JP2982993B2 - 押出成型板の製造装置 - Google Patents

押出成型板の製造装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は壁部材等として用いられ
る押出成型板の製造装置に関し、特に鉄道、道路や工場
等の防音壁として好適なレゾネータ型の押出成型板の製
造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図7は押出成型板の一例を示した概略断
面図であり、例えば鉄道、道路や工場等の防音壁として
用いられるレゾネータ型の押出成型板を示したものであ
る。図示したようにこの押出成型板20は、その内部に
押出成型板20の長手方向に沿って形成された複数の中
空部21を有している。また押出成型板20の片面側に
は、中空部21と外部とを連通するスリット22が中空
部21の長手方向に沿って形成されている。そしてこの
スリット22と、中空部21とによって所定の音を吸収
するレゾネータが構成されている。
【0003】一方、図示はしないが上記スリット22の
代わりに非連続の複数のホールを中空部21と連通する
状態にして設ける場合がある。この場合も、ホールと中
空部21とでレゾネータが構成される。
【0004】ところで従来、片面側にスリット22が形
成されたレゾネータ型の押出成型板20を成型する場合
には、例えば図8に示したような金型機構42を有する
装置が用いられる。すなわち金型機構42は、原料40
の供給管41の先端に設置されてなるもので、金型機構
42の最も外側は口金43となっている。口金43は、
押出成型板20の外形の断面形状、つまり図7に示す断
面の外周形状に対応した開口43aを有しており、口金
43の内方には口金43との間に所定の空間46を設け
た状態で中玉44が配置されている。
【0005】中玉44は中空部21の断面形状に対応し
た断面を有しており、さらに押出成型板20の片面に対
応する側の口金43と中玉44との外方には、例えば棒
状のスリット成型片45が口金43と中玉44との間の
空間46を跨ぐ状態で設けられている。このスリット成
型片45の幅は、スリット22の幅wと等しい寸法に形
成され、口金43と中玉44との外方に、中玉44の口
金43に対向する面に対して略直交する状態で配置され
ている。そしてこのような装置では、供給管41内の原
料40を一定の圧送力で金型機構42へと押出すことに
より、押出成型板20の押出しと共に中空部21とスリ
ット22とが形成される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記した
装置では、スリット成型片45は例えば棒状をなし、原
料40が押出される方向X(以下、押出し方向Xと略
す)、すなわち押出された押出成型板20の流れ方向の
長さが短い。このため押出成型板20にスリット22が
瞬間的に形成されるが、押出成型板20の流れ方向の長
さが短い分だけスリット22の形状を維持する時間も短
くなってスリット22の幅wにバラツキが生じ、押出成
型板20の押出しと共にスリット22が精度良く形成さ
れないという欠点があった。
【0007】一方、上記した装置は、押出成型板20の
押出しと共に押出し方向Xに連続して開口するスリット
22を形成する装置のため、非連続なホールを中空部2
1に沿って穿設することは難しかった。本発明は上記課
題に鑑みてなされたものであり、押出成型板の押出しと
共にホール、スリットのいずれでも形成することがで
き、また前記押出しと共にスリットを精度良く形成する
ことができる押出成型板の製造装置を提供することを目
的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、原料が投入される供給管と、前記原料を押
出成型板に成型するための金型機構とを備え、前記供給
管に投入された原料を前記金型機構から押し出すことに
よって、内部に中空部を有し、かつ、該中空部と一表面
とを連通するホール又はスリットを有した押出成型板を
形成するように構成された押出成型板の製造装置であっ
て、前記金型機構は、前記押出成型板の外形の断面形状
に対応した開口を有する口金と、前記中空部の断面形状
に対応した断面を有すると共に、前記口金との間に所定
の空間を設けた状態で配置された中玉と、無端状のベル
ト本体と、その表面に前記ホール又はスリットに対応す
る形状に突設された突子又は突条とからなる成型ベルト
