JP2981494B2 - 金属の洗浄剤およびこれを用いた金属の洗浄方法 - Google Patents

金属の洗浄剤およびこれを用いた金属の洗浄方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ステンレス鋼線などの
金属を洗浄するための洗浄剤およびこれを用いた金属の
洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ステンレスの伸線加工時に
は、潤滑剤としてオイル(鉱物油)を表面に塗布した
り、あるいはステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナ
トリウムなどの潤滑性粉末を塩素系樹脂(ポリ塩化ビニ
ルなど)やフッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン
など)を介して金属表面に付着させて潤滑皮膜を形成さ
せている。
【0003】そのため、伸線加工後、光輝焼鈍熱処理を
施す場合はこれらの潤滑剤または潤滑皮膜を速やかに除
去するために、洗浄工程が必要になる。従来の洗浄方法
としては、以下のようなものが知られている。 (1) 加温したリン酸中に浸漬する方法 (2) リン酸中で電解脱脂を行う方法 (3) 硫酸、塩酸などの安価な酸中で電解洗浄を行う方法 (4) アルカリ性の水溶液中に加温した状態で浸漬する方
法 (5) パークロロエチレンなどの有機溶剤中に浸漬する方
法 (6) パークロロエチレンなどの有機溶剤の蒸気中で洗浄
する方法 (7) ショットブラストなどの研磨手段により物理的に皮
膜を除去する方法。
【0004】また、これらに超音波やブラッシングなど
の物理的振動を与えて洗浄効果を上げる方法も知られて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
洗浄方法のうち、(1) 〜(3) の方法は、無機酸と金属表
面の潤滑皮膜との親和性を高めるために界面活性剤が必
要である。そのため、洗浄後の排水のCODおよびBO
Dが高くなり、水質汚濁をひき起こす。そのため、排水
を大量の水で希釈するか、あるいは排水に活性炭を投入
して処理するなどの新たな投資が必要になる。また、界
面活性剤の使用は泡立ちが不可避であるため、消泡剤な
どのランニングコストが高くなるという問題がある。
【0006】基本的に(1) 〜(4) の方法は、オイルなど
の脱脂洗浄に使用されてきたが、洗浄力は不十分であ
り、とくに樹脂皮膜の洗浄除去には充分でないという欠
点がある。また、(1) および(4) の方法は、特に加温し
て使用するため、作業性に劣り、また蒸発量が大きいた
め液の濃度管理を慎重に行う必要があり、中和滴定作業
等の液管理に手間がかかる。さらに、液温を常に60〜
80℃に維持する必要があるため、熱エネルギーの負担
が大きく、作業者にも火傷などの危険を伴う。また、リ
ン酸を主体とした液を高温で維持するため、腐食対策の
うえから洗浄設備の材質選定が非常に狭められるという
問題もある。
【0007】上記(5) および(6) の方法は、樹脂皮膜の
洗浄除去には優れるものの、有機溶媒の蒸気は有害であ
り、とくにパークロロエチレンは発癌物質であり、19
90年より水質汚濁法における有害物質の指定を受けて
いる。従って、パークロロエチレンなどの有機溶剤を大
量に使用する上記の方法は好ましくない。また、これら
の(1) 〜(6) の方法では、液寿命が1週間から1カ月余
りと短いため、廃液の処理問題や、液入れ替えのための
作業負担、生産性のロスなどがある。
【0008】これに対して、上記(7) の方法は、環境面
でクリーンであるが、細線などには適用できず、また太
線、板材に適用したとしても、表面の仕上がりが粗く、
引抜きによる光沢を意図した製品には適用できない。従
って、本発明の主たる目的は、界面活性剤を使用するこ
とによる水質汚濁などの問題を発生させることなく、高
