JP2984459B2 - 吸収式冷温水機 - Google Patents

吸収式冷温水機

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JP2984459B2 JP4090267A JP9026792A JP2984459B2 JP 2984459 B2 JP2984459 B2 JP 2984459B2 JP 4090267 A JP4090267 A JP 4090267A JP 9026792 A JP9026792 A JP 9026792A JP 2984459 B2 JP2984459 B2 JP 2984459B2
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裕明 依田
章 西口
泰男 浦木
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は空調システムに用いられ
る吸収式冷温水機に係わり、特に個別空間毎に空調する
ことを要求させるシステムに好適な吸収式冷温水機に関
する。
【0002】
【従来の技術】図5は個別空間毎に空調が可能なシステ
ムの一例を示すもので、建屋内のかく空調空間にはファ
ンコイルユニット5〜9が配置され、その各々には、フ
ァンコイルユニットの運転操作の他、屋上に配置された
吸収式冷温水機1の起動停止を行うための操作盤10〜
14が付設されている。各操作盤からの信号は図の点線
で示す信号線22を経由して中継操作盤20へ入力さ
れ、その出力が吸収式冷温水機1の制御盤21へ入力さ
れる。制御盤21からは冷温水ポンプ2及び冷却水循環
ポンプ41等への信号線が配線されている。冷温水ポン
プ2によって加圧された冷温水機は、冷温水行き管3に
よって各ファンコイルユニット5〜9に送水する。各フ
ァンコイルユニットの冷温水入口配管部には、自動弁1
5〜19が配置され、各操作盤10〜14からの信号に
よって開、閉動作が行われ、冷温水の通水、遮断が制御
させる。一方、冷却水系統は一般的には、冷温水機本体
の発停にともなって冷温水循環ポンプ41及び冷却塔4
2の発停が制御される。
【0003】この様な個別空間毎の空調システムにおい
ては、例えばファンコイルユニット5〜9のいずれか1
台のみの運転でも吸収式冷温水機を運転できるので使い
勝手に大変秀れたシステムである。そのため、空調シス
テムとして、最近この種のシステムの市場が拡大の傾向
にある。しかし、従来のこの種のシステムにおいて熱負
荷が小さい場合に吸収式冷温水機の安定的な運転状態を
必ずしも十分に維持できないという不具合があった。
【0004】この点について図6より説明する。図6は
従来の吸収式冷温水機1の一例を示すもので、まず冷房
運転サイクルは次の通りである。冷房運転時には冷房切
り替え弁43、44は閉じられている。吸収器30で冷
媒(水)により希釈された希溶液は、溶液ポンプ31に
よって低温溶液熱交換器32、高温溶液熱交換器33を
経て高温再生器34へ送り込まれ、そこで加熱されて冷
媒が蒸発し濃縮される。又、低温溶液熱交換器32の出
口から分岐して低温再生器35へ送り込まれた希溶液
は、高温再生器34から発生した冷媒蒸気と熱交換し
て、二次冷媒蒸気を発生し濃縮される。高温再生器34
で濃縮再生された濃溶液は、高温溶液熱交換器33を経
た後、低温再生器35で濃縮再生された濃溶液と共に低
温溶液熱交換器32を通過し、これら溶液熱交換器3
2、33で顕熱を希溶液に与えた後、吸収器30内に散
布される。
【0005】一方、高温再生器34及び低温再生器35
で発生した冷媒蒸気の各々は、低温再生器35及び凝縮
器36で凝縮され、冷媒液となって蒸発器37内に流下
する。そして流下した冷媒は冷媒スプレイポンプ38に
よって蒸発器37内に散布され、冷温水戻り管4内の冷
水から蒸発熱を得て蒸発し、蒸発器37と吸収器30と
を連絡する蒸気通路を経て吸収器30内の散布濃溶液に
吸収される。
【0006】吸収器30で発生した冷媒の凝縮熱は、冷