とにより構成されてなるもので、該成型ベルトは、前記
押出成型板の片面に対応する側の前記口金と前記中玉と
の間の空間に、前記原料が押出される方向に回転する状
態で配置されると共に、該回転にあたって前記突子又は
前記突条の先端が前記口金の内方から前記中玉に当接し
た状態のままで該中玉に沿って移動するように配置され
ているものである。
【0009】
【作用】本発明装置によれば、無端の成型ベルトに設け
られた突子によって、押出成型板の押出しと共に中空部
に沿って複数のホールが連続して穿設される。このと
き、突子は、成型ベルトの回転に伴って口金の内方から
中玉に当接した状態のままその中玉に沿って移動する。
よって、突子は、ホールを穿設する際に、そのまま規制
ガイドとなってホールの形状を一定時間維持するように
なる。また本発明装置によれば、前記成型ベルトの口金
の内方側に位置する突条が刃となって原料をスリットの
形状にカットする。このとき、突条は、成型ベルトの回
転に伴って口金の内方から中玉に当接した状態のままそ
中玉に沿って移動する。よって、突条は、スリットを
カットする際に、そのまま規制ガイドとなってスリット
の形状を一定時間維持するようになる。これらにより、
金型機構からは、口金に対応した断面形状を有し、か
つ、中玉によってその内部に中空部を有し、さらには突
子又は突条によってホール又はスリットが形成された押
出成型板が押し出される。
【0010】
【実施例】以下、本発明に係る押出成型板の製造装置の
実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明の押出
成型板の製造装置の一例を示した概略図であり、図2は
図1におけるA−A1 線断面図である。この実施例装置
は、前述した中空部21とホール又はスリット22とを
有する押出成型板20を製造するためのものであり、原
料40の供給管10と供給管10の先端に設けられた金
型機構12とを備えている。
【0011】供給管10は、送出部10aと送出部10
aの先端に一体的に設けられた吐出部10bとで構成さ
れ、送出部10aの内部にはスクリュー11が取り付け
られている。スクリュー11は図示しないモータ等の駆
動によって所定方向に回転し、この回転によって内部の
原料40を吐出部10bを経て金型機構12に向けて押
し出す。また金型機構12は、口金13と、その口金1
3との間に所定の空間16を設けた状態で配置された中
玉14と、後述するようにその空間16に配置された成
型ベルト15とからなっている。
【0012】口金13は、押出成型板20の外形の断面
形状に対応した開口13aを有しており、金型機構12
の最も外側に配置される。また中玉14は、中空部21
の断面形状に対応した断面を有し、原料40が押出され
る方向X(以下、押出し方向Xと略す)に沿って設けら
れた支持軸14aにより口金13の開口13a内に配置
される。またこの中玉14は、押出し方向Xに対して略
直交する方向に所定の間隔で複数個配置されている。
【0013】なお中玉14は、口金13から押出された
後の中空部21の変形を確実に防止する点から、その押
出し方向Xの長さを口金13の押出し方向Xの長さより
長く形成することが好ましい。つまり、図1に示したよ
うに中玉14を口金13の先端よりも外方に延出する状
態に形成することが好ましい。
【0014】一方、成型ベルト15は無端状のベルト本
体15aと、その表面にホール又はスリット22に対応
する形状に突設された突子15b又は後述する突条15
cとからなる。ベルト本体15aは、その幅が例えば押
出成型板20の長手方向に対して略直交する方向の寸法
に略等しく形成されており、突子15b又は突条15c
は、ベルト本体15aの幅方向に、上記した中玉14に
対応する間隔で設けられている。またこのような成型ベ
ルト15は、例えばウレタン系のゴム等で形成される。
なお図1及び図2では、突子15bを設けた成型ベルト
15を配置した場合を示している。
【0015】図3は突子15bを設けた成型ベルト15
の一例を示したものであり、(a)は平面図、(b)は
断面図である。突子15bは、図1に示すように片面側
にホール23が形成された押出成型板20を得る場合に
ベルト本体15aに突設されるものであり、例えばホー
ル23を矩形状に形成する場合は、突子15bは図例の
如く角柱状に形成される。そして突子15bは、ベルト
本体15aの幅方向に中玉14に対応する間隔で並設さ
