JP2981158B2 - 基礎構造物の構築方法 - Google Patents

基礎構造物の構築方法

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JP2981158B2
JP2981158B2 JP7254508A JP25450895A JP2981158B2 JP 2981158 B2 JP2981158 B2 JP 2981158B2 JP 7254508 A JP7254508 A JP 7254508A JP 25450895 A JP25450895 A JP 25450895A JP 2981158 B2 JP2981158 B2 JP 2981158B2
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広一 藤木
紀明 仙頭
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Kumagai Gumi Co Ltd
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Kumagai Gumi Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物、道路その
他の地上構造物のための基礎構造物を構築する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】傾斜基盤上の液状化地盤に埋設され、杭
基礎を介して基盤上に支持された埋設物を流線形に形成
した、地盤の液状化による埋設物の永久変形防止装置が
提案されている(特開平1-102129号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】地盤中の埋設物を流線
形にすることによって、地盤の液状化現象に基づく地盤
の流動による抵抗力を低減できる。しかし、埋設物が建
築物、道路その他の地上構造物のための基礎構造物の杭
基礎又は壁基礎である場合、全ての杭基礎又は壁基礎を
流線形にすることは、その構築方法を非常に複雑にし、
そのために膨大な費用がかかかると予測される。
【0004】本発明は、地盤中の基礎構造物に及ぼされ
る流動の影響を少なくできる、基礎構造物の構築方法を
提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、地盤が流動す
る可能性のある地盤中に複数の杭基礎を有する基礎構造
物を構築する方法である。まず、前記複数の杭基礎を、
複数の列であってそれぞれの列に複数の杭基礎が含まれ
るように複数の列に配分して、かつ、各列に含まれる複
数の杭基礎が前記地盤の流動方向に実質的に一直線状に
位置するように配列して構築する。その後、前記各列に
含まれる複数の杭基礎それぞれの外周面上の2つの周部
分であってそれぞれの杭基礎の中心軸線を含み、地盤の
流動方向に実質的に直交する仮想平面が前記外周面と交
差する部位にある2つの周部分のうち、各列において隣
り合って位置する杭基礎相互の同一側に位置する周部分
を板材で連結する。
【0006】本発明はまた、地盤が流動する可能性のあ
る地盤中に複数の壁基礎を有する基礎構造物を構築する
方法である。前記複数の壁基礎のそれぞれが地盤の流動
する方向に伸びるように前記複数の壁基礎を配列して、
かつ、各壁基礎を他の壁基礎から独立させて構築する。
【0007】
【作用および効果】請求項1に記載の発明によって構築
した基礎構造物によれば、各列にある複数の杭基礎はそ
の両側を板材で囲まれているため、地震時に地盤の強度
が減少して液状化現象が起こると、地盤は板材に沿って
流動し、各列の最も上流側の杭基礎を除く杭基礎には流
動した地盤が回り込まない。したがって、杭基礎だけで
あれば個々の杭基礎に及ぼされることとなる地盤の流動
の力、いわゆる流動力が、本発明では各列の上流側の杭
基礎に及ぼされる。しかし、板材に及ぼされるのは前記
流動に基づく摩擦力であり、この場合の摩擦力は流動力
と比べて小さいことから、基礎構造物の複数の杭基礎に
及ぼされる全体の力が小さくなる。これによって、基礎
構造物の杭基礎の本数を少なくでき、基礎構造物の構築
に掛かるコストを低減できる。
【0008】請求項2に記載の発明によって構築した基
礎構造物によれば、複数の壁基礎のそれぞれが地盤の流
動する方向に伸びるように配列してあるため、地震時に
地盤の強度が減少して液状化現象が起こると、地盤は壁
基礎に沿って流動する。この場合、壁基礎は地盤の流動
する方向に伸びているため、流動力を受ける壁基礎の上
流側の有効面は最小であり、複数の壁基礎に及ぼされる