却水配管40を循環する冷却水によって取り除かれる。
この冷却水は、吸収器30を経た後、前述の凝縮器36
を循環し、そこで低温再生器35からの冷媒蒸気の凝縮
熱も奪う。そして、冷却塔42でこれらの凝縮熱を外気
に放出し、冷却される。この冷却水の循環は冷却水循環
ポンプ41により行われる。
【0007】この様な冷房運転サイクルにおいてファン
コイルユニット5〜9の運転台数が減少すると冷温水配
管3、4の冷水温度が低下してくる。一般に吸収式冷温
水機の冷房、暖房能力の出力制御として、冷温水機出口
の水温を検出する手段46を配設し、冷房運転の場合、
所定温度以下が検出された場合には、高温再生器34へ
の燃料供給を止める方法がとられている。暖房運転の場
合には、所定の温度以上が検出された場合に同様の措置
がとられる制御方法である。
【0008】さて、冷水温度が低下して、燃料供給が停
止されると、冷温水機は、高温再生器34、及び低温再
生器35内に残留した高濃溶液の結晶化を防止するため
に希釈運転を行う。つまり、冷却水循環ポンプ41への
運転が継続されたまま、溶液ポンプ31及び冷媒スプレ
イポンプ38の運転が継続され、これにより、残留冷力
が発生する(残留能力制御運転)。従って冷水温度はさ
らに低下するとともに、冷媒温度も低下して凍結のおそ
れが生ずる。そこで、一般には冷水よりも温度の低い冷
媒の温度検出手段48を配設して、溶液ポンプ31又は
冷媒スプレイポンプ38を運転停止させる等のインター
ロックを設けている。
【0009】しかし、ファンコイルユニット運転台数が
少なく、冷房負荷が非常に小さい場合には、冷媒温度が
低下し易く、上記インターロックが作動することが多く
なり安定な運転が阻害され勝ちになる、即ち、上記イン
ターロックが作動して、溶液ポンプ31又は冷媒スプレ
イポンプ38が停止すると、他からの熱入力が少ないた
め、冷媒は冷えきったままの状態で保持されて、インタ
ーロック解除に時間を要し、その間に冷水温度が上昇
し、冷房が出来ない事態となる。尚、従来例として関連
するものに、特開昭57−169571号がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、個別空間毎の空調システムにおける微少冷房負荷に
安定的に対応できる吸収式冷温水機の提供にある。
【0011】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明は、前述
の従来技術における残留能力運転について工夫を施して
いる。即ち、残留能力運転を冷水の温度が所定の第1温
度と、この温度より低い第2温度にある場合に行う第1
残留能力運転と、冷水の温度が第2温度より低くなった
場合に行う第2残留能力運転とに分け、第1残留能力運
転については従来の残留能力運転と同様に制御するもの
の、第2残留能力運転では、更に冷却水循環ポンプを停
止させるようにしており、この第1、第2の両残留能力
運転を必要に応じて繰り返すことにより、吸収液の残留
能力を効率よく消費するようにしている。
【0012】従って、本発明によると、残留能力運転中
における冷媒は、冷却水による過冷却を避けることが出
来る一方で、冷房負荷からの熱を常時受ける事が出来る
ので、その凍結が有効に防止され、しかも冷房出力停止
状態つまり冷却水循環ポンプの停止が冷水の温度より制
御されることになるので、冷房能力の実質的な低下をほ
とんど招かずに済む。
【0013】この様な制御については、冷却水循環ポン
プの停止・運転に合わせて溶液ポンプの停止・運転を行
うようにすることもできる。この様にすると、第2の残
留能力運転時における溶液の冷却を最小限に抑えること
ができる。
【0014】冷却水循環ポンプが停止状態の後に再起動
する場合には、循環停止により高温化している冷却水が
冷却塔の散布部、特にプラスチックで形成されているラ
ッシヒリング等を熱的に損傷させるおそれがある。この
様な事態を避けるについては、二つの方式が可能であ
る。
【0015】一つは、冷却水の循環路に散布部を迂回す