い洗浄力を有する金属の洗浄剤およびこれを用いた金属
の洗浄方法を提供することである。
【0009】本発明の他の目的は、洗浄時に電気エネル
ギーや熱エネルギーを必要とせず、加温などによる洗浄
装置の維持管理の負担が軽減され、かつ洗浄液の管理も
容易である常温洗浄を可能にした金属の洗浄剤およびこ
れを用いた金属の洗浄方法を提供することである。本発
明のさらに他の目的は、液寿命が長いために、長期間に
わたって連続使用でき、しかも洗浄槽を腐食させたりす
るなどの弊害がなく、さらに金属の形状のいかんを問わ
ず高い洗浄力を有する金属の洗浄剤およびこれを用いた
金属の洗浄方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段および作用】本発明者ら
は、上記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結
果、水に混和しない油状層と、無機電解質および有機酸
を含有した水層とを有し、前記油状層の含有割合が全体
の1.0〜70重量%である金属の洗浄剤を使用すると
きは、驚くべきことに、界面活性剤を使用せずに常温で
金属表面の潤滑皮膜を高い洗浄力で洗浄できるという新
たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明の洗浄剤は、界面活性剤
を使用しない、いわゆる油水分離構造であり、油状層は
水層上に浮上する。従来の界面活性剤を使用した洗浄剤
では、被洗浄物であるステアリン酸カルシウム等の被洗
浄物は界面活性剤の有する可溶化作用により水に溶解さ
れるが、本発明のように界面活性剤を含有しないセパレ
ートタイプの洗浄剤では、上記のような被洗浄物は水に
は溶解せず、油状層に溶解される。
【0012】すなわち、本発明の洗浄剤による洗浄機構
は以下のようなものと推測される。なお、説明の便宜
上、被洗浄物である金属表面の潤滑皮膜はステアリン酸
カルシウムであるとする。まず本発明の洗浄剤を常温下
で攪拌して油状層を水層内にコロイド状に分散させる。
その状態で金属を洗浄剤内に浸漬すると、皮膜に油状層
を構成する油状物および水層内の成分が接触し、皮膜へ
の浸透作用、皮膜の膨潤作用などが生じ、ついには皮膜
を金属から剥離させて水層内の油状液滴内に包含するよ
うになる。これは、油状層を構成する油状物が、皮膜成
分であるステアリン酸カルシウムに対して水よりも高い
同質性と高い親和性を有するためである。例えば衣服に
ついた油汚れは水よりも灯油などで拭くと、よく落ちる
のと同じ原理である。
【0013】皮膜を金属から剥離させてコロイド状に水
層内に分散させた後、水層内の無機電解質(例えば硝
酸)がステアリン酸カルシウムと反応してステアリン酸
と硝酸カルシウムとを生成する。生成したステアリン酸
は油状層の新たな構成成分となって、引き続き洗浄に利
用される。このように、金属表面から除去された皮膜の
殆どは油状層内に存在し水層内には含有されないため、
界面活性剤を使用する場合のように水層が皮膜成分で飽
和することがなく、長期間にわたって高い洗浄力を維持
でき、連続使用が可能となる。
【0014】ところで、上記構成では、無機電解質はス
テアリン酸カルシウムと反応して消耗されるため、無機
電解質を洗浄初期より多量に含有させるか、あるいは洗
浄中に消耗分を補充する必要がある。また、水層には、
生成した硝酸カルシウムが含有されることになる。そこ
で、上記水層に無機電解質と共に有機酸を含有させる
と、前記の反応で生成した硝酸カルシウムが有機酸と反
応して硝酸を再生させ、有機酸のカルシウム塩を沈降さ
せる。従って、少量の硝酸を水層に含有させるだけで、
洗浄を連続的に行うことができるようになる。なお、生
成したカルシウム塩は適宜フィルター等で除去すればよ
い。
【0015】すなわち、本発明は、水に混和しない油状
層と、無機電解質および有機酸を含有した水層とからな
