含むシス−1,4−ポリブタジエンゴムを加硫することによって得られる弾性の部分を含む。
【0070】
シス−1,4−ポリブタジエンゴムに加えて、ゴルフボールの弾性部分はまた、追加のゴム、例えばスチレン−ブタジエンゴム、天然ゴム、合成ポリイソプレンゴム、スチレン−イソプレンゴム等をも含み得る。ゴルフボールの弾性部分内に含まれることができるそのような追加のゴムの量は、ゴルフボールの弾性部分内に含まれるゴムの全量を基準として通常、約60phr(ゴム100重量部あたりの部数)以下である。このように、ゴルフボールの弾性部分は通常、約40〜100phrのシスシス−1,4−ポリブタジエン、及び0〜約60phrのそのような追加のゴムを含む。そのような追加のゴムが、ゴルフボールの弾性部分内に約30phr以下の量で存在するのが通常好ましい。そのような追加のゴムが、ゴルフボールの弾性部分内に約15phr以下の量で存在するのが通常さらに好ましい。
【0071】
ゴルフボールの弾性部分内に使用される補助架橋剤は典型的には、不飽和カルボン酸又はその金属塩である。例えば、補助架橋剤はアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛、又はこれらの混合物であることができる。補助架橋剤は典型的には、ゴルフボールのゴム成分内に約15phr〜約60phrの範囲内の量で存在する。補助架橋剤は典型的には、ゴルフボールの弾性部分内に約25〜約40phrの範囲内で存在する。
【0072】
ゴルフボールの弾性部分内に使用されるペルオキシドは典型的には有機ペルオキシド、例えばジクミルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、又はジ−t−ブチルペルオキシドである。ジクミルペルオキシドをそのようなゴルフボール用コンパウンド内に使用することが通常好ましい。ペルオキシドは典型的にゴルフボールのゴム成分内に約0.5〜約3phrの範囲内の量で存在する。ペルオキシドは好ましくはゴルフボールのゴム成分内に約1〜約2.5phrの範囲内の量で存在する。
【0073】
ゴルフボールは通常、約41.15mm〜約42.67mmの範囲内の直径を有する。標準重量の必要性に適合するために、ゴルフボールの弾性部分はまた、典型的に充填剤を含む。使用できる充填剤のいくつかの代表例は、硫酸バリウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、シリカ等を包含する。分解から保護するために、抗分解剤もゴルフボールのゴム成分内に含めることができる。
【0074】
ゴルフボールの弾性部分のためのゴム組成物は、シス−1,4−ポリブタジエン、架橋剤、ペルオキシド、所望の充填剤、及び他の所望の材料を、慣用の混合技術、例えばローラーまたはニーダーによって混合することによって製造できる。混合は通常は、約10〜約30分、好ましくは約15〜約25分、50℃〜140℃、好ましくは70〜120℃の温度で実施される。
【0075】
中実のゴルフボールはワンピースの中実のゴルフボール、ツーピース(2個構成)の中実のゴルフボール、又はマルチピースの中実のゴルフボールであることができる。ワンピースの中実のゴルフボールは、ゴムコンパウンドを1個構成の成形によって加硫することによって製造できる。ツーピース及びマルチピースの中実のゴルフボールは通常、弾性ゴムコンパウンド及び樹脂カバーを含む中実のコアを含む。マルチピースの中実のゴルフボールの場合には、中実のコアは弾性ゴム状コンパウンドを含む中心コア、及びその上に被覆された1又はそれより多い外層を含む。中実のコアの少なくとも一部は、本発明のゴム組成物を加硫することによって製造される。加硫は、約140℃〜170℃の範囲内の温度で約20〜40分実施される。樹脂のカバーはアイオノマー樹脂又はアイオノマーじゅしの混合物を典型的に含むものである。適切なアイオノマー樹脂は、ミツイポリケミカルカンパニーから、Himilan(R)1707、Himilan(R)1706、及びHimilan(R)1605の商品名で商業的に入手できる。
【0076】
本発明は以下の実施例によってさらに例示されるが、これらは本発明の範囲の限定ではなく、代表例であると意図されるものである。
【0077】
【実施例】
実施例1
ゴルフボールは、100phrのシス−1,4−ポリブタジエンゴムを、30phrのアクリル酸亜鉛、22phrの酸化亜鉛、2phrのジクミルペルオキシド、及び0.5phrの抗酸化剤と混合することによって最初にゴルフボールのコアコンパウンドを調製することによって製造できる。このゴルフボールのコアのコンパウンドは次に38.5mmの直径を有する中実のコアへと、成形及び硬化される(145℃の温度で40分間)。次に中実のコアを、2重量部の酸化チタンを含むHimilan(R)1707アイオノマーで被覆してゴルフボールを製造できる。そのようなゴルフボールは改善された圧縮、改善された反発係数及び改善された耐久性を示す。
【0078】
実施例2
ゴルフボールは、100phrのシス−1,4−ポリブタジエンゴムを、25phrのメタクリル酸、25phrの二酸化亜鉛、1phrのジクミルペルオキシドと混合することによって最初にゴルフボールコンパンドのコアを調製することによって製造できる。このゴルフボールのコアのコンパウンドは次に38.5mmの直径を有する中実のコアへと、成形及び硬化される(170℃の温度で25分間)。次に中実のコアを、2重量部の二酸化チタンを含むHimilan(R)1707アイオノマーで被覆してゴルフボールを製造できる。そのようなゴルフボールは改善された圧縮、改善された反発係数及び改善された耐久性を示す。
【0079】
ある代表的な態様及び詳細を本発明を例示する目的のために示してきたが、本技術における当業者には、本発明の範囲から逸脱することなく種々の変更及び修正がなされ得ることは明らかである。

Claims (31)