るバイパス管を設け、冷却水ポンプの再運転時の初期に
ついて、冷却水をバイパス管により循環させるようにす
る。
【0016】他の一つは、冷却水循環ポンプの下流と冷
却塔の上流とを短絡させる補助管を設け、冷却水循環ポ
ンプの再運転時の初期について、高温化している冷却水
に冷却塔よりの冷却水を補助管を介して混合させるよう
にする。
【0017】
【実施例】本発明の実施例を図1及び図3に基づいて以
下説明する。図1において図6の従来技術と異なる点
は、冷却水配管40及び冷却塔42を含む冷却水循環経
路に冷却塔42の冷却水循環ポンプ散布部42sを迂回
するバイパス管50が設けられると共に、その途中に流
量制御自動弁51が配設されていることである。
【0018】次にこの様な吸収式冷温水機の負荷制御を
図5について説明する。冷水温度検出手段(例えばサー
ミスタ温度計)46の検出温度がある所定の第1温度以
上の場合には熱入力の階段制御が行われ、冷水出口温度
が下がるにつれて、高温再生器34への燃料供給が減ら
され、熱入力が絞られる。そして、ファンコイルユニッ
ト9等の運転台数が更に少なくなり冷房負荷が小さくな
って、冷水の温度が第1温度になると、熱入力は完全に
遮断され、冷温水機は第1残留能力運転範囲に入る。こ
の第1残留能力運転にあっては、溶液ポンプ31及び冷
媒スプレイポンプ38の運転が継続されると共に、冷却
水循環ポンプ41及び冷却塔42の運転も継続され、こ
れらに基づく冷力が出力され続ける。
【0019】そして、冷水の出口温度が更に低下して所
定の第2温度になると、第2残留能力運転に入る。この
第2残留能力運転においては、冷却水循環ポンプ41は
停止され、冷房出力はほぼ零に近くまで低減する。従っ
て、冷水の温度は、冷房負荷によって再び上昇する。
【0020】冷水の温度が第2温度に戻ると、冷却水循
環ポンプ41が再び起動するが、この時、吸収器30及
び凝縮器36内に滞留した冷却水は、吸収液の顕熱又は
冷媒の凝集潜熱によって昇温しており、これをそのまま
冷却塔42の散水部42sに流すと、そこのラッシヒリ
ングを熱衝撃で変形させるおそれがある。そこで、冷却
水循環ポンプ41の再起動初期については、バイパス管
50の自動弁51を開にし、冷却水をバイパス管50に
て循環させ、散水部42sに対し迂回させる。
【0021】そして、この様な冷却水循環ポンプ41の
停止・起動が繰り返されて吸収液の残留能力が消費され
ると、冷水の温度が上昇し、再び高温再生器34への燃
料供給を行う熱入力制御運転に移行する。
【0022】以上のように高温再生器34への燃料の供
給を停止させる残留能力運転について、冷水の温度が所
定の第2温度以下になった場合には、冷却水循環ポンプ
41を停止させる第2残留能力運転を行うようにしたこ
とにより、冷媒が過冷却となって凍結する事態を有効に
防止でき、しかも冷房能力の実質的な低下を殆ど招かず
に済み、微少負荷状態における運転をより安定的なもの
とすることができる。
【0023】本発明の別の実施例を図2及び図4につい
て説明する。図2において図6の従来技術と異なる点
は、冷却水系統配管40に吸収器30及び凝縮器36を
バイパスする。つまり、冷却水循環ポンプ41の下流と
冷却塔42の上流とを短絡する補助管52及びその途中
に流量制御自動弁53が配設されていることである。そ
の機能は上記実施例と大差なく、冷却水循環ポンプ停止
時の高温水を低温冷却水とを合流させて、冷却塔の散布
部42sを熱衝撃から守ることにある。冷温水機の運転
制御は先の実施例に対して冷却水循環ポンプと同時に溶
液ポンプも発停させ、冷房出力が零となる場合の溶液の
冷却を最小限に押え、結晶防止がはかられる。本実施例
の場合も冷媒スプレイポンプは運転継続される。尚、本
発明の実施例としては、図1と図4又は図2と図3の組
合せも可能であり、目的及び効果は同じであることはも
ちろんである。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、残留能力運転を第1残
留能力運転と第2残留能力運転とに分けて制御するよう