る金属の洗浄剤をも提供するものである。前述の洗浄機
構は、被洗浄物がステアリン酸カルシウムの場合につい
てのものであるが、被洗浄物がオイルや樹脂皮膜の場合
にも同様の洗浄機構で洗浄が行われるものと推測され
る。
【0016】また、本発明の金属の洗浄方法は、前述の
説明から明らかなように、攪拌などによって、水に混和
しない油状層を、無機電解質および必要に応じて有機酸
を含有した水層にコロイド状に分散させた状態で、金属
表面を洗浄することを特徴とする。とくに、本発明の洗
浄方法は、洗浄を常温(通常、約1〜45℃)で行うの
が好ましい。もし洗浄を加温して行うと、水層中の無機
電解質が被洗浄物皮膜と反応して消耗されるおそれがあ
る。
【0017】本発明における油状層は、例えば高級脂肪
酸、炭化水素油、非水溶性の有機溶媒などの油状物から
なる。ここで、上記高級脂肪酸としては、例えばステア
リン酸、リノール酸、オレイン酸などの炭素数が6以
上、好ましくは炭素数が11以上の飽和または不飽和高
級脂肪酸があげられ、特に常温で液状である不飽和高級
脂肪酸を使用するのが好ましい。また、炭化水素油とし
ては、例えばミネラルスピリッツ、軽油、灯油、工業ガ
ソリン、ナタネ油、アマニ油、綿実油などがあげられ
る。非水溶性の有機溶媒としては、種々の有機溶媒が使
用可能であり、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、
クメン、ナフタレンなどの芳香族炭化水素、プロパン、
ブタン、ヘプタン、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化
水素、さらに石油エーテル、石油ナフサ、ソルベントナ
フサなどがあげられる。これらの油状物は2種以上を混
合して用いてもよい。
【0018】使用する油状物は、同質性のうえから、被
洗浄物と同一または類縁化合物であるのが好ましい。例
えば被洗浄物がステアリン酸カルシウムである場合、油
状物はこれと同質で親和性のあるリノール酸および/ま
たはオレイン酸を使用するのがよい。上記有機溶媒は、
従来のパークロロエチレンのように大量に使用すると人
体に対する有害性や火災などの危険性があるが、本発明
のように水に加えて使用する場合は、有機溶媒を単独で
使用する場合に比べて、その使用量が少ないため、有害
性や火災などの危険性を低減することができる。
【0019】上記油状物は、洗浄剤総量に対して1.0
〜70重量%、好ましくは10〜15重量%の割合で水
に添加される。油状物の添加量が1.0重量%よりも少
ないときは、充分な洗浄力を発揮できなくなるおそれが
ある。また、油状物の添加量が70重量%よりも多い
と、油分の再付着により再脱脂洗浄を行わなければなら
なくなるおそれがある。
【0020】また、上記無機電解質としては、例えば前
述した硝酸のほか、硫酸、塩酸、リン酸などの無機酸、
塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸
カリウム、硫酸ナトリウムなどの無機塩があげられる。
使用にあたっては、これらの無機電解質から、洗浄され
る金属に対して腐食性がないものを選択すればよい。か
かる無機電解質は、洗浄剤総量に対して3〜30重量
%、好ましくは3〜5重量%の割合で水に添加される。
無機電解質の添加量が3重量%よりも少ないときは、洗
浄が不充分でかつ洗浄剤の寿命が極端に短くなるおそれ
がある。また、無機電解質の添加量が30重量%よりも
多いと、亜硝酸ガスの発生や、劇物となり、取扱いが危
険になるおそれがある。
【0021】さらに、上記有機酸としては、特に限定さ
れるものではなく、例えば一塩基性もしくは二塩基性の
低級カルボン酸、オキシカルボン酸、アミノカルボン酸
などがあげられる。一塩基性の低級カルボン酸として
は、例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、
カプロン酸などの炭素数1〜6の飽和脂肪酸やアクリル