全体の力が小さくなる。これによって、基礎構造物の壁
基礎の断面積を小さくすることができ、基礎構造物の構
築に掛かるコストを低減できる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明によって構築すべき基礎構
造物は、地盤が流動する可能性のある地盤中にある。軟
弱な砂質土地盤が支持地盤上で傾斜していたり、たわみ
やすい締切り工または護岸工でせき止められていたりす
る場合に、地盤の液状化に伴って地盤が流動する。すな
わち、地盤が傾斜している場合には、地盤は傾斜の上側
から下側へ向けて流れ、また締切り工または護岸工でせ
き止められている場合には、地盤は締切り工または護岸
工へ向けて流動する。
【0010】そこで、前記のような流動が生ずる可能性
のある場所の基礎構造物を本発明に従って構築する。基
礎構造物を複数の杭基礎で支持させる場合には、まず、
複数の杭基礎を、複数の列であってそれぞれの列に複数
の杭基礎が含まれるように複数の列に配分して、かつ、
各列に含まれる複数の杭基礎が地盤の流動する方向に実
質的に一直線状に位置するように配列して構築する。前
記配分と配列とは、基礎構造物に必要とされる設計強度
に基づいて定めることができる。
【0011】前記配分と配列とを定めた後、杭が既製杭
である場合には、シートパイルを杭に沿って打設すると
きに用いる2つのガイドを既製杭に、2つのガイドが杭
の外周面と杭の中心軸線を含む仮想平面との2つの交差
部分に位置するように予め取り付けておく。そして、前
記仮想平面が地盤の流動方向に実質的に直交するように
既製杭を地盤に打設する。これを繰り返して各列の複数
の杭基礎を得る。その後、前記各列に含まれる複数の杭
基礎それぞれの2つのガイドのうち、各列において地盤
の流動方向において隣り合って位置する杭基礎相互の同
一側にあるガイドに沿ってシートパイルを打ち込んで杭
基礎を板材で連結する。
【0012】また、杭が現場打ち杭である場合には、杭
となるべき穴の掘削と同時にまたは穴の掘削後に、2つ
のガイド用溝を、2つのガイド用溝が杭の周上に位置し
ていて杭となるべき穴の軸線方向へ伸び、かつ、2つの
ガイド用溝を結合する仮想平面が地盤の流動方向に実質
的に直交するように掘削する。これを繰り返して各列の
複数の穴とガイド用溝とを得る。その後、各穴及びガイ
ド用溝への杭のための鉄筋の建て込みと同時にガイドを
建て込み、コンクリートを打設して杭基礎を得る。コン
クリートが硬化した後、各列に含まれる複数の杭基礎そ
れぞれの2つのガイドのうち、各列において地盤の流動
方向において隣り合って位置する杭基礎相互の同一側に
あるガイドに沿ってシートパイルを打ち込んで杭基礎を
板材で連結する。
【0013】基礎構造物を複数の壁基礎で支持させる場
合には、複数の壁基礎のそれぞれが地盤の流動する方向
に伸びるように複数の壁基礎を配列して構築するが、こ
の場合、各壁基礎が他の壁基礎に連結されることなく、
独立するように構築する。
【0014】
【実施例】第1の実施例を示す図1および図2を参照す
るに、本発明に係る構築方法は、地盤12が流動する可
能性のある地盤中に基礎構造物10を構築するに際し、
基礎構造物10が流動Aから及ぼされる影響を少なくす
るように基礎構造物10を構築する。
【0015】地盤12は、図6の(a)に示すように、
軟弱な砂質土地盤であって支持地盤14上で傾斜してい
るもので、地震時に地盤の強度が急激に減少して液体の
ような挙動を示す液状化現象が発生しやすい。この液状
化現象による地盤12の流動Aが基礎構造物10に力を
及ぼす。また、図6の(b)に示すように、支持地盤1
4上の軟弱な砂質土地盤16が締切り工または護岸工1
8でせき止められている場合にも、地震時の液状化現象
による地盤16の流動Bが基礎構造物10に力を及ぼ
す。
【0016】基礎構造物10は建築物、道路その他の構
造物の基礎となるもので、この上に建築物、道路その他
の構造物が構築される。したがって、地盤の流動が基礎
構造物10に及ぼす影響を少なくすることは、建築物、
道路その他の構造物の機能が損なわれるのを防止する上
で重要である。
【0017】地盤の流動が生ずる可能性のある場所に基
礎構造物10を構築するには、図1及び図2を参照し
て、まず、基礎構造物10を支える複数の杭基礎を、複
数の列のそれぞれに複数の杭基礎が含まれるように複数
の列に配分する。図示の実施例では、9本の杭基礎を各
列20、22、24に3つの杭基礎が含まれるように配
分している。すなわち、列20には3つの杭基礎20
A、20B、20Cが、列22には3つの杭基礎22
A、22B、22Cが、そして列24には3つの杭基礎
24A、24B、24Cが含まれるように配分してい
