JP2984339B2 - 非水電解液二次電池 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、非水電解液二次電池に関し、もう少し詳
しくいうと、負極板と正極板が、セパレータを挟んでス
パイラル状に巻かれ、電池缶内に収納されている非水電
解液二次電池に関するものである。

［従来の技術］ 負極活物質にリチウムを、電解液に非水電解液を使用
した非水電解液電池は、高エネルギー密度、高電圧、長
期保存性などに優れ、メモリーバックアップ用電源や、
通信機用電源などに広く利用されている。ところで、こ
れらの非水電解液電池は通常一次電池であり、各種電源
に再充電可能で経済性に優れる非水電解液二次電池への
要望が多い。

通常の円筒形非水電解液一次電池の正極構造は、ラス
メタル上に正極活物質を塗着し、ローラによりプレスさ
れ、中央部に集電端子を取付けられた構成になってい
る。また、二次電池の正極構造として、アルミなどの金
属箔に正極活物質を塗着、プレスする方法によるものが
検討されている。

［発明が解決しようとする課題］ ところが、二次電池は一次電池と同様の放電電流値を
要求される上に、充放電を繰返すため、電極面積を大き
くし、単位面積当たりの電流値を小さくする必要があ
る。しかし、従来の正極構造では、薄く、面積の大きい
正極は得られない。また、リチウムを負極活物質とする
円筒形非水電解液二次電池が実用に至っていない原因と
して、リチウムの劣化が挙げられる。二次電池の充放電
の繰返しにより、負極リチウム表面上に局部的デンドラ
イトが発生してセパレータを突抜け、正極と接触して短
絡してしまう。このことが原因で長寿命の非水電解液二
次電池を得ることができない。

この発明は上記の問題点を解消するためになされたも
ので、負極表面上にデンドライトが発生して局部的に短
絡が発生しても、その短絡を最小限でおさえて短絡を解
消することができ、かつ、薄く、軽く、強く、電極面積
の大きい正極を備えた非水電解液二次電池を得ることを
目的とする。

［課題を解決するための手段］ この発明に係る非水電解液二次電池は、プラスチック
基板の片面もしくは両面にヒューズ部分を形成した短冊
状の多数の金属蒸着膜を設け、各金属蒸着膜上に再充電
可能となる正極活物質を短冊状にコーティングして、正
極板とする。

［作 用］ この発明においては、短冊１個で形成される電池部分
（セグメント電池）で短絡が発生した場合、アンペアオ
ーダーの大電流が流れるが、この電流で蒸着膜のヒュー
ズ部分が即座に溶断する。これにより当該セグメント電
池は他のセグメント電池と切離され、短絡はこれ以上広
がらない。

［実施例］ 第１図〜第３図はこの発明の一実施例を示し、プラス
チック基板（１）の両面に金属蒸着膜（２）が形成され
ている。この金属蒸着膜（２）は、プラスチック基板
（１）の一辺に沿う連続した接続端部（2a）と、異常電
流が流れたときに溶断して導通を遮断する狭い複数のヒ
ューズ部分（2b）と、複数の短冊部分（2c）とからなっ
ている。短冊部分（2c）上には二酸化マンガンを主体と
する正極活物質（3a）が短冊状にそれぞれコーティング
して設けられ、複数個のセグメント電池（３）を構成し
ている。

かようにしてなる正極板は、セパレータ（４）を介在
してスペーサ（５）、リチウムを主体とする負極板
（６）とともにスパイラル状に巻かれ、メタライジング
（７）を施したのち、負極缶（電池缶）（８）内に収納
される。（９）はガスケット、（10）は針刺し封口体で
ある。

次に作用について説明する。ヒューズ部分（2b）は他
の蒸着膜部分よりも電流密度が大きく、単位体積当たり
の発熱量が大きい。例えば、ヒューズ部分（2b）の幅が
短冊部分（2c）の幅に対して20％の幅であるとすると、
単位断面積当たりの電流密度は５倍となり、単位体積当
たりの発熱量は25倍になる。抵抗値の温度依存性を考慮
すると、通常、さらに発熱量は大きくなる。通常の充放
電では、セグメント電池（３）から流れる電流の最大値
は例えばμＡ〜mAオーダーであり、ヒューズ部分（2b）
での発熱は周囲に自然放散されるが、このセグメント電
池（３）で短絡が発生した場合には、Ａオーダーの大電
流が流れ、即座にヒューズ部分（2b）が溶断し当該セグ
メント電池（３）は他の部分から電気的に切離されて、
短絡がこれ以上進行しない。

ただし、この構成において、極めて小容量の空間とは
いえ発熱により金属膜（２）が焼損切断することが動作
の基本になっており、この局部高温状態が電解液の発
熱、発火、暴走を誘起するようなことは絶対にあつては
ならず、電解液の選定にあたってこの事を充分考慮しな
ければならない。

また、かような構成による電池においては、金属蒸着
膜（２）の電流容量が小さいためにスパイラル構造の軸
方向に電流を取出さなければならない。図においてメタ
ライジング（７）を施しているのは、軸方向に電流を集
中して取出すための電極構造であることを示すものであ
る。

なお、金属蒸着膜（２）、正極活物質（3a）はプラス
チック基板（１）の片面にのみ設けた構造としてもよ
く、同様の効果がある。

［発明の効果］ この発明は、以上の説明から明らかなように、ヒュー
ズ部分のある短冊状の金属蒸着膜を設けたプラスチック
基板上に、前記短冊の上に正極活物質をコーティングし
た正極板を使用することにより、局部的に短絡しても、
短絡を最小限におさえて解消することができ、しかも、
薄く、軽く、強く、かつ、面積の大きな電極として、長
寿命、高性能のものが得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第３図はこの発明の一実施例を示し、第１図は
要部の平面図、第２図は電極をスパイラル状に巻いた状
態の断面図、第３図は第２図のものを電池缶に収納した
状態の断面図である。 （１）……プラスチック基板、（２）……金属蒸着膜、
（2b）……ヒューズ部分、（2c）……短冊部分、（３）
……セグメント電池、（3a）……正極活物質、（４）…
…セパレータ、（６）……負極板、（８）……電池缶。 なお、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 須藤 尚志 千葉県松戸市稔台333番地 東洋高砂乾 電池株式会社開発部内 (72)発明者 平井 実 千葉県松戸市稔台333番地 東洋高砂乾 電池株式会社開発部内 (56)参考文献 特開 昭50−12540（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−216471（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−37970（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−71555（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) H01M 10/40 H01M 4/02 H01M 2/34 H01M 10/04

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】リチウムを主体とする負極板と再充電可能
   な正極板とがセパレータを介在してスパイラル状に巻か
   れ電池缶内に収納されている非水電解液二次電池におい
   て、プラスチック基板の少なくとも片面に、異常電流で
   溶断されるヒューズ部分を有する複数の短冊状の金属蒸
   着膜が形成され、この金属蒸着膜の上に再充電可能な正
   極活物質が短冊状にコーティングされた前記正極板を備
   えたことを特徴とする非水電解液二次電池。