酸、クロトン酸などの炭素数1〜6の不飽和脂肪酸など
があげられる。また、二塩基性の低級カルボン酸として
は、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル
酸、アジピン酸などの炭素数1〜6の二塩基性低級カル
ボン酸があげられる。オキシカルボン酸としては、例え
ばクエン酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、ヘプト
ン酸などがあげられる。アミノカルボン酸としては、例
えばエチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミ
ンペンタ酢酸、ニトリロトリ酢酸などがあげられる。こ
れらの有機酸は2種以上を混合して使用してもよい。
【0022】これらの有機酸は、洗浄剤総量に対して1
0重量%以上、好ましくは20重量%以上の割合で水に
添加される。有機酸の添加量が10重量%よりも少ない
と、洗浄剤の寿命が極端に短くなるおそれがある。次
に、本発明の洗浄剤を使用した洗浄方法を説明する。本
発明の洗浄剤を入れた洗浄槽はステンレス鋼線などの伸
線機の最終ダイス直後または光輝焼鈍炉前に設置され、
伸線または熱処理と連続で浸漬洗浄処理される。いずれ
の場合も、洗浄槽の後に水洗槽を設けて、すすぎを行
う。このすすぎにおいて、線材に付着した洗浄液が洗い
流され、排出されるが、本発明の洗浄剤は、界面活性剤
を含有していないため、従来の洗浄剤のように、流出す
る水洗水の水質負荷が高くなったり、また発泡の問題も
生じたりすることがない。
【0023】洗浄の間、洗浄槽内の洗浄剤は常温に維持
され、攪拌される。攪拌は、油状物の小さな液滴が水層
中にコロイド状に均一に分散するように強く攪拌するの
が好ましい。洗浄するステンレス鋼線は、伸線機後で
は、洗浄槽内に常温で約1秒間〜3秒間浸漬し、光輝焼
鈍炉前では約10秒間〜20秒間浸漬する。
【0024】洗浄剤が寿命にきた場合、伸線機などの設
備を停止させた後、洗浄剤の総入替えを行わなければな
らないが、本発明の洗浄剤は極めて長寿命が期待できる
ため、各設備を長時間停止させることがなく、従って生
産性を損なうことがない。洗浄槽内の沈澱物はフィルタ
ー等を用いて連続的に除去し、洗浄操作中は、自然に減
少した分の洗浄剤だけを補充するだけで、殆ど半永久的
に洗浄を行うことができる。
【0025】
【実施例】
実施例1 鉱物油を使用して冷間圧延したステンレス異形線(断面
が10mm×1mmの矩形、SUS304相当品)か
ら、鉱物油を除去する洗浄を行った。使用した洗浄剤の
組成は以下のとおりである。
【0026】 (成 分) (重量%) オレイン酸 9.5 リノール酸 4.0 硝酸 3.5 コハク酸 34.5 水 残り この洗浄剤は、作成後直ちにオレイン酸とリノール酸と
からなる油状層と、硝酸およびコハク酸を含有した水層
とに分離した。
【0027】洗浄は、常温(30℃)に維持した洗浄剤
を攪拌しながら、これに上記ステンレス異形線を10秒
間浸漬した。 比較例1〜7 表1に示す洗浄剤を用いて同表に示す条件および方法に
て、実施例1と同じステンレス異形線の洗浄を行った。 <洗浄能力の評価> 1.ガーゼ・テスト 白ガーゼで洗浄後のステンレス異形線表面をぬぐい、ガ
ーゼの汚れ具合を観察した。その結果、汚れの全くない
ものを◎、殆ど汚れのないものを○、汚れのあるものを
×として評価した。 2.EPMA(電子プローブX線マイクロアナライザ
ー)分析 洗浄後のステンレス異形線表面の5カ所の炭素量をEP
MAで分析し、その平均値を求めた。なお、洗浄前の分
析値は1023cpsであった。
【0028】これらの評価結果を表1に併せて示す。
【0029】
【表1】
【0030】表1の結果から、実施例1で使用した洗浄
剤は鉱物油皮膜に対して、非常に高い洗浄力を有しいる
ことがわかる。 実施例2 熱間圧延して得た直径5.5mmのステンレス線材(S