る。さらに、各列20、22、24に含まれる3つの杭
基礎が地盤の流動する方向Aに実質的に一直線状に位置
するように配列して杭基礎を構築する。
【0018】図3に示す実施例では、既製杭26を杭基
礎として使用して、各列の3つの杭基礎を地盤の流動す
る方向Aへ一直線状に配列する態様を示している。既製
杭26には、シートパイルを杭に沿って打設するときに
用いる2つのガイド28を、2つのガイド28が杭の周
面と杭の中心軸線を含む仮想平面との2つの交線上に位
置するように、既製杭26の外側面に予め取り付けてお
く。図示の実施例では、中間に位置することとなる既製
杭26の2つのガイド30は、両端に位置することとな
る既製杭26の2つのガイド28とは異なる形状であ
る。
【0019】各既製杭26の2つのガイド28、28又
は2つのガイド30、30を結合する仮想平面Pが地盤
の流動する方向Aに実質的に直交するように既製杭26
を支持地盤まで打設する。これを繰り返して各列に3つ
の既製杭26を打設する。その後、各列に含まれる3つ
の既製杭26それぞれの2つのガイド28、28又は2
つのガイド30、30のうち、隣り合って位置する既製
杭26の同一側にあるガイド28、30に沿ってシート
パイル32を打ち込んで既製杭26を連結する。そうす
ると、各列に含まれる3つの既製杭26を連結する板材
であるシートパイル32は、地盤の流動する方向Aに実
質的に直交する方向で最も離れた既製杭の2つの周部分
を連結することとなる。杭基礎を構築した後、複数の杭
基礎の上にフーチング34を構築して、基礎構造物10
が完成する。
【0020】第2の実施例を示す図4および図5を参照
するに、本発明に係る構築方法は、地盤12が流動する
可能性のある地盤中に基礎構造物40を構築するに際
し、基礎構造物40が流動Aから及ぼされる影響を少な
くするように基礎構造物40を構築する。基礎構造物4
0は複数の、図示の実施例では3つの壁基礎42、4
4、46を有する。そこで、3つの壁基礎42、44、
46のそれぞれが地盤の流動する方向Aに伸びるように
3つの壁基礎42、44、46を配列して構築する。こ
の構築の際、壁基礎相互を結合するものがフーチング4
8の他には地盤12には存在しないように、各壁基礎を
独立の状態で構築する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る基礎構造物の構築方法の実施例を
模式的に示す平面図である。
【図2】図1に示した基礎構造物の構築方法を模式的に
示す正面図である。
【図3】図1及び図2に係る基礎構造物の構築方法を既
製杭を使用して実施する実施例を模式的に示す拡大平面
図である。
【図4】本発明に係る基礎構造物の構築方法の別の実施
例を模式的に示す平面図である。
【図5】図4に示した基礎構造物の構築方法を模式的に
示す正面図である。
【図6】流動する可能性のある地盤を示すもので、
(a)、(b)は異なる場所を示している。
【符号の説明】
10、40 基礎構造物 12、16 地盤 14 支持地盤 20、22、24 列 20A、20B、20C、22A、22B、22C 杭
基礎 24A、24B、24C 杭基礎 26 既製杭 28、30 ガイド 32 シートパイル 42、44、46 壁基礎

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地盤が流動する可能性のある地盤中に複
    数の杭基礎を有する基礎構造物を構築する方法であっ
    て、 前記複数の杭基礎を、複数の列であってそれぞれの列に
    複数の杭基礎が含まれるように複数の列に配分して、か
    つ、各列に含まれる複数の杭基礎が前記地盤の流動方向
    に実質的に一直線状に位置するように配列して構築する
    こと、 前記各列に含まれる複数の杭基礎それぞれの外周面上の
    2つの周部分であってそれぞれの杭基礎の中心軸線を含
    み、地盤の流動方向に実質的に直交する仮想平面が前記
    外周面と交差する部位にある2つの周部分のうち、各列
    において隣り合って位置する杭基礎相互の同一側に位置
    する周部分を板材で連結することを含む、基礎構造物の
    構築方法。
  2. 【請求項2】 地盤が流動する可能性のある地盤中に複
    数の壁基礎を有する基礎構造物を構築する方法であっ
    て、 前記複数の壁基礎のそれぞれが地盤の流動方向に伸びる
    ように前記複数の壁基礎を配列して、かつ、各壁基礎を
    他の壁基礎から独立させて構築することを含む、基礎構
    造物の構築方法。
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