  1. 中実のコア及び樹脂のカバーを含むゴルフボールであって、中実のコアがシス1,4−ポリブタジエンゴムを含み、該ゴムは1,3−ブタジエンを有機金属触媒系の存在下に重合することによって製造され、重合を構造式ROOH(式中、Rは2〜約30の炭素原子を含むアルキル基を示す)のカルボン酸で停止させる、前記のゴルフボール。
  2. 有機金属触媒が希土類元素触媒系である、請求項1に記載のゴルフボール。
  3. 有機金属触媒がチーグラー・ナッタ触媒である、請求項1に記載のゴルフボール。
  4. 有機金属触媒はニッケル触媒系である、請求項1に記載のゴルフボール。
  5. ニッケル触媒系が(a)有機ニッケル化合物、(b)有機アルミニウム化合物、(c)フッ素含有化合物を含む、請求項4に記載のゴルフボール。
  6. ニッケル触媒系がさらに、パラ−スチレン化ジフェニルアミンを含む、請求項5に記載のゴルフボール。
  7. 有機アルミニウム化合物及びフッ素含有化合物ががパラ−スチレン化ジフェニルアミンの存在下に、一緒にされる、請求項6に記載のゴルフボール。
  8. 希土類触媒系が(1)有機アルミニウム化合物、(2)周期系のIII−B族からの金属を含む有機金属化合物、(3)少なくとも1つの不安定なハロゲン化物イオンを含む少なくとも1種の化合物
    を含む、請求項1に記載のゴルフボール。
  9. 有機金属化合物が、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、アクチニウム,トリウム,プロトアクチニウム、ウラン、ネプツニウム、プルトニウム、アメリシウム、キュリウム、バークリウム、カリホルニウム、アインスタイニウム、フェルミウム、メンデレビウム、ローレンシウムより成る群から選択される、請求項8に記載のゴルフボール。
  10. 有機金属化合物が、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム及びルテチウムより成る群から選択されるランタニドである、請求項8に記載のゴルフボール。
  11. 有機金属化合物が、アクチニウム,トリウム,プロトアクチニウム、ウラン、ネプツニウム、プルトニウム、アメリシウム、キュリウム、バークリウム、カリホルニウム、アインスタイニウム、フェルミウム、メンデレビウム、ローレンシウムより成る群から選択されるアクチニドである、請求項8に記載のゴルフボール。
  12. 有機金属化合物が、セリウム、プラセオジム、ネオジム、及びガドリニウムより成る群から選択される、請求項8に記載のゴルフボール。
  13. 有機金属化合物がネオジムである、請求項8に記載のゴルフボール。
  14. 中実のコアがさらに、補助架橋剤及びペルオキシドを含む、請求項1に記載のゴルフボール。
  15. 補助架橋剤が約15〜約60phrの範囲の量で存在する、請求項14に記載のゴルフボール。
  16. ペルオキシドが約0.5〜約3phrの範囲の量で存在する、請求項15に記載のゴルフボール。
  17. ペルオキシドが約1〜約2.5phrの範囲の量で存在する、請求項15に記載のゴルフボール。
  18. 補助架橋剤が約25〜約40phrの範囲の量で存在する、請求項14に記載のゴルフボール。
  19. コアがさらに充填剤を含む、請求項18に記載のゴルフボール。
  20. 充填剤が硫酸バリウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、及びシリカより成る群から選択される、請求項19に記載のゴルフボール。
  21. シス1,4−ポリブタジエンが100℃で測定した時に、約30〜約90の範囲内のムーニーML 1+4粘度を有する、請求項20に記載のゴルフボール。
  22. シス1,4−ポリブタジエンが100℃で測定した時に、約40〜約80の範囲内のムーニーML 1+4粘度を有する、請求項20に記載のゴルフボール。
  23. シス1,4−ポリブタジエンが100℃で測定した時に、約50〜約75の範囲内のムーニーML 1+4粘度を有する、請求項20に記載のゴルフボール。
  24. (a)シス−1,4−ポリブタジエンゴムを含む、優秀な耐久性及び弾性反発性を有する中実のゴルフボールのためのゴム組成物であって、
    ここでシス−1,4−ポリブタジエンゴムが30〜90のムーニーML 1+4粘度を有し、シス−1,4−ポリブタジエンゴムが少なくとも95%のシス−1,4結合含量を有し、シス−1,4−ポリブタジエンゴムは有機金属触媒系の存在下に1,3−ブタジエンを重合することによって製造され、重合を構造式ROOH(式中、Rは2〜約30の炭素原子を含むアルキル基を示す)のカルボン酸で停止させる、前記のゴム組成物。
  25. 補助架橋剤が約15〜約60phrの範囲の量で存在し、ペルオキシドが約0.5〜約3phrの範囲の量で存在する、請求項24に記載のゴム組成物。
  26. ペルオキシドが約1〜約2.5phrの範囲の量で存在する、請求項24に記載のゴム組成物。
  27. 補助架橋剤が約25〜約40phrの範囲の量で存在する、請求項26に記載のゴム組成物。
  28. さらに充填剤を含む、請求項25に記載のゴム組成物。
  29. 充填剤が硫酸バリウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、及びシリカより成る群から選択される、請求項28に記載のゴム組成物。
  30. シス1,4−ポリブタジエンが100℃で測定した時に、約40〜約80の範囲内のムーニーML 1+4粘度を有する、請求項29に記載のゴム組成物。
  31. シス1,4−ポリブタジエンが100℃で測定した時に、約50〜約75の範囲内のムーニーML 1+4粘度を有する、請求項29に記載のゴム組成物。
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