US304相当品)に酸洗いを施し、ついでフッ素樹脂
であるテトラフルオロエチレン樹脂の粉末を分散させた
液中に浸漬してフッ素樹脂コーティングした後、ステア
リン酸カルシウムを主成分とする伸線潤滑粉末を用いて
伸線した。伸線には、直径を5.5mmから2.3mm
まで9枚のダイスを用いた連続伸線機でステンレス線材
を引抜いて行った。
【0031】ついで、伸線したステンレス線材を、実施
例1と同じ組成の洗浄剤で洗浄した。洗浄は実施例1と
同様に30℃で10秒間浸漬して行った。 比較例8〜14 表2に示す洗浄剤を用いて同表に示す条件および方法に
て、実施例1と同じステンレス線剤の洗浄を行った。 <洗浄能力の評価> 1.ガーゼ・テスト 実施例1と同様にしてガーゼの汚れ具合を観察し、汚れ
の全くないものを◎、殆ど汚れのないものを○、汚れの
あるものを×として評価した。 2.EPMA(電子プローブX線マイクロアナライザ
ー)分析 (1) 洗浄後のステンレス線剤表面の5カ所のフッ素量を
EPMAで分析し、その平均値から脱フッ素樹脂能力を
評価した。なお、洗浄前の分析値は6100cpsであ
った。
【0032】(2) 洗浄後のステンレス線材表面の5カ所
のカルシウム量をEPMAで分析し、その平均値から脱
ステアリン酸カルシウム能力を評価した。なお、洗浄前
の分析値は3533cpsであった。 3.残存皮膜重量の測定 洗浄後のステンレス線材表面を実施例1と同じ洗浄剤に
3時間もの長時間浸漬して、完全に潤滑皮膜を除去され
たことを線材の表面分析により確認した後、線材の重量
を測定し、洗浄前と洗浄後の重量変化から潤滑剤の残存
皮膜重量(mg/m2 )を求めた。なお、洗浄前の皮膜
重量は2100mg/m2 であった。
【0033】これらの評価結果を表2に併せて示す。
【0034】
【表2】
【0035】表2の結果から、実施例2で使用した洗浄
剤(これは実施例1と同じものである)はフッ素樹脂と
ステアリン酸カルシウムとからなる潤滑皮膜に対して
も、非常に高い洗浄力を有しいることがわかる。 実施例3〜10および比較例15〜16 リノール酸とオレイン酸とを1:3(重量比)で含有し
た高級脂肪酸とコハク酸と硝酸とを配合量を変えて水に
加え、各洗浄剤を作製した。各実施例および比較例の配
合量を実施例2のそれと共に表3、表4に示す。
【0036】得られた各洗浄剤を用いて実施例2と同様
にしてステンレス線材の洗浄を行い、ついでガーゼ・テ
ストを実施し、汚れの全くないものを◎、殆ど汚れのな
いものを○、わずかに汚れのあるものを△、汚れのある
ものを×として評価した。また、各洗浄剤の寿命を調べ
た。フッ素樹脂(テトラフルオロエチレン樹脂)コーテ
ィング層とその上に形成したステアリン酸カルシウムを
主成分とする伸線潤滑皮膜とを有する直径3.5mmの
ステンレス線材(SUS304相当品)を、実際の洗浄
浴(洗浄剤量:600リットル)の1/100のスケー
ルで洗浄を行い、洗浄剤を総入れ替えするまでの処理線
材の量を実際の洗浄浴(600リットル)での処理量に
換算して洗浄剤の寿命を評価した。なお、洗浄剤の総入
れ替えは、洗浄力が低下して上記ガーゼ・テストにおけ
る評価が×となったときに行う。
【0037】これらの評価結果を表3、表4に併せて示
す。
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】なお、比較例17において、洗浄剤に実施
例と同じ高級脂肪酸を後添加すると、洗浄能力および寿
命がともに向上した。 実施例11〜14 実施例2で使用した高級脂肪酸(オレイン酸:リノール
酸=7:3)に代えて、表5に示す各油状物を13.5
重量%の割合で添加したほかは実施例2と同様にして油
状層と水層とに分離した洗浄剤を得た。
【0041】ついで、各実施例の洗浄剤を用いて、実施
例2と同じ被洗浄物を実施例2と同様にして洗浄した。
洗浄能力の評価は実施例2と同様にして行い、また洗浄