れると共に、例えばベルト本体15aの長手方向におい
ては所定の間隔で列設される。また例えばホール23を
略円形に形成する場合は、図4に示したように突子15
bは円柱状に形成され、図3に示した場合と同様にベル
ト本体15aに突設される。
【0016】図5は突条15cを設けた成型ベルト15
の一例を示したものであり、(a)は平面図、(b)は
断面図である。突条15cは、片面側にスリット22が
形成された押出成型板20を得る場合にベルト本体15
aに設けられるものであり、例えばスリット22を直線
状に形成する場合は、突条15cはスリット22の幅w
に略等しい幅mを有する断面略矩形状に形成される。そ
して突条15cは、ベルト本体15aの幅方向に中玉1
4に対応する間隔で並設されると共に、ベルト本体15
aの長手方向に沿って直線状に設けられる。
【0017】なお、意匠性を高めて例えばスリット22
を波状に形成する場合は、突条15cは図6に示したよ
うに断面略矩形状に形成され、ベルト本体15aの幅方
向に中玉14に対応する間隔で並設されると共に、ベル
ト本体15aの長手方向に沿って波状に設けられる。
【0018】上記のように形成された成型ベルト15
は、その内側の例えば4箇所にガイドローラ17が設置
され、押出成型板20の片面に対応する側の口金13と
中玉14との間の空間16に配置される。そして突子1
5b又は突条15cの先端が中玉14に当接し、かつ押
出し方向Xに回転する状態で設けられる。つまり、成型
ベルト15は上記空間16を、突子15b又は突条15
cの先端が中玉14に当接した状態で押出し方向Xに移
動するように配置される。
【0019】この成型ベルト15の移動は例えば原料4
0の押出し力によってなされ、成型ベルト15は原料4
0の押出速度に合わせて動く。また、図示しない駆動源
によってガイドローラ17を駆動させることにより、成
型ベルト15を原料40の移動速度に同調させて移動さ
せることも可能である。この場合には、成型ベルト15
に対する原料40の抵抗が少なくなって押出しをよりス
ムーズに行わせることができる。
【0020】なお、図1では突子15bを設けた成型ベ
ルト15の例を示しているが、特に突条15cを設けた
成型ベルト15の場合、口金13から押出された後のス
リット22の変形を確実に防止する点から、口金13の
先端より外方でも突条15cの先端が中玉14に当接す
るように成型ベルト15を配置することが好ましい。ま
たこのとき、口金13の先端より外方でかつ口金13近
傍の成型ベルト15上に押さえローラ18を設置するこ
とで、成型ベルト15は突子15b又は突条15cの先
端が中玉14に確実に当接した状態で移動する。
【0021】このように構成された製造装置において
は、原料40を送出部10aから吐出部10bを経て金
型機構12へと押出すと、原料40の押出速度に合わせ
て成型ベルト15が回転し、空間16内を押出し方向X
へと移動する。この際、突子15bが設けられた成型ベ
ルト15においては、突子15bが原料40をカットし
てホール23を形成する。そして突子15bはホール2
3にそのまま挿入された状態で押出し方向Xへと移動
し、その後ホール23から抜ける。
【0022】また突条15cが設けられた成型ベルト1
5においては、口金13の内方側に位置する突条15c
が刃となり、原料40をカットしてスリット22を形成
する。そして、スリット22を形成した突条15cはそ
のまま規制ガイドとなって、押出し方向Xへ移動しなが
らスリット22の形状を一定時間維持し、その後スリッ
ト22から抜ける。
【0023】またホール23又はスリット22の形成と
同時に、中玉14によって口金13の内方より中空部2
1が形成され、中空部21の形状が維持された状態で押
出成型板20が口金13から押出される。つまり、この
実施例装置によれば、中玉14によって口金13の内方
より中空部21が形成されると同時に、成型ベルト15
により中空部21に沿ってホール23、スリット22の
いずれでも形成される。また口金13の内方より形成さ
れたスリット22は、その形状が維持された状態で押出
成型板20と共に押出される。
【0024】またこの実施例では、中玉14は口金13
の先端より外方に延出する状態で設けられているので、
中空部21の形状は口金13から押出された後も中玉1
4によって一定時間引き続き維持される。またさらに口
金13の先端より外方においても、突条15cの先端が