にしているので、微少負荷時における溶液の結晶化及び
冷媒の凍結を有効に防止でき、又冷房能力の実質的低下
を殆ど招かずに済むことになり、個別空間毎の空調シス
テムにおける微少負荷運転の安定性を大きく向上させる
ことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による吸収式冷温水機のフロ
ー図である。
【図2】本発明の他の実施例による吸収式冷温水機のフ
ロー図である。
【図3】図1の吸収式冷温水機における制御状態図であ
る。
【図4】図2の吸収式冷温水機における制御状態図であ
る。
【図5】吸収式冷温水機を用いた個別空間毎の空調シス
テム図である。
【図6】従来の吸収式冷温水機のフロー図である。
【符号の説明】
1 吸収式冷温水機 2 冷温水ポンプ 3 冷温水行き配管 4 冷温水もどり配管 30 吸収器 31 溶液ポンプ 32 低温溶液熱交換器 33 高温溶液熱交換器 34 高温再生器 35 低温再生器 36 凝縮器 37 蒸発器 38 冷媒スプレイポンプ 40 冷却水配管 41 冷却水循環ポンプ 42 冷却塔 42s 散布部 43 冷暖切替弁 44 冷暖切替弁 46 冷水出口温度検出器 47 冷却水給水弁 48 冷媒温度検出器 50 バイパス管 51 流量制御自動弁 52 補助配管 53 流量制御自動弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中尾 剛 茨城県土浦市神立町603番地 株式会社 日立製作所土浦工場内 (56)参考文献 特開 昭57−155065(JP,A) 特開 昭50−48540(JP,A) 実開 昭58−93754(JP,U) 実開 昭64−13466(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F25B 15/00 306

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 冷温水と熱交換させるために冷媒を蒸発
    器内に散布する冷媒スプレイポンプ、冷温水との熱交換
    済みの冷媒を吸収器内で吸収して希釈化した希溶液を循
    環させる溶液ポンプ、加熱用燃料にて加熱することによ
    り希溶液から冷媒を分離させる高温再生器、及び冷房運
    転時に、冷媒の吸収液への吸収に際して冷却を行う冷却
    水の循環のための冷却水循環ポンプを備えてなる吸収式
    冷温水機において、 冷房運転時に、冷水の温度が所定の第1温度とこの第1
    温度より低い所定の第2温度との間にある場合には、冷
    媒スプレイポンプ、溶液ポンプ、及び冷却水循環ポンプ
    を運転状態のまま、高温再生器への燃料の供給を停止さ
    せる第1残留能力運転を行い、また冷水の温度が第2の
    温度以下にある場合には、更に冷却水循環ポンプを停止
    させる第2残留能力運転を行うようにしたことを特徴と
    する吸収式冷温水機。
  2. 【請求項2】 冷却水循環ポンプの停止・運転に合わせ
    て溶液ポンプの停止・運転を行うようにした請求項1に
    記載の吸収式冷温水機。
  3. 【請求項3】 冷却水の循環路に冷却塔の冷却水散布部
    を迂回するバイパス管を設け、冷却水循環ポンプの再運
    転時の初期について、冷却水をバイパス管により循環さ
    せるようにした請求項1又は請求項2のいずれかに記載
    の吸収式冷温水機。
  4. 【請求項4】 冷却水循環ポンプの下流と冷却塔の上流
    とを短絡させる補助管とを設け、冷却水循環ポンプの再
    運転時の初期について、冷却水循環ポンプ停止時におけ
    る負荷との熱交換により昇温している冷却水に、冷却塔
    よりの冷却水を補助管を介して混合させるようにした請
    求項1又は請求項2のいずれかに記載の吸収式冷温水
    機。
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