剤寿命である鋼材処理量は実施例3〜10と同様にして
測定した。それらの結果を表5に併せて示す。なお、同
表には実施例2の結果も示した。
【0042】
【表5】
【0043】表5から、油状物として高級脂肪酸のほか
に、炭化水素油および非水溶性の有機溶媒を用いた場合
も、高い洗浄能力と長い洗浄剤寿命が達成できることが
わかる。 試験例1(洗浄剤の水質の比較) 下記の各洗浄剤について、その原液のCODおよびBO
Dを測定した。CODはJIS K 010217に準
拠し、BODはJIS K 010221に準拠して測
定した。
【0044】サンプルa:加温型リン酸系洗浄剤(リン
酸を50重量%含有) サンプルb:電解型リン酸系洗浄剤(リン酸を50重量
%含有) サンプルc:加温型アルカリ系系洗浄剤(NaOHを1
0重量%含有) サンプルd:実施例1の洗浄剤
【0045】
【表6】
【0046】試験例2(洗浄剤寿命の比較) 洗浄剤として上記試験例1で用いたサンプルa,bおよ
びdを用いて、フッ素樹脂(テトラフルオロエチレン樹
脂)コーティング層とその上に形成したステアリン酸カ
ルシウムを主成分とする伸線潤滑皮膜とを有する直径
3.5mmのステンレス線材(SUS304相当品)を
各洗浄浴(洗浄剤量:600リットル)に浸漬して洗浄
を行い、洗浄剤を総入れ替えするまでの処理線材の量を
測定して洗浄剤の寿命を評価した。なお、洗浄剤の総入
れ替えは、洗浄力が低下して上記ガーゼ・テストにおけ
る評価が×となったときに行う。
【0047】その結果、実施例1の洗浄剤であるサンプ
ルdでは処理線材量が640トンであったのに対して、
サンプルaおよびbではそれぞれ190トンおよび60
トンであり、実施例1の洗浄剤は洗浄剤寿命に優れてい
た。
【0048】
【発明の効果】本発明の洗浄剤によれば、金属表面の潤
滑皮膜等に対して高い洗浄力を有すると共に、界面活性
剤を含有しないので、水質汚濁などの問題を発生させる
ことがない。また、本発明の洗浄剤は、液寿命が長いた
めに、長期間にわたって継続使用でき、しかも洗浄槽を
腐食させたりするなどの弊害がなく、さらに金属の形状
のいかんを問わず高い洗浄力を有する。
【0049】さらに、本発明の洗浄方法によれば、常温
で洗浄を行うことができるので、洗浄時に電気エネルギ
ーや熱エネルギーを必要とせず、従って加温などによる
洗浄装置の維持管理の負担が軽減され、かつ洗浄液の管
理も容易である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23G 5/032

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水に混和しない油状層と、無機電解質およ
    び有機酸を含有した水層とを有し、前記油状層の含有割
    合が全体の1.0〜70重量%であることを特徴とする
    金属の洗浄剤。
  2. 【請求項2】前記油状層が液状の高級脂肪酸、炭化水素
    油または非水溶性の有機溶媒である請求項1記載の金属
    の洗浄剤。
  3. 【請求項3】前記無機電解質が無機酸である請求項1記
    載の金属の洗浄剤。
  4. 【請求項4】前記有機酸が一塩基性もしくは二塩基性の
    低級カルボン酸、オキシカルボン酸またはアミノカルボ
    ン酸である請求項記載の金属の洗浄剤。
  5. 【請求項5】撹拌などによって、水に混和しない油状層
    を、無機電解質および有機酸を含有した水層にコロイド
    状に分散させた状態で、金属表面を洗浄することを特徴
    とする金属の洗浄方法。
  6. 【請求項6】洗浄が常温下で行われる請求項記載の金
    属の洗浄方法。
  7. 【請求項7】洗浄により生成した析出物を除去しなが
    ら、洗浄剤を連続使用する請求項記載の金属の洗浄方
    法。
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