中玉14に当接するように成型ベルト15が配置されて
いれば、スリット22の形状は口金13から押出された
後も突条15cによって一定時間引き続き維持される。
その結果、口金13から押出された後の中空部21とス
リット22の変形が確実に防止される。
【0025】したがってこの実施例の製造装置によれ
ば、押出成型板20の押出しと共に中空部21に沿って
ホール23を連続して穿設することができ、又は中空部
21に沿ってスリット22を形成することができる。し
かもスリット22を形成する場合、押出成型板20の押
出しと共にスリット22を精度良く形成することができ
る。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように本発明装置において
は、無端の成型ベルトを設けているので、押出成型板の
押出しと共に中空部に沿ってホールを連続して穿設する
ことができ、又は前記中空部に沿ってスリットを形成す
ることができる。つまり前記押出成型板の押出しと共
に、前記ホール、前記スリットのいずれでも形成可能と
なる。また前記ホール又は前記スリットは口金の内方よ
り形成され、その形状が一定時間維持された状態で押出
されるので、前記押出成型板の押出しと共に前記ホール
又は前記スリットを精度良く形成することができる。こ
のことは、特定の音域に高い吸音効果を有するレゾネー
タ型の押出成型板を製造するうえで非常に有効なものと
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の押出成型板の製造装置の一例を示した
概略図である。
【図2】図1におけるA−A1 線断面図である。
【図3】突子を設けた成型ベルトの一例の(a)は平面
図、(b)は断面図である。
【図4】突子を設けた成型ベルトの他の例の部分平面図
である。
【図5】突条を設けた成型ベルトの一例の(a)は平面
図、(b)は断面図である。
【図6】突条を設けた成型ベルトの他の例の部分平面図
である。
【図7】押出成型板の一例を示した断面図である。
【図8】従来の押出成型板の製造装置の一例を示した断
面図である。
【符号の説明】
10 供給管 12 金型機構 13 口金 13a 開口 14 中玉 15 成型ベルト 15a ベルト本体 15b 突子 15c 突条 16 空間 20 押出成型板 21 中空部 22 スリット 23 ホール 40 原料 X 押出し方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 邑橋 将男 東京都中央区銀座2丁目15番2号 株式 会社ノザワ 東京本社内 (72)発明者 瀬戸 元裕 東京都中央区銀座2丁目15番2号 株式 会社ノザワ 東京本社内 (56)参考文献 特開 昭51−82924(JP,A) 特公 平1−26844(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B28B 3/20

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料が投入される供給管と、前記原料を
    押出成型板に成型するための金型機構とを備え、前記供
    給管に投入された原料を前記金型機構から押し出すこと
    によって、内部に中空部を有し、かつ、該中空部と一表
    面とを連通するホール又はスリットを有した押出成型板
    を形成するように構成された押出成型板の製造装置であ
    って、 前記金型機構は、 前記押出成型板の外形の断面形状に対応した開口を有す
    る口金と、 前記中空部の断面形状に対応した断面を有すると共に、
    前記口金との間に所定の空間を設けた状態で配置された
    中玉と、 無端状のベルト本体と、その表面に前記ホール又はスリ
    ットに対応する形状に突設された突子又は突条とからな
    る成型ベルトとにより構成されてなるもので、 該成型ベルトは、前記押出成型板の片面に対応する側の
    前記口金と前記中玉との間の空間に、前記原料が押出さ
    れる方向に回転する状態で配置されると共に、該回転に
    あたって前記突子又は前記突条の先端が前記口金の内方
    から前記中玉に当接した状態のままで該中玉に沿って移
    動するように配置されていることを特徴とする押出成型
    板の製造